inti-solのブログ

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2010.06.18
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富士に一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿ということわざがありますが、実は、わたしはその「馬鹿」の一人でして、まだ富士山に登ったことはありません。五合目までは行ったことがあるのですが(高校生の頃、まだ山登りを始める前に一度と、もう一度仕事で行ったことがあります)、それより上には行ったことがありません。
どうも心が動かないのです。

写真などで見る富士山は真っ白な雪に覆われていますが、実際には夏山の登山シーズンには雪はほとんどありません。そしてもう一つ、富士山は日本一高い山ですが、日本一高山植物の乏しい山でもあります。富士山にはハイマツがない(代わりにカラマツがハイマツ状に低木化している)し、高山植物のいわゆるお花畑もありません。

何故そうなのかというと、富士山が地質学的にはきわめて新しい山だからです。もともと、富士山の原型は先小御岳と呼ばれる火山で、数十万年前に誕生したと考えられています。
その後、10万年前頃に、小御岳が、先小御岳の上に被さるようにして、積み重なります。その当時、小御岳がどのくらいの高さだったかは分かりませんが、現在は小御岳山頂部は富士山の五合目付近(標高2300m)に頭を出しています。
更に、10万年前以降は、小御岳の上に古富士山が覆い被さるようにして形成されます。その高さは、だいたい3000mくらいだったと推定されています。小富士の活動期は最終氷期にあたります。だから、当時の富士山にはおそらくハイマツをはじめとした高山植物が分布していたでしょう。しかし、最終氷期が終わった1万年前以降、古富士の上に新富士(現在の富士山)が覆い被さるように活動を始め、現在の高さの山になります。小富士にあったかもしれない高山植物は、1万年前以降の火山活動によって破壊されほぼ消滅しました。
富士山は、先小御岳・古御岳・小富士・新富士という4層構造になっているわけです。

というわけで、富士山が現在の高さになり、その火山活動によって高山植物が消滅したときには、すでに最終氷期が終わり、それ以降新たに北方から高山植物が南下してくることはなかったので、富士山は、高山植物の乏しい山となりました。
ただし、森林限界以下には、ブナやミズナラなどの落葉広葉樹林、その上部にシラビソやコメツガなどの亜高山帯針葉樹林の豊かな森が広がっています。だから、富士山全体としてみれば、決して緑の乏しい山ではないのですが、五合目より上は緑の乏しい山という印象は否めません。冬は雪山、春は新緑(高山では残雪)、夏はお花畑、秋は紅葉というのが山登りの魅力だと思っているので、どうも富士山には食指が動かないのです。

では冬の富士山ならどうか。雪があるから魅力的ではあります。ところが、冬の富士山は第一級の難易度の山です。元F1レーサーの片山右京(現在は登山が活動の中心で、ヒマラヤの8000m峰チョ・オユーとマナスルに登頂経験がある)のパーティーが遭難し、2人が亡くなった事故は記憶に新しいところです。何しろ、ある意味で起伏が乏しく、滑らかな斜面、カチンカチンのアイスバーンとなった雪、そして人間の体が宙に浮くと言われる、凶暴な突風。冬の富士山は、とても私の技量で登れる山ではありません。

でも、富士山は好きです。形容矛盾と思われるかもしれませんが、登る山としては食指が動きませんが、遠方から眺める山としては、とても美しい。
というわけで、富士山の写真など。

雲取山から富士山
東京都の最高峰、雲取山から見た夜明けの富士山

北岳山頂から富士山
日本第二の高峰北岳山頂から最高峰富士山を望む。(夏の朝)

富士山
南アルプス・農鳥岳と富士山

富士山
奥多摩・三頭山から見た富士山

富士山
雲取山から富士山 その2

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ところで関東一円に広がる赤土、つまり関東ローム層は、富士山の火山灰が降り積もってできたものです(下の方には箱根山の噴火による部分もありますが)。その厚さは、場所によっても違いますが、東京の市部や川崎付近では10m近くになるところもあります。
一度の噴火で積もったわけではありませんが、それにしたって10mです。それも、重みで圧縮された結果ですから、降り積もった時点ではそれより遙かに厚かったはずです。富士山までの距離は、50km以上はあります。火山噴火のエネルギーの巨大さが分かります。江戸時代の宝永噴火では、江戸にも数センチの降灰がありましたが、有史以前の巨大噴火に比べれば、宝永噴火など花火のようなものとすら言えます。
300年前の宝永噴火以降噴火していませんけれど、富士山は立派に活火山ですから、いつ噴火しても不思議ではありません。有史以前の巨大噴火のような規模にはならないでしょうが。ただし、過去の歴史において、富士山は常に巨大地震と連動してきました。今後もそうなる可能性が高いと思われます。そういう意味では、富士山噴火「だけ」の対策は意味がないかもしれませんが。

それにしても、一応は山登りをしている人間として、「日本一」の山に一度は登ってみるのも、悪くはないかな…・・・・。





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最終更新日  2010.06.19 00:36:53
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富士山は…  
たかさん さん
私は富士山に一度だけ登ったことがあるんです。五合目までクルマで行って、そこからご来光登山をしました。

確かに一度登れば、二度目はいいかなという山ですね。頂上はまるで「火星」みたいですし、空気は薄いし、他の山は遥か下ですし、そういうのがいいという人もいるでしょうが…。その上、観光地化されて俗っぽいし…(これが一番嫌でした)。

でも一度は登ってみてください。かぐや姫に求婚をしてフラレた帝もこの山に登ったそうですから(笑)。 (2010.06.19 12:37:51)

Re:富士山は…(06/18)  
たかさん
>私は富士山に一度だけ登ったことがあるんです。五合目までクルマで行って、そこからご来光登山をしました。

そうだったんですか。
私は登ったことはありませんけれど、山小屋の荷揚げにブルドーザーを使っている、という時点で疑問符がいっぱいつきます。日本アルプスに比べると高山帯の植生が貧弱であることを割り引いても、いささか自然保護に配慮がなさ過ぎるのではないかと思います。
それに、一部の例外を除いて、富士山の山小屋には良い評判を聞きません。

でも、まあいつかは、とは思うんですけど。 (2010.06.20 00:15:55)

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