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プロのつぶやき1105「さかもとこーひーの焙煎のカッピング」GWも月火定休日で変わりありません、月火以外は通常営業しています。緊急事態宣言が出て、蔓延防止重点措置の千葉市ですが・・・さかもとこーひーのある郊外は静かな毎日です。まぁ、買い物に出かけない、食事会も延期、ライブは配信とコロナ暮らしです。千葉市からワクチン予約のお知らせが来ました・・・65才ですので優先ですが、それでも予約開始が5月末頃ですので、実際に打つ日はまだわかりません。店としては、コロナで常連さんの暮らしが変わっていますし、ご近所の新しいお客さまもいらっしゃいます・・・もう元の暮らしに戻ることはないと思って、コロナが収束した後の暮らしを色々とイメージしています。昭和30年代40年代から繁盛しているお店を見るようにしています。そのエッセンスに学んで、令和の暮らしを心地よくできないかと考えています。ある意味、敗戦後の暮らしの大きな変化と同じような状況になるのでは無いかと思っています。そんなこんなで・・・前回のプロのつぶやき1104「スペシャルティコーヒーの焙煎で一番大切なこと」で焙煎をするには、まずカッピングが一番大切だと書きました。では、さかもとこーひーのカッピング、焙煎のカッピングについて書いてみます。まず。スペシャルティコーヒーのカッピングの落とし穴を感じています。スペシャルティコーヒーのカッピングと言うと、フローラルとかベリーとか香りの表現が強調されています。確かに20年くらい前にスペシャルティコーヒーに出会って、カッピングの基本を学んだ時に、それまでのコーヒーとは違った様々な香りを感じて感動しました・・・フローラル、シトリック、ベリー、アップル、チョコ、紅茶、ナッツ・・・。カッピング会でもそのような言葉が飛び交っています。しかし、スペシャルティコーヒーはカスタマーオリエンテッドですから、お客さんのわからない、戸惑うような微妙な香りの表現はあまり強調しないようにしています。同じ香りを感じていても、表現で出てくる言葉は様々ですし。で、さかもとこーひーのカッピングで特に息子二人に注意したことは(最初の頃のことで、今は二人ともにトレーニング重ねています。)香りは後回しにと・・・香りにフォーカスすると他の要素がおろそかになってしまうのをたくさんみてきました。基本はクリーンカップで雑味なくきれいな味わいであることです。インポーターの担当者が何人もいましたが・・・色々と情報をいただくので、一人一人のカッピングスキルや得意不得意、傾向を把握するようにしています。その際、クリーンカップにブレが無い担当者は安心できます。ある産地のカッピング会で、素晴らしい香りのサンプルばかりだったのですが・・・少し未熟や過熟の豆が混入しているロットがありました。香りにフォーカスしていると、どれも素晴らしい香りがするので、微妙なレスクリーンを見逃します。カッピング会の参加者でそのような人が何人もいました。クリーンカップにフォーカスしていると、それらを見逃すことがありません。次は、マウスフィール口当たりや余韻の心地よさ、甘さにフォーカスします。で、慣れて来たら酸の質とボリュームになります、酸の理解がとっても重要ですが、そのレベルになるにはトレーニングをある程度積まないと難しいと思います。お客さんは酸味を感じないのに、実はクオリティの高い酸味が隠れて活躍していることもあります。そこまでいくと自ずと香りは色々と感じて来ます・・・なので、最初は香りを意識しないようにさかもとこーひーではアドバイスしています。そうしてカッピングの基礎ができて来たら・・・焙煎のカッピングです。さかもとこーひーの焙煎の注意点は・・・焙煎初期のカロリーオーバー、水分抜き工程、ロースティング工程、ロースティングポイントと大きく分けています。まぁ、その他書けない細かいポイントがいくつかありますが、それぞれが的確かどうかをカッピングで判断します。焙煎のデータ、温度と時間、排気とカッピングで・・・どこに原因があるか検証の繰り返しです。サポートしているお店からは10gの豆を送ってもらい、それをカッピングして焙煎のどこに問題があって、どう調整するかをアドバイスしています。焙煎自体は難しい操作があるわけでは無いので、温度管理、時間管理、排気の管理をするだけです・・・あとは焙煎機のメンテナンスですね。難しいのは焙煎で味がぶれた時にそれがどこにあるかをカッピングで判断することです。そのために20年間仮説検証を繰り返してきました。国外国内色々な店の豆をカッピングしますが、カッピングすれば素材や焙煎のことが伝わってきます。素晴らしいコーヒーに感動したり、素材や焙煎の問題を感じたりしています。自分の店の焙煎ならシンプルなんですが・・・サポートしている店の焙煎だと、煙突の状態だったり、焙煎機のコンデションだったり知らないところでの変化があったりするので、複雑になります。まぁ、自分の店だったら30分で解決することが、よその店だと数日かかることがあります、それは距離があるハンデですね。そこまでいくと・・・美味しいかどうかになります。美味しい美味しく無いはお好みもありますので・・・同じコーヒーを飲んで常連さんがどう感じるのかを意識します。すると感じ方の色々が見えてきますので、品揃えに反映します。さかもとこーひーはアイテムが多くて選びづらいと言われることがありますが・・・それぞれにリピートする常連さんがいるので、増えてしまいます。新しいこーひー発売するときは、どういうお好みのお客さんに喜んでもらいたいかを明確にしています。スペシャルティコーヒーはカスタマーオリエンテッドなので・・・誰にでも美味しいよりも、誰にとって美味しいかを大切にしています。不特定多数のマスマーケット相手では無いので、大きな商売には向きませんね(笑)今回もこれから焙煎をしたいというカフェのスタッフさんのある若者に向けて書いてみました。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2021.05.02
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プロのつぶやき1104「スペシャルティコーヒーの焙煎で一番大切なこと」GWも月火定休日で変わりありません、月火以外は通常営業しています。緊急事態宣言が出て、千葉市は蔓延防止重点措置の区域になりました。さかもとこーひーは千葉市でも郊外の住宅地ですし、カフェではありませんので・・・蜜を避けて、マスク消毒換気を徹底して、通常営業しています。ウイルスに忖度はありませんので、日本中世界中が非常時になっていますが・・・あまりイライラしないようストレスためないよう意識して自分や家族を守っていきましょう、くれぐれもご自愛ください。そんな中・・・まだまだ千葉市内でも自家焙煎店が増えています、自家焙煎店は店開いたからといってお客さん気軽に来てくれませんし、商売を軌道に乗せるのはかなり大変です。仕入れ焙煎販売に加えて焙煎機のメンテナンスと結構やること多く・・・しかも暇なときはやることないのですが、お客さん増えて焙煎量増えてくると急激に仕事量が増えてきます。よくあるのは、暇なときは焙煎機の掃除ばかりしていて・・・忙しくなると掃除が後回しになって、排気が悪くなったり、焙煎機の故障につながったりすることです。かといってスタッフさん増やすほど売上ありませんので、ブラックな働き具合になります。さかもとこーひーは開店当時から朝6時から仕事して終わるのが8時9時とか、しかも無休で、次に祝日だけ休んだり、週一定休日になるまで数年かかりました。最近のお店は最初から隔週2日定休日とかがあって、それでやっていけたらすごいと心配してしまいます。さらに、仕入れや焙煎、ブレンド、販売とかなり専門的な知識や技術が必要ですが・・・スペシャルティコーヒーの焙煎のメソッドが確立されていないので、料理やパン、ケーキのように基本を学べば一定のレベルに上達するというわけにはいきません。(だからカフェ併設して、ドリップにフォーカスしてしまいがちなのかもしれません)そんなこんなで・・・カフェのスタッフさんから将来焙煎をしたいと言われました。色々と質問されて、せっかく大学行っているんだから就職した方が良いと思うけどと年寄りなりのアドバイスをしましたが・・・本気で焙煎したいんだったらとスペシャルティコーヒーの焙煎で一番大切なことを伝えました。焙煎をしようと思うと・・・今は30年前40年前より情報がありますので・・・焙煎機のメーカーによる違いだったり、データの取り方だったり、焙煎のプロファイルだったりを聞かれます。それよりも大切でプロでもマニアでも多くの人が見逃していることを伝えました。まず、味の仕事をする上での原則は・・・自分の味覚レベル以上の美味しさは作れないということです。スペシャルティコーヒーで言えば、カッピングの向上が土台になります。大手ロースターの焙煎技術はとても成熟していると思いますが、だからと言ってスペシャルティコーヒーにそのまま通用するわけではありません。素材のポテンシャルが違いますし、普段焙煎している素材が違いますし、その味わいを届けるお客さんも違います。で、最初は美味しいと思う店のコーヒーを飲み続けて基準を作ることからスタートです。しばらくは(半年、1年)そのコーヒーだけカッピングし続けるのをお勧めします。最初から色々と比べていると遠回りになります。僕は45年前紅茶の基準を身体に作るためにリプトンの青缶をずーっと飲み続けました。ポンド缶を何缶空けたことか。スコッチならデュワーズを飲み続けました。カッピングするコーヒー以上の味覚にはなれないので、カッピングトレーニングするコーヒーを何にするかも大切になります。自家焙煎店だと自分の店の豆をカッピングすることが多いので、そこに壁が立ちふさがります。そして、昔よりデータが取りやすくなりました、焙煎プロファイルのデータソフトも色々とあるようです。ツールとして助かりますが・・・そこに本質はありません。そのデータが効果的なのかを判断するのはカッピングです。さかもとこーひーはロースティングポイントは1℃単位で決めているがその判断をするのもカッピングです。素材を見極めるカッピング、焙煎を見極めるカッピング、ブレンド作りのカッピングと必要です。さかもとこーひーがサポートしている店の豆を10g送ってもらいカッピングしてアドバイスしていますが・・・排気、ボトムの温度、水分抜き、ロースティング工程、ロースティングポイントなどのどこに問題があって、どう調整するかが分かります。それは、焙煎データ、基準、カッピングの繰り返しでできた焙煎のカッピングです。インポーターの方々は素材の評価はプロであっても焙煎のカッピングはトレーニングしていないでしょう。ブレンドのカッピングも同様です。インポーター、ロースターによって求められるカッピングスキルが違ってきます。そして、最後にお客さんの感じ方にもフォーカスすることです。同じコーヒーを飲んでも、お客さまによって感じ方はそれぞれ様々です。さらに、お好みも違ってきます。美味しさはあるものではなくて、感じるものですから・・・自宅用や趣味なら自分が美味しいと感じるもので良いのですが、プロになるのなら、お客さんが美味しいと感じる美味しさを出さなければいけません。勿論、店ごとに店主ごとに好みやスタイルはありますが、それでもその店の中での美味しさの幅が必要になってきます。料理界でも引用される世阿弥の「風姿花伝」に「我見、離見、離見の見」という話しを読んだことがあります。「我見」は役者自身の視点、「離見」は観客の視点、「離見の見」は役者が観客の立場になって自分を見ることだそうです。味の仕事も同じで・・・常連さんの立場になって自店の味を見ることも大切です。よくあるのが、こんなに良い素材使って、手間をかけているのに、お客がわかってくれないというような考え方です。それは自分の視点の美味しさや技術になっているわけです。こういう話しは息子にしかしないのですが・・・若い焙煎希望者がいたので書いてみました。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2021.04.25
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プロのつぶやき1076「さかもとこーひーの焙煎メソッド」2020年9月から・・・「月曜・火曜定休日」になっています・・・ご不便おかけしますが、よろしくお願いします。10月になって暑さが飛んで行って、涼しさから冷え込みまで感じるようになりました。テニスの全仏が今日の決勝で終わり・・・少し時間ができます(笑)4時間5時間の試合は録画であっても観るのにエネルギー要ります。ライブ配信もぽつぽつあるので楽しいです。先日はフレンチのシェフから・・・もう少しコクがあって、円やかな感じが欲しいと連絡があって・・・今までの豆のタイプからお勧めを3種類送ったのですが、どうも噛み合っていないので・・・時間を合わせて行ってきました。で、フレンチやイタリアンに多い全自動のマシンなんですが・・・まずは、今の設定で淹れてもらいひと口ふた口・・・メッシュを細かくしてもらいひと口ふた口・・・これでシェフもマダムも円やかなコクに納得してくださり・・・さらに1杯での設定、2杯での設定を確認しました。言葉だけだとなかなか難しいことがありますので・・・同じコーヒーを飲んでのコミュニケーションが重要です。新しくさかもとこーひー使ってくれるカフェでも・・・実際に飲んでイメージを共有すれば、即作れるんですが・・・言葉だけだと難しいです。最近はさかもとこーひーの豆を使うエスプレッソメインのカフェが増えてきて、とっても励みになっています。何と言っても家庭では難しいエスプレッソやラテを楽しめますから・・・洗練された味わいが好みだったり・・・ダークな味わいが好みだったり・・・季節でブレンドを変えたり・・・多様な魅力になってきています。秋冬むけに・・・ほっくりマロン、赤ワイン煮詰めて黒っぽいベリー・・・なんてイメージでも、翌日にはサンプルブレンドして届けてます。まぁ、その辺は引き出し多いですから、何とでもなりますね。そんなこんなで・・・前回の焙煎3人体制に続いて・・・今回は 「さかもとこーひーの焙煎メソッド」を書いてみます。今、来年開店を目指している方のサポートしていますが・・・継続的に焙煎や商いのサポートしている自家焙煎ビーンズショップが10店くらいあります。共通の焙煎表を使って焙煎の記録をとって・・・10gの豆と焙煎表を送ってもらい、カッピングして電話やメールでサポートしています。焙煎機はプロバットが多くて、ローヤルもありますね。カッピングすれば、どこがどう悪いか分かるようになりました。で、まず最初に伝えるのは・・・ルーティンをきちんとすること、焙煎する時間を決めたら同じ時間にすること(朝開店前が多いですね、営業時間中はしません)、店に入ってから蛍光灯点けたり、換気扇回したり、焙煎の準備して、スイッチ入れて、予熱したり・・・豆の計量したり・・・すべて同じ手順でするとミスが減ります。自家焙煎店規模の焙煎は同じようにしていてもブレることがあるので、自分で一定にコントロールできることは一定にします。焙煎の基準は・・・ボトム中点の温度、水分抜き工程の時間、ロースティング工程の時間、ロースティングポイント、ダンパー排気ですね。焙煎は干熱調理ですので、170-180℃のカロリーはポイントになります。例えば、170-215℃の時間が同じでも170-180℃のカロリーが違うとデベロップに影響があって、香り甘さマウスフィールと大きく違ってきます。これはよく見る焙煎曲線では気づかないかもしれません。飲む人が際立つ魅力、美味しさを感じるように・・・必要な時間に必要なカロリーを与えて、成分をデベロップさせるわけです。ボトム中点の温度や焙煎初期のカロリーオーバーの表面焼けの辛味も要注意ですね・・・これやると後では修正効かないし、香りも甘さマウスフィール余韻と影響大です、ほとんど感じないくらいの辛味で香りや甘さマウスフィールが良くないこと時々見かけます。表面焼けと言えば排気でもあります・・・プロバットは排気が強いのでぴったり合わせないと、排気が強いと火力を上げてそれで辛味が出ることあります。カッピングでドンピシャに合わせます。排気と言えば、煙突も重要です・・・煙突が長かったり、曲がりが多いと少しの汚れで排気に影響でます・・・カッピングして排気の悪い味だったので煙突掃除も聞いたらしていると・・・で、あれこれやっても直らないので、車で飛んで行ったら煙突の途中が斜めになっていて、ここは掃除したと聞いたらしていないと・・・そこ掃除したら解決しました。焙煎は火力だけで焙くのではなくて、部屋全体から外の煙突まで影響するので・・・その全体像を理解しないと安定した焙煎にはならないでしょう。日本だけでなく、欧米の若い人の焙煎で水分抜け悪くて、デベロップしていなくてウオータリー、さらに焦げているって豆カッピングしましたが・・・知識や頭で考えていて、素直に飲んでいないかと思ってしまいます。クリーンでキレが良くて、余韻が心地よい・・・これは基本だと思います。で、安定しないと微妙な検証をできないので・・・スペシャルティコーヒーは際立つ魅力で、素材のポテンシャルが高いですから、安定した焙煎、カッピング、検証の繰り返しが大切だと思っています。大手やキャリアのある自家焙煎店の焙煎は成熟していて素晴らしいのですが・・・使っている素材がコマーシャル、コモデティ、プレミアムと言われるレベルのもので・・・そのメソッドのままではスペシャルティコーヒーのポテンシャルはいかせないと思います。スペシャルティコーヒーの際立つ魅力をカッピングで理解して、それを活かすよう焙くわけですから・・・カッピングスキルや感性が高くないと活かせないでしょう。さらに、スペシャルティコーヒーはカスタマーオリエンテッドでお客さんがその魅力美味しさを感じないと意味がありません・・・お客さんの感じ方も深く理解しないと・・・お客さんは素晴らしい美味しさと思わないわけです。素材が素晴らしいだけではスペシャルティコーヒーにはならないと思っています。なので、さかもとこーひーの常連さんの様々なお好みを感じたり・・・カフェやレストランのバリスタやシェフのお好み、さらにカフェやレストランのお客さんのお好みも感じられるよう意識して・・・毎日ランチやお茶で卸先のお店に行ってます。最近坂本さんにお店で会えないと言われることありますが・・・別に息子に店任せて、ふらふらサボっているわけではありませんので悪しからず(笑)さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2020.10.11
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プロのつぶやき1019「さかもとこーひーの焙煎26年を振り返る」朝晩は涼しい千葉ですが・・・昼間の日差しが厳しいこの週末です、なんだか台風が千葉を直撃しそうです。千葉は大きな山も川も無くて、さらに台風は直撃しそうでしなくて・・・大きな災害があまり無いのんびりした土地なんです。海で魚取れるし、海苔もアサリもあるし・・・畑も田んぼもあって・・・戦後の集団就職の時すぐに帰ってしまう人が多かったそうです。電車でも近いし・・・帰ってもなんとか食べられるし・・・根性あんまり無い感じです。自分自身振り返っても・・・あんまり欲望なくて、のんびり幸せに生きられればいいかなぁーと・・・人を押し分けるとか、会社を大きくするとか、ビッグになるとか、ハングリーな感じが弱いですね。昨晩は山下達郎NHKホールに行ってきました・・・達郎の声が最近で一番の調子良さで・・・パワーも艶もあって、バンド良し、歌良しでご機嫌でした。NHKホールの2階席前方で音も良くて・・・このNHKホール2階席に座ると・・・ブレンドがイメージできてしまうんです。「デイドリーム」や「ターナー」がコンサートで聴いていてブレンドが出来てしまいましたが・・・昨日もある曲を聴いていたら1曲のあいだにブレンドのイメージができてしまいました。難波さんのピアノ、達郎のギターと歌、宮里君のサックスで浮かんだんです(笑)そんなこんなで・・・今日は「さかもとこーひーの焙煎26年を振り返る」を書いてみようと思っています。まず、焙煎と言っても・・・さかもとこーひーのこーひーのための手段でしかありませんから・・・目的がはっきりしています。さかもとこーひーはビーンズショップで「こーひーのある暮らし」「ホームこーひー」「ホームタウンこーひー」を基本にしていますので・・・クオリティの高い素材を使って・・・過不足の無い焙煎をすれば・・・家庭でコーヒーメーカーでも、ハンドドリップでも、カフェプレスでも・・・難しい抽出技術が無くても・・・安定してこーひーの魅力を楽しめるってことです。コーヒー淹れるのに手間をかけられないレストランでもカフェでも同じです。勿論、熟練したバリスタさんが淹れれば・・・安定したエスプレッソやラテがピンポイントの魅力で味わえるでしょうし・・・牛乳他で色々とアレンジしても、そのアレンジドリンクが際立つでしょう。19歳で喫茶業に入って45年・・・自家焙煎に興味を持ったのが20歳の頃でした。その頃働いていたフルーツパーラーのチーフが「月刊喫茶店経営」柴田書店を教えてくれて、読み出したら、自家焙煎の有名店が時々載っていて、都内の自家焙煎店を回るようになったんです。最初に銀座のランブルでコーヒーを美味しいと思って、吉祥寺もか、本郷和田珈琲、日本堤バッハ、早稲田あんねて、高円寺さわやこおふぃ・・・順番にたくさん行きました、そうそうその頃チェーン店で元気だったポエムにも通いました・・・大阪や神戸にも行きましたね。その後、紅茶の店テ・カーマリーで独立して、2年3年後には銀杏煎る手網で週に4日5日焙煎してました。1回200g、ガス台の周りにアルミの天ぷらガード立てて、エアコンの風を避けて、火力は全開、内側に目盛りを書いて、その距離で火力コントロール、何センチで何分と記録つけて、分からないなりにテイスティングして、仮説検証の繰り返しでした。これで、焙煎による豆の変化、色、香り、煙、大きさ等々身につきましたね・・・その後スペシャルティコーヒーのサンプルローストする時にも役に立ちました。紅茶の店だったので、コーヒーは一日5杯10杯、手網焙煎で間に合ったんです・・・これを8年間くらい、週に4日5日くらい開店前や閉店後にしてました。焙煎見学を何回かしましたが、焙煎機の操作に慣れるだけで、他はほとんど役に立ちませんでしたね・・・なぜそうするのか?質問しても明確な答えが返ってきませんでした。バッハの焙煎講座で価格の根拠を質問したら軽くスルーされて・・・自分で調べ考えるようになりました。そして・・・自家焙煎さかもとこーひー開店で、ローヤルの5キロを設置して、はじめて焙煎機で焙煎したようなものですが、数回焙煎で基準を掴んで、あとは豆毎に調整するだけ・・・手網焙煎が役に立ちました。で、富士ローヤル5キロでの焙煎機による焙煎がスタートしたのですが、ここでも、記録して、カッピングして、検証する繰り返しでした。自分の味覚以上の美味しさは作れないというのがベースなので、常に自分の味覚レベルをレベルアップすることが大切です・・・素材を知ること・・・焙煎は効果的な基準を作って、仮説検証の繰り返しです。ボトムとか中点とか言いますが、豆投入してから温度が下がります、その温度が効果的なのか?・・・水分抜き工程は何度から何度で計測するのが再現性あるのか?・・・焙煎工程は何度から何度で計測するのが再現性あるのか?・・・再現性のある基準を見つけて、さらにバージョンアップする繰り返しでした。特に20年くらい前にスペシャルティコーヒーの素材に出会ってからは・・・それまでの基準では良かったりそうでもなかったり・・・ブレを感じて・・・それまでの素材だとポテンシャルがそこそこなので、ブレてもそのブレが大きな影響を与えていなかったのが・・・スペシャルティコーヒーになると・・・少しのブレで結果が違ってしまいました。再現性が弱いということは・・・基準が的確では無いと考えて・・・的確な基準を求めて仮説検証の繰り返し・・・3-5年かかりました。特に排気の強さの影響や・・・水分抜きの違い・・・ボトムの温度や火力による表面焼けの影響・・・そして、ロースティング工程のカロリーによるデベロップの違い・・・ロースティングポイントは1℃単位で比較しやすいからシンプルです。2012年1月に今使っているプロバツト12キロに変えました・・・プロバットの気に入っているところは、安定性再現性が良くて、ブレにくいのと、断熱が良くて夏の暑さが楽なのと、焦げにくい、勿論火力強めれば焦げますが、焦げる火力を見つけてその直前の火力で焙煎すると焦げずに深く焙けます、クリーンな深煎りになります・・・そんなところです。ただ、焦げの深煎り好きなお客さんには物足りないようですが、それは仕方がありません、他店をお勧めしています。輻射熱、接触熱、熱風からの熱等々のバランスもよく考えて設計されていると思っています・・・時々、焙煎機の半分が適正な焙煎量とか聞くことがありますが・・・5キロなら5キロ、12キロなら12キロ焙煎できるように設計されていますから・・・その人の焙煎だと半分が適正ということで・・・他の焙煎手法ならまた違ってくるということでしょう。さかもとこーひーは5キロ焙煎機の時は5キロ・・・今は12キロ焙煎機で10キロ焙いていますが、もう少し焙煎量増えたら12キロで焙煎しようと思っています。ただ、焙煎のキロ数を変えることはありませんね・・・常に一定の焙煎量で焙煎するようにしています・・・焙煎が安定してブレにくいです。安定しないと、少しずつステップアップしていきにくいんです。ブレていると、そのブレからクオリティアップ出来ないです。スペシャルティコーヒーになって素材がクオリティアップして、プロバツトで再現性が高まることによって、素材のポテンシャルを生かすためのよりシビアなコントロールができるようになりました。ボトムの温度、ダンパーの排気量、水分抜きのちょうど良いタイミングからロースティング工程に移る火力、深煎りの焦げない火力と明確になると焙煎はシンプルです。そうそう、その前に焙煎ってどういうこと?これが自家焙煎店を回りはじめてからの疑問でした。40年くらい前に、月刊喫茶店経営の中で、銀座のカフェドランブル関口さんが「焙煎はカラメル化」ってことを仰っていて、なるほど、でもカラメル化だけでは無いよな?とそれからも疑問でした。最初にコーヒーを美味しいと思ったのがランブルだったので、ランブル関係の記事が楽しみでした。「銀座カフェ・ド・ランブル物語」森尻純夫著の連載に、ランブルの焙煎が生き生きと書かれていたので、毎月楽しみにしてました。その後単行本になったら即買って何度も読み返しました。あと、その頃ランブルで焙煎していた山田さんの手網焙煎の記事もあって、手網焙煎するお手本になったものでした。あとは、バッハ田口さんが全国の自家焙煎店を行脚する連載も楽しみでした。各店の違いや情熱が伝わってきてワクワクしたものです。吉祥寺もかの標さんの記事は上手に隠しているのか、現実に取り入れられるものが少なくて残念だった印象があります。自家焙煎店で働いたことが無くて、自家焙煎の師匠がいませんので、自分で考えるしか無かったのです。深煎りメインの自家焙煎店としてある程度納得の焙煎が完成してきた時、スペシャルティコーヒーという農産物として理想的な素材があると知ったのです。20年くらい前になりますが・・・それで待ってましたと、飛びついて、アメリカのカンファレンス行ったり、産地行ったり、その頃の仲間と輸入したり、カップオブエクセレンス落札したりして、スペシャルティコーヒーの素材を使えるようになりました。すると、それまでの焙煎ではブレを感じて、より緻密なメソッドが必要になりました。同時に検証はカッピングでしますから、カッピングレベルを上げないと焙煎のレベルも上がりません。ボトム、ダンパーの排気スピード、水分抜き、ロースティング工程、ロースティングポイントと、カッピングと擦り合わせてバージョンアップしてきた26年です。そうそう、焙煎とは?・・・乾熱調理であるって考えた時はすっきりしましたね。調理の本を読んでいて・・・湿熱調理と干熱調理に分けられると。干熱調理は・・・カラメル、ディープフライフレーバー、メラノイジンが特徴であると。もう一つは農業の本を読んでいて、あんまり専門的な本は詳しすぎるし、家庭菜園レベルだと土いじりしないし(笑)欲しい情報が足らない。で、八重洲ブックセンターとか農業のコーナーを定期的に回って、お米や果樹栽培の名人の本を何冊か見つけて、とっても参考になりました。土作りや剪定の話しが良かったですね、勿論光合成も。この知識で産地に行った時に随分と見る目が変わりました、勿論、カッピングにも影響しました。で、結論は基準作りとカッピングの繰り返し。焙煎見学は年に数名で、継続的に焙煎のサポートしている人が10名くらいです・・・きちっと焙けるようになると、素材の良し悪しが明確になるのが驚きのようです。焙煎甘いと素材のポテンシャルがきっちりと出ていないので、クオリティの差がボケるんです。特に酸のクオリティが分かりにくくなりますね。若い人からエスプレッソのカッピングが難しいと聞かれるとまず、濃度があるので慣れが必要、それとマウスフィールの質感のカッピングをトレーニングする必要あるので、ペーパードリップのコーヒーをいくら飲んでも上達しないと伝えています。今度は・・・「さかもとこーひーのブレンド26年を振り返る」を書いてみようと思っています。ジャズのベーシストの納浩一さんが・・・アコースティックベースを演奏する上での、どうしたら耳がよくなるか?というテーマで・・・アンサンブルと気持ちよくハモる音程をとる意識・・・ベーシストの多くはリズムセクションとしてリズムのトレーニングはたくさん積んできているでしょうが・・・アンサンブル全体におけるハーモニー感覚をどれほど意識して、トレーニングしているか?・・・そんなこと書いていて・・・さかもとこーひーがブレンドに対して意識しているのと一緒で嬉しくなりましたので・・・今まで書いても話してもいなかったけど、実はブレンドのカッピングの時に意識していたことを書いてみようと思っています。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2019.09.08
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プロのつぶやき961「朝6時半からの焙煎見学」*8/13(月)~8/15(水)夏休みになります・・・ご不便おかけしますが、よろしくお願いします。中国四国の豪雨の復旧が始まったばかりなのに・・・台風が千葉から東海関西へと向かっています。自然の脅威は容赦無く襲って来ます。被害にあわれた方が1日でも早く日常の暮らしに戻れるよう願います。千葉市は暴風圏の端っこになったようで何とか無事で・・・今日の第3回ケーキとこーひーのワークショップが予定通り行えます。千葉市千葉寺のオールドマンズさんで使っている牛乳が・・・那須の放牧、牧草だけで育てているジャージー牛、63℃30分殺菌と言う素晴らしいもので・・・その柔らか滑らか爽やかな味わいの牛乳とさかもとこーひーでコーヒー牛乳を作ったり・・・その牛乳のソフトクリームがこれまたソフトクリーム好きのおっさんにはたまらない美味しさで週に1回は舐めてますが・・・さらに、千葉の老舗和菓子の栗山さんの餡子を添えるようになり・・・餡子好きとしては悶絶してます(笑)(老舗の甘味喫茶のクリームあんみつより魅力的です)で、暑すぎる夏のワークショップは・・・エクルをそのジャージー低温殺菌牛乳で割ったり・・・坂本家秘伝のキャンブリックティー(アイスミルクティー)淹れたりしようと思ったのです。午前6名午後6名がすぐ満員になってしまいました・・・8月にもう1回開催予定です(すでに申し込みが来てますので・・・)。そんなこんなで・・・今週は焙煎見学が久しぶりにありました・・・そうそう、おゆみ野店から徒歩5分のグラフトンさんが開店前に見学されましたが・・・それは焙煎を学ぶよりは、カフェで使用する豆がどう焙煎されているか見ておきたいと言うことでした。神奈川の方から朝6時半に本店に来られて・・・焙煎を見学しながら説明します・・・4-5時間説明しっぱなしなのでかなりエネルギー使いますね。もうだいぶ前に焙煎見学に来て、今もサポートしている仲間が・・・焙煎や開業の相談窓口があるのは助かるけど、朝6時半は大変と言ってました、たしかに(笑)まず、焙煎機だけで焙くのでは無くて・・・換気扇だったり、煙突だったり、吸気や部屋の広さ全ての環境が影響するので・・・ルーティンを決めたらそれを守ることがまず大切という話しからスタートです。焙煎する時間やリズムも一緒・・・なるべくコントロールできることは自分でコントロールして一定の環境を維持すると・・・安定しやすいので・・・安定すれば検証しやすいし、少しずつでも向上しやすくなるということ。焙煎スタートして温度が下がりますが・・・その温度(中点、ボトム)によって表面焼けしてそれは直せないのでとても大切なこと・・・水分抜き工程のこと・・・ロースティング工程のこと・・・ロースティングポイントのこと・・・素材の話し・・・全体像も話します。焙煎が終わったら・・・持って来られた3つの豆をカッピングして・・・良いところ・・・素材の問題・・・水分抜きの問題・・・ロースティング工程の問題・・・カッピングでひとつひとつ説明します。何となく悪い味は分かるんですが・・・それが素材に問題があるのか?・・・焙煎、それも焙煎のどこに問題があるのか?・・・分からないと直せません。(で、抽出で美味しくしようとするのが目立ちますね。)それは焙煎のデータの取り方が効果的で無いと・・・データとカッピングがリンクして検証できません。3つの豆は、全体として上手に焙けていました・・・最初の豆は、一見クリーンでも微妙に重い酸が冷めるにしたがって分かりやすくなり、冷めると喉に感じる重さ明るさの無さがあります・・・素材のクオリティーと水分抜きの問題でしょう。2番目の豆はクオリティーが高いので、クリーンさが増し明るさも感じられますが、やはり後味の重さ、甘さやマウスフィールの物足りなさがあります・・・水分抜きの問題とロースティング工程のデベロップ不足でしょう。3番目の豆はマンデリンで酸のボリュームはありませんが、同じように明るさの無さ、余韻の重さ、マンデリンのマウスフィールの物足りなさがあります。焙煎初期のカロリーオーバーによる辛味がなかったので、中点に問題は無いようです・・・まぁ、冷めきってからの味わいは、ごまかしがききませんから、完全に冷めた時のカッピングが分かりやすいですね。そのあとはおゆみ野店に移動し・・・焙煎機の無いビーンズショップを説明しながら・・・商いの話し、飲食業と製造小売の違い、業界に出ていない話しと進みます。帰りの車の中で・・・こんなに教えてもらって良いのかと思ってしまうとのことなので・・・せっかくこれだけ素晴らしい素材が手に入るようになったのだから、きちんと焙煎して、魅力的なコーヒーを広めたい、業界にはスペシャルティコーヒーの焙煎のメソッドが確立されていないので若い人が苦労している、結果ドリップで頑張ってしまう。若い人の独立をサポートするのは・・・チェーン店だけで無く、魅力的な個人店があるとその街の暮らしが少し心地よくなるし・・・そういう店を求めているお客さんがいるので、地域で親しまれ繁盛する店が増えて欲しいと伝えたんです。今まで焙煎見学に来た人は・・・メール出すまでハードルが高かったとみなさん言いますね・・・こんなに優しいのに(笑)と言うんですけどね。昭和の素材の焙煎は成熟していますから良いんですが・・・スペシャルティコーヒーのクオリティになってからの焙煎のメソッドがまだまだだと思っています。こんなに素晴らしい素材を使えるのに・・・なぜか、ドリップにエネルギーを注いでしまう若い人・・・これじゃぁ、僕が43年前に毎晩ドリップのトレーニングしていたのから進歩していないと思うんです。まぁ、セブンイレブンのコーヒーは、マシーンであの味わいを、全国2万店で淹れているんですから・・・素材と焙煎、ブレンドのウエイトが大きい答えが出ているんですけどね。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2018.07.29
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プロのつぶやき902「焙煎の考え方」プロのつぶやき900回記念で…以前に書いたことをあらためて書いています。6月になりました朝の徒歩通勤は気持よい季節ですが…昼間は暑くなってきました。日によって暑かったり涼しかったり差があるので…焙煎の温度や火力に気を使う季節です。そんなこんなで…今回は「さかもとこーひーの焙煎の考え方」です。先日、大豆の焙煎の相談があって…その大豆のテスト焙煎は焦げているだけだったのですが…ようは美味しいと感じるように焙煎するわけで…焙煎する人の味覚レベル以上の焙煎はできません…どんなに素材が素晴らしいものでも、その魅力を生かしきっていなくても、焙煎する人がOKだしたらそれまでだと話しました。なので…大豆を焙煎してたんなる新しい商品と考えるのか…大豆の焙煎によって大豆のどういった魅力をお客さんに届けたいと考えるのか…その為には、焙煎のどこをどうするのか…そんな話しになりました。(大豆のお茶やコーヒーといった商品にしたいらしいです。)さかもとこーひー開店してこの夏で24年…焙煎は紅茶の店テ・カーマリーの頃に1日10杯位のコーヒーは手網焙煎を7年8年位していました。さかもとこーひーになって深煎り自家焙煎(中煎りもありましたが…。)を6年7年…スペシャルティコーヒーに出会って17年18年…なんだかんだスペシャルティコーヒーの素材の焙煎が焙煎キャリアの半分以上になりました。自家焙煎店の方々には…未だに昭和の自家焙煎を続けている方もいるし…若い方には最初からスペシャルティコーヒーの素材しか知らない方もいます。勿論、それぞれに魅力がありますから、どちらでも良いのですが…。ただ、同じコーヒーという言葉や飲み物、豆であっても…その魅力の違いが大きいので…一緒には出来ないというのは抑えておきたいです。焙煎は飲む人が美味しいと感じるように、過不足無くカロリーを与え焙く、乾熱調理だと思っています。さかもとこーひーでは…焙煎初期、水分抜き工程、ロースティング工程、ロースティングポイントと過不足無くカロリーを与える基準を作っています…排気のバランスも大切ですね。で、いくらデジタル化やデータが進んでも、結局は人間の味覚が判断するしかありません。勿論、OKだした焙煎をデータで再現しやすいので利用価値あります。で、そのOKだす人の味覚レベルが低かったら、本来NGの焙煎であってもOKになってしまいます。そこが味覚仕事の悩ましいところです。いくら、キャリア実績のある昭和の自家焙煎店であっても、新しいスペシャルティコーヒーの理解が浅ければその魅力を生かすことはできません…しかし、本人はそこに気がつかないのです。ポテンシャルの低いコモデティレベルの素材でいくらキャリアを重ねても、ポテンシャルの高いスペシャルティコーヒーの魅力を生かす焙煎はできないと思います。ましてや…コーヒー業界は抽出大好きな人が多く…淹れ方に工夫しているのは、その豆の欠点の味わいを抽出しないようにしていることが多いと思ってます。粗挽き、湯温を下げる、細くドリップ、蒸らし…成熟した技術ですが…やはり不味さを出さない工夫に思います。すると…その抽出を前提とした焙煎になってしまいます…元々はその豆を前提として工夫した抽出なんでしょうけれども…。スペシャルティコーヒーの素晴らしい素材を使っているのに…カフェプレスで粗挽きで、湯温工夫して、お湯の注ぎ方まで工夫しているお店があります。まぁ、カフェや喫茶店では家庭では出来ない淹れ方が売りになりますから…それもありなんでしょうが…それでは家庭では気軽に楽しめません。ホームこーひー、ホームタウンこーひーを大切にしているさかもとこーひーでは…カフェプレスでも、コーヒーメーカーでも、ドリップでも…コーヒーバッグでも…気軽に美味しく楽しんでもらえるようにというのが大切なんです。さかもとこーひーは…細挽き、95℃以上の熱湯、ドリップは蒸らし無し、細く注がない、豆は少なめ…をお勧めしています。これで、冷えきっても美味しいのがさかもとこーひーの基準なんです。冷めて美味しいコーヒーって世間には少ないようです…卸先のシェフの方何人かに最近言われて説明しました…熱さは刺激なので、味覚が感じづらくて…冷めるときちんと感じやすくなるようですと…冷めて不味いのは素材か焙煎に問題があると思ってます。最近は…セブンイレブン、マクドナルド、ドトールコーヒーとそれぞれのお店の美味しさが伝わってきています。コモデティコーヒーにスペシャルティコーヒーのカッピングメソッドの影響を感じています。そこそこの素材ならば焙煎が多少ぶれてもそれほど大きな影響は少なくて…大きな工場は技術が成熟して安定した焙煎できると思いますが、それはコモデティの素材の場合で…スペシャルティコーヒーの際立つ魅力をいかせるわけでは無いと思っています。いくデジタル化が進んでも、最終的に判断するのは人間の味覚で…人が飲んで美味しいとか感じるわけです。スペシャルティコーヒーの際立つ魅力、ポテンシャルの高い素材は…焙煎の少しのブレが大きく影響し、きちっと焙ければ素晴らしいですし…ぶれたらマイナスも大きいように思っています。お客様にも、それぞれのお好みがありますから…そのお好みに向けた魅力が必要です。と、言う事で…焙煎は生豆と焙煎機だけでは出来ない…クオリティの高い生豆には焙煎する人の味覚のレベルアップが必要で…飲む人がどう感じるかに向けた味作りが仕上になると…考えています。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2017.06.04
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プロのつぶやき877「プロ向け焙煎トレーニング」12月に入って…仕事に食事会と、毎日が猛スピードで駆け抜けていってます。このところ昼間は暖かな日差しですが…流石に朝は冷え込んで…朝は歩いて通ってますので手袋とマフラーするようになりました。前回の「プロ向けブレンド練習」についていくつも感想頂いたので…あーそういうのも書いた方が良いのかと、引き続き 「プロ向け焙煎トレーニング」を書いてみたいと思います。毎年何人かから焙煎指導の依頼がありますが…今年は夏前と秋から焙煎指導している店があって…暮れになって開店1年位の店の方から焙煎指導依頼のメールがきました。色々な焙煎セミナーに参加したんだけれども、どうも自分の焙煎機に落とし込めないと悩んでいるそうです。とりあえず、さかもとこーひーの焙煎やこーひーがその方のイメージと違っていたら意味無いので…さかもとこーひーは飲んだことがあるか聞いて…以前1回あるそうでしたが、とりあえずもう一度気になる豆を飲んでもらいました。それで、気にいって頂き…とくに、ケニア・ガツゥブとグアテマラ・エルインヘルト・パカマラが気にいったそうで…まぁ、同業者らしい印象だと思いました。さかもとこーひーの焙煎の方法は…焙煎初期に一旦温度が下がりきりますが…それを「ボトムポイントとか中点」とか業界では言いますが…低すぎず高すぎずの温度を見つけます…「表面焼け」と言ってますが…何度以上になると「表面焼け」して辛味が出たり、水分抜けが悪くなったりする原因になり、そうなったら後では取り返せないので、この温度を最初のポイントにしています。日本のスペシャルティコーヒーの店でかなり多くみかける味わいで…薄い「表面焼け」だと分かりづらいので、厄介です。辛味までいかなくても、熱いうちは香りが印象的であっても、冷えてから滑らかさや甘さ、余韻の心地よさに欠けているコーヒーの多くがこの表面焼けに原因があるように思ってます。次は水分抜き工程からロースティング工程、最後に煎り止めのロースティングポイントになります。それと排気のバランスも大切です。それぞれの工程を過不足の無いカロリーを与えるという考え方で…基準の温度と温度を何分何秒で進行するのか、その許される誤差、範囲はどの位なのかを見つけていきます。過不足が無いと何で決めるかというとカッピングで決める訳です。まぁ、手法は色々あって良いのですが…ようはオーケーだすのはその人の味覚なんだと言うのがポイントです。味わうためのものですから…最終的に味わって決めるわけです。どんなに詳しいデータを揃えても、化学的な理論があっても…人が味わい、美味しいと感じるものですから…何を美味しいと感じるのかがゴールになります。どのような理論があっても、焙煎機の違いがあっても…何を美味しいとするのか、何を美味しいと感じるのか、そのレベルで美味しさのレベルも決まってしまうのが厄介です。自分の店の味は…結局は最後に自分の味覚で判断するしか無いのです。美味しさと言っても、好みはあるし、個人差はあるし、個人でもブレがあるし…ほんと、とらえどころが無いのですが、そこから逃げないで時間をかけて味覚を磨くしかありません。それを、美味しさは科学的で無いと逃げると永遠に美味しさにたどり着けないと思ってます。確かに、不特定多数相手の美味しさと特定少数向けの美味しさには違いがありますので厄介ですが…スペシャルティコーヒーの美味しさは特定少数なカスタマー向けの美味しさが相応しいと思ってますので…自店の常連さん向けの美味しさならたどり着けると思ってます。そして、その為には、最後はカッピングのレベルがポイントと言う事です…それも、インポーターや生産者のカッピングスキル以外に、ロースターとしてのカッピングスキルが重要だと思います。インポーターや生産者には最終的なお客さん、カスタマーがいませんので…素材のカッピングは出来ても、その店の商品のカッピングはできません。不特定多数相手のカッピングは出来ても、特定少数のカスタマー向けのカッピングは無理です。スペシャルティコーヒーなのに、消費者と書いてあるととっても違和感を感じます。自店のお客さんのお好み、しかもある程度多様なお好みをイメージすることもカッピングする上でとても大切なことです。今年は飲食関係の知人の誘いで…都内の1つ星レストラン2軒に行きました。素材も勿論素晴らしい、調理の技術も素晴らしい…しかし、こちらに訴えかけるような魅力、心震えるような魅力に欠けているように感じました。先日都内の伝統的フランス菓子店の焼き菓子を頂きました。僕は25年位前に行ったことがあって、その時の印象を憶えているのですが…やはり今回も同じで、感心しませんでした。特に今回は焼きが甘く粉を焼いた魅力が弱く…さらに不快な焦げ味もあり残念でした。今年は博多のフランス菓子16区のダックワーズやショソンポム、ブルーベリーパイ、マロンパイと食べましたが…ひとつひとつどんな美味しさを伝えたいか明確に伝わってきました。サンク・オ・ピエの料理やデザートもその伝えたいイメージが押し寄せてきます。勿論、みなさんお好みがありますので…難しいところですが…焙煎もそのようなイメージがあり、素材があり、焙煎があるということです。北欧オスロやコペンハーゲンの豆を頂きカッピングしましたが…素晴らしいケニアがありました…素材も焙煎も素晴らしいものでした…少し甘さの印象が弱く、その辺がさかもとこーひーのイメージと違いましたが、それもオスロの気候や水で味わうと又違ってくるかもしれません。もうひとつケニアで、焙煎は素晴らしいのですが、酸が少し重く、さかもとこーひーでは使わないレベルの豆もありました。他の何店舗かの豆は…焙煎になっていないレベルで残念でした。そうそう、先週の土曜日、サンク・オ・ピエでのワイン会のデザートが濃厚なフランボアーズのソルベだったのですが…グアテマラ・エルインヘルト・パカマラを持って行ったので、それを淹れてくれたら…ご機嫌なペアリングでした。またもや打合せしていないのに、ドンピシャで相性の良いデザートとこーひーのペアリングになりました。これも、お互いの味覚がマッチしているからなんでしょうね…焙煎の話しなんですが、結局は味覚のレベルアップをしないと焙煎もレベルアップしないという話しになりました。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2016.12.11
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プロのつぶやき863「焙煎の火力のポイント」9月になりました…先日の台風は千葉を逸れましたが、東北北海道に大きな被害をもたらせて自然の脅威に驚いています…熊本の地震もまたありましたし…一日も早く平穏な日常に戻れるように願っています。爽やかな秋が待ち遠しいですが…おゆみ野店では同世代の常連さんが来られると…60代は人生の秋と言うそうで…と切り出して「はじまりの秋」を試飲して頂きながら話しをしています。埼玉の女性の常連さんは…あと少しで60代に突入されるそうで「はじまりの秋」を楽しみにしているとご注文がありました。四季のなかで秋が一番お好きな季節だそうで、ならば人生の秋も一番好きになります。僕も秋が一番好きなんで…そうかー♪一番好きな季節がはじまるんだとポジティブな気持ちになりました。年々体力弱まるし、特に眼の疲れを感じるので、なんだかなーという気分もあったんです…まぁ、他は元気なんですけどね…腰も膝も悪く無いし…。そんなこんなで…サポートをしている開店して1年位の人から…8月の終わりになってロースティング工程の終わりのほうで温度上昇のスピードが遅くなって火力を強め、なんとか基準の時間にしたんだけれども…酸が気になるのでチェックし欲しいと相談がありました。で、さっそくその豆とデータを送ってもらいカッピングしたんです…それほど悪く無く焙煎できているのですが…少し甘さやマウスフィールが弱いんです。酸は特に強く無いんですが、甘さやマウスフィールの弱さで酸のバランスが少し気になるんでしょう、デベロップ不足です…カロリーが不足して成分の化学変化が望んでいるよりも不足しているんですね。で、データを見ると…170℃からの火力が気になりました。焙煎は乾熱調理で170-180℃から200℃でのカロリーのかけかたを大切なポイントと考えている事…さかもとこーひーでは夏になって火力を落とす時でも、170℃での火力は落としていない事を話しました。170-200℃位の温度帯での化学変化が乾熱調理のポイントのひとつなので…170℃からのロースティング工程の時間が一緒でも…後半で火力を上げて追いついても、170-200℃での成分のデベロップが不足していると、あとからは取り返せないんじゃないかなと…。で、170℃での火力を少し上げてもらったら…結果はとっても甘さやマウスフィールが出て来て香りも際立ってきたと、ご機嫌な声が返ってきました。焙煎は短時間焙煎だったり、長時間焙煎だったりと…色々な考え方がありますが…時間と言っても焙煎する量によっても違いますし…焙煎機によっても違ってきます。焙煎は手段で、焙煎機はツールです…要はどういった美味しさにしたいのか?そこから逆算しないと意味が無いと思ってます。美味しさをイメージできる力でしょうね。素材のカッピングスキルがいくら高くても、スコアをつけられても…ロースターとしてはそれだけでは焙煎はできません。美味しさをイメージしてのカッピングスキルが必要です。インポーターより求められるスキルが多いですね。秋冬に向けて…こーひーレッスンの予定が入って来ていますが…プロ向けの焙煎のサポート依頼も続いています。素晴らしい素材が手にはいる恵まれた状態になっていますので…それを焙煎によって魅力的なコーヒーにして、もっとたくさんのみなさんに楽しんでもらえるようにしたいですし…そんなサポートも60代の仕事のひとつかなと思ってます。そうそう…先日蜂蜜屋さんに寄って…オレンジや蜜柑、栗の蜂蜜は前から好きなんですが…さくらんぼとラズベリーの蜂蜜を見つけ買って来ました。パンやヨーグルトと一緒に頂いていますが…「グアテマラ・サンタクララ」はグアテマラ特有のハニーライクさがそれほど強くないので…さくらんぼとラズベリーの蜂蜜をそれぞれ加えてみたら…これが上手くいって、より華やかに美味しさが増しました。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2016.09.04
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プロのつぶやき810「少しマニアックな深煎り焙煎の話し」まだ8月で、この辺の子供達は夏休みだというのに…一気に涼しくなって気温の変化に身体がついて行きません。35℃越えの猛暑に比べたらずいぶんと楽なはずなのに勝手なものです。が、毎朝の焙煎は涼しくなってほんと楽になりました…エアコンはつけてますが、焙煎終わった後の着替えは必要なくなりました。焙煎スタートの投入温度は毎週高くなっていってます。そんなこんなで…さかもとこーひーの新しい深煎り「深煎りコスタリカ」のご注文が多く…常連のみなさんが関心もってくださっているので…今日は今迄のさかもとこーひーの深煎りとは少し違う深煎り焙煎の話しをしてみます。僕は19.20歳の頃フルーツパーラーで働きながら、毎日珈琲淹れていたのに、その珈琲を美味しく感じないで、なんでお客さんは珈琲を美味しいというのかなぁ~?と思ってたんです。で、銀座のカフェドランブルさんに行って…はじめて珈琲を美味しいと思ったんです…深煎り珈琲との出会いでした、もう40年前になります。その後あちこちの有名店を巡ったり…紅茶の店テ・カーマリーで最初の独立をしてからは…開店前や閉店後に手網で焙煎して自分で焙煎したコーヒーを淹れていたんです。そうして…さかもとこーひーをスタートしたんです…浅煎り、中煎り、深煎りと揃えていましたが…基本は深煎り自家焙煎店でした。あの頃の手に入った素材レベルだと深煎りにした方が魅力的だったんだと今になると思いますね。その頃はオリジナルのネルドリップを作るのに…平織りや綾織りのネルを取り寄せて、型紙書いて、かみさんに手縫いしてもらったり…ドリップポットの先端を自分で加工したりしてました。開店して5年くらいすると…素材の限界を感じはじめたんです。今思えば酸の質や香り等々物足りなかったんでしょう。その頃は漠然と限界を感じていたんです。長年飲んでいたクオリティの高い紅茶やワインやウイスキー日本酒等の魅力に適わない、飲み物としてのレベルの違いを感じていたのです。で、焙煎やコーヒー魅力の可能性をあまり感じなくなったので…陶芸などして余生を暮らそうかと思い…同級生の陶芸家の工房に通って、手捻りでぐい飲みつくったりしていたんです。そこへスペシャルティコーヒーが目の前に現れて…農産物としての素材の可能性を感じて…それまでの自家焙煎コーヒーから一気にスペシャルティコーヒーに切り替えたのです、15年と少し前ですかね。で、最初に印象的だったのは…ピーツコーヒーの深煎りでした。黒くなるほどの深煎りで苦味が印象的なんですが…ほんと焦げていないし、冷めてくるとそこにきれいな酸が魅力的にあって…そのような焙煎をできる素材のこと、そして焦がさずにあそこまで深くできる焙煎技術…その頃はどこをどうしたらそうなるのか見当つきませんでした。(2001年にバークレイのピーツコーヒーの工場を見学させてもらいましたが…その時ピーツの焙煎のことは分からなかったですね。今見学したら違うのでしょうけども…。)そんな頃から15年…色々なクオリティやキャラクターのスペシャルティコーヒーの素材を経験してきましたし…ローヤル直火焙煎機からプロバット焙煎機に替えて…焙煎のデリケートな感覚を磨いて来ました。ここ数年のさかもとこーひーの常連さんは…華やかで上品で爽やかな甘さのタイプと少し深いコクと余韻の甘さのタイプ…どちらかがお好みの方…両方をその時々で飲まれる方と…お好みが伝わって来て…素材の選び方や焙煎やブレンドによる味わいのバランスの取り方がバージョンアップしてきていると思います。そこで…深煎り好きの常連さんと話していて…昭和の深煎り自家焙煎店とも違う、シアトル系の深煎りとも違う、スペシャルティコーヒーの新しい深煎りの魅力がイメージできてきたんです。さかもとこーひーの深煎りは豆の色が深煎りっぽくなくてあまり黒くなっていないので…時々これで深煎りですか?って聞かれます。それをもっと深煎りにして…ビターチョコレート色な感じのダークローストですね…勿論焦がさないのは大前提で…焦げたざらついた刺激的な苦味とは全く違う…柔らかで円やかな苦味…冷めたら隠れながらもきれいな酸が味わいを高めて…香りが余韻に漂う…そんな魅力にしたいと思いました。そのための焙煎のポイントは…2ハゼからの火力のバランスだと思いました。火力を抑え気味にしてじっくりと深く焙煎する考え方もあります…いつものワイン会が昨晩あって「深煎りコスタリカ」持って行き、食事の最後にサンク・オ・ピエのシェフに淹れてもらったのですが、一緒に参加した同業の友人は帰り道に火力抑え気味ですか?って聞いて来ました。常連のMさんがTwitterで…「その「深煎りコスタリカ」ですが、さかもとこーひーの新境地ですねー。深煎りの香ばしさを前面に出しつつ、コスタリカ・ロサンゼルスらしいフローラル、甘さを両立している。サンクオピエ中村シェフの焼いた肉の魅力に通じるものがあるかな。」…と、ご感想書いてくれました。シェフは「Mさん上手いこと言うな!!」って言って…ワイン会主催してくれているKさんは「ドライな感じがいいですよね、きれいな味わいがいいし。」…とダークローストのキャラがありつつ、華やかさや心地よい甘さはきちんと…そんな魅力が伝わったようです。そうそう…ようは火力なんですが…通常のさかもとこーひーの深煎りよりも深煎りの段階の火力を少し強めています。が、ほんの少し強いと焦げてしまいます。このバランスなんですが…結局カッピングで判断するしか無いですね。あとは素材選びです…なんでもその焙煎をすれば魅力的になるかってことでは無いので、素材を見極める力が必要です…これもカッピングですね。この「深煎りコスタリカ」のようなこーひーはブレンドのベースにすると新たな可能性感じますので…最初に浮かぶのは「深煎りコスタリカ」に「エチオピア・モカナチュラル」ですねー…あと、パカマラも面白そうですし…まぁケニアとかグアテマラでも可能性あると思います…そういったのもも楽しみです。写真のデザートはシェフの自家菜園のブルーベリーのソルベとパウンドケーキ…こーひーはサンク・オ・ピエ8月9月コース用のブレンドで…ボリビア・アルベルト、ニカラグア・エンバシー、ブラジルCOEカパハオをブレンドしたんですが…とっても上品なブルーベリーのソルベとパウンドケーキなんですが、柔らかな感じにしっかりとブルーベリーのきれいな味わいがあって…ほんと当たり前のように自然に合っていました。このデザートの前が…カリフォルニア、ゴールデンアイの親元ダックホーンの甘口ソーヴィニヨン・ブランにはロックフォールとクリームチーズを合わせたもので、間違いの無い相性の良さにご機嫌でした。そんな最後を仕上げる「深煎りコスタリカ」もなかなか上手くいって…ふらふらと帰ってきた夏の終わりの夜でした。さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。
2015.08.30
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今はカフェで働いていて、将来ビーンズショップを目指している方から何回か焙煎の質問メールがきます。先日のメールのやりとりを書いてみます。文章は多少アレンジしています。「水分抜きの過程で時間がかかっても、豆の持っている成分をデベロップする温度になっていなければ味に影響はないのでしょうか?(温度を上がりすぎないように気を使い、水分抜きに時間がかかりすぎてしまった場合等)やはり味が少し抜けてしまうという事もありますか?」それに対する私の答えが以下です。「水分抜き工程は、過不足の無いカロリーを加えることがポイントです。時間が短くても、長くても、水分抜きが甘いことによる重い酸味明るさに欠けた味わいになります。水分が抜けているのにデベロップに必要な温度になっていないとデベロップ不足となります。「味が抜ける」と業界ではよく言いますが、僕は使いません。言葉は大切です。「デベロップ不足」と言っています。また、聞いてください。」そして、お返事が返ってきました。「「デベロップ不足」ですね!味が抜けると捉えるのとディベロップ不足と捉えるのでは、対処の方法が変わりますね!言葉の大切さもですが、今迄(今も?)正しいとされている焙煎方法がことごとく参考にならない事がわかってきました。一度全部忘れた方が良さそうですね。坂本さんのアドバイスを受けるとまさに「ひざポン!」という感覚です。なかなか時間が取れないのですが、必ず焙煎見学に訪れたいと考えています。また連絡させてください。ありがとうございました♪」コーヒー業界を見ていると、全体像を明確に把握してから、いくつかの要素に分解し、それぞれをウエイト配分して、重要なものから解決していくという手法が欠けているように感じます。焙煎にしても、マーケティングにしても。取りあえず目の前から手をつける。欧米の情報を鵜呑みにする。印象で理解した気分になる。
2012.11.09
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焙煎見学にいらして、その後、さかもとこーひーの焙煎表を使い、データと豆10gをメール便で送ってもらい、電話でアドバイス…そんな焙煎通信講座をしてひと月と少しの方から嬉しいメールが届きました。独立して6年、フジローヤルを使っています。「坂本さんに教えていただき、焙煎の迷いがなくなりました(6年もかかりましたが・・)。 もっと自分のスキルが上がれば更に疑問も出てくるとは思いますが、とにかく自信を持って販売できます。」最初は、まず水分抜き工程と焙煎工程の時間をアドバイス通りに進行してもらいました。その結果をカッピングして、再度、基準にする温度を調整。カッピングして、水分抜きのダンパーを開いて検証。ロースティング工程のダンパーを開いて検証。そんな繰り返しです。ひとつひとつの仮説検証の結果がカッピングで見えてくると、迷いが無くなってきますね。今、70-80%くらいの仕上がりでしょうか。基本的にはこれでいけますね。ここからは、微調整になっていきます。素材のポテンシャルも関係してきますから、より微妙な仮説検証になりますし、ご本人は一回のカッピングでは分かりづらいこともあります。実際にお店に伺うこともなく、データとカッピングでここまできたのでひと安心しました。これからは、お客さんをひとりひとり増やして行くアドバイスになっていきます。自信を持って販売できるコーヒーになったら、お客さんを増やし、売り上げも増やす事ですね。
2012.11.06
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コーヒー焙煎の水分抜けをカッピング検証してもらいました。今朝の6時半からの焙煎見学で、僕がきちんと水分抜けできていると考える豆と、基準から6秒ブレている豆を並べてカッピングしてもらいました。ケニアです。温かいうちは、なんとなくしか違いが分からないと言ってました。ブレている豆でも十分美味しいと。で、少し冷めると、なるほど、違いますね。完全に冷めると、おぉ!全く違いますね。しかし、いつもは水分抜けがもっと甘い豆しか飲んでいないから、分かりにくいと。でも、さかもとこーひーの常連さんなら、水分抜け甘いこーひー飲んだら、即いつもとなんか違うと分かると思います。普段、飲んでいるコーヒーのクオリティによりますね。慣れって恐ろしいから。水分抜け甘いと、喉を心地よく通り過ぎていかないんです。なんか引っかかる。重い味わい。それをコクと勘違いしている同業者もいます。勿論、素材のクオリティ低いのは論外として。やっぱり比較すると誰でも分かりますね。もっとも、さかもとこーひーの常連さんなら、他所の水分抜け甘いコーヒーは飲みにくいってすぐ感じますね。
2012.09.19
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久々に焙煎の話しをします。梅雨の時期は湿気が多くて、焙煎の水分抜きに苦労したり、悩んだりすると…30年前も、20年前も、10年前もよく聞きます。今朝もFacebookでそのような話しがありました。ちょっと気が向いたので、コメントしてみました。「湿気のせいではないと思います。」とコメントすると「気温でしょうか?」と返ってきました。「同業の先輩から後輩まで、湿気や温度のせいにする人ばかり見てきました。が、そういった人は10年20年30年同じ事言ってます。勿論、湿気や温度の影響があるんですが、水分抜けの基準になるポイントからポイントまでの最適な温度上昇スピードを見つけることだと思ってます。」「焙煎時間をほぼ全員が投入時から計っています。何故、そこに疑問を持たないのか不思議です。(これ、公に言うのははじめてです。)」「同じ1分でも、焙煎初期の1分と、煎り止め近くの1分は、焙煎の出来に対する影響度合いが違いますよね。ウエイト配分です。このことは、ネットでブログか書きはじめた時から書いているし、それ以前は知り合いには話していましたが、みんな理解できないみたいです。」このことは、今迄、ブログでもコラムでもさんざん書いてきた内容です。
2012.07.14
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「焙煎の見学について…。」をアップしたところ、さっそくお問い合わせがありました。今年に入ってからのものも、今回のものも焙煎機を入れて、営業スタートした人や開店準備している人で…本来、もうある程度の焙煎が出来上がっている段階のはずなんですが…どうも思ったようにいかないようです。まぁ、いい加減な人だったら…それでもエイヤー!とばかりに開店してしまうのでしょうが…まじめな人は、そこで大きな壁にぶち当たって、困っているようです。勿論、情報を集め、セミナーにも参加しているのですが…そこには、一応焙煎機を操作するくらいのレベルの内容でしかないようです。僕は業界の情報と(20年以上前なんで、ネットもなにもありません。)あちこち飲み歩いて舌を作っただけで、自分で焙煎してしまいましたが…。もっとも、手網で8年ほど週に4回5回と焙煎し、データを取り、焙煎の目、耳、鼻と鍛えてきました。さらに、業界の情報だけでは答えがないので…調理や製菓のことを学び…そこから焙煎機というものを考えてきました。そのように、時間をかければ、なんとかなるんでしょうが…そんな時間もない場合は行き詰まりますね。まぁ、そんなレベルで開店考えるなよ!…って思いますが、それがこの業界の現実なんですね。
2012.03.27
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やっと春らしくきれいに晴れ上がった朝です。日曜は原則焙煎しませんので…7時過ぎまでゆっくりと寝て、こーひー飲みながらのんびり朝食して…店で8時半頃から「プロのつぶやき」を書き始めます。(普段は、朝起きて顔洗ってすぐに店に来て、6時過ぎから焙煎、こーひーはゆっくり飲めずにカッピング…そんなせわしなさです。)昨日届いた「We Love MURE san」という、79才の現役ジャズ・ギタリストの中牟礼貞則さんのアルバム聴きながら…「グアテマラ・エルインフェルト・パカマラ」を淹れて…だいぶ集中してきました。それにしても、79才でなんと生き生きとしたプレイ、それにジャケットの写真の凛とした姿、視線の鋭さ…まさに現役のかっこよさに憧れます。「パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ」「グアテマラ・エルインフェルト・パカマラ」をおゆみ野店で試飲して頂きながら…様々なご感想を受け止めています。通販のお客様からも早くもご感想が届いています。随時、ブログにアップしていますので、ご覧下さい。今回は、プロバット焙煎機で焙いた「パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ」と「グアテマラ・エルインフェルト・パカマラ」ということで…同業の友人からもご感想が届き、許可を得てアップしました。もっと美味しいコーヒーをと強い思いがある方は、自腹で注文するのが基本ですから…友人から注文が来た時には感心しました。特に「ホンジュラスCOEフロル・デ・カフェ」の魅力が新鮮だったようで…これも、プロバットに慣れる迄取っておいた甲斐がありました。そんなこんなで…今日は「焙煎の見学について…。」のお知らせです。以前から時々、焙煎の見学や指導についてのお問い合わせがあります。友人や紹介があった人には、見学してもらったり、指導もなんだかんだ10人程してきましたが…今年になって又お問い合わせが続き…新しいプロバットでの焙煎がふた月過ぎて…すっかり慣れて余裕ができてきましたので、受け入れることにしました。度々書いてますが…この10年で日本のスペシャルティコーヒーは、クオリティの高い素材の流通が進んだだけで無く、自店にあった(自店のお客様に合った)素材を選べるような恵まれた環境になってきました。さらに、基本のカッピングスキルを学べるようになり…これで、大前提が揃ったわけです。勿論、その他の情報も豊富になっています。しかしながら…焙煎のメソッドが確立されていないので…若手からベテラン・指導者まで右往左往しているのが現実でしょう。きちんと焙煎できていなければ、当然ブレンドのスキルもアップしません。際立った魅力になっていて、それぞれの豆をどうブレンドしたらシングルオリジンには無い魅力になるかの段階に進めると思います。なんとなくの魅力の豆をいくら混ぜてもたいした違いは無いし、際立った魅力にはならないと思います。(もうひとつの問題は、マーケティングメソッドが無いことですが…それは又別の機会に。)スペシャルティコーヒーの焙煎についてです。昭和の自家焙煎はかなり完成して、成熟していると思ってます。さかもとこーひーの焙煎に対する考え方は…「焙煎は乾熱調理である。」ということです。この辺についてはブログの「コーヒーの焙煎を考える」にシリーズで書いてあります。要は、焙煎は調理で…調理には「乾熱調理」と「湿熱調理」があり…焙煎は乾熱調理で180℃前後で化学変化させて、魅力的なものにするってことです。そして…「理論は現実に従う、現実は理論に従わない」をベースにしています。焙煎には色々と理論があったり、流派や流行があったりしますが…どんな美味しさを目指していて、その美味しさが再現できるように焙煎メソッドを確立し…それをバージョンアップしてきたということです。誰が言っているからとか、これが最新の考え方だとかは関係ありません。最終的なカップの魅力から仮説検証することが大切だと思ってます。もうひとつ…サンプル焙煎と本焙煎は違うということです。サンプル焙煎は、その素材のスペックが判断できれば良いですが…本焙煎はお客様に届けるためのものですから、再現性が重要になってきます。そして…「スペシャルティコーヒーはカスタマーオリエンテッド」ですから…自店の顧客を持っていないインポーター等の流通関係者やコンサル関係の指導者には、深い意味でのスペシャルティコーヒーの魅力作りは難しいということです。なぜなら、自分の顧客がいないのですから…。できるのは、不特定多数の消費者、コンシューマー向けの商品作りだけです。まぁ、別にさかもとこーひーの焙煎が最高で全てというわけでは無く…色々な焙煎メソッドがあって良いわけなんですが(勿論焙煎機によっても違いがあるでしょうし…。)そのひとつの例として、さかもとこーひーの焙煎の見学を受け入れることにしました。さかもとこーひーでは18年半フジローヤルの焙煎機を使って来て、2012年1月にプロバット焙煎機に替えましたが…さかもとこーひーの焙煎メソッドがどちらにも通用したことが大きいです。勿論、微妙な調整は必要ですが…基本的な考え方は全く変えていません。「焙煎見学」-火曜日~土曜日の毎朝6時-7時に焙煎をスタートしています。-その焙煎を見学しながら、質問に答え、説明もします。-その日焙煎したこーひーのカッピングとその焙煎豆付きです。-朝早いので、その時間が難しい方は相談して時間をずらします。-予約をメール takafumi@sakamotocoffee.com かお電話 043-263-4703 でお願いします。(お名前、店名、おところ、電話番号、メールアドレス)-独立前の方もお気軽にどうぞ…質問もお気軽にどうぞ、お待ちしています。-¥10,500/回その他、以下のメニューも用意しています。「さかもとこーひーでの一日セミナー」-1-5名で、さかもとこーひーの焙煎の解説から、焙煎の実際、カッピングのセミナーです。「相談先での2日間焙煎セッティング」-相談先に出張して、2日間かけて、その焙煎環境でのセッティングをします。レシピ作りとも言えます。-アフターフォロー、セッティングした店の豆とデータを送って頂き、カッピングし、電話でアドバイスします。-素材が変わると、微調整やロースティングポイントの決定が必要ですし、ブレンドのアドバイスもします。(同時に、マーケティングのアドバイスもしています。)「こんな美味しさ」を届けたくて!!…ドイツ製焙煎機に新しくしました。「より円やかな美味しさ」を磨いて行きます、ご期待ください。
2012.03.25
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新しいプロバット焙煎機にしてから…微妙な焦げが無くなり、香りがより明確になり、味わいの円やかさが際立って来たと感じていますし…それをみなさんに伝えてきました。そこへ、常連のお客様(男性)から以下のようなメールを頂きました。「新しい焙煎機は大きな熱量で芯から焙る感じですね。ナッツやミルクチョコ系の、円やかな甘さや香りがきれいに出ていると私も感じます。一方で、微妙な焦げや油の照りを好む方には、少しまとまりすぎて物足りない、というのも理解できます。醤油が焦げる香りは、日本人のDNAを揺さぶりますから。」Aさま、貴重なご意見、本当にありがとうございます。とっても、参考になります。僕は、コーヒーを美味しいと思ったスタートが銀座のランブルの深煎りですから…深煎りにした魅力を長年追いかけてきました。色々な自家焙煎深煎りコーヒーを飲んできました。独立してからも、浅めから深めまで幅広く焙煎してきましたが…さかもとこーひーの人気こーひーは深煎りの方が多かったですね。それは、スペシャルティコーヒーに出会う前の話しで…今使っているスペシャルティコーヒー程、香りや酸の質とキャラクターがありませんでしたので、深めに焙煎したカラメル化の魅力にフォーカスしがちでした。これはこれで、完成された世界だと思ってます。で、12,3年程前にスペシャルティコーヒーと出会い…おぉ!これだこれだ♪と…スパッと切り替えて今に至っています。もっとも、最初のスペシャルティコーヒーの出会いやスターバックスやピーツコーヒーでしたから、シアトル系の深煎りでした。その後、年々素材のクオリティやキャラクターに多様性が出てきまして…そのポテンシャルを自分の身体に入れ…お客様の反応をしっかりと受け止め…年々バランスを調整してきました。この辺は、5年10年以上の常連さんは、よく感じ取っていらっしゃると思います。そんなこんなで、4台のプロバットのセッティングを経験し、その能力や癖を見極め、今回の導入になったわけです。今迄のさかもとこーひーは…僕自身を含め、微妙な焦げに慣れている常連さん、それに魅力を感じているお客様には問題無いのですが…慣れていない方や、苦手な方にとっては少し抵抗がある、或は慣れるまで時間を必要とされるものでした。で、新しいプロバット焙煎機によって、その微妙な焦げが無くなったことで…ほんと微妙な焦げの無い味わい、魅力は…さかもとこーひーに慣れていない方にも、スッと素直に美味しいと感じて頂けるようになったと思ってます。これが、大きな目的のひとつでした。さらに、常連さんやスペシャルティコーヒーの多様な香りや味わいを楽しみたい方には、ほんと様々な香りや味わいが楽しんでもらえる可能性がでてきたと思ってます。長くなりました…もういちど…「新しい焙煎機は大きな熱量で芯から焙る感じですね。ナッツやミルクチョコ系の、円やかな甘さや香りがきれいに出ていると私も感じます。一方で、微妙な焦げや油の照りを好む方には、少しまとまりすぎて物足りない、というのも理解できます。醤油が焦げる香りは、日本人のDNAを揺さぶりますから。」で…「一方で、微妙な焦げや油の照りを好む方には、少しまとまりすぎて物足りない、というのも理解できます。醤油が焦げる香りは、日本人のDNAを揺さぶりますから。」この部分です。これは、僕が以前から…焙煎は乾熱調理で…それはメイラード反応、カラメル、ディープフライフレーバーの3つが主要なもので、それを如何に美味しいと感じるように調理するかだ…に繋がってきます。メイラード反応はウィキペディアででも調べていただければ良いですが…醤油や蒲焼き等々の焦げるとっても食欲を感じる香りの原因ですし…コーヒーの魅力に大きく関わっていると思ってます。で、実は、このメイラード反応の魅力を生かした…微妙に焦がさないんだけど、焦げの魅力が嬉しいこーひーの手応えも掴んでいます。まぁ、ゆっくりと、追々、ご紹介していきます。
2012.02.20
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「プロバットと富士ローヤルでの焙煎の違い(1)」新しいプロバット焙煎機による焙煎にも慣れてきて、だいぶリラックス、余裕ができてきましたので、少し、まとめてみようかなと思ってます。まぁ、今のプロバットの焙煎は、この2年間で、5キロ釜を4店セッティングして、すっかり慣れていました。1店で、二日間あれば、即営業できるようにセッティングしていました。それは、富士ローヤルで培った焙煎メソッドがそのまま通用したからです。勿論、投入温度、火力、排気他調整は必要ですが、それもカッピングして、アジャストすれば大丈夫でした。そして、自分で12キロの釜を実際に使うようになり、それでも同じメソッドが通用しましたので、そろそろまとめてみようと思ってます。
2012.02.13
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テスト焙煎を1週間…本番の焙煎をするようになって1週間と1日…日に日に新しいプロバット焙煎機と一体化する快感に浸っています。簡単に言えば…温度上昇のコントロールをする火加減を頭で考えること無しに、手が、身体が反応するようになっていき…それがピタッとイメージ通りになっていく快感ですね。これがたまらないんです。今日は、豆が足らなくなって…普段滅多に無いのですが…午後から、急遽焙煎したんです。1バッチだけですが…。その焙煎を、お客さんが見ても…ケーキ屋さんやパン屋さんと違って、何をしているわけはなくって、なんだか焙煎機の横でふらふらしてるだけなんで、面白みが無いと思います。でも、頭の中は大忙しなんですけどね…。先日、同業の方から、僕のブログやコラムを読んでるというメールを頂きました。今日はTwitterのメッセージでも同じような内容を頂きました。まぁ、同業者が読んでいるのは知っていましたが…普段全くそういった反応が無いので、励みになりました。
2012.02.01
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新しい焙煎機を導入して…2週間。最初の1週間はテストの繰り返し。先週の1週間は本番で…温度上昇と火力の感覚に馴染みながら…緊張の連続。そして、今朝は…昨晩帰宅が夜中の1時過ぎで、起きたのがいつもの5時半…寝不足なのに、なぜかテンション高く…イメージ通りに焙煎が進行。早くもだいぶ馴染んできたみたいです。浅めも深めも可能性大ですね。でも、仕事終わったら、眠いです。
2012.01.31
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新しいドイツ製プロバット焙煎機になっての1週間が終わりました。千葉としてはかなり冷え込みの厳しい週で…雨から雪になり、それが凍った火曜日の朝は店の前の道路がガチガチツルツルで、朝6時から9時位まで渋滞で動かないし、パトカーや救急車が次から次へと通るしで大変でした。そんな冷え込みが毎日続いて…店の外壁の水道が凍って水が吹き出したり…伝票発行のレーザープリンターのトナーが切れたり…バタバタしてましたが…そこはしっかりと冷静に焙煎に集中してました。お陰さまで…通販も来店も…お客様に新しい焙煎機に関心を持っていただきまして、忙しい毎日になっています。おゆみ野店に来られたお客様には…これが新しい焙煎機なんですよ。大きい!重い!…そんなお話しからはじめています。国産や欧米の他の焙煎機に比べて倍くらい重いということなんです。同業者やマニアの方以外の普通のお客様は…あぁ!これが新しい焙煎機なの?…って、感じです。まず、みなさん言われるのが…機関車みたい。…大きいですねー。…って感じです。焙煎機に近づいて色々と見るお客様には…これ、鋳物で肉厚なんです。…朝10時頃火を落としたんですけど、まだ冷めきっていないんです。…って、一緒に触ったりしています。蓄熱や断熱に優れているので、カロリーのコントロールがしやすいから、安定した焙煎が可能で…安定すると、細かい検証ができるんです。そして、火の当たりが柔らかいので、ほんと分からない位の微妙な焦げも無くて…デジカメで言えば解像度が上がるって言いますか…香りも味わいも表現しやすいし…円やかな味わいに仕上げることが可能なんです。(まぁ、同じ焙煎機でも技術が未熟ならどうにもなりませんが…。)そんなこんなで…焙煎機設置後の細かな不具合の調整も片付いて…日に日に身体に馴染んできています。来店されたお客様に新しい焙煎機になった違いを分かりやすくお伝えするのに…勿論、試飲をして頂きながらなんですが…「円やかさがよくなっていると思います。」って…「円やかさ」をポイントにしています。昨日土曜日にこられた女性のお客様に…「コーヒーなのにごくごく飲んでしまいました。」…って、言われました。これって、ドキッとする言葉です。コーヒーが苦手な女性、紅茶派の女性はコーヒーが喉通らないんですよね。円やかさによって、より親しみやすくなったと思います。まぁ、そう書くと…なんだか飲みやすいだけのこーひーとか…水っぽい薄いこーひー…さっぱりしてる?…雰囲気やガッツが無くなる?…そんな印象になるかもしれません。そこは、さかもとこーひーですから…飲みやすいだけのこーひーなら焙煎機をわざわざ替えません。キラキラした円やかさ、とか…味わい深い円やかさ、とか…親しみやすい円やかさから…ディープな円やか…冷めきってからの余韻の魅力…と、円やかさにも多様性の可能性を感じられるんです。解像度が上がれば…わざとぼかすこともできますし…。すでに、スペシャルティコーヒーの深煎りの新しい魅力も見えてきました。素材のポテンシャルをもっときれいに引き出せると…テロワールの表現がレベルアップできるとも思ってます。そうなれば、ブレンドの可能性も広がっていくと思います。そのためにも…「素材」…「機械」…「技術」…「感性」…の、4つが揃うことがポイントで…この10年で「素材」に恵まれ…「技術」と「感性」は19からもう37年追いかけ磨いて来ています。で、「機械」を替えたんです。「私、コーヒーのことよく分からないんですけどぉ~」…おゆみ野店ではじめてのお客様から時々言われることです。コーヒー専門店って、なんかコーヒーのことに詳しい人にしか分からない美味しさ…そんな印象を持たれているようです。まぁ、実際、さかもとこーひーもそんな感じを受けてました。さかもとこーひーの常連さん、ヘビーユーザーの方には、さかもとこーひーの魅力を感じて頂いていると思いますが…はじめての方は…ひと口で感動してくださる場合と…なんだかピンとこない場合とあります。そこがまどろっこしく、忸怩たるものがあります。しかし…「円やかさ」を入り口として…はじめての方の「コーヒーなのにごくごく飲んでしまいました。」ってな感じの美味しさから…ディープに楽しみたい方には、解像度が上がった多様性豊かな魅力の愉しみまで…お届けしたいと思っています。(まぁ…これで、安心してディープな魅力を追求できるってのが本音でしょうかー…♪)「こんな美味しさ」を届けたくて!!…ドイツ製焙煎機に新しくしました。「より円やかな美味しさ」を磨いて行きます、ご期待ください。
2012.01.30
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大きい、重い…新しいプロバット焙煎機になって1週間経ちました。今日は土曜日なので来店のお客様が多いです。みなさん…あぁ!これが新しい焙煎機なの?…ってな感じですね。業界では知られていても…一般のみなさんは焙煎機じたいそれほど見ていないみたいですし…プロバットの12kgだと少し大きいのでびっくりされますね。「大きい、重い」って毎日繰り返しお話ししています。男性には…これ、鋳物で肉厚なんです…朝10時頃火を落としたんですけど…まだ、冷めきらないで暖かいんです…って、一緒に触ったりしてます。これで…カロリーのコントロールがしやすくて、細かい検証も出来るし…火の当たりが柔らかいので、微妙な焦げが無くて、ほんと円やかに、デジカメで言えば解像度上がるってかんじなんです。
2012.01.28
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この冬一番の冷え込みで…朝店に来たら水道が凍ってました。まぁ、カッピングする水はあるし、いいかーと、焙煎スタート。日に日に慣れてきて…焙きあがると…次の焙煎の準備しながら…焙きあがったばかりのこーひーをカッピング…そして、次の焙煎…これを繰り返します。昨日から1バッチの焙煎量を少し増やしたのが好結果となって…火力が安定し、楽になりました。で、微妙なコントロールを探りながら…今日の焙煎終了。かみさんが出勤してきて、開店準備していたら…なんか外で音がするって!…あぁ!外の壁伝いの水道管が破裂してましたー。今日は職人さんが柏方面ということで、明日朝いちでの修理となりました。そんなこんなで、今日は試飲のこーひーが少し不自由です。すみません。焙煎機の火が消えたり…トナー切れたり…水道破裂したり…なんだかプロバットの設置いらいドタバタが続きます。でも…人生どうってことはない(談志)なので…あわてず冷静にしてます。
2012.01.27
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新しいプロバットでの焙煎ですが…先週のテストから…今週は毎朝6時からいつものペースで本番になっています。プロパンガスで、外付けのガス圧計を付けた関係から弱火に制限がありますので…1バッチの焙煎量を少し増やしましたところ…これが上手くいき、とっても素直なバランスになりました。浅めのロースティングポイントから、日本のスペシャルティコーヒー界ではあまり見ない深めのロースティングポイントまで、イメージ以上になっています。かなりのポテンシャル感じます。
2012.01.26
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新しいドイツ製プロバット焙煎機スタート記念のお知らせが…有り難いことに、みなさんから大きな関心を持っていただきました。一月の中旬という例年ならば暇なんですが…一年のピークの忙しさになっています、ありがとうございます。そして…「グアテマラCOEエルバレントン」が一日でほぼ売り切れてしまいました。残り、数パックなので、HPのオーダーフォームからは削除いたしました。よろしくご了承ください。焙煎機は、土曜日と今朝でどんどん慣れてきて、頭で考えなくても身体が動くようになってきました。いよいよ、焙煎機が肉体化していきます。
2012.01.24
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火曜日に設置されたドイツ製プロバット焙煎機でのテストが進みました。途中、少しトラブルがあり、二日程ロスしてしまい…今週中にきちんと仕上がるかピンチになりました。毎朝6時からの通常の仕事をして…夜11時までのテスト焙煎の繰り返しで…昨晩キッチリ規準を作り上げ…今朝の焙煎も規準通りに進行し…先ほど、来週発売の4種類のこーひーをスタッフと一緒に頂きました。カッピングでは予想以上の出来だったのですが…カフェプレスで普通に淹れて、ゆっくりと味わい…スタッフの反応を確かめ…ホッとひと息です♪新しいさかもとこーひーのスタートになります。コーヒーに慣れていない方にも…コアーなヘビーユーザーの方にも…素直に美味しいと感じてもらえる…「際立つ円やかさ」が魅力になっていると思います。ご期待ください。
2012.01.21
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ドイツ製プロバット焙煎機テスト中…17日に設置完了したプロバット焙煎機ですが…17日はフルバッチで火力のテストして終わり…昨日は夜、ブラジルの規準作り…今朝はコスタリカで規準作り…後ほど、詳しくレポートします。
2012.01.19
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いよいよ、冷え込みが厳しくなってきましたね、みなさんご自愛ください。車を使う用事の無い日は、朝徒歩通勤してますが、完全防寒で20分位歩いているとけっこうぽかぽかになってきます。で、少し身体が暖まって、頭もはっきりした頃店に着き…焙煎機に火を入れて暖気運転しながら、仕事をスタートしているんです、6時頃ですね。毎朝、そんな感じで、焙煎からスタートするさかもとこーひーですが…1/17(火)に新しいドイツ製プロバット焙煎機が入ります。開店以来18年半使って来た今の富士ローヤル焙煎機はもうお疲れさまです、よく働いてくれました。もっとも、まだまだ使えますが…。デジタルな製品と違ったこういったアナログな機械は使い込んでいくうちに肉体化すると言いますか…自分の手足の感覚と同じになるので…まさにクラフトの世界ですが…あまり替えたく無いのが本音なんです。手に馴染んだ包丁みたいな感覚ですね。焙煎は…焙煎機だけでなく、焙煎機が置かれている環境や…部屋とか店ですね…煙突の状況等全体が焙煎機となってするんです。そのコンデションを整えながら…自分の感覚と一体化して、火力や排気の調整がすっすっとできて、安定した焙煎ができるんです。なので…毎日、同じ時間に、同じ手順で焙煎するのが大切だと思ってます。特に、スペシャルティコーヒーは素材のポテンシャルが高いので…安定して再現性のある焙煎をしていないと…デリケートな部分に踏み込んでの検証ができないんです。もっとも、クオリティの高い素材だけに、なんとなくの焙煎でも、クオリティの低い素材を使った場合よりも、なんとなく飲みやすいコーヒーになりますね、それを美味しいと満足している店をみかけます。でも、それはせっかくの素材の魅力を活かしきっていないということで…まぁ、業界を眺めていると…ビギナーからベテラン、有名店まで…そんなレベルばかりなことに愕然としていますが…。生産者のことはたくさん書いていても…写真付きで…実際のコーヒーの魅力についてはふたつみっつよっつのカッピング用語しか書いていない店は要注意です。すみません、余談でした。そんなこんなで…新しい焙煎機に替えるんですが…何故?替える事にしたのか。新しいそのプロバット焙煎機は重いんです。国産、欧米の他の焙煎機よりも同じサイズだと倍くらい重いということです。常連のお客様から、店で何で替えるのか?聞かれた時には…重いんです!って答えています。まぁ、それだけじゃなんなんで…肉を薄いフライパンで焼くのと、プロ用の分厚い鉄板で焼く違いみたいなもんです…って説明します。蓄熱量とか、熱の伝わり方の違いですね。フレンチで使うプラックというオーブンにも例えられます。http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/201106060000/メーカーが違ういくつもの焙煎機を並べて検証すると…焙煎が終わった後に冷まさないと機械を止められないのですが…そのプロバット焙煎機だけなかなか冷めないので片付けが最後になってしまうそうです。それだけ、冷めにくいということだと思います。熱を伝えるには…対流、放射、輻射と接触して伝わる部分もあります。メーカーによって考え方が違いますので…まぁ、どのような焙煎を目指しているかとか、効率とか、生産性とか、コストとか色々とあります。みんながみんな美味しさとかを目指しているわけではありません。で、大きさは違うのですが…この3年間で、同じ型の焙煎機を4台…火力とか排気とか温度をセッティングしたんです。その後、焙煎豆をメール便で送ってもらい…カッピングして、電話で微調整のフォローのアドバイスをしてきたんです。そんな経験を重ねて来た結果…その焙煎機のポテンシャルも癖も分かってしまったので…これは使える!と考えました。これなら…素材の持っている魅力をさらに繊細に力強く引き出していけると思います。排気のバランスや熱の伝わり方が気に入ったんです。香りや味わいの表現のポテンシャルを上げられると思います。そうそう、今迄の自分の焙煎メソッドがそのまま使えるというのも大きなポイントでした。そうでないと…最新式とか日本に何台しかないといった希少性とかでは、怖くて新しいものには替えられないですよね。替えたら、それまでと全く違った味わいになってしまったら、それまでの常連さんはたまったものではないですしね。別の理由は…寂しいことですが、年々焙煎する体力が落ちて来ているので…一回の焙煎量を少し増やして、焙煎回数を減らせるってこともあります。まぁ、一日当たり2回3回減らすレベルですが…時間にして30-60分ですね。それと…豆が高騰し、この先下がる期待があまりできないので…今は円高ですが、これが円安に少しでもなるとさらにコストが上がるし…しかし、今の価格は守りたいということもあります。さかもとこーひーは普段の暮らしの中で楽しんでもらうことを大切にしていますから…なんとかできるだけ今のセット価格は維持したいんです。今以上豆の仕入れ価格が高騰したら…もう少し量を売らないと価格を守れないという現実もあります。焙煎機のサイズを上げて、量にも対応できるようにとも考えました。それは、徐々に、レストランやカフェ向けの卸の対応を進めて行けますし…日曜営業もできますので…2月から日曜営業をはじめます。「こんな美味しさ」を届けたくて!!…ドイツ製焙煎機に新しくしました。より円やかな美味しさを磨いて行きます、ご期待ください。「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。
2012.01.15
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・・・この春にTVや新聞等で大きな話題になったコーヒー相場の高騰ですが、さかもとこーひーでは去年契約した豆を使っていましたので、値上げをしていませんでした。そして、中米の新豆の手当がほぼ終わりになってきましたが、その仕入れ価格の高騰は、予想されたとはいえ、大変に大きなものでした。その豆を使い始める8月中旬から…本当に心苦しいのですが…「ほのぼのこーひー」の…「アトムの子」…「カフェヴィータ」…「カフェコージー」…「アイスコーヒー」を…1400円/500g、790円/250gから…1575円/500g、945円/250gに…変えさせて頂きます。さかもとこーひーのベースになる「ほのぼのこーひー」ですが…あまりの相場高騰で価格を維持できなくなりました、よろしくご了承ください。また、さかもとこーひーとしては「日常の暮らしの中のこーひー」を大切にしていますので…ご注文全体の60-70%を占める「セット」の価格と、「3000円以上・送料無料」の、2つは堅持いたします、ご安心ください。(こーひー個々の価格アップはさけられませんが…「セット価格」は上げません。)しかし…「送料無料と代金引換手数料無料」のコストの負担が大きくなりすぎましたので…ご不便おかけしますが…お支払いは…「コンビニ、郵便振替払い(手数料無料)」…を、標準にさせて頂きます。(8月中旬以降に予定しています。)手数料分を高騰している生豆の仕入れにまわし、より際立つ魅力、クオリティの生豆を仕入れていきたい思います。よろしく、ご理解をお願いします。「代金引換払い」は…「4200円(豆代)以上、代金引換手数料・無料」…「4200円(豆代)未満、代金引換手数料・210円」になります。「代金引換払い」をご希望の方は…「連絡欄」に…「代引き払い」とお申し付けください。ご記入の無い場合は「コンビニ、郵便振替払い(手数料無料)」でお届けいたします。(8月中旬以降に予定しています。)・・・記録的に早い入梅から、まだ7月になったばかりなのに、夕立や落雷はあるし、晴れたら8月のような空ですし、節電の夏なのに…困ったものです。僕は、あいかわらずサンプルのカッピングの追い込みだったり…新しい焙煎機の見積もりとったり…先日も、プロバットの1kg焙煎機で遊んできました。さて、 「焙煎のレシピ&方程式・3」です。今書いているのは、スペシャルティコーヒーの焙煎についてです。コモデティ、プレミアムコーヒーの焙煎とは共通する部分としない部分とがあると思います。同時に、サンプルローストと本焙煎とでも共通する部分としない部分があると思います。当たり前ですが、目的が違いますから…。コモデティ、プレミアムコーヒーの焙煎は、昭和の自家焙煎でかなり成熟していると思います。ただ、素材が違いますので、それらのコーヒーの目指すものと、スペシャルティコーヒーの目指すものは同じ方向を向いていないと思ってます。昭和の自家焙煎の手法そのままでは、スペシャルティコーヒーの焙煎に適用できないと思います。僕自身の焙煎の考え方は、プレミアムコーヒーを焙煎していたときから大きく変えていませんが…それでも、スペシャルティコーヒーのポテンシャルを生かす為に、この10年細かいところでかなりバージョンアップしています。さかもとこーひーの目指すスペシャルティコーヒーの魅力は…素材の持つ香りと酸と甘味のバランスを如何に取って、心地よく惹き付けられる余韻にするかにあります。その為の、焙煎の方程式であり、レシピになります。ポイントは…「理論は現実に従う。」です。繰り返しますが…「焙煎は乾熱調理」これが、一番のベースになっています。そこから、乾熱調理によって、最適な時間に最適なカロリーを与え…生豆のもっている成分を、効果的に発達させたいわけです。効果的に発達するというのは…「美味しい」と感じるようにです。まぁ、美味しいといっても、人それぞれですからとっても悩ましいのですが…だから「美味しいってどういうこと?」をテーマにして、19才から37年も追い続けているしまっているんですけどね…。(なので、不特定多数向けの美味しさは追い求めず…さかもとこーひーの常連さん向けの美味しさを追いかけているわけです。それが、美味しさのひとつの答えです。)逆に言うと、求めている味わいと香りになるように、成分を発達させるためには、どこからどこの部分で、どのようなカロリーを与えれば良いのか?これを、温度毎の時間を記録し、ある温度からある温度までの時間によって検証できると考えています。短時間焙煎とか長時間焙煎とかは全く考えていません。それらは結果であって、手段でないと思っているからです。で、ボトムの温度、水分抜き工程の基準温度と時間、ロースティング工程の基準温度と時間が決まって基準にしていました。それを目安に何人かの焙煎をアドバイスしたら…焙煎機が違うのに…僕が長年使っている基準そのままに通用してしまい、それが、レシピに通じることとなったのです。色々と多くの人の焙煎を見たり聞いたりしていますが…違いを感じるのは…「火力」と「熱量」の違いだと思ってます。ある温度からある温度まで上昇するのに最適な熱量が欲しいのですが…それを時間で測っています。例えば、焙煎のスタートから測るのが効果的で再現性があるのか?…ボトムポイントから測るのが良いのか?…もっと別の温度から測るのが良いのか?…そういった考え方にまだ出会っていません。それで、実際に、何人かの人の焙煎の基準を作り、その後も豆と焙煎表を送ってもらい、カッピングし、アドバイスをする、この繰り返しをしていますが…最初にすることはボトムポイントを探し、投入温度と火力を探し、排気のバランスを取り、後は、水分抜き工程とロースティング工程をレシピ通りに進行する火力のコントロールをし、ロースティングポイントの違いを色々と体験します。そうすると…0.1分、0.2分の違い…1℃2℃の違い…で、目を見張るような仕上がりになることが多いのです。(水分抜きというと…どの位水分を抜くのかとか…実は、ハゼてからが一番水分量が減少しているとか…道に迷っている話しを聞きますが…正確に言うと、ロースティング工程乾熱調理に移行するタイミングに、最適な水分の抜け具合で移行したいということです。水分を抜いて乾燥させてしまうわけでは無いのです。水分が抜けた量を測ったりするよりも、カッピングから逆算した方が確実に美味しくなると思ってます。さかもとこーひーでは、165-170℃の間に水分抜けのタイミングになり、ロースティング工程に移行するようにしています。165-170℃の間に水分抜けになるような進行を見つけ基準にしたわけです。「理論は現実に従う。」です。)豆によって、ロースティング工程の基準温度に違いがありますので、それを決めます。これらは、全てカッピングして決めて行きます。カッピングすれば、0.1分0.2分のズレ、1℃2℃のズレが分かります。このカッピングは、素材を見極めるカッピングとは別物ですね。あとは、ベストパフォーマンスのデータ化&再現をすすめ…ブレのコントロールの為に中心と範囲を決め…データとカッピングの仮説検証で、自分の物差しを日々バージョンアップする繰り返しを続けます。要は…まず、問題解決の方程式があり…そこから基本となるレシピや基準があり…そこまでは、基本で…誰でも基本を身につければ、一定のレベルまでは到達できるってことですね。そこから先は…プロの愉しみで…数字に表せない感覚の世界が待っているんだと思います。素材のスペックを見極め、キャラクターを生かし、お客様のお好みを考え、ときめくようなイメージができたら…ロースティングポイントを微調整します。結論は…レシピや方程式が確立されないままに、何年焙煎しても再現性が無く、仮説検証も出来きず、技術の向上は望めないってことです。その為には、データとカッピングの繰り返しをするのが良いのですが…データが適正、効果的なもので無いと意味が無いですから、なかなか難しいです。これは、サンプルローストとは違い、商品を焙煎するわけですから、バイヤーやカッピングの指導者の方々に頼るわけにはいきません。なぜなら、スペシャルティコーヒーはカスタマーオリエンテッドですから、自分のカスタマー(コンシューマー消費者ではない。)顧客がいないのに、顧客のための魅力作りはできません。コモデティコーヒーならば、不特定多数の一般消費者向けの美味しさを目指せますが、スペシャルティコーヒーは際立つ美味しさですから、不特定多数のための美味しさには向かないのです。だからこそ、自店の常連さんと一緒にスペシャルティコーヒーの魅力を作っていく楽しみがあって、おおきなやりがいになると思います。先日、NHKBSのたけしの番組に宮大工の小川三夫さんが出ていました。最後の宮大工と言われた西岡常一棟梁の唯一の内弟子となった方ですね。西岡棟梁の本も、小川棟梁の本も好きでだいたい読んでますが…そのたけしとの会話で…執念…って言ってました。宮大工の修行は、ひたすら研ぐことの繰り返しだそうです。仕事が終わってから、休みの日も、時間を作ってひたすら自分の鉋等を研ぐ。きちんと研げるようになると、自ずと腕も付いてくるそうです。好きな話しです。そんなこんなで、今週56才になりましたので、これからの20年どのようなこーひーの新しい魅力をお届けできるか、楽しみです。こーひー人生の仕上げとして…ひたすら、焙煎して、カッピングしての繰り返しを続けるのでしょう。ちょっと、一般向けのお話しから大きく外れてしまいました、失礼しました。震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。http://twitter.com/sakamotocoffee「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。
2011.07.04
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蒸し暑かったり、風が強かったり、不安定な陽気が続く千葉です。いよいよ、焙煎時の暑さが夏モードになってきました。Tシャツが汗で濡れてきました…まだ、ぐっしょりにならないだけ良いですけども…。節電の夏がやってきます、みなさん、くれぐれもご自愛ください。さて、中米のこーひーの買い付けが終盤になってきました。後はスポットで入ってくる豆で魅力的なものがあったら抑えていくだけです。そして、予想できたこととはいえ、豆の高騰には頭が痛いです。しかし、個人にはどうしようもないことで、できることは、クオリティの高い、魅力的な豆を選ぶことだけだと思っています。さかもとこーひーとしては「日常の暮らしの中のこーひー」を大切にしていますので…ご注文全体の60-70%を占める「セット」の価格と、「3000円以上・送料無料」の、2つは堅持いたします、ご安心ください。(こーひー個々の価格アップはさけられませんが…。)しかし…「送料無料と代金引換手数料無料」のコストの負担が大きくなりすぎましたので…ご不便おかけしますが…お支払いは…「コンビニ、郵便振替払い(手数料無料)」…を、標準にさせて頂きます。(8月中旬以降に予定しています。)手数料分を高騰している生豆の仕入れにまわし、より際立つ魅力、クオリティの生豆を仕入れていきたい思います。よろしく、ご理解をお願いします。「代金引換払い」は…「4200円(豆代)以上、代金引換手数料・無料」…「4200円(豆代)未満、代金引換手数料・210円」になります。「代金引換払い」をご希望の方は…「連絡欄」に…「代金引換」「代引き」「コレクト払い」とお申し付けください。ご記入の無い場合は「コンビニ、郵便振替払い(手数料無料)」でお届けいたします。(8月中旬以降に予定しています。)そんなこんなで…「焙煎のレシピ&方程式・2」です。普段、同業者からのコメントはほとんど無いのですが…常連さんからの、ご感想、コメントが多く、とっても参考になっています…先日、カップオブエクセレンスのカッピング会で、若い同業の方から「焙煎のレシピ&方程式」について声をかけられました。他にも、けっこう同業者が見ているそうです。やはり、反応があると、励みになりますね。前回は…「コーヒー豆を焼けば…コーヒーになります。少し焦がしても、少し生焼けでも、コーヒーになります。勿論、苦かったり、酸っぱかったり、冷めるとキレの悪い後味になったり…素材と焙煎のレベルによって様々ですが…。」…「この数年準備を進めてきました。ちょうど、タイミング良く、焙煎のアドバイスをする機会が増えてきまして…新しい焙煎機を使い…僕の焙煎手法… 「焙煎のレシピ&方程式」がそのまま効果的なことを確認できました。そのままと言うよりも、その焙煎機の方が、僕の 「焙煎のレシピ&方程式」がもっと効果的なことがわかりました。」…そんな流れでした。ところで…焙煎の本質について考えるようになったきっかけは…柴田書店の喫茶店経営に連載されていた「銀座カフェ・ド・ランブル物語」の中でランブルで焙煎していた山田さんが「コーヒーの焙煎はカラメル化するだけなんですよ。」って言っていたことや…バッハの田口さんの「自家焙煎技術講座、1986年刊」で焙煎を細分化して、細分化したそれぞれの工程についての考えを書かれていたことがきっかけでした。それまでは、焙煎を秘伝のように語る先輩が多く…輸入文化の神秘性に包まれていたんです。まぁ、今でも…どこの焙煎機が良いとか、新しい焙煎機が出るとそれが注目され、それまで素晴らしいと言われていた焙煎機から換わったり…外国の有名な人が言っている焙煎理論がでればそこになだれ込んだり…短時間焙煎が良いとか長時間焙煎が良いとか…そこには、本質が見えてきません。日本人だろうが、外人だろうが、ローストの本質は変わりないはずです。で…「焙煎ってどういうこと?」…の答えを探しはじめたのですが…要は「ロースト」という位ですから「調理」なんですね。「焙煎機」って「オーブン」だと思うとすっきりしました。で、調理の基本を学んでいくと…「乾熱調理」に行き着いたのです。調理には「乾熱調理」と「湿熱調理」があって…「乾熱調理」は180℃前後での調理で…焼くことも、フライや天ぷらもみんな共通なんです。「湿熱調理」は茹でたり蒸したりで100℃以下の調理になります。(乾熱調理の3つのポイントは…「メラノイジン」「ディープフライフレーバー」「カラメル」だそうです。)その「乾熱調理」によって、生豆の持つ成分を、美味しいと感じるように、化学変化・発達・デベロップさせることだと思ってます。そう考えると…「レシピ」が出来るはずなんです。オーブンの調理は、温度管理をきちっとしていて…料理好きの主婦のみなさんは、本当に美味しいパンやケーキを焼きますからね。レシピはひとつである必要はありませんが、レシピが無い状況は進歩が無いと思います。レシピは計測できることがポイントでしょうか。グラム、温度、時間等簡単に計測できます。ケーキやパンの世界では、10年前20年前には考えられないような高度なものを主婦のみなさんが焼いているのは…レシピの進化でしょう。さかもとこーひーの前、紅茶の店テ・カーマリーの頃、8年位手網で焙煎して、こーひーをだしていました。紅茶の店なので、こーひーは一日10杯くらいしかでないので、手網で一回200g焙くと足りたんですね。開店前や閉店後に、週4.5回焙いてました。その時は、グラムと時間の計測は簡単ですが…温度は、アルミの天ぷらガードの内側に目盛りを書いて、火からの距離に置き換えてました。(これは、豆の色や香り、音の変化を身につけるのに大変役立ちました。)その後、自家焙煎している方とたくさん知り合うようになりましたが…記録をとっている人が本当に少ないことに驚きました。今日本のスペシャルティコーヒー界をリードしているある人が豆を量っていなかったことを知った時のショックは忘れられません。ボールか何かで、これで何杯で何キロくらいって感じでしたから。ケーキでは、1グラム以下の計測が必要なこともあるのに。焙煎はコントロールが難しいところがあるので、自分でコントロールできること(計量したり、焙煎の時間だったり…。)に手抜きをすることは考えられませんので…。計測し、それをカッピングして検証する…その繰り返しを続けると、徐々に見えてくるものがあります。そして、ではどこを計測するのか?…次にそこがポイントになってくると思います。見当違いの計測をしていても進歩できません。「銀座カフェ・ド・ランブル物語」の中で山田さんが「コーヒーの焙煎はカラメル化」と言ったことから…「焙煎は調理」で、さらに「乾熱調理」へと進めました。バッハの田口さんの「自家焙煎技術講座」で焙煎を細分化していたところから…焙煎の全体をどう細分化し、計測していったら効果的かと進めました。焙煎をいくつかの工程に細分化し、それぞれの工程に過不足の無いカロリーを与えること…それがレシピになると思いました。(だから、焙煎のトータルの時間を云々しても意味が無いと思ってます。)なんだか、まとまりませんので…次回 「焙煎のレシピ&方程式・3」へ進みます。最後に、僕の「焙煎のレシピ&方程式」を使い、今もアドバイスしている方からのメールを要約してご紹介します。「僕にとって焙煎はまだまだ難しいです。ただ、レシピ通りに水分抜き工程・ロースティング工程を把握し、後は記録を取っていれば、そうぶれずに焼けるように感じて来ました。僕は料理やパンやケーキを焼くことが好きで、レシピの大切さはわかります。それがなかったら作れないし焼けないし。なので、もし焙煎にこれがなかったらいつまでもトンネルの中にいる状態だと思います。ひょっとしてそれさえも気付かないのかも。焙煎も調理している感覚があります。でも、豆の違い・気候・気温の変化・・まだまだ簡単なものではないです。でも、おもしろいです。」震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。http://twitter.com/sakamotocoffee「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。
2011.06.26
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震災から三ヶ月経ちました。被災されたさかもとこーひーの常連のお客様からのメールやお電話が震災前のような内容になってきました。勿論、まだまだ大変なことは当然なんですが…いつものようにこーひーがある暮らしになっていることに、少しホッとします。復旧の本当の厳しさはこれから長く長く続くと思いますが…そのエネルギーの為にも、いつもの暮らしがあってこそだと思いますので…さかもとこーひーが少しでも暮らしのリズムに役立って欲しいと願っています。そんなこんなで…今日は、こーひーの焙煎や焙煎機について少しお話しします。この夏で、さかもとこーひーを開店して18年…私自身は、来月56歳になりますが…目標があと20年現役ですので…どうやら折り返し地点に来てしまったようです。スペシャルティコーヒーに踏み込んで、10年を過ぎていますが…この10年で、本当に素材の質も量も向上し…数多くのサンプルから、よりクオリティの高い豆、よりさかもとこーひーのお客様のお好みに合った豆、さらに新しい魅力を持った豆を使えるようになってきました。そんな毎日の積み重ねで…素材の微妙な魅力やキャラクターを細部まで感じ取れるようになり…その魅力を活かすイマジネーションも豊かになってきました。そこで、ここ数年感じていた事が…素材とイメージのレベルアップに焙煎機の性能が追いつかなくなって来たってことです。先日、いつものワイン会の時に、フランスブレス産の地鶏を頂きました。その地鶏をテーマにサンク・オ・ピエのシェフがブログで書いています。http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/201106060000/ 「これは本当に美味い!!フランスに渡って焼き鳥屋になりたいくらいです。(笑)」「この25年余りの料理人人生で、私の最も大切にしていることが、「いかに上手に肉や魚を焼くか?」という事。“フランス料理はソースが命”なんてよく言いますが、どんなに素晴らしいソースが作れても、上手に焼けていない肉や魚は決して美味しい料理にはなりません。私の料理の基本スタイルですね。」(ここは…どんなにエスプレッソの抽出やミルクのフォーミングの技術が素晴らしくても、上手に焙けていないコーヒーでは決して美味しいエスプレッソやラテ、カプチーノにはなりません。…そう伝わってきます。) 「ちょっとまねできないような火の通し加減。特に鶏の胸肉を食べていただくとその違いに驚くはずです。皮はカリカリに香ばしく、焦げるぎりぎりまでしっかりと焼いてあり、身のほうはしっとりととろけるような柔らかさです。先日も「どうしてこんなに柔らかいんですか?」と訊かれました。「鶏肉自体も地元の物で鮮度が良いのですが、90%以上は焼く技術なんですよ。と言っても特別なことしているわけではなくて、塩を振ってフライパンで焼くだけなんですけどね。オーブンも使わないんです。」と言うと、驚かれていました。 うちの厨房のガス台がプラックというちょっと特殊なガス台なんです。これがとても仕事の助けになっています。」「肉や魚の主成分はたんぱく質ですから、熱を加えると縮みます。よくいわれるように「肉の表面を強火で焼きつけて旨味を閉じ込める」なんて言いますが、そんなことをすると肉の表面が縮んで中に対する圧力が高まり押し込められた肉汁が出てきてしまうんです。強火で一気に焼きしめるというのはそういうことになってしまうんです。」「“とりあえず食える”という事と“最高に素材の魅力が引き出されて美味しい”というレベルの違い、、、。そのあたりをずっと追求してきたわけです。肉や魚を焼くなんて本当に誰にでも出来ることなんですが、そんなシンプルなことをちょっとマネの出来ないレベルにまで高めたいという気持ちでずっとやってきて、最近だいぶ上手になってきたような気がします。シンプルなものほど奥が深いです。」(達郎は、誰にでも出来ないことを出来るのが「芸」だ、って感じで言ってました。)このような言葉に、同じ職人として、シェフの毎日の精進が伝わってきます。実際、サンク・オ・ピエのローストやポワレに慣れていると…他の店に行った時に、サンクとのあまりの違いに愕然とします。これは、素材と技術とイマジネーションのどれかが欠けても実現しない魅力だと思います。「芸」は、日々の精進によって磨くものだと思いますので…簡単に一朝一夕では身につかないものだと思います。コーヒーでも、全く同じように感じていて…コーヒー豆を焼けば…コーヒーになります。少し焦がしても、少し生焼けでも、コーヒーになります。勿論、苦かったり、酸っぱかったり、冷めるとキレの悪い後味になったり…素材と焙煎のレベルによって様々ですが…。で、素材とイメージのレベルアップに焙煎機の性能が追いつかなくなって来たって感じているわけです。そうは、言っても…安易に焙煎機を替えて…今までのさかもとこーひーのテイストが変わってしまっては台無しです。まぁ、焙煎する人間が同じならば…自ずと同じ方向に向かうものですが…時間がかかると、お客様に迷惑をかけてしまいます。焙煎機を替えたら…テストローストをして…営業再開する時には…今までのさかもとこーひーのテイストのままに、よりレベルアップしないといけないと思ってます。その為に、この数年準備を進めてきました。ちょうど、タイミング良く、焙煎のアドバイスをする機会が増えてきまして…新しい焙煎機を使い…僕の焙煎手法… 「焙煎のレシピ&方程式」がそのまま効果的なことを確認できました。そのままと言うよりも、その焙煎機の方が、僕の 「焙煎のレシピ&方程式」がもっと効果的なことがわかりました。実は、この業界には 「焙煎のレシピ&方程式」が無いんです。なんとなく、先輩からの言い伝えや、有名な人の受け売りばかりで…じゃぁ、焙煎とは何なのか?…が、明確にされていません。勿論、従来からのコモデティコーヒーの世界は、成熟されたノウハウがあると思いますが…スペシャルティコーヒーは、それまでにない際立った魅力やポテンシャルがありますから…それらを活かす為には、より明確な、ただ焙くだけでは無い 「焙煎のレシピ&方程式」が必要だと思ってます。と、言う事で…これから出かけますので… 再来週になると思いますが…「焙煎のレシピ&方程式・2」に続きます。震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。http://twitter.com/sakamotocoffee「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。
2011.06.12
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やっと、土曜日から試飲を温かいこーひーに切り替えました。これからしばらく僕の一番好きな気持ちのよい季節です。みなさん、気分が変わったのでしょうか…急にはじめてのお客様が増えてきました。やっぱり秋を感じているんでしょうね。普段は女性のお客様が多いのですが…なぜか、昨日の土曜日は男性ひとりのはじめてのお客様が重なりました。僕と同世代の方から、若い方までいらして…楽しかったです。で、去年くらいから、何人かの若い方に焙煎のアドバイスをしているんですが…自分では当たり前になっていたことでも…あらためて、焙煎の難しさを感じています。まぁ、その店に行って、普段通りに焙煎してもらい…それを記録して…カッピングすれば…焙煎スタートの温度、火力、排気…水分抜き工程…ロースティング工程…と、それぞれの基準を確立できます。後は、その基準に則って焙煎するだけなんで…まぁ、安定してブレずに焙煎できるようになるには多少の慣れが必要ですが…プロだったら毎日繰り返し焙煎できるので、それほど難しいことでは無いと思います。勿論、初心者にとって、自分の環境での基準作りはかなりハードルが高いと言いますか、無理な場合がほとんどでしょう。昔から繰り返し言っていますが…焙煎は「乾熱調理」だと思っているので…必要なタイミングで、過不足の無いカロリーを与えれば、美味しいコーヒーが焙けると思います。自分が美味しいと思うゴールから逆算して、カロリーを与えれば良いのです。昔から業界に流れていたり、国内外の偉い人が言うような何かの必殺技や魔法の焙煎機があるわけでは無いのです。調理のひとつですから…。基準を作った後は…焙煎の記録表と豆を送ってもらい…カッピングして…電話でアドバイスをしています。その際に、水分抜き工程やロースティング工程で…同じ素材で…基準ドンピシャの豆と0.2分ズレた豆と0.3分ズレた豆を比較すると、カッピングの基礎が出来ている人だったら、誰でもその違いが分かります。指導している人は…そんな微妙な違いが出るのか、みなさん最初は疑っていますが…自分の焙煎でも、その違いが毎回必ず出るので…いつしかそれが当たり前に成って行っています。そこを体験してしまえば…後は、同じように繰り返し焙煎できるようにトレーニングすれば良いので、簡単なはずです。ところが、焙煎していけば、焙煎機が汚れてきますので、排気が変わってきますし、季節も変わり、使う素材も変わって行きます。すると、同じように焙けません、なかなか厄介です。送ってもらう記録表には、必ずコメントを書いてもらうようにしているんですが…その時、まず、その豆の良いところから書いてもらうようにしています。放っておくと…気になる点や欠点ばかり書いてしまうんです。そうすると…いくら繰り返しても、イメージする美味しさに近づいていきません。失敗した焙煎でも、冷静に観察して…まず、良いところを探す。そして、直すところを書く。素材が素晴らしいだけに…きちんと焙けた時は、コメントが出る出る、様々なキャラクター魅力が表現されて、書き込んでいます。しかし、ブレた時は書き用が無いんです。そんなこんなで、焙煎の難しさは…別に上手に包丁使ったり、細工をしたりするわけでは無くて、焙煎機を操作するだけですから…「よく観ること」の難しさだと思ってます。「素材」を観る…「焙煎豆」を観る…「お客様の感じ方」を観る。「観て」…「イメージする」…繰り返しですね。先日山形への行き帰りに…24年振りに文庫で再発された「挫折と栄光-世界チャンピオン浜田剛史の時代」を読みました。僕は具志堅チャンピオンと同い年なんで、浜田チャンピンは少し世代が下です。15試合連続KO勝ちの日本記録を打ち立て…名チャンピョンアルレドンドへの挑戦タイトルマッチでの、初回KO勝利の衝撃は今でも覚えています。そんな浜田さんは、僕が毎週一番楽しみにしているTV番組…WOWOWのエキサイトマッチでの解説でお目にかかって居ます。試合良し、解説良し、アナウンサー良し、アシスタント良し、の素晴らしい番組なんですが…何と云っても、ジョー小泉さんとの解説のバランスが素晴らしい。この番組を観ているプロに向けた解説が時々あって、それも聴き応えがあります。同じビデオを観ていても、観る視点によって、こんなにも違う風景が見えるものなのか?といつも感心しています。ジョーさんと浜田さんで、観点の違いも面白く…「よく観ること」の大切さと凄さが伝わってきます。「世界が大切にする ニッポン工場力」という本でも、その世界から引っ張りだこの技術を支えているのは…よく見て観察すること、その上で創意工夫…が伝わってきます。もうひとつ、今読んでいる「一流たちの仕事術」の中でも…日本画家の千住博さんが「描くことよりも見ること」と言っています。一流のミュージシャンになると、技術は当たり前、如何に自分以外の音をよく聴いて、演奏し、全体として素晴らしい音にしているかを感じますね。日本のスペシャルティコーヒーは、この10年で素晴らしい素材が手に入り易くなり、素材のカッピングスキルも広まっていますが…その先が分からず右往左往している若い人が目立っています。難しいものです。味作りも表現だと思いますが…表現するには「観るレベルアップ」が重要ですね。
2010.09.12
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だらだら続けてきました…「コーヒーの焙煎を考える」ですが、「乾熱調理」と、「ロースティング行程」で、ひと段落しましたので、今回で最終回とします。「水分抜き」が終わったら、スムースにロースティング行程に移り、過不足の無いカロリーを与え、豆の持っている成分をデベロップさせる、僕の焙煎に対する考えはそれだけです。あとは、自分の焙煎環境に落とし込めば良いのです。まぁ、その落とし込みがハードル高いんでしょうけどね。で、最後のロースティングポイントについてなんですが…スペシャルティコーヒーに取り組んでいる後輩の相談にのっていて…僕にとっては、ロースティングポイントの1℃の違いが大問題なんですが…どうやら、その1℃の意味が感じなかったようです。つまり、水分抜きもロースティング行程もきっちりコントロールできていないレベルでは、1℃2℃3℃違っても、そんなに味わいや香りに違いが出ないんですね。僕は、そんな焙煎していないので、流石にそこまでは気がつきませんでした。で、水分抜きもロースティング行程もきちんと基準が出来て、コントロールできるようになったら…1℃の違いで、こんなにも味わいや香りに違いが出るんだ!と、驚いていました。う~~ん、スペシャルティコーヒーに取り組んでいる日本の焙煎人の多くのレベルがそんなもんらしいと分かってきました。情けない。実は、ここ数年、他所の豆に興味が無かったのですが、今年になって、ベテランから若い人まで、有名な人から知らなかった人まで、多くの豆を頂きました。そうしたら、素材のレベルは上がっていますが、肝心の焙煎が酷すぎる。最近はスペシャルティコーヒーを深く焙かないお店がほとんどですが…浅いと一見分かりづらいですが、焙けていない。水分抜きもロースティング行程も適切なカロリーが与えられていない。そして、Xマスブレンドで、たまたま少し深く焙いていると、それがさらに酷い。深く焙かないのではなくって、焙けないのではと思いました。そんなこんなで、「コーヒーの焙煎を考える」を終わりにします。
2009.12.11
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すっかり更新がペースダウンしてますが、さぼっているわけじゃーなくって、なんだか忙しくって、飛び回っているので、余裕がないのです。そんなこんなで…「コーヒーの焙煎を考える(28)」ですが…先日、同業の友人と焙煎の勉強会をしました。このところ、全国のスペシャルティコーヒーの店の豆があちこちから集まってきまして、ベテランから若手まで、カッピングする機会がありました。ここ数年は、個人的に他所の焙煎や豆に関心が薄かったのですが…知らなかったお店も増えて、活気づいてきているようです。で、その勉強会では、たまたま素晴らしい焙煎ができても、再現性が低くて、自分では同じように焙煎しているつもりなのに、結果が違ってしまうケースの原因を考えてみました。結論は、焙煎のどこを見るかがズレているんですね。だから、どこが良かったから、フレーバーや甘味、マウスフィール、爽やかさが出たのか、分かっていないんです。良いポイントも、悪いポイントも、データとカッピングで関連づけられていないケースが多いようです。そこを解決する為には、焙煎を根本からどう考えるか?が大切だと思うのですが…通常は、感覚的な表現や、機械的なアプローチしかしないようです。で、同じ豆を午前と午後で2回焙いて、4種類でしたが、それを並べてカッピングし、味わいの違いをデータとつき合わせて、原因を仮説検証したんです。なんか、新鮮な体験だったようです。僕自身は、開店前から繰り返してきたことなので、みんな以外と仮説検証していないんだと、驚きました。仮説検証するにも、効果的なデータをとらないと10年やっても同じところの繰り返しになってしまうでしょう。
2009.11.19
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なんだか、野暮用が多くて、バタバタしてます。間があいてしまいましたが…「コーヒーの焙煎を考える(27)」です。「味のしくみ」から、*香りをつくる物質(香りの正体)乾熱調理「糖類のカラメル化」「脂肪の加熱と香り」「メラノイジン」ときて、今回は、「よいおこげ」をつくる条件に進みます。「よいおこげ」をつくるには、温度調節が大切です。蒸したり、煮たりの湿熱調理は、水の沸騰温度が1気圧のもとで100℃なので、水があるかぎり通常100℃以上に上がる事がないですが…焼く調理の乾熱調理は、調節しないでおくと相当高くまで温度が上昇してしまいます。「よいおこげ」の香りをだすためには、カラメル、ディープフライフレーバー、メラノイジンの3つがうまくできることが必要です。そのためには、100℃以上の高温が必要ですが、長時間加熱したり、必要以上の高温になると、よい香りの成分がさらに変化して、嫌なにおいがでたり、炭化して黒くなり、口当たりがわるくなります。よい香りを得るための温度の範囲は…だいたい150℃から200℃の間です。しかし、200℃以上になるとたいていのものは、においが悪いほうへ変化します。あまり、急速に加熱するよりは、ある程度ゆっくりと加熱したほうが、よい香りを得るのに適している。この辺に、焙煎のロースティング行程のポイントがあると思います。ある温度から、ある温度までをロースティング行程と考え、その間をどの位のスピードで焙煎するか。早くても遅くてもいけない、と、言うよりも、一番効果的なスピードを見つけることでしょうか。早くても遅くても、成分の発達が悪いと思います。
2009.10.28
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さて、「コーヒーの焙煎を考える(26)」は「味のしくみ」から、*香りをつくる物質(香りの正体)乾熱調理「糖類のカラメル化」「脂肪の加熱と香り」ときて、今回は、「メラノイジン」です。先日、近所の常連さんが来られた時、農学部だったそうで…この辺の内容は学生時代を思い出すそうです。もっとも、ここで書いているような基本的なレベルとは違って、複雑な化学反応ばかりで、大層難しかったようです。そんな「アミノカルボニル反応」に進んでいきます。これは糖類とタンパク質がともに存在するとき、150℃以上に加熱されるとおこる化学反応です。これによってできる物質は「メラノイジン」とよばれ、きつね色でよい香りがします。このメラノイジンは、たくさんの種類からなる一連の物質の総称だそうです。焼いたときにできるメラノイジンは実に種類が多く、まだ科学的には未知の部分が多いそうです。それは、材料のタンパク質やアミノ酸の種類はたいへん多いのと、ちょっとした温度のかかり方の違いで別の物質ができるといったことなどが関連しているからと思われるそうです。魚の照り焼き、うなぎの蒲焼き、ステーキ、ケーキ等々の焼く時の香りはみなメラノイジンの香りだそうです。小麦粉をただといてフライパンで焼いても、白っぽくてきれいな色には焼けません。小麦粉に卵だけ、あるいは砂糖だけ加えて焙いても、色はあまりきれいではありません。ところが、小麦粉に砂糖よ卵を混ぜて焼くと実にきれいな、こんがりとした色に焼き上がり、よい香りも生まれます。これは、タンパク質と糖分が加わって加熱されアミノカルボニル反応がおこり、メラノイジンができたからです。糖類やアミノ酸、あるいはタンパク質も各種の食品に含まれています。たいていの食品は焼く事でこのメラノイジンができ、おいしさにプラスされます。なお、このアミノカルボニル反応も200℃以上になると炭化して焦げてしまい、成分がタンパク質から成るために、毛糸を焼いたときのような焦げた嫌なにおいがでてきます。そんなこんなで、次回は「よいおこげ」をつくる条件に進みます。
2009.10.02
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先日外出した時、偶然エスプレッソのカフェをみつけて、おもわず入ってみました。そんな時は、取りあえずいつもエスプレッソとカプチーノ頼みます。出てきたエスプレッソは、明るくて爽やかで僕がイメージするエスプレッソの魅力が小さなカップにいっぱいで、ご機嫌でした。素材の良さ、的確な焙煎、ベストな抽出。優秀なバリスタさんでも、僕の感覚ではほんの少し過抽出なエスプレッソばかりなんです。すると、スペシャルティコーヒーの持っている明るさや爽やかさが隠れてしまうんです。しかし、そこからほんの2秒3秒調節すると…焙煎で水分抜きが甘かったり、ロースティング工程の甘さでデベロップ不足だったりすると、ボディがなく弱い味わいになってしまうので、どうしても少し過抽出に慣れてしまうんだと思います。で、素晴らしいエスプレッソに出会って、嬉しいやら、感心するやら、でした。カプチーノも美味しかったのですが…スペシャルティコーヒーの香りや甘さ、ボディ感がもっと可能性あるように感じました。抽出の問題か焙煎の問題かは分かりませんでしたが。エスプレッソは濃縮されているので、慣れるまでカッピングが難しいんですね。そんなこんなで、「コーヒーの焙煎を考える(25)」は「味のしくみ」から、*香りをつくる物質(香りの正体)乾熱調理「糖類のカラメル化」の続きです。-脂肪の加熱と香り同じサラダ油でも、ドレッシングの香りとフライの香りとでは油の風味が大きく異なる。バターをそのまま味わうのと、少し焦がしたバターソースでも大変な違いがある。いずれも、油が加熱されることにより、新たな香りが生まれるから。この香りは、脂肪が加熱された時の複雑な化学反応によってできるもの。脂肪を構成する成分の一部が分解されて香りの材料になる。そして、その香りは脂肪を構成している脂肪酸の種類によって異なる。また、加熱により発生する脂肪の香りは、加熱が空気に触れているような表面近くと、空気に触れていない内部かによっても異なる。この脂肪が加熱されて生まれる香りも、糖類と同じように、200℃を越えるとよくない香りとなってしまう。といって、あまり温度が低すぎては化学変化がおこらない。よい香りが生まれる適温は少なくとも、150℃以上、ふつうは170~180℃である。この脂肪分が加熱されて生まれるよい香りをディープフライフレーバー(deep fry flavor)と呼んでいる。ディープフライとは、たっぷりの油を使った揚げ物。これら揚げ物の香りから名前がついた。糖類のカラメル化の次は、ディープフライフレーバーでした。温度が高くても、低くても、よい香りにならないということは、焙煎する人はみな経験することだと思います。さらに、この温度はある一点で加えれば良いのではなく、ある程度の時間が必要だということが重要になってきます。で、焙煎工程をどこ(何度)からどこ(何度)までと判断し、その間をどのくらいの時間で進行するのが一番効果的なのか?しかも、その誤差はどの程度まで大丈夫なのか?その基準が的確であれば、あとは日常的にコントロールするスキルがあれば安定した焙煎ができます。安定しないと、検証が大雑把になりますから、何年、何十年焙煎しても、レベルアップが難しくなります。勿論、基準が見当違いなら、おなじように堂々巡りです。基準ができていない、或は見当違いだと、デジタルで自動的にデータとっても、全自動のシステムがあっても、まったく意味ないです。次回は、メラノイジンです。
2009.09.23
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台風の大雨で寒くなったり、昨日は強い日射しで、今日は涼しくなって、日に日に秋に向かっていますね。日曜日にプロのつぶやきを書いていたら、一瞬にして、自宅のMacBookの画面が暗くなってしまい…分からないなりに右往左往して、結局今日修理にだしました。店のMacBookとiPhoneで、無事切り抜けてます。そんなこんなで、うっかりしていてひと月近く経ってしまいましたが…「コーヒーの焙煎を考える(24)」です。今日は横道にそれます。そろそろ、新しい焙煎機に替える時期かなと思いまして、下調べに入っています。取りあえず、プロバットに近づいてみました。で、とってもあっけなかったのですが、僕が今使っている基準ほとんどそのままでいけることが検証できました。勿論、実際には微妙な調節をするのは常に必要なことですが、とりあえず、今の焙煎の土台、基礎が使えるのは嬉しいです。上手くいったら、半日一日で、もう、商品としてだせそうな位違和感無いです。これで、今の焙煎の考え方が通用することが確認できました。あと、気がついたのは…今使っている富士ローヤルだと、きちっと焙煎の組み立てが出来ていないと、スペシャルティコーヒーの場合、焙煎として50点も取れないような焙きになってしまうと思ってますが、プロバットだと、なんとなく、それなりに焙いても、60~70点くらいはいってしまうと感じたんです。まぁ、流石といえば流石なんですが。でも、70点じゃー、スペシャルティコーヒーのポテンシャル全然発揮できていないんですね。さかもとこーひーだったら、とっても商品として出せないレベルです。ローヤルできっちり焙けば、90~95点はいけると思ってます。(この場合の点数は、あくまでも説明のための目安、例えです。)で、プロバットなら、95~100点オーバーのポテンシャルを感じました。もっと、素材のもっている魅力の表現力が磨かれると思いました。が、しかし…ローヤルだと焙煎手法を組み立てないとどうにもならないので、きっちり焙く為には、ひとつひとつ検証していくでしょう。プロバットだと、素材が良いと、悪い素材よりは、それなりにクリーンな味わいになりますから、実際には素材の魅力を発揮できていなくても、そこで…うん、美味しい!…と、判断してしまったら、60点でストップしてしまう危険性大です。実は焙煎に欠点があっても、その欠点を把握し、検証しないと、なかなかスキルアップが進まない危険性を感じました。プロバット使って、3年、5年、10年経っても、最初と対して変わらない焙煎する人の原因が見えたような気がしました。あとは、ローヤルはブレやすいので、安定させるのにエネルギー使いますね。とっても微妙な繊細なコントロールを要求されます。しかし、プロバットでも焙煎工程にブレがあれば必ず香りや味わいに影響しますね。それを感じ取れるカッピングスキルがあって、そこから仮説検証で改善していけば、魔法の術を使わなくてもきちんと焙煎できるでしょう。そのためには、効果的な基準をみつけ、計測することが大前提になります。計測する基準が見当違いでは何をやっても堂々巡りでしょう。焙煎をどう捉えるか、根本的な思考を避けていては無理でしょう。次回は、脂肪の加熱と香りです。
2009.09.02
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蒸し暑さが増してきましたが、立秋だそうですね。店が広くなったので焙煎の熱さが去年迄よりだいぶ楽になりました。このところ、続けてメロンがやってきて、店のみんなで頂いています。メロン食べると涼やかな気分になります。その後、アイスクリームを食べたくなると言ったら…女性陣から、疑問の声が上がりました。そんなこんなで…「コーヒーの焙煎を考える(23)」です。今日は「味のしくみ」から、乾熱調理の続きです。*香りをつくる物質(香りの正体)-糖類のカラメル化砂糖を強く熱するとあめ状となり、やがてきれいなきつね色に変わります。それとともに、とてもこうばしい香りがでてきます。さらに加熱してこれを焦がすと、炭化して黒くなり、よい香りがなくなってしまいます。このきつね色の状態のものがカラメルで、プディングのソースなどに使われたりします。砂糖やその他の糖類は、100℃以上に加熱されると徐々に分子の形態が変化していきます。そして、カラメルの状態になると、分子は大きな変化をおこします。その変化とはきつね色になることと、よい香りが生まれることです。カラメル化は、砂糖や糖類が180℃くらいで加熱されるとおこります。しかし、200℃以上になると炭化してしまいます。大部分の食品には糖類が多少は含まれています。たとえば肉のようにタンパク質が主成分であると思われているものでも、グリコーゲンなどの糖類が必ず含まれています。また、肉料理などでタレを用いる場合、そのタレのなかには必ず糖類が加えられますし、しかもその材料中にもいくらかの糖類が含まれています。したがって、食品の多くは焼くことによって、カラメルの香りが当然あるわけです。と、言った内容です。僕にとってのカラメルは、最初に修行に入ったフルーツパーラーで、毎日毎日プリンの仕込みをしていました。プリンやプリンアラモードがとっても人気でした。上白糖を乾いたフライパンに入れ、火にかけて、バースプーンでかき混ぜながら熱していきます。だんだん水分が出てきて、泡立ち、色づき、きつね色…ここからが一秒単位の勝負です。どこまで焦がすか、色と香りと煙と見つめながら…ここだ!ってところで少量の水を注ぎ入れ、火から降ろし、用意しておいてプリンカップに入れて行きます。焙煎と似たところがありますね。で、プリンを試食しては、カラメルとのバランスを考え…次の仕込みに生かしていました。そんななんで…ケーキ屋さんの手抜きカラメルのプリンやしらっちゃけた気の抜けたようなカラメルのプリンを食べると…プリンへの愛情のなさにがっくりします。焦がしちゃいけないけど、しっかりカラメル化しないと、プリンの魅力は半減です。焙煎のカラメル化は色々と考えられますね。カラメルとは分からない程の焙き具合から、カラメルの魅力が生きているもの、かなり焦げに近くなっているもの…。素材のポテンシャルやキャラクター、お客さんのお好み…色々な要素が関わってきます。残念なのは…焦げを恐れるあまり、カロリー不足でデベロップしていない焙煎…焙煎はあくまでも乾熱調理なんですから、しっかりかけるところではカロリーかけないと焙煎いよる魅力ができません。「焦げ」と言っても、一人一人考え方が違いますので…「焦げ」をどう捉え、どう考え、どうコントロールするかが大切になってきます。そして、その「焦げ」は自分本位の考えでは無く…お客様本位、カスタマーオリエンテッドの視点で考えることが、より魅力につながっていくと思ってます。乾熱調理は一瞬のスピードが必要なので、コントロールが難しいですから、どうコントロールするかが必要になってきますね。次回は、脂肪の加熱と香りです。
2009.08.07
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ぐんぐん暑くなったと思ったら、今日は急に涼しくなりました。おゆみ野店での試飲はこのところアイスコーヒーやアイスティーばかりでしたが…今日、お客さんに尋ねると…みなさん、あったかいコーヒーを…でした。そんなこんなで…「コーヒーの焙煎を考える(22)」です。乾熱調理の続きになります。-焼く調理は、「蒸す」「煮る」などの調理法に比べると、何か魅力のある美味しさをもっている-これは、「蒸す」「煮る」といった100℃以下の加熱調理ではおこらない各種の化学変化が、焼く調理では100℃以上で加熱するためにおこる結果であると、いうことで…焙煎も180℃~200℃くらいでの調理と言えるし、焙煎機をオーブンだと思えない事もありませんので…僕は焙煎を乾熱調理と捉えたんです。そうしたら…水分抜きをロースティング工程がはじまる180℃近辺までに終えるようコントロールして…スムースに水分抜きからロースティング工程に移れるようくみ上げました。まぁ、これは焙煎機や温度計の位置によって、示される温度が違ってきますので…実際には、水分抜きのタイミングを香りで判断できる技術が必要だったり…カッピングによって判断したり…その結果をふまえて…仮説検証を繰り返すことになります。あくまでも、カッピングで判断できないと…延々とドツボにはまり続けることになると思います。次回は…糖類のカラメル化、脂肪の加熱と香り、アミノカルボニル反応をまとめたいと思います。
2009.07.31
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急に雨が降ったと思ったら、一気に晴れ上がり、グングン暑くなってきました。今朝の焙煎は今年一番の暑さでした。焙煎終了後のアイシングが気持ちよいです。そんなこんなで…「コーヒーの焙煎を考える(21)」です。昔、そうですねー、20年?25年?位前になるでしょうか。「紅茶は発酵の魅力」って自分の中で答えが出ていたんですが、「コーヒーの魅力」って、どう捉えたらよいのか?酸もあるし、苦味もあるし、なんだか、重い味わいだし、なかなかまとまっていなかった頃です。柴田書店の「月刊喫茶店経営」の記事で、当時、銀座のランブルの焙煎を担当していた山田さんの、「焙煎は、コーヒーのカラメル化」うろ覚えですが、そんな言葉があったのがとっても印象的でした。当時、そんなシンプルな表現が無かったんです。なんだか訳の分からない目くらまし的表現ばかりで…。ん?今も?そこから、自分なりに色々と考えていったのですが、「カラメル化」だけでは納得できなくて…出会ったのが…「乾熱調理」でした。これで、コーヒーは農産物で、その素材を「乾熱調理」して、抽出したもの…と、すっきりしました。で、スペシャルティコーヒーに取り組んでもそのまま微調整だけで済んでますので、迷いが無いですね。で、「NHK きょうの料理 味のしくみ」河野友美著 日本放送出版協会この本は何度も読み返して、料理や味のしくみを学びましたが、その中の「加熱調理のポイント」で、「乾熱調理」と「湿熱調理」を知りました。加熱調理法は、大きくふたつに分けることができて…-100℃以上、通常180℃付近の熱で行う調理法で、媒体に水を使わない調理法「乾熱調理」といわれる方法がひとつ。(焼く、揚げる、炒めるがこの中にはいる)-100℃、またはそれ以下の温度で行う調理法で、水を媒体とする調理法「湿熱調理」と呼ばれる方法がもうひとつ。(煮る、ゆでる、蒸すがこの中にはいる)-このふたつを比べると、湿熱調理では失敗が少ないのに対して、乾熱調理は失敗が多い-湿熱調理では、媒体が水なので、普通100℃以上に上がることがなく、温度管理が容易である-乾熱調理は、温度が高すぎれば焦げるし、低ければ水分がでて、べたべたなどして、温度管理が難しいから-乾熱調理を失敗無く行うポイントは、温度の目安を180℃におくこと-乾熱調理特有の美味しい香りを出す為にはこの温度が必要-150℃以下ではこの香りが出ないし、200℃以上になると黒く焦げて嫌な匂いがでてくる-乾熱調理には蒸す、煮るなどの調理法に比べて、何か魅力のある美味しさを持っている-焼く調理のポイントは、ことばをかえて言えば、いかに状態の良いおこげをつくるかにある-それは、大別すると3種の化学変化によって生成された物質が総合されたもの-糖類のカラメル化-脂肪の分解によるディープフライフレーバーの生成-アミノカルボニル反応によってできるメラノイジン今日はこの辺までです。今、久しぶりにこの本のこのページを見ると、赤の書き込みだらけです。コーヒーの焙煎を乾熱調理だと考えたところから、さかもとこーひーの焙煎の考え方がステップアップし、仮説検証を繰り返してきました。で、スペシャルティコーヒーの焙煎のデベロップにつながったわけです。
2009.07.29
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日食ということですが…千葉は雨模様、店は北向きなので、全く見る事ができませんでした。でも、お月様は毎日美しい満ち欠けを見せてくれているのに…お日様ばっかり騒がれますね~。これが世間でしょうねー。お月様のほうが全然きれいだと思いますけどね。そんなこんなで…「コーヒーの焙煎を考える(20)」です。ロースティング工程で、味わいも香りも成分が発達して、コーヒーの魅力が生まれます。この工程で…過不足の無いカロリーを与えるだけです。カロリーオーバーしても、不足しても、台無しです。僕はスペシャルティコーヒーを扱う前から、この工程を乾熱調理と捉えてカロリーコントロールしてきましたので…欧米のスペシャルティコーヒー関係者のロースティングのデベロップの考え方を伺った時に、膝ポンでした。自分の考え方と同じアプローチだったので、今迄の考え方が見当違いでなかったと思いました。コーヒーの焙煎を昔の錬金術のように例える人がいますが…僕はシンプルにコーヒーの持つ成分をどう発達させるか、その為のカロリーコントロールをどうするか、と考えています。後は、その過不足の無いカロリーをどう考えるか…カッピング次第ですね。次回は…乾熱調理を振り返ってみます。
2009.07.22
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今日、梅雨明けて日射しがきつく感じます。でも、おゆみ野店に移ったので…店が広くなったからでしょうか…焙煎中も日中もそれほど暑くならなくて、助かります。お陰さまで、梅雨明けの火曜日でも忙しい一日でした、有り難いことです。若い友人から焙煎の相談を受けたので…日曜日に、少し遠出して、他所の店も普段と違う焙煎機で焙煎してきました。この「コーヒーの焙煎を考える」で「水分抜き」についてだらだらと書きましたが…う~~ん、言葉では、受け取る人によって全く違う解釈しますね。一緒に焙煎しながら…水分抜けまでもう少し…抜けた…ローストの香り…と、比べると、誰でも分かってくるんですが、難しいと思いました。まぁ、1回2回では、なんとなく分かる位でしょうが、数を繰り返して行けば徐々にはっきりと感じるレベルなんで、それほど難しいことでは無いと思うのですが…そうは言っても本当に微妙な香りの変化だし、秒単位で変わって行くので、知らないとその違いを掴めないんでしょう。でも、僕は自分で覚えたんですけどね。で、その時は分かっても、自分ひとりで焙煎する毎日になると…いつのまにかグチャグチャになるのは…料理でもお菓子でもコーヒーでも一緒のようです。結局実力不足なんです。微妙な感覚が面白いと思えないと、退屈な仕事になってしまうんでしょう。自分の使い慣れた焙煎機とは違う焙煎機だったのですが…1回2回焙いたら…普段の物差しで全く問題無いことが分かり…そこから一気に先へと進めました。やっぱり、焙煎機ではなくて、焙煎をどう捉えているかが前提になりますね。その後、焙煎機によってポテンシャルも違えば、オペレーションのしやすさも違ってきますし、勿論コストも違いますので…色々と選ぶと良いのでしょう。当たり前ですね。
2009.07.14
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先日の月曜日は、やっとチケットが取れた「談志 リビング名人会」でよみうりホールに行ってきました。とにかく、スケジュールが合わないことも多いし、行けそうな会でもチケットが取らなくて…もう何年ぶりか分からない位の生談志師でした。すっかり老人が板に付いた感じで足の調子も思わしくないようですが…声はここ数年苦しまれているし…しかし、芸のある人はそんなコンデションでも光りますね。ネタは「ずっこけ」に「よかちょろ~山崎屋」…感想は…談志師歴や何を期待しているかによって評価が大きく変わるものだと思いますが…良かったです!ご機嫌になりました。70過ぎて、コンデションがままならなくても、鍛え試行錯誤してきた芸の力が光って見えました。それに、愚痴も毒舌悪口も健在…勿論、芸になってるので快感です。最後は、デザートのような小咄連発。一緒に行った友人とそば屋で一杯やって帰ってきました。そうそう、帰り道に丸の内のヴィロンが開いてたのでうちの女性陣にバゲット4本お土産、僕は途中で寄ったヨドバシにiPhoneの在庫があったのでゲットしました。さて、そんなこんなで、「コーヒーの焙煎を考える(18)」です。ここからが、ロースティング焙煎工程、本番です。過不足の無いカロリーを与えて、豆の持っている成分を発達させる工程ですね。カロリーが多くても、少なくてもアンデベロップと表現されるものになってしまいます。的確な時間に的確なカロリーを与えて、成分を発達させるだけです。で、香りも味わいも、甘味も酸味も、余韻もマウスフィールも、爽やかな甘さで心地よい、そんなゴールも目指します。せっかく、スペシャルティコーヒーの素晴らしいポテンシャルを持っている素材でも、水分抜きが甘かったり、焙煎工程が甘いと、汚れた素材よりは多少飲みやすいだけのコーヒーで終わってしまう危険がいっぱいです。コーヒーの場合、不快な苦味や酸味、汚れた味わいにならないようにする焙煎が上手な焙煎と評価されてきたように、僕は思ってます。スペシャルティコーヒーになっても、その感覚のままでいると、このロースティング工程のデベロップがなかなか掴めないようです。飲みやすさが美味しさでは無いと思ってます。
2009.07.01
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毎日蒸し暑い中…昨日は、キャンブリックティー用に牛乳を買いに行ったら、山形の佐藤錦がお安くなっていて…ワンパック、少しでも熟し具合が揃っているパックを選び…その辺は、修行のスタートが高級果物店のフルーツパーラーだったので年期入ってます…店に帰り、3人で食べ比べ。まぁ、女性ふたりはさくらんぼ好きですから、ニコニコ食べてましたが…となりで僕は、完熟をひとつ口に放り込み、次はパックの中でも熟し具合の甘いのをひとつ放り込み、それぞれの違いを味わってました。面白い。今日は、銀行行った帰りにケーキ屋さんよって…たしか、前回ブラマンジェの札だけあって売り切れていたと思ったので…そのブラマンジェを3個ゲット、ついでにキッシュも買ってきました。せっかくのやわやわフルフルのブラマンジェなのに、上にパッションフルーツのソースがかかって少し残念ソースをよけて味わうと、う~~ん、柔らかさはご機嫌、ほんの少しだけ泡立てた生クリームの優しい味わいがあると最高なんですが…肝心のアーモンドの上品なリッチさは、感じられるけど、物足りません。もっとたっぷりのアーモンドスライス使ってくれたらなぁー。でも、イメージとおり、ミントのキャンブリックティーには相性良いですね。最後のキッシュが、パイもソースも美味しい!今度はビールのツマミになるでしょう。お気に入りがひとつ増えました。そんなこんなで、「コーヒーの焙煎を考える(17)」です。「水分抜き」が上手くいくと…まず、明るさや爽やかな甘さが良くなると思います。それに、香り、後味の心地よさ、マウスフィールのニュアンス…良い事だらけですね。逆に言うと、どんなに良い素材使っても、「水分抜き」が甘いとそのポテンシャルが発揮できない。さらに、素材が良いだけに、結構クリアーな味わいに勘違いしやすく、その甘さが永遠に分からない…悩ましさがあると思ってます。でも、そこまでは、まだ、下ごしらえ。次が、本番のロースティング工程です。僕がずーっと発信していても、誰も反応してくれない「乾熱調理」です。この「乾熱調理」を深く広く考えて行くと…ワインと料理のマリアージュのように…コーヒーとスイーツや料理、パン等のフードペアリングの世界がきれいに見えてくるんですけどね。では、次回からはロースティング工程に進みます。
2009.06.26
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おゆみ野店に移転してきた時に設置したエアコンが、先週暑くなってきたのでいざ使おうとしたら…冷えない!…で、今日無事直って快適になりました。やれやれです。昨日中途半端で、どうもすっきりしないので、今日も書いてみます。「コーヒーの焙煎を考える(16)」です。「水分抜き」についてこのところ書いてますが、これ、微妙な「水分抜き」の話しです。もっと、抜けていないのは…昔から「芯残り」とか言われることがありますが…かなり酷いです。で、今日は…次回は…「水分抜き」終わっているのに、まだ、ロースティング工程の温度に上がっていない時です。これは、ゆっくりすぎるケースですね。ロースティング工程に入れないので、成分がデベロップしません。特に、スペシャルティコーヒーで素材がよいと、わりと飲みやすいし、場合によっては多少の味わいや香りもありますが…素材のポテンシャル発揮できていないし…味わいにしても香りにしてもぼんやり弱いと思います。特に、爽やかな甘さ、明るい印象の魅力が弱いと思ってます。しかし、普段は自分の焙煎したコーヒーばかりだし、同じ素材でお手本になるコーヒーなんてまわりに無いし、それほど不味くないし、これまた厄介です。さらに、ロースティング工程も弱く、デベロップしないことにもつながりやすいですね。スペシャルティコーヒーのクオリティでは無い、クリーンカップで無かったり、酸の質が良く無かったりの素材ばかり焙煎していると、なんとか飲みやすいコーヒーにしたいので、自然とアンデベロップの焙煎になることもあります。そういう人が、スペシャルティコーヒーを焙煎すると、それだけで味わいがクリーンに感じるし、今迄に無かった印象的な香りもほのかに感じたりして、デベロップ不足なのに…さすが素晴らしい素材だと満足するケースも見た事があります。乾熱調理の本質を考えれば簡単に理解できることなんですが…今迄、乾熱調理という話題になったことがありません…でしたが…しばらく前に突然来店された、カフェを開業予定の若い男性は、調理士の方で…焙煎の話題になった時に…乾熱調理…といったら、それなら分かりやすいです、と話しが急速に進みました。焙煎って、焙煎機というオーブンで乾熱調理しているだけだと思ってます。で、水分抜きはその前の下ごしらえですね。
2009.06.16
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曇り空で肌寒いくらいの休日…今日は高三の次男の三者面談行って、ヨドバシで消耗品買って、生保の審査に行って、店寄って、銀行行って…予定終了です。昨日はIKEA行って、本棚とかみさんがミシンかけたりする時の椅子買って、夜は組み立て。手帳に書いた予定クリアーです。そんなこんなで「コーヒーの焙煎を考える(15)」ですが…一応、焙煎に取り組んでいる友人が今ふたりいますので、彼らをイメージして書いてます。結構思うようには焙けないようですが…当たり前でしょう。で、「水分抜き」ですが…今、前回のを読み返したら、ずいぶんと不親切な書き方でしたので、もう少し書いてみます。「水分抜け」したゴールをどこに求めるかがズレていると…あとはどうあがいても右往左往するだけだと思います。そのポイントは…ロースティング工程に入る前に「水分抜け」が終わるように、焙煎の進行をコントロールすることです。分かっている人には、当たり前すぎることなんですが。サンプルローストだと「水分抜け」が終了したタイミングに合わせて、火力を上げ、ロースティング工程に進めば良いのです。が、焙煎機でその方法を取っていると、「水分抜き」工程の進行が早いと、「水分抜け」が終わらないうちにロースティング工程に進んでしまうことがあります。「水分抜き」が甘いコーヒーになってしまいますね。スペシャルティコーヒーだと素材のクオリティが良いので、一見コクがあったり、円やかだったりと勘違いすることがあるようですが…きちんと「水分抜き」ができている同じコーヒーと比較すると、爽やかさや明るさ、香りの質も量も、甘さやマウスフィールのニュアンス、余韻の心地よさ、まぁ、全て違ってしまうと思います。素材のポテンシャルが発揮できないです。ロースティング工程は…「乾熱調理」が進行する170℃とか180℃から入ると考えられますが…厄介なことに、焙煎機の種類や温度計の位置等々によって、その計測されている温度が変ってきますので…自分で掴むことでしょう。後は、自分の焙煎機での、水分抜きの温度を決めて、それをゴールとします。が、いきなりは正確に見つからないと思います。日々の検証で、自分の物差しの精度を高めていくんですが…それが楽しいんですね。勿論、同時進行でカッピング能力も高めないと、何にも進化しません。でも、記録を付けて、比較しながらカッピングしていると、その違いから、見えなかったものがある日見えるようになると思います。比較すると分かり易いですよね。だから、僕は、今でも、たまにブレると、カッピングが楽しいです。そのブレが、どの程度味わいや香りに影響するのか、しっかりと確認できますからね。1℃のブレ、0.1分のブレによる、違いがはっきりと分かると、結構楽しいものです。でも、今、一番楽しいのは…はじめてのお店のお菓子やパンが美味しくて、それにぴったりのこーひーをイメージする時でしょうか。その時は、カッピングと同じように、お菓子やパンの…酸のキャラクターやボリューム、甘さ、味わいの幅や奥行き、マウスフィールの円やかさやコク、香り、余韻の印象や長さ…さらにそのお菓子やパンの魅力のポイント…そんな感じでフードペアリングをイメージしています。次回は…では、「水分抜き」終わっているのに、まだ、ロースティング工程の温度に上がっていない時を書いてみます。
2009.06.15
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梅雨入りとかで、嫌な季節になってきましたが…昨日今日とシナモンのキャンブリックティーを淹れて、ついつい自分で飲んでしまいます。お客さんよりも自分の為の紅茶ですね。さて、「コーヒーの焙煎を考える(14)」ですが…悩ましい「水分抜き」の続きです。考え方次第なんで、分かってしまえば簡単なんですが…「水分抜き工程」を決めて、そのスタートからゴールまでの時間で管理するだけです。まぁ、では、そのスタートをどこにして、ゴールをどこにするか、これが的確で無かったら何の意味も無いので、そこをどう決めるかで、その焙煎のレベルがひとつ決まってしまうと思います。うちの場合、スタートからゴールまで50℃あります。その50℃を一定の時間で上昇するようにコントロールしています。その誤差はプラスマイナス0.2分です。ほとんどプラスマイナス0.1分でコントロールしています。0.3分ぶれると、お客さんには分かりづらい位ですが、カッピングすると明らかに分かる位味にも香りにも出ますので、そうならないようキッチリコントロールします。ロースティング工程でも同じですので…焙煎は朝6時過ぎから出来るだけ開店前に終了するようにしています。忙しいと開店後にずれ込んだり、足らなくなって午後焙くこともたまにありますが、その時は接客しなくても良いように、スタッフに接客をお願いしてます。ゴールは、香りを嗅いでいれば水分抜けのタイミングが見えるので、決めやすいと思います。スタートをどこからにするかは、その人が焙煎をどう捉えているかが良くでると思ってます。まぁ、最初はだいたいで決めて、焙煎、記録、カッピングの繰り返しで、より効果的なポイントを決めていくしかないでしょう。とにかく、このスピードが早くても遅くても水分抜けが甘くなって、香りにも味わいにも悪影響すると思ってます。一番厄介なのは、だいたい抜けているケースですね。なんとなく悪く無いので、もっと魅力的になるポイントを分かっていないと、それでOKだと判断しがちですね。特に、素材が良いと一見クリーンカップなので、何年やっても香りやマウスフィール、甘さ、爽やかさがでないと思ってます。そうそう、ペーパードリップだとその辺の微妙な感覚が分かりづらいとも思ってます。でも、自分の物差しが決まったら、あとは繰り返しですので、快適だと思います。
2009.06.10
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先週一週間コンデション上がらなかったので、毎日晩酌も無しでご飯も少なくして早寝でおとなしくしてました。だいぶ普通の状態になってきました。今日は定休日だから出来る遠出のコーヒーレッスン。船橋まで行ってきました。幼稚園ママ友達4名でした。船橋の繁盛ケーキ屋さん「ル・パティシェ ヨコヤマ」さんのケーキをご馳走になりながら、ブラジル・レクレイヨ農園、ブラジル・バハラス、スプラッシュカフェと淹れて、色々とお話ししてきました。平日は市内の出張コーヒーレッスンしてますが…お休みの日は市外でも気軽に出かけられます。幼稚園生とか、赤ちゃんを持つママさん達と、もう15年以上コーヒーレッスンで接していますが…時代は移っても、ママ友のコミュニティーと子育ての大変さ、お子さんへの愛情は変りませんね。あと、パパの立場の微妙さもね。今日話題になったのは…コーヒーその他の微妙な香りや味を感じる感覚について質問された時に…お子さんの微妙な変化、ちょっと調子が悪そうとか、熱っぽくないかとか、色々とありますよね、それをお母さんは当たり前のように感じますけど、お父さんはお母さんほど感じられないのと通じるかもしれないといったものでした。そんなこんなで、「コーヒーの焙煎を考える(13)」です。「水分抜き」をコントロールしたいんですね。焙煎の本や今迄同業の方々と話したりして…以外だと感じたのは…記録を付けていない人が圧倒的に多いってことです。記録を付けていないのに、湿度がどうした、気温がどうした、やれ直火、熱風とか、最近はデジタルで記録できるとか。記録を付けて、それから効果的な記録かどうかのスタートだと思うんですね、当たり前ですが。で、記録を付けようと思ったときに、その人が焙煎をどう捉えているかが反映されてくると思います。水分抜き工程での焙煎スピードがポイントとなるのはみなさん同じだと思いますが…僕が見知った多くの人は…10℃毎にかかった時間や1分での上昇した温度を計測しているようでした。それをグラフにしたりですね。この考え方で、なかなか安定せず、解決方法を欧米の焙煎機に求めるケースをたくさん見てきました。これだと…水分抜き工程が、50℃とか、70℃あるとすると…10℃での誤差が+5秒あって、それを50℃重ねると25秒、70℃重ねると35秒、最大ぶれてしまいます。しかし、10℃毎の誤差は5秒という誤差でしか無いです。現実にこんなにぶれては安定した焙煎にはならないと思います。勿論、10秒毎にプラスマイナスして、上手く収まることもあります。悩ましいかぎりです。
2009.05.25
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昨日、今日とあいにくのお天気でしたが、GWが終わりました。さかもとこーひーは5/3(日)に幕張メッセでのサンケイリビングさんのイベント「千葉ごちそうフェスタ」に参加しました。10時半のオープンからお客さんがなだれ込んできて、デパートの混雑する物産展そのもの。入場制限していても、ちょっと怖い程でした。30分2回のコーヒーセミナーは座りきれずに立ち見が出る程で…いつものように「コーヒーはフルーツだ!」と「丁寧な暮らし」を話しながら、1.5Lと1.0Lのカフェプレスで2回淹れ、どうにかみなさんに試飲して頂けました。後は、カフェプレスで淹れたコーヒーと「welcome to マイリビング」と「ブラジル・バハラス」の豆売りで…予想以上に売れ、励みになりました。GWのフードペアリングdayのお申し込みも頂き、残念ながら、一日はオペラの予約が間に合わすクラシックチョコレートケーキになりましたが、他の日はオペラとブラジル・バハラス、シトロニエとタンザニアのフードペアリングを楽しんで頂けました。思ったよりもみなさんそのマリアージュに驚いて頂けましたので、次の企画を考えたいと思ってます。そんなこんなで、「コーヒーの焙煎を考える(12)」です。相変わらずの「水分抜き」ですが、要は…「水分抜き」から「ロースティング工程」に過不足無く、スムースに移行したいんですね。ゆっくり進行しすぎて「水分抜き」が終わっているのに、ロースティング工程に入れないと…ロースティングの温度…170~180℃で進行する乾熱調理の温度になっていないと…乾熱調理が進まず、成分がデベロップ不足になるんですね。ここで、フレーバー不足、甘味も出ないし、マウスフィールも表現できない、不味くは無いんだけど印象的な魅力に欠けるコーヒーになりやすいんです。旧来の素材で、なるべく飲み易いコーヒーになるような焙煎に慣れていると陥り易いを思ってます。スペシャルティコーヒーの素材は基本的にクリーンカップなので、デベロップ不足でも飲み易いコーヒーになって、それで、美味しい!とOKだしやすいんですね。そういった例をたくさん見てきました。逆に…温度上昇が早いと、水分抜きが終わっていないのに、ロースティング工程の温度に達してしまい…水分抜きの甘いコーヒーになるケースもあります。これも、デベロップ不足にもなりますし…水分の残った爽やかさに欠ける重い印象のコーヒーになったり、フレーバーも不足しますし、甘さもマウスフィールも出ず、余韻の切れの良さにもかけると思います。厄介なのは、ペーパードリップだとよりわかりづらいことですね。少し冷めるとてきめんにそのマイナスを感じます。なんとか、明確にコントロールしたいものです。これが、解決してから…ブレンド作りもフードペアリングも明らかに違ってきました。
2009.05.06
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昨日、お酒を買いにいつものいまでやさんに行った時、地酒コーナーをぶらぶら見てたら…出羽桜一耕が目に留まりました。う~~ん、飲んでないなぁ~、20年前はいきつけの地酒屋さんで贔屓にしてました。最近は若手の蔵元さんや杜氏さんが頑張ってますが…老舗の蔵はなんかもう充分飲んだ気になって、気がつくと10年20年ご無沙汰してしまいます。ちょうど四合瓶があったので買ってみました。で、今日の晩酌で開けた瞬間、懐かしい香りがふわ~っと、う~~ん、これこれ!…で、まっっずはひと口、きれいで柔らかな口当たり、でも、最近の切れの良いコクのあるお酒に飲み慣れていると、少し物足りないかな?…な~んて、思いながらも…煮たイカをつまみに飲んでたら、馴染んできて…少し飲み過ぎました。一耕の一ははじまりの一、耕は耕すこと。お酒の原点ですね、美田も同じ原点…コーヒーはフルーツだ!も同じ気持ちです。そんなこんなで、「コーヒーの焙煎を考える(11)」です。ながくなりそうな「水分抜き」ですね。ようは…水分抜きが終わったタイミングでロースティング工程に進みたいわけです。サンプルローストなら、ある程度の目安で進行し、水分抜き終わったタイミングで火力上げてロースティング工程に進むことが出来るんですが…その分、再現性は劣るし、厳密な味作りは難しいと思ってます。でも、生豆のポテンシャル観るのには充分ですね。水分抜き、水分抜きというのも、その後のロースティング工程が重要なので、ロースティング工程を上手く進めて、生豆の成分をデベロップさせる為なんですね。で、焙煎機での水分抜きをサンプルローストを同じように、水分抜き終わったら火力上げるといった発想でいくと、水分抜き終わってないのに乾熱調理がはじまる170℃180℃に進んでしまうと、水分残りになってしまうんです。逆に、ゆっくり進行していると、水分抜き終わってロースティング工程のカロリーが必要なタイミングで乾熱調理がはじまる170℃180℃に達していないとカロリー不足になってデベロップ不足になりやすいのです。困ったものです。
2009.04.28
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