inti-solのブログ

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2010.08.01
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カテゴリ: 政治
昨日の記事 以前の記事 にも書いたように、小選挙区制というのは、きわめて問題の多い選挙制度です。

小選挙区制推進派の主張は、
○安定政権が作れる
○二大政党制になる
○政権交代が起こりやすい
○金権選挙になりにくい(中選挙区に比べて)
○党内派閥がなくなる

というものでした。しかし、1996年に小選挙区比例代表併用制が導入されて14年経ちますが、果たしてどうでしょうか。小泉政権の後期(郵政選挙以降)を除いて、この間日本に安定政権などあったでしょうか。
小渕内閣1年8ヶ月
森内閣1年
安倍内閣1年
福田内閣1年
麻生内閣1年
鳩山内閣9ヶ月
いずれも短命政権でした。全然安定政権など作れていません。

これはどんな選挙制度でも同じですが、有権者の意志は移ろいやすいのです。だから2005年には自民党の圧勝、2009年には民主党の圧勝という結果になっているわけですが、選挙に示された民意が次の選挙までずっと続くわけではありません。自民党も民主党も、選挙の後支持率は急落しています。選挙でどんなに圧勝して「安定議席」を確保しても、国民の支持が失われれば「安定政権」など作れないのです。それを無理に安定政権にしようとすると、反対派を弾圧する強権政治になります。
逆に、国民の支持が高ければ、議席数がギリギリだったり連立政権だったりしても安定政権になるでしょう。
従って、選挙制度と政権の安定度は基本的に関係がないと思われます。

自民党政権は最初は自社さ、それから自自公→自公保→自公と常に連立政権でしたし、民主党政権でも民社国→民国と同じ状況です。従って、完全二大政党制になどなっていないし、そもそも完全二大政党制(国会の議席のレベルで)など、米国以外に存在例はないと言っていい。まあ、でもこの14年間、次第に二大政党よりになってきたという傾向があることは事実といえますが、では二大政党制が「より望ましい」政治の姿なんでしょうか。私にはそうは思えないのですが。

で、確かに小選挙区制が導入されて政権交代は起こりましたが、果たしてそれは小選挙区制だったからでしょうか。小選挙区制が導入される以前、中選挙区制の下でも1993年に政権交代(細川内閣)が起こったという事実が無視されている気がするのですが。

本当に金権政治はなくなったんでしょうか、だとすると小沢一郎や二階俊博を巡る政治と金の問題は何なのでしょうか。そもそも、中選挙区制の時代、唯一定数1の小選挙区が鹿児島の奄美大島にありました。そしてこの選挙区は保徳戦争と呼ばれる、全国でも有数の酷い腐敗選挙が横行していました。従って、小選挙区だと金権選挙にならないというのも、神話に過ぎません。

自民党には依然として確固として派閥があるし、民主党も同様のようです。郵政選挙の際に小泉チルドレンという無派閥議員が大量発生しましたが、結局はその多くが派閥入りし、任期の最後まで無派閥で通した議員は少なかったようです。小選挙区制になれば派閥がなくなる、なんて話も神話です。

結局のところ、小選挙区制推進派の並べ立てる小選挙区制の利点は、「二大政党制になる」(それのどこが利点なのかは私にはほとんど理解できませんが)という以外全て神話に過ぎない、ということです。

小選挙区制の代表例であるイギリスを見てみましょう。この国では、第二次対戦終了以降17回の総選挙が行われています。この間、与党が単独過半数を占めた例は、1950年、55年、59年、64年、66年、70年、74年10月、79年、83年、87年、92年、97年、2001年、05年と14回ありますが、このうち1950年は過半数を2議席上回るだけ、64年は1議席、74年10月も2議席上回るだけというギリギリの勝利で、議席数で言う限り「安定政権」とは言えません。
そして、51年と74年2月、今回の2010年の3回は、どの党も過半数を制することは出来ませんでした。特に51年と74年2月の2回は、得票数で負けた側が議席数で上回るという逆転現象が起きています。結局、51年の際は第三党の自由党の一部を引き抜いて合同することで保守党が過半数を制し、74年2月の際は一応労働党が勝ったものの、過半数を取れずにどうにもならなくなって、同じ年の10月にもう一度選挙をやったわけです。今回の選挙では、戦後初めての連立政権という結果になったわけです。
こうしてみると、17回の選挙のうちの6回は過半数ギリギリあるいは過半数以下という状況で、イギリスにおいても「小選挙区制=安定政権」という図式はそれほど確実なものではなかったことがわかります。イギリスは二大政党制とされますが、実際は第3党(旧自由党、労働党右派から分裂した社会民主党、両者が合併した自由民主党)が常に2割前後の得票を得ているにもかかわらず、小選挙区制の弊害で議席数が低くなっているだけです。今回の選挙の得票率は、保守党36%、労働党29%、自民党23%です。これで二大政党制というのは、いささかおかしいと言わざるを得ないでしょう。





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最終更新日  2010.08.01 12:21:46
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