水彩画紀行  スペイン巡礼路 ポルトガル 上海、蘇州   カスピ海沿岸からアンデスの国々まで

水彩画紀行 スペイン巡礼路 ポルトガル 上海、蘇州   カスピ海沿岸からアンデスの国々まで

PR

Profile

水彩画人 俊介

水彩画人 俊介

Freepage List

Spain Pilgrim road


SpainPilgrim road 2


スペインの西の果ての岬の町


スペインの忘れえぬ人々


スペインの忘れえぬ人々 続編


巡礼路で出会った人々


嫁ぐ娘への懺悔録


人の心は水彩画


ヨーロッパ世界の裏の恐ろしさ


嘘のような本当の話


イラクの恐ろしい現実


未来を奪われた子供たち


逆説「大好きなアメリカ人」


倉敷の美観地区と美味しい店


ユーモアのある家庭


シルクロード紀行


カスピ海の国アゼルバイジャン


アゼルバイジャンの女流陶芸家


シルクロードの悲劇


カスピ海の女人の奔放さ


ロシアの華麗なバレー団 TODES


ロシア料理店への招待


カスピ海の夏の海


アゼルバイジャン気質


不思議な少女との出会い


カスピ海美人に招待される


アゼルバイジャンの黄昏時


白いロールスロイスの花嫁


豊富な食材で料理を楽しむ


恋人たちの季節


テニストーナメント参戦記


カスピ海の夜の出会い


安くておいしいコーカサス料理


ある春の一日


俳句は詩的な日記帳


美しい言葉 風花


桜の城 高遠


俳句を始めたい方


短歌 青春挽歌


風鈴や亡き人影の窓よぎる


兄と妹の物語


父と娘の物語


青春の光と影 恋


神さまは存在する!


娘へ贈る結婚の言葉


モーツアルトが大好き


珠玉のモーツアルトの作品より


水彩画紀行


風の盆 越中八尾の美しい町


風の盆 妖艶な夜の舞


風の盆 深夜の町流し


Favorite Blog

彩色2日目 New! NEXTPEAKさん

ちがや New! jiqさん

ハンショウヅル New! yhiro8888さん

慣用句「あ」202… New! 風鈴文楽さん

今日は新聞休刊日 New! カーク船長4761さん

「あなたの代わりに… Mドングリさん

三文小説 mizu-sinさん
萌野の短歌日記 萌野さん
宇宙 o3124aさん
プロヴァンス・ダジ… pidooさん

Keyword Search

▼キーワード検索

Archives

2024/06
2024/05
2024/04
2024/03
2024/02
2003/04/20
XML
テーマ: 不思議な体験(3)
カテゴリ: 絵日記三昧
誰もが、一生を左右するような恋をいくつかしているのだろう。

そして、その出会いがいつも偶然とは思えない・・・。

人の生き方を左右するような初めての恋も亡くなったかみさんとの出会いも。

いつも誰かが、どこかでで配慮してくれたのではないかと思うほど不思議な偶然が重なっている。

長崎から福岡に初めて出てきて大学の門をくぐった頃の出来事。

憧れだった工学部に入った喜びは5月頃になると,もう薄らぐ。

すでにどこか目標を達成したあとのむなしさがあった。

”Man is a fliying arrow"

「女は幸せをコンクリートで固めようとするが、男にとって幸せは、手中に入った瞬間から色あせてくる。

また次の目標に向かって飛び立つしか道はない。」

これはドイツの格言。

次の目標は自分でさがさないといけない、が見つからない。

大学を卒業して社会人になってもその先には何もないように思えた。

日々がむなしいので、手当たり次第に本を読んだ。

まず中島敦のカメレオン日記に同じ思いを発見した。

 「俺のまわりには蛙の卵を包むゼラチンのようなものが取り巻いていて、

 外界との接触をさえぎっている。俺には生きているという実感がない。」

フランクルは「夜と霧」の中で言う。

 「いつ死がやってくるかしれない絶望の中でも、収容所の中の木が芽吹くと

 生きているという歓びを感じた。生きている意味はそういうところにも実在する。」と。

シュバイツアーは著作で述べる。

 「子供の生きる歓びにあふれた表情をみてごらん。大人になって虚無的になっている

 貴方たちにも、あの歓びは持続しているんだよ。気づくことを忘れてしまっただけだ。」と。

そんな頃、5月の大学祭で学生劇を見た。

生きることがわからないと嘆く男をひきとめようとする少女が舞台にいた。

一目見ただけで、ひきつけられた。色の白いほっそりした、

すきとおるような声をもった少女だった。色でたとえればブルー。

同じ時、入学した文学部の学生だと誰かが教えてくれた。

あんな少女と恋をしてみたい、遠い夢のような思い。

それから2年がたった。

その頃、四国の病院に従兄が医者をしていて正月に遊びにくるように誘いがあった。

授業もバイトも終え、年末の大分線の鈍行列車で四国に向かった。

そしてトイレに行こうと列車の中を歩いていたら、長い鈍行列車の同じ車両にその少女が「いた!」

ときめく心を抑えて声をかけた。

彼女は支線のある町のお寺の娘、帰省するところだった。

それから駅につくまで、夢中でいろんなことを語った。

そして、なんの約束もせずに別れた。

本学と言う専門課程に入って忙しくなってきた頃。工学部の図書館で、

彼女の姿を時々見かけるようになる。

遠くで見る笑顔がはなやかだった。

いっしょに、同じ図書館にいただけで幸せだった。

そしてある日声をかけてブルガリア合唱団の演奏会に誘った。

「きっと、もう一度誘ってくれると思って待っていた。」と彼女は言った。

それから、彼女が一緒に住んでいた外人女性教授の官舎に招かれて

彼女の料理をご馳走してもらったりした。

しかし結局ふたりが話す事は生きる意味が見つからないということ、

いくら会っても、話はその先には行かなかった。

待ち合わせ場所を間違えて、ふたりとも電停で1時間待っていたり、

いろんなことがどこかかみ合わなくなって、紆余曲折して・・・別れた。

そしてそれから4年たって大学院を卒業する頃、ふたたび出会って話をするようになった。

彼女には、決心しかねているフィアンセがいた。

ある日、公園での話しに夢中になって夜中2時近く、終電もなくなっていた。

近くの宿で夜を明かした。

翌朝、別れる時、彼女が言った。

「自分で決心がつかなかったから、奪って欲しかった」と。

彼女とのことでは辛いことが一杯あった。

最初から、一緒に生きていく人ではないような予感はしていた。

けど、今でも、あの、同じ日、同じ時刻のあの長い鈍行の同じ車両で

出会えたことに、とても感謝している。

こんなにあでやかでなく、もっとつつましやかで控えめな人だったけど

偶然アゼルで出会ったこの仮面に彼女はよく似た人だった。

今でも、あれがとても偶然だったとは思えない。

仮面





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2003/04/24 01:02:40 PM
コメント(5) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: