日々草

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2005.03.11

勝ち組と負け組みはあるか？（若者たちの未来は．．．）

カテゴリ：時の話題・９条の会

昨日は「勝ち組み」の先頭を走る東京大学の合格発表であった。

　勝ち組と負け組みはあるか？
この問いに対して残念ながら『ある』と答えざる得ない。

　今までもあったが、経済の高度成長期には、負け組みは負け組みなりに安定した雇用と収入が保障されたのでその矛盾が激化せず、見えなかっただけだ。

　パブル経済の崩壊後新しい経済構造が構築されつつある。この構造は今までとは全く異なる雇用の仕方を採用している。
　即ち、ごく少数の中核となる専門性の高い技能をもっている、あるいはその教育に速戦的に耐え得る優秀な人材だけを正規に採用し、他の単純労働は、派遣、パート、フリーターにゆだねる、と言うのがそれだ。
どんなに景気が高揚しようともこのスタンスはかわらない。

　若者にフリーターが多く、今の若者は働く意欲がないという批判があるが本当か？
　否、である。
　働きたくとも経済の仕組みがかくのごとく変更されようとしていて、働く口がないのだ。その親たちは高度経済の成長期に就職していて、その変化に気づいていないのだ。あるいは気づけない社会的位置にしかいなくて、全体を見渡せていないのだ。

　私が今まで学力問題の中で述べてきた、現在の日本の教育はこの意味でとてもあっている。
　なぜなら、大量に低学力の知力の乏しい、レジャーや消費行動にはめっぽう強い子供が大人になることはフリーターの予備軍としてはちょうど良い。
　この新しき大人たちを飢えない程度に社会は養っていかなくてはならないだろう。

　そんな日が来る前に根本のところで変革を迫られているのは、私たち大人たちである。教育を担っている学校はその先頭にいる。教師たちはそれを知っているか。

　女の子の育て方に、短大ぐらいを出て、中堅、あわよくば大企業に入社してそこで良き伴侶を見つけて結婚しめでたし、めでたし、というコースがかってはあった。
　しかし、今はない。
　あるのは、フリーターとフリーター同士のカップルですぞ。
派遣社員と派遣社員の組み合わせですぞ。
　そのフリーターたちの多くは生活の大部分を親に依存して生きている。
　親が死んだらどうする。親が寝たきりになったらどうする。

　そして、勝ち組と勝ち組同士のカップルが次々に誕生し、新しい理念で、豊かな暮らしが出来る基盤を彼らは着実に付けていく。たとえば医者は医者同士、弁護士は弁護士同士などなど、ともに働き、益々フリーターや派遣社員との生活レベルや収入の差はひらくばかりである。

　アメリカはすでに、かくのごとく国になっている。
　貧しい者は貧しい者同士が結びつき、その子女は大学に行きたくとも、それこそ軍隊に入って学費を得るしか道がない。イラクの戦場に狩り出されている軍の若者の供給源はこのような膨大な貧困層だ。これは決して特別の人たちではない。ごく普通の善良な誠実な市民たちなのだ。
　高収入の家庭の息子がイラクの戦場の最前線に行って戦死したという話は聞いたことがない。
　高い収入の家庭は、家族の殆どが高い社会的地位や収入の職について社会活動を生き生きしていたりする。
　女性が専業主婦という家庭はどちらかというと貧しい層に多いというのががアメリカなのではないか。
　こうして、市民の中の生活の質的差は益々開くばかりである。

　しかし、日本も２０年ぐらい後には、国民の生活はこのような二極化が進み、フリーターが正規の安定した雇用の機会を得ることは一生ないであろう。

　私の教室の親たちにこのような話をすると、親は
　「そこまで、深く考えた事はないし、うちの子はそのような中にははいらない、と思う。」と。

　レージャーランドとやらで夢と冒険（？）にふけっている間に、社会はすごい速度で変化していることお見逃しなく。
　ゲームのなかに浸っている間に社会は激しく変化していることお忘れなく。

　自分の子供に与えている教育やしつけが２０年後の社会に耐え得るものかどうかよくよくご検討を。

と警鐘を鳴らしたい。

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