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10月16日(火)、私は東京芸術劇場へ、「宮川彬良と大阪市音楽団」と銘打たれた演奏会を聴きにいってきました。(当日の公演チラシはこちらです)今、何かと話題の大阪市音楽団(市音)。今月2週に渡って“題名のない音楽会”に出演する機会が持たれるなど、ここのところ市音への“応援・サポート”の機運がさらに高まっている様ですが、私自身もそんな流れに乗りたいと思い、今回出掛けた次第です。今回の演奏会、舞台中央にはグランドピアノが置かれ、演奏中は宮川彬良さん(市音・アーティスティック・ディレクター)が“弾き振り”をされていました。そして、プログラムは宮川さんの“MC”とともに進行。第1部には、“「宇宙戦艦ヤマト」宮川音楽の勉強会”と題されたコーナーがありました。これは、父・泰さんが作曲された“ヤマト”の曲を、息子・彬良さんが分析する、という内容でして・・・私にとっては、特に“挿入曲”についての分析結果が興味深く・・・・「無限に広がる大宇宙」は、“バッハ”と“ロック”が融合・調和した曲・「艦隊集結」は、“ベン・ハー”の様な曲・「真っ赤なスカーフ」は、往年の大ヒット歌謡曲「ウナ・セラ・ディ東京(作曲:宮川泰)」“調”・「ワープ」は、締め切りに追われ、已むに已まれず“抜きの一手”で(楽器の編成を減らして)つくられた曲その様な趣旨のお話が、最近仕事でそれらの曲をスコアに起こし直した、という“息子さん”の口から語られていました。第2部で演奏されたのは、米国の戯曲をもとにした日本の“創作舞踏(バレエ)” 「欲望という名の電車」のために宮川さんがつくられた曲(全8部)。その創作舞踏は“大正時代”が舞台になっている、という事は後で知りましたが、何となくレトロチックな雰囲気を醸しつつ、いかにも“舞踏音楽”といった音楽全体のドライブ感がとても心地良い、そんな曲でした。その“レトロ”な雰囲気は、“VII)迷宮”で宮川さんが奏でられていた“アコーディオン”の旋律部分で、最高潮に達していたと思います。この演奏会、とにかく楽しそうに演奏されている市音のメンバーの方々の姿がとても印象的でした。その楽しさ(宮川さんとの共演が生んだ相乗効果の賜物だったのかも知れません)は、ホールの客席の隅から隅まで伝わっていたと思います。アンコールの2曲(「マツケンサンバII」ともう1曲、たぶん、「ファイブ・サックス・コンチェルト-見上げてごらん夜の星を-」という曲だと思うのですが・・・?)で、この日の演奏会、華やかなフィナーレを迎えていました。『あー、こんなに楽しい演奏会、また聴きたいなぁ、来年も再来年も・・・』『チャンスがあれば、子供を連れてきたいなぁ、子供に聴かせたいなぁ・・・』終演後、純粋にそんな事を思いながら家路についた、私だったのでした。<追伸>市音の廃止・存続問題に関しては最近ほとんど報道等がなされず、私自身、どうなっているのかヤキモキしていたのですが・・・演奏会当日、会場で配布されていた“市音タイムズ(第190号)”を拝見して、やっとその現状を知る事ができました。現在、こういう事になっている様です(「大阪市音をほめる会」の公式サイトへ飛びます)。平成26年4月の「一般社団法人」設立が無事に成される事を、切望しています。
2012.10.20
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先日、YouTubeで吹奏楽版「ポリリズム」の演奏が公開されている事を知りました。ミュージックエイトさんの“公式版”、の様です。聴いてみたんですが・・・(当方の事情によりYouTubeさんへのリンクを削除させて頂きました)・・・・・・・さ、さすが、ミュージックエイトさん。『編曲が、いかにも“ミュージックエイト”という感じだ』と思ったのは、私だけでしょうか・・・・・・・な、なぜ、か、カウベルが・・・・・・・う~~~ん・・・・・・・
2012.05.24
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11月11日(金)、私はすみだトリフォニーホールへ標記の演奏会を聴きにいってきました。指揮:松田浩則(1部、常任)、井崎正浩(2部、客演)プログラムG.ビゼー: 劇付随音楽「アルルの女」組曲より(休憩20分)G.マーラー: 交響曲第5番 嬰ハ短調(アンコール)吉俣良: NHK大河ドラマ「江 ~姫たちの戦国~」メインテーマ(↑開場直前の大ホール入り口前なんですが、“長蛇の列”の理由のひとつは・・・場内の座席が“全席自由”だったからでございましょう・・・)出演者とプログラムの内容からお察しの通り・・・この演奏会、私は、吹奏楽版の「マーラーの5番」を井崎正浩さんが振られる、という事で、出掛けた次第です^^「新交響吹奏楽団」の演奏会へ足を運んだのは、私は確か今回が初めてだったと思います。“アレンジもの”中心のプログラム構成。そして、「オーケストラよりもシンフォニックな響き」を目指した楽器の編成・配置など、アマチュアの団体にもかかわらずその意欲的な姿勢が、この団体の特徴のひとつだと思います。常任指揮者(兼 編曲者)が振られた「アルルの女」を聴いた範囲で、この団体の技術的なレベルを私の尺度で甚だ勝手に判断しますと・・・コンクールでいえば、全国大会の銅賞レベル、といった感じでしょうか。演奏中、金管楽器群が少々苦戦していた様に私には感じられました。ただ・・・木管パートはとても音の響きが豊かで、バンド全体のサウンドに“まとまり感”を付与するための重要な役割を果たしていたと思います。打楽器では、特に鮮やかなマレットさばきを披露していた鍵盤楽器群が、バンドのサウンドを効果的に際立たせていました。この団体について、そんな印象を抱きつつ、迎えた「マーラー」ですが・・・やはり、「マーラー」なので・・・金管楽器が少々苦戦していたため、私にとってはやや物足りない、そんな印象を抱かざるを得ませんでした。マエストロとしては、“音楽が破綻しない範囲で、どこまで金管楽器を前に出すか”という点にご苦労されたのではないか、私はその様に推察致します。しかし、その一方で・・・第4楽章の“アダージェット”の完成度の高さには、少なからず驚かされました。もちろん、原曲の様な“弦楽器の柔らかいサウンド”が吹奏楽で実現できる訳がありません。それは“現実”として踏まえつつ・・・“できるだけ原曲に忠実に”という考え方の基で実施された、楽曲の「編曲」。とても豊かで繊細な、木管楽器群の「サウンド」と「アンサンブル」。全体のサウンドに的確にアクセントを加えていた、「ハープ」と「打楽器」。これらがマエストロの絶妙の“さじ加減”でブレンドされ、恐らく吹奏楽の編制で実現しうる最大限のレベルで、見事に“原曲の世界”を描き出していた、と、私は思います。『吹奏楽で、ここまで出来るんだ!』と、私は客席でひとり密かに感激していた次第です。“吹奏楽の新たな可能性”、そんなものに触れ、充実感に浸りながら帰途についた、その日の晩の私だったのでした。
2011.11.22
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少々時間が経過してしまい、恐縮です。6月25日(土)、私は文京シビックホールへ、第14回「響宴」を聴きにいってきました。「新しい吹奏楽のレパートリーを創出する」他の趣意により毎年開催されている“響宴”。震災の影響で今年は約三ヶ月延期しての開催となりました。開催日時以外には、プログラム、出演者等の変更がほとんど無く開催できた事については、改めて関係者の皆さんのご努力に感謝し、御礼申し上げたいと思います。“第11回”から私は毎年聴かせて頂いているのですが、今年の“響宴”は、演奏曲目の内容が非常にバラエティに富んでおり、とても楽しめました。今年の“響宴”には、演奏団体として五団体が登場しました。印象に残った曲と併せ、そのステージ内容を(僭越ながら)ご紹介してみたいと思います。一団体目は、福島県立磐城高等学校吹奏楽部(指揮:根本直人)。団体名をご覧になってお察しの通り・・・ 被災地からの出演でした。この三ヶ月あまりの間、想像を絶する大変なご苦労があったと思うのですが・・・そんな事を全く感じさせない、とても真っ直ぐで爽やかで伸びやかで煌びやかなその演奏に、私は涙が出る思いでした。北海道の四季を描いたという、八木澤教司さん作曲の“交響詩「母なる北方の大地 - すべての生命を讃えて」”という雄大な曲が彼らによって演奏された事は“必然”だったのだろう、そんな事を感じさせる、見事なステージでした。二団体目は、川口市・アンサンブル・リベルテ吹奏楽団(指揮:福本信太郎)。言わずと知れた、西関東地区を代表する一般バンドです。酒井格さんというと、「たなばた(The Seventh Night of July)」に代表される様に、基本的にとても楽しい曲を作曲される方、という印象が私にはあるのですが・・・今回演奏された“I Love the 207”は“電車”をモチーフにし、ビッグバンドジャズっぽい要素も取り入れた楽しい曲でした。しかし、酒井格さんって、鉄道マニアだったんですね(プログラム冊子記載の曲紹介文を読んだところ・・・ なるほど、この曲、「JR西日本」の“207系”がモチーフなんですね)。三団体目は、中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部(指揮:佐川聖二)。こちらも言わずと知れた、東京地区を代表する大学バンドです。そう、指揮は“基本的に”佐川聖二さんなのですが・・・江原大介さん作曲の“「フレイム」 クラリネットと吹奏楽のための協奏曲”では、佐川聖二さん、なんとクラリネットを持ち、“ソリスト”として登場されました。で、指揮は、アンサンブル・リベルテの福本信太郎さん。こんな珍しく貴重な演奏に立ち会えるとは・・・ こんなところも、“響宴”の醍醐味だと思います。四団体目は、川越奏和奏友会吹奏楽団(指揮:佐藤正人)。こちらもまたまた言わずと知れた、西関東地区を代表する一般バンドです。このステージで、私が度胆を抜かれたのは・・・ 中橋愛生さん作曲の“そして時は動き出す-太鼓と吹奏楽のための祝典序曲”の演奏でした。この曲には、ソロ楽器として“Taiko-Drums”なる楽器が指定されているのですが・・・今回のステージでそれを担当されたのは、世界的“太鼓ドラマー”の、ヒダノ修一さん。自分の周りに“半円状”にセッティングされた、軽く20はあると思われる太鼓群とパーカッション群。それらを迫力満点に乱れ打つヒダノ修一さんの演奏テクニックには・・・もう、見惚れるしかありませんでした。五団体目は、陸上自衛隊中央音楽隊(指揮:武田晃)。世界的に見ても、軍楽隊として高い評価を受けている中央音楽隊ですが・・・ やはり、切れ味鋭い“マーチ”の演奏には、本当に背筋が“シャン”とし、襟元が“キリッ”とする思いです。今回のステージでは、椎葉大翼さん作曲の“マーチ・プログレス”という曲が演奏されたのですが、“マーチ”というこの曲の本質を決して見失わないその毅然とした演奏には、このバンドの“誇り”が見事に表現されていたと私は思います。此度の震災で、被災地には10万人規模の自衛隊が災害派遣されたのだそうですが、中央音楽隊も、慰問演奏という形で災害派遣任務を果たされたのだそうで。『中央音楽隊の素晴らしい演奏に、被災者の方々も、さぞ励まされたに違いない』、私はそう思い、願わずにはいられません。と、いう訳で・・・国内の吹奏楽の最先端活動のひとつを担っている(と、私は信じて疑わない)この“響宴”。来年もぜひ聴きにいきたい、絶対聴きにいきたい、そう思っています。
2011.07.04
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先週火曜日にご紹介しました、このCD・・・注文していたのですが、先週末に届いたので、早速聴いてみました。いやぁ・・・ 嬉しいです!広島ウインドオーケストラ(HWO)最大の特徴である、サウンドの柔らかさはそのままに・・・マエストロは、その音楽に幅と深みを加えている・・・そんな、素晴らしい演奏が収録されている、と、私は思いました。収録曲が、全て“邦人作品”というのも、いいですねぇー!「水を抜けて」は、水面に映った日の光が織り成すモザイク模様を思わせる煌びやかさ。「シリウス」は、スケールの大きなコンサートマーチ風。「響宴I&II」は、保科洋さん独特の叙情・情感がたっぷり。「ウインドオーケストラのための交響曲」は、兼田敏さんの高い構築力の独壇場。少しオーバーに言えば、これらの曲は、「下野竜也/HWO」によって新しい命を吹き込まれた、そんな風にさえ私は思います。音楽監督就任にあたって下野竜也さんが掲げられた目標のひとつが、CDに同封されている冊子に書かれています。「広島ウインドオーケストラの演奏会が、大人のデートの場所になれるような音作り」実現は、そう遠くない、と、私は思います。期待は大きくなるばかりです!!!<追伸>しかし・・・読売日本交響楽団を除く国内のプロオケ関係者の方々は、歯ぎしりしているのではないでしょうか。「広島ウインドオーケストラに、先を越されてしまった・・・」、と。
2011.05.10
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前回、4月30日にUPした記事にも一部書かせて頂きましたが・・・年明け、正月、年度末、そして震災と、今年の4か月余りは、本当にあっという間に過ぎ去った、そんな気がしている私です。大型連休に入り、大変恐縮ですが、私の方は小休止という趣き。ホッとひと息つき、自分の周りを改めてゆっくりと見渡している、そんな感じです。で、2~3日前、本当に久しぶりに、広島ウインドオーケストラ(HWO)のHPを訊ねました。以前とはURLが変更になっている様で、改めて移転先のHPにお邪魔してみたところ・・・トップページには、HWOの全体写真。で、その真ん中に・・・見覚えのある、小柄ながらガッチリとした体格のマエストロ・・・『な、何でこんな写真が???』と思い、HP内をいろいろ見て回った結果・・・私は驚きつつ、嬉しくなってしまいました。今年の1月、HWOの音楽監督として、下野竜也さんが就任されたんですね!!!マエストロとHWOの演奏会での初顔合わせは、2008年4月のHWO第29回定期演奏会。この約2年前の演奏会。私は現地で生で聴かせて頂いているんです(その時の事は、本ブログで記事に書かせて頂きました)。その後、今回の様な形で両者がタッグを組む事になったとは・・・私としては、本当に嬉しい限りです!今後の「下野竜也/広島ウインドオーケストラ」に、大いに期待したいと思います!!!(このCD、早く聴きたいです! 只今、注文中・・・)
2011.05.03
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今から26年前の5月の初め頃の事だった、と、私は記憶しています。そう、ちょうど、大型連休中でした。当事、神奈川県内の某吹奏楽団に所属していた私は、その日、屋外で実施されたマーチングパレード関連の催しに参加していました。その日の天候は、あいにくの雨模様。ただし、スタート時は“少雨”だったので、その催しは決行されました。雨足が断続的に強くなったり弱くなったりする中、私は他のメンバーたちと屋外を約三時間、楽器を演奏しながらパレードしました。パレード終了時、当然の事ながら私はずぶ濡れで、頭や顔はビショビショ。雨水の一部は下着にまで達していたと思います。その日の晩、テレビのニュースで、こんな事が報道されました。「今日の日中に首都圏に降った雨水の中から、放射性物質が検出された」その放射性物質が、どこからやってきたかというと・・・当事はソビエト連邦の一部だった、ウクライナ共和国の北部。その一週間ほど前に史上最悪の事故を起こしていた、チェルノブイリ原子力発電所の4号炉から、との事でした。正直、そのニュースに接した時、私の全身には恐怖心が駆け巡りました。そして、思いました。『この先、私の身体はいったいどうなってしまうのか』、と。しかし・・・その後26年が経とうとしていますが、私自身の今の健康状態は、まあ、普通です。現在、結婚して子供が二人いますが、二人とも、まあ、元気です。当時、その“放射性物質入り雨水”について、「ただちに人体に影響を及ぼすものではない」という報道がなされたと思いますが、私に関する限り、『それは今のところ、正しい様だな』、そんな事を思っています。もちろん・・・一度に大量に浴びたり、長期間にわたって一定レベル以上を浴び続けたりすれば、放射線は人体にとって、とても危険なもの。それは、ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリなどの例で、多少は分かっているつもりです。一応、これでも私は・・・ 学生時代は“理系”でしたし。それらを踏まえ、今回の事態については・・・『あまりにも衝撃的過ぎたり、デマに近いと思える情報には決して惑わされない様にしよう』そんな風に思っている、最近の私です。
2011.04.05
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この日の放送、シエナ・ウインド・オーケストラが出演していました。下世話な事を言えば、このCDのプロモーションを兼ねた出演だったのでしょうが・・・「吹奏楽」と「合唱(晋友会合唱団)」の共演のステージ。そして、採り上げられていた曲は、これから全国各地の学校等で歌われる事になるであろう、“卒業式の定番曲”。楽しく、見させて頂きました。「ベスト10」形式で発表されていた“卒業式の定番曲”。(調査元は「ORICON STYLE」との事で、恐らくその元データはこれだと思うのですが・・・ 約三年前の調査結果の様ですね)3位が「旅立ちの日に」、2位が「蛍の光」、1位が「仰げば尊し」、でした。・・・ちなみに、この3曲中で皆さんが卒業式の時によく歌った歌といえば、どれでしょうか私自身が、“卒業式で歌った歌”としてまず思い出すのは、「仰げば尊し」です。上でご紹介したORICON STYLEの調査結果の“詳細”にもありますが、今の20~40歳代の方々で、卒業式にこの曲を歌った事のある方の数は、相当な数にのぼるであろうと私は思います。この世代よりも上になると、「蛍の光」が首位に上がってくるのかも知れませんね。そして、恐らくは、20歳以下の世代の方々の、絶大な支持を受けている曲が・・・「旅立ちの日に」なのだろうと、私は思います。私は以前、テレビか何かでこの曲の事を知った、そんな記憶があるのですが、実際の“曲”を聴いたのは、今回が初めてでした。聴いた感想は・・・私がここでそれを書く事は、甚だ恐れ多いので、控えさせて頂きたいと思います。私の拙い文章が、この曲の素晴らしさ、そして、卒業式でこの歌を歌った事のある方々の“思い出”を、汚してしまうかも知れないので。ゲストとして出演されていた作詞者・小嶋登さんが語られていた、この曲に込めた想い・・・その想いを聞きながら、感動で全身が震えておられた、佐渡裕さん・・・曲を聴くまでもなく、この曲が、完成後わずか10年程度で全国に広まり、15年程度でプロの歌手の方にカバーされ、20年経った今、まさに“卒業式の定番曲”になっているその理由が、全て分かった様な気が、私はしました。今後この歌が歌い継がれ、全国のあらゆる世代に広まっていくといいなぁ、と、私は思っています。そして・・・いつか私も、(子供の卒業式などの場で)歌わせて頂きたい、そう、思っています。(1月20日に突然旅立たれた小嶋登さんのご冥福を、心よりお祈りいたします)<追伸>2位の「蛍の光」。1位の「仰げば尊し」。いずれも、“文部省唱歌”と番組中で紹介されていました。“文部省唱歌”とは、ザックリ言えば、旧制尋常小学校の小学生向け等に、当時の文部省が制作した歌、という事になるのだろうと思います。文部省、つまり“国”がつくった歌という事で、その大部分は作詞者、作曲者が“不詳”というケースが多い様です。ただ、「蛍の光」の様に、原曲が“スコットランド民謡”だと分かっている様な場合もありますよね。この点、「仰げば尊し」に関しては、最近まで全く情報がなく、“謎”だったのだそうですが・・・今年1月24日付で、こんな記事を見つけました。原曲は、アメリカの曲なんですね。へー・・・。
2011.02.09
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シエナ・ウインド・オーケストラが出演していたこの日の放送、楽しく見させて頂きました。「地湧き肉踊る」吹奏楽の醍醐味を味わってもらおうという趣旨のこの日の放送では、3曲が演奏されました。1曲目は、C.T.スミス作曲の「華麗なる舞曲」。昨年(他局で)放送されて話題になった“吹奏楽の旅”では、東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部が、コンクールの“自由曲候補”にこの曲を挙げていましたよね。私事で恐縮ですが・・・ この曲、私も以前、某吹奏楽団体所属時代に演奏した事があります。パートはパーカッションで・・・ 担当した楽器は、無謀にもシロフォンでした。当時、基本的に“鍵盤楽器”が苦手だった私。半ばムリヤリにシロフォンの楽譜を渡され、覚悟を決めた私は・・・「タラララッタン、タン、タララララララン」という、あのシロフォンの見せ場“だけ”を集中的に、何度も何度も何度も何度も練習した。そんな、苦くも懐かしい思い出が残っています。2曲目は、O.レスピーギ作曲(森田一浩編曲)の「ローマの祭」より“チルチェンセス”。3曲目は同様に、“主顕祭”。いや~、本当に懐かしいです。それこそ私は、遥か昔、吹奏楽コンクールの自由曲として、(森田一浩編曲版ではありませんでしたが)チルチェンセスの前半部分と主顕祭の全部の演奏に参加した事があります(数年前ですが、本ブログでもその時の事を記事に書いた事があったかと思います)。パートは、やはりパーカッション。担当した楽器は、確か・・・ ドラに、バスドラムに、サスペンデッドシンバルに、クラッシュシンバル、といったところだったと思います。これらの楽器を“掛け持ち”して、叩いていた訳です。いや、もう少し正確に言えば・・・演奏時間の“半分”ぐらいは、それらの楽器を“同時に2つ”叩いていました。私だけではありません。他のパーカッションのメンバー5人も“掛け持ち”&“同時叩き”・・・客席からその様子を見ていた方々は、まさに“お祭状態”だと思われたのではないでしょうか。そういった意味で、私にとって「ローマの祭」は、まさに「血湧き肉踊る」曲です。大好きな曲です。そんな訳で、最近はちょっとご無沙汰になってしまっていますが・・・シエナの演奏会、また聴きにいきたいです<追伸>そういえば、たった今、思い出したのですが・・・昨年の吹奏楽コンクール千葉県大会の職場・一般の部、私は会場に出かけて生で全部聴いたのですが・・・打楽器の審査員の先生が、シエナ・ウインド・オーケストラの平子久江さんでした。「それがどーした」って いや、急に書いてみたくなったんです。ただ、それだけでございます。失礼致しました・・・
2011.01.25
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(“1/2”からの続きです)休憩明けは、ラヴェルの2曲。という訳で・・・ホールの中は、さらに、フランスの色が濃くなりました。私事で真に恐縮ですが、「ダフニスとクロエ」は、吹奏楽の“アレンジもの”としては大好きな曲でして・・・ それをギャルドで生で聴けるなんて、まさに最高の気分でした。「夜明け」の冒頭、とてもデリケートで繊細な、フルートのパッセージ・・・マエストロのタクトによって、その音楽が変幻自在に操られていた「無言劇」・・・ここでもまた各楽器の音が見事に溶け合い、独特の高揚感とともに華やかなフィナーレを迎えていた「全員の踊り」・・・いやぁ・・・ 本当に、素晴らしかったですプログラムのラストの「ボレロ」ですが、ここでまたソリストとして(緑色のスティックを持って)石川直さんが登場されました。指揮台向かって左側に置かれたドラムは、今度は4台程だったと思います。叩き方だけではなく、また、叩くドラムの台数を増やす事なく、叩くドラムの“種類”を代える事によって音量を調節し、フィナーレへ向けて徐々に音楽を盛り上げていくその手法には、脱帽する他ありませんでした。また、バンド全体の音量も、今回の演奏会全体を通じて、ボレロのフィナーレが最大音量になる様に演出されていた様に思います。その演出にも、私は脱帽でした。しかし、本当に・・・ボレロの“トロンボーン・ソロ”の部分は、プレーヤーさんも大変でしょうけれど、聴いているこちらも緊張します。演奏終了後、マエストロがソリストをひとりひとり立たせてゆき、それらの方々に聴衆が惜しみない拍手を贈っていましたが・・・トロンボーン奏者の方が立たれた時には、ひと際大きな拍手が贈られていましたアンコールの一発目は、石川さんのソロ・パフォーマンス。1台のスネアドラムの上に、金属製(?)の丸いカバーの様なものが被せられ、それをおもむろに叩き始めました。ある時は、ドラムの手前を。ある時は、ドラムの両端を。またある時は、ドラムの向こう側を。ある時は、スティックの先で。またある時は、スティックのグリップ側で。ある時は、左右交互に素早く。またある時は、片手だけで素早く。時折、ドラムの周りをまわる様に移動しながら。また時折、スティックも回しながら・・・そのテクニックは、もう、“見事”という以外、私には形容できません。石川さん、米国在住時代に、マーチングバンドの他に、「ドラムコー(Drum Corps)」というジャンルのバンドに所属されていた様ですが、恐らくその時に培われた技術なのでしょうね。“魅せる”という点では、石川さんのドラム、(偉そうな事を言う様で恐縮ですが)間違いなく国内トップだと、私は思います。「くまんばちの飛行」は、楽器演奏テクニックに自信のあるバンドがよくアンコールに演奏しますよね。そして、今回私は初めて聴いた「カルマニョール」という曲が演奏された後・・・最後に、何を演奏してくれるのか、と思ったら・・・ほー、「ラデツキー行進曲」ですか米国や日本で“行進曲”といえば、J.P.スーザの作品がポピュラーですよね。シエナの演奏会のラストで「星条旗よ永遠なれ」が演奏される事は、ご存知の方も多いでしょう(私も参加した事ありますし)しかし、ヨーロッパで「行進曲」といってまず挙がるのは、「ラデツキー行進曲」なのかも知れませんね(ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートでは“恒例”ですし)。マエストロに手拍子を促され、ステージと客席が一体になったところで、終演、という、この日の演奏会でした。私自身、最近は吹奏楽の演奏会へ足を運ぶ事は、年に数回になってしまいましたが・・・やはり、(コンクールではない)“生吹奏楽”もいいですね。チャンスを見つけて、また吹奏楽の演奏会へ、足を運びたいと思います。
2010.11.10
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11月5日(金)、私は東京芸術劇場へ、標記の演奏会を聴きにいってきました。指揮:フランソワ・ブーランジェ(第10代楽長/主席指揮者)パーカッション:石川 直プログラムバーンスタイン:「キャンディード」序曲(グランドマン編)ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」(ゴア編)ハチャトゥリアン:バレエ音楽「ガイーヌ」より 剣の舞(ドンデイヌ編)、レズギンカ(ゴア編)(休憩)ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲(デュポン編)ラヴェル:ボレロ(デュポン編)吹奏楽を少しでもかじった事のある方には・・・ 説明は不要ですよね。言わずと知れた、“世界最高”の吹奏楽団のひとつ、ギャルド。楽しみに出掛けました。1曲目の「キャンディード」。マエストロのタクトが振り下ろされ、ギャルドが音を発したその直後から、ホールの中は、決して国内の吹奏楽団では真似できない、まろやかなサウンドで満たされ始めました。そのサウンドは・・・ なんと言えばいいのでしょう音の継ぎ目や境目が全くない、“シームレス”なサウンド、とでも申しましょうか・・・楽器同士の音と音とが穏やかに溶け合い、“ひとつ”の大きくて綺麗なサウンドをつくり上げている、そんな印象を私は持ちました。あまりにも見事に、音が溶け合っているので・・・私は、2曲目の「仮面舞踏会」の「II ノクターン」の冒頭で初めて、『あ、あぁ、ホルン、居たんだ・・・』と気付く有様でした。率直に言って、米国や国内の吹奏楽団のサウンドに耳が慣れている方々にとっては、ギャルドのサウンドは、“迫力に欠ける”という印象を持たれた事と思います。何を隠そう(隠しませんが)、私もそう感じたひとりです。ただ・・・あの、何年も何年も熟成する事によって豊かな芳香と味わいを増す“フランスワイン”の様に、ギャルドのサウンドは、本当に何ともいえない“まろやかさ”を隅々にまで含んでいたと思います。『さすが、ギャルド』と、私は驚嘆せずにはいられませんでした。3曲目の「ガイーヌ」では、パーカッション奏者の石川直さんがソリストとして登場されました。石川直さんといえば、私は『あー、あの“blast”の・・・』と、思い出します。2004年には、佐渡裕指揮シエナ・ウインド・オーケストラとも共演されていますよね。(あ、この時も、「ガイーヌ」、演奏していますね)その、アクロバティックかつシャープなドラミングには、さらに磨きがかかっていました。立奏用のスタンドにセットされた9台のドラムを自在に操るその姿は、まさに圧巻でした。(話がちょっと先に飛びますが)、この日の終演後、改めて石川さんのプロフィールを確認すると・・・ ここ数年は、活動の軸を国内に置いていらっしゃる様ですね。2005年から毎年上演されて話題になっている、堂本光一(KinKi Kids)さん主演の舞台にも関わっていらっしゃるのだそうで。へぇー・・・(“2/2”へ続きます)<追伸>この日、「キャンディード」の演奏が終了し、聴衆の拍手が止み、舞台上の皆さんが次の曲の準備にとりかかった、そのタイミングで・・・ 地震がありました。日本気象協会からの発表によれば、この地震、東京23区内は「震度2」だった様ですが・・・ホールの中は、「震度3~4」ぐらいあった様な気がします。そういえば、大ホールの位置は、建物の7~9階の高さですからね。その分、少し揺れを大きく感じたのでしょう。しかし、揺れたのが「演奏中」じゃなくって、本当によかった・・・
2010.11.09
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9月26日(日)にテレビ朝日系列で放送された「題名のない音楽会」、ご覧になったでしょうか。最近、吹奏楽界で新たなムーヴメントを起こしているという、「バンド維新」が特集されていました。「バンド維新」という言葉、私は今回初めて耳にしました。番組中で「バンド維新」とは、この様に説明されていました。「日本を代表する作曲家たちが、現代の中・高生のために質の高い小編成の吹奏楽作品を作る試み」・・・イマイチ私はピンと来なかったので、ネットで検索して調べてみました。なるほど・・・「財団法人 浜松市文化振興財団」が2008年から年に1回のペースで開催している、吹奏楽イベントの事なんですね。「バンド維新2011」の開催要綱も、既に決定している様です。公募作品の応募締切は、今月30日。審査員の先生方は・・・「バンド維新」の“発起人”かつ“作品提供者”として番組に出演されていた、北爪道夫さん。「バンド維新」の趣旨に賛同し、楽曲を提供されている方として番組に出演されていた、服部克久さん、西村朗さん。更には、一柳慧さん、三枝成彰さん。いや~、本当にスゴい方ばかりですね三枝成彰さんといえば、(昔の話で恐縮ですが)私は、1985年の吹奏楽コンクールの課題曲I、「Overture “FIVE RINGS”」を思い出します。一柳慧さんといえば、私には“国内の前衛音楽の権化”というイメージがあるのですが、こういう形で吹奏楽に関わって頂けるのは、とても嬉しい事だと思います。この「バンド維新」、色々な注目点があると思いますが、私が特に興味深いのは、発表される作品が“小編制向け”という点です。でご紹介した「バンド維新2011」の公募作品応募要領の中にも、編制については“25名以内で演奏可能な楽曲”とあります。また、「題名のない音楽会」の番組内で紹介されていた6曲も全て、“20~30人”の編制で演奏されていたと思います(演奏:航空自衛隊 航空中央音楽隊)。少子化問題が叫ばれる様になって、久しいですが・・・少子化に伴い、学校へ通う子供たちの数は減り、各学校の“吹奏楽部”の団員数も、全体的な傾向としては、今後減少していく一方でしょう。「人数が少なくなると、吹奏楽部は活動できなくなるのか」「バンド維新」は、その問題解決策のひとつを提示してくれている様に私は感じます。素晴らしい取組みだと思います。機会があれば、私もぜひ浜松へ行って、「バンド維新」、生で体感したいです
2010.09.28
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(11日にUPした“2/3”の続きです)<金賞受賞団体には、タイプとして“2種類”ある>そうそう、この点については、金賞受賞団体だけではなく、“成績上位”の団体に対して私がいつも感じる事なのですが・・・ コンクールで一定の成績を収める団体には、大きく分けてタイプが2種類ある様に私は思います。ひとつは・・・曲の解釈に“冒険的”な要素は入れず、極力ミスを抑え、堅実に音楽をつくり上げる。そんな、ガッチリ守りを固めた“守備的”な団体。もうひとつは・・・多少の技術的な穴や綻びには目をつぶり、自分たちの“特徴・長所”を前面に押し出す。そんな、メンバー全員が前を向いた“攻撃的”な団体。(少々例えが乱暴かも知れませんが)この2つのタイプがある様に、私は感じます。今回の“A部門”の演奏団体から、例を挙げて説明を試みてみましょう(あくまで私個人の印象ですので、ご了承願います)。“守備的な団体”だと私が感じたのは、例えば、私自身の採点が“B”で、実際の審査結果が“金賞”だった団体(「光ウィンドオーケストラ」と、「アンサンブル・市川」)です。要するに、審査結果が私の印象を上回った団体、と、言い換える事ができると思います。(私がただ漫然と聴いていたからだと思いますが)この2団体の演奏につき、「具体的にどこがどう良かったか」と訊かれても、私は即答できません。その演奏内容に対する、私自身の感想は・・・「全体的に良くまとまっていて、ミスがほとんど無かった」この一言に尽きます。しかし、審査員の先生方はきちんとその音楽の“細部”にまで目と耳を行き渡らせ、その技術的・音楽的なレベルの高さを評価されたのでしょう。それが“金賞”という形で現れたのだ、と、私は思います。一方・・・“攻撃的な団体”だと私が感じたのは、例えば、私自身の採点が“A”や“B+”で、実際の審査結果が“金賞”だった団体です。また、私自身の採点が“B+”で、実際の審査結果が“銀賞”だった団体も含みます。これらの条件に合う金賞受賞団体から、「東関東吹奏楽団」を例に挙げてみましょう。この日の“A部門”の演奏団体の中で、唯一、課題曲に“V”を選択していました。「高校・大学・職場・一般部門のみ」との注釈がある、この課題曲“V”。当然その演奏レベルは高いものを要求されるハズですが、この団体は、ものの見事にこの課題曲“V”を咀嚼し、自分たちの音楽として仕上げていたと思います。フィギュアスケートに例えるなら・・・他の選手が、演技全体の完成度を高めるためにジャンプを“3回転”に設定しているところを、果敢に“3回転半”、“4回転”に挑戦して見事に成功させた。そんな感じでしょうか。金賞に輝くのに相応しい演奏内容だった、と、私は思います。“攻撃的”な“銀賞”受賞団体の事も、少しお話してみたいと思います。編制人数“42”ながら、見事なアンサンブルを聴かせていた「Macs Wind Orchestra」。交響的な音の重なりが、非常に豊かで魅力的だった「船橋吹奏楽団」。とても華やかな“ローマの祭”で、この日の“トリ”を飾ってくれた「松戸ブラスオルケスター」。いずれも私としては、『金賞でもおかしくない』と思った演奏でした。(誤解を恐れずに言いますが)もしかすると、このあたりの審査の差はホンの僅かで、それらはまさに、審査員の先生方の“好み”の領域だったかも知れませんね・・・とにもかくにも、私にとって久しぶりだった今回のコンクール、楽しませて頂きました。また今回、実は私自身、今まであまり聴いた事がなかった千葉県の吹奏楽“職場・一般団体”の演奏に直に触れる事ができて、とても嬉しかったです。“A部門”で金賞を獲得し、東関東大会へと駒を進めた6団体の皆さん。9月19日(日)、千葉県文化会館へ向けて、これからも頑張って下さい。それ以外の“A部門”出場団体の皆さん、そして“C部門”出場団体の皆さん。自分たちが理想とする、大好きな音楽・演奏を目指して、これからも頑張って下さい。素敵な演奏を、ありがとうございます
2010.08.12
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(10日にUPした“1/3”の続きです)<出演順が“早い”団体は、成績的に不利>(いきなり話が飛びますが・・・)“芸術点”が順位を左右するフィギュアスケートでは、その“演技の順番”にもルールがある事を、ご存知の方も多いと思います。例えば・・・最終競技の“フリー”の演技の順番は、その前に行われる“ショートプログラム”の得点によって決められ、上位を争っている選手は、できるだけ“後の方”で演技する事になっています。この理由は、「“芸術点”の付け方は“相対比較”的な部分があり、“はじめの方”だと、あまり高得点を付けられないから」、といった趣旨の事を、テレビか何かで聞いた記憶があります。同様に、“芸術”的な評価が順位に影響する吹奏楽コンクールにも、同じ事が言える、と、私は思います。ですから・・・吹奏楽コンクールの出演順を決める抽選で「1番」を引いてしまった団体は、本当に気の毒だと思います。(私の耳が変なのかも知れませんが)今回私が聴いた、千葉県吹奏楽コンクール(職場・一般の部)。私の印象では、C部門、A部門とも、その演奏順“1番”の団体は、いずれも素晴らしい演奏を聴かせてくれていたと思います(私の採点では、いずれも“A”でした)。特に、C部門の「BRASS MUSIK SCHWARMER」の演奏を聴き、私は、『さすが、昨年の理事長賞受賞団体。何で“A部門”に出場しないんだろう』と思った程です。しかし結果は、“A部門”出場順1番の「アルファモニック吹奏楽団」もそうですが、“銀賞”。率直に、私は、『気の毒に・・・』と、思ってしまいました。<編制人数が“多い”団体は、成績的に有利>この点に関しては、ここで私が改めて書く必要もないかと思いますが・・・編制が大きければ、サウンドが分厚くなるとともに、多少アンサンブル等の“綻び”を隠す事ができますし・・・編制が小さければ、演奏の完成度に占める個人プレーヤーの比重が大きくなり、ちょっとしたミスが命取りになりかねないでしょうし・・・編制人数の多い方が、色々な面で有利である事は、多数の方が認めるところではないかと思います。しかし、だからこそ・・・私は、編制人数の少ない団体にも、目を、耳を、向けたいと思います。私が聴いた今大会・・・“C部門”では、編制人数“26”という「ハーモニーウインズ」が、金賞に輝きました。そのサウンドの厚さは、“26人”という事を忘れる程でした。また、“26人”という自分たちの置かれた“環境”を考慮した、その的確な“選曲”にも、私は拍手を贈りたい気持ちです。“A部門”で金賞に輝いた6団体中、編制人数が最も少ない“58”だった「習志野シンフォニックブラス」。この団体が“最優秀賞”を獲得した事も、ここで改めて確認しておきたいと思います。ラテンの雰囲気が漂う自由曲の、その楽しくてノリノリの演奏は、“最優秀”に相応しかった、と、私は思います。人数が少なくても、できる。私は、そう思います。(“2/3”へ続きます)
2010.08.11
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現在、全国各地では、秋の「全日本吹奏楽コンクール」予選を兼ねた、各地区の「吹奏楽コンクール」が真っ盛りだと思います。千葉県でも、今月上旬に集中して、各部門の「県大会」が開催されました。その中から・・・私は8日(日)、「職場・一般の部」を聴きに行ってきました。(会場は、「君津市民文化ホール」という場所でした)(180度振り返ってカメラのシャッターを押すと、田んぼ。長閑なところでした・・・)この日、C部門8団体、A部門22団体の演奏がありました。開演が朝10時過ぎ。全出場団体の演奏が終わり、審査結果の発表と閉会式が終わったのが、夜の19時過ぎ・・・ 関係者の皆さん、お疲れ様でした。当日の「結果」は、既に千葉県吹奏楽連盟のHPで確認する事ができますが、本ブログでも紹介してみましょう。以下、左から、「演奏順」、「団体名」、(“A部門”の場合は「課題曲種」)、「編制人数」、「審査結果」、そして、蛇足ではありますが、一番右には、私自身の「採点」なども載せてみました(A→金、B→銀、C→銅、の各賞に対応させていますが、あくまで私個人の“印象”です・・・)。<C部門> 1.BRASS MUSIK SCHWARMER 42 銀 A 2.ウインドアンサンブル鷹 14 銅 B- 3.轟会 30 銀 B 4.創価学会千葉吹奏楽団 45 銀 B- 5.千葉北ウインドアンサンブル 38 銀 B(6.沼南ウインドアンサンブルは、出場辞退) 7.長生ウインドアンサンブル 48 金+理事長賞 A 8.ハーモニーウインズ 26 金 B+ 9.いすみウインドオーケストラ 21 銅 B-(“C部門”の審査結果発表と表彰は、昼休み時間中に実施されました)<A部門> 1.アルファモニック吹奏楽団 IV 55 銀 A 2.北総ウィンドオーケストラ I 65 銀 A 3.浦安ウィンドアンサンブル II 35 銅 B 4.ウィンド・ファクトリー III 34 銅 B 5.西千葉吹奏楽活性会 IV 26 銅 C 6.習志野ウィンド・オーケストラ II 63 金 A 7.船橋市交響吹奏楽団 IV 65 金 B+ 8.柏市民吹奏楽団 IV 44 銀 B 9.東関東吹奏楽団 V 65 金 B+10.佐倉ウィンド・アンサンブル II 43 銀 B11.習志野シンフォニックブラス IV 58 金+最優秀賞 A12.かずさウインドオーケストラ IV 43 銀 B13.CHIBA TRAILBLAZERS IV 52 銀 A14.おゆみ野ウインドオーケストラ II 56 銅 B-15.東金吹奏楽団 II 65 銀 B16.Macs Wind Orchestra IV 42 銀 B+17.八街市ウインド・シンフォニア IV 41 銅 B18.花輪の森ウインドオーケストラ II 37 銅 B19.船橋吹奏楽団 I 62 銀 B+20.光ウィンドオーケストラ I 65 金 B21.アンサンブル・市川 IV 65 金 B22.松戸ブラスオルケスター II 65 銀 B+(“A部門”では、金賞受賞6団体がそのまま、東関東大会の“千葉県代表”となりました)今回、私は約2年振りに「吹奏楽コンクール」というものを直に聴いたんですが・・・『コンクールに対して私がずっと抱いている印象は、今回も変わらないなぁ』、そんな事を思いながら、各団体の演奏を聴き、結果発表に一喜一憂していました。私が、コンクールに対して抱いている印象とは、大体次の3つです。 ・出演順が“早い”団体は、成績的に不利 ・編制人数が“多い”団体は、成績的に有利 ・金賞受賞団体には、タイプとして“2種類”ある(“2/3”へ続きます)
2010.08.10
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6月6日(日)にテレビ朝日系列で放送された「題名のない音楽会」、ご覧になったでしょうか。「サッカーを100倍楽しむ! 応援音楽フシギ解剖」と題し、古今東西のサッカーにまつわる音楽が、佐渡裕指揮、シエナ・ウインド・オーケストラ他によって演奏されていました。番組のラストに演奏されていたのが、坂本龍一作曲、伊藤康英編曲の「日本サッカーの歌」。サッカーファンの方であれば、耳になじみのある曲だと思います。私もこの曲、以前から聴いた事はあったのですが、それが教授の作曲だった、というのを知ったのは、7~8年程前にこのCDを入手した時でした。今回改めて、この曲の発表が“1994年”だったという事を知り、驚いている次第です。1994年、といえば・・・教授にとっては、「YMO“再生”」の翌年。伊藤康英さんにとっては、「ぐるりよざ」初演の4年後。17年も前に、東京芸術大学の先輩と後輩が、こういった形で仕事上の“接点”をもった事を、私は不思議に、そして、嬉しく思います。吹奏楽ファンとして。YMOファンとして。そして、“サッカー日本代表”のファンとして。
2010.06.22
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前作の「BCL11」のレビュー記事を書いたのが、今年の1月20日・・・また約半年、間が開いてしまいました。申し訳ありません。では早速、今日はこのCDのレビュー記事を書いてみたいと思います(ちなみに、発売日は昨年の12月20日でございます・・・)。1曲目に収録されている、「ヒロイック・サガ」、いやー、懐かしいです。R.シュトラウスからの影響が至るところに感じられるこの曲、以前、私、演奏した事があります。近畿大学吹奏楽部の委嘱作品、という経緯から、その曲の雰囲気を頭に思い浮かべる事のできる方もいらっしゃると思いますが・・・ 迫力満点の曲です。今回は広島ウインドオーケストラの演奏という事で、多少その迫力は抑えられている様ですが、旋律を歌う感じの、良い意味でのソフトさは、このバンドの長所のひとつだと思います。その、“ソフトさ”がより効果的に発揮されているのが、2曲目「アヴェンチューラ」や3曲目「バラの謝肉祭」のスローテンポの部分だと思います。また、10曲目「古典序曲」の演奏に至っては、このバンドの高いアンサンブル能力の妙を堪能できる、と、私は思います。ところで、前作の「BCL11」を聴いた時にも、私自身、思った事なんですが・・・『吹奏楽の“クラシック”作品とはいえ、まだまだ世の中には、私が聴いた事がない吹奏楽曲がたくさんあるんだなぁ』、という事を、本作でも思い知らされました。私が聴いた事がある曲は、このCDの中には2~3曲しかありません。現在、国内外を問わず、活発に“新作品”が発表されている吹奏楽界ですが・・・こういった“クラシック作品”に目を向けるという意味で、この「BCL」シリーズの果たした役割というのは、小さくない、と私は思います。今回、本記事を書くにあたり、広島ウインドオーケストラの公式HPを訪ねたのですが、その中に、こんなページがありました。「BCL」シリーズ、ひとまず今回の12作目で“完結”の様ですね。今後、どの様な“新シリーズ”が始まるのでしょうか。楽しみに待ちたいと思います。という訳で、「BCL」シリーズのラストを飾る、という意味も含めて、今回のCDの最後に収録されたのだと思われる、「アルメニアン・ダンス パートI」・・・その曲の解釈は、何と言ったらいいか・・・ “広島ウインドオーケストラの特徴を最大限に引き出そう”と思った結果が、こうなのでしょうね。曲全体のテンポを“遅め”に設定する事で、このバンドの特徴をアピールしたかったのだ、と、私は思います。確かに、今まで他バンドの演奏では聴く事のできなかった“音”が発見できたり、ソフトに歌われる旋律を堪能できた事は確かです。ただ・・・今回のこの曲の解釈は、好き嫌いがハッキリと別れると思います。ご興味ありましたら、ぜひ聴いてみて下さいね。<追伸>ちなみに、「アルメニアン・ダンス パートI」の演奏時間を比較してみますと・・・ 今回のこのCDが、“12分08秒” こちらのCDでは、“10分46秒”です
2010.06.08
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テレビ朝日系列で放送されている「題名のない音楽会」の5月2日(日)放送分、ご覧になったでしょうか。久しぶりに、シエナ・ウインド・オーケストラが出演していましたね。「刑事音楽を捜査せよ!」と題された今回の放送では、古今東西様々な“刑事ドラマ”の音楽が紹介されていました。演奏曲目を簡単にご紹介しますと・・・「相棒」、「古畑任三郎」、「太陽にほえろ!」、「鬼警部アイアンサイド」、「スパイ大作戦」、「ルパン三世」、「はぐれ刑事純情派」、「大都会」、「西部警察」・・・この中で、私にとって一番思い出深い曲というと、「西部警察(PART II)」です。いやー、吹奏楽部に所属していた学生時代に、演奏しました“ミュージックエイト”の楽譜で。あとは、今回紹介されていた“'80バージョン”ではありませんでしたが、「ルパン三世」も演奏した事があります。これはもう、あらゆる世代で”定番”になっているかも知れませんね。今回の放送内容、商業的な面から言ってしまえば、このCDのプロモーション、という事になるのでしょうが・・・ ずいぶん、選曲の”年代”が広い様な気が、私はします。収録曲、「全部知ってる」という方、いらっしゃるでしょうか。私は恥ずかしながら、「相棒」と「はぐれ刑事純情派」は、今回の「題名のない音楽会」の放送で、初めて聴きました。今時の中高生さんだったら、もしかすると・・・「古畑任三郎 ナニそれ」なんていう人が居そうで、コワい・・・(まさに、“光陰矢のごとし”)<追伸>今回の「題名のない音楽会」では、“トランペットのハイトーン・ハイノート”にもスポットが当てられていました。刑事ドラマのテーマ音楽には、“トランペットのハイトーン・ハイノート”がつきもの、という訳です。“吹奏楽”という範疇から少々外れてしまいますが、私が、“ハイノートが素晴らしいトランペット奏者”といって思い出すのは、この方です。このアルバムの「スター・トレックのテーマ」を聴くと、私は今でも、アメリカへ行きたくなります(罰ゲームなんか怖くない・・・)。
2010.05.04
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5~6年前、日本テレビ系列で放送されている「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」という番組の中で、「吹奏楽の旅」というシリーズがあった事を、ご記憶の方もいらっしゃると思います。色々な方が、様々なご意見をお持ちだと思いますが・・・「吹奏楽」というものを世間一般に広く紹介してくれた、という点で、私はとても嬉しく、興味深く、そして“懐かしく”、(全編通してではありませんでしたが)番組を見ていました。その「吹奏楽の旅」の新シリーズ、「~吹奏楽の旅2010~」が、明日(21日(水)放送分)から始まる様です番組の公式HPの“予告”によれば、明日(21日)、紹介される吹奏楽部は、2つ。千葉県船橋市立法田中学校、と、千葉県船橋市立船橋高等学校(市立船橋)。両校とも、昨年の全国マーチングコンテストで金賞を受賞している様ですね(私は、今回初めて知ったのですが。千葉県民なのに・・・)。番組の公式HPの“予告”にある通り、千葉県の“県北地域”の高校の吹奏楽部は、(「コンクール」という視点から言えば)レベルが非常に高く・・・市立柏と市立習志野は、その“双璧”、と言っていいと思います。東関東吹奏楽連盟のHPで、平成15(2003)年からの記録を確認してみましたが、両校とも、昨年までの7年間のコンクール“東関東大会”の成績は、こんな感じです。休み、金(代表)、金(代表)、金(代表)、休み、金(代表)、金(代表)“代表”というのは、「東関東地区代表として、全国大会へ進出した」という意味です。“休み”というのは・・・「三年連続して全国大会へ出場を果たした団体は、その翌年のコンクールには(地区大会から)出場できない」というルールによるもので、俗に“休み”と呼ばれています。そして同様に、市立船橋の“東関東大会”の成績を並べてみますと・・・金、金、金、金、金(代表)、金、金う~む、なるほど・・・ 私は、“立派な成績”だと、堂々と胸を張っていいと思うのですが・・・“当事者”の方々は、さぞかし悔しい思いをされている事でしょう。過去7大会連続で金賞を受賞しているものの、そのうち6回が“全国大会進出ならず”・・・3年前に全国大会へ駒を進めていますが、その年は“双璧”が“休み”・・・市立船橋にとって、“双璧”を破っての“全国大会進出”は、まさに“悲願”なのでしょうね。その“悲願”へ向けての取り組みが、番組の見所のひとつだと、私は率直に思います。しかし・・・“吹奏楽”は“コンクール”だけではありません。番組の公式HPの“予告”にある、“吹劇”、って、何でしょうね私は個人的に、とても気になります。この“吹劇”も、番組の見所のひとつとなる様に、私は願っています。
2010.04.20
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(1/2からの続きです)アンサンブルリベルテですが・・・天野正道作曲、「I Capuleti e i Montecchi ~『ロメオとジュリエット』その愛と死~」という曲が、私は印象的でした。今や天野正道さんといえば、吹奏楽をやっている方であれば知らない人はいない、と思いますが、私は・・・ 最近は、楽器にはほとんど触れていないので・・・ 天野さんの吹奏楽曲を、こういった形で全曲通して聴いたのは、恥ずかしながら私は今回が初めてでした。大編成用に書かれた、という解説を聞くまでもなく、その大スケールの大迫力の音楽には、度肝を抜かれました。私がこれまで“天野正道”という名前から描いていたイメージ通りの音楽が聴けて、とても嬉しかったです。神奈川大学ですが・・・中橋愛生作曲、「谺響する時の峡谷-吹奏楽のための交唱的序曲」という曲に、私は惹かれました。とにかく、その大規模な編成に圧倒されました。舞台上の60~70人程度の“本隊”の他に、“バンダ”が客席に配置されているんですが・・・1階席に打楽器、2階席にフルート(ピッコロ)、3階席に金管楽器。これらが各階の左右に2つずつですから、合計“6箇所”にバンダが配置されていました。それらが時には“本隊”と一緒に、時には代わる代わる演奏されるその様は、まさに“ホールの客席”という峡谷に音楽が谺響(こだま)している様でした。例えば、合同音楽祭の様な催しで、特別に編成された合同フェスティバルバンドがこの曲を大編成で演奏したら、とても華やかだろうなぁ、などと、私は思いながら聴いていました。以上、演奏団体ごとに、私の印象に特に残った曲をご紹介してみましたが・・・演奏団体の枠を超えて、もう一点だけお話させて下さい。今回の“響宴”では、とても興味深い“コンサートマーチ”が何曲か演奏されていました。コンサートマーチというと・・・ 今まで私は、あまり良い印象がありません。それは、曲のせいではなく、どちらかというと、“演奏面”での“傾向”が、私の好みに合わなかった、という事になると思います。コンクールの課題曲などで、よくコンサートマーチが演奏されますが・・・こんなエンディングの解釈、お聴きになった事ないでしょうか。「♪タンタカ、タンタカ、タンタカ、タンタカ、タン、(急ブレーキ)タァンタカタァーン!」私、これ、ダメなんです・・・今回の“響宴”では、既成のコンサートマーチの枠にとらわれない雰囲気を持った、辻峰拓作曲、「沓掛の情景」。スネアドラム奏者3人をソリストとして配した、小長谷宗一作曲、「“Six Sticks”for Three snare Drums and Band」。マーチ本来の「4分の2拍子」にこだわり、それにジャズの要素をプラスした、真島俊夫作曲、「-コンサート・マーチ-東風」。これらの曲に私は、コンサートマーチの新たな“可能性”を感じました。今後ぜひ楽譜が出版されて、少しでもたくさんのバンドがそれを購入して、コンサートで演奏される事を望みたいです。総じて、今回の第13回“響宴”、私はとても楽しめました。(昨年も書いた様な気がしますが)こうして吹奏楽の“新たな”邦人作品を募集し、選曲し、発表する、という仕組みが整えられている事は、本当に素晴らしいと私は思います。来年の第14回“響宴”は、場所を東京芸術劇場から「文京シビックホール」へ移すそうですが、今から、『来年も聴きに行こう』と心に決めている、私でございます。
2010.03.24
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今月22日(月・祝)、私は東京芸術劇場へ、「21世紀の吹奏楽 第13回“響宴”」を聴きにいってきました。「新しい吹奏楽のレパートリーを創出する」他のテーマ・目的のもと、開催される様になって今年が13回目。確実にその活動は、国内の吹奏楽の発展に寄与していると思います。ちなみに、私は“第11回”から聴きに行く様になりましたので・・・今年で3回目、という事になります。 (出場団体と指揮者) 1. 大津シンフォニックバンド 指揮:森島洋一 2. 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部 指揮:若林義人 3. 柏市立酒井根中学校吹奏楽部 指揮:須藤卓眞 4. 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 指揮:福本信太郎 5. 神奈川大学吹奏楽部 指揮:小澤俊朗毎回、国内を代表するアマチュア吹奏楽団が出演されるので、本当にワクワクしてしまいます。特に今年は、“響宴”に初めて中学生の吹奏楽団が出演されたのだそうで。これらの団体が、3~4曲ずつ、国内の作曲家によってつくられた“未出版曲”を演奏し、ステージは進行します(プログラム詳細は、上記“響宴”のリンクから確認をお願い致します。一部曲の順番が、実際の「演奏順」と異なります)。以下、各団体が演奏した楽曲のうち、私の印象に残った曲などについて書いてみたいと思います。大津シンフォニックバンドですが・・・阿部勇一作曲、「『大唐西遊記』より第二章-屈支国にて-(クチャにて)」という曲が、特に素晴らしかったと思います。題名から察しがつくと思いますが、この曲は玄奘三蔵のインドへの長い長い旅をテーマにつくられた曲の、第二部に当たるのだそうです。現在、“第三章”まで完成しているそうなのですが・・・ 三蔵法師が長い時間をかけてインドにたどり着いた様に、この曲も今後長い時間をかけて“第四章、第五章・・・”と、作曲を続けていく、という趣旨の事が、プログラムには書いてあります。そんな壮大な作曲構想がある組曲の一部ですから・・・この“第二章”も、西域の、気の遠くなる様な広大さをベースに、かつて西域に存在し栄えた“屈支国(クチャ)”へのイメージを膨らませた、オリエンタルな雰囲気漂う曲だったと思います。龍谷大学ですが・・・酒井格作曲、「てぃーだ」という曲がとても印象深かったです。酒井格さんというと私はどうしても、酒井さんの代表曲、「たなばた」を思い出してしまいます。基本的に、とても若々しくてスマートでスタイリッシュなのに、同時になぜかちょっぴり寂しげな“哀愁”を隠し味的に含んでいる・・・ そんな印象を、私は酒井さんの曲から感じます。今回発表された「てぃーだ」も、沖縄の音楽の雰囲気を断片的に曲の中に織り込みつつ、しかし、やはり、酒井さんの曲が兼ね備えている独特の世界は健在でした。沖縄版の「たなばた」だ、なんて言ったら、酒井さんに怒られてしまうでしょうか・・・酒井根中学校ですが・・・高橋伸哉作曲、「清流賛歌」という曲が興味深かったです。信州の清流から着想を得たというこの曲ですが、20人程度の“小編成”でも演奏ができる様に配慮がなされていました。(固い話になって恐縮ですが)“少子化問題”が叫ばれる様になって久しい昨今、酒井根中学校吹奏楽部の様に、団員が100人を超える様な団体は、もはや少数派だろうと思います。しかしそんな中でも、異なる楽器を持ち寄って練習し、ひとつの音楽をつくり上げていく楽しさ、素晴らしさを子供たちに知ってもらうために、この様な“小編成用”の曲が今後も数多く発表される事を、私は望みたいです。(2/2へ続きます・・・)
2010.03.23
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このCDのレビュー記事を書く、という「予告記事」をUPしたのが、昨年の7月21日・・・それ以後、まさか“半年”も間があいてしまうとは・・・ 本当に申し訳ありません遅ればせながらで大変恐縮ですが、本日、記事「本編」を書かせて頂きます・・・そもそも、「BCL(Band Classics Library)シリーズ」とは・・・日本の吹奏楽界において“クラシック”と呼ぶに相応しい、高い評価を受けている吹奏楽曲を集め、新録音によってその価値を改めて見つめ直そう、概ねそんなコンセプトで制作されている吹奏楽録音シリーズです。演奏は、木村吉宏 指揮、広島ウインドオーケストラによって実施されています。(“吉”は正式には“土”に“口”です)「BCLシリーズ」も、積み重ねて11作目のこのアルバム、その8曲の収録曲目は、(昨年7月21日の“予告記事”でも書きましたが)、私は今回初めて目にするものばかりでした。『実際に曲を聴いてみれば、思い出す曲があるかも』と、思っていたのですが・・・やはり、このCD収録曲全て、私は今回初めて耳にするものばかりでした。私自身、今まで一応人並みに『吹奏楽の事は知っているハズ』だと思っていたのですが・・・今回このCDによって、その考えを改めなければならなくなりましたこのCDのライナーノーツの情報によれば、今回の収録曲中、最も新しく作曲されたものでも、1967年との事です(2番目に収録されている、A.リード作曲「サスカッチアンの山」)。8番目に収録されている「岸辺のモリー」(パーシー・A.グレインジャー作曲)などは、吹奏楽編曲版の出版が“1921年”との事です。まさに、“クラシック”・・・ 改めて、日本より吹奏楽の歴史の古い、欧米の吹奏楽文化の奥深さを感じずにはいられません。正直に申し上げて、今回ご紹介したCDの中で、特に私が気に入った曲、というのは今のところないんですが・・・今後聴き重ねていく事によって、徐々にジワリジワリとそれらの良さが心に響いてくるのだろう、と、思っているところです。(長く吹奏楽に親しんでおられる方であれば、このCDの5番目に収録されている「序曲 ティアラ(フランク・D.コフィールド作曲)」が、かつて(1965年)全日本吹奏楽コンクールの“課題曲”だった事をご存じかも知れませんね)機会があれば、ぜひ皆さんも、吹奏楽の“クラシック”に、触れてみて下さい。<追伸>吹奏楽にお詳しい方であれば・・・「BCLシリーズ」、既に“12”が発表されている事をご存じだろうと思いますハイ、当然私はこれを近いうちに手に入れて、聴くつもりです。このブログでも、レビュー記事をUPするつもりです(“いつまでに”と、ここで明言する事は避けさせて頂きますね・・・)。
2010.01.12
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今月の20日、27日と二週に渡ってテレビ朝日系列で放送された、題名のない音楽会の「吹奏楽特集」、ご覧になったでしょうか。本来は10月に放送の予定だったのだそうですが、例の事件の関係で、放送予定が“未定”になっていました。制作サイドの方で、かなり映像の編集にご苦労された様子が感じられましたが・・・『ともかく、放送されてよかった・・・』と、ホッとしている私でございます。今日は、その放送内容の、私の拙い感想などを書いてみたいと思います。<20日放送分>この日は、二つのアマチュア吹奏楽団に対する、佐渡裕さんのクリニックの模様が放送されました。一団体目の、「ママさんブラスバンドつるぴよ隊」ですが・・・子育て中のお母さん方が集まって結成されたという、この団体・・・こんなバンドがあるんですね。本当に、素晴らしい事だと私は思いました。「子供たちにも舞台に上がってもらおうかな」「子供たちがいて、このバンドの音楽が完成するから」というマエストロの提案で、メンバーのお子さんたちも舞台に上がって演奏された「星に願いを」、本当に感動的だったと思います。二団体目の「日立製作所ソフトウェア事業部 音楽隊」ですが・・・職場の吹奏楽団体が減少傾向にある今、こうやって一企業のバンドが紹介された事は、とても意義深いと私は思います。確かこの団体、私は数年前の「東関東大会」だったか「全国大会」だったか(両方だったかな)、コンクールの会場で生でその演奏を聴いた事があるのですが・・・その時よりも、今回放送された演奏の方が、私は、とても生き生きとしていたと思います。しかし、真島俊夫さん編曲の「第三の男」・・・『原曲のイメージとは全く違う、斬新なアレンジだなぁ』と思ったのは、私だけでしょうか・・・<20日放送分>ゲストに、吹奏楽経験者の茉奈佳奈(マナカナ)さんを迎えての放送でしたが・・・いや~、シエナ・ウインド・オーケストラの中に混ざって演奏できるなんて、羨ましい・・・しかも、結構上手に楽器を吹かれていたと、私は思いました。マナさんのトランペット、少し顎が上がっていましたよね。もう少し顎を引けば格好も良くなるし、演奏の腕もより上がるのでは な~んて無責任な事を思いながら見ていました。カナさんのテナーサックス、いや~、カッコ良かったと私は思います。惚れ惚れしてしまいました。演奏中の左ひじの動かし方など、とても素敵な雰囲気を醸し出していたと思います。番組のラストに演奏された、“はとポッポの世界旅行!「poppo poppo」”ですが、この曲の事は、以前私のブログの火曜日の記事でご紹介した事がありました。吹奏楽やクラシックの名曲の一部が、至る所に散りばめられている曲なのですが・・・「あぁ、あのファンファーレとその後の原曲は“ドボ8”だったか・・・」「ホルストの“二組”と思ってたユーホのソロの原曲は、イギリス民謡なのか・・・」「アレッ “三角帽子”なんて入ってたっけ 聴いた事あるんだけど・・・」なんて、私自身の記憶と知識の無さに呆れながら、楽しく見て聴いていました。また今回、改めて気付いたのですが・・・この曲、放送でもその様な趣旨だった様ですが、吹奏楽の“楽器紹介”としても使える曲ですね。そんな観点からも、演奏会のプログラムへ載せる事を検討されてはいかがでしょうかと、いう訳で・・・今後さらに、「題名のない音楽会」で“吹奏楽特集”の放送が増える事を切望している私です。<追伸>「題名のない音楽会」では時々、編曲家の方にスポットをあてた企画が放送されますよね。『“はとポッポの世界旅行!”編曲の杉浦邦弘さん、出演されないかなぁ』なんて思っているのは、私だけでしょうか・・・
2009.12.29
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前回、火曜日のテーマ記事を書いたのが、9月29日。まさか、二か月以上も間があいてしまうとは、私自身、思ってもみませんでした。前回の記事を書いたのは、私自身を納得させる意味もあったのですが・・・納得し切れなかった様です。申し訳ありません。そんな中、先月末、私のブログに↓こんな情報を頂きました。「本来10月放送予定で、その後、“あの事件”のために放送延期・放送未定になっていた、テレビ朝日系“題名のない音楽会”の“吹奏楽特集”の放送日が、“今月末”に決まった」本件、現在「題名のない音楽会」のHP中でも告知されている様です(TOP→放送予定→今後の放送内容)。この情報を知り、やっと・・・ 少しだけ、救われた様な気持ちになりました。放送決定の理由が・・・多くの吹奏楽ファンからの、熱烈な要望があったからなのか、“あの事件の当事者”に、法的な一定の裁定が下ったからなのか、そのあたりは、よく分かりませんが・・・ともかく、今月20日と27日の放送を、楽しみに待ちたいと思います。ご参考までに、以下、お知らせ致します。「題名のない音楽会」の放送予定に関し、私のブログに頂いていた情報とは、「今年の4月28日の記事」に寄せられた“コメント”なんです。ご興味ありましたら、こちらもご覧になってみて下さいね。
2009.12.08
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「あの事件」が“ひっそり”と報道されてから、4週間ほど経ちました。まず報道があり、それにほとんど間髪入れず、“事件当事者”に関して、所属吹奏楽団から「除名のお知らせ」があり、所属アンサンブルユニットのマネジメント会社からも同様に「除名のお知らせ」があり・・・それと前後して本ブログには、↓こんな情報が寄せられました(お知らせ頂きました方、本当にありがとうございます)。「10月にテレビ朝日系列局で放送が予定されていた、「題名のない音楽会」の“吹奏楽特集”は、放送が延期になった」“事件当事者”が出演しているから、という事なのだろうと思います。今だに私の頭の中では、『信じられない』という気持ちと、『何でそんな事件を起こしてしまったのか』という気持ちが交錯しています。本当に信じられませんが・・・“元”所属吹奏楽団等からの「お知らせ」等を見る限り、「あの事件」が起きた事は、紛れのない事実なのだろうと思います。逮捕された後、その“事件当事者”は、どうなったのでしょうね。容疑が固まり起訴されたのか、不起訴になったのか、起訴されたものの釈放されたのか・・・本当に、情報が少ないですよね。“事件当事者”が出演していた演奏会へは、私は何度か出かけています。主に、“元”所属吹奏楽団が出演していた演奏会です。一昨年の2月、メインプロで、非常に音楽的に充実した“シンフォニックダンス”を演奏し終えた後、ガッチリと握手を交わしていたマエストロと“当時のコンマス”・・・昨年12月、“夢の共演”を果たした在京二大プロ吹奏楽団のジョイントコンサートで、相手方の団のコンマスとともに、司会者からインタビューを受けていた“当時のコンマス”・・・今も、私の心に印象深く残っています。私自身の事はどうでもいいですが・・・“事件当事者”を師と仰ぎ、目標として、一生懸命テナーサックスを練習していた方々の気持ちを思うと・・・本当に残念ですし、“事件当事者”に対する憤りの気持ちを、禁じ得ません。国内の全ての吹奏楽関係者、音楽関係者、そしてその周辺の方々の落胆と、怒りの気持ち、そして、多少はあるかも知れない誤解と、根拠のない憶測を少しでも解消するために・・・今回の事件に関する、最新の正確な情報が少しでも早く公になる事を望みます。それが“事件当事者”自身から語られれば、より良いでしょうね。国内の吹奏楽の更なる発展を願うひとりとして、切にそう思い、願っています。
2009.09.29
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少し前の話で恐縮ですが・・・8月23日(日)にNHK教育テレビで放送された“N響アワー”、ご覧になったでしょうか。今年の8月2日(日)にNHKホールで行われた“N響ほっとコンサート”の模様が、抜粋で放送されていた様です。今、“放送されていた様です”、と、書きましたが、その理由は・・・私は偶然、“途中から見た”、からなんです。今年の“N響ほっとコンサート”、私は全くチェックしていませんでした。年に一度、N響が吹奏楽編成で曲を演奏する事が特徴のひとつの、このコンサート。『多分今年も、“海外作品”ばかりが演奏されるんだろうな・・・』な~んて、私は鷹を括っていたんですが、当日、偶然チャンネルを合わせて、ビックリしました。吹奏楽曲が演奏される1部のステージで、なんと・・・「ぐるりよざ」が、演奏されているではないですか改めて、申し上げますが・・・「ぐるりよざ」は、吹奏楽の邦人作品としては、私が一番好きな曲です(以前このブログで、「ぐるりよざ」のCD聴き比べ、みたいな記事を書いた事もあります)。またまた、“一生の不覚”でした。いやいや、そんな呑気な事を言っている場合じゃ・・・(少々大袈裟ですが)私自身の、「ぐるりよざ」に対する思いの全てをかけて・・・8月28日(金)にNHK BS2で放送された「BSシンフォニー アワー」の、「N響ほっとコンサート2009」“完全版”をチェックし、「N響アワー」では全三曲構成の三曲目、“3.祭り”しか放送されなかった「吹奏楽のための交響詩 ぐるりよざ」の全曲を聴きました。演奏前の曲紹介で、この日の指揮者・現田茂夫さんが、この様な事を言われていました。「この曲は全体的に“我々の音楽”、“日本人の音楽”という気持ちが凄くする音楽です」全く、同感です・・・“1.祈り”の、教会の鐘の音を模したと思われる、チャイム、ビブラフォン、グロッケンの、何と慎ましやかな音・・・“2.唄”の、竜笛を模したピッコロの、まさに“和風”の音・・・“3.祭り”のフィナーレの、あの、独特の“憂い”を含んだ“高揚感”・・・マエストロのスタイリッシュなタクトさばきと相まって、N響らしい音楽を聴かせてくれていたと私は思います。決して“我を忘れる”事はないんですが・・・なんて言うんでしょう こう、内に秘めて、深く静かに、かつ、確実に燃えている感じ・・・そんな演奏が、そんな音楽が、とても素敵だったと私は思いました。あ~、生で聴きたかったなぁ・・・
2009.09.01
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いやぁ~、一生の不覚です。恥ずかしながら、私は昨日(7月20日)知りました。今年の4月28日、既にこんなCDが発売されていたなんて・・・指揮 木村吉宏(“吉”は“土に口”、以下同様です)、演奏 広島ウインドオーケストラによる、BCL(Band Classics Library)シリーズの11枚目のCDです。ここのところ邦人作品の録音が続いていたのですが、今回は海外作品集の様ですね。収録曲は全8曲。これまた恥ずかしながら、私は全て今回初めてその曲名を目にしました(曲を聴けば、『あ~、あの曲か』と思い出すかも知れませんが、“試聴”さえまだしていません・・・)。(自慢する気は全くありませんが)これまでに発表されたBCLシリーズのCD10枚は全て購入して聴いている私としては、この“BCL11”も買って聴かない訳にはいきません。次回(といっても、8月になるか、9月になるか、10月になるか・・・)までにこのCDを買って聴いて、この私のブログの火曜日の記事としてご紹介する事を、ここに“予告”させて頂きます。あ~、何で昨日まで気が付かなかったんだろう。私にとっては、本当に、一生の不覚です・・・
2009.07.21
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あまりメディアで大きくは報道されていない様ですが・・・今月6日、作曲家の小山清茂さんが亡くなりました。95歳。吹奏楽の事にお詳しい方なら、ご存じの通り・・・小山清茂さん、吹奏楽曲も多数作編曲されています。今回の記事を書くにあたり、私は、次の3枚のCDを引っ張り出してきて、改めて小山さんの作品に耳を傾けました。 (左から・・・“吹奏楽のための「木挽歌」”、“吹奏楽のための「大神楽」”、“吹奏楽のための組曲「能面」”収録CDです)小山さんの作品を一言で表せば、私は、「和」という漢字一文字に集約できると思います。曲のモチーフとして日本の民謡を用い、そのリズム・旋律・ハーモニーのみならず、楽器の編成・奏法、そして“間”や“余韻”に至るまで、小山さんの作品では「和」が意識されていると思います。とりわけ・・・民謡ではよく出てくる、“合いの手”や“掛け声”といった、譜面には起こし難いであろう“人の声”を、あえて楽器で表現しようとする試みが、私にはとても特徴的で興味深く感じられます。私は、上でご紹介した3曲のうち、「木挽歌」の演奏に参加した事がありますが・・・それまで私が吹奏楽に対して抱いていた、“勇ましくて力強い”というイメージが、この曲によって改められた事が、今も心に残っています。また・・・演奏中、リズムとも旋律ともハーモニーとも違う、この曲の持つ独特の雰囲気が私の身体の中に自然に“すぅっ”と入ってきて、曲と自分自身とが一体になった様な不思議な感覚に捉われた事も、思い出します。それほど「木挽歌」は、当時の私にとって、演奏していてとても“心地よい”曲でした。日本を代表する作曲家が、またひとり、逝ってしまいました・・・謹んで、ご冥福をお祈り致します。
2009.06.23
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テレビ朝日系列で日曜日の午前中(9:00~)に放送されている「題名のない音楽会」で、5月17日と24日の二回に渡り、“日本の吹奏楽特集”が放送されました。私は、二回とも見ました。これまで吹奏楽をあまり知らなかった方々に、“吹奏楽とはどういうものか”を知って頂くには、よい機会だったと思います。私は吹奏楽経験者ですが、基本的に、楽しく見させて頂きました。ただ・・・ご覧になった方々の誤解を避けたいので、二点だけ、念のため、ちょっと指摘させて下さい。<一点目>17日放送分には、“日本吹奏楽の歴史(1)課題曲の変遷”という副題が付けられていました。この副題、私は、多少正確さに欠ける表現だと思います。よりきちんと副題を付けるのであれば・・・「“全日本吹奏楽コンクール”課題曲の歴史」こちらの方が、より正確だと思います(堂々と、そう言えば良かったのに。なぜなら、「全日本吹奏楽コンクール」およびその下部大会の主催は、“朝日新聞社”なんですから・・・)。詳しい話はここでは省きますが、「日本吹奏楽の歴史」と言ったら、それは「幕末」まで遡る必要があると、私は思っています。<二点目>番組中で、シエナ・ウインド・オーケストラ(指揮:佐渡裕)によって、様々な吹奏楽曲が演奏されましたが・・・そのほとんどが、さりげな~く“カット(編集)”されていたのが、私は非常に残念でした。また、“曲に被さる形で”曲の説明等がなされていた点も、少しガッカリでした。そんな事をする必要があったのなら、例えば24日の放送では、演奏曲目は吹奏楽の人気曲の「ベスト3」の三曲にしぼり、カットなしで、また、曲に被さる説明等なしで、じっくり聴きたかった・・・そう思っているのは、私だけでしょうか。吹奏楽をあの様な形で紹介せざるを得なかった事は、私はとても残念だと思っていますが・・・でも、本当の意味で吹奏楽が国内に“普及”するには、こういった“過程”が必要なのでしょうね。これからも「題名のない音楽会」の番組中で、吹奏楽がたくさん採り上げられる事を熱望している、私でございます・・・<追伸>「吹奏楽の人気曲ベスト10」、以前、「題名のない音楽会」のウェブで投票が受け付けられていましたよね。私も、一曲投票したのですが・・・「ベスト10」圏外でした・・・え 投票した曲目ですか それは、もちろん・・・“ぐるりよざ”です・・・
2009.05.26
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先日、某月某日、某所へ、某吹奏楽団の演奏会を聴きにいってきました。今回、その詳細なレビューは書きませんが(決して“期待外れ”だった訳ではありません、念のため)、その演奏会で、私自身、とても興味をそそられる曲が演奏されたので、ちょっとご紹介してみようと思った次第です。「POPPO POPPO」という曲、ご存じでしょうか「はとポッポの世界旅行!」という邦題()も付いています。編曲は、杉浦邦弘さん。「ど演歌えきすぷれす」シリーズの編曲が、最も有名なのではないかと思います。「POPPO POPPO」は、童謡で文部省唱歌の「鳩(通称“鳩ぽっぽ”)」のメロディーが、世界中の色々な音楽に乗って“世界中を旅する”というイメージの、とても楽しく“凝った”作品だと思います。演奏時間は、およそ11分。このCDに収録されています。 試聴だけなら、(最初の約45秒だけですが)東京ミュージック&メディアアーツ尚美のHPで可能です。私はですね、その演奏会から帰ってきてすぐ・・・某、吹奏楽専門ネットストアで、この「POPPO POPPO」だけをダウンロード購入しました。曲の冒頭、A.リードの“あの、吹奏楽の超有名曲か”と思わせておいて、いきなり「鳩ぽっぽ」の旋律が出てきた時には、私は思わずコケてしまいましたその後、この鳩は、本当に色々な曲に乗って、世界中を旅します。サンバあり、ジャズあり、フラメンコあり、クラシックあり・・・『もしこの曲を、ショスタコーヴィチやグレンミラーが聴いたら、どんな感想を抱くかなぁ』と、考えるだけでも、私はワクワクしてしまいました。杉浦さんの、その“編曲”のアイデアの多さと、豊富な“遊び心”に、私は感服してしまいました。こういったコラージュ的な作品に、抵抗のある方もいらっしゃると思いますが・・・私は、とても楽しめました。もし吹奏楽をやっている方で、次回の演奏会の選曲に迷っている方がいらっしゃいましたら、この「POPPO POPPO」を検討してみてはいかがでしょうか。その日は、面白くて楽しい曲に出会え、何となく得した気持ちの、私だったのでした。
2009.04.28
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(先週火曜日の“前編”の続きです)三番目の演奏団体は、佐藤正人指揮 川越奏和奏友会吹奏楽団でした。昨年の“響宴”でも、その柔らかいサウンドが魅力的だったこの団体、今年は、地元・川越の小学校と高校4校の合唱団、総勢約150名との“共演”でした。演奏された曲は、菊池幸夫作曲「銀河鉄道の夜~吹奏楽、合唱、ナレーションによる音楽童話~」でした。昨年も、「スーホの白い馬」というお話を題材にした曲がナレーション付で演奏されましたが、今回この曲のナレーションを担当されたのは、水野潤子さんというプロの方でした。・・・申し訳ありません。私、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」、恥ずかしながら、読んだ事がないんです。なので、小説と音楽がどの様にマッチしていたのかは、お話できないんです・・・でも、合唱が神秘的な宇宙というものをうまく演出し、ある種幻想的な“舞台”をつくり上げていた事は確かだと、私は思います。バンドと合唱、そしてナレーションのコンビネーションもバッチリだったと思います。これだけ大勢のメンバーが参加する演奏。想像を絶するほど練習が大変だったと思いますが・・・ここまで素晴らしい舞台に仕上げられた事に対し、改めて拍手を送りたい気持ちです。(この後、この団体によってもう1曲演奏されたのですが、その件は<追伸>にて)四番目の演奏団体は、小澤俊朗指揮 神奈川大学吹奏楽部でした。連続12回、毎年この“響宴”のホストバンドとして出演している(裏方もやっている)この団体。その独特のサウンドは今年も健在でしたが・・・ 『今年は多少、そのサウンドが“明るめ”かな?』と思ったのは、私だけでしょうか。この団体が演奏した3曲中、私は、延原正生作曲「吹奏楽のための“賛歌”~悠久の時を超えて~」が最も印象に残りました。今回の“響宴”で、恐らくこの曲が“難解さ”では一番だと、私は思います。プログラム記載の、作曲者ご本人による曲目解説には、こんな事が書いてあります。「明確な4拍子による主要主題と6/8拍子による中間主題を持ち・・・」私の認識が正しければ、この曲の中間部あたり、その「4拍子」と「6/8拍子」が同時に出てくる箇所がありました。あるパートは「4拍子」で演奏し、またあるパートは「6/8拍子」で演奏し、指揮は“2拍3連”っぽく振っている・・・私自身、“視覚”と“聴覚”がごっちゃになり、頭の中が混乱してしまいました。しかし・・・そんな「カオスを経た後に、主題の再現が行われ(曲目解説より)」何事も無かったかの様に曲が閉じる様は、まさに圧巻でした。最後の演奏団体は、熊崎博幸指揮 海上自衛隊東京音楽隊でした。記憶に間違いがなければ、自衛隊音楽隊の演奏を生で聴くのは、私は今回が初めてでした。最近は自衛隊の音楽隊も、著名な作曲家に作品を委嘱するなど、活発に活動している事はご存じの方も多いでしょう。この団体が演奏した4曲中、私は、片岡俊治作曲「木曜日の行進曲」が最も印象に残りました。いや~、まずは、今でもこんなマーチが作曲されている事が新鮮で、私は率直に驚きました。コンクールの課題曲などでよく耳にする、いわゆる「コンサートマーチ」ではありません。そんな呼び方があるのかどうか分かりませんが・・・この曲は、言うなれば“J.P.スーザ型”のマーチでした。第一主題があって、第二主題があって、第一主題に戻って、Trioに入って、D.C.で曲の頭に戻って、途中からコーダに飛んで、華々しいフィナーレを経て、おしまい。という感じで(実際のパート譜がどうなっているのかは分かりませんが・・・)、純粋な「複合三部形式」とは少し違ったかも知れませんが、作曲者を知らないまま「この曲、スーザのマーチだよ」と言われたら、私は信じてしまったと思います。そんな風に、音楽形式上はスーザの曲によく似ているのですが・・・各楽器で奏でられる旋律、裏旋律、フレーズ等には『あっ、ここスーザの真似してるかも』と思わせる箇所が全く無く・・・ その点は、本当に“脱帽”でした。公演時間が、普通の演奏会に比べてやや長い“響宴”。やや気持ちが弛みかけたタイミングでこの曲を聴き、気持ちが“ピンッ”と引き締まり、背筋が“シャンッ”と伸びた、そんな気がしました。全体を通じて今回の“響宴”、演奏された曲は昨年と比べてとても秀作揃いで、かつ、曲調がバラエティに富んでいたと思います。聴いていて、私は昨年以上に楽しめました。やはり、吹奏楽のサウンドって、いいですねぇ・・・来年の第13回“響宴”にも、ぜひ足を運びたいと、今から思っている私でございます。<追伸>今回の“響宴”で、三番目に演奏した川越奏和奏友会吹奏楽団。その“2曲目”は、清水大輔作曲「ロスト・ムーン~マン・オン・ザ・ムーン エピソード2」でした。1960年代後半から米国で行われた、有人宇宙飛行計画「アポロ計画」中、宇宙船乗組員が宇宙からの“奇跡の生還”を果たした、“アポロ13号”の事件がモチーフになっています。この曲は、“響宴”の第1回から事務局の仕事をボランティアで務められ、昨年10月31日に急逝された、富永啓之さん(享年37)に捧げられました。富永さんは「播堂力也」というペンネームで、これらの本の執筆にも関わっておられたそうです。 謹んでご冥福をお祈り致します。
2009.03.31
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昨年に引き続きまして・・・3月15日(日)、私は東京芸術劇場へ、第12回“響宴”を聴きに行ってきました。日本人作曲家による吹奏楽“オリジナル作品”を募集・審査し、年に一回それらを“お披露目”する事で、日本の吹奏楽の発展と普及に努めていく、というこの“響宴”。今年はどの様な曲が演奏されるのか、楽しみにして出かけました。一番目の演奏団体は、馬場正英指揮 東京都片倉高等学校吹奏楽部でした。演奏技術的には、国内の頂点のレベルにあるとも言える、全日本吹奏楽コンクール“高校の部”の金賞受賞団体。この片倉高校も、“高校生離れした”演奏を聴かせてくれました。この団体が演奏した4曲中、私は、柿崎希夢作曲「Skyblue Fanfare」が、最も印象に残りました。軽やかなファンファーレ部分に続き、軽快なテンポで演奏される第一主題。『いわゆる、“ポップス調のコンサートマーチ”かな?』と最初思ったのですが・・・ 中間部あたりからテンポはほぼ“倍”にゆっくりになり、各楽器が旋律を伸びやかに歌い上げていきます。そしてそのままのテンポで曲は次第に盛り上がっていき、雄大な雰囲気を構築しつつ、曲は閉じました。私がこれまで聴いてきた範囲では、今までにないタイプの曲でした(コンサートマーチではないし、“序曲”とも違う・・・)。独特の暖かみを感じる曲で、作曲者の方の優しい人柄が表れている、そんな印象でした。二番目の演奏団体は、新田ユリ(客演)指揮、ヤマハ吹奏楽団浜松でした。全日本吹奏楽コンクール“職場の部”の常連ですが・・・ その安定した演奏レベル、“セミプロ”と言ってもいいのでは? と、思っているのは私だけでしょうか。この団体が演奏した2曲中、私は、真島俊夫作曲「大樹の歌」が最も印象に残りました。「ブラジルと日本の友好の年輪へ」という副題の通り、この曲は日伯友好100周年を記念して作曲されたのだそうで。さらに・・・「マリンバとバンドの為の協奏曲」という副題の通り、この曲は三楽章構成の“マリンバ協奏曲”でした。独奏は、この曲の作曲委嘱者の一人、名倉誠人さんでした。第一楽章は、移民を乗せた船が日本からブラジルへ向けて“航海”している様子を、第二楽章は、移民としてブラジルで暮らしながら、“郷愁”の想いを抱く様子を、第三楽章は、長い年月を経て大樹に育った、日伯両国の友好関係を祝う“結実の祭り”を、それぞれ表しているのだそうです。全体を通して、いわゆる“日系ブラジル移民”の方々のご苦労を慰める様な内容の曲で、事実この曲が昨年6月にブラジルで「世界初演」された際には、客席で涙を流す方がたくさんいらしたのだそうです。そんな、歴史の重みを感じさせる曲でした。こういった「記念碑」的な曲が聴けるのも、“響宴”の醍醐味のひとつだと思います。(長くなりそうなので、来週火曜日の“後編”に続きます。済みませんです・・・ )<追伸1>ヤマハ吹奏楽団浜松を客演指揮された、新田ユリさん、私は昨年後半あたりから、演奏会のチラシなどでそのお名前を拝見していました。今回思いがけず、その指揮を間近で見る事ができて、嬉しかったです。興味本位的な話で、恐縮ですが・・・女性指揮者としては、あの西本智実さんよりも、若干“先輩”でいらっしゃる様な気がします(お二人のプロフィール(もちろん、生年月日の記載なし)を比較した上での、私の“予想”ですが・・・)。今回は“初演”およびそれに近い曲の演奏という事で、その指揮や、つくり上げる音楽の特徴についてはあまり表に出てこなかった、と思います。今後チャンスがあれば、マエストロが振られる管弦楽、そして、吹奏楽の演奏会を聴きに行ってみたいと思っています。<追伸2>ヤマハ吹奏楽団浜松が演奏した「大樹の歌」のソリストとしてマリンバを演奏された、名倉誠人さん、私はそのお名前を今回初めてお聞きしたのですが・・・その演奏スタイルは、まさに躍動的でした。長身と長い手足を駆使し、マリンバの前を細かく左右に往復しながら難しいパッセージを最高“4本”のマレットで奏でるその姿は・・・「キビキビとした千手観音」とでも形容したくなる様な、演奏スタイルでした。その素晴らしさは、もちろん“演奏面”でも発揮されていましたが・・・プロの演奏家として、“魅せる面”でも、如何なく発揮されていたと思います。名倉さん、現在の活動拠点は、米国(ニューヨーク)の様ですね。これまでソロアルバムとしては、CDを3枚発表されている様ですが・・・ 全て「米国盤」の様です。そのCD、「本日、ロビーで販売しています」という館内放送に引き寄せられる様に・・・“響宴”終演後、私はそのCD売り場へ行きました。CDを手に取り、収録曲などを確認していると、思いがけずそこへ突然、名倉さんご本人が姿を現しました。思わず私は、手に取っていたCDを係の人に渡し、代金を支払い・・・そのCDに、名倉さんのサインを頂きました。今秋、日本でマリンバリサイタルの予定があるとの事。チャンスがあれば、行ってみたいです^^
2009.03.24
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先日、ひょんな事からこんなCDの存在を知りました。(私も今回初めて知ったのですが)「フィルハーモニック・ウインズ 大阪」というプロ吹奏楽団、皆さんご存知でしょうか。誰が付けたか分かりませんが、略称は「オオサカン」というのだそうで。今の楽団名になったのは2005年9月からだそうですが、団の結成は1999年4月。今年が“結成10周年”という事になりますね。『音楽監督、誰だろう・・・』と思って、よく見てみると・・・あらま、木村吉宏さんではないですか(“吉”は“土”に“口”、以下同様です) 2005年10月から、就任されているのだそうで。のCDは、2008年4月に行われた第5回定期演奏会のライブ盤だそうで。指揮は、もちろん音楽監督の木村吉宏さん。収録曲の大部分の“編曲”も、手掛けていらっしゃる様です。トゥーランドットの“ええとこどり”というコンセプトが、おもしろいですね。このCD、私、手に入れて、ひと通り聴いてみました。2点、思ったり感じたりした事がありました(以下、偉そうな事を書かせて頂いてしまいますが、不快に思われたらお詫び致します)。まず、1点目ですが・・・このCD、私は最初に「ローマの祭」を聴いたのですが・・・言い難いのですが、この「ローマの祭」は、あまり演奏の出来が良くない様に思います。特に、「チルチェンセス」は、冒頭のクラリネットのピッチが“スゴい”し、プロにしてはあまりにも“初歩的”なミスもあるし・・・『おいおい、大丈夫かぃ』思わず、そんな事をこのCDに向かって叫びそうになりました。『他の曲も、この調子なのか』と、一瞬心配したのですが・・・ 他の曲は普通に聴けました。詳細は分かりませんが、この「ローマの祭」の演奏時にだけ、何かアクシデントがあったのだと思います。この点、ちょっと残念でした。次に、2点目ですが・・・今、「ローマの祭」以外の“他の曲は普通に聴けた”と、申し上げました。プロの吹奏楽団の演奏に相応しい、まとまった演奏だと思います。・・・しかし、『何か物足りないなぁ』、そんな風にも私は感じました。東京佼成の“落ち着き”、シエナの“勢い”、広島ウインドの“爽やかさ”、そういった、このバンド“ならでは”の雰囲気を、私は、感じ取る事ができなかったんです。これはもう、“若いバンド”の宿命みたいなもので、仕方がない、とも思うのですが。(余談ですが、この感想は私が十数年前、初めて「シエナ・ウインド・オーケストラ」の音源を聴いた時にも抱きました)ぜひ場数を踏んで、今後も確実に歴史を刻んで、“オオサカン独自”のサウンドというものを確立して欲しいと思います。そうすれば、今よりもずっと魅力的なバンドになると思います。今年出演されるという、第14回世界吹奏楽大会(WASBE)が、そのキッカケのひとつになるといいですね。頑張って下さい今後の“オオサカン”の更なる飛躍に、大いに期待したいと思います。
2009.02.24
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またまた昨年の話で、恐縮です。昨年の12月24日、これが発売になりました。直後に購入し、聴いてみました。広島ウインドオーケストラ(HWO)、このCDでも素晴らしい演奏を披露されていると思います。2曲目に収録されている“吹奏楽のための「太神楽」”、7曲目の“秋空に”、そして8曲目の“大阪俗謡による幻想曲”、いずれも私は昨年のHWOの第30回定期演奏会でそれらの生演奏を耳にしているのですが、聴いているうちに、その時の感動が蘇ってきました。9曲目の“高度な技術への指標”は、私は以前、このDVDで聴いた事があります。シエナよりも幾分慎ましく、かつ柔らかくて暖かいそのサウンドは、HWOならでは、と私は思いました。という訳で、全体的に“HWOらしさ”を感じる事ができた、このCDなんですが・・・その中で1曲、異彩を放っている曲がありました。それが・・・このCDの4曲目に収録されている、“祈りの曲第一「哀悼歌」”という曲です。他の収録曲8曲とは全く異なる雰囲気で、その独特の旋律がCDから流れてきた時、私は初め、思わずこの曲をスキップしてしまいました。その後、最初に“通して”聴いた時は、『初めて聴く曲だなぁ』と思ったのですが、何度か繰り返して聴くうち、その曲の“断片”を、『どこかで聴いた事があるな・・・』と、感じたんです。CDの“曲目解説”を読んで、それがいつだったか、やっと思い出しました。「8月6日」です。作曲者の川崎優さん、1924年東京生まれながら、被爆者。学徒招集されて軍事教練を受けていた場所が、広島だったのだそうで。長い事、その被爆体験を基にした曲づくりは拒んでおられたそうですが・・・1975年の広島平和記念式典のために作曲されたのが、この“祈りの曲第一「哀悼歌」”なのだそうです。以後この曲は、その式典における“献花”の時に流れているのだそうで。この曲の楽譜が出版され、一般に入手が可能になったのは昨年の12月からなのだそうですが、いち早くこの曲を選曲して録音しCDとして世に出した事は、HWOにとってとても意義深い事だと思います。この企画と、このCDに収録されているこの曲と演奏に、私は、心から拍手を贈らせて頂きたい気持ちです。と、いう訳で・・・このCDが、BCL(Band Classics Library)シリーズとしては節目の“10枚目”。HWO、今後の“録音活動”は、どの様な展開を見せてくれるのでしょう(“BCL11”が出るのでしょうか、それとも、新たな企画が検討されているのでしょうか)。今年のHWOの活動にも、注目していきたいと思います。<追伸>そういえば、このBCLシリーズをはじめ数々の吹奏楽のCDやDVD等を制作・販売している“ブレーン株式会社”の本社所在地も“広島”ですよね。いやぁ、私、本当に“広島”に縁があるなぁ・・・
2009.01.27
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これまた昨年の話で、恐縮です。昨年の12月27日(土)、東京国際フォーラム(ホールA)へ、「ブラスの祝典」と題された演奏会を聴きにいってきました。内容を簡単に説明しますと・・・国内を代表するプロ吹奏楽団、「東京佼成ウインドオーケストラ」と「シエナ・ウインド・オーケストラ」、この2つの吹奏楽団のジョイントコンサートでした。指揮は、両吹奏楽団でタクトを握られた実績をお持ちの、金聖響さんでした。プログラム(「東京佼成」演奏の部)デイヴィッド・マスランカ:マザー・アースジョナサン・ニューマン:ムーン・バイ・ナイトフランツ・リスト(編曲:田村文生):バッハの名による幻想曲とフーガ(「シエナ」演奏の部:オール“ジョン・ウィリアムズ”プログラム)オリンピック・ファンファーレとテーマハリーの不思議な世界スター・ウォーズより 「ダース・ベイダーのテーマ」、「フラッグ・パレード」、「メイン・タイトル」(合同演奏の部)坂本龍一:地中海のテーマ(バルセロナオリンピック開会式楽曲、吹奏楽版世界初演)アルフレッド・リード:アルメニアン・ダンス パートIオットリーノ・レスピーギ(編曲:鈴木英史):ローマの松(アンコール)J.P.スーザ:海を越える握手(だったと思います・・・)オットリーノ・レスピーギ(編曲:鈴木英史):ローマの松より 「アッピア街道の松」ステージはまず最初に、「東京佼成」の演奏で幕を開けました。私にとっては、3曲とも初めて聴く曲。決してポピュラーな曲ではないと思うのですが、私の耳には、心地良く、すんなり入ってきました。曲間のMCでも話題に上がっていましたが・・・まさに「大人の演奏」と言うに相応しい、貫禄のステージだったと思います。あれだけ整然と、かつ落ち着いたサウンドというのは、(誤解を恐れずに言えば)一昔前の東京佼成には無かったと、私は記憶しています。本当に、充実した演奏を聴かせてくれました。次に、「シエナ」の演奏が始まりました。こちらは、とてもポピュラーな“ジョン・ウィリアムズ作曲”作品がズラリ。サービス精神旺盛なシエナならではの、楽しいステージだったと思います。シエナといえば・・・ 客席に「ガンガン」「ビュンビュン」飛んでくる、躍動感溢れるサウンドが特徴的ですよね。今回の指揮は金聖響さんという事で、多少“理性的”だったとは思うのですが・・・それでも、“シエナらしさ”は健在でした。華やかで明るい演奏、堪能しました。休憩を挟み・・・ 全く性格が異なるサウンドを持つ2つの吹奏楽団の“合同演奏”が始まりました。総勢約100人。プロのブラスとしては、恐らく“最大級”の“大合奏”・・・1曲目の「地中海のテーマ」が開会式で演奏されたバルセロナ五輪が開催されたのは、1992年。当時私は、開会式での演奏は聴き逃してしまったのですが、その後、オリジナル版を「題名のない音楽会(まだ、黛敏郎さんが司会をされていた頃)」で聴いた事があります。“教授”らしいコード進行というか、“和音”の延ばしが印象的かつ華やかな曲なのですが・・・今回の“吹奏楽版”、その和音の延ばしが、まさにパイプオルガンの様な“分厚さ”で非常に迫力がありました。選曲自体も、2つのプロ吹奏楽団の“初”合同演奏を飾るに相応しかったと思います。2曲目は・・・ 改めて説明する必要はないですよね。曲の冒頭、シンバルとともに金管楽器のファンファーレがホールに響き渡り・・・私は、鳥肌が立ちました。私自身、この曲に関しては、本当に色々な解釈の演奏をこれまでたくさん聴いてきましたが、この日のマエストロの解釈は、今まで私が聴いた事が無い解釈で、とても新鮮した。「ためてためてためてぇ・・・ どっか~ん」という感じの演奏が最近多い中(そんな演奏も私は大好きなんですが)、今回のマエストロの解釈は、“音楽の流れ”に重点を置いた、とても爽やかな演奏だったと思います。ひとつ間違えば淡白になり勝ちな、そんなマエストロのつくり出す音楽に、私は、(正直に申し上げますと)数年前までは一種の“物足りなさ”を感じていたんですが・・・この日の“アルメニアン・ダンス”は、素晴らしかったと思います。1曲目とは異なり、バンドの豊富なサウンドを“厚く”重ねるのではなく、“広く”大きく観せてくれた、そんな気がしました。そんなマエストロの“音楽”の特徴が最大限に発揮されたのが・・・プログラム最後の、「ローマの松」だったと思います。その演奏は、間違いなく“吹奏楽編曲版”のハズなんですが・・・演奏中、私は、オリジナルの“管弦楽版”を聴いている様な感覚に、何度も捉われました。金管楽器のサウンドがシャープで華やかな事はもちろんなんですが・・・ 木管楽器の、深くて、広くて、豊かなサウンド。それは限りなく、弦楽器のそれに近かったと思います。「東京佼成」と「シエナ」の合同演奏。それはまさに「1+1=2」ではなく、「5」にも「10」にも「20」にも豊かに膨れ上がっていた、そんな気がしました。それはとりもなおさず、サウンドの性格は正反対ながら、「吹奏楽」という同じ向きで演奏している双方の楽団のプレーヤーの技量の高さ、そして・・・マエストロの、両楽団を大きく包み込む様な、豊かな音楽性・・・これらが実現させた、(少しオーバーに言えば)奇跡の演奏だったと思います。今後、頻繁に、とはいかないでしょうが・・・またこんな素敵なイベントが、実現して欲しいです。そして・・・その時はまた、指揮台にはマエストロに立っていて欲しい、そんな事を思いながら家路についた、私だったのでした。<追伸>今年の4月から、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任されるマエストロ。どんな音楽を聴かせてくれるのか、楽しみですね
2009.01.20
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先週水曜日、金曜日に書いた記事から、また若干時間をさかのぼります・・・11月24日(月・祝)、広島ウインドオーケストラの第30回定期演奏会を聴きにいきました(開演14時でした。場所は、広島厚生年金会館の“隣り”の、アステールプラザ大ホール・・・)指揮:木村吉宏(“吉”は土に口、以下同様です)プログラムF.レハール(鈴木英史編曲) 喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション伊藤康英 吹奏楽のための抒情的「祭」大栗 裕 大阪俗謡による幻想曲R.ワーグナー(木村吉宏 編曲) 楽劇「神々の黄昏」より 夜明けとジークフリートのラインの旅 ジークフリートの葬送行進曲R.ワーグナー(V.F.サフラネク 編曲) 歌劇「タンホイザー」序曲アンコール小山清茂 吹奏楽のための「太神楽」上岡洋一 秋空に指揮者の木村吉宏さん、よくお名前はお聞きするのですが、広島ウインドオーケストラ(以下、HWO)や大阪市音楽団の指揮など、特に西日本で活躍されている、という印象が私にはあります。『直に生で、その指揮を拝見するなら・・・』音楽顧問を務められているHWOで、と思い、今回また思い切って前回の“29回定期”に続き、広島まで聴きにきてしまった次第です。演奏会の1部は、「メリー・ウィドウ」で華やかに幕を開けました。木村吉宏さんの指揮振りは、とてもオーソドックスだと私は感じました。当日のプログラムのプロフィールを読むと、こう書いてありました。「指揮は朝比奈隆氏の薫陶を受ける」なるほど、何となく私も、そんな雰囲気を感じ取る事ができました。HWO関連の記事は、私のブログの火曜日の記事で過去何回も書かせて頂き、その度に“HWOのサウンドは柔らかい”と、毎回の様に言っていますが・・・今回の演奏会でも、その“柔らかさ”は健在でした。そして、今回はそれに加え、特に金管楽器のブリリアントな響きにも魅了されました。伊藤康英さんの「祭」、大栗裕さんの「大阪俗謡」という“選曲”がそう感じさせたのか・・・コンサート会場の、音響のせいなのか・・・木村吉宏さんが、指揮しているせいなのか・・・とにかく、いつものサウンドの“柔らかさ”はそのままに、より“力強さ”の加わった演奏を聴く事ができて、とても嬉しかったです。(HWO演奏の、伊藤康英さんの「祭」は、このCDに収録されています)第2部は、ワーグナーの作品が3曲演奏されました。そのうち2曲は木村吉宏さんご自身の編曲という事で、ワーグナー作品への深い思い入れを感じさせました。ワーグナーが3曲続いた事で、1部で盛り上がった会場の雰囲気が、若干“間延び”してしまった感もあった様な気が私はしましたが・・・最後は「タンホイザー」の充実した演奏で、キチンと締めてくれたと思います。アンコールで聴かせてくれた、邦人作品2曲。「大神楽」は、いかにも小山清茂さんらしい、和楽器をフィーチャーした賑やかな曲でした。「秋空に」は、演奏会を締めくくるに相応しい、爽やかなコンサートマーチでした。今回も、本当に素晴らしい演奏を聴かせてくれたHWO・・・広島に、こんなに素晴らしいプロ吹奏楽団がある事は、ちゃんと世間一般に認識されているのでしょうか。特に、地元で。今後も私は、HWOの活動に注目していきたいと思います。今回の演奏会を聴いて、またその思いを新たにしました(首都圏で演奏会、やってくれないかなぁ・・・)。<追伸1>今回演奏されたアンコール2曲、そして「大阪俗謡」他を収録した「バンド・クラシックス・ライブラリー10(もちろん演奏はHWO、指揮は木村吉宏さん)」が、近々発売になるそうです(演奏会のプログラムの広告によれば、「12月下旬」)。私は当然、絶対買うつもりです。<追伸2>HWOの「第31回」定期演奏会の案内も、プログラムに載っていました。2009年4月13日(月)、18時45分開演。会場は、今回と同じアステールプラザ大ホール。指揮は、下野竜也さんです。お近くの方は、ぜひ足をお運び下さい。私は・・・ 来年はちょっと行けそうにありません。本当に、残念ですが・・・(本当に真面目な話、首都圏で演奏会、やってくれないかなぁ・・・)
2008.12.09
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以前、この本を火曜日の記事の中でご紹介した事があったと思います。その記事の中で、私はこの本を、購入せずに、『図書館の書棚に並ぶまで待つつもり』なんて書いていたのですが・・・先日、いよいよ図書館の書棚に並んでいたのを見つけたので、借りて読んでみました。すると、「第1章 アレンジ曲」の中に、三善晃作曲の「交響三章」の事が載っているのを見つけました(この本をお持ちの方は、64ページをお開き下さい・・・)。私のブログの先々週の水曜日(10月29日)の記事では、「オケ版」の「交響三章」を生で全曲聴いた、というお話をしましたが、今回は吹奏楽版の「交響三章」のお話をしてみたいと思います。吹奏楽で演奏される「交響三章」は、そのほとんどが「第三楽章」だと思います。原曲の第三楽章は約10分演奏時間があるので、コンクールではカットされる事がほとんどだと思います。でも、私が今までCDでよく聴いていた音源は、「カット版」ではない()んです・・・演奏しているのは、の本の中でも紹介されている神奈川大学吹奏楽部(KUSB)なのですが、その演奏年は2007年でも、1999年でも、1995年でもありません。1991年です。このCDに収録されているのですが、編曲は、小澤俊朗さんではなく天野正道さんです。1991年の11~12月、「日本現代音楽協会」の創立60周年(当時の協会委員長が三善晃さん)記念事業として開催された「東京現代音楽祭」の一部門として、吹奏楽にスポットをあてた「吹楽」という演奏会がありました(その後も数年おきに開催されていますよね)。このCDは、その時の模様を収めています。時間制限のあるコンクールでは無かったので、交響三章の第三楽章も、カットなしで演奏できたんでしょうね。今回の記事を書くにあたり、1999年の全日本吹奏楽コンクールでKUSBが演奏した「交響三章」を「ブレーン株式会社」のダウンロードストアから購入し、1991年の演奏と聴き比べてみました。双方ともに素晴らしい演奏だと思うのですが、編曲の違い等によって結構曲の印象って、変るもんですね・・・天野正道さん版(1991年演奏版)は、”できるだけ原曲に忠実に”という気がします。音楽の流れに忠実に編曲がなされ、KUSBも見事にその編曲者の狙い通りの素晴らしい演奏を披露してくれている、と、個人的には思いました。小澤俊朗さん版(1999年演奏版)は、”より吹奏楽らしく”という気がします。もちろん原曲は尊重しつつ、管楽器がメインの吹奏楽の”特徴”を最大限に引き出した編曲だと思います。その”編曲者”が実際に指揮台の上に立ってタクトを振っている訳ですから、KUSBの演奏自体も生半可ではありません・・・前述の本の中にも書かれていますが、曲全体の色彩感、ソロ演奏楽器の緊張感、それから、バンド全体の強奏部と弱奏部のダイナミクスレンジの広さ、などなど、全ての要素が”吹奏楽仕様”に揃えられ、整えられた、最高の演奏だと思いました。ぜひ機会があれば、本の中で紹介されているKUSBの「2007年演奏版」や、秋田南高校の「全国大会初演版」も聴いてみたいです。それから、私が密かに期待しているのは・・・そのうち、「第三楽章」だけではなく、「第一楽章」「第二楽章」も吹奏楽用に編曲されて、「吹奏楽全曲版」の「交響三章」が、どこかで演奏されないでしょうか・・・
2008.11.11
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今月10日(金)、東京・千代田区の紀尾井ホールへ、東京佼成ウインドオーケストラ(以下、TKWO)の第98回定期演奏会を聴きにいってきました。お恥ずかしい話ですが、何を隠そう(隠しませんが)、今回の演奏会が、私にとって初の“生TKWO”だったんです・・・指揮:渡邊一正ハープ:竹松 舞トランペット:安藤真美子(TKWO)フルート:前田綾子(TKWO)クラリネット:大浦綾子(TKWO)プログラムアンドレ・ジョリヴェ:「ブリタニキス」より“ナルシス”のファンファーレジャン・フランセ:陽気なパリモーリス・ラヴェル(編曲:木村政巳):序奏とアレグロL.V.ベートーヴェン:交響曲第一番 ハ長調 作品21アダム・ゴーブ:交響曲第一番 ハ長調会場が「紀尾井ホール」という事で、お気付きになった方もいらっしゃると思いますが・・・今回の演奏会は、“小さな音の果実”という「サブタイトル」が示していた通り、いずれの曲も編成が10~20人で、例えて言うなら“室内吹奏楽”といった趣きでした。1曲目は、“ファンファーレ”という題名が付いている事からもお解り頂けると思いますが、ブラスセクションを中心にした編成の曲でした。その豊かな音の響きは、まさに演奏会の開幕を告げるに相応しい曲だと思いました。2曲目の編成は、「ソロ・トランペット+やや大編成の“木管五重奏”」、といった感じでした。つい最近まで海外に留学されていたという、ソロ・トランペットの安藤真美子さん、確かな演奏テクニックを披露してくれました。またその一方で演奏前後、「私、緊張してます」というオーラが身体全体を覆っていて、とても初々しく感じました。3曲目は、ソリストとしてハープの竹松舞さんを迎えての演奏でした。竹松舞さん、約10年前に輝かしいコンクール入賞歴とともにデビューした、と思ったら・・・いきなり某大学の“医学部”に入学、という、ちょっと珍しい経歴をお持ちの方です。現在は無事その医学部を卒業し、“臨床研修中”なんだそうで。『音楽活動は続けていらっしゃるのかな』と、ちょっと気にはなっていたんですが、思いがけず今回その演奏を聴く事ができて、嬉しかったです。ハープというと、私はこれまで主に“吹奏楽”や“管弦楽”の「編成楽器のひとつ」として、その音色を聴く事が多かったのですが、今回改めて“ハープ協奏曲”といった雰囲気のこの曲を聴いて、『あー、ハープの音色って、素敵だなぁ』と、改めて思いました。そんな感想を私が抱いた基に、竹松舞さんの優雅な演奏振りがあった事は、間違いないと思います。休憩を挟んだ後・・・4曲目の、ベートーヴェンの交響曲第一番には、少なからずビックリさせられました。20人足らずの吹奏楽編成で、どうしてあれだけの“交響的”なサウンドをつくり上げる事ができるのか、と。恥ずかしながら、私は“管弦楽版”の“ベト1”はマトモに聴いた事はないんですが、全く違和感はなく、物足りなさも全く感じず、その音楽を堪能する事ができました。5曲目の、ゴーブの交響曲第一番は、直前に演奏した“ベト1”の構成要素を自由に切り取り、現代音楽的な要素を組み合わせて、パッチワークの様に“再構成”した曲なのだそうで。正直、私にはちょっとその“再構成”の雰囲気を見つける事は難しかったです。恐らく、ベートーヴェンのシンフォニーをよく聴く方であれば、ピンと来るのでしょうね。今回の演奏会、総じてTKWO“貫録”の演奏だった、と、私は思いました。編成人数が少ないと、それだけプレーヤー個々の“演奏技術の高さ”が求められる訳ですが、そんなレベルは軽々とクリアーして、音楽的にも非常に楽しませてくれたと思います。プログラムも、とても興味深い内容でした。一歩間違えると、“マニアック”な領域に陥ってしまう、そんな難しさがある“吹奏楽”ですが・・・今回の演奏会のプログラムとその演奏内容に、「TKWOは、確実に国内における吹奏楽の芸術性を高めてくれている」、そんなある種の“安心感”を、私は抱きました。そんな深い芸術性の基には、今回の演奏会で指揮をされた渡邊一正さんのタクトさばきがあった事も、これも間違いないと思います。プレーヤーから音楽的な表現を引き出す、その情緒豊かな指揮振り。今回マエストロがTKWOを振ったのは、演奏会では初めて()だと思うのですが、とても魅力的な“吹奏楽”を聴かせてくれました。今後また、マエストロ指揮の演奏会を聴きにいってみたい、そう思わずにはいられませんでした。(「何を今さら」と、怒られるかも知れませんが)私は今回、改めてTKWOを見直してしまいました。今後、TKWOの活動にも注目していきたいと思っています。<追伸>演奏会終了後、ホールのロビーで、マエストロと竹松舞さんのサイン会が行われました(会場でCDまたはDVDソフトを買った人限定)。あー、サイン会があるのなら、床屋に行っておけばよかったなぁ・・・ 私が会場で買ったCDは、こちらです。TKWOの“第99回定期”で演奏される、D.ミヨーの「フランス組曲」が収録されています。
2008.10.14
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・N響の吹奏楽8月27日(水)の記事で、今年の「N響ほっとコンサート」の事について書かせて頂きました。“N響アワー”の枠内では、当日の演奏会の全曲を聴く事ができなかったのですが・・・その後、先週の金曜日(12日)にBS2で“全曲版”の放送があったので、私はそれを予約録画して観て聴きました。“イギリス民謡組曲”も全曲演奏され、楽章ごとにその表題の紹介があり、嬉しかったです。改めて聴いた、N響の吹奏楽・・・誤解を恐れずに言えば、非常に吹奏楽らしいサウンドだと私は思いました。“オケ”では、色々な意味でとても“上品”という印象が私にはあるN響ですが、吹奏楽編成でこれだけ“オーソドックス”な吹奏楽を聴かせてくれた事には、いい意味で驚きました。梅田俊明さんの指揮に因る面も、大きかったのかも知れませんね。今のところ、N響の吹奏楽が聴けるのは“年一回”だけだそうですが・・・『今後、その回数が増えていったらいいなぁ』と、私は思わずにはいられませんでした。そして、そのうち・・・ “邦人作品”の曲も取り上げて欲しい、私は、そう思いました。・「吹奏楽コンクール」関連本のご紹介先日、家の近くにある図書館へ行って、書棚の間を何となく歩いていたら・・・こんな本を見つけ、思わず手に取りました。 過去、全日本吹奏楽コンクールで演奏された代表曲と、その名演奏が紹介されています。自由曲の“アレンジ曲”では、「トッカータとフーガ」、「木星」、「海」、「カルミナ・ブラーナ」、「シバの女王ベルキス」、などなど・・・“オリジナル曲”では、「ディオニソスの祭り」、「アルメニアン・ダンス」、「プラハ」、「メトセラII」、「スパルタクス」、などなど・・・“課題曲”では、「ディスコ・キッド」、「オーバー・ザ・ギャラクシー」、「波の見える風景」、「風紋」、「深層の祭」、などなど・・・当時、実際に私自身も会場で聴いた曲や演奏した曲がたくさん出てきて、とても興味深く、かつ、懐かしく思いました。この本、今月22日には“第二弾”が出るそうなので、ご興味ある方は“第一弾”と合わせてチェックしてみて下さい(私は、図書館の書棚に並ぶまで待つつもりです・・・)。
2008.09.16
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今回は、↑こんな表題で記事を書いてみたいと思います(火曜日UP予定が、水曜日になってしまいました。どうぞご容赦下さい・・・)。私こと、先週の火曜日(12日)、↓ここへ行ってきました。佐渡裕指揮、シエナ・ウインドオーケストラの演奏会を聴くために。なので今回、本来ならその演奏会の事を中心にお話しすべきなのでしょうが・・・あえて今回の話題の中心は、↓このDVDの事にしてみたいと思います。・バーンスタイン・ガラ 熱狂ライヴ! 12日のシエナの演奏会、1曲目からほとんどいつもと変わらぬ迫力ある演奏を聴かせてくれていました。でも私は、何となく思ったんです。『演奏会の雰囲気が、いつもと少しだけ違う・・・?』シエナのサウンドも、マエストロの指揮振りも、演奏会2部から始まったマエストロのMCの声のトーンも、少しだけいつもより重く沈んでいる様に感じたんです。その理由が・・・ アンコール2曲目の演奏前に、分かりました。マエストロが、目頭を押さえ、時々声を詰まらせながら語られた事。それは・・・昨年マエストロ指揮・シエナの演奏会ツアーに同行されていた、ジャズヴォーカリスト・越智順子さんの訃報でした。譜面台の上に飾られた越智さんの写真が指揮台の左横に置かれ、演奏されたその日のアンコール2曲目、それは、昨年シエナの演奏をバックに越智さんが歌われた、「I Can Cock, Too」の“ボーカルなしバージョン”(L.バーンスタイン作曲《オン・ザ・タウン》より、星出尚志編曲)でした。異例な事ですが、マエストロの意向で、演奏終了後、ホール内は大きな拍手に包まれました。お恥ずかしい事に、私はそれまで越智順子さんのお名前を知りませんでした。『昨年のシエナの演奏会で、どの様な歌声を聴かせてくれていたのか・・・』それを知りたくて、東京芸術劇場から帰宅してすぐ、この記事の冒頭でご紹介したDVDをウェブで注文しました。昨年の9月17日、東京芸術劇場での演奏会の模様が収録されています。数日後、DVDが届いたので早速「I Can Cock, Too」を観て聴いてみました。いやぁ、圧巻です・・・曲自体は、アップテンポのスウィングジャズ調の、とても明るくて楽しい曲。越智さんの、そのパワフルでメリハリの効いたヴォーカルと、そのノリノリで歌っている姿が、バーンスタインの曲と、マエストロの指揮と、シエナのサウンドと絶妙にマッチしていると思いました。このDVDにはもう1曲、アンコールで越智さんが歌われた「Some Other Time」(L.バーンスタイン作曲《オン・ザ・タウン》より、山口尚人編曲)が収録されています。こちらは、バラード調のしっとりとした曲。越智さんはこの曲を、情感たっぷりに見事に歌い上げられています。その後も、ソロでの活動はもちろん、恐らくシエナとも定期的に共演して、その素晴らしい歌声を聴かせてくれるはずだったでしょうに・・・ 本当に、惜しまれます。越智順子さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。
2008.08.20
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それでは今回は前回予告の通り、このCDの感想を書いてみたいと思います。 このCDは、“BCL(バンド・クラシックス・ライブラリー)シリーズ”としては2枚目の“邦人作品集”です。以前ご紹介した「BCL9」もそうでしたが、この「BCL8」もその収録曲の約半数の6曲が、かつて全日本吹奏楽コンクールの課題曲として採用された曲です。今でこそ、「響宴」といった邦人吹奏楽作品の発表の場があったり、有名国内吹奏楽団による“委嘱”という形などで、邦人吹奏楽作品を聴ける機会は多くなりましたが・・・以前は邦人吹奏楽作品発表の場として、「吹奏楽コンクールの課題曲」が大きな役割を果たしていた、という事を痛感せずにはいられません。私がこのCDで一番好きな曲は、「風紋」です。作曲はもちろん、保科洋さん。私の大好きな、作曲家の方のひとりです。私は、保科洋さんの曲の、その独特な雰囲気がとても好きです。日本人でなければ決して表現できない、その“物憂さ”というか、“中庸さ”というか、“渋さ”というか、そんな雰囲気が、とても好きです。そんな素敵な曲を、柔らかで繊細なサウンドを擁する広島ウインドオーケストラが演奏すると・・・・・・いやぁ、堪えられません・・・「風紋」の他にもこのCDには、国内の吹奏楽作品の「クラシック」と呼ぶに相応しい佳作が収録されています。米国でもない、欧州でもない、日本の吹奏楽の素晴らしさを、こういったCDを通じてひとりでも多くの方に知って欲しい、と、私個人としては、そう思っています。<追伸>では、次回火曜日の記事更新は、8月19日予定です。何もなければ「BCL7」のご紹介になりますが、何かあるかも・・・()
2008.07.22
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前回の火曜日(6月10日)の記事では、このCDのレビュー記事を書かせて頂きました。広島ウインドオーケストラの演奏による、“BCL(バンド・クラシックス・ライブラリー)シリーズ”の9作目“アトモスフィア”です。 今日は、先週の記事でも少しだけ話題に上げた、BCLシリーズの8作目“天使ミカエルの嘆き”をご紹介してみようと思っていたのですが・・・済みません。時間的に、今日は無理そうです。深くお詫び申し上げます・・・ “予告”という形で誤魔化す様で本当に申し訳ないのですが、夏季休載期間明けの7月22日(火)から火曜日の記事は原則、このBCLシリーズのご紹介に充てたいと思っています。私の記憶では、確かBCL2“アルヴァマー”のレビュー記事は以前書いた事があったと思うのですが、改めてBCL2の内容についても振り返ってみたい、今は、そう思っています。・・・一応、『ホントに9枚全部持ってますよ~』という、証拠写真です・・・ それでは、今日は本当に済みません。7月22日(火)に、続きます・・・
2008.06.24
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それでは今回は、前回(5月27日(火))予告の通り、↓このCDのレビューというか、私が聴いた感想を書いてみたいと思います。 演奏は、広島ウインドオーケストラ(HWO)。毎度HWOの記事の時に同じ事を書いている様な気がして大変恐縮なのですが・・・このCDでも、その独特のサウンドの柔らかさが目を、もとい、“耳を”惹きます。そのサウンドが最も遺憾なく発揮されているのが、真島俊夫さん作曲の「波の見える風景(課題曲版)」だと思います。曲の冒頭のチャイムの音に続く、早朝の海岸に立っている様な心地のサウンド。鳥肌が立ちます。このCDは、“BCL(バンド・クラシックス・ライブラリー)シリーズ”としては3枚目の“邦人作品集”です。その全12曲のうち半分の6曲が、“吹奏楽コンクール”の課題曲として採用された作品の様です。その年代は、1975~85年なので、「実際に聴いた事がある」方は少ないかも知れませんね。しかし、いずれも秀作だと思います。最近ではあまり演奏される機会が少ない、過去の邦人作品に光をあてたという点でも、このCDには一聴の価値がある、と、私自身は思っています。課題曲以外の作品では、伊藤康英さん作曲の「北海変奏曲」や、兼田敏さん作曲の「日本民謡組曲「わらべ唄」」が、私は印象に残りました。伊藤康英さんといえば、長崎の民謡をモチーフにした「ぐるりよざ」が有名ですが、「北海変奏曲」は北海道の民謡「ソーラン節」がモチーフになっています。兼田敏さんの「わらべ唄」は三部構成の曲で、第1曲が「あんたがたどこさ」、第2曲が「子守唄」、第3曲が「山寺の和尚さん」という構成になっています。両曲とも日本人には耳馴染みのある旋律が採用されていて、私としてはいずれも、とても親しみを感じる曲でした。また、『両曲とも、もしかすると、外山雄三さんが作曲された「管弦楽のためのラプソディ」の影響を受けているのかな?』、と、そんな事も感じました。兼田敏さんは実際に、この曲の吹奏楽版への“編曲”を手掛けていらっしゃいますよね。「吹奏楽のためのラプソディ」は、↓このCDにも収録されています。 正直に申し上げて、今回ご紹介したCDの中には“私も”今回初めて聴く曲が何曲かありましたが、今後、吹奏楽の“クラシック作品”として演奏され続けて欲しいと思う曲ばかりでした。果たして、「BCL10」はどの様な内容になるのか、今からとても楽しみです。
2008.06.10
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私のブログの火曜日の記事で、何回か話題にしている“広島ウインドオーケストラ”。その広島ウインドの録音で、今月20日、↓こんなCDが発売されました。 “BCL(バンド・クラシックス・ライブラリー)”シリーズの、9枚目のアルバムです。BCLシリーズとは、いわゆる、吹奏楽オリジナル曲の“スタンダードナンバー”、“懐メロ”を集めたシリーズ、とお考え頂ければ分かりやすいと思います。例えば、↑でご紹介したCDの中には、(リンク先の情報によれば)“吹奏楽コンクール課題曲バージョン”の「波の見える風景(作曲:真島俊夫)」が収録されているとの事。この曲、今はどちらかと言えば“課題曲バージョン”を知っている方のほうが少ないでしょうね。何しろ、この曲が課題曲だったのは1985年のコンクールですから・・・私こと、只今このCD注文中です。次回の火曜日記事更新予定の6月10日、このCDのレビューが書ければいいなぁ、と、思っています
2008.05.27
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前回の記事(4月29日)でちょっと予告しましたが、今日は、↑こんな表題で記事を書いてみたいと思います。↓これ、聴きました。 聴いて、まず最初に思ったのは、『一言で“ディズニーの曲”といっても、本当に色々な音楽があるんだなぁ』、という事です。基本的に“ディズニーの曲”って、映画やミュージカルのために作られた曲が多いと思うのですが、世代等によって、それぞれ“思い出の曲”や“心に残っている大切な曲”って違うんでしょうね。このCDに収録されている曲の中で、私の一番想い入れの強い曲は、岩井直溥さん編曲の「ディズニー・メドレー」です。「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズで、ディズニーの曲は色々アレンジされて色々な楽譜が発売されていますが、この「ディズニー・メドレー」がその“元祖”と言ってもいいかも知れません。私もかつて楽器をやっていた頃に演奏した事がありますが、今回調べて、「ディズニー・メドレー」の楽譜発売開始が1981年(昭和56年)だったという事を知り、愕然としました。27年前ですか・・・このCDには「パイレーツ・オブ・カリビアン」、「Mr.インクレディブル」、「カーズ」といった比較的新しいディズニー映画の曲も収録されています。しかもこれらは、本家ディズニーから今回特別に貸出を許されたオリジナル・スコアをもとに、このCD録音のために吹奏楽用に編曲されたのだそうで。これらの映画を観た方や、これらのサントラが好き、という方にとっては嬉しいCDだと思います。先日、「題名のない音楽会」でも演奏された「パイレーツ・オブ・カリビアン」は、まさに佐渡裕指揮シエナの真骨頂、迫力満点の演奏だと思います。ただ私自身はどちらかというと、ディズニーの曲は昔の“スタンダードナンバー”が好きなので、このCDは“選曲”という点で、個人的にはちょっぴり残念でした。とはいえ、音楽的にはとても充実した内容のCDだと思います。“新しいディズニー”を知る上で、私にとってはこのCDがそのキッカケになりそうです。今後も聴き続けていこう、そう思っています。(次回火曜日の記事更新は、5月27日予定です)<追伸>このCDには、ドラマーとして則竹裕之さんの名前もクレジットされています。シエナにとって則竹さんのドラムは、不可欠なものになりつつありますね。
2008.05.13
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4月から司会に佐渡裕さんを迎え、新たにスタートした「題名のない音楽会」。どんな内容になるのかと、期待していたら・・・いきなり、シエナ・ウインド・オーケストラが出演していますね。しかも、ドラマーの則竹裕之さんまで いや~、これは、私の期待を大きく超えています。個人的には、とても嬉しいです13日(日)の放送は、バーンスタインが特集されていましたね。この日放送された楽曲、私は以前、直接生で聴いた事があるのですが・・・この日に放送された「プレリュード、フーガ&リフス」、その時より熱い熱い演奏だったと思います。素晴らしかったですよね。CDで聴くなら、↓こちらです。 27日(日)の放送は、ディズニー音楽特集でしたね。「定番」から最近の曲まで、幅広く選曲されていたと思います。CDで聴くなら、↓こちらです。 何だか、今日の記事は「アフェリエイト根性丸出し」になってしまいましたが・・・私自身、まだ↑どちらのCDも聴いた事がありません。バーンスタインの方は、生演奏を聴いているのでいいとして。ディズニーの方は、ぜひ聴いてみたいと思っています。このCD、「ディズニー初のオフィシャル吹奏楽アルバム」らしいので・・・次回(5月13日(火))、そのCDのレビュー記事になるかも知れません。決して当てにしないで、お待ち下さい・・・
2008.04.29
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(22日(火)の続きです)演奏会は、A.リードの「ヴィヴァ・ムシカ!」で華やかに幕を開けました。私にとっては、生で初めて聴く広島ウインドオーケストラ(HWO)の演奏・・・私にはとても柔らかく感じられ、ホッとさせてくれるそのサウンド。それは初めてCDを聴いた時と同じ印象で、とても嬉しくなってしまいました。そして、それに加え・・・指揮の下野竜也さんのエネルギッシュなタクトに導かれる様に、演奏には適度の迫力も加わっていた様に思います。今年のコンクールの課題曲ですが・・・Iは、ちょっと演奏レベルが高そうなコンサートマーチ。IIは、小編制でも手軽に演奏が楽しめそうなポップス調のマーチ。IIIは、小編成用に作曲されたと思われる、全体的に重い曲調の、現代音楽風。IVは、演奏に必要なパーカッション類がやたら多そうな、ポップス風。Vは、サウンドが重厚で高レベルの演奏テクニックが要りそうな、大曲風。私はそれぞれ、↑この様な印象を持ちました。実際にコンクールでは、ズバリ! IとVを演奏する団体が多そう、私は、そんな気がします。A.リードの「オセロ」ですが・・・コンクールの自由曲として、よく「I、III、IV」の組み合わせで演奏されますが、本当は全5部からなる曲。全曲通して演奏される事は、結構珍しいかも知れませんね。私自身も今回、久しぶりに全曲通して聴きました。圧巻だったのは、「IV(延臣たちの入場)」だったと思います。コンクールではまさに“フィナーレ”として、華やかに明るく軽快に演奏される事が多い「IV」ですが、下野さんは曲のテンポをゆっくりめにとり、この「IV」を重々しく荘厳に仕上げていらしたと思います。それはまさに、オセロの宮廷に“悲劇の物語”の登場人物たちが入場してくるかの様に・・・全体的にも、全5部それぞれの舞台の場面が目に浮かんで来る様な、とてもドラマチックなオセロだったと思います。私自身、今まで聴いた事のない曲の解釈でしたが、非常に的を射ている、そんな気がしました。第二部の曲ですが・・・私は3曲とも、初めて聴く曲ばかりでした。「吹奏楽のための音楽第5番」は、壮大な序曲風の曲。交響詩風と言っていいかも知れません。プログラムに載っていた作曲者の中原達彦さんご自身による曲紹介では、“聴く人それぞれのイメージで聴いて頂きたい”との事でしたので、↑こんな感想を書いてみました。曲の演奏が終わって会場内が拍手で包まれた時、指揮の下野さんが客席を指差しました。中原さん、会場に来られていたんですね。「チェロと管楽器のための協奏曲」は、“吹奏楽+チェロ”というよりは、“小編制のチェロ協奏曲”といった趣でした。まず最初に、HWOの管楽器隊が10人舞台に登場した後・・・チェロのマーティン・スタンツェライトさんが、下野さんに促されながら舞台に登場しました。「寄港地」で有名なJ.イベール作曲によるこの作品、明快な旋律のない少し難解な曲、と私は感じました。しかしスタンツェライトさんの確かな演奏テクニックは、十分に堪能できました。広島交響楽団の主席チェロ奏者をつとめる一方で、ソロ、あるいはソリストとしての活動も精力的に行っていらっしゃるというスタンツェライトさん。『もしかすると、今後はソリストとして活躍する機会が増えるのでは・・・?』、そんな予感がしました。プログラムの最後、「交響曲変ロ調(コンサート・バンドのための)」は、P.ヒンデミットがシンフォニックバンドのために作曲した吹奏楽のオリジナル曲だそうで。くしくも第二部は、20世紀以降に作曲された作品が3曲演奏された訳ですが、これはHWOさんの選曲でしょうか。それとも、下野達也さんの意向によるものでしょうか。いずれにしても、プログラムとしてとても興味深い内容だと私は思いました。アンコールは・・・ J.S.バッハ。柔らかいサウンドを特徴とするHWOにとって、バッハの曲は十八番なのかも知れませんね。再弱音でも音が擦れたり途切れたりする事なく、素敵な演奏を聴かせてくれました。全体的に、いい意味で私の想像していた通りの演奏内容で、とても楽しめました。特に、私が想い描いていたHWOのサウンドを生で聴く事ができて・・・本当に、遠くから来た甲斐がありました。下野達也さん指揮の演奏会。次回はぜひオーケストラで、聴いてみたいです。そして・・・今後、なかなかHWOの演奏を生で聴く機会には恵まれないとは思いますが・・・これからも、その活動に注目していきたい、そう思わずにはいられないHWO、私のお気に入りの吹奏楽団のひとつです。こんな素敵なプロ吹奏楽団を擁する広島に住んでいらっしゃる方々がうらやましい、そんな事を思いながら、会場を後にしました。(次回“吹奏楽関連記事”の更新は、来週29日(火)予定です)
2008.04.24
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以前、私のブログの火曜日に、こんな記事を書いた事がありました。何せ約2年半前ですから、覚えていらっしゃる方は少ないと思います・・・広島ウインドオーケストラ(以下一部、HWOと略記します)のCDを買って聴いて、『その柔らかいサウンドに魅かれ、ファンになってしまった』という趣旨の事を、記事に書きました。その後、『いつか“生で”その演奏を聴いてみたい』と、ずっと思っていたのですが・・・先日の4月20日(日)、それを果たしてきました(ええ、妻子を家に残して“ひとりで”です・・・)。広島ウインドオーケストラ 第29回定期演奏会場所 広島国際会議場 フェニックスホール(平和記念公園内)13時開場 14時開演(終演 16時過ぎ頃だったでしょうか・・・?)指揮 下野竜也チェロ マーティン・スタンツェライト第一部1 ヴィヴァ・ムジカ!(A.リード)2 2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲 I ブライアンの休日(内藤淳一) II マーチ「青天の風」(糸谷 良) III セリオーソ(浦田健次郎) IV 天馬の道~吹奏楽のために~ V 火の断章(井澗昌樹)3 オセロ(A.リード) I 前奏曲 II 朝の音楽 III オセロとデズデモーナ IV 延臣たちの入場 V デズデモーナの死、終曲休憩(15分)第二部4 吹奏楽のための音楽第5番(中原達彦)5 チェロと管楽器のための協奏曲(J.イベール)6 交響曲変ロ調(コンサート・バンドのための(P.ヒンデミット) I 第1楽章 II 第2楽章 III 第3楽章アンコールカンタータ第156番より アリオーソ(J.S.バッハ)指揮の下野さんといえば、現在読売日本交響楽団の正指揮者をつとめる期待の若手指揮者さんのひとりですよね。そんな下野さんが、どんな「吹奏楽」を聴かせてくれるのか注目でした。また、スタンツェライトさんは現在広島交響楽団の主席チェロ奏者さんだそうで。『“吹奏楽+チェロ”って、どういう事だろう?』と、こちらも注目していました。そして、今回の定演の演奏曲目の多さ。ちょっとビックリしました。普通なら、コンクールの課題曲5曲演奏した後に休憩入れて、メインプロが“オセロ”、でおしまいでもいいですよね。これも、『HWOの演奏会の特徴なのかなぁ』と、個人的には思っていました。会場は、全席自由席。私は会場に開演10分前あたりに着いたのですが、客席はほぼ埋まっていました。その約8割方は、地元の中高生さんと思われる制服姿。『この時季の吹奏楽の演奏会を聴きに来る客層って、どこでも一緒なんだなぁ』なんて事も、感じました。私は、舞台の斜め横あたりのバルコニー席に座りました。このホールでは、そのバルコニー席の事を “C席”と呼ぶ様で・・・(今週木曜日(24日)に続きます)<追伸>何で来週火曜日に続かずに今週木曜日なのか、気になった方がいらっしゃると思います。ナゼかというと、その方が順序良く“広島滞在関連記事”を“3件”書けるから、なんです・・・
2008.04.22
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先日、映画「ブラブラバンバン」を映画館へ観に行きました(以下、ネタバレご注意下さい)。この映画、原作は↓柏木ハルコさんという方のコミック本だという事を今回初めて知りました。・ブラブラバンバン(1) 柏木さんは、↓こんなCDのジャケットも描かれているそうで。・ブラバン!甲子園 (あらすじ)団員が少なくて、“廃部”になった県立根戸ヶ谷高校吹奏楽部。その部を復活させようと奮闘する、数人の学生たち。元団員数名に加え・・・中学時代に吹奏楽(パートはトランペット)経験はあるものの、高校で続ける気は全く無かったのに無理やり誘われてしまった、新入生の白波瀬(福本有希)。そして・・・自らホルンを吹いたり音楽を聴いていると、その甘美な雰囲気にのまれ、我を忘れて男子生徒の服を脱がしてしまうなど過激な行動に走ってしまう先輩、芹生百合子(安良城紅)。何とか部を復活させ、練習場所だった音楽室を追い出されながらも、普門館を目指してコンクールの練習に明け暮れるメンバーたち。指揮を担当する事になった芹生のタクトの下、彼らの奮闘振りや如何に・・・ (あらすじ終わりです)映画のタイトルから考えて、『吹奏楽中心の話かな?』と思っていたら必ずしもそうではなく・・・『吹奏楽を通した学園ドラマがメインかな?』と思って観ていると必ずしもそうではなく・・・率直に言って、ストーリー的には“どっちつかず”、そんな印象を私は持ちました。ただ、私が初めて拝見した役者さんを含め、高校生役の俳優・女優さんたちはとても好演・熱演されていたと思います(ちなみに、私が知っていた高校生役の役者さんは、芹生役の安良城紅さんと、端役でちょっとだけ出てきた南明奈さんだけ・・・)。“普門館”という言葉が出てきた時には、一瞬イヤな予感がしたのですが(『まさか、全国大会まで進出して金賞とっちゃうんじゃ!?』などという・・・)、そんな強引な話の展開はありませんでした。映画のエンディングで主人公の白波がつぶやく、「普門館よりも大切な事がある事に気付いた」という台詞に、救われた思いがしました。そう、コンクール出場を目指して演奏技術や音楽性を高めていく事はとても素晴らしい事ですが、吹奏楽とは、部活とは、それだけでは無いですよね。この映画のサントラ↓には、錚錚たる音楽団体が参加しています。東京ミュージック&メディアアーツ尚美、中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部・・・『映画中で、もっと音楽を楽しみたかったなぁ』と思いつつ、私は映画館を後にしたのでした。・ブラブラバンバン オリジナル・サウンドトラック <追伸>この映画の音楽監督を務められた磯田健一郎さん、映画の公式HPに載っているプロフィールを拝見すると・・・「アコースティックYMO」や、「細野晴臣トリビュートアルバム」の制作に関わっていらっしゃるんですね。知りませんでした・・・・Acoustic YMO
2008.04.15
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先週火曜日に予告しました通り・・・9日(日)、東京・池袋の東京芸術劇場へ、第11回「響宴」を聴きに行ってきました。以下、印象に残った曲や演奏団体などについて書いてみようと思います(私の記憶違いがあったらお詫びします。当日のプログラムは、↑のリンク先を参照下さいね。)。 最初の演奏団体は、佐藤正人指揮、川越奏和奏友会吹奏楽団でした。縦のラインをバッチリ決めつつ、サウンド自体はとても柔らかい、そんな印象を私は持ちました。その演奏中で私が一番印象に残った曲は、後藤洋作曲の「呼び声は空の彼方より」でした。とても情緒感に溢れた曲で、最後の伸ばしの音が減衰して音が空間に吸い込まれる様に消えて演奏が終わる、といった構成が、とても魅力的な曲でした。次の演奏団体は、山田昌弘指揮、NTT東日本東京吹奏楽団でした。“職場”という事で、今回の演奏団体の中では一番“大人の”団体だったと私は思うのですが、そんな大人の洗練された演奏を聴かせてくれたと思います。その演奏中で私が一番印象に残った曲は、高橋伸哉作曲の「キトラ」でした。古代日本で深く信仰されていた四神、「玄武」、「朱雀」、「白虎」、「青龍」を題材にしたこの曲は、日本人の感性に訴え、それを刺激する、そんな風に私には聴こえました。休憩15分を挟み・・・次の団体は、都賀城太郎指揮、春日部共栄高等学校吹奏楽部でした。高校生でなければ絶対に出せない“明るいサウンドの華やかさ”が、爽やかな感動を与えてくれていたと思います。その演奏中で私が一番印象に残った曲は、福島弘和作曲の「スーホの白い馬~語りと音楽のための~」でした。「スーホの白い馬」の本の朗読と音楽が、ストーリーの場面展開とともに交互に、時に同時に進行するという、吹奏楽の新しい試みを観る事ができました。しかし・・・ 本の朗読を担当されていた団員の方、素晴らしい朗読だったと思います。あの朗読によって、曲全体の感動が2倍にも3倍にも膨らんでいたと思います。次の演奏団体は、福本信太郎指揮、アンサンブル・リベルテ吹奏楽団でした。その演奏技術、テクニックには定評のある吹奏楽団さんですよね。“貫禄”の演奏だったと思います。その演奏中で私が一番印象に残った曲は、高 昌帥作曲の「Mindscape for Wind Orchestra」でした。緩急を併せ持つスケールの大きな曲で、私には“交響詩”の様にも聴こえました。高さんといえば、長年に渡り吹奏楽の作品を作られている方ですが、この曲にもその“貫禄”を感じました。休憩10分を挟み・・・最後の演奏団体は、小澤俊朗指揮、神奈川大学吹奏楽部でした。このバンドは私は一昨年、吹奏楽コンクールの全国大会で聴く機会がありましたが、その時よりも幾分雰囲気が明るく、しかし中低音のサウンドは相変わらず分厚い、そんな演奏だったと思います。その演奏中で私が一番印象に残った曲は、長生 淳作曲の「ひとひらの空」でした。この曲は編成が変わっていて、各楽器、パートが基本的に1人ずつの合計25人で演奏されました。各プレーヤーの技術とプレーヤー間のアンサンブル能力が試される、ある意味スリリングな曲でしたが、とても25人で演奏しているとは思えない、色々な意味でとても“レベルの高い”曲だと思いました。全体を通した感想としては・・・素晴らしい吹奏楽作品が集まり、その作品を各演奏団体さんたちが非常に真摯に演奏されていたのが、とても印象的でした。率直に言って、中には私自身、『この曲はちょっと好きになれそうもないなぁ・・・』という曲もありましたが、吹奏楽の国内作品を増やし、吹奏楽の底辺を広げようという「響宴」のコンセプトは決して間違っていないと思います。“間違っていない”というか、私自身、その活動内容に非常に共感するものがありまして・・・終演後、「響宴」の賛助会員に申し込みました。賛助会員になると、自動的に来年の第12回「響宴」のチケットが送られてくるそうなので、来年もぜひ東京芸術劇場に足を運びたいと思っています。来年は、どの様な曲がどの様な団体によって演奏されるんでしょう。今から、とても楽しみです。<追伸>次回の火曜日の記事更新は、“春季休載期間”明けの4月15日予定です。どうぞご了承下さい。
2008.03.11
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