水彩画紀行  スペイン巡礼路 ポルトガル 上海、蘇州   カスピ海沿岸からアンデスの国々まで

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水彩画人 俊介

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Spain Pilgrim road


SpainPilgrim road 2


スペインの西の果ての岬の町


スペインの忘れえぬ人々


スペインの忘れえぬ人々 続編


巡礼路で出会った人々


嫁ぐ娘への懺悔録


人の心は水彩画


ヨーロッパ世界の裏の恐ろしさ


嘘のような本当の話


イラクの恐ろしい現実


未来を奪われた子供たち


逆説「大好きなアメリカ人」


倉敷の美観地区と美味しい店


ユーモアのある家庭


シルクロード紀行


カスピ海の国アゼルバイジャン


アゼルバイジャンの女流陶芸家


シルクロードの悲劇


カスピ海の女人の奔放さ


ロシアの華麗なバレー団 TODES


ロシア料理店への招待


カスピ海の夏の海


アゼルバイジャン気質


不思議な少女との出会い


カスピ海美人に招待される


アゼルバイジャンの黄昏時


白いロールスロイスの花嫁


豊富な食材で料理を楽しむ


恋人たちの季節


テニストーナメント参戦記


カスピ海の夜の出会い


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カテゴリ: スペイン巡礼路




西のサンチャゴまでの800km。

これはイスラムからの国土奪回を目指したそのスペイン巡礼路の

なつかしい街々の名にちなむ歴史物語である。

物語の主役は実在の英雄エル・シド。

カスティーリア王国の中心ブルゴス近郊で生まれた。

時は1043年、国土の半分以上をイスラム教徒に奪われていた時代だった。

若くして王の長男サンチョ王子の親衛隊として活躍。

しかし戦った相手は、キリスト教国アラゴン、父王の弟の国。

応援を依頼したのは意外なことにイスラムのサラゴザ王であった。

サンチョ自身も王となると、弟王の国、レオン、ガルシアを攻めて国を乗っ取る。

敗退したレオンの王アルフォンソは、なんとイスラム王国トレドの宮廷に亡命。

しかし、サンチョ王はなにものかによって毒殺される。

国外追放された弟アルフォンソが権力に帰り咲き3国の王となる。

このように、当時のスペインでは、寛容なイスラム国に支援された、

キリスト教徒間の過酷な骨肉の争いがあった。

そんな折、兄王サンチョに仕えた英雄エル・シドは、当然ながら

戦った相手の弟王アルフォンソ6世の不興を買う。

カスティーリア国を追放され、

修道院に預けた妻とも娘とも別離。

王の命令で、宿も食物も得られぬ悲惨な追放の旅が続く。

たどりついた先はイスラム王国サラゴザ。

イスラムの寛容な王に救われて傭兵隊長として頭角を現す。

しかし力を得ると、再びキリスト教軍団を結成。

イスラム王国のひとつバレンシア攻略に功績をあげる。

アルフォンソ国王も、その果敢な力量を無視できず、怒りを解く。

時代が変わり、エル・シドのふたりの娘はやがてナバラと

アラゴンの王子に望まれてその妻となり、彼の孫が、

それらの国の王位に着く時代となる。

エル・シドも、奪回したバレンシアの領主となって武勲をほしいままにする。


そんな折、アンダルシアのイスラム小国群は、

キリスト教国の台頭に危機感を覚え、救援を依頼。

依頼した相手が、ムーア人と呼ばれるモロッコのイスラム原理主義の過激集団。


厳しい戒律を強いる狂信的な軍団がやってきて、

様相は一変、スペイン側は苦戦を強いられる。

しかし、その無寛容さが、かえってスペイン側の団結を強化。



エル・シドの死後1212年の激しい決戦で

キリスト軍が大勝利を収め、モロッコ軍は敗退。

30万のムーア軍も帰り着いたのは1割にも満たなかったという。



バルセロナの牛追い祭りでも、大きなムーア人の

恐ろしい人形が町を練り歩いていた。


ムーア人の人形


そして500年続いた華麗なアンダルシアのイスラム文化も終焉を告げる。

皮肉なことに、そのあと、やってくるのは、

キリスト教会が支配する「中世の暗黒時代」だった。


科学は沈滞し、芸術はギリシャ時代の自由な人間賛歌の発露を喪失。

芸術家のモチーフは史実に限定されたため、個性を失い発想を抑制される。

母性国家の心情に合うからとスペインの教会が奨励したマリア信仰。


そのマリア像とひとりの青年の十字架の像に、

絵画も彫刻もモチーフが縛られた時代は、

ルネッサンスとルターの宗教改革によって

人々の心が解放されるまで長くつづいた。




史実について,詳しく知りたい方は、小西章子さんの名著 

「イスラム・スペイン千一夜」{中央公論社}をどうぞ。









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Last updated  2006/09/11 04:20:15 PM
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