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勤務市の人権教育研究大会で「読み書き障害」についての発表をすることになりました。そのレポートの「はじめに」に何を書くべきか、悩んでいましたが、あるマンガを読んで、すっきりしました。特別支援教育のメーリングリストで教えていただいた本です。『ぼくの素晴らしい人生』(第1巻) (愛本 みずほ、BE LOVE KC)『ぼくの素晴らしい人生』1巻【電子書籍】物語の主人公は「ディスレクシア(読み書き障害)」です。しかし、自分が「ディスレクシア」であることに気付いていませんでした。彼は、同じくディスレクシアである喫茶店のマスターから、「もしかして、きみ、ディスレクシア?」と言われます。「読み書き障害」の理解啓発が必要である理由を再確認できた本書は、僕が発表の最初に訴えたいことも明確に思い出させてくれました。マンガとしてもとてもおもしろく、まだ1巻だけしか読んでいませんが、思わず笑ってしまったところが何カ所かあります。思わず笑ってしまったところは読んでいただいてからのお楽しみとして・・・「読み書き障害」の理解啓発につながると思った場面を2つ、紹介します。============================= 『ぼくの素晴らしい人生』第1巻 ・「あの文字の書き方が 字を書いてるっていうより 覚えてる「形」を書いてる感じだったから オレと一緒かなって」 (P33より) 喫茶店のマスターから、ディスレクシアではないのかと思った理由を聞かされる場面より。 字を書くときの特徴を、短い表現で的確に表現されていると思いました。 p56以降でも、「読み書き障害」とはどういう障害かということを分かりやすく説明されています。 ・「オレ ずーっと ペーパーテストじゃなくて 口頭で解答させてくれって 思ってたなー」 「問題読むのも書くのも時間かかって・・・ 読んでくれたら 口では答えられたんだ 授業はちゃんと聞いてたから」 (P93より) 2人でディスレクシア「あるある」を話している場面より。 「こんな支援があればよかった」は、支援に携わる人が絶対に聞いておきたい内容です。 =============================読み書き障害の当事者の方が書かれた本は積極的に読んできましたが、マンガで読むと、やはりスッと入ってきますね。登場人物の動きや表情と一緒にセリフにふれられることで、より感情移入できるからだと思います。今まで知りませんでしたが、知ってよかったと思える本。おすすめです!▼公式サイト (第1話の試し読みができます。)P.S.2018/10/23追記メーリングリストで単行本化されていない雑誌掲載内容を読まれた方より教えていただきましたが、「ディスレクシアあるある」は、実はそうではないのだけれど誤解してそう思っている部分もあるようです。ディスレクシア理解の入り口としては第1巻はとてもいいと思うのですが、あまり簡単に言い切れない部分はあるので、個々の違いの部分も含めてよく勉強していかないといけない、と改めて反省しました。補足いたします。
2018.10.21
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ずっと気になっていた運転免許を取るときの合理的配慮について、福井県の特別支援教育センターの冊子に記述がありました。 福井県運転者教育センターの学科試験問題用紙には、すべての漢字にルビがふってあるそうです。 また、問題集のマルチメディアデイジー図書も提供されているのだとか。 こういう「かゆい所に手が届く」情報がスッキリとまとめられている福井県の冊子、ネットで無料公開されているのがすごい! 特別支援教育関係者全員に読んでほしい情報が満載です。『「読み」や「書き」に困難さがある児童生徒に対するアセスメント・指導・支援パッケージ』 (福井県特別支援教育センター、H30.8-)内容は本当に充実していて、目次を読んでいただければ、その充実具合がわかると思います。以下、目次です。個人的に目立たせたい項目を、太くしたり、でっかくしたりしています。================================== 基本的知識 合理的配慮について 第1部 年齢段階別の指導・支援編 読み書きに困難さがある子どもの育ちと指導・支援の全体像 1 小学1~2年生に対する支援 (1)概説 (2)通常学級の全員を対象としたアセスメントと指導 ① 多層指導モデル MIM を活用した特殊音節の指導 ② T式ひらがな音読支援(旧 鳥取大学方式) (3)個別指導場面や家庭で活用できる教材や指導法 ① ひらがなの基礎的な指導:「キーワード法」を活用した指導 ② ひらがなの基礎的な指導:「 50 音表」を活用したひらがな指導(聴覚法) ③ ひらがなの基礎的な指導:「 50 音表」を手掛かりにした書字指導 ④ ひらがな,カタカナの指導に使えるアプリ紹介 ⑤ 漢字の指導に使えるアプリ紹介 ⑥ 小学校の国語教科書(光村図書)に準拠したアプリ紹介 ⑦ アプリ等を探す際に参考となる web サイト紹介 ⑧ スマイル式プレ漢字プリント(小1~小6) ⑨「ミチムラ式漢字カード」による漢字指導(小1~中3) 【コラム】読み書きの困難さが著しい子どもへの支援 (4)補助代替手段の活用 ① デジタル化された教科書(マルチメディアデイジー教科書)の活用 ②「魔法の定規(リーディングルーラー)」の活用 ③ 「わくわく算数教科書ノート(啓林館) 」の活用 (5)事例紹介 ① 読み書きの指導と課題量の軽減 2 小学3~6年生に対する支援(1)概説(2)個別指導場面や家庭で活用できる教材や指導法 ① スマイル式プレ漢字プリント(小1~小6) ② 「ミチムラ式漢字カード」による漢字指導(小1~中3) 【コラム】漢字はどこまで厳密に採点すればいいの? ③ ローマ字の指導に使えるアプリ等 (3)補助代替手段の活用,合理的配慮の検討 ① 学習者用デジタル教科書(光村図書出版:国語)の活用 ② 読みの困難さへの対応:iPadの「音声読み上げ機能」の活用 ③ 書字の困難さへの対応:iPadの「フリック入力」の活用 ④ 書字の困難さへの対応:デジタルメモ「ポメラ」の活用 ⑤ 総ルビ問題の活用 ⑥ デジタル化された教科書(マルチメディアデイジー教科書)の活用 ⑦ わいわい文庫(マルチメディアデイジー図書)の活用 (4)事例紹介 ① 読み書きの困難さに対して配慮を行った事例(小3) ② 漢字学習における配慮例(小4) ③ 授業やテスト場面での配慮例(小4) ④ 中学校に合理的配慮を引き継いだ事例(小6~中1) 【コラム】通常学級の担任の視点から 【コラム】学習面以外の苦手さも併存するケースについて (5)他の児童・生徒に対する理解・啓発について ① 障害理解授業の実践 ② iPad を教室で使用する前の理解授業 3 中学生・高校生に対する支援 (1)概説 (2)個別指導場面や家庭で活用できる教材や指導法 ① 学習者用デジタル教科書(光村図書出版:国語)の活用 ② anki Pocket(東京書籍)の活用 (3)補助代替手段の活用 ① デジタル化された教科書(マルチメディアデイジー教科書)の活用 ② デジタル化された教科書(AccessReading)の活用 ③ 読みの困難さへの対応:タブレット端末の音声読み上げ機能の活用 ④ 読みの困難さへの対応:iPadアプリ「タッチ&リード」の活用 ⑤ 書字の困難さへの対応 (4)事例紹介 ① テストにおける時間延長の取組(小学校,中学校) ② 事故の後遺症による書字困難への配慮の取組(中学校) ③ 英語の単語テストでの配慮の取組(中学校) ④ テスト問題へのルビ振り,代読等の取組(中学校~高等学校) (5)合理的配慮 ・代読(読み上げ)の実施方法 ・大学入試センター試験で配慮を受けるには? 【コラム】教育以外の場面で合理的配慮は受けられるの? (自動車運転免許取得の際や資格試験等の受験の際に) 【インタビュー】高校生にインタビューしました第2部 アセスメントの紹介 1 集団実施に適する簡易なアセスメント ・MIM-PM,T式ひらがな音読支援の簡易アセスメント ・スマイル・プラネット版 読み書きスキル簡易アセスメント 2 基本のアセスメント ・全般的な知的能力の発達を測定する検査 田中ビネー知能検査Ⅴ ・WISC-Ⅳ ・K-ABCⅡ ・実践ガイドライン ・STRAW-R(改訂版) ・URAWSS-Ⅱ 3 より詳細なアセスメント ・URAWSS-English ・CARD(包括的領域別読み能力検査) ・『見る力』を育てるビジョン・アセスメント「WAVES」 参考図書巻末資料 T式ひらがな音読支援の1年生向け簡易アセスメント 問題用紙,記録用紙一式) ==================================最新情報が整理されているので、10月13日にご紹介した『読み書き障害のある子どもへのサポートQ&A』と一緒に読めば、完璧ですね。具体例が山ほど紹介されていますので、気になったものは自分でも調べたり、買ったりしています。ネットで無料で利用できるスマイルプラネットのプリントなどは、この冊子の情報から知りました。「魔法の定規(リーディングルーラー)」も、ネットで注文して、買いました。この冊子の総ページ数は172ページ。かなりのページ数になります。目次を参考に、まずは興味があるところだけ、分割ダウンロードで読んでみても、いいと思います。PDFファイルです。
2018.10.17
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11月に読み書き障害の子どもの学習保障を中心テーマとした発表を行います。そのこともあって、読み書き障害の子どもへの指導や支援について、ここのところずっと、書籍等で調べてきました。今日は、その中でも、特に「これは!」と思ったものをご紹介します。『読み書き障害のある子どもへのサポートQ&A』(河野俊寛、読書工房、2012、1800円)素晴らしい本です!読み書き障害に関する基本的な知識から、使えるいろいろな支援の選択肢、はてはLD(学習障害)の登場人物が登場する本や映画のリストまで掲載。類似本を全く読んでいなくても、この本を読んでおけば、ある程度安心、と言ってよい内容です。そのため、読み書き障害の子どもへの支援についての本を初めて買い求める場合には、まさにベストバイと言えるのではないでしょうか。実は、発行が2012年だったので、読む前は「ちょっと古いかな」と思っていたのですが、まだまだ使える知識ばかりでした。しかも、かなり読みやすい。いやあ、いい本です!各学校に配りたいくらい。(笑)具体的な中身については、上の画像から飛んでいるリンク先(楽天ブックスさん)から、少し情報を転載します。ちなみに、楽天ブックスでの口コミ評価は、今現在で 4.50 です!===========================【目次】(「BOOK」データベースより) 0 河野先生と考える読み書き障害を理解するためのはじめの一歩/1 読み書き障害に関する基礎知識(読み書き障害と知的障害は違うのですか?/読むことだけ、あるいは書くことだけに困難な人はいますか? ほか)/2 読み書き障害の検査・評価(読み書き障害であるということは、どうすればわかりますか?/知的能力は、どのようにして確認しますか? ほか)/3 読み書き障害のある子どもへのサポート方法(読み書き障害の子どもへのサポートは、「読めるようにする、書けるようにする」という方針でいいですか?/ひらがなの読み書きを改善する指導方法を教えてください。 ほか)/4 相談を受けてから支援までの具体的な事例(小学1年生の事例/小学3年生の事例 ほか)/5 巻末資料(補助代替ツール/用語解説 ほか)===========================目次を見るだけでも、知りたい情報が見事に整理されている、という印象を受けます。イラストも豊富で、負担なく読めます。保護者にも、先生にも、おすすめ。未読の方で、関心のある方は、ぜひ!なお、この本に書いてあって僕が勉強になったのは、「視覚的な原因から漢字の読みが困難な場合、 漢字にふりがなをつけるという支援は、じつは支援になりません」(p66)というところ。市販のルビうちテストがかなり利用しやすくなってきた現在、漢字が読めない=ルビうちテストの利用、となりそうなのですが、子どもの特性をしっかり理解しておかないと、有効な支援にならないかもしれません。安直な発想でそう思いがちだったので、反省させられました。(ただ、パソコン画面上の漢字にルビを表示させる支援と異なり、ルビうちテストのルビは細字で目立たないようになっていることが多いです。有効か有効でないかは、実は試してみないと分からないのかもしれません。)あと、もう一つ勉強になったのは、「知的障害などの特別支援学級の弾力的運用」について。「校内に特別支援学級がある場合、通級指導教室のように利用すること」(p101)ができるそうです。実は、そういう事例は知ってはいたのですが、校内の運用で特別に行っていると思っていました。こういった本に書いてあるということは、公的に認められているんだな、と驚きました。通級の対象者はあまりにも多くて、通級担当者が全然足りていない現状があるだけに、支援学級を通級のように利用することができれば、それで救われる子もけっこういそうです。このほかにも、具体的な支援ツールの名称を次から次へと知ることができ、本書から芋づる式に情報を参照していくことで、「こんな支援があれば」と思っていたものが、「実はあるんだ!」と歓喜の涙で発見できることも、期待できそうです。そんなわけで、強くおすすめする次第です!!(^0^)
2018.10.13
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そろそろ年度末がせまってきました。支援を必要とする子にとっては、必要な支援が明確化され、来年度への引き継ぎに生かされるかが大変重要です。近年はiPadなどのタブレット機器を活用して合理的配慮を行う事例も少しずつ出てきています。(例えば→ <学習障害>iPad使わせてください 学校に訴えて可能に (毎日新聞2018/2/18))いま僕は読み書き障害当事者の手記をまとめた本を読んでいますが、支援があるのとないので全く違う!ということを改めて強く感じています。『読めなくても、書けなくても、勉強したい ディスレクシアのオレなりの読み書き』(井上智・井上賞子、ぶどう社、2012、1800円)前例にこだわらず、必要な子に、必要な支援を!と強く思います。学校現場でのICT利用について情報をまとめた本としては、以下の本が大変有益です。『学校でのICT利用による読み書き支援 合理的配慮のための具体的な実践』(近藤武夫(編)、金子書房、2016、1300円)複数の執筆者によって書かれていますので、いろいろな観点からの実践事例などが集結しています。まさに、決定版と言えるような、内容です。===================================内容第1章 ICTによる読み書き支援を学校で進めるために第2章 能力評価とアセスメント第3章 通常の学級でのICT利用を円滑化するために第4章 学校におけるICT導入の実際第5章 読み書き支援のリソースガイド第6章 障害のある児童生徒に対する学校や試験でのICTによる配慮第7章 小学校・中学校・高校入試でのICT利用の事例第8章 高校・大学入試でのICT利用の事例第9章 読み書き障害のある成人への活用事例ー現在と過去を振り返って第10章 通級・特別支援学級・特別支援学校での活用事例ー教師がどう関わったか===================================先に紹介した井上智さん・賞子さんも、「第9章 読み書き障害のある成人への活用事例」のところで、寄稿されています。その章のまとめで井上さんは、「ICTは、自分の世界を大きく広げてくれた」(p89)と書かれています。しかし、まだまだこういったことがなかなか知られていない現実があります。ICT活用のメリットが当事者にとってデカイなら、教員や支援関係者は、もっとICT活用に関する情報を知っていかなければならない、と思います。本書p42には、「リソースガイド全体のマッピング」が載っています。ICT活用の全体を概観する上で、大変役に立ちます。僕は、通級で担当している子どもへのICT活用について、担任の先生や保護者の方に提案するときに、その表をお見せすることがあります。パッと見で「活用できる選択肢がこんなにある!」と感じていただけているように思います。本書に載っている表や事例は、ほかにも、かなり有益です。第1章では、たとえば「授業であっても、試験であっても、タブレット等のICT利用により参加機会を保障する例」が示されています。(p11)支援を必要とする子にとって大きなハードルとなる高校入試や大学受験、中間テストや期末テストなどの定期テスト。人生を左右するそういった試験に、ICTが実際に活用された事例というのは、当事者や当事者の親御さんにとって、非常に心強い情報になるのではないでしょうか。大学入試などでの配慮事例は、第6章に詳しく紹介されています。このブログでも紹介したことのある小林春彦さんが大学入試で申請された配慮内容を含む、入試等で認められてきた配慮実績の表(p48)は、進路に関する相談を受けたり指導をしたりする者は、知っておきたい情報です。(関係する過去記事 ▼業者テストの「ルビうち」が標準対応に!(2017/6/10の日記))第2章のアセスメントの章は、僕のような「LD(学習障害)」を対象とする通級担当者にとって、非常に役立ちます。読み書きのアセスメントの情報が整理されており、これを読んで、必要だと思われるアセスメントについてさらに学ぶきっかけになります。ただ、この本には載っていなかったCARD(包括的領域別読み能力検査)というのも僕は活用しています。第4章では、「ICT導入の実際」が紹介されていますが、具体的には、たとえば「他の児童への説明・共通理解」(p36)のところが参考になります。「その子だけが違う」というのが、ともすれば、いじめの原因になることも、考えられます。導入に当たっては性急に進めるべきではなく、こういった先進事例も踏まえた上で、学級の状態に合わせて慎重に導入を図るべきである、と思います。第7章では、高校入試で配慮を受けて、高校入学後も本人に合ったペースで学習を進めている事例なども、紹介されています。そこで紹介されているD君の「3年間で卒業しようと思っていない。」(p59)という言葉は、人それぞれに合った、多様な学び方があり、それでいいんだ、ということを再確認させてくれます。そんなわけで、読み書きが苦手な子どもの教育に関わる方必読の本書。ぜひ手に取って読んでいただきたいと思います! ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2018.02.19
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9月と言えば、体育祭や運動会。聴覚過敏の子どもたちにとっては、「かけっこのピストルの音がイヤで泣き出す」「ダンスのBGMがイヤで、逃げ出す」といったことも、起こりやすい行事です。ピストルを使わずに笛に変える、ということは、わりと当たり前におこなわれていると思いますが、ダンスの曲がイヤ、となった場合、さて、どうしますか?今回は、「もしかしたら、これで対応できるかもしれない」と考えて実施した取り組みを、書きます。本当は運動会前にこの記事を書けばよかったのでしょうが・・・。今からでも、お役にたつ部分があれば、幸いです。~ここからは、私がこの9月に実際に実践した取り組みです。~運動会ダンスの曲のうち、1曲目は大丈夫だけれど2曲目はとてもいやがる、という聴覚過敏の子がいました。耳栓などの使用も考えられるのですが、こういった、ある音楽はだめだけれど別の音楽はOKという子の場合、どういう音楽がだめなのかがわかれば、「だめな音楽」自身に音響処理を施して、駄目じゃなくすることが可能かもしれない、と思いました。具体的には、パソコンで専用ソフトを使って音楽を編集する時に、ハイパスフィルターとか、ローパスフィルターとか、ある周波数以上とか以下とかをカットするなどの処理ができます。そういった処理で、流す音楽自体を処理してしまうことで、曲そのものを変更しなくても、大丈夫な音楽にならないか、と思いつきました。イヤーマフのようなもので、人の周波数帯以外の周波数を落として聴こえるように工学処理するものは実際にあるようです。(▼参考文献:聴覚過敏者のためのディジタル聴覚プロテクターの開発 - 精密工学会 http://sotsuken.jspe.or.jp/2017/pdf/J06.pdf )もし仮に、本来人には聞こえないはずの高周波を聞き取れてしまうが故にその音楽を嫌がっている子がいたとすれば、聴こえない高周波をカットするフィルタリングで、その子もほかの子と同じようにその音楽を普通に聴けることになります。そういうわけで、実際にやってみました。周波数帯域によって聴こえる音量を調整するソフトは、有料・無料を問わず、かなりあります。パソコンを使わずとも、プレーヤーの再生時の機能で、「ポップス」とか「ロック」とか「重低音ブースト」とか、あらかじめ決められた音響処理を施したうえで再生する機能をもっているものもあります。ただ、今回は聴感上の変化を思い切ったものにするため、ソフト上で処理します。僕が普段使っているのは、フリーソフトの「wavy」です。以下、wavyの画面写真も使いながら、解説していきます。(ソフトのダウンロードは「むし工房」さんのホームページで無料で行えます。なお、ソフトのバージョンによって、この記事内の画面と全く同じ画面にならない場合があります。ご了承ください。)wavyで音楽ファイル(wav形式)を開くと、下の写真のように、波形が表示されます。波形内を右クリックすると、「全範囲選択」というのがありますので、全範囲を選択状態にします。(Ctrl+Aのショートカットキーでも、できます。)もう一度右クリック。今度は、「エフェクト」の中から、「グラフィックEQ(エコライザ)」を選びます。グラフィックエコライザは、周波数帯域ごとに音量を任意のレベルに上げたり下げたりできます。今回は、以下のように調整しました。・ダンス1曲目よりも音量が大きくならないよう、全体的にバーは上げすぎない。・低域と高域を段階的に落としていく処理をしたかったので、以下のような山型に。以上のように処理することで、前掲の「聴覚過敏者のためのディジタル聴覚プロテクター」のように、人の声を中心とする部分以外の高周波と低周波を低減することに成功しました。曲としては十分その曲に聞こえるものの、極度にきついと感じる音の成分は除去できたように思います。この作業にかかる時間はわずか5分程度!(慣れれば1分(笑))割と簡単にできます。同じことで悩まれているケースがあったら、試しにされてみては、と思います。今回の運動会ダンスのケースでは、私の方で「超高周波と超低周波を落としたバージョン」をCDにして担任の先生とおうちの方にお渡ししました。周波数をいじっていても、曲としては全く問題なく聞こえますし、元の曲と聞き比べないとわからないレベルなので、クラスや学年全体でダンスを踊るときに、加工済みのバージョンCDを使っても、全く問題なく踊れます。なので、クラスでダンスの練習をするときや、給食の時間に曲を流してもらうときには、私が加工したバージョンを使用してもらいました。ご家庭でも何度もCDを流していただき、結果として、加工したバージョンを使ったからかどうかはわかりませんが、その子は音楽を嫌がることが全くなくなり、ダンスも完全に参加できるように。運動会本番では、とても楽しそうに踊っていました。聴覚過敏と周波数の関係は、完全に関係あると言い切れるものではありません。音楽を再生するスピーカーが関係していたりもします。本人が何を嫌がっているのかは、本当に個々それぞれ、ケースバイケースであるとも聞きます。今回の対応が必ずしも他の子にも有効かはわかりません。しかし、自分としては有効な対策の1つであると感じますので、一つの仮説として、今後も検証をしていきたいと思っています。同じような対応をされた方や、これを読んで新たにやってみた方がありましたら、この記事へのコメント等で、情報をお寄せください。お待ちしております。<補足> 音程と周波数の関係・オーケストラは「ラ」の音でチューニングするが、その「ラ」の周波数が大体440Hz(ヘルツ)。・1オクターブ上がると、周波数は2倍になる。・1オクターブ下がると、周波数は半分になる。
2017.10.01
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コミックエッセイが大好きで、よく読んでいます。著者の実体験に基づいた話がマンガで読めるのが、コミックエッセイ(エッセイ漫画とも)。視覚的にも分かりやすく、著者の体験を同じ視点で追体験することができるので、「経験」として好んで読んでいます。旅行記や子育てルポがコミックエッセイの中では多いですね。「教育」との相性も大変いいと思っています。さて、そんなコミックエッセイの中でも、今回読んだ本は大変よかったです。説明びっしりではなく絵が大きめのマンガは大変読みやすい。なおかつ、ディスレクシア(発達性読み書き障害)の子どもを理解するためにも役に立つ!教育に携わる人なら一粒で二度おいしい本となっております。『うちの子は字が書けない 発達性読み書き障害の息子がいます』(千葉リョウコ/宇野彰(監修)、ポプラ社、2017/7、税別1200円)発達性読み書き障害の息子について、母親がマンガ化したもの。取材に基づいてマンガ化したものではなく、プロのマンガ家が、実の息子のことを描かれています。 小学校・中学校・高校とそれぞれの時期のエピソードをマンガ化しているので、身近なディスレクシアの子供が大人になるまでを想像しながら読めます。読むのは全く負担にならず、マンガ部分はすぐに読み終えてしまい、もっと読みたくなります。この本の帯にはこう書かれています。読み書き障害の子どもは「40人学級に3人の確率でいるのに、親も先生もとても気づきにくい障害」と。ほとんど世の中に知られていないだけに、この本の意義は大変大きなものがあると思います。広くいろいろな人に読んでもらえることを、切に願います。 僕は通級を担当していますので、実際に読み書きに困難を抱える子どもを相当数担当しています。もちろん基本的なことは知っていましたが、この本を読んで、「そういえば、確かに」と思えることがあったので、大変勉強になりました。それは、カタカナを覚えることの重要性についてです。この本の中で、漢字を覚えるベースとしてまずカタカナを覚えるということが書いてありました。 カタカナを覚える重要性についてはそんなに認識していませんでしたが、「なるほど」と思いましたので、さっそく2学期からの通級指導に取り入れようと思っています。こういった本で情報をいただけると、「通級の時間を使って、カタカナもしっかりと指導していきたいな。子どもたちのプライドを傷つけずに指導するには、聞き書きテストの形式を装って、あれをあれして、これをこれして・・・」といろいろと実際に生かすアイデアが浮かんできます。(^^)この本の内容の試し読み、というか、もともとはWebで連載されていたマンガだったようで、そちらのページで実際のマンガを今でも見ることができます。興味を持った方は、ぜひアクセスしてみてください。▼うちの子は字が書けない ~発達性読み書き障害の息子がいます 千葉リョウコ(WEB Asta) ↑2017/8/7現在、第3話までが公開されています。 本では第12話まで収録されていますので、連載第3回までが試し読みとして残されている、といった感じでしょうか。
2017.08.07
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LD(読み書き障害)傾向の子どもに対して、通級指導教室で自作のアンケートを実施しました。 自分がどんな助けをどの程度必要だと思っているかを回答するものです。子どもによっては僕が口頭で質問をして、聞き取りで結果を記入した子もいます。※漢字のルビうち表示、音声読み上げ、白黒反転表示などをノートPCで体験してから回答。 思いついて作った翌日に実施したので、内容の検討が不十分でした。「テストの漢字にふりがなをつけてほしい」という設問はあったほうがよかったかと思っています。冒頭に例として出しただけで、中身の質問からは抜けていました。(^^;)次回実施する時は、もう少し内容項目をきちんと検討したいと思います。 本人が答えたアンケート用紙は、保護者との懇談で見ていただき、「本人はこう思っています」ということを感じていただける資料としました。必要性の高い児童の保護者には、ルビうちや音声読み上げに対応したデジタル教科書等の使用を家庭で検討してもらえるよう、お願いしました。 DSやタブレットでの学習について家庭ですでに取り組まれていることも、教えていただきました。 ▼関連記事「漢字が読めない子のための教科書(PC、タブレットでの支援)」 https://plaza.rakuten.co.jp/kyouikuuseful/diary/201707130000/====================================希望する支援についてのアンケート 月 日 ( )年 名前( ) 目が見えにくい人は、めがねを使います。 同じように、漢字が読めない人には、ふりがなをふるソフトがあります。 これから中学校に入ると、勉強がもっとむずかしくなります。 むずかしい勉強を1人でがんばるために、あなたに次のようなものが必要と思うか、アンケートに答えてください。 とてもそう思う そう思う 思わない1.授業の際は、基本的に毎回、何らかの助けがほしい。 3 2 12.宿題の内容は、かんたんなものに変えてほしい。 3 2 13.宿題の量は、多すぎないようにしてほしい。 3 2 14.国語の教科書を読み上げてくれるソフトを家で使いたい。 3 2 15.漢字を拡大して表示してくれるソフトを使いたい。 3 2 16.黒地に白い字を読むほうが、読みやすい。 3 2 17.通級の部屋で学習する時間を増やしてほしい。 3 2 18.パソコンやタブレットで学習したい。 3 2 19.DSなどのゲーム機で学習したい。 3 2 110. わからないときには気軽に何度でもヒントを見たい。 3 2 1====================================こういう取組は、もっとやっていったほうがいいな、と感じています。子どもの気持ちや意見を確認しながら通級指導をおこなうということは以前からやっていましたが、メモするのはこちらばかりで、子どもが実際にアンケートに答えるというやり方はとっていませんでした。子どもが主体的に自分に合った支援を考えようとする姿勢を大事にするならば、こういう「アンケート」はもっと実施していってしかるべきか、と思っています。
2017.07.30
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昨日のブログ記事で少し紹介した本。 『18歳のビッグバン 見えない障害を抱えて生きるということ』(小林春彦、あけび書房、2015、1600円+税)『LD/ADHD&ASD』2017年4月号で、上野一彦先生が紹介されていたので手に取りました。上野先生は「一度は手にしたい本」として、いわゆる「障がい当事者」による本を2冊紹介されていました。どちらもネット注文をして読みましたが、どちらもすごくいい本でした!もう1冊の本は『ぼくが発達障害だからできたこと』(市川拓司)。2冊合わせてお読みになるのが、ベストだと思います。さて、『18歳のビッグバン』は、のっけから、知っている地名が続出して、かなり親近感を持って読ませてもらいました。兵庫県三田市、JR福知山線、神戸や大阪といった、僕にとって身近な場所が多数登場します。具体的で率直な書きぶりに、どんどん読みすすめることができました。音楽を趣味とするところも僕と共通します。「障害」については、タイトルの通り、18歳の時に突如やってくるのですが、そこに至るまでにもいろいろあり、その後も本当にいろいろあり、そういった経緯が、気持ちの揺れ動きとともにかなり詳細に書かれていて、「こういうことが起こりうるのか」と驚かされます。そして、本書の最後の方のエピソードになりますが、いろいろあった末に、大学入試センター試験での脳機能障害者に向けての特別措置を、全国で初めて、公的に認めさせることになります。そのため、小林さんは合理的配慮を社会的に認めさせたパイオニアと言えるでしょう。「あとがき」では、「合理的配慮がやってくる」というテーマでも、思いをつづられています。その中で小林さんは、「双方が様々な困難や事情を抱えているなか、一人ひとりと向き合うためには、互いが各ケースで求められる本質とは何なのかを、丁寧に議論する余裕が必要」(p231)と書かれています。現在、法的に「合理的配慮」が学校現場に導入されて2年目になりますが、まさに今の時代に必要なことだと思います。=============================『18歳のビッグバン』 ・人は誰だって、笑顔の裏に秘した『見えない何か』を抱えて生きている (p7「まえがき」より) ・人は明確で簡単な理解をしたがる。 (p176)・マイノリティの中にも多様性があることを忘れてはいないか。 (p177) =============================人に対する理解、違った見方をするために、非常に役に立つ本だと思います。
2017.06.11
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特別支援教育の雑誌の今年の4月号で、「合理的配慮としてのルビ(ふりがな)」と題した巻頭エッセイが掲載されました。そこでは、「障害者差別解消法の施行と同時にルビ付きテストが発刊されました。」(『LD ADHD&ASD』2017年4月号、p1、兵庫教育大学の樋口一宗先生による)と書かれていました。ただ、そこで紹介されていたのは教育同人社のみでした。それにさかのぼること1年以上前、障害者差別解消法施行を間近に控えた2016年の2月。僕は日本標準社にルビうち対応のお願いをしていました。おそらく他の方々からも同様の要望が寄せられていたのでしょう。「4月より実施する」との回答をいただいたときは、大変喜んだものです。そういうわけで、日本標準社、教育同人社のテストは、ルビうち対応がされていることは知っていたのですが、テストを作っておられる業者さんはもっとたくさんあります。全部の業者が対応している状況にはまだない、と思っていました。しかしながら、2016年4月の段階で光文書院さんも教師用にルビうち版も1部お付けします、という案内を配布されていましたので、「ルビうち版を用意することが次第に当たり前に近づいてきたな~」と思って、一人ほくそえんでいました。そんなふうに、一部の業者が対応している、という認識だった僕なのですが、少し前に業者テストを取り扱っておられる地元の取次店さんに確認したところ、他の業者も対応している、とのこと。うれしい誤算でした。結果的に、漢字を読むことに非常に困難のある子どもについての国語・算数・理科・社会(これらすべて別業者です!)、全部でルビうちテストへの差し替えをしてもらえることになったのです。料金は通常版と変わらず、今からでもすでに購入済みの通常版テストとの差し替えに応じる、というあたたかいお言葉に、取次店さんに心から感謝をお伝えしました。少し前には、テストの問題文の漢字が読めない子について、漢字にふりがなをふってやったり、問題文を読み上げてあげる支援をおこなうことは、なかなか難しいことでした。それが、「ここまで敷居が下がったか!」と、感無量です。合理的配慮の実施については、日本の教育現場ではゼロからのスタートのようなところがあり、本当に少しずつ、一歩一歩という状況でした。この数年間の経緯を知っていると、めざましく前進しているようで、本当に、感動してしまいます。少し前に読み終えた『18歳のビッグバン』(小林春彦)では、大学入試で合理的配慮を求めていった運動が書かれていました。肢体不自由などの目に見える障害と違って、「見えない障害」への理解を求め、あまつさえ公平性を担保する必要のある、みんなが受ける「テスト」での合理的配慮を求めるのは、並大抵の苦労ではなかったようです。本によると、小林春彦さんは、「5度目の受験となる2010年のセンター試験では、なんと、ついに『脳機能の障がいを根拠とした』時間延長が認められた」(同書p167)ということです。脳機能に障害のある学生への、初の試験措置を勝ち取られた小林さん。彼によって、「入試における合理的配慮」の道は開けていきました。「大学入試センター試験では2011年から特別措置を申請できる障害種別に発達障害が新たに加わった」(同書p168)ことは、特別支援教育の分野では大きなニュースでした。その後、発達障害の児童・生徒が普段の学校生活で受けるテストでの合理的配慮の実施も次第に全国的に検討され、実施されていきます。そしてついに、2017年現在、子どもたちが学校で普通に受ける業者テストで、申請すればルビうちがされたものを利用することができるまでに、拡大しています。ルビうち、つまり漢字にふりがながついたバージョンが、通常バージョンとは別に作られ、申請に基づいて個別に利用できるのです。今調べてみたら、ルビうちテストについて僕よりも詳しく書かれているブログも見つけました。ルビうちテストに興味のある方は、こちらのほうがよくわかると思います。▼漢字教育の問題② ールビ問題ー (なんとなくわかる授業研究所2017/6/5) 18歳のビッグバン [ 小林春彦 ]▲この本は、とってもいい本なので、また次回、紹介します!
2017.06.10
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『光とともに・・・ ~自閉症児を抱えて~』の未完のラスト2話が、雑誌掲載されました。 現在発売中の「フォアミセス」3月号です。 ▼公式サイト すでに発売開始からだいぶ経っています。もうすぐ4月号が発売される時期なので、今から手に入れるのは難しいかもしれません。 『光とともに・・・』は自閉症の特性理解や家族の経験するエピソード、制度や支援体制についてのニュースなど、有益な非常に多くの情報を提供してくれます。ドラマ化もされましたね。 残念ながら著者の戸部けいこさんは2010年に亡くなられ、ラスト2話が構想段階のままでした。しかし、漫画家仲間の河崎芽衣さんの手によって今回漫画化されて雑誌掲載となっています。 期待を裏切らぬ出来でした。素晴らしかったです。 本誌には『光とともに…』と同系列(?)の、障害のある子やその成長後のエピソードに関係するマンガが、ほかにもいくつか収録されています。 以前、このブログで障害理解教育について何度か書きましたが、やはりマンガというのは、理解を進めるうえで非常に強力です。物語世界に没入しながら、登場人物に感情移入しながら、「こんなことがあるのか」とか、「こういうこと、あるよね」と驚きや共感をもって読みやすいのが、大きいです。 河崎芽衣さんによる別冊漫画『Happy Birthday 大丈夫、生まれておいで~『光とともに…』が遺したもの~』<姉弟編>もよかったです。こちらの主人公はダウン症の悠人くんです。 「『光とともに…』が遺したもの」としては、すでに河崎芽衣さんによる「障害者の就労」をテーマにしたコミック『光り輝くあしたへ』というものが出ています。珠玉の3辺を収録。こちらもおすすめです。 『光り輝くあしたへ~『光とともに…』が遺したもの~』 [ 河崎芽衣 ] 【はじめての方限定!一冊無料クーポンもれなくプレゼント】 『光り輝くあしたへ ー「光とともに…」が遺したものー』【電子書籍】[ 河崎芽衣 ] ちなみに、現在の勤務校の図書室には、『光とともに・・・』のマンガが置いてあり、非常に多くの子どもたちに読まれています。歴史の学習漫画以外の「マンガ」はこれだけしか図書室にないので、「マンガ」というだけで手に取ってもらえる率が上がるようです。(^^)
2016.02.28
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昨日の夜、小・中学校の先生を対象にした、進路についての学習会がありました。特別支援学校高等部進路指導部の先生と、公立多部制高校の特別支援教育コーディネーターの先生のお話を聞きました。発達障害を含めた、障害のある子どもたちの卒業後の話をお聞きすることで、小・中学校における、先を見据えた指導や支援の在り方について、非常に考えさせられました。下の本を読んだばかりだったのですが、この本と重なる話も驚くほどいっぱいお聞きすることになりました。 『漂流する発達障害の若者たち 開かれたセイフティーネット社会を』(高森(こうもり)明,ぶどう社、2010、1700円) 発達障害当事者の方が書かれた本で、自らの社会に出てからの体験や、他の発達障害の方が直面された事例を詳しく紹介されている本です。=================================◆内容大人になった発達障害者たちが、今を、これからを、よりよく生きるために必要な取り組みについて書いています。臨床現場ではなく生活世界(家庭、学校、職場、地域など)における発達障害者の体験や困難に注目して書いています。それらの困難に対して、社会政策による解決策を提案しようとしています。◆目次 : 第1部 ひとりの発達障害者が歩んだ道(私の生い立ちと特性/ 私の就労体験)/ 第2部 発達障害などの「グレーゾーン」の人たち(「グレーゾーン」とは、どんな人たちか/ 「グレーゾーン」の若者たちは、どこにいるのか/ 発達障害者たち、それぞれの働き方・暮らし方)/ 第3部 どんな困難に直面しているか(「不安定就労」と「不安定収入」/ 「暴力の連鎖」と「負の社会性」/ 「社会資源へのアクセス困難」)/ 第4部 どうやって困難を解決するか(なぜ、社会政策からの提案なのか/ 「不安定就労と不安定収入」を解決するために/ 「社会資源へのアクセス困難」を解決するために/ 開かれたセイフティーネット社会を)(上のリンク先の商品情報より)=================================この本を読んで感じたことを、昨日の会で、もう一度感じました。障害の有無にかかわらず、安心して働ける社会に、残念ながら今はまだなっていないこと。そのことをふまえて、情報の引き継ぎや連携、つながりを大事にしていかなければならないこと。学校で単に勉強だけ教えるというのではなく、社会に出てからのことを考えて、必要な準備をできないか、ということ。 日本でもちょうど昨日、「障害者権利条約」が発効されました。障害があってもなくても、自分らしく社会で生活していくことを全ての人に保障していくために、この本のように、当事者の方が書かれた本を読み、現代社会の抱える課題を、考えたいと思います。障害、特に「はっきりとは障害と分からない」障害をお持ちの方々が「学校」を出てから後、どういう状況におられるのか、この本の読書メモと共に、確認していきたいと思います。何回かに分けての読書メモになります。よろしくおつきあいください。(^^)===============================『漂流する発達障害の若者たち-開かれたセイフティーネット社会を』1(・以降の太字は本の内容。pはその後の内容記述のあるページ数。 顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。) p4・本書は、大人になるまで支援や福祉とめぐり会うことがなかったか、 今もめぐり会っていない発達障害者のことを中心に書いた本。昨日の会の話でも、子どものころから支援を受けてきた子は むしろ高校ぐらいになると落ち着いてきているという話がありました。 学校時代に支援や福祉とつながっている場合は、 社会に出てからもサポートを受けられるのです。 ただ、問題は、つながっていないケースが、かなり多いことです。 p14・高校では「自分は欠陥品ではないか」という劣等感に悩まされ、 死に物狂いで学業に打ち込みました。ここから先、著者である高森さんの経験されたことです。p15・「幼いころから発達が気になる子どもだったが、 なんとなく具体的な支援までにはつながらなかった中途診断者」 --これが私の位置づけp17・仕事を始めた時は、口頭で指示を出されると理解できず、 もたつく場面がよくありました。 また、体育のように 先生の動きを見て模倣して身につけなければならない科目は、 保育園から高校にいたるまで苦手でした。発達障害の方は、得意と不得意の差が大きく、 苦手なことはとんでもない努力をしてもなお、 他の友達のレベルに全く至らない、ということが往々にしてあります。 そこが気になりだすと、苦しいですね。p22・臨床現場で分かるのは、 あくまで臨床現場にやって来た発達障害者たちのことであり、 そこにやって来ない発達障害者たちのことは分かりません。「臨床現場」とは、発達障害外来などの医療機関、 心理相談や発達相談、障害についての相談に乗ってくれる 相談機関などのことです。 子どものころからそういった機関につながって、 いわゆる「専門家」に知ってもらっている、見てもらっている 発達障害の子ども達は わりあい多くいます。 その一方で、まったく同じような状態像を持っていても、 ご本人が全くどこの機関にも訪れないケースも、多くあるのです。 僕たち、発達障害の支援や指導を仕事にする者は、 いわゆる「専門家」の書かれた本や論文などを読んで 参考にすることがありますが、 そもそもそういった専門機関では知りようもない人たちが相当数いることを 一方でふまえておかないといけませんね。 p25・破綻・・・一番の原因は、現場責任者とのミスマッチp31・適性は やってみないと分からない いろいろな職種を体験してみて分かったことは、 発達障害と職業適性の関係はあまり当てにはならない、ということp33・当時は雇用トラブルについての法律と相談機関を知らなかったのが致命的詳細はここでは割愛しますが、高森さんは どの職も長くは続かなかっただけでなく、 大きく自信を失っていくことになります。 何を、どうしていけばよかったのか、こういった事例から しっかりと考えていきたいと思います。 ===============================ここまで、著者の体験談をもとにした第1部を参照してきました。次回に続きます。 読んでくださって、ありがとうございました。 ご意見・ご感想等、よろしければコメント等でお知らせください。 ともに、考えていきましょう。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2014.02.20
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レデックス株式会社の五藤社長より情報提供いただきました。「ヴァラエティカフェ」という発達障害・知的障害に関する情報交流コミュニティサイトがございます。その中に、「グッズレビュー」というコーナーがあって支援に役立つグッズをリスト化し、紹介されています。▼ ヴァラエティカフェ>グッズレビュー http://www.variety-cafe.net/archives/category/reviewグッズの詳細がわかる動画へのリンクや、使ってみた体験談を織り交ぜ、わかりやすい紹介がいくつも書かれています。今後も随時追加予定のようです。 僕は、不器用な子のためのコンパス「くるんパス」がおもしろいと思いました。今はいろいろな支援グッズがあるので、こういう情報が広く行きわたり、いろんな子どもたちの安心につながるといいと思います。 ちなみに、レデックスは、PCソフト「こども脳機能バランサー」を作っている会社です。『こども脳機能バランサー プラス』 パソコンソフト レデックス僕も通級でかなり子どもにさせていたソフトです。シンプルなゲーム性の高いトレーニングを続けていくことで認知機能のトレーニングができます。子どもによって得手不得手の差がかなり顕著に表れるのが見ていておもしろいところです。(^^)最近はiPad版も出たようですね。 ↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング
2013.05.03
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大学図書館で見つけた掘り出し物。なんと、学級実践記録のマンガ版。こういうコンセプト自体が珍しい。しかし、マンガだからこそよくわかる、よく伝わってくるということが、かなり多い。非常に有効なコンセプトだと思います。マイナーな本のようですが、もっと知られてもいいのでは、と思ったのでここに紹介します。 『海ちゃんの天気今日は晴れ 発達障害の子どもと育つ』(山岡小麦/マンガ、 大和久勝/原案、クリエイツかもがわ、2012、1500円)小3での実践記録を基にした「教育マンガ」。学級担任の視点で、支援の必要な子を理解しようとする様子が、かなり丁寧に、実感を持って書かれています。登場する「海田(かいた)くん」は、多動で、集中するとのめりこみやすく、周囲からは勝手気ままで”わがまま”というふうにとられかねない子。学校現場では、まさに「こういう子、いるなあ。」と思う子ども像です。音楽の時間に楽器を叩きまくるとか、授業にほとんど参加しようとしないとか、対人トラブルが頻発するとか、かなり「困った」状況が描かれています。でも、そんな中でも、この子を理解しようとする担任や周りの子の前向きな気持ちが、読んでいて気持ちいいです。(今4章まで読んだところです。)マンガなので、読みやすく、状況イメージが、すっと伝わってきます。おすすめです。(^^)↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2013.04.27
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今回は、とってもおすすめの教材・教具です。もともとは教育用に開発されたものではないんですが、教育上の用途に大変幅広く柔軟に使え、しかも使いやすい。実際に1年ほど使っていますが、子どもたちから大変評判がいいのです。ちょっと前に、なぜかなくなってしまったので、このほどネットで注文し、もう一度手に入れました。(^^)新品の使い初めをした今日、さっそく4年生の子が、新品に書く爽快感を味わっていました。その名も、携帯筆談器、コミュニケーションボード CoBo(コボ)です。とにかくコレ!コレを見てください! 特に、同室複数支援で、支援を要する子の横についてちょっとした援助をしている先生は「お?コレは使えるかも!?」と思っていただけることと思います。ほんとに、使い勝手がいいんです。軽くて薄くて持ち運びやすく、必要な時だけサッと出して、子どもに書かせたり、先生が書いて見せたり、することができます。個別の指導でも使えますが、僕はもっぱら通級の子の同室複数支援(集団授業内への入り込み支援)で使っています。不思議なことに、ノートにモノサシでまっすぐな線が引けない子がこのCoBoの上では、なぜかモノサシを上に当てて、スーッと、まっすぐに引いたんです。また、漢字を書くときに途中まで合ってるのに途中から似ている字に変わってしまう子。「あれ~?あれ~?」と何度も書き直すのにもうなんだか混乱してしまって、正しい字が何度やっても書けずにいる子。このCoBoの上に書かせたら、なんとすっと正しい字が書けたんです。うまいこと言い表せませんが、紙に鉛筆で書くのとは違う筆記具なので、「書く」という行為を一度リセットする働きがあるようです。ノートに全然書きたがらない子にも効果的です。今まで何人もの「クラスでノートを取らない子」に、「ちょっとこっちに書いてみて。○○って、書ける?」と書かせてきました。珍しさも手伝って、コレには書く、という場合がほとんど。書いてしまえばこっちのもの、書いた字をほめたり、コミュニケーションをとっていって、乗り気でなかった学習に乗せていくこともできました。算数では、計算ができずに手つかずで固まってしまっている子のところに行って、さっと筆算を書いてやって渡すと、十人中九人は、続きを書きだします。問題を大きく書いて見せる、というのがいいみたいです。 子どもに書かせるだけでなく、先生が書いて見せるのにも効果的です。子どもに渡すと返してくれないことや、周りの子がうらやましがることも多いので、基本的には「先生が書いて見せる」というほうが、主流の使い方でしょうか。(あくまで僕流ですが。)クラスの中で、困っている子のそばにそっと行って、「これをするんだよ」と、やることをシンプルに書いて示したり、「こう書くんだよ」と、漢字などを大きく書いて見せたり、「これがヒントだよ」と、ちょっとしたヒントを書いて見せたりしています。 通級指導は、最終的にはクラスの中で自立して学習や生活ができることを目指していますので、僕の場合別室指導よりも、できれば同室複数指導で集団の中でやっていけるようにちょっとしたサポートをする、ということを重視しています。その前にも新学習システムの算数担当、というのをやっていまして、算数科の少人数指導や同室複数指導を担当していました。教室の中に複数の教師が入って、同室複数指導で個に応じたきめこまかい指導を行うニーズは、年々高まっていると感じます。CoBoは、いろんな子がいる教室内を教師が巡回して困っている子のそばでサッと使えるアイテムとして大変使い勝手がいい。また、個別支援だけでなく、全員分を買いそろえれば、個人が考えをまとめて発表に使うという使い方もできると思います。2人に1人もたせて、書きながら相談させる、という使い方もいいですね。そんなわけで自分で使ってみて大変おすすめでしたので、このブログ記事を契機に、全国の学校で広まればいいな、と願っています。(^^) ネット注文は以下のリンクから可能です。特定非営利活動法人 阿波グローカルネット1個注文なら送料も格安で、手軽に買いやすいです。単価:1575円 で、送料: 160円。代金後払い。(着後に10日以内に振り込み) 決して高い買い物ではないので、一度試しに手に取ってみてはいかがでしょうか? ↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング
2013.03.05
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今年度になって初めて、「授業のユニバーサルデザイン研究会」の授業に行ったり雑誌を読んだりしました。「授業のユニバーサルデザイン研究会」は、「全員が、楽しく『わかる・できる』授業づくり」をめざしておられる研究会です。非常に学びが多かったです。 「これなら、確かに、どの子も楽しく学べるなあ」という具体的なしかけに満ちていました。「授業」を行われるすべての皆さんに、思いっきりオススメします。カラーページが豊富で写真や図が多用されているとても見やすい雑誌(書籍?)が何冊も刊行されています。読まれたことのない方はぜひご一読を。僕が読んだのは下の2冊です。===囲みの中に、以前僕がブクログに書いたレビューを転載します。『授業のユニバーサルデザインVOL.3 教科教育に特別支援教育の視点を取り入れる 』(授業のユニバーサルデザイン研究会、東洋館出版社、2011、1890円)==================================大変ためになった。「教え込み」の授業から脱却し、どの子も意欲的に活躍する授業をするための、具体的なヒントが多くある。すばらしい。==================================『授業のユニバーサルデザイン Vol.4 「全員参加」の説明文の授業づくり』(授業のユニバーサルデザイン研究会、東洋館出版社、2012、1890円)==================================とにかく具体的な学びに満ちている。◎「インシデントプロセス法によるケース会議の進め方」実況中継。◎ありがちな授業3パターンを板書付きで並列解説。◎「社会科授業のユニバーサルデザイン」は、詳細な授業記録と写真で、 自分も一緒にワクワクしながら授業を受けている体験ができる。この本自体が、ユニバーサルデザイン。読者である教員にとってわかりやすく身につきやすい実践事例集&解説集です。==================================◆授業のユニバーサルデザイン研究会 http://hwm8.gyao.ne.jp/kokugouniversal/↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2013.01.26
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珍しく早起きしたので、ネットで情報収集していました。大阪発 「ともに学び、ともに生きる教育」 情報板というところで、近々開催される、興味深いイベントを発見しました。============================南大阪 障害のある子どもの学校生活を考える学習会 Part-5「共に学ぶって、すばらしい!!」~インクルーシブ教育を実践されている学校の取り組み~※詳しくは、こちら●日時:11月24日(土) 13:30~16:30●場所:大阪府立障がい者交流促進センター ファインプラザ大阪 3階 第1研修室●講師:常磐会学園大学教授 堀智晴さん●料金:無料●手話通訳・保育あり●主催:大阪バリアフリーネットワーク 共催:「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク 高校問題を考える大阪連絡会=============================ちょうど、高校での特別支援教育や、インクルーシブ教育についていろいろと考えていたところでしたので、今の僕のアンテナにマッチしました。(^^)その前後で地元で所用があり、参加は難しいのですがこういう催しがあることに元気をもらいましたので、ご紹介させてもらいます。 ↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2012.11.17
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『輝きMAX!すべての子どもが伸びる特別支援教育 LD・ADHD・アスペルガー症候群から、いじめ・不登校・非行まで』(品川裕香、金子書房、2007、1300円)この本の読書メモの続きです。(第1回はこちら。)少年院での「矯正教育」にも特別支援教育のヒントがある、というところまで読み進めました。第4章「矯正教育の実践に学ぶ 特別支援教育のアイデア」へと入っていきます。 そしてそのまま最後まで行きます。(^^)===============================『輝きMAX!すべての子どもが伸びる特別支援教育』3(p150~最後まで。 ・以降の太字部分は、本の内容。 顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。)▽第4章「矯正教育の実践に学ぶ 特別支援教育のアイデア」より 広島少年院での実践・少年「院生同士のボンズをつくり、 ファシリテイテブな集団を作りあげていくために、 僕たちは大縄跳びやマラソンなどを行っています」 ・大縄跳びは寮全体40人以上で跳ぶ。 →・みんなで話し合いながら方法を探していき、 最後には859回跳べた。 「跳べたとき、本当の仲間の意味、 助け合うとか喜びを分かち合う意味がわかりました」・「誤学習を発見するプログラム」 ・半月かけてみんなでやる。 ・生まれてからこれまで自分たちが学んできたことをすべて書き出して、 それが正しいことかどうか話し合いの中から探り考える。 →・「やってみて、自分たちがどれだけ多くのことを 間違って学んできていたのか わかりました」・集団行動訓練 ・たとえば、「イッチニ、イッチニ」と行進する。 ・こういった規則正しい運動を 新入生は毎日3時間以上、 2か月にわたって行う。・行動訓練やリズム体操を徹底的に指導することで 協応動作が苦手な子どもたちもできるようになる。・「一人じゃんけん」 ・セルフモニタニングの力と モータースキルを上げる ・毎回右手なら右手が勝つと決めて、 1人でパッパと素早くじゃんけんをし続ける。 今やってみたら、かなり難しかったです。(^^)・感情表現の訓練 ・自分の感情を自分でモニタリングし、 それを言語化していく。・少年「広島少年院の先生方はどんなことも手を抜かず、 まっすぐぶつかってきてくれます。 困難から逃げない先生方を見ていると、 こんな大人もいるんだ、大人って本当はすごいんだと思いました。 僕も仮退院したら そういう大人になりたいです」★個々の子どもの認知と学習スタイルに応じた教育を、 エビデンスベースで実践すれば 確実に成果が上がる。 ▽第5章「学校を卒業したあとに控える諸問題」より・大人に求められるのは 愛情に裏打ちされた覚悟・どこまで 子どもの将来を見通して指導できるか ・大学生になったときに提出物が間に合わなくならないように、 マージャンやパチンコにはまってしまわないように。 ・自分をモニタニングして、コントロールし、 よりよい解決策を見出せるか。 =社会を生きるスキル ・「今厳しくとも 5年後10年後に自立させたい、 その子の成長を手助けしたい」という、 愛情に裏打ちされた覚悟 ▽「あとがき」より・一人ひとりの子どもの認知と学習スタイルの多様性を見る視点が 教育上のあらゆる問題を確実に解決させていく・すばらしい指導や支援をしている人の共通項 = 「子どもたちは具体的に何に困っているのか、 そこを見極めて効果的に支援したい」 この想いだけが彼らを突き動かしている。・誰だって自分の持ちうるすべての力を振り絞って 何かを成し遂げたいと思っている。・本気でその子の視点に立っているかどうか。・答えはいつも子ども本人が持っている。=============================== 最後の「あとがき」からは特に著者の熱い思いを感じることができました。その思いを胸に、自分もしっかりと子どもの思いを受けとめていこうと思います。 ↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2012.07.18
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『輝きMAX!すべての子どもが伸びる特別支援教育 LD・ADHD・アスペルガー症候群から、いじめ・不登校・非行まで』(品川裕香、金子書房、2007、1300円)この本の読書メモの続きです。(前回はこちら。)第3章「実践に学ぶ特別支援教育・成功のカギ」を読んでいきます。===============================『輝きMAX!すべての子どもが伸びる特別支援教育』2(p105~より。 ・以降の太字部分は、本の内容。 顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。)・同じ悩みを持つ同僚教師を探し、チームを組む10年前に比べて、この「チームを組む」というのが 格段にやりやすくなりました。 いわゆる「学級王国」という形態が 教育現場からどんどんなくなっていき、 担任だけでなく複数の教員で子どもたちを見ていくのが 当たり前になってきました。 専科生は昔からありましたが、小学校でも教科担任制が増え、 「通級」などを担当する教員や、特別支援教育支援員の増員、 算数を中心としたTTや少人数指導の増加など、 いろいろ要因はあります。 同じクラスの子どもたちに複数の教員がかかわることで、 相談したり、チームを組んで難題に対応することがやりやすくなった。 これは学校における「特別支援教育体制」の1つの成果でもあると思います。 今関わっている教師だけでなく、 「その子」を前年度担任した先生に相談することも大変効果的です。 僕の「学校生活支援教員」としての動きでも、わりと 「〇〇先生に去年どうだったか聴きに行きましょう」的な関わりは多くあります。 先生同士で話をする中で、ヒントをつかんで、 自然と取り組みが子どもに合ったものになり、 成果が出て行く。 地味ですが確実に教育現場の「特別支援教育」は進んでいるなあ と感じる瞬間ですね。 ・田中先生は、もう一度原点に立ち返り、 1週間かけてクラスの子どもたち全員の特徴と、 自分自身にできることとできないこと、 目指したいことを書き出しました。 「そのとき、私がこれだけ大変なんだから、 音楽、理科、図工など専科の先生たちも大変なんじゃないか と気がついたんです。 それで まずは理科の先生に相談しました」・課題が明確になってゴールが定まり、 かつ教師全員でその課題・目標を共有できたとき、 学校の推進力は一気に増して進みだす。・教師たちがしょっちゅうミーティングを開き、 授業を見学しあい、研究しあう。・親と世間話ができるような人間関係を構築・デイ・キャンプによる米国でのSTPの実践 STP:Summer Treatment Program (ADHD児のための夏季治療プログラム) ・レクリエーションと学習活動を組み合わせたもの ・ポイントシステム (子どもは適切な行動をとると報酬としてポイントがもらえ、 不適切な行為の場合はポイントを失う) ・月~木の1日は、15分刻みでスケジューリング ・金曜の午後は その週のポイントに応じたご褒美活動の日 ・どの行動も開始する前に必ずルールの確認を行う ・「質問に注意を払い、正確に答えた〇〇君はプラス10点です」 「大人の指示に従わなかった○○君はマイナス10点です」 淡々と事実のみを指摘し採点していく。 全くこれを意識したわけではないのですが、 僕が「通級教室」でやっている実践は、これとかなり似ています。 ポイントシステムにはしていませんが、 基本15分刻みのスケジューリング→ご褒美活動 という流れを、うちの教室でも原則としています。・適切な指示と環境が子どもを変える・「初日はルールを理解できず、 マイナス1万点になってしまった子もいたのですが、 3週目になるとどの子もセルフ・コントロールの力がついてきます」・「少年院の場合、物理的構造、教授法、賞罰システム等の 社会的ルールが構造化されていると、 少年たちのストレスが軽減されるため、 健全な集団を作りやすくなる」 (向井義宇治少年院主席専門官) 「新入時の統制アプローチでは、 教官が手取り足取り指導を重ねる。 何度も何度も丁寧な指導が入ることになるので、 信頼関係が強化されます」(p150まで。 第3章「実践に学ぶ特別支援教育・成功のカギ」より)=============================== 最後の方に少年院での実践が登場しましたが、少年院での「矯正教育」には特別支援教育のヒントが多くあります。詳しくは次回、第4章「矯正教育の実践に学ぶ 特別支援教育のアイデア」へと続きます。 それでは、また! ↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2012.07.16
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『輝きMAX!すべての子どもが伸びる特別支援教育 LD・ADHD・アスペルガー症候群から、いじめ・不登校・非行まで』(品川裕香、金子書房、2007、1300円)この本を読んでからだいぶ経ちました。しかし、この本に書かれていることは忘れてはいけない!という思いから、ここに読書メモを残させていただきます。特別支援教育関係書籍の中ではかなりのおススメの本です。私が今まで犯してきた失敗に似た事例が多く、反省点を思い出します。一方で、子どもたちの生の声や実際の場面エピソードが多数収録されており、めざしていきたい方向性や実現したい場面・状況を明確にすることができます。未読の方は、ぜひお読みください。===============================『輝きMAX!すべての子どもが伸びる特別支援教育』1(最初~p104より。 ・以降の太字部分は、本の内容。 顔マークのあとの緑文字は僕の個人的コメントです。)・「本当の友だちが欲しい」という、子どもの声大人も含めて、みんながこれを願っているのではないでしょうか。 極端な話、「勉強」ができなくたって、 すてきな友達にたくさんめぐまれれば、 すてきな楽しい人生が送れる可能性は十分にあります。 「学校は勉強するところだ」とよく言いますが、 世の中には、「勉強」以上に大事なことがある。 そういうこともひっくるめて、 広く、いろんな子と、いろんなことを学ぶ場所、 それが「学校」というところです。 よね?(^^) ・「友だちなんていなくたっていい、 友だちを作らせることより理解者を捜したほうがいい」 という言葉は、一見子どもの視点に立っているようで、 実は専門家や教師、保護者の視点でしかない。・学童期は 集団を学ぶ大事な時期 ・「本当はどうしたらいいかわからないから 教えてほしい。 でも、それを人に言いたくないし、 知られて特別扱いもされたくない。 それに、友だちには絶対に知られたくない」 という 子どもの声。 ・吉田先生がアユをかばえばかばうほど、 クラスの子どもたちは反発・”当事者にとって効果的な支援”だけに焦点を絞り、 ”すべての子がメリットを受けられるような、 集団の中での支援”をしていなかったがために、 吉田先生が陥ったような”失敗”が、 日本のあちこちで繰り返されている。 ・集団ができていなければ、特別支援教育は成功しない。・「一人ひとりの支援を行う前に、 まずはクラスという環境の調整を行おう」・佐野先生は、カズヤに「自分はなにがしんどいと思うか」 「その理由はどこにあって、どうすればいいと思っているのか」 の2点について聞くことから始めた。 そのために使ったのが クラス全員との「交換日記」。 でも一番の目的は カズヤの気持ちを知ることだった。・教室の後ろの窓際に、外に向けて机と椅子を置き、 ”クールダウンする場所”と決めた。 カズヤだけでなくクラスの誰もが、 授業中でも気持ちが高ぶったりつらくなったりしたら、 そこに座って外を見て気持ちを落ち着けるようにしよう というルールを作った。・1学期=統制アプローチ期 2学期=参加アプローチ期 3学期=委任・自治アプローチ期 という捉え方 (クラス行事の「お楽しみ会」を) ・1学期は 教師が主導権を握って子どもたちを指導し、 いくつか案を出して子どもたちに選ばせる。 ・2学期は 子どもたちにいくつか案を出させて 子どもたち自身が話し合って決める。 ・3学期は 全て子どもたちだけでやらせる。・こちらが目的を明確にし、 それをちゃんと伝えて理解させる。 その小さな積み重ねで成長する。・<フローチャートを利用したコンフリクト・レゾリューション> ケンカ等があったとき、 一つひとつの言動をフローチャートに起こすことで、 事態を視覚化させて原因を明確化し、 どこで誰が何をすればよかったのか 子どもたちに考えさせる。 →〇自分たちでフローチャートを書いて解決できるまでに成長した。 Webで関連する情報を探してみたら、 以下のようなブログに行き着きました。 視覚的情報化をするということがよくわかりましたので リンクさせていただきます。 http://mathkid.exblog.jp/17451050/・集団が安心できる場所でないと 指導効果も望めない。・一人ひとりの自己理解と集団理解を深める・”私を知ろう”という授業 ("ALL ABOUT ME":アメリカでは幼稚園レベルで行われる。) 何が得意で何が苦手か、 何が好きで何が嫌いか、 創造の広がりを木のような形で書き表していく。 最初は本人が書き、次に友だちに書いてもらうというやり方をして 木の枝を大きくさせていく。「私を知る」というのも大事ですが、 自分だけで書くのではなく友だちも書くというのが とてもいいと思いました。 これって、いろんな場面で応用が利きますね。 僕が学級担任をしていた時、 「いいところみつけ」の紙を クラス全員が全員に対して書いていくように 紙を回していく、というのをやっていました。 でも、年に1回の取組だったので、 同じようにみんなが1人の子に寄せ書きのように書きあうという取組を もっとやってみてもいいかな、と思います。・土台となる集団ができていないところに、 「あの子は生まれつき○○が苦手だからみんな理解してあげよう」 という指導を行うと、 当該児童はクラス集団の中から ほぼ確実に「排除」されていく。 ・無視や陰口など具体的ないじめという形で現れることもある。 ・同情と哀れみをもって扱われるという、 本人にしてみれば愚弄されたように感じる形で現れることもある。どうしても覚えておきたい、重要な警告だと思います。・セルフモニタリング ・子どもの声 「僕は心がバラバラに散っていて、行動も心とは違うんや。 だから気持ちはストレートを投げてるのに、 行動は変化球やねん」 ・テストや宿題、授業中にできる具体的な支援 ・文字や行間が大きいバージョンと 通常のバージョンのテスト用紙を2種類作り、 子どもに選ばせる ・(クラス集団ができあがっている場合は・・・) 計算力のテスト以外は、計算機の利用を許可する。 ・宿題のプリント等は、最初から基本コース(ヒントあり)、 応用コース(ヒント少しあり)、受験コース(ヒントなし)など 数パターン作り、子どもに選ばせる。 ▽ノートの取り方 ・イラストによるメモのほうが理解できる場合は 絵(漫画)を描かせる ・授業内容をテープレコーダーやICレコーダーを使って 録音する ・黒板をデジカメで撮影する ・教師が授業内容をウェブにアップし、 ダウンロードできるようにする。 ・友だちのノートを借りてもいいようにする。 ・DAISYを利用する(p104まで。 第2章「特別支援教育における集団指導のコツ」の終わりまで)=============================== 続きは、また次回。読んでくださって、ありがとうございます。 ↓よろしければ応援のクリックをお願いします。励みになります。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2012.07.15
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いろんな子どもたちを見ていて思いますが、最近は特に、姿勢がすぐに崩れてしまう子が多い!腰骨を立てて座ると集中して作業もできるというものですが、腰骨どころか、腰が浅すぎて今にも椅子からずり落ちそうな子もちらほら。中には、そもそも姿勢を保持するだけの体幹の筋力がついていない子もいます。 そんな子に有効なグッズがバランスボールやバランスクッション。その上に乗ってバランスをとろうとしていると自然と体を支える筋力がつく。覚醒も上がって作業にも集中しやすくなる、というスグレモノ。以前から知ってはいたのですが・・・高いだろうと思って購入は2の足を踏んでいたのです。ところが特別支援学校の先生から、「1500円ぐらいであるよ」と教えていただいて、びっくり。調べたらホントにありました。 あす楽◆即納◆★チューブ&空気入れ付き!送料無料!★【送料無料】バランスディスク2個セット ESBT-02 チェリーピンク【バランスクッション インナーマッスル 体幹トレーニング】【espb】(2個セット+空気入れとチューブもついて=送料込3000円)いろいろ調べたのですが、上のお店の商品が一番よさそうなので注文します。楽天会員の方は86時間限定でポイントが5倍!今がチャンスです。
2012.06.28
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昨日、久しぶりに神戸での自費研修に参加しました。 教材・授業開発研究所セミナー in 兵庫 於:コミスタ神戸自主的に参加する研修会は、やはり参加者の熱意が違います。遠く東京や奈良から来られている方もいました。芦屋の教師サークルでご指導いただいていた俵原先生・金川先生の講座も久しぶりに受講し、大変なつかしかったです。「読書メモ」をブログに書いている途中でしたが、割り込みで簡単に、学びをまとめておきたいと思います。==============================教材・授業開発研究所セミナー in 兵庫 講座メモ 1<「特別支援教育」について> (中尾繁樹先生) ・「特別支援教育」という言葉は使いたくない。 「特別な教育」ではないから。 授業のユニバーサルデザイン化をめざそう!・「特別支援教育は、 障害の有無にかかわらず、 すべての子どもたちのために すべての教員がかかわる教育である」 ・私が子どもの特性が全部わかるのは、 見るポイントが多いから。 ・「今の若い人は2本足で立てない」 「もたれてはいけません」と言われると、 立っていてもふらつく(ゆれる) ・WISCなどの知能検査で測れるのはごく一部。 検査しなくても、よく見れたら 十分わかる。 見れてないから、検査に頼らなあかん。・「指示が通らない子」 ・小1の言語量しかない子に、 小6の言い方をしていないか?・「分析」 ・自分たちの子は何が弱いのか、わかってますか?・「鉛筆の持ち方がグーにぎりの子」 →親指の根元を回旋する動きを 獲得していないケースがある (親指と人差し指をピンセットのように開閉するしかできず、 OKサインのように親指の腹と他の指の腹をくっつける動きができない)・机間巡視の鉄則は 「チョウのように舞い、ハチのように刺す」 ・すぐに立ってしまう多動な子がいる場合、 立とうとした瞬間に肩を押さえると立てなくなる。 (質疑応答にて)Q:社会性のない同僚教師といかにやっていけばいいか?A:「大変な先生をこっちに向かせよう」と思うとよけい大変。 外部の先生に言ってもらう。 その方のプライドを傷つけずに助言できる人。 同僚が言うと、反発される。 Q:鉛筆がグーにぎりで親指の動きが分化していない子への指導は? A: ・体育科の指導要領で示された「基本の運動」 ・手のひらで身体を支持する動き ・スローモーション → 書字が変わってくる! Q:病院で診断を受けるために半年以上待たされるのですが?A:巡回相談を活用しよう。 ・医者には「どう指導したらいいですか」と聞くのではなく、 「この子はなぜこういう行動をとるんですか」と聞こう。 Q:体ほぐしの運動は、小5の場合、何をしたら?A:・コーディネーショントレーニング 検索したらYouTubeの動画が見つかったので 参考までに、リンクを貼っておきます。 ▼http://www.youtube.com/watch?gl=JP&v=V3zerc_RUlk ・バランス ・ゆっくりした動き Q:イスの4つ足を床に着けずにグラグラさせる子には?A:そういう子は、 ・足が床につかない。 ・骨盤が起きていない。 → 自分の足の裏をさらわせて、 「気をつけ」の姿勢を教える。 (1)自分で自分の足の裏をさわる (2)かかとをつけて立つ (3)さっきさわったところに意識! (4)すね・ふくらはぎが固くなる。 (5)今固くなったところを意識! (6)お尻が締まる これがいい姿勢! 踏みしめ感がある。身体の一部分をはっきりと意識するだけで、 けっこう変わるもんなんですね! 最後の演習は会場全体で体験しましたが、 びっくりしました。==============================上の講座メモは中尾先生のお話の全部ではありませんし、僕の勝手な解釈が入ってしまっているところもあります。ともあれ、とても役に立つお話でしたので、少しでもブログをご覧の皆様にもお役にたつところがあれば幸いです。俵原先生と金川先生の講座内メモも次の日記で書こうと思います。お楽しみに。 ブログ王ランキング
2012.04.08
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前回の日記で”「こう準備すればこううまくいく」という シナリオを描いておくことが大事”ということを書きました。ちょうどその日の夜、青山新吾先生のDVDを拝見して、「あ、まさにこういうことだな」と思いました。青山先生のお話の中で、小学校に今度入る子で、給食を食べる時間が大変危ぶまれる子が出てきます。園では弁当箱をチョップのようにして飛ばしてしまうので大人が片時も目を離せずに、貼りついていないといけない子。その子が小学校の「給食試食会」に来るにあたり、青山先生は、「給食を食べる部屋に入る前がすべて」と考えられます。そして、校舎に入る段階から布石を打ちます。たとえば、足形を配置してそこに必ず足を置く、とかここで3秒数える、とかです。そうやってポイントポイントで落ち着いて小さな課題をクリアできていれば、給食を食べる部屋に入るときの状態はかなり落ち着いて、「これならいけそう」というものになっています。この話、大変よくわかりました。自分が以前受け持った子どものことを思い浮かべながら、「成功するということは、必ずそうなるように ステップやポイントを用意することにかかっているものだ」という考えを新たにしました。青山先生のDVDは、少しずつ視聴しています。自分も講座会場に参加しているつもりで見ています。2人の子どもが寝てしまってからでないととても落ち着いて見ていられないので、うまく時間ができたときに、少しずつ見ています。ヨメサンも一緒に「この話、大変よくわかる」と言いながら見ています。区切りがつくまで視聴し、その後夫婦で考えたことを会話しながら寝床につきます。(^^)皆さんにも、おすすめです。 DVDの注文は制作会社のサイトを参照ください。▼明日の教室 第20弾 僕が自閉語を学ぶわけ ~特別支援教育の今後を考える~ ↓記事がお役にたてましたら、クリックいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2012.03.27
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今日もまた、せっせと読書メモの続きを書きます。 『きみ、ひとを育む教師(ひと)ならば 「小学校の先生」といわれる私たちの仕事とその意味』(岡崎勝、ジャパンマシニスト社、2011/2、1500円) 今日が第4回。第1回はこちら。==============================『きみ、ひとを育む教師(ひと)ならば』4(p61~より。第2章「子ども&親の"問題"にぶつかったら」より。 太字は、この本の内容。緑文字は僕の個人的な意見・感想です。)(「障害」をもつ子を担任するとき)・障害をもった子どもたちを「どう教育するか」というよりも、 「どうつきあうか」という姿勢でやってきた。 これはどんな子どもに対しても、そうなのです。・担任していくなかで、最終的には 「この子は障害をもっている」という意識は どんどんなくなっていきました。・専門家の知識や常識は、「偏っている」。 「偏っている」と自覚的になっていれば偏らないと思うのですが、 自分が専門家であることに自信をもち始めると、 子どもを予断と偏見で見ていくことになるので 迷惑な話です。「特別支援教育」の分野では、多くの 「専門家」と呼ばれる方々がいらっしゃいます。 その方々から学ぶことはたくさんありますし、 協力・連携することで見えてくることもたくさんあります。 ただ、教育の現場をご存じないお医者さんもおられますし、 ある一面のプロであっても、他の面では教師や保護者のほうが よくわかっている、ということは当然あります。 教師も含めて、ある程度「専門家」っぽくなってくると 偏りが非常に増してくる、それ自体が悪いということではなくて それに無頓着で何もかもわかるというように捉えてしまうのは 非常に危ういことだ、と思います。 最終的には、子ども自身や子どもに最も関わっている大人が 一番よく子どものことを分かっているし、 また判断に責任をもてる。 「専門家信奉」にはならないように、 ある一つの意見として包含して受けとめるおおらかさは 必要だと思います。・障害といわれるものをもっていない子だって、 じつは場面によっては、 障害をもっている子と同じような状況になることは いくらだってある。 ボクたちはその点を見逃さないで 「世界には、自分をふくめて、ほんとうに、あきれるくらいに、 いろいろな人間がいる」と教えたいし、 いろいろな人間とうまくやっていけないで、 みんなが幸せになれるはずがないという「原則」を、 学校でこそ強く示したい。・車いすを利用するAさんとの思い出。 あるとき車いすを押しながら 「Aさん、重たいなあ、 こんなガタガタ道を車いすなんか押したくないよ」 とボクはいいました。 すると車いすの彼は 「岡崎くんヘタだね、もっと上手に押してくれないと、 腰が痛いじゃないか」 といいます。 「わがままな障害者だな!」というと、 「役に立たない健常者だな!」と返してきます。 全部ほんとうのことなのですが、 こういう関係にボクはいつもホッとしています。乙武洋匡さんもこれと似たような主張をされています。 「障害」があることで、決してコミュニケーションを妨げない。 「障害」をタブーにしてしまうのではなく、 むしろ積極的に「障害」に関わることでも口に出して 遠慮なくやり合う、 気にしないでフツーにやりあうほうが楽しい、という考え方です。 (参考▼乙武洋匡『オトことば。』)・たとえ稚拙でも、まず「子ども本人に聞く」。 「いやだといって、やらないのはわがままだ」 という考えは、半分は正しいけれど、 半分はまちがっています。・どんな子どもも教室のメンバーの一員だ としっかりと確認し、 だからこそ大事にしなくてはならないし、 ときどきは放っておきたい。最後の「放っておきたい」というのが、いいですね。 特別支援学級の子の場合、 常に特別支援学級担任や介助員が付き添っている、ということも 多くあります。 でも、自分をイメージしても、通常学級の子をイメージしても、 常に「先生」がくっついていて学校生活を送るって考えると どう思いますか? 子どもだけの時間や、一人だけの時間、 これを保証するのも大事なことです。 安全面で保証ができない、というケースもありますが そのあたりは大人の知恵と工夫でカバーしながら やはり「大人が付きっきり」というのはやめるようにしたいものです。 先生も、そのほうが、子どもとの関係を仕切り直しできるし、 一息つける時間をもてて、それでかえってまたがんばれる。(^^) 通常学級では 子どもを放っておく時間があるのは当たり前ですけど。(p68まで。続きはまた次回。)==============================次回は、「不登校の子と向きあうとき」を読んでいきます。岡崎先生が不登校の子とどう関わってこられたのか、気になります。 ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ↓記事がお役にたてましたら、クリックいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2012.01.22
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特別支援教育MLというメーリングリストでいつも勉強させていただいています。その中で、先日「『障害』という表記の『害』は使わないほうがいいのでは」というご意見をいただきました。「障害」には、「障碍」や「障がい」といった表記もあります。今回いただいたご意見を契機に、あらためて表記について考えてみました。 「障害」の表記については、一時期「障がい」を使用していたのですが最近は元に戻していました。今回、再び表記について考え直す機会をいただき、感謝しています。最近は「障がい」という表記が社会の中で使われることが一段と増えたと思います。私も「『障害』の『害』の字は使いたくない。『障がい』にした方がいい」とずいぶん思ってきました。今回、ご意見をいただいてから、またその思いがもたげてきました。一方、「障がい」当事者の方で、呼び名にこだわらない方やあえて「障害」を使われる方もいらっしゃるので、どう呼べばいいのかな、というのは以前から非常に悩んでいることです。聞くところによると、東京は「障碍」を使用される傾向があり、広島はあえて「障害」表記をした方がいいという考えが多いといったことも聞きますので、地域差も強いのかな、と思っています。「障害をもつ」ではなく「障害のある」といった言い方のほうがいい、といったことも以前職場で勉強させていただき、言葉は微妙で、人によって受け取り方も様々だな、ということを思っています。 少し前に、乙武洋匡さんが「やわらかい言葉にすり替えることで、本質を見て見ぬフリする。 それは「私は差別していない」というポーズにすぎないのでは」といった発言をされているのを本で読み、ドキッとしました。(乙武洋匡『オトことば。』です。 読書メモでも少しふれています。)私としては、 「言葉」に対して、 こだわったり、神経質になったほうがいいという考えでおりますが、 大事なのはむしろ言葉よりもそれを使う人の気持ちや使われる状況?といったことも、感じています。本当につい先ほどまで、ブログで「障害」を使わずに「障がい」と書くようにしよう、と気持ちが傾いていたのですが、結論としては現状「障害」の表記のままでいきたいと思います。一番の理由は、ホームページの読み上げソフトなどで「障がい」では「さわりがいじ」と読まれることがある(らしい)ということを知ったからです。また、「障碍」は私の周りではほとんど使われていないことと読めない方が多いだろうということから、私は採用しませんでした。広くいろいろな方に読んでいただける文字を必ずしもベストではないが、現段階では使用しているということで受け止めていただければと思います。今回コメントをいただいたことを契機に、 「障害」の表記に関する検討結果について (平成22年11月22日)という政府調査に行きつき、読みました。もっと勉強していく必要性を感じます。 ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ご意見ございましたら、コメントいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング
2012.01.18
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昨日今日と個別懇談をしていました。どの子もそれぞれ課題はあれど、本当によくがんばっている面もある。トータルで見るとやはり成長を感じずにはおれません。そういった話を保護者と出来る機会はとても貴重です。短い方で30分、長い方で1時間半、わざわざ学校においでいただいて、いろいろお話を聞かせていただきました。家庭や学校以外の活動での姿を教えてもらえて非常にありがたかったです。2学期の通級指導を振り返ってみて思うのは、ポイントをしぼって「コレをがんばろう!」というのがはっきり決まっている子は、例外なく伸びている、ということです。これは僕の指導や支援がいいということではなく、最初にそれをはっきりさせておいたことがよかったのだと思っています。漢字なら漢字、計算なら計算、でポイントを絞って継続して取り組んでいると思ったより早く効果が出て、びっくりします。本人の意識が一番大きいのではないかな、と思うのですが少しでも「わかる」「できる」と思い始めると、後は早いですね。 今回の懇談で、2学期のめあてが達成できたことを確認できた子が多くいました。そういう子たちはまた新しく「これもやってみようか」ということを決めました。3学期がまた楽しみです。(^0^) 明日は他校の保護者相談。あさっては終業式です。いよいよ2学期も終わりですね。 ブログ王ランキング
2011.12.20
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ちょっと中断していた読書メモの続きです。 『子どもを伸ばす共育コーチング 子どもの本音と行動を引き出すコミュニケーション術』(石川尚子 /岸英光、柘植書房新社、2007、1700円)今日は第4回。(第1回はこちら。)第5章 『本当は背中を押してほしい子どもたち』が 一歩踏み出し"行動"を起こし始めるアプローチを読み返していきます。=============================『子どもを伸ばす共育コーチング』4(p111~ 第5章より。 ・太字が本の内容、間の緑文字は僕の個人的コメントです。)第5章 『本当は背中を押してほしい子どもたち』が 一歩踏み出し"行動"を起こし始めるアプローチ・”失敗”のススメ ・私たちは、極度に「失敗」を恐れすぎ ・いいじゃないか、1回や2回や3回や4回、失敗したって。 ・子どもに失敗のチャンスを与えてみませんか? ○「だいじょうぶ。失敗しておいでよ」 ×「緊張すると失敗するから、リラックスしていけよ」「失敗してこい」と言ってあげられる、ってかなり大事かな? けっこう僕たちは、上の×のような言い方をすぐしちゃうもの。 でも、そうすると余計緊張して失敗する、というのは よくあるパターンなわけで・・・。 失敗を恐れないこと、そのためには失敗を許容すること、 もっと言えば、失敗のメリットを実感して分かっていること。 これは、たくさん経験してたくさん失敗したからこそ教えられること。 長く生きている「大人」の方が「子ども」に教えることができる 最大のことなのかもしれません。・"プチ成功"を体験させる ・何でもいい、小さな成功体験をたくさん積ませてあげること ・本人も意識していない日々の「ささやかな変化」を見過ごさず、 「昨日より5分早かったね!」と認める。 ・「Baby Step」:最初は低いハードルを越えさせて 思いっきり承認しよう・肯定形で要望、質問しよう 「少し静かに聴いてみよう」 「まず落ち着いてやってごらん」 「間に合わせるためには どうする?」これがなかなかできないんですよね。 「~しないように」「~したらだめ」は、本当によく使ってしまうセリフです。 肯定形への言い換えを考えるって、けっこう難しい。 だからこそ頭を使って考える甲斐があるとも言えます。 今から言う言葉を別の言葉に置き換えるとどうなるか? 頭はこういうところに使わないといけません。(^^;) これを習慣にすると、若さが維持できますよ。たぶん。 言われた方も気持ちいいし、一石二鳥v(^0^)。・「何があればやれるの?」 ~"原因追究"よりも"解決構築"~僕の好きなブリーフセラピーでも根幹をなす部分、 ”solution-focused”ですね。 原因ではなく解決に焦点を当てる! ・コーチに「どこまでやった?」と定期的に確認をしてもらうこと ・「誰とだったらできる?」 「何があったらできる?」 「どの方法だったらできる?」上のような言葉がけや考え方は、僕もよく使います。 こういうことばっかり考えている気もします。・「きっとうまくいくよ」 ~"心配"よりも"信頼"~ ・「私、この仕事はきっとうまくいくっていう気がするんですよ。 石川さんならだいじょうぶです。 いつものようにやってください」 ・ワークブックが真っ白の子に対して、 私は心配するのをやめることにしました。 「書くより、話してみるほうが簡単な場合もあるしね。 書けなくても、○○さんなら、きっとできるから、だいじょうぶだよ」 ・「やってよかったって後で絶対思うよ。 私が保証する!」 ・期待・信頼されると、 「もしかしたら、やれるかも」 というささやかな自己肯定感が芽生えます。 ・「できる」という暗示にかけてみませんか? 「緊張しても自己紹介はしっかり言えるよ!」 「次はもっと簡単にできるよ」・「どうしたらできたの?」 ~"資源"を発掘する~ ・このやり方で、こう考えてやったら、 次もできる、あれもできる、という気持ちを引き出す。 ・”どうしたからうまくいったのか”に焦点をあてて考えていくと、 成功要因がたくさん見えてくる。(p111~p142:第5章『本当は背中を押してほしい子どもたち』が 一歩踏み出し"行動"を起こし始めるアプローチより )=============================「特別支援教育」で「支援」を考える際の視点が全部書いてあったような気がします。自分で自分をカウンセリングする際にも使えます。 もうすでに盛り沢山な気分ですが、まだ本は6割ぐらい読んだぐらいです。続きはまた次回。(^^;) ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ↓記事がお役にたてましたら、クリックいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2011.11.08
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今日読んだ教育関係の会報とか新聞とかから、自分のためにメモをとっときます。 1か月ぐらい前に届いたものを今頃読んでいます。(笑)読んでみると、けっこう役に立つことが書いてあるんだよね。==========================・子どもの話で、「さっき言ったことと矛盾してない?」と思っても、 それを指摘しない。 理屈でなく、魂で聴いてほしい。(清水将之(神戸親和女子大学教授)の講演「養護教諭に役立つメンタルヘルス」 の記録より ~「教育ひょうご」2011年10月1日号)==========================なるほど、と思いました。子どもの話って、論理が破たんしてたり、脈絡がない、話が通じてないこと、よくあります。「それっておかしくない?」としょっちゅう思っていたんですが、矛盾を指摘するより、その裏にある気持ちを推し量る方が大事ですね。=============================○姿勢保持の問題 姿勢保持のむずかしさから、足を組んだりして体に緊張を与えている。 姿勢をよくする指導の前に 筋力をつけることが先。○鉛筆の持ち方、書字の問題 鉛筆の持ち方を矯正するには、鉛筆にダブルクリップを装着し、 つまみの部分で人差し指を挟むように持つとよい。○好きなことと、そうでないことの取り組む姿勢の違い 「やらされ感」を「やったらほめてもらえる」に。○鉛筆は右手で持つが、小さいブロックは左手でやる 左右の混乱がある場合、 旗揚げゲームなど、瞬間的に左右を判断するゲームでトレーニングする。 その時、リストバンドや腕時計を片方の手につけて左右を意識させる。(山田充先生勉強会「読み書き・算数障害への気づきと支援」報告より ~兵庫県LD親の会「たつの子」機関誌2011年9月28日号)=============================山田充先生のようにはなかなかいきませんが、僕も似たような仕事をさせてもらっているので、具体的な支援についての報告、大変勉強になりました。姿勢や鉛筆の持ち方については、授業を観察させてもらったときにとても気になるポイントです。ただ、なぜそうなるか、どうしたら今後のためになるか、ということについてはもっと勉強していかないといけないと思っています。 ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ↓よろしければ応援のクリックをいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング
2011.10.30
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先ほど『障害があるからこそ普通学級がいい』の読書メモ(第3回)をアップしました。10月10日に書きかけていた記事をアップしたので、日付が10月10日になっています。(^^;)それから、 『通常学級の特別支援セカンドステージ-6つの提言と実践のアイデア50』という本を、今しがた読み終えました。 『通常学級の特別支援セカンドステージ』 / 佐藤 槇二 著最近は、読んでいる本・読んだ本は、ブクログに載せるようにしています。今回は簡単なレビューも書きました。通常学級の特別支援セカンドステージ―6つの提言と実践のアイデア50佐藤 愼二日本文化科学社発売日:2010-12-25ブクログでレビューを見る»著者の佐藤先生は知的障害の娘さんがおられる。「親」の立場でもある方からの、あたたかい「特別支援教育」についての提言である。特に、保護者への支援について、学ぶべきところが多かった。中核としては、通常学級の学級づくりやルール作り、誰も見捨てない教室づくりについて具体的な提言がされている。また、子どもたちと実際にやってみるととても盛り上がりそうな「ミニネタ」も満載。巻末には疑似体験具体的プログラムも。職員のための理解研修で使える。 ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ↓よろしければ応援のクリックをいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2011.10.13
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『障害があるからこそ普通学級がいい 「障害」児を普通学級で受け入れてきた一教師の記録』(片桐健司、千書房、2009、1600円) 読書メモの続きです。今回が第3回。第2話「みんながいっしょがいいとあらためて思わされた直ちゃんとの6年間」を参照していきます。第1回はこちら。 ================================『障害があるからこそ普通学級がいい』3(p47~(第2話の終わり)まで。緑文字は僕のコメントです。 文中の「特殊学級」は、1970年代当時の言い方で、 現在は「特別支援学級」です。)筆者は1年3組の担任となり、 「直ちゃん」を交流先の担任として受け持つことになります。・うまくいくか、いかないかの問題ではない。 もうこの子は自分のクラスの子だと思わなければ、 中途半端になってしまう。 何があろうと、何が起ころうと、自分はこの子といっしょにやっていく、 そう考えた。・できたら担任1人でやってみたい。 だから特殊学級の担任はあまり教室にも来てほしくないと思っていた。・部分的な「交流」で、クラスの人間関係がうまくでききらないことは、 それまでの3年間の「交流」の実態から見ても明らかなような気がした。このあたりから、この学校での「交流」の取り組みが、 「全面交流」に向かっていきます。 通常学級担任の意識の高さ、 どんな子でもクラスの中で見ていくという意気込みが 校内に波及していった結果だと思います。 日本の学校制度では、特別支援学級の在籍児童は、 通常学級には本当は「籍がない」ことになっています。 これは非常におかしなことです。 おかしいということがわかっているので、 法制度はどうあれ、通常学級の名簿に載せたり、 あたかも「通常学級の一員である」ように振る舞っている学校は いくらでもあります。 子どもたちは当然、クラスの一員だと思っています。 そして、クラスの友達として、友達のことを考え、 一緒にやっていくのにはどうしたらいいか、工夫を凝らすのです。 通常学級担任は、 「この子の担任は僕じゃない。この子は交流できているだけ」と思う人と、 「特別支援学級の担任も担任だけど、僕も担任だ」と思う人に分かれます。 僕は、後者でありたい、と思っています。・まるで関係ない感じでいた子が、実はその子のことをしっかり見ていて、 いざというときにその子を助けたり、 表面ではわからない子どもたちの関係がつくられていく。・私の方が、時間を気にして、着替えなど手伝おうとすると 「先生、だめだよ。 直ちゃんはそれは自分でできるんだから」 と言われたりした。 先に、子どもたちの方が 直ちゃんのことをわかっていた。・私が子どもたちに、直ちゃんについて ああしろ、こうしろと言ったことは ほとんどない。 子どもたちは、全く、勝手気ままに お互いの関係をつくっていく。・入学後しばらくの記録を見ると、 こちらがお手上げ状態でも、 その子自身も周りも確実に変わっていくことがわかる。 あせる必要はない。・記録を取って良かった。 子どもの小さな変化や成長がそこに見つけられる。僕も、記録はなるべくとるようにしています。 汚い字で走り書きするので後で読みにくいのですが。 このブログのように、他の人に見せるときには デジタルで打ち直します。 この方が見やすくて、自分のためにも役立っています。(^^) ・直ちゃんとのこの体験から、私は、 何かうまくいかないことがあっても、まずゆっくり待とう、 子どもは必ず変わる、ということを 心にしっかり留めておくことにした。僕の好きなブリーフセラピーの考え方に 「変化は必然である」というのがあります。 子どもの場合は特に、短時間でどんどん変化します。 そのときそのときのできないことや悩みにこだわってしまうのは あまり意味がないかもしれませんね。 ・先生が「個別に丁寧に」教えなくても、 周りの友だちから学んでいく。・周りの子たちもなんの意識もせずに、 いろいろな友だちとのかかわり方を学んでいる。・いつまでも親切にしたり、 「障害」があるからとやさしくしたりはしていられない。 つきあうことの面倒くささもいっぱい体験する。・つい、面倒くさくなると「いいよ」と許してしまう私に比べて 子どもは実に厳しい。 給食時の手洗い、給食当番、掃除当番など。 「やらなきゃダメ。直ちゃんは当番でしょ」 2,3人がかりで、背負ったランドセルをもぎ取り、 ぞうきんを持たせてカラぶきをさせる。 私が手出しをするより、子どもに任せたほうがスムーズに運ぶのである。・ 「専門性」よりもその子を受け入れる姿勢が、その子を変えていく。 (第2話「みんながいっしょがいいとあらためて思わされた直ちゃんとの6年間」より)================================自分も、特別支援学級担任をしていた時に、同じように通常学級で周りの子からの積極的なかかわりがあったなあ、と思いだし、友達を思うやさしさや強さ、一生懸命さを思い出して、感無量です。たぶん、こういう子ども同士のかかわりが、学校の先生としては一番うれしい場面ではないでしょうか。 次の第3話は「和彦くんがしゃべった」です。この本の各話は、すべて実際にあったことの詳細な記録なので、読んでいて面白いです。自分もその場に居合わせて、子どもたちや先生と一緒に泣いたり笑ったりしている気分になります。 では、また 次回! ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ↓よろしければ応援のクリックをいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2011.10.10
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木曜日に、私が主催する「障害児教育部学習会」に講師の先生をお呼びして「特別支援学級とホームルーム(「交流」学級)のつながりをどう作るか」というテーマで学習を深めました。その席で僕は、前回の日記で書いた『障害があるからこそ普通学級がいい』の本について、冒頭で紹介しました。そうすると、講師の先生と、その本の著者の片桐先生につながりがあることが分かり、びっくりしました。片桐先生からはメールでお話しすることもでき、ブログで紹介することも快諾していただきましたので、これから何回かに分けて、本の中身を紹介していきたいと思います。文部科学省は、障害のある子とない子の「交流及び共同学習」をすすめています。しかし、世間一般には「障害のある子には特別な対応が必要」という意識が根強く、「ともに学ぶ」ことは非常に難しいことだと認知されている気がします。この本で出てくるような「ともに学ぶ」実践は、本として書店に並ぶことも少なく、「そういう学校があるんだ」「そういうケースもあるんだ」ということがほとんど知られていません。だからこそ、「ともに学ぶ」実践における工夫やメリットについてこういったブログで広めていきたいと思っています。ブログでは断片的な引用・紹介になりますので、興味をもたれたら注文してくださいね。『障害があるからこそ普通学級がいい 「障害」児を普通学級で受け入れてきた一教師の記録』(片桐健司、千書房、2009、1600円)================================『障害があるからこそ普通学級がいい』1(p10まで。緑文字は僕のコメントです。)・「障害」があろうとなかろうと みんないっしょが良い・「子どもは子どもの中で育つ」 どんなに専門的な教育や訓練よりも、 周りの子どもたちとその子の関係の中で子どもたちは育つ。 上の2つについて、僕もそう思いますし、 非常に大事な点だと思います。 すなわち、裏を返せば、 ・「障害」を理由に排除するのはよくない。 ・「学校は勉強するところ」というけれど、 勉強するだけなら家でも塾でもできる。 「学校」の最大のメリットは子ども集団の中で学ぶという点にある。 ということです。 「友だちの中で過ごす」という権利は最大限に尊重したい、 それが僕の願いです。 そういっておきながら、通級の担当として 別室の個別指導をすることもあるわけですが、 やはり「クラスでみんなと学ぶ」ことを基本にしたいという気持ちは 変わりありません。・私が教員になったばかりの頃 同じ学校内にある特殊学級について、 そこで何が行われているのか、 そこがどんな状況なのかも知らずに私は過ごしてきた。 特殊学級というのは、はっきり分けられた存在としてそこにあった。僕の子ども時代でも、そうでした。 神戸の小学校に通っていましたが、特に交流はなかったように思います。 ただ、僕の場合「周りを気にしない子」であったのと、 すぐに忘れる、という特性があったので(^^;) 本当は実は交流や理解を図る学習があったのかもしれません。・私が教員になって4年目、 特殊学級担任が「交流」の提案をした。 (1973年) 「普通学級と特殊学級では、やっていることが違うのに いっしょに勉強できるのか」 「特殊学級の教員は特別な手当をもらっているのに、 普通学級の教員に子どもを教えさせるのはおかしい」 などなど、反対意見が次々に出てくる。 特殊学級担任の話はこうであった。 「5組(特殊学級の名称)の子がろうかを通るときにですね、 普通学級の子とすれちがうと、 普通学級の子は何かきたないものが来たかのように 体をよけて通るんです。 (略) 5組の子が使った蛇口には誰も並ばなくなるんです。 これは、子どもたちが理解しあえていないからでは ないでしょうか」ここに出てくる反対意見は、今でもよく聞かれます。 実際にどうするのかを考えた時に、こういった反対意見も汲み入れて、 そのうえで工夫したり、職員が協力することが求められます。 僕の経験では、「やっていることが違うのに、一緒に勉強できるのか」 については、できます。 詳しいことはまたおいおい書くことになると思うので今は割愛します。 特殊学級(特別支援学級)教員の手当については、 僕の前の勤務地域では「この手当はおかしい」ということで 手当を受給した教員がその分を出し合って、子どものために役立てる、 ということをやっていました。個人的にはこの手当はなくしたほうが 余計な職員間の対立を生まなくていいと思っています。 とはいえ、今は僕は普通にこれを受給しているんですよね。 「特別」なことをしているつもりはないのにこれを受給しているのは 大変心苦しいのですが、教材や専門書を買うのに使っています。(つづく!)================================この後、「交流」をすることになって、それがどんどん進んで行って・・・という展開になりますが、それは次回のお楽しみということで。教育者以外の方が読んでも、実際にあったドラマとして大変おもしろいですよ。 ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ↓よろしければ応援のクリックをいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2011.10.08
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片桐健司先生の書かれた『障害があるからこそ普通学級がいい』を読みました。 『障害があるからこそ普通学級がいい 「障害」児を普通学級で受け入れてきた一教師の記録』(片桐健司、千書房、2009、1600円)============================【目次】(「BOOK」データベースより)第1話 普通学級にいついてしまったのぶちゃんから教えられたこと/第2話 みんないっしょがいいとあらためて思わされた直ちゃんとの6年間/第3話 和彦くんがしゃべった/第4話 理紗さんと仲間たち/第5話 いろいろな子たちとの出会いから============================心に残ったところがたくさんあります。今回はそれは置いといて、この本の巻末で知ったことについて。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」というのが、あるのだそうですね。永六輔さんらが呼び掛けて出発した会だそうです。会のホームページにくわしい紹介が載っています。http://www.zenkokuren.com/aboutus/aboutus0.htmlここで作成されている就学相談のリーフレット、これがとてもきれいで、よくできていました。(下に、部分抜粋しました。全部見るには、上のリンク先からどうぞ。) 恥ずかしながら、僕はこのことを知りませんでした。「校区の普通学校(公立学校)」に入れるのは知っていましたが・・・。実際、今日読み終わった本には、「重度の障害児」と言われた子が特別支援学級ではなく、「普通学級」に入った話が載っています。もちろん他の子と全く同じ対応ではなく、その子に必要な支援が講じられての入学ですが。「障害」についての考え方は人それぞれいろいろあると思いますが、リーフレットの最初に書かれているように、「障害があるから」ということで決めつけていたり、思い込んでいたりすることが、かなりあるのではないかと思います。この会のリーフレットを読んで、「就学」の流れがかなりよく分かりました。いろいろな子に対応できる教員をめざすためにも、「こうだからこうなんだー!」という決めつけではなく、「こういうことあるんだな」と知っておける存在でありたいです。『障害があるからこそ普通学級がいい』の本の中身については、ぜひ広く紹介したいと思いますので、またあらためてブログでふれたいと思います。 ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。 ↓応援のクリックもいただけるとうれしいです。 ブログ王ランキング ▼にかとまの読書メモリスト ▼にかとま日記全件リスト
2011.10.04
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「リソース」というとヨメサンに「どこのソース?」と言われました。利用できる資源、という意味ですね。リソース。今日、中村文昭さんの講演を聞きました。その中で、「問題が一気に2つ解決する」とか「今度は3つになりました」とかの話を最後にされました。そういうことが記憶に残っている中で、講演会後、特別支援学校の先生と、「地域の特別支援教育の今後に向けて」お話を持ちました。そのお話の中で「やっぱこれが大事だな」と確認したのは「リソース」なんです。すでに多くの先生方や地域でご活躍の方がおられます。でも、僕はあまりそれを知らずにいます。そのことが、まずもったいない。「ヒト」は重要なリソースです。問題解決はヒト次第、という印象を文昭さんの講演で強く感じました。ヒトの中にも眠っているリソースがあります。また、自分では気づきにくいリソースもあります。リソースを生かす、というのは僕の今後の「特別支援教育推進」の核になりそうです。 何のために?それはもちろん、みんなの笑顔を増やすためですよ。 ▼応援のクリックをお願いします。 ブログ王ランキング
2011.06.04
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先日、次のようなご相談をブログへのコメントとしていただきました。=============================小学校で学校に来ても何もやらないこがいて、先日担任に叱られた後、自分の頭を壁にたたきつけたり、自分の頬をビンタしたりパニックになり・・そんな子にはどんな言葉をかけたらよろしいのか何かアドバイスいただけませんでしょうか?=============================情景を思い浮かべただけで胸が痛いです。的を得たアドバイスをすることはできないと思いますが、自傷行為のある子に対して僕が以前どんな取り組みをしていたか、ほんのご参考までに書いておきます。●とことんつきあう自傷行為が出てしまったら、それを止めることをまず考えますが、そう簡単にはいきません。気持ちがおさまっていないのに、たとえ頭突きを止めたとしても、別の形で出てしまいます。まずは、本人や周りの子にけがをさせるわけにはいきませんから体を張って止める。そのあとは、ずっと抱きかかえたり、危険のない行為に変わったら、ずっと見守り続けたり・・・。本人の痛いまでにつらい気持ちを共有し、一緒になってつらい時間を過ごしました。何もできなくても、せめて気持ちに寄り添いたい、という一念でやってきました。こういう時間は忘れられませんね。こういう時間が2度とないようにと誓って、「どうすればいいか」ということを考え、取り組んできました。●原因の分析「問題行動」と呼ばれる行動には必ずその原因や背景があります。直接のきっかけになる事象・・・それから、遠因となることがら・・・。問題解決のために、その原因をつきとめようと記録をとったり、原因だと思えるものを取り除いたりしてきました。専門家の先生にも相談し、客観的なアドバイスもいただきました。「記録」の形式としては、「機能分析」と呼ばれる、枠が並列して並んでいるものを使ったこともあります。(「機能分析」や「応用行動分析」という言葉で検索すると くわしいことが分かると思います。)「問題」の対応に追われているときなど、子どもとかかわっている時間には記録を取る余裕がないので、記録を書くのは放課後。なるべく具体的に思い出すようにしました。応用行動分析の考え方では、「問題」の事後のかかわり方が、本人にとって報酬になっていないか、ということを気をつけて見ます。すべてのかかわりの中では、本人の気持ちに沿いながら、「問題」とされる行動をしておきながらそれが本人によい結果を生まないように最大限配慮を続けました。逆に、代替行動や、その場面でしてほしいことが、本人の望みや願いをかなえるようにお膳立てを図りました。●「よい行動」を増やし、「悪い行動」をへらす具体的には、見通しをもつことが苦手な子には、「この時間にやること」をカードにして並べ、その最後に本人の望むものを配置しました。「やること」が終わればそのたびにカードを黒板に貼りに行き、担任や周りの子から「できたね」「がんばってるね」といった評価を受けます。課題がスムーズに行けば授業時間内でも自分の好きな行為ができることを保証し、そのことが本人の心の安定につながっていきました。「みんなと同じ」を一律に強制するのはナンセンスです。人にはそれぞれ好きなことやこだわりがあり、それが尊重される環境かどうかは決定的に重要です。「学校だから、教室内だから許されない」という考えは、ある程度幅を広げて、その子との関係において捉えなおさなければなりませんでした。例えば、離席や立ち歩きにしても、完全にダメと言ってしまうと、お互いに打つ手なしになります。本人のストレスはいつか爆発してしまう。でもそれは無理のないことです。完全にダメ、という考えではなく、柔軟に考え、折り合いをつけていく。前述の、課題ができたらカードを貼りに行く、ということも、決められた課題ができたら、別の部屋に行ってよいとか、外に行ってよい、ということもそういった折り合いの中から生まれてきたことです。●「ごほうび」はやがていらなくなった前述のように、本人がやりたいことを保証してやりたい、という僕の気持ちから、「よい行動」→「ごほうび」的なアプローチをすることがありました。ところが、あるころから、課題をやり終えても、「ごほうび」的な行動は特にとりたがらなくなりました。課題をしっかりと終え、その後も教室に居つづけます。これは、その子にとって、教室が居心地のいい場所であることのあかしだな、と思いました。教室が居心地のいい場所であれば、そこを離れる必要はなくなります。周りの子や先生たちのかかわりがとてもやさしいものであれば、「問題」行動は出る必要がなくなります。本当に必要なのは、そういった環境なのだ、と僕は初めて気づいたのでした。 最近読んでいる本ですが、『発達障がいを持つ子の「いいところ」応援計画』という本があります。『発達障がいを持つ子の「いいところ」応援計画』(阿部利彦、ぶどう社、2006、1700円)この本の50ページに「その子を変える前に、まず環境を整えよう」とあります。また、78ページには「PLAN:ゼロ」として「学級の安定」と書かれています。著者の阿部利彦先生は、「その子」よりも「まわり」と一貫して言い続けておられます。僕は気づくのが遅かったですが、この視点はとても大事な視点だと思っています。ご参考までにご一読を。全ての教育現場から、自傷行為をはじめ、周りに理解してもらえないからこそ出てくる「問題」とされる行動が少しでもなくなることを、切に願っています。 長文を最後まで読んでいただいてありがとうございます。 ブログ内容を応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.05.04
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明日からゴールデンウイークだと思うとうれしいです。家族で楽しく過ごしたいです。 では、最近連載中?の読書メモの続きを書きます。 『発達障害通級指導教室の指導・支援法 通常の学級でも使えるゲ-ム・遊び・余暇活動を通した ソーシャルスキル獲得術』(能登宏、明治図書、2008、1800円)=============================『発達障害通級指導教室の指導・支援法』6(第4章~最後まで:p105~。 緑文字は僕の個人的なコメントです。)・いかに彼の世界に入り込めるか・「じゃあさ、2時5分と2時10分と、 どっちか時間を決めて来てくれる? ねえねえ、どっち?」これ、相手の子が「行きません」って言った後に 発した言葉なんですよね。 なかなかできるものではありません、この切り返し。 選ばせることにより、こちらのペースで話を進めます。 こういう強引さ、いりますね。 強引なんだけど、相手に選ばせる。・自分で決めたことは守ってくれます。 自己選択、自己決定が大切です。全く同感です。 僕も、最も大事にしているところです。 う・・・最近ちょっとその意識が薄れてきてるかな。(^^;) ・マシンガントーク・普通はゆっくり、繰り返し話すことが大事だが、 ADHDの子どもには、早口でどんどん説明し、 すぐ活動に移るようにすることも有効。子どもによってこちらの声かけの仕方も変えた方が 有効に働くことが多いですね。 僕も「マシンガントーク」で子どもを圧倒できるよう、 早口言葉の練習でもしようかな。・自閉症スペクトラムの人には、 パターン化された言語能力や行動様式を身につける必要がある。・物に当たることは、危険のない限り、当教室では放っておきます。 Cさんは自分で、クールダウンしようとがんばっているのだと見ています。子どもの「困った行動」「問題行動」にも 必ずその背景があります。 なかなかそれを分かってあげられないのですが、 この例のように、本人のがんばりを見取ってあげられる先生でありたいです。============================= 全6回にわたって、通級教室での指導をテーマにした本を紹介してきました。自分としては、本当に役に立つ情報がたくさんありました。「風船バレーボール」や「カーリングすごろく」歌遊び「どんぐりころころ」は、ぜひ僕の通級教室でも子どもたちと一緒にできるようにしておきたいです。 それでは、また! ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.04.28
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今日は家庭訪問2日目。事前にご相談させて頂いた方々のご助言のおかげで具体的な話ができ、喜んでいます。ありがとうございます。では、最近読んだ本の読書メモの続きを書きます。 『発達障害通級指導教室の指導・支援法 通常の学級でも使えるゲ-ム・遊び・余暇活動を通した ソーシャルスキル獲得術』(能登宏、明治図書、2008、1800円)=============================『発達障害通級指導教室の指導・支援法』5(第2章4~第3章:p68~p104より。 緑文字は僕の個人的なコメントです。)・この活動がAさんにとってどんな意味があるのだろうかと考える前に、 一緒に遊ぶことによって、私たちがAさんのよき理解者であり、 信頼できる大人であると感じてほしい。子どもたちと一緒に過ごしていくにあたって、 「一緒に遊ぶ」という意義は大きいですね。 教育的効果よりもむしろ関係作り。 関係ができていないと、指導や支援といったって 入っていかないですから。 関係ができていないと、悩みます。 やっぱり「一緒に遊ぶ」ことからかなあ、と思います。 そのあたり、授業時間であってもフレキシブルに使えるといいですね。・いくつかのコースを示し、話し合って選択させたところ、 徐々にやる気を見せ始めました。・「することになっている活動」から、 「自分たちで話し合って選択した活動」へ・「5つ考えます」と言うと、 目標が定まるのか、すぐに考えがまとまる非常に大事なことを言われていると思います。 これを標語にして研究大会ができそうです。 もし実際にあったら、行きます。(^^) 通常学級の授業でも、子どもたちの主体的参加とか 「選択した結果が反映される」ということ、 今後の授業作りに、かなり大事になる要素だと思っています。 僕自身が、「やらされる」のは好きじゃないですから。 自分自身が受けて楽しい授業を めざしたいです。 ビジネスの世界では「選択と集中」というキーワードがあります。 主体的に「選択」して「集中」していくからこそ、 力がついていくのだと思いますね。============================= 次回は、第4章「通級教師の独り言」のところから。こういうタイトルの章こそ、とても勉強になることがさらっと書いてあったりします。この本、おすすめです。 ではまた! ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.04.27
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最近書いている読書メモの続きを書きます。 指導や支援へのヒント・実例が、てんこもり載ってます。『発達障害通級指導教室の指導・支援法 通常の学級でも使えるゲ-ム・遊び・余暇活動を通した ソーシャルスキル獲得術』(能登宏、明治図書、2008、1800円)=============================『発達障害通級指導教室の指導・支援法』読書メモ4(第2章3 高学年グループの事例 より)・興味・関心を基にした音楽やスポーツ、趣味「通級」では「自立活動」をすることになっています。 「自立活動」では特に、本人の好きなことをベースにして生かしたいですね。・バンド活動を通して 集中力、周りの音を聴く、 自己表現、協調性等々が養われる。合奏・合唱などは他の人と合わせる要素が強く、おすすめです。 対人関係スキルの向上や 集団行動についていくスキルの向上が見込めます。 「息を合わせる」ことにもなるし 「喜びを共有する」ことにもなります。 うちの学校にはオーケストラ部があり、 通級に通っている子も所属しています。 通級教室よりも、オーケストラで友だちと一緒に演奏する方が よっぽど本人の成長につながると思っています。 前に受け持っていた子も、音楽会を通して一気に自信をつけ、 それ以来みんなの中で進んでやっていけるようになりました。 かくいう僕自身も・・・。 この話をすると長くなるのでこのへんで。(^^;)・ロールプレイングで 「なんでやねん」とつっこんで、みんなで笑っておしまいにする。・ロールプレイングでは、いかに必然性をもたせるか・「落ちないで」 広げた新聞紙の上にグループ全員(3~4人)が乗り、 教師が10数えたら成功。 みんなで協力してできたという達成感を味わわせる。学級での体育の時間にされているのを見たことがあります。 クラスのみんなが団結できてとてもいい、と思います。 そのときは最終的にクラス全員が工夫して狭い面積の上に乗りました。 「これは無理だろう」と思ってみていたら なんと成功したのでびっくりしたものです。・風船バレーボール 旗立台にポールを立て、スズランテープを張れば コートは完成 新ルール追加でパスをするようになった。 そのルールとは・・・ 「チームの全員が風船にさわってから相手に打ち返す」僕はコートを作らずにやってました。 風船だとふわふわとゆっくり飛びますし、やわらかいので、 障がいがあってみんなと一緒にできにくい、という場合に 非常に使えます。 運動が得意な子も楽しめますしね。・「まねっこ手拍子」 「リズムに合っていなくても、友だちに関心を寄せ、 集中して楽しんでいるから、それもよし」去年の僕の算数の授業ですね。 去年の3年生は、まねっこがとても上手で 言ったことやしたことをまねするので、 手拍子を入れたりして授業のテンポを創って遊んでました。(^0^) ここで書かれているように、テンポに追いつけなくても、 何とか合わせようとするところに、意義があると思います。・「お茶会」 子どもたちの心が落ち着いていく・会話の仕方 教師が介入しながら会話を促進させ、 「こう言うといいよ」と言って、モデルを示し、 その場で言わせて、うまくできたら称賛する という繰り返し============================= 次回は、「中学生グループの事例」のところから。ではまた! ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.04.25
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昨日は自宅に泊まりましたが、今日からまた実家です。明日は神戸市へ。学校生活支援教員研究会に行ってきます。明後日は兵庫リレーカーニバルの引率。どちらも初めてなのでドキドキです。では、最近書いている読書メモの続きを書きます。 『発達障害通級指導教室の指導・支援法 通常の学級でも使えるゲ-ム・遊び・余暇活動を通した ソーシャルスキル獲得術』(能登宏、明治図書、2008、1800円)=============================『発達障害通級指導教室の指導・支援法』読書メモ3(第2章2 中学年グループの事例 より)○逆行性(背向型)チェイニング 途中まで出来たものを手渡す。 すると、最後まで完成できる!・算数のプリントなども、問題数を減らす工夫で 最後まで取り組むようになる。逆行性(背向型)チェイニングは かなり有効だと感じています。 支援の仕方にもいろいろあるということを痛感させられます。 「逆の発想」「後ろから巻き戻して考える」というような 思考法は、けっこう好きですね。 切羽詰まって単純思考しか出来なくなると こういう発想は出てきません。 そういうときにこのようなアドバイスを受けると、 「その手があったか!」 と思わず膝を打ちます。(^0^)○「仲間の入り方」のロールプレイング Bさんは、さもバレーボールをしているような動きをしながら、 「仲間に入れて」と言う など。ロールプレイングは楽しく取り組めそうです。 けんかが起きてしまった後など、 その子にとって具体的な場面が振りかえられるのであれば 積極的にやっていきたいです。○「お願い」をするロールプレイング ・「一緒に机を運んで」というお願いの場合 ・実際に机の重さを実感させた後、 ワークシートにどのようにお願いするか、書く。 ・実際にお願いして、運ぶということを体験。 ☆言葉だけでなく、本物の机の重さを体感してからお願いする============================= 実践で具体的に役立ちそうな情報が山ほど掲載されていました。子どものタイプに合わせて、こういった手法を使い分けていきたいです。次回は、「高学年グループの事例」のところから。ではまた! ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.04.21
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最近は自宅に帰らずに勤務校の校区にある実家に泊まることが多いです。ブログは書けるのですが、メールチェックはできてません。メールを送っていただいた方、明日の夜はチェックしますのでしばらくお待ちください。(^^;)さて、昨日の続きで、「通級指導教室」でのSSTに書かれた本を参照していきます。『発達障害通級指導教室の指導・支援法 通常の学級でも使えるゲ-ム・遊び・余暇活動を通した ソーシャルスキル獲得術』(能登宏、明治図書、2008、1800円)断片的に、一気にだだだだ~っといきたいと思います。なんのこっちゃわからないところは本書を参照して下さい。(笑)=============================『発達障害通級指導教室の指導・支援法』読書メモ2(第2章1 低学年グループの事例 より)・当教室では、とにかくほめます。 「負けたけど、我慢できて、すごい!」・当教室が息抜きの場・他の子をほめれば、その子を注意しなくてすみます。・アイメッセージ 「Bさんが席に着いてくれると(行動)、 みんなで次のゲームができて(影響)、 先生はとてもうれしいんだけど(感情)」・途中からでも参加できたらほめます。・「カーリングすごろく」 計算したり、タッパーを思ったところに止めたりすることが必要。カーリングって、エアホッケーみたいなやつですね。 サイコロを振るのと違って、力の加減を自分でコントロールしようとするので セルフコントロール力を育てるのにもいいと思います。 これはぜひやってみたい。・「だめです」などと言って注目してしまったら、 教師が子どものペースにはまり、巻き込まれる。・歌遊び「どんぐりころころ」 歌に合わせて右手で左肩を8回叩く。 次に左手で右肩を8回。 4回ずつ、2回ずつ、1回ずつ叩き、 最後に「しょう」のところで手拍子をパン。 最後に「パンッ」と手拍子がそろうことがいいのです。1人でも出来ますが、みんなとやると楽しいでしょうね。 肩こり解消にもなってちょうどいいです。 (あ~、肩こった~。。。)・最初はゆっくり歌って、成功体験を積み、称賛を受けます。 次第にスピードをあげてやります。 失敗したら、笑いに変え、成功したらもっとたくさんほめます。失敗と「いい笑い」をむすびつけることができたら、 人生こわいものはなくなります。 「失敗」のとらえ方は、ぜひ教えたいところです。 いや、むしろ「失敗などない」ということを。・リズムがそろうことは社会性のトレーニングになる。・約束カードを作り、見せながら読み聞かせ。 毎回、繰り返し繰り返し読み聞かせ。 継続することで、少しずつ、不適切な行為が減ってきました。・「~ということになっている」という言い方をすると、 行動に移せることがある。・「それは昔から決まっていることだから、 なぜと訊くこともできません」・「ルールを守れないって、格好悪いよね」と、 「格好悪い」作戦を実行する。 (1)「人を叩くって、とっても格好悪いことだよね」 (2)他の子も同意 (3)「○小学校□年生のCさんは、 人を叩くことはしません」と淡々と語る。・「かっこうよくたべましょう」カード・「格好いい、悪い」と他人の視線を意識させることにも つながった。・「マシンガントーク」 子どもが口を挟む間も与えず、早口でまくしたて、 いつの間にか不適切な行為がなかったことになる話し方。 早口で、冷静に伝える。(p40まで) =============================実践で具体的に役立ちそうな情報が山ほど掲載されていました。子どものタイプに合わせて、こういった手法を使い分けていきたいです。次回は、「中学年グループの事例」のところから。ではまた! ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.04.19
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通級教室での個別指導を今日から開始しました。今日はまあ順調でしたが、今後を見据えた計画はまだまだです。通級についての参考図書として、次の本を読みました。SST(ソーシャルスキルトレーニング)関係はほとんど分かってないので、通級での実践事例を知れてよかったです。『発達障害通級指導教室の指導・支援法 通常の学級でも使えるゲ-ム・遊び・余暇活動を通した ソーシャルスキル獲得術』(能登宏、明治図書、2008、1800円)せっかく読んだので、いつものように備忘録としての読書メモを 残しておきますね。(^^)===============================『発達障害通級指導教室の指導・支援法』読書メモ1(第1章「発達障害通級指導教室とは?」まで)・子どもの自己肯定感を育てることを第一に、 子どもが本当に好きな活動を準備 → その中で「成功体験をさせて称賛する」 ということを信念にしている。僕も激しく同意します。 通常の学級の教室ではできない成功体験を経験させられなかったら、 通級教室の存在意義はなくなりますものね。・当教室では指導期間は原則として1年間。・グループ指導または個別指導を週1回。僕の学校の通級教室はここまで限定されていません。 期間が1年間と区切られていることによって、 計画とのその実行がかえってしっかりとなされそうな気がします。・保護者は毎時間の指導の様子を隣室のテレビモニターで参観。撮影スタッフなど、先生以外のアシスタントが豊富におられるようです。 普通の通級教室ではなかなかこうはいきません。 でも、実際の子どもの姿と指導の様子を見られれば、 保護者は安心でしょうね。・1時間の指導の記録を「学習の様子」として A4判1枚にまとめ、保護者と在籍学級担任に毎回送付。毎回A4判1枚はまねできませんが、 こういう記録とその共有は大事だと思います。 長崎の通級の先生からのご意見を参考に、 非常に簡単な記録記入表を本日作りました。 まだまだこれからです。・当教室における「年度末に願う児童生徒の姿」として 長期目標を設定。・ソーシャルスキル=人とのかかわり方の「引き出し」 意図的なトレーニングを行うことによって、 その都度、子どもたちの引き出しが少しずつ増え、 少しずつ整理されていく。・「これをやろう」と言われても、やりたくない場合もある。 当教室は、同意しないことも認めます。 そこで、実現可能ないくつかのコースを提案しました。ここまで出来たらすごいと思います。 理念はよく分かりますが、それだけの選択肢を用意できる 経験がまだありません。 僕の場合は、「まずはこのメニュー」というものを出していって、 少しずつ子どもの選べる幅も増やしていきたいと思います。(p23(第1章の終わり)まで) ===============================まださわりだけしか紹介していませんので、まだまだ続きます。そういえば他の本の読書メモが途中のまま中断していますが、忘れているわけではありません。(^^;)それも近々続きを書きます。 ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.04.18
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今年の1月6日に参加した特別支援教育の研修会について自分なりにまとめてみました。年度末に参加した研修のレジュメとか、いろいろと整理するわけですが、「とっておいても埋もれてしまって見なくなる」ということが分かっているだけに、おいておきたい情報はデータ化するようにしています。このブログみたいに。(^^)せっかくデジタルデータにしたので、そのメモをこのブログにも転載しておきます。こうすることで、自分もネットで検索をかけて自分が書いたメモにアクセスしやすくなるわけで・・・。ブログを備忘録として使う、というの、けっこういいんですよ。(^0^)研修会講師は、兵庫県福崎町の中学校の先生、久後先生です。とっても元気なおばちゃん先生でした。今回、これを見返すことで、SENSで習ったことの復習にもなりました。新学期に向けて、エネルギーチャージOKです。================================= 1月6日特別支援研修会 メモ(講師:福崎町立中学校 久後 絹代 先生)(#は僕の感想です。)○小学校からの引き継ぎ 卒業アルバムのカラーコピー&データをもらう#なるほど! やっぱり顔写真で事前に「この子か」と確認しておくのがいいですね。○タイムアウト部屋 小さな部屋 安心・クールダウンできる場所○記録を続けること 家庭との交換日記・電話・メール 学級通信にてどの子も「ほめる」(その子だけ特別扱いしない) 親からの反応を学級通信に載せる#家庭との連絡ノートのやりとりは、そのまま記録にもなりますね。 先日のテレビでも尾木ママが言っていました。 難しい年頃の女生徒と関係が作れたのは、交換ノートをしたからだって。○授業では? 動き始め、鉛筆持ったらすぐほめる めちゃくちゃ汚い字でも、書けたらマル 学級通信・黒板で残しておく#もちろんこれらの対応は、子どもに合わせたもので、 他の子にも有効だというわけではありません。 それでも僕がここのところをメモったのは、 「ほめ方」の極意が書いてある気がしたからです。 本人の今できることの地点までおりていく。 そのうえで、できたことをほめる! わざとらしいほめ方ではなくて、本当にその子をよく見ていて 「そこ!」というタイミングで声掛けができたら、 その時間が、消えてしまうものではなく、残るものとして、 また新たなスタートのきっかけになるのです。 教育は、そういったタイミングをとらえた指導の蓄積にほかなりませんよね。○授業の腕を上げる法則 「空白禁止」 新任の授業には「空白」が多い 「趣意説明」 意外にも聞いてくれる。効果的。#有名な向山先生の『授業の腕を上げる法則』です。 ほかにもいろいろ法則がありますが、代表して2つだけ。○多動を抑える 「立って読みましょう」だけでもちがう#こういう、通常の一斉授業の中で入れられる工夫が大事ですよね! ほんのちょっとした授業の工夫、活動のバリエーションで、 支援の必要な子の授業参加度は、一気に変わってきます。○生徒のプライド?意地っ張り? ブロークンレコード(同じ調子)な言い方で 「くつはきよ」「くつはきよ」 生徒と同じ土俵に上がらない#僕にとって「叱る」「注意する」はかなりむずかしいです。 子どもと同じ土俵に上がったり、子どもにひっぱられたりして、 怒りすぎたり怒らなさすぎたり、失敗することが多くありました。 主導権は、わたさない。 調子をくるわすのも、ありですね。 そういえば、尾木ママの「オネエ言葉」も、不良生徒を注意するときに 相手のペースにのまれずに調子を狂わす効果が大きかったのだとか。 人生、何が幸いするかわかりませんね。(笑)◎意識して対応したい 笑顔 ← 反抗されにくい ほめる = そこ、終わりの会、通信、懇談 絵で、モノで示す○詳しく説明しても伝わらない キーワードを板書 「しましょう」より「します!」「しなさい」○支配されると嫌がる 生徒に選択させる 「どうする?」・「A君と久後先生は漫才コンビ。ムードメーカーです」・「ASと難聴の生徒への対応は似ています」竹田T・叱る原則、普段から予告。叱る理由。 ※原則を普段から言っておく・叱ったときは、 「これは大事な指導です。怒っているんではないの」 と笑顔で語る。・してほしい行動を伝える。 具体的に彼のカバンを使い、彼の席で、一人芝居をする。 笑って、見ていた。ジョークの感覚。○生徒からの学び 「さわんな!菌がうつるんじゃ~」 (入学式の時。不安の裏返し)=================================子どもの行動の裏を読んだり、心の中で感じていることに寄り添おうとしたり、一緒にやっていこうとする気持ち・・・。ノウハウよりなにより、大事なことが、子どもを見ること、子どもを信じることではないでしょうか。そういったことに気づかせてくださった久後先生に感謝します。 ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.04.04
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前回の日記での『びりっかすの神さま』もそうですが、「読書のすすめ」店長の清水さんのおすすめを続けて読んでいました。今日は『働く幸せ』の読書メモを書きます。これも、清水克衛『しあわせ読書のすすめ』で紹介されていた本です。 『働く幸せ』 (大山泰弘、WAVE出版、2009、1400円)===============================【内容情報】(「BOOK」データベースより)知的障害者が社員の7割、50年間持続経営。『日本でいちばん大切にしたい会社』で紹介された日本理化学工業。なぜ、この会社は、こんなに温かいのか?疲れた心に沁みるビジネス・ストーリー。【目次】(「BOOK」データベースより)プロローグ 知的障害者に導かれたわが人生/第1章 「逆境」を最大限に活かす/第2章 働いてこそ幸せになれる/第3章 地域に支えられて/第4章 幸せを感じてこそ成長する/第5章 「働く幸せ」を広げるために/第6章 会社は、人に幸せをもたらす場所===============================著者はチョーク作りの会社、日本理化学工業の社長さんをされていた方。この会社は、社員の7割を知的障害者が占めています。著者が入社して3年目の時、2人の15歳の知的障害者を雇用したのが始まりでした。知的障害者雇用ではテレビなどのメディアでも取り上げられています。その反響で多かったのは知的障害者が働く姿を通して、ご自分にとっての「働く意味」について思いをめぐらせるものだったそうです。本書の中で、最初「精神のおかしな人を雇ってくれなんて、とんでもないですよ」という言葉を発したのは、著者自身だった、と書かれています。率直に、障害者雇用の最初から現在までが順を追って描かれてます。「障害」があっても働ける環境作りの具体像は、どんな職業にも通じる考え方や工夫を包含しており、大いに勉強になります。多くの方に読んでほしい本です。きっとあなたのお役に立ちます!!==============================『働く幸せ』読書メモ1・「うちの工場には知的障害者の人たちが働いているのですが、 どうして彼女たちは施設よりも工場に来たがるのでしょう」 住職に質問したところ、答えは・・・ 「人間の幸せは、ものやお金ではありません。 人間の究極の幸せは、次の4つです。 その1つは、人に愛されること。 2つは、人にほめられること。 3つは、人の役に立つこと。 そして最後に、人から必要とされること」・知的障害者だけで稼働する生産ラインを考えることに没頭していた著者 ふと閃いたのが、交通信号。 知的障害者たちは、文字や数字が理解できなくとも、 信号の区別、つまり、色の識別はできている。 「そうか!」 なにか色を使った工夫ができるのではないか。 赤い蓋の容器に入っている粉を量るときには、 赤いおもりを乗せる。 青い蓋のときは、 青いおもりを乗せる。 ・・・・「ふつうはこうやる」という方法を教え込もうとしていたから、 うまくいかなかった。 もしかしたら、私たちは 健常者のやり方を押し付けていただけなのかもしれない。 でも、その人の理解力にあったやり方を考えれば、 知的障害者も健常者と同じ仕事をすることができる。・時間を計るには、時計の針を読むかわりに砂時計を使えばいい。・数を数えるには、連続した数字を書いたカードを用意しておき、 1つの作業ができるごとにそのカードをめくっていけばいい。================================特別支援教育を勉強してきた自分でも「そうか!」と唸るやり方が、本書には目白押しでした。こんなふうに、現場のリーダーが工夫することで障害のある人もない人もやりがいを持って働ける職場・・・いいですね!いろいろなところで、こういった職場ができていけばと切望します。 世の中の社長さんすべてに読んでいただきたい! つづきはまた次回。次回は日本理化学工業のオドロキの商品などを紹介します。ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.03.28
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特別支援教育MLで紹介してもらった新聞記事です。▼みんな地域の学校へ 障害児「分離」から転換(朝日新聞)「障害のある子もない子も、地域の学校でともに学ぶ」というインクルーシブ教育の理念の実現に向けて、現状やその理念の必要性が分かりやすくまとめられています。上のリンク記事の中で、「現状」についての話がいくつか出ています。僕が問題だと思うのは、次の2つです。(1) 地域の小学校で学ぶ際に、親の付き添いが条件になることがある記事中では============================= 負担の大きさから体調を崩すなどした保護者が 「親が付き添わなければ水も飲ませないというのはおかしい」と反発=============================とあります。「障害」のある子の親が、なぜ他の子と同じ教育環境を望んでいるだけなのに過重の負担を背負わなければならないのか?これは全くおかしいことだ、と僕も思います。 (2)就学先を決める際は、本人や保護者の同意は必要なく、 最終的には市町村教委が決めること僕がこれに反対する理由は、 記事中に以下のようにふれられているとおりです。================================この就学決定の仕組みは「障害児を原則分離する制度で、障害者への差別や偏見を生んでいる」と多くの障害者団体から批判を受けてきた。 ================================「特別支援学校」「特別支援学級」「通常学級」という就学先は、本人や保護者が「選択できる」ものにするべきで、本人のことをあまりわかっていない行政が決めつけるものであってはならない、と思います。ただ、実際には本人・保護者の意向は尊重されている場合も多く、本人・保護者の反対を押し切って就学先が決めつけられたケースは少ないと聞いています。 最後に、堀智晴・大阪市立大教授の話から、「なぜ、いろんな子が一緒の場で共に学ぶのがいいのか」についてのご意見を、引用します。==============================他者との関係が希薄になりつつある現代では、他者を尊重し、他者とつながりを深めていくことこそ必要==============================子どもは子どもの中で多くのことを学びます。教師が教えるよりも、子どもが子どもから教わる方が子どもの心にすっと入ることも多いです。そして、「いろんな子」がいるから、学び合える、ということがあります。世の中にいろんな立場の人、いろんな人がいるように、「教室」の中にも、いろんな人がいる。「障害」の有無にこだわらなくても、すでにいろんな子がいるわけですが、だからこそ、「障害」の有無にかかわらず、いろんな子が教室にいるのが当然だ、と考えます。もちろん、記事にあるように、サポート体制とか、環境づくりについて学校や行政の課題も多いですけどね。 あなたは、どうお考えになりますか? ここまで読んでいただいてありがとうございます。 応援していただける方は、ぜひクリックをお願いします。↓ ブログ王ランキング
2011.02.21
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大みそかですね。僕が住んでいる丹波市では昨日、今日ときれいな雪が見られました。今日はだいぶ積もって、すっかり雪国です。今年1年、ありがとうございました。最後に、ずっと続いている「特別支援」関係の読書メモ、第12回(最終回)を書いて、区切りよく終わりたいと思います。 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1) (LD・広汎性発達障害・ADHD編)』 (森俊夫、ほんの森出版、2006、2100円)第12回(最終回)。最終章、「青年期までに診断されるその他の精神障害」から、特に「選択制緘黙(かんもく)」のところを 取り上げます。昨日登場してもらった「カントク」のキャラクターに再度登場してもらい、本書の内容をえりぬきでしゃべってもらいます。(笑) ================================ 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』 12 (p171~。緑文字は僕のコメントです。)今日は、<選択制緘黙>についてとりあげるぞ。アイアイサー!<場面緘黙>という名前のほうがおなじみだな。 ある特定の場面(たとえば学校)において、 まったく(あるいはほとんど)言葉を発しないものをいうんだ。別に心配することはない。 たっぷりと、そしてゆったりとかかわってあげなさい。ブリーフセラピーの研修では、 よくこの<選択制緘黙>の話を取り上げるんだ。 <しばしば問題の周辺にリソースがある>という話をする際に。リソース、つまり、問題解決につながる資源、ということですね。「しゃべれない(口)」という問題の周辺とは何だ? そう、それは「見る力(目)」であり、「聴く力(耳)」だ。 実際、彼らは非常によく周りのことを見ているし、 周りの話を聴いている。僕自身も、あまりしゃべらない子どもだったので、 よくわかります。 しゃべってコミュニケーションしないからといって、 周りを気にしていないかというと決してそうじゃない。 かえって、目や耳でコミュニケーションを図ろうとしているようなところは 強かったですね。何か返答を彼らから期待するのでなく(ここ重要!)、 ただただ声をかけたり、話したりしてあげる。選択制緘黙だけでなくて、言葉の遅れがある子どもさんでも、 そうですよね。毎日毎日、一滴ずつでもいいから、 いいメッセージを彼らに送り続けてあげてください。あとは、彼らの得意な「発信チャンネル」を見つけてあげること。 「書く」あるいは「描く」というチャンネルは非常に得意だという子もいる。 あるいは「造る」が得意な子もいるし、「奏でる」が得意な子もいる。 この子はどの「発信チャンネル」が優勢なのか、 それが見つかれば、コミュニケーションもかなりスムーズなものに なっていくぞお。 僕も、「しゃべる」ことより、「書く」ほうが好きです。 だからこうやってブログを書いているわけですが。 絵を描くのも好きでしたし、レゴブロックを組み立てるのも、 音楽を演奏するのも好きでした。 音楽は今もですが。 そういう「発信チャンネル」があると、 自分自身が、とてもラクになれます。 人それぞれ、「発信チャンネル」はちがっていいですね。 それを認め合える社会を作りたいと思います。 ===============================これで、 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』の読書メモ、そして年内のブログを終わります。ここまで読んでくださって、ありがとうございました。来年は、飛躍の年にするべく、ブログもパワーアップを図っています。新キャラクターとして、「てんちゃん」に登場してもらい、さらにブログを明るく楽しくしていきたいと思っています。(素材工房Engel Heart さん作成のフリー画像素材から拝借します。) また来年もよろしく。よいお年を。 (^0^)アクセスなう、感謝! 応援クリック! ブログ王ランキング
2010.12.31
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『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1) (LD・広汎性発達障害・ADHD編)』 (森俊夫、ほんの森出版、2006、2100円)学校教育に対するお役立ち情報満載のこの本。おかげでとりあげるのが今日でもう第11回目。本の中身も、終盤を迎えています。 さきほど、「読書メモをおもしろくしたい」と書いたばかり。今日は実験的におもしろくアレンジしていきたいと思います。本書の内容に対するリアクションを工夫していきます。本書の内容は、「DB」の監督画像を拝借して、今までの ・ の代わりに でいきたいと思います。(笑) 内容は「第6章 注意欠陥/多動性障害(ADHD)への対応」 の後半、学校での対応について の第3回です。 下の(3)ですね。(1)(2)は過去ログを参照してください。 (1) ADHDの認知特性に合わせた対応 (2) 一貫した対応 (3) 子どもたちの自尊感情や自己効力感を高める対応================================ 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』11(p163~170より。緑文字は僕のコメントです。)5.<子どもたちの自尊感情や自己効力感を高める対応>通常、ADHDのある子どもたちは 「自己コントロール感」が非常に低い。ほう!なるほど! ★まずは、「自分はやれる!」あるいは「やれている!」という感覚を 子どもたちにもってもらうこと。ふむふむ。 そのためには・・・ ・タイムリーにほめる。・「増やしたい行動」をしたならば、 そのときその場でほめる。・具体的にほめる。 「今日の授業態度はよかったよ」 ではなくて、 「○○の時間は、ちゃんと席について○○を一所懸命やってたね」 のほうがいい。漠然としたほめ方ではなく、 ちゃんと見ていないとできないほめ方をする、ということですね。そして、「例外」にかかわるこれについては、 ブリーフセラピーの本にめっちゃくわしく書いてありますね!「ああっ、たたいちゃう! と思って、 先生ハラハラして見てたけど、 今○○くん、たたかなかったよね! すごい、すごい!」 と、まずは ほめる。 ・そして 「どうやったの!?」 または 「どうして今 たたかずにすんだの?」 と言葉を続ける。 ・少なくとも、うまくやれた理由を本人に考えさせる。本人の言った答えに対しては全部支持! です。答えられたことについて、またほめる。◎こうした「例外」へのかかわりを通して、 本人の中の 「自分は衝動をコントロールできている /何かに集中していることがある」 「自分はその力を持っている」 という感覚を育てる「例外」は必ず存在します!一般的に、ADHDのある子に対してほめる際には、 こちらがびっくりしているという感じを伝えるような、 何らかの表情やアクションを含ませた方がいい。そうなんだ!あんまり言葉は多くしないほうがいいなんとっ!!Vサインを送るとか、頭をなでるとかで伝えるだけのほうが よいこともある。(やったね!) 言葉を主に使うのは、先ほどの 「どうやってやったの?」 の部分。「○○がよくできたね」 とほめるよりは、 「○○してくれて、ありがとうね」 と言ったほうが入る子も多い。 (ありがとう!)その子ばかりでなく、ほかの子のことも、 普段から十分にほめておいてください。 みんなすごいぞ~!!ほかには、役割を与える。「自分は周りから評価されている」 「自分は周りによい影響を与えることができる」 といった感覚を育てていきたいですね。同感です!(p170まで) =============================== リアクションを入れて、読書メモを明るくしてみたつもりですが、どうだったでしょうか。 これで第6章は終わりです。イラスト無料素材 子供や赤ちゃんのイラストわんパグさんの画像をお借りして、楽しくリアクションをしてみました。次回は最終章、「青年期までに診断されるその他の精神障害」を参照します。特に「選択制緘黙(かんもく)」のところを取り上げる予定です。 ↓僕も 「自分は周りから評価されている」 「自分は周りによい影響を与えることができる」 と思いたいので、よかったら、クリックしてください(^0^)↓ ブログ王ランキング
2010.12.30
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『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1) (LD・広汎性発達障害・ADHD編)』 (森俊夫、ほんの森出版、2006、2100円)上の本の読書メモの第10回。う~む、年内に、終わるかな。「第6章 注意欠陥/多動性障害(ADHD)への対応」 の後半、学校での対応について の第2回です。 (1) ADHDの認知特性に合わせた対応 (2) 一貫した対応 (3) 子どもたちの自尊感情や自己効力感を高める対応 を順に、参照していっています。 今日は <一貫した対応>のところです。前回はこちら。 ================================ 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』読書メモ10 (p156~163より)4.<一貫した対応>・「問題行動」というものは、 チグハグな対応をしていると、拡大していく傾向がある。・基本的な対応方針については、 きちんとスタッフ間で話し合って、共通認識をもっておきましょう。○対応の基本方針策定にあたって ・「当面の目標」にからんだものであること ・学校からその子を排除するようなものではないこと・ADHDの場合、「最終」ゴールは、 「落ち着いて、皆と仲良く過ごせるようになること」・「誰が」「どこで」「いつまで」ということに関して、 コンセンサスをつくっておきましょう 「どのように」というのは、細かく決めないほうがいいかもしれない。 それぞれのスタッフが、それぞれの持ち味を活かしたかかわりを 自由にした方がよい場合が多い。 どうやるのかはその人に任せた方がいい、という考え方、賛成です。 僕もその方が動きやすい。・個々自由にやって、 「こうやったらうまくいったよ」ということの情報交換は 頻繁に行われるべきケース会議を何のために開くかといったら、 一番のメリットはこれじゃないか、と思います。 うまくいっていることを、広げていく。 うまくいったかかわりを、知ってもらう。・保護者も参加していることが望ましい。 最低でも、方針について了解が得られていなければならない。・学生ボランティアが関わる場合、 (共通理解への)時間的コストはかけなくてはならない。★問題行動の程度がひどくないのに、つい強く叱責してしまったり、 かなりひどいことをやっているのに何も注意しなかったり・・・ 介入ラインがそのときどきで動いてしまっているような対応は、 決してよい結果を生みません。 「ここまでのことはうるさく言わないが、 ここを超えることをしたらきちんと注意する」 といった問題行動のラインを明確に設定しておき、 それを動かさない。自分はなかなか守れていません。 大いに反省するところです。 特に自分が疲れていたり、時間がなかったり、 「とにかくもう大変!」って状況の時は、 問題に気づいても見過ごし・・・ということも。 だから、そもそも「基準」を守れるように、 自分の感情や忙しさがどうであろうと守れる「基準」を最初から 設定しておかないと、破たんしますね。 そういう意味では、介入ラインは甘めでもいいと思っています。 厳しくいろいろ言い出したら、こっちが守れなくなるので。 ○3つの行動分類とそれへの対応 a 絶対許されない行動・・・・・・断固たる対応 b 減らしたい行動・・・・・・無視 c 増やしたい行動・・・・・・ほめる・細かいことをアレコレ注意しても改善しない。こちらが疲れるだけ。 注目は c に対して与えましょう。○本人がよいことをした → 本人が得をする●本人が悪いことをした → 本人が損をする というパターンに一貫性をもたせる・口でほめてあげるだけでなく、 何か残るものをあげられるなら、それもしてあげたほうがいい。(p163の途中まで) =============================== (^0^)いつも読んでくださって、感謝します! ブログを応援してくださる方はクリックしてください!(^^;) ブログ王ランキング
2010.12.29
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『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1) (LD・広汎性発達障害・ADHD編)』 (森俊夫、ほんの森出版、2006、2100円)上の本の読書メモの第9回。「第6章 注意欠陥/多動性障害(ADHD)への対応」 の後半、学校での対応についてです。 (1) ADHDの認知特性に合わせた対応 (2) 一貫した対応 (3) 子どもたちの自尊感情や自己効力感を高める対応 順に、参照していきます。 今日は <ADHDの認知特性に合わせた対応>のところです。================================ 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』読書メモ9 (p150~:「第6章」の後半)3.<ADHDの認知特性に合わせた対応>・ADHDのある子どもの席は、 一番前の中央(あるいは廊下側)・席を前にして、視覚刺激量を減らしてあげる・教室の前の壁には、極力、掲示物を貼らない。物も置かない。○記憶への定着は視覚刺激で ・大人のADHDの方は、覚えておかなければならないことを よく手の甲に書いておられる。 ・再想起するきっかけさえ与えられればいい。○体感覚に関する反応性は非常に高い。 ・友達のひじがちょっと触れただけで、 その友達にパンチをみまわすということが、しばしば起こる。 ・興奮しているADHDのある子を落ち着かせる場合にも、 しばしば体感覚刺激が最も有効。 (すっと後ろから肩に手をのせてあげる等) ・ADHDのある子は、すごく身体接触を求めてくる。 それにはできるだけ応じてあげて、落ち着かせてあげる。 ・本人を落ち着かせる「肌触り」を持っている「物」とは何か? これを探ることは役に立ちます。○注意持続時間内でできる課題を渡す ・どういった課題にはどのくらいの時間、 注意を持続できるのかをよく観察して把握しておく。 ・できたらよくほめてあげる。 それから次の課題を渡す。 これを繰り返す。 ・これを集団授業と並行して進める。 その子向けの課題を集団授業向けのものとは別につくっておく。○ADHDのある子には、みんなでかかわる。 ・1人の先生がクラスもその子も全部みるなんていうことは、 土台無理な話。 (p156の途中まで)=============================== (^0^)いつも読んでくださって、感謝します! ブログを応援してくださる方はクリックしてください!(^^;) ブログ王ランキング
2010.12.27
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『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1) (LD・広汎性発達障害・ADHD編)』 (森俊夫、ほんの森出版、2006、2100円)上の本の読書メモの第8回。「第6章 注意欠陥/多動性障害(ADHD)への対応」に入っていきます。今回は前半の、薬物療法のところです。 ADHDの定義や診断、どういった障害なのか、ということについては、前回に書きました。 ================================ 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』読書メモ8 (p135~:「第6章」の前半から)「第6章 注意欠陥/多動性障害(ADHD)への対応」 1.ADHDの薬物療法・「対症療法」的な薬物・状況が困難なものである場合には、 薬物療法の導入は躊躇されるべきではありません。・メチルフェニデート(リタリン) 精神刺激薬(通常、突然眠ってしまう睡眠障害の治療薬)の1種 ADHDの症状である<不注意><衝動性><多動性>のすべてに 効果がある。 通常1日量10mg。朝と昼に半分ずつ飲む。 効果は4~5時間。 朝、学校に来る前に家で飲む。→午前中いっぱいはもつ →お昼休みにまた飲む。→下校まではもつ 夜は飲ませてはいけない。眠れなくなる。 ・ADHDのある人は精神刺激薬を飲むと落ち着き、 そうでない人は活動性が高まる。 ※ADHDのある人とそうでない人で、 この薬物に対する反応が違う・朝ちゃんと薬を飲ませたかどうかの確認を保護者から受ける。 飲んでいる場合と飲んでいない場合の本人の様子の違いを確認するため。 ・お昼の薬は保健室で管理しておいて、 担任の先生が毎日、本人に指示して保健室に行かせ、 そこで飲むようにするのが普通。 ・精神刺激薬の副作用は、不眠、食欲低下など。・身体依存性はない。精神依存もほとんど発生しない。 飲んだからといって、別に気持ちよくなるわけでない。・ADHDによる日常生活上の困難は、 多くの場合成長とともに克服できたり、 コントロールできるようになる。 薬は、最も困難な時期を少しでも落ち着かせるために用いられるべき。 2.薬物療法について最低限の知識をもつ必要性・抗てんかん薬(カルバマゼピンやバルプロ酸ナトリウム)も、 ADHDのある子に対して処方されることがある。・抗てんかん薬には、<衝動性>を抑える効果がある。 ただし、副作用に注意。 カルバマゼピン:傾眠やめまい、吐き気や嘔吐 バルプロ酸Na:鎮静作用(眠くなる、頭が回らない感じ)、手指の震え、脱毛症 ・かかりつけの病院名、担当医名を控えておく。 子どもに変化が現れたとき、または緊急の事態に遭遇したとき、 その病院や担当医からの指示を仰ぐことができる。・かかりつけでない病院にとりあえず運ぶ時にも、 病院のドクターに 「○○病院の○○ドクターが担当で、 ○○という薬を○○グラム飲んでいます」 と明確に伝えることができる。・(公立中学校 木原先生の話) 「自分のクラスにいる子が、 どのような疾病に対して、どのような薬をどのくらい服用しているのか を知っていると、私はとても安心できます」 「突然の出来事というのが一番驚くわけですが、 その突然に出合わないように、また出合ったとしても その驚きを最小限にとどめておくことができるのです」(p149まで) ===============================メチルフェニデート(リタリン) については、最近はほとんど処方されていないような気がします。メチルフェニデートはコンサータにも入っています。 コンサータなら、1日1回の服用でいいようです。持続時間はなんと12時間! 詳細は ▼メチルフェニデート - Wikipedia森先生は本書の中で、依存性はほとんどないと言われていますが、Wikiによると、依存症はあるようです。 次回は、ADHDの学校での対応に入っていきます。本書では大きく3点にまとめられています。(1) ADHDの認知特性に合わせた対応(2) 一貫した対応(3) 子どもたちの自尊感情や自己効力感を高める対応次回、詳しく参照します。 (^0^)いつも読んでくださって、感謝します! ブログを応援してくださる方はクリックしてください!(^^;) ブログ王ランキング
2010.12.25
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『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1) (LD・広汎性発達障害・ADHD編)』 (森俊夫、ほんの森出版、2006、2100円)上の本の読書メモの第7回。本日は、「ADHD」についてです。ADHDの定義や診断、どういった障害なのか、ということについて。 ================================ 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』読書メモ7 (p120~134:「第5章」の全部を部分的に抜き出しながら参照します。)「第5章 注意欠陥/多動性障害(ADHD)」 1.2.略3.ADHDは小さい頃からその兆候が認められ、 また複数の状況において問題が存在する・先天的な脳機能の障害・診断には、成育歴に関する情報が必要・場面限定性のものではない・保護者からの情報が必須 4.PDDとの関連・PDDとの重複があれば、ADHDの診断は付されない (DSM-IVにおいて)・実際はPDDのある人たちのうち、 かなりの人たちがADHD症状を併発 5.ADHDの疫学 ・ADHDの診断は、ICD-10だと <不注意><多動性><衝動性>の3つ全部が揃わないと 診断がつかない・DSM-IVの場合、<不注意>か<多動性-衝動性>の どちらか1つあれば、ADHDの診断がつく 6.7. 略8.ADHDの予後・<多動性-衝動性>は、なくなるとは言わないまでも、 年齢が上がるにしたがって基本的には落ち着いてくる。 そのコントロール・スキルも向上していく。・<不注意>のほうは結構しつこく続く ただこれも、自分の傾向を自覚して、 それなりの対処法を開発していけば、 社会生活上それほど支障が出ない程度には コントロールしていけるようにはなる。・<多動>は、活動性が高いということでもあるので、 障害というよりもむしろ「リソース」だとさえ言える。(p134まで) ===============================最後の、「障害」と見ずに「リソース」と見る、という考え方、かなり大事だと思います。世の中の大仕事は、積極的に活動するエネルギーなしではまわっていきません。ADHDで大きな功績を残しておられる有名人の方はかなりおられます。あるブログ記事によれば、エジソン、レオナルド・ダビンチ、アインシュタイン、トム・クルーズ、マイケル・ジョーダン、黒柳徹子・・・。そうそうたるメンバーです。(情報元:▼ADHDと診断された子どもへの教師としての対応の仕方) 次回は、「第6章 注意欠陥/多動性障害(ADHD)への対応」を参照します。 (^0^)いつも読んでくださって、感謝します! ブログを応援してくださる方はクリックしてください!(^^;) ブログ王ランキング
2010.12.23
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やる気が復活しましたので、一度消えたブログ記事の再開です。 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1) (LD・広汎性発達障害・ADHD編)』 (森俊夫、ほんの森出版、2006、2100円)上の本の読書メモの第6回。PDD(広汎性発達障害)の方だけでなく、すべての人がコミュニケーションを楽しめるようになるための秘訣が書いてあります。================================ 『教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学(1)』読書メモ6 (p100~「第4章」の途中から。)10.<変化を楽しめるようになること>・対人関係がなぜこうも楽しく、ワクワクする、刺激的なものかというと、 それは例えば会話などの中に「予測不可能性」があるから。 そこでどんどん「新しい」ことが起こり、 「新しい」発見があり、それが「創造性」につながっていく。★「意外性」があるからこそ「面白い」(「変化を楽しむ」力をつける、具体的実践例)・トンチンカンなことをし始めるというゲーム (例)・汽車のおもちゃ(あるいは絵カード)を取り上げて、 「まあ、おいしそうなケーキ!」 パクパク食べる真似をして、一緒に笑い合う。 ・「ああ、頭がかゆい!」と言いながらお尻をかく。 ・「わあ、このケーキおいしそう!」と言いながら 目で食べようとする。関西の先生では、ボケて子どもたちのツッコミを誘う方が、 割合多いかと思います。 「子どもの自主的な発言・思考を促す」点でも、 こういった「いかにボケるか」の研究は欠かせません。(笑) 僕の経験上でも、「言葉が出にくい子」や「コミュニケーションが苦手な子」が、 「トンチンカンなことに対して思わずツッコミを入れたくなる」という手法で、 かなり効果のある「学習」ができています。 自発的表現のないところに、学習は成り立ちませんからね。 「授業とはボケとツッコミである」 と言ってしまっていいかもしれません。 ・RDIの様々なエクササイズは、変化をつけるということを 視野に入れて構成されている。・変化をつけて、それについていける能力を伸ばす。 ・PDDのある子は、しばしば正しすぎる。・ユーモア:必ず何かしらの「間違い」の要素が含まれている。・まずは「間違える」から始めて「楽しい」につなげていく。・PDDのある子どもたちに限った話ではなく、 今の日本の教育全般の中で、もう少し考えられてもよいこと。同感です。 「正しすぎる」ということは、人間関係や社会生活の上で かなり「問題」になってきます。 僕自身も「正しすぎる」ことを主張して、 人間関係で困ったことが山ほどありました。(>。<;) 「間違えること」を学ぶ。 「ユーモア」を学ぶ。 「楽しい」ということを学ぶ。 自分が本当に大事だと思った勉強が、ここにあります。 ・ゲーム感覚でどんどん変えていく。・子どもたち自身にいろいろと考えてもらって、 アイデアを出してもらう。 11. 12. 略 13. RDI、そのほか、あれこれ・RDIの最終目標の一つが 「PDDのある方々が 親友を持てるようになること」・「楽しかった思い出」をたくさんつくりたい。 いつでもそれを思い出せるような環境を与えてあげたい。 ・「メモリーブック」: 活動の記録をきちんと残しておいて、それを振り返る作業が大事・ 友人関係における未来のスケジューリング ・一言で「友達」って言っても、 実際はそこにはいろんな形態や関係がある。(p118(第4章の終わり)まで)================================ 一度消えてしまったブログ記事を、こうやってもう一度書くことができました。支えてくださった皆様方に感謝です。次回は、第5章「ADHD」の章に入ります。よかったら次回も読んでくださいね。それでは! (^0^)いつも読んでくださって、感謝します! ブログを応援してくださる方はクリックしてください!(^^;) ブログ王ランキング
2010.12.22
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(※本文中の「ビジョントレーニング」を、間違えて表記していたので 翌日付で訂正します。(^^;)どうも最近ミスが多いです。ごめんなさい。) 僕は、普段メガネがなくてもよく見えます。でも、職場ではメガネをかけています。その理由は「斜視」だからです。左右の視力は、それぞれ1.2と0.2。視力差があるだけでなく、見えている像が少しずれている、と眼科医にお聞きしました。片目の視力が良ければ日常はその眼を使って見るので、全然支障はないのですが、眼科医の勧めに従ってメガネをかけるようにしました。でも、そもそも「斜視」についてよくわかっていませんでした。(^^;)土曜日のビジョントレーニング講座でいろいろとお話をお聞きした中に「斜視」についての説明もあり、自分自身の「目」の勉強にもなりました。ビジョントレーニングでは、真正面にだんだん近づいてくる物をどこまでぼやけずに見られるか、という指標があります。(輻輳(ふくそう)、と言います。)近づいてくるものをじっと見ていると、寄り目になってきます。 ( ●)(● ) __ 斜視の場合、これが非常に苦手のようです。ビジョントレーニングにより、改善されることがあるようですが、プリズム入りのメガネでも改善します。現に、僕の場合、メガネをかけて見ると、かなりしっかりと近づいてくるものを見ることができました。メガネをかけだしたのは大人になってからなのですが、子供時代に野球のボールを正面で取るのが苦手で、特にフライをとるのは全然できなかった、その理由は、この「目」にもあったようです。(単に運動神経が鈍かったのもありますが・・・。)僕と同じように「野球のフライがとれない」と悩んでいる野球少年の少しでも助けになれば、と思って書きました。専門のビジョントレーニングを受けるか、即効性を期待するなら眼科医にきちんと見てもらってメガネを処方してもらうと、そのフライ、とれるようになるかもしれませんよ!(^0^)視力的には見えていても、メガネやコンタクト、ビジョントレーニングで あなたの「困っていること」が解決することもある。こういうことも、ぜひおぼえておいてほしいと思います。ちなみにWikipediaによると、「斜視」は「片方の目は視線が正しく目標とする方向に向いているが、もう片方の目が内側や外側、あるいは上や下に向いている状態のこと」と説明されています。治療については、「眼鏡やコンタクトレンズなどで屈折矯正を行うことにより、斜視を治療することができるケースもある。 また物を見る力をつけさせる(視能訓練)ことにより斜視を治療できる場合がある。 プリズム眼鏡等を用いる方法もある。」とあります。(引用元:斜視 - Wikipedia )ビジョントレーニングについてはまだよくわからないのであまり書きませんでしたが、今後も学んでいきたいと思っています。 (^0^)いつも読んでくださって、感謝します! ブログを応援してくださる方はクリックしてください!(^^;) ブログ王ランキング
2010.12.20
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