inti-solのブログ

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2010.10.16
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カテゴリ: 環境問題
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101015-00001358-yom-soci

富士山南側の永久凍土が消滅…温暖化で

富士山の南斜面から地表近くの永久凍土が消滅したとみられることが、静岡大の増沢武弘教授(植物生態学)らの調査でわかった。
16~17日に開かれる富士学会で発表する。
静岡大と国立極地研究所(藤井理行所長)は共同で1976年から、南斜面の標高2500メートル以上の約100か所で測定した地中温度を分析し、永久凍土の分布状況を推測している。
増沢教授によると、地下約50センチで永久凍土が存在する下限は、76年に3200メートル付近だった。98年は3300メートル付近に上昇し、2008~10年の調査で初めて下限が確認できなかった。
気象庁によると、富士山頂の年平均気温は、76年が氷点下7・2度で、09年が氷点下5・9度に上昇している。また、標高2500メートル付近が生育上限とされていたイネ科のイワノガリヤスが山頂付近で自生しているのが確認されたという。
増沢教授は「(南斜面からの永久凍土消滅は)地球温暖化の影響以外に考えられない。富士山の植生が大きく変化する可能性がある」と話している。
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高度が100m上がると気温は平均0.6度下がるとされています。1976年に高度3200mにあった永久凍土が現在は消滅したということは、永久凍土の高度が500m以上上昇したということです。気温に換算すれば、3度以上ということになります。
温暖化の影響をもっとも強く受けるのは、このような極限地域の自然だと思われます。日本では、おそらく高山帯の植生がもっとも強く影響を受けるでしょう。

永久凍土とは、地中が2年以上連続して凍結している状態を指します。もっと分かりやすく言えば、真夏でも土が凍っている状態ということです。真冬だけ土が凍るなら、東京あたりでも見られる現象(霜柱)ですが、それも、私が子どもの頃(1970年代)と比べると霜柱を見る機会が大幅に減ったように思います。
世界的に見ると、永久凍土は北半球の北部に広がっていますが、特に大規模で分厚いのはシベリア東部です。ヤクーツク付近では、永久凍土の深さが、なんと500m以上にも及んでいるとされます。

永久凍土というと、いかにも寒々しくて不毛なイメージがあるかも知れません。確かに寒々しいのは事実ですが、決して不毛ではありません。それどころか、永久凍土の存在は、世界の自然にとって非常に重要な意味を持っています。
世界最大規模の森林はどこにあるかご存じでしょうか。
日本の森林面積は約25万平方キロ、国土面積に占める森林の割合から言えば、世界有数の森林国ではありますが、何しろ国土面積が小さいですから、世界全体の中では微々たる割合しか占めていません。
大アマゾンを抱えるブラジルは、森林面積543万平方キロ、日本の20倍以上ですがそれでも世界一ではありません。世界最大の森林国は、森林面積851万平方キロのロシアです。ただし、森林の割合は、44%なので日本やブラジルよりはかなり低いですけれど(それでも、米国・カナダ・ヨーロッパよりロシアの森林割合は高い)。

ロシアの大森林の中心は、シベリアのタイガ(北方針葉樹林)です。おおむね、西シベリアではモミとトウヒの常緑針葉樹、東シベリアではカラマツの仲間の落葉針葉樹が中心になっています。これらの広大な北方針葉樹林、特に東シベリアの落葉針葉樹林は、永久凍土がなかったら存続できないのです。

東シベリアは、きわめて降水量の少ない地域です。前述のヤクーツクの年間降水量は238mmしかありません。その北東のベルホヤンスクは、更に少ない173mm。少し南に下がったチタは少し多くて338mm。
東京の降水量は1466mmはもちろん、日本では降水量が最も少ない北海道の網走801mmや、瀬戸内海の岡山県玉野の1021mmと比べても、どれだけ少ないか分かります。
それどころか、乾燥地帯というイメージのある西アジアの、テヘラン242mm、カラチ222mm、カブール312mm、バグダッド122mmという降水量と比較しても、あまり変わらない。
そんな砂漠並の降水量しかない東シベリアには砂漠はなく、広大な森林が広がっています。雨がほとんど降らないのに、どうしてそんなことが可能かというと、雨は少ないものの、そのごく少ない雨が地中深く浸透することがなく、常に植物が根を張る地表付近に滞留しているからです。じゃあ、何故降った雨が地中深くに浸透していかないかというと、地中に不透層つまり水を通さない地層があるからです。水を通さない地層とは、すなわち永久凍土のことです。当たり前の話ですが、氷は水を通しません。

というわけで、もしも温暖化によって永久凍土が消えると、この地域はとても森林が維持できるような降水量がありませんから、広大な森林が姿を消し、草原か、下手をすると砂漠に姿を変えることになってしまうのです。世界最大の森林がすがたを消すことの影響は、相当大きなものがあるはずです。日本の気候だって激変するかも知れません。

また、シベリアは大森林地帯であるとともに、湿地帯でもあります。特に、西シベリアは湿地が多い。西シベリアは、かつて湖の下だったため東シベリアほどには永久凍土が厚く発達していないのですが、湿地が非常に多いのです。湿地では枯死した植物は水中に没し、そのまま完全には分解されず積み重なり、泥炭になります。特に寒冷地では微生物の働きが弱いので、この傾向が著しい。日本でも、釧路湿原や尾瀬に泥炭層が発達しています。
寒冷地で分解されないまま積み重なった泥炭層には、大量のメタンが含まれています。メタン層の生成条件は高圧と低温だからです。
メタンは、要するに都市ガスと同じ(ただし、都市ガスはガス漏れが分かるようにわざと臭いが付けてある)ですから、常温常圧では気体です。しかし、永久凍土中では、低温と高圧のためメタンハイドレートと呼ばれる半固体となっています。
永久凍土が溶けると、凍土中に蓄積されているメタンガスが大気中に放出されます。
メタンそのものは無臭無毒ですけれど、問題は、二酸化酸素より遙かに温室効果が大きいことです。メタンが大気中に大量に放出されると、地球温暖化が更に加速される可能性があるわけです。

温暖化が永久凍土の溶解を招き、永久凍土の溶解がメタンの放出を招き、メタンの放出がさらなる温暖化を招き、さらなる温暖化がさらなる永久凍土の・・・・・・。このような悪循環(フィードバック)に陥れば、温暖化がどんどん加速していく一方になってしまいます。

たかが永久凍土では済まない大問題です。





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最終更新日  2010.10.16 12:23:17
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