inti-solのブログ

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2019.07.17
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テーマ: ニュース(96523)
カテゴリ: 音楽
JASRACは何と戦っているのだろうか
~ジャスラックは、この30年ほどの間に、著作権使用料の請求先を、演奏家、歌手、レコードCDの制作者、放送、雑誌、新聞、書籍のような商業的なマスの媒体から、有線放送、飲食店の店内音楽、ダンス教室、商店街のBGMに至るまで、ありとあらゆる個人に拡大してきている。加えて、音楽ファイルが記録され得る媒体に、音楽が乗せられることを想定して、CD-RやDVD-R、ハードディスク、果てはスマホやパソコン本体にあらかじめ補償金を徴収するシステムの確立を画策していると言われる。~
さて、このたびジャスラックは、音楽教室に職員を潜入させることで教室内での音楽の扱われ方を調査する手段を採用した。
《JASRAC側が東京地裁へ提出した陳述書によると、職員は2017年5月に東京・銀座のヤマハの教室を見学。その後、入会の手続きを取った。職業は「主婦」と伝え、翌月から19年2月まで、バイオリンの上級者向けコースで月に数回のレッスンを受け、成果を披露する発表会にも参加した。》
いったいいつの時代のゲシュタポのやりざまだろうか。
これほどまでにあからさまなスパイ活動を堂々と敢行して恥じない組織が、自分たちの主張に耳を傾けてもらえると信じている姿を、いまはじめて見た気がしている。
ジャスラックが潜入職員を立ててまで立証せんとしていたのは、ヤマハの音楽教室では、「音楽」がまるでコンサート会場でそうされているように、生徒によって「鑑賞」され、「享受」され、金銭を媒介する手段として「流通している」、ということなのだろう。
というのも、ジャスラックとヤマハの間で争われている訴訟では、現在、教室内で演奏される音楽が、演奏技術を伝えるためのものなのか、それとも「鑑賞目的」なのかという点と、もう一つは、教室に通っている生徒が、営利目的で演奏を聴かせる対象としての「公衆」に当たるのかであるからだ。
ジャスラックは、レッスン時に試奏されている音楽が、「事実上コンサートの音楽として」流通し、生徒たちも「有料入場者たる聴衆に近い聴き方で」その音楽に向き合っていると主張しているわけだ。
さてしかし、音楽教室の側の立場からすれば、講師が全力を尽くして最高の演奏を披露しようとするのは、教育者として当然の姿勢だ。というよりも、どんな分野であれ、他人に何かを教える人間が、全身全霊でその任に力を尽くすのは、「教育」の大前提だ。(要旨・以下略)

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JASRACのこの行動は、さすがに各所にて驚きと怒りをもって迎えられているようです。
ただ、JASRACのこれまでのやり口を見ると、最初は客を装って来店して営業状況を観察し、しかる後に音楽著作権使用料を請求してくる、というのは、ある種の定型パターンのようです。今回のやり口も、だから特に真新しいものではなく、これまでやってきたことの延長線上にすぎないとも言えます。
だからといって、そのようなやり口を許容する気には、とうていなれませんけどね。

当ブログでは、これまで音楽著作権使用料をめぐる問題を度々取り上げてきており、音楽教室からの徴収の話についても、過去に記事を書いたことがあります。その中で私が何度も指摘しているのは、著作権使用料が正当な権利者にきちんと支払われるものなら、払うことにやぶさかではない、ということです。
ところが、現実には「包括契約」という丼勘定の契約では、具体的が楽曲名を一切把握しないのだから、正当な著作権者に使用料が支払われるはずがないのです。そもそも、音楽教室の場合、すでに著作権の保護期間が切れている古いクラシック曲が教材に使われる割合が、世間一般の音楽需要に比べてかなり高いと思われます。ましてや、CD-Rなど記憶媒体に対する一律補償金は、言わずもがなです。
そのように集められ、正当な著作権者に支払われなかった使用料はどうなっているのか、結局JASRACが恣意的に配分を決めている、もしくはJASRAC自身の利益となっている、そのいずれかでしょう。

もっとも、JASRACがこのようになりふり構わず取り立てに走る背景には、音楽産業全体のパイの縮小(従って著作権使用料の現象)があるのでしょう。音楽CDの売上減少が言われるようになって随分になります。代わりにオンライン配信が伸びているものの、金額的にはCDなど物理的メディアより安価ですから、当然著作権使用料も減ってきているのでしょう。
その事情は分からないことはありませんが、だからと言って理屈の通らない、理不尽な請求が容認されてよい、というものではありません。

だいたい、音楽教室は音楽産業、音楽文化の重要な担い手です。音楽著作権は、基本的には作詞作曲者が持っていることが多いですが、作詞作曲者だけでは音楽を流通させることはできません。演奏者がいて、初めて音楽は音として視聴者の耳に届きます。
その演奏者は、大半が「レッスンプロ」でもあります。実際の収入は演奏活動よりレッスンの謝礼の方が多い、という演奏家の方が多数派かもしれません。ヤマハのような大企業が、JASRACに著作権使用料を払ったからといって倒産することはないでしょうが、費用負担の増は、結局謝礼の値上げか講師の待遇を落とすか、で吸収するしかなくなります。どちらにしても、音楽家(実演家)にとって、かなり死活的な影響を与えるはずです。
JASRACは、その事業の目的として



と自称しています。しかし、音楽教室からの著作権使用料徴収は、音楽文化の普及発展どころか、その重要な担い手であるはずの演奏家には、悪影響しか及ぼしません。それのどこが「音楽文化の普及発展に寄与」なのか、私にはまったく理解できません。むしろ、音楽著作権ビジネスの収益確保のためには、音楽文化の発展なんてどうだっていい、そのような意図すら感じてしまうのです。
それは、結局巡り巡って、音楽文化の衰退と産業としてのパイの縮小しかもたらさない、長い目で見ればJASRAC自身の首も絞める行為としか思えません。





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最終更新日  2019.07.17 19:00:09
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