小玉智子のお買い物ブログ

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2010年01月19日
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 カメリア、ブラック・ドレス、ジャージー・ドレス、ツイード・スーツ、シャネルNO.5…。シンプルでエレガントなシャネル・モードを確立した女性ガブリエル・シャネルとは、一体、どんな人物だったのか…。今回は、世界的ブランド“ココ・シャネル”を一代で築いた女性の半生を描く伝記映画2編『ココ・アヴァン・シャネル』(2009年)、『ココ・シャネル』(2008年)をご紹介します。

 まずは、オドレイ・トトゥ主演のフランス映画『ココ・アヴァン・シャネル』(2009年)から。

 1893年、母が死に、父に棄てられ、孤児院で姉妹と共に育てられるガブエリエル。15年後、彼女はお針子をしながら歌手を夢見てムーランの舞台に立っていた。歌手の才能がないと悟ったガブリエルは、その後、将校エチエンヌ・バルサンと知り合い、彼の別荘に移り住むようになる。そこで彼女は乗馬や読書を独学で学び、趣味で帽子のデザインを始めるのだった。やがて英国人実業家ボーイ・カペルと運命的な出会いをするのだが…。

 原作は、女性誌「エル」「ヴォーグ」の編集者として活躍し、「ヴォーグ」では16年間、編集長を務めたエドモンド・シャルル=ルーの同名小説。監督・脚本は、アンヌ・フォンテーヌ。
 主人公のオドレイ・トトゥは、実際にガブリエル・シャネルと同じ地方の出身で、髪や細身の風貌も似ているということなので、シャネル自身にかなり近い雰囲気で演じています。
 ただ、トトゥは『アメリ』(2001年)の印象が強いので、男装やモノトーンの服を好み、男性に対して高慢な態度をとる彼女は、エレガントと言うより、どこかゴスっぽい、不思議ちゃんのイメージが感じられます。
 女性はコルセットに羽飾りのついた帽子をかぶっていた時代に、麦わら帽子に男装のガブリエルは、まさに現代のゴシック・ファッション以上のインパクトだったのでしょう。ドーヴィルの海岸の観光客の中で、一人変わったスタイルで佇むシーンなど、他の女性と明らかに違う彼女が印象的に表現されています。
 “ココ”という愛称の由来や、時代ごとに発表していくスタイルを全編にちりばめていますが、シャネルの半生を追う伝記ではなく、彼女の人間性を追うドラマになっています。そのため、シャネル・スタイルについての予備知識がある方でないと、解りずらい構成の作品になっています。

 次は、シャーリー・マクレーンが1954年のココを演じている伊=仏=米合作『ココ・シャネル』(2008年)について。

 1954年、ココ・シャネルは15年の沈黙を経て復帰コレクションを開くが、酷評されてしまう。ココは、孤児院育ちの自分が自立して現在の地位を手に入れるまでの若き日々を思い出していた。エチエンヌとの生活、ボーイ・カペルとの苦しい恋、そしてファッション・デザイナーとしての成功。ココは再起を誓うのだった…。

 こちらはシャーリー・マクレーンの回想から始まり、若き日のココの半生が描かれています。脚本は、ルキノ・ヴィスコンティ監督作『若者のすべて』(1960年)、『山猫』(1963年)、『地獄に堕ちた勇者ども』(1969年)などを手掛けたイタリアを代表するベテラン脚本家エンリコ・メディオーリ。監督は『アート オブ ウォー』(2000年)や、TVミニシリーズ『ヒットラー』(2003年)でエミー賞にノミネートされたカナダの職人監督クリスチャン・デュケイ。若き日のココを演じるのはイタリア映画界で活躍するバルボラ・ボブローヴァ。
 バルボラ・ボブローヴァ演じるココは、美しく自立した大人の女性です。そんな彼女がハングリー精神と持ち前のプライドの高さで自らの帝国を築いていく姿を、イタリア人脚本家らしく、非常にドラマティックに描いています。エチエンヌとボーイ・カペルを演じる俳優も魅力的。多少の脚色はあるかもしれませんが、物語性のある作品を好む方には、こちらの方がおススメです。

 この2作品では、細部の解釈に違いがあり、作品に対するアプローチ方法も違うので、両方見比べて楽しめます。例えば、シャネルの人生に多大な影響を与える二人の男性の捉え方が違います。トトゥ版では、エチエンヌ・バルサンを不細工で女好きの体育会系に、ボーイ・カペルを文学を好み繊細で女性にモテモテの文化系美男子として対照的に描いています。ボーイにココを奪われてしまうエチエンヌは、人がよいだけに、気の毒に思えます。一方、マクレーン版では、エチエンヌを女性に冷たい割り切った見方をする男性に、ボーイを男らしく情熱的な男性として描いています。ですから、ボーイとココの恋の行く末が気になります。ボーイの性格が2作品で、正反対に描かれているのは、面白いですね。

 2作品に共通して描いているのは、ココがファッション・デザイナーとして才能がある女性だったというだけでなく、男性社会に自ら切り込み、自らを信じ、女性の自由なライフ・スタイルを確立していった、20世紀を代表する女性のひとりであるということです。一人の女性として、一人の人間として、尊敬しますね。女性は必見の2作です。

ちなみに『ココ・アヴァン・シャネル』はフランス語、『ココ・シャネル』は英語の作品です。

 次回は、ゴールデン・グローブ賞作品賞、監督賞を受賞した『アバター』の見どころと、ジェームズ・キャメロン作品をご紹介します。





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最終更新日  2010年01月20日 01時04分48秒


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