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先日、村の友達の娘さんのクナ・ゲジェシがあるというので、行ってきた。クナ・ゲジェシとは結婚式の前夜祭で、花嫁側のお家で女性たちが集まり、クナ(ヘンナ)をぬる儀式とお別れのパーティーをすること。翌日、花嫁になる娘さんは、花婿サイドで行われる結婚式と披露宴へ向かうために家を出て、生まれ育った「家」とお別れするわけである。クナ・ゲジェシの夜は花嫁さん、お母さん、姉妹、親戚、親友たちが同じ部屋で寝泊まりし、朝まで涙なみだになるのである。クナ・ゲジェシも現代では省略する家庭、普通に披露宴会場で行う家族が増え、伝統的な形で行う人は減ったが、村では昔ながらのやり方で行われた。その様子はまたいずれ。今回はオヤスカーフの色の話。オヤスカーフのモチーフにより、いろんな意味があることは今までもお話してきたけれど、スカーフの色そのものにも実は意味がある。もちろん若い娘さん向け、年配の人向けという色の傾向や好みはある。それ以外に例えば下の写真のような「赤」のスカーフ。「花嫁のスカーフ」と言われる。結婚した女性が、40日間、手持ちのスカーフから赤い色のものを選んで日々被るのである。周囲に「今度結婚してこの村に来たものです」というPRになるわけである。周囲もそれを見て新参者の花嫁にいろいろアドバイスをしたり、手助けしたりする。もうひとつ。エンジ色のスカーフ。これを被ると、出産したばかりです。という意味になる。「出産した女性」の意味である。すると産後でいろいろ不便があるだろう、身体的に無理させないように・・・と、周囲が気遣いする。出産後40日間被る。赤いスカーフも、エンジのスカーフも40日間被るらしいが、この40日間という単位。トルコ語ではよく使われる数値であるが、「たくさん」という意味でもある。これらを説明したアイシェは49歳。「自分が若い頃はそう言われてきたけど、いまどき、そんなことを言う人もいないけどね」と。スカーフの色の話は各地でも聞く。地域や村単位で異なることを言うと思う。広域で言われるのは白のガーゼタイプのスカーフ。主にボンジュクがついているやつ。あれは旦那さんに先立たれた未亡人がつける・・・・っていう話はいろんなところでよく聞く。年配の人が被っているからね・・・とも思うけど。こういう話は、昔の話を知っている人から聞いて記録していくしかない。今じゃ、知る人もいないわけだし。村での女性たちの言い伝えが、どこかに記録されて残っているわけでもないし。にほんブログ村 手芸(その他・全般) ブログランキングへ
March 25, 2015
イーネオヤの糸と言えば、本来はシルク糸である。紡織用のシルクの端糸を使って作ったのが始まりである。短い糸でも作れるのがイーネオヤの最大の特徴だよね。その後、だいぶ経ってからコットンのレース糸が流通されるようになって、レース糸でイ―ネオヤが作られた時代もあった。10年前ほどに村で探しまくったら、タルソスやアダナあたりで、白のコットン糸だけで作られたイ―ネオヤの縁飾りを見つけたことがある。ただレース糸だと色が白・・・・、あって数色なので実に地味・・・である。そこでそのころ、手芸店で売られるようになったビーズが登場する。白のコットン糸にビーズで色を添えるようになったのである。だから今生きている年配の女性に昔のオヤスカーフを見せて・・・・というと、ビーズオヤが出てくるのである。1960-70年ごろのブームである。ただビーズは重さが難点。長続きはしなかったのもそれが理由である。そして前後して、ボビンのナイロン糸が発売されるようになった。色とりどりのボビン糸に女性たちが飛びついたのも想像できるであろう。それからはナイロン糸を中心にオヤが作られるようになった。10年ほど前まではナイロンが主流であったが、各メーカーがナイロンの生産を中止するころに、ナイロン糸に混じって、マスラと呼ばれたポリエステルの3本撚りの細い糸が出たが、細い糸を避ける女性たちの嗜好で、6本撚りのポリエステル糸に移行していった。各手芸店や卸問屋でもナイロン糸の取り扱いをやめ、ポリエステル糸をメインとするようになったのもこのころ。売れなければ生産をやめる。生産がないのであれば店頭に出さない・・・・基本の基本である。現在はナイロン糸は基本の白や黒などを除けば、生産しているメーカーはないはずである。各地の手芸店や問屋の在庫頼りの状態である。これらの話は2010年の「毛糸だま」(日本ヴォーグ社)の記事「イ―ネオヤ・ロード 前・後」に書いたので、機会があったら見てください。これらの糸の遍歴と別に、人工シルク糸の存在がある。数量的には少ないのであるが、知られるところではナウルハンのアクセサリー製作に活用されている。2004-2005年ごろ、ナウルハンがアクセサリー製作を始めたころの話である。ナウルハンの一部の手芸店でこの人工シルク糸が扱われるようになった。ただ数はかなり少なかった。ナウルハンでこの人工シルク糸が使われた理由は、この地がもともとシルク糸を使ってオヤを作る伝統がある土地であり、女性たちにとってイーネオヤを作る際に「糸を撚る」という作業が必要だったからである。またこの地の独特なスカーフのオヤの形体上、バラける糸でなければならなかったというのも理由。この話はまたいずれ。撚る必要のない、ボビンのナイロン糸ももちろんあった。でもそれよりも撚る必要のある、人工シルク糸が好まれたのである。この人工シルク糸。ナウルハンで見かけるのでナウルハンのものと誤解されがちであるが、実はブルサに製造元の工房がある。私はたまたま、この工房のおじいちゃんを知っていたので、糸の出所もわかっていた。ただ撚らなければならない糸のため、ナウルハンのような特殊な土地でしか好まれず、トルコ全土を見ると、一般の女性たちはボビンのナイロン、ポリエステル糸を使っていたため、広範囲では広まらなかったのである。その上、製造元はインターネットもメールも使えないので、自分でPRすることが不可能。糸を扱っているトルコの業者は当然だけど、製造元を教えるわけないし、多くの人がナウルハンから仕入れるしか方法がないのだと想像する。この人工シルク、見れば本物の絹でないことは一目瞭然である。しかし、2004-2005年にナウルハンに調査で行ったときも、「シルク」として流通していた。「シルク」という名の「人工シルク」という意味である。ナウルハンの女性たちはそれが本物のシルクかどうかということはもちろんわかっていないし、重視していなかった。「シルク」と呼ばれているから「シルク」なんだろう・・・・程度の認識である。そういう話を聞くと、キリムや絨毯のウール染色の過渡期の話を思い出す。トルコでは身近でとれる植物や鉱物で絨毯などに使うウール糸を天然染めをしていた。それは手間も時間もかかるもので、私も過去に体験したが、1色作るのに何日もかかる場合があり、天然染めの大変さは理解しているつもり。ある日、移動販売の業者が村に粉末の染粉を持ってきた。お湯に溶かすだけで、あら簡単。面倒な天然染めより、粉末染めの方に飛びつくよね。村の女性たちは、それが結果的にいいとか、悪いとかじゃなくて、簡単に染まるから使っただけ・・・・。それが50-90年経った今、骨董としての「染め」の部分の価値に差が出たりしているわけだったりするのだけど、当時はもちろんそんなこと考えてやしない。話を元に戻すと、糸を撚りたいナウルハンの女性たちは人工シルクを撚りながら、イ―ネオヤを作っている。靴下に針を刺し、それを軸に手で撚るだけなんだけど、当時から誰が考えたか、中国製のおもちゃのモーターを改良した糸撚り器というのがあり、おもちゃ屋さんで売っていた。今は改良され、ずいぶん良くなったことだろうけど、当時は何回か使えば壊れます・・・という代物で、モーター使う人もいたけど、手でも問題ないって話。そして最近はシルク糸の代用として、この人工シルク糸を使う地域や個人も増えてきている。エフェオヤもどきに使ったり、アクセサリーはもとより、スカーフの縁飾りにも使われる。もともとシルク糸を使ってきた人たちが、安いシルク糸が手に入った・・・・という程度の認識なんだと思う。それかアクセサリー作りで成功したナウルハンを視察に行って、この糸を見つけたか・・・・。この人工シルク糸、製造元のおじいちゃんの話では約250色あるそうである。在庫切れもあるが常時160色は揃う。今回100色100本セットをヤフオクに出しているので、もし興味がある人は見てみてください。残り3セットあります。送料(5400円)込み、15000円です。 → ヤフオク 人工シルク糸100色100本セットにほんブログ村 手芸(その他・全般) ブログランキングへ
March 19, 2015
2015年2月4日(水)。最後のイベントは地元千葉のコワーキング201さんで行われました。ブライダル・プロデューサーの森りかさんの主催で、昨年はトルコのお茶とお菓子、今年は森さんの手作りトルコ料理でみなさまをおもてなしいたしました。お茶は今回、トルコ式チャイではなく、様々な種類のハーブティー。トルコのハーブティーは今、いろんな種類が各メーカーから出ていて、甘いのから酸っぱいのまで、とっても飲みやすいです。お代わりもしていただいて、最後はお土産にお持ち帰り。そして、森さんと私でアンタルヤの紹介をしました。スーパーの売り場になにがあるか・・など、みなさん興味津々にご覧になっていました。年末年始にアンタルヤにいらした森さんの実体験ですので、聞いている方にもリアルでわかりやすかったのではないでしょうか。私は何が珍しくて何が珍しくないのかもわからなくなっています・・・・・。昨年に続いてのお茶会シリーズ。今年も募集からすぐに満席になりました。楽しんでいただけたでしょうか。これを機会にトルコにも遊びにいらしてくださいね。というわけで2015年冬のイベント4か所の報告でした。オヤを愛する大阪のさらさん、東京のこんさん、ブライダル・ブロデューサーの森りかさん、おかげさまで素敵なイベントが実現しました。また来場してくださったみなさま、お手伝いしてくださったみなさま、心より御礼申し上げます。イーネオヤもブライダルもお茶会も、基本はトルコの紹介です。本当の意味でのトルコの紹介とは、自分のお店のためだけにいろいろ宣伝したり、変わったことをするのではなく、まずは様々な角度からいろんな興味からトルコを知ってもらうこと・・・・だと思います。私は私なりに商売含めて、または商売と離れたところで、いろんな方に助けてもらいながら、トルコとアンタルヤを知ってもらうための活動をしていきます。地味で目立たないですけど、それをきっかけに一人でも多くの人にトルコやアンタルヤに興味を持って遊びにきてもらえたらうれしいです。にほんブログ村 手芸(その他・全般) ブログランキングへ
March 5, 2015
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