【現代劇】マリアージュ・ブラン~嘘つき弁護士の愛の法則~全40話 40
風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話 24
【現代劇】イジワルな君に恋をした~Sweet First Love~全24話 24
燕雲台-The Legend of Empress-全48話 48
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三千鸦杀 Love of Thousand Years最終話「再会の日を願って」覃川(タンセン)が目を覚ますと朝になっていた。しかし傅九雲(フキュウウン)の姿が見えない。「九雲?…九雲?!」覃川は九雲を探して出雲(シュツウン)閣を飛び出すと、竹林へやって来た。そこには決戦の前に2人で名前を刻んだあの竹がある。覃川は竹の名前を眺めながら、昨日の記憶をたぐり寄せた。確か玄珠(ゲンシュ)が自分の身代わりとなって霊灯に魂を捧げたところまでは覚えている。あの時、必死で止めようとしたが間に合わず、吹き飛ばされたところで記憶は止まっていた。覃川はその時、全てを悟る。玄珠が魂を捧げて霊灯をともしたのなら、灯心の九雲は…。(´-ω-。` )おぅ…覃川は竹にもたれかかり1人で泣いた。そこへ眉山(ビザン)君が迎えにやって来る。眉山は妖王の呪いを解かねば1年以内に死んでしまうと警告したが、九雲が消散してしまった今、覃川にはもはや生きてる意味などなかった。「九雲に会えるなら、今すぐ死にたい…(涙」「生きていればまた会えるかもしれないぞ?これが永遠の別れではない」覃川は眉山の気休めだと分かっていた。しかし眉山は覃川の居場所を九雲から聞いたという。確かに灯心として魂は飛散したが、時が経てば再び姿を取り戻すかもしれない。眉山は全て九雲から伝えられた話だと教え、覃川の治療も託されたと言った。「生きろ、九雲は必ず戻って来る、あいつを待て」覃川は眉山の山荘に身を寄せた。幸せだった思い出を胸に九雲の帰りを待つ日々、やがて季節も流れ1年が経ったが、結局、九雲は戻って来ない。そんなある夜、覃川が竹林で物思いにふけっていると、すでに酔っ払った眉山が現れた。「お前はもう大丈夫だ、飲め、呪いは全て解けた、快気祝いだ」眉山は覃川にひょうたんを渡した。しかし覃川は中身が薬だと分かって投げ返してしまう。「この1年、飲み過ぎよ?」「俺はわざと酔っているんだ~お前の嘆きを聞かずに済むようにな?」覃川は小さくため息をつき、ただ黙って遠くを見つめていた。「この竹林は鳳眠(ホウミン)山にあったものだ、ここでおとなしく九雲を待っていればいい」すると覃川は竹に刻まれた2人の名前を袖で拭き始める。「なんだ?まだ疑っているのか?九雲は約束したんだ、必ず帰るとな あいつが元の姿に戻るまで…ふっ、あはははは~」「元の姿ですって?彼は燃え尽きて消えたのよ?もう嘘はつかないで…いいの、分かってる 私に生きて欲しいのよね?九雲もそう願っていた、幸せになって欲しいのね ふっ…でも無理なの、彼のいない世界では生きる価値もない」「よく聞け、九雲は必ず戻る、絶対に…」「そう信じているなら、なぜお酒ばかり飲むの?!」覃川は眉山が毎日ひとりになると泣いていたことを知っていた。「分かってるわ…九雲にはもう会えないって…2度と…」「…九雲め、俺たちを悲しませるなんて、許せん!お前なんか待つものか!」眉山はまた酒をあおった。「私、もう…あなたを待つのはやめる」この世界から妖魔が消え去り、人々は平穏を取り戻していた。その日、師匠の墓参りに来た桃小令(トウショウレイ)、ふと懐かしい人の気配を感じて振り返ったが、誰もいない。一方、桃源(トウゲン)鎮では酥油餅(スーユービン)屋の店主がいつの間にか″仙客 来たる″と看板を掲げていた。店主は焼き立ての酥油餅を客の席まで届けて戻ったが、いつの間にか酥油餅が1枚消え、銭が置いてある。その頃、左相国(サショウコク)と左紫辰(サシシン)は学堂を開いていた。紫辰はちょうど子供たちを教えていたが、ふいに門の外を懐かしい人が通り過ぎたような気がする。そこへ秋華(シュウカ)夫人がやって来た。「どうかした?」「いいえ…何でもありません」すると秋華夫人は子供たちの服を洗ったので皆に返すよう頼んだ。皋都(コウト)の燕燕(エンエン)飯店は今日も繁盛していた。すると郭(カク)大婶がふと誰かを探すように通りを眺めている。そこへ老板娘がやって来た。「何を見ているの?」「何でもないわ」その夜、宮殿では皇帝となった亭渊(テイエン)が政務に追われていた。趙(チョウ)管事は帝位に就いて以来、働きづめの亭渊を心配し、そろそろ休んではどうかと進言する。「大丈夫だ」疲れた亭渊を癒すのはふと漂う龍涎香(リュウバンコウ)の香り、亭渊は今でも腰に下げている香袋を手に取ると顔をほころばせた。その時、ふと予感がして突然、席を立ち、慌てて書斎を出て行ってしまう。「陛下?どうなさいました?!」覃川は九雲を待つのをやめて自ら会いに来た。宮殿に保管されている霊灯の前に立つ覃川、まるで九雲と過ごした幸せな日々が昨日のことのように思える。すると急に霊灯が輝き出した。覃川は愛おしそうに霊灯に触れると、ちょうどそこへ亭渊が駆けつける。「川兒っ!」しかし門を開けた瞬間、霊灯からまばゆい光が放たれ、驚いた亭渊は思わず目を覆う。そして再び目を開けた時にはすでに覃川と霊灯が消えていた。…ここは驪国帝女の寝殿風邪で寝込んでいた帝女が目を覚ますと、両親の顔があったすると帝女が突然、泣き出してしまう『私は燕燕(エンエン)じゃない…燕燕じゃない…うわ~ん!』何事かと思えば帝女はおかしな夢を見ていた『夢の中である老先生に言われたの、私は川兒(センジ)として新しい生活を始めるんだって 父皇と母后と離れたくない!うわ~ん!』皇后は娘が高熱で幻覚を見たのかと慌てたが、皇帝は心配ないと言った…やがて美しく成長した燕燕、しかし帝女は阿満(アマン)の顔になった覃川だった。…燕燕は久しぶりに宮中を訪ねた従姉妹・玄珠(ゲンシュ)をもてなしたすると玄珠は急に優しくなった燕燕の変わり様に驚く『燕燕も大人になったと母亲は褒めていたけど、どうせまた悪巧みでしょう?』『玄珠姐姐と姨娘のことが本当に好きなだけよ』そこへ兄が文才を誇る左紫辰を連れてやって来た互いに好印象を持つ玄珠と紫辰、すると燕燕は音楽の才能があるなら玄珠とお似合いだと行って早々に退散してしまう燕燕は遠目から琴を奏でる紫辰と耳を傾ける玄珠の姿を見たが、なぜかとても幸せな気持ちになった燕燕が寝殿に戻ると侍女が出迎えたそこで燕燕は自分も琴を弾くことにしたが、なぜか弾き方が思い出せない『阿満?』『公主?私の名は小翠(ショウスイ)ですよ?』『あ、そうだった…ねえ、″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″の弾き方を忘れてしまったの』『それは大変ですね~』『…昨日のあの曲よ、曲名は東…何だっけ?』『公主、私に聞かないでください、音楽のことなんて分かりません』そんなある日、燕燕は兄と書房にいた兄が書写している間、画を見ていた燕燕、しかしこの桃の木の画になぜか違和感がある確かこの絵には詩と琵琶が書いてあったような…『琵琶が…』『燕燕?何だ独り言なんか言って』『独り言?私が何か言った?』『琵琶がどうとか?』『琵琶?聞き間違えじゃないの?この絵には琵琶なんてないもの』すると燕燕の脳裏にふと絵の中に飛び込んだ時の記憶が蘇るあの時、確かに絵の中には琵琶が置いてあった…この絵を返そう…燕燕は振り返ったが、そこにいるのが誰かは思い出せないその時、突然、涙があふれ出した燕燕は自分でもなぜ泣いたのか分からず、困惑するある夜、燕燕が急に泣き出した夜番だった小翠は慌てて駆けつけると、燕燕は白衣の男の夢を見たという『その人に言われたの、″そなたはもうすぐ私を忘れ去ってしまう″って… 思い出したいのにどうしても思い出せないの!」小翠は悲しみに暮れる公主を抱きしめ、夢など忘れるようなだめた皇后の誕生日、皇帝は燕燕の許嫁である天原国太子・亭渊を招いた亭渊は皇帝と皇后に挨拶を済ませると、新婚祝いに父が集めてくれた宝物を燕燕に届けに行くその中には香取(コウシュ)山主からの贈り物があった『どういうわけか絵を贈って来たらしい』亭渊は燕燕が興味を示した仙画を早速、広げて見せる画集は色々な人物が描かれていたが、一番最後に白衣を来た男の姿絵があったすると燕燕は急に涙を流したかと思うと、やっと大切なものを見つけたかの様に微笑む全ての記憶を取り戻した燕燕、その時、急に絵の中に吸い込まれて行った覃川は気がつくと桃花の絵の中にいたすると椅子の上に確かに琵琶がある『あなたなのね?』桃の木の下では白衣の男が琴を弾いていた『川兒…』覃川はついに九雲と再会を果たし、固く抱き合った…完工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工何度も言ってますけど、最終回で全ての印象が変わるわけですよせっかく後半で盛り上がったのにねえ~何これ?(笑それとも本国では原作を知っていることが前提でドラマを見るものなの?それなら失礼しました( ̄▽ ̄;)ではココノコボ的最終話考察です!突然、霊灯と共に消えた覃川、覃川が戻ったのは過去の驪国でしたそもそも妖王は妖神を復活させて三界を掌握するのが目的そのため人間たちの本来の命数を改ざんして妖神を広めて来たのですしかし霊灯がともって妖界が消滅したため、人間たちは元の正しい運命に戻ったと予想恐らく燕燕が戻ったのは妖王が命数を変える前の世界、もちろん今後、燕燕にあの悲惨な運命が訪れることはありません正しい世界では当然、妖王が送り込んだ靂渊もいない、亭渊が大皇子として燕燕の許嫁として登場しますそして帝女は本来、阿満の顔でした〜というオチで次に傅九雲です九雲に関しては眉山君の言葉にヒントがありましたドラマでは眉山君が覃川に「灯心として魂は飛散したが、時が経てば再び姿を取り戻すかもしれない」と言っています実は原作ではもう少し詳しく説明があるそうで「もし霊灯がともされたら彼の魂は飛散し、どこかで眠りにつく、そしていつか誰かが霊灯を消すことができれば、彼はまだ戻ってくるだろう」と…(  ̄꒳ ̄)はて、霊灯を消す?何が?そこで思い出したのが覃川のセリフです確かに覃川が亭渊に「霊灯は燃え続け、苦しみも永遠に続く」って言ってましたね~覃川の深い愛情が消したのか、ともかくw覃川が霊灯を消したことで九雲も目覚めたのでは?(灯心九雲=霊灯、九雲も霊灯の中で一緒にいられると言ってましたし、霊灯で寝ていたと予想)ここで忘れてはならないのが、記憶が消えたのは人間だけで仙人たちは全て覚えているという点です香取山主は心を入れ替えて修行に出ましたが、恐らく九雲のために燕燕にわざわざ画集を贈ったのでしょうそれを見た燕燕はほとんど忘れかけていた記憶を取り戻し、九雲がこもっている仙画の中へ引き込まれたのです…もし映像化したとすると…覃川が霊灯の前に立ち、実は燃え続けていた霊灯を消す覃川と霊灯が消える→この後、亭渊や左紫辰たちも砂の様に消散→物語の世界も全て消散その頃、天界では司命星君が人間界の命運簿を見て、無事に正しい命数に戻ったと安堵天君に「妖王が歪める直前の時間に戻しました」と報告…こんなイメージです以上が管理人の解釈になります、主観につきご容赦ください(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾ペコ
2021.05.10
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第29話「愛する力で」仲間たちを守るため2人だけで妖王との決戦に挑んだ傅九雲(フキュウウン)と覃川(タンセン)。しかし九雲が分身と張った五行の陣は妖王に破られ、反撃を受けてしまう。妖王の妖術は覃川をかばった九雲だけでなく、洞窟に足止めされていた眉山(ビザン)君たちにも及んでいた。覃川は自分をかばって動けなくなった九雲の異変に気づいた。「九雲?九雲!どうしたの?…九雲に何をしたの?!」「傅九雲は内なる魔境に捕らわれたのだ、1刻以内に気が尽きて死ぬであろう」妖王は九雲を助けたくば清瑩石(セイエイセキ)を捨てて、おとなしく霊灯を渡せと迫った。…師匠の絵の中で戦鼓を叩いている驪(リ)国の帝女九雲は危機一髪のところで覃川を救い出したが、敵兵に崖まで追い詰められた『九雲!怖いわ』『川兒、安心しろ、今度は絶対に守ってみせる』九雲はたった1人で応戦していたが、その間に覃川がうっかり足を滑らせ、崖から転落してしまうしかし咄嗟に駆けつけた九雲が危ないところで覃川の手をつかむことに成功した『九雲!助けて!』九雲は覃川の手を離すまいと堪えていたが、このままでは2人もろとも落下してしまう…覃川は清瑩石をあきらめ、九雲に駆け寄り必死に声をかけた。「九雲、しっかりして、私はここにいるわ」…その時、九雲は崖っぷちで覃川の手を必死につかんでいた『傅九雲!その手を離して!』覃川は九雲の魔境に入り込み、九雲を説得する『離さないぞ…離すものか…』九雲は取り憑かれたように幻覚の覃川を助けようとしていた……眉山は竹林の中で愛しい辛湄(シンビ)の姿を見つけたしかし辛湄は背を向けたまま、顔を見せてはくれず、そのまま去って行く『辛湄!こっちを見てくれ!待ってくれ!分かっている!俺が悪かった!』眉山は慌てて追いかけようとしが、足が土に埋まって歩けない『辛湄!愛している!…辛湄!行かないでくれーっ!』…左紫辰(サシシン)は驪国に攻め入った父に剣を突きつけていた『はっはっはっ!裏切り者はお前の方であろう?それは天原国の詹事(センジ)服ではないか?』『違う!私は裏切り者ではない!』すると父の姿が消え去り、いつの間にか自分が詹事服をまとっていることに気づく『私は裏切り者ではない!』…玄珠(ゲンシュ)は香取(コウシュ)山にいた『紫辰〜!花を見に行きましょう!』しかし琴を奏でる紫辰の隣には覃川が座っている覃川は玄珠に気づいて振り返ると、勝ち誇ったように満面の笑みを浮かべた『私のものが欲しいの?』その時、妖術を受けた亭渊(テイエン)は苦しそうに胸を押さえていた。しかしふと気がつくと、他の3人の様子がおかしい。3人は焦点が定まらない様子で、何やら独り言をつぶやいていた。「左詹事?大丈夫か」「違う…私は裏切ってなどいない…」「眉山?どうした?」「辛湄、愛しているんだ…」「玄珠姑娘?」「紫辰…」亭渊は自分だけ妖術に掛からなかったと気づき、結界を破いて出て行った。…九雲は覃川の手を離すまいと必死だったしかしふいにもうひとりの覃川の姿に気づく『手を離すのよ、九雲、離して!』九雲は覃川の必死の説得でついに幻影の覃川の手を離し、ようやく目を覚ました。「まさか内なる魔境から抜け出せたのか?!」妖王は感心していたが、すでに清瑩石はその手の中にある。「早く霊灯をよこせ!さもないと命はないぞ!」すると九雲は覃川と手を取り合い、立ち上がった。「それもよい…共に死ねるなら」九雲と覃川は決死の覚悟で妖王に挑んだ。しかし7つの力が揃った妖王にとって2人は敵ではなく、九雲と覃川は激しく投げ飛ばされ、もはやなす術ない。その時、突如、亭渊が現れ、不意をついて妖王の胸に剣を突き刺した。「グフッ!たかが人間ごときに私が倒せると?」「長年、耐えて来たが、特別な力を持つ本当の天原国太子は…この私だ!」すると苦しみもがく妖王の手から清瑩石が転がり落ち、洞窟にいる3人も魔境から解放された。( ๑≧ꇴ≦)えええーっ!亭渊いまさら?!亭渊は覃川と九雲に早く五行の陣を作れと叫んだ。「もうもたないぞ!」すると妖王は亭渊の首を絞め、投げ飛ばしてしまう。しかし一足先に清瑩石を奪い返した九雲が五行の陣で妖王を捕らえ、陣主の覃川が術を唱えた。「うっ…私が死ねば天下太平になるとでも?私が死んでも間もなく妖神が復活する! 全ての妖魔がよみがえるのだ…この世はこれから妖魔の天下だあぁぁぁぁーっ!」火口に響き渡る妖王の断末魔、やがてその身体が離散すると、覃川は霊灯で妖王の魂を吸い込んだ。覃川と九雲はついに妖王を倒した。喜んだ覃川は自分に生きる幸せを教えてくれた九雲に心から感謝し、ずっと一緒にいたいと願う。九雲は人も羨むような夫婦になろうと誓い、妖魔を倒して添い遂げようと笑った。「宿命は変えられるわ、約束して、必ず生き抜くと」「約束だ」その時、眉山たちが駆けつけた。眉山は自分たちを閉じ込めた九雲に怒り心頭だったが、紫辰が長居は無用だと急かす。しかし突然、地響きと共に火口が揺れ始めた。妖王の死をきっかけに妖神が復活したのである。するとついに湧き上がる溶岩と共に巨大な妖神が姿を現した。「南蛮妖王の目的は妖神の復活だったのか…」九雲はようやく師匠が言い残した言葉の意味を理解する。「妖神が復活したら止められる者はいない…師父、未来の災いとはこのことだったのですね」巨大な妖神が火の玉を投げた。覃川たちは咄嗟に避けたが、その凄まじい威力で吹き飛ばされてしまう。するとちょうど同じ場所にいた眉山と亭渊、紫辰が妖神の標的となり、3人は力を合わせて何とか持ちこたえた。覃川は3人を助けようと立ち上がったが、九雲が咄嗟に引き止める。「川兒…終わらせるんだ」「嫌よ…」妖神を倒すためには霊灯をともし、覃川の魂を捧げるしか方法はない。しかし覃川は九雲と一緒にいたいと拒んだ。「宿命は変えられぬ… 川兒、誰もが妖魔のいない世界を願っている、私の存在はそのためのものなのだ そなたとの日々が私の一生で最も幸せだった…」「ダメよ!霊灯はともさない!ずっと一緒にいるのよ…離れたくない…そうでしょう?九雲! お願いよ…あぁぁぁぁ…」泣き崩れる覃川、しかし帝女の使命を果たそうと思い直し、覚悟を決めるのだった。(つД`)ノ ぁぁぁぁ~一方、ひとり岩陰に投げ出された玄珠は、目の前に霊灯が転がり落ちていることに気づいた。確かにしがない諸侯の娘だったが、一度は燕燕(エンエン)の代わりに公主として驪国の民を守ろうと誓ったことを思い出す。目の前には紫辰が覃川を守ろうと必死に妖神の攻撃を抑える姿があった。その時だった。「玄珠!何をするの?!」覃川は霊灯を手にした玄珠の姿に気づいて驚愕した。「今回は私の方が先よ、私たちには血のつながりがある、私の血でもいいはずよ?」覃川は慌てて駆け出したが間に合わず、玄珠が自分の胸に霊灯を突き刺し、魂を捧げてしまう。すると霊灯が開いて激しい霊気を放ち、覃川は吹き飛ばされ岩に激突、意識を失った。霊灯が開くとすぐ妖神の攻撃が止まった。すると玄珠の身体は宙に浮いたまま結界に閉じ込められ、紫辰がどんなに叩いてもびくともしない。「一体どうして…何をするんだ?」「紫辰、私は諸侯の公主、でもあなたの前ではつまらない存在だった そうだとしても構わない、初めて会った時から好きだった 驪国が滅び、全てを失った…香取山に身を寄せ、毎日、一緒に瓊花(ケイカ)海を散歩した あなたに菓子を作ったり、目に薬を塗った日々が一番、幸せだったわ この世であなたを一番、愛しているのは私よ? …そばにいられるだけで嬉しかった、他には何も望まない 身の程は知っているわ、それなのに彼女はいつも私からあなたを奪って行く 彼女のためならあなたは命をかけ、屈辱にも耐えた こんな状況になってもまだ彼女のために…紫辰、結局、私は邪魔者なのよ! あなたは思ったより冷たい人だった…私を見て、そして一生忘れないで! 私が馬鹿だったの、でももう死ぬわ、私の最期を見届けて、紫辰…」「玄珠、愛している…君を愛しているんだ! 私が愚かで弱いせいでそなたを傷つけた!この目を潰して香取山の日々に戻りたい! ずっと前から愛していた!なぜ分かってくれないんだ!」しかしついに玄珠の身体は消散してしまう。「玄珠?!…行くな!玄珠!」(つД`)ノ ぁぁぁぁ~最後まで誤解したまま〜玄珠が霊灯をともし、妖神が崩れ始めた。そして次々と霊灯が妖魔を吸い込み始める。「川兒、帰ろう…」燃え始めた九雲は覃川を抱き上げ、その場からそっと立ち去ることにした。亭渊はそんな2人の姿に気づいたが、覃川を引き止めたくてもできない。すると眉山が咄嗟に九雲に声をかけた。「九雲…俺の家で」「はお」「今宵も飲むぞ?」「酔うまでな、ふっ」九雲はいつもと変わらぬ笑顔で約束する。しかしこれが眉山が見た最後の九雲の姿になった。(つД`)ノ ぁぁぁぁ~九雲は出雲(シュツウン)閣に戻り、覃川を寝台に寝かせた。「…眠いわ…まさか眠り薬を…」「誰かさんがよく使う手だ、私は使わぬ」覃川は九雲の顔を見ていたいと言ったが、眠気に負けて目を閉じた。すると九雲は覃川の寝顔にそっと口づけする。やがて霊灯は三界全ての妖魔を吸い付くして蓋を閉じた。その瞬間、九雲も覃川との思い出を胸に霧消してしまう。(つД`)ノ ぁぁぁぁ~つづく(つД`)ノ ぁぁぁぁ~何この悲しい話〜
2021.05.09
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第28話「清瑩石の主」南疆(ナンキョウ)の海底。傅九雲(フキュウウン)の師匠でも見つけられなかった清瑩石(セイエイセキ)が覃川(タンセン)を主に選んだ。こうしてついに清瑩石を手に入れた覃川と九雲は次の渦潮が起こるまでの1日、巨大な貝殻に横たわってしばし休息を取ることにする。「私ね、最近よく考えるの、未来の2人のこと、子供は何人か?どちらに似るのかな?って… 今まではこんなこと考えもしなかった 霊灯をともすこと以外は何も必要ないと思ってたから、志を遂げたら死のうって…」覃川もいつの間にか女子なら誰もが思い描くような普通の幸せを夢見ていた。「大丈夫よね?時間はたくさんある、これからはずっと一緒ね?」「霊灯の中ではずっと一緒だ」すると九雲は自分を好きになったのはいつかと聞いた。星空の下で想いを全て打ち明けた夜なのか、それとも自分が描いた皇女の頃の絵を見た時だろうか。しかし覃川はいたずらっぽく全部だとはぐらかした。「あなたは知っていたのね、時間など無意味だって…一緒ならそれでいい あの世で悪霊が私たちを引き離したり、私だけが先に死んだりしなければ…私はそれで幸せよ」「川兒…愛している」覃川は優しく微笑むと、答える代わりに九雲に口づけした。九雲は千年も想い続けた絵の中の娘とついに結ばれた。「私が妖魔を倒したら、もう何も心配しなくていい、何も考えず私の腕の中に身を任せて欲しい 命ある限りそなたを愛し、守り続けるよ」こうして愛を誓い合った2人は海底を離れ、無事に海岸に打ち上げられた。覃川と九雲は焚き火で暖を取りながら冷えた身体を暖めた。すると覃川は夕日がこんなに美しいと思わなかったという。九雲はそれは覃川の心が満たされているせいだと言った。「あなたがいるから満たされたの」「ふっ、霊灯はいいのか?」「…江湖には名前を聞くだけで妖魔が恐れる夫婦がいるの 霊灯に頼らなくても妖魔を倒すことができる、驪(リ)国人の生活も守られるのよ?」「うむ…それは忙しくなるな、たくさん子供を産んで手助けしてもらわなくては…」甘いひと時を過ごす覃川と九雲、しかしそろそろ出発する時になった。今頃、眉山(ビザン)君が鯪魚(リョウギョ)城で心配しているだろう。すると覃川は九雲にしがみつき、わずかな時間を惜しんだ。鯪王府で眉山と亭渊(テイエン)が九雲と覃川を出迎えた。2人の様子で何があったのか察する眉山と亭渊、すると九雲の身体を心配していた眉山が慌てて九雲を寝殿に引っ張って行ってしまう。そこで覃川は亭渊に清瑩石を見せることにした。「もし九雲に騙されたりしたら私にすぐ言ってくれ、天原国の力を総動員して殺しに行く」(; ゚ェ゚)お、おぅ「天原国の太子妃の座は君のために空けておくよ」覃川は意味が分からず、笑ってごまかすしかなかった。眉山は九雲を手当てしたが、あくまで一時的なものだった。このまま無理をすれば霊灯に関係なく九雲は死んでしまうだろう。しかし九雲は清瑩石が手に入ったからには早く妖魔を倒さねばと焦った。清瑩石の結界は5人の力を使って五行の陣を作るが、実はもう1人、清瑩石を持つ核となる陣主が必要となる。ただし陣主は妖魔と共に結界に入る必要があり、取り残されれば命に関わる危険があった。「私がやるわ」そこへ覃川が入って来た。「南蛮(ナンバン)妖王に復讐すべきは私よ?私がやる」驚いた九雲は危険すぎると反対し、覃川と口論となった。眉山は慌てて2人を落ち着かせると、亭渊と左紫辰(サシシン)が協力してくれるが、どちらにしてもかなり危険だという。紫辰から結界の話を聞いた玄珠(ゲンシュ)は協力を申し出た。「驪国のためだもの、諸侯の娘として責任を果たすわ」紫辰は思わず玄珠を抱きしめ、全てが終わったら桃林へ行こうと言った。「俗世を離れて暮らそう」幸せそうな紫辰、まさかその腕の中で玄珠が冴えない表情をしているとは知る由もない。一方、火山では妖王が歓喜に湧いていた。「我が神よ!時は来た!ついに復活の時が!」その夜、寝台に入った覃川と九雲は2人で結界の件を話し合った。「本気なんだな?」九雲が最後に確認すると、覃川が黙ってうなずく。すると2人は決戦を前に固く抱き合って眠った。翌朝、覃川が厨房で料理していると玄珠がやって来た。珍しく素直に手伝い始めた玄珠、すると覃川に初めて本音を明かす。「私を誤解しているわ、子供の頃、初めて見たあなたは綺麗な着物を着て華麗に舞っていた その時、私が何を思ったと思う?嫉妬したと? 私はこう思ったの、あの着物はあなたにしか似合わないなって…」玄珠は燕燕(エンエン)が自分を嫉妬深く、皮肉屋で嫌な女だと思っていることは分かっていた。すると覃川は自分の方こそ幼稚だったと反省する。「…以前は自分の目的のことでいっぱいで、他人を思いやれなかった でもある人と出会って生きることの意味を知ったの、失いたくない存在もできた」覃川は思わず玄珠の手を握った。「あなたにもそうであって欲しい」「私も同じよ」「必ず生きて帰ると約束して」「清瑩石も霊灯もある、妖魔を永遠に葬れるわ」そこで玄珠は霊灯を見せて欲しいと頼んだ。覃川は乾坤(ケンコン)袋から霊灯を出して渡したが、玄珠は急に黙り込んでしまう。実はその時、玄珠は香取山主から聞いた霊灯の話を思い出していた。…霊灯をともせば妖魔を封じることができる、三世界の全ての妖魔をな…血の契約をすれば霊灯が主と認め、主が魂を捧げると灯がともる…しかし主は未来永劫、苦しみ続けることになる「どうしかした?」「はっ!何でもないわ」九雲は食事をすっぽかし、覃川を連れて竹林へやって来た。すると竹に短刀で印をつける。「この竹が伸びれば私の名も人目に付く、皆が私の名を知ることになる」「でももう伸びてるけど?」「そうか?」そこで覃川は短い竹を見つけて自分の名を彫った。九雲は思わずその隣に自分の名を彫り、この竹は2人の物だという。「たとえ肉体が滅んで魂も記憶も何もかも失ったとしても、私たちが生きた証になる」「竹が伸びる頃、私は生きていたらおばあさんよ?それでもいいの?」「その時は仙人をやめて共に老いるさ」覃川たちはついに極寒の地までやって来た。以前よりはるかに溶岩の量も増え、眉山たちに緊張が走る。すると火口にいた妖王はどうやら客が来たと高笑いした。覃川と九雲は火山の洞窟に入ると、いきなり結界を張って眉山たちを閉じ込めた。あの夜、覃川はこれ以上、誰かを巻き込みたくないと訴え、2人だけで決行したいと提案する。『本気なんだな?』こうして九雲は覃川の願いを叶え、2人だけで火口へ向かった。「九雲っ!」「燕燕っ!」残された眉山たちは必死に叫んだが、2人は行ってしまう。妖王は火口で待っていた。九雲は宝剣を招喚、幻影の術で4人の分身を呼び出し、妖王を囲む。一方、眉山は必死に結界を破ろうとしていた。しかし九雲の術を破ることができず、業を煮やした亭渊が結界の前に立つ。その頃、九雲は分身と五行の陣を張り、覃川が清瑩石を取り出していた。すると妖王が五行の陣を破り、清瑩石など無用とばかりに覃川を吹き飛ばしてしまう。驚いた九雲は急いで覃川の元に駆けつけたが、覃川をかばって妖王の妖術に捕らわれた。亭渊が結界を破ろうとしたその時、黒煙が洞窟に飛び込んできた。すると黒煙は九雲の結界をあっさり突き破り、眉山たちも妖術に捕らわれてしまう。こうして九雲、眉山、亭渊、紫辰、玄珠はそれぞれの心魔に惑わされ、抜け出せなくなった。つづく( ๑≧ꇴ≦)妖王の第三形態が妖神の像だと思ってたけど別ものか〜
2021.05.09
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第27話「よみがえる妖魔」傅九雲(フキュウウン)の懸念は的中、実は妖王は生きていた。「妖神大人(ダーレン)、私が命拾いしたのは妖神大人のお導きのおかげです!」妖王は火口に感謝を捧げ、待ち続けていた日が間もなく訪れると高笑いする。すると極寒の地で封印されていた火山が噴火し、ふもとの住人たちは慌てて避難した。一方、鯪(リョウ)州王府に身を寄せた左紫辰(サシシン)は衰弱した玄珠(ゲンシュ)を付き切りで看病した。しかし翌朝、玄珠が目を覚ますと薬湯だけ残して紫辰の姿がない。そこで紫辰の部屋へ向かったが、中から亭渊(テイエン)の声が聞こえて来た。「覃川(タンセン)が帝女だと知っていたんだな?彼女は霊灯で敵を討つつもりだろう?」実は驪(ラ)国の帝女・燕燕(エンエン)は天原国の第二皇子の許嫁だった。決まったのは亭渊がまだ12歳の頃だったが、まさかこんな形で許嫁と出会うことになるとは…。すると紫辰は静かに燕燕のことを語り始めた。「霊灯について話す彼女の顔はとても穏やかで、家路につく旅人のようでした… 私が代わりに命を捧げると申し出ましたが、もちろん聞き入れてはくれなかった」燕燕の意志は固く、このまま失意のうちに一生、過ごし続けるのは耐え難いことだったのだろう。亭渊は覃川が国のために死ぬことを自ら望んでいると知り、なぜ喜んで人生を終えようとするのか腑に落ちた。「こうなると知っていたら、少年時代に彼女を娶っておけばよかった」「二皇子殿下、これまでの経緯があったからこそ彼女を愛したのでは?」「そなたは彼女をどう思っているんだ?」立ち聞きしていた玄珠は紫辰の答えを聞くのが怖くなり、そこで引き返した。紫辰は燕燕への未練はないと答えた。実は亭渊も紫辰の想い人が玄珠だと気づいていたという。そこでもっと積極的になり、玄珠を待たせるべきではないと助言した。一方、玄珠は自分たちを迎えに来た左相国(サショウコク)と回廊でばったり出くわしていた。左相国はまず息子に話があると断ったが、玄珠が自分も同席したいという。左相国は帝女が驪国のため自ら香取(コウシュ)山に入り、霊灯を奪取したと報告した。自分に化けた妖魔と靂渊(レキエン)を倒し、ついには南蛮(ナンバン)妖王に決死の戦いを挑むため、犠牲になる覚悟だったという。左相国は大きくため息をつき、自分が代役を努められるのも長くないと言った。帝女を失えば驪国の民は意気消沈するはず、しかし帝女は敵討ちで頭がいっぱいなのだろう。すると玄珠が自分が帝女の代わりになると申し出た。左相国はそれよりまず元気になって欲しいと遠回しに断り、ともかく今は帝女の邪魔だけはできないという。「紫辰、公主殿下は本当にご無事なのか?妖王の力を侮ってはならん、仙人とて…」その時、左相国は紫辰の目配せに気づき、玄珠を傷つけたと分かって話をやめた。玄珠は中庭でひとり敗北感に苛まれた。…誰も彼も帝女のことばかり、私の努力は何だったの?…身分なんてどうでもいい、結局、帝女には何ひとつ勝てないのね「もうたくさんよっ!」元気を取り戻した覃川は九雲と一緒に川兒(センジ)餅店を始めた。そんなある日、店に2人の男が現れ、旅で金を使い果たしたので安くして欲しいと値切って来る。実はその2人は北の果てからやって来た旅人だった。旅人の話では突然、火山が噴火、氷原に沈んでいた火山がせり上がり、何でも山肌の溶岩に奇妙な模様が浮き出ているのを見た人がいるという。その姿形はまるで妖魔のようだったとか。覃川は結局、旅人に餅を半額で売ると、妖魔への不安を募らせた。覃川と九雲は宿に戻った。すると九雲は覃川に用事があるので先に戻るよう告げる。そこで覃川はひとり上階の部屋へ入ると、ふと旅人の話を思い出して手鏡に話しかけた。「小白?今日はとても恐ろしいことを聞いたの」しかし手鏡は何の反応もない。困惑した覃川は水に浸かっていた手鏡を取り出したが、それはただの手鏡だった。一方、九雲は宿にいる香取山主の姿に気づき、声をかけた。「茶を飲みに来たのか?」「礼を言いに来たんだ」山主は強欲ゆえ多くの罪を犯したと反省し、修行に入る前にしがらみを断ちたいという。そこで清瑩石(セキエイセキ)の本当の在りかを教えることにした。「恐らく南疆(ナンキョウ)海底の最深部だ 清瑩石は玉石のように冷たく、潮のように澄んだ光る石で、普段は貝に化けている 見つけ出すのはかなり難しいだろう、ただ清瑩石は自ら主を選ぶと言われる 選ばれれば探さずとも得られよう」「そこまで知っていながら、なぜ手を出さなかった?」「南蛮妖王に関わるものなど怖くてかなわんさ、宝より命が大事だ」「師父でさえ、ついぞ見つけられなかった清瑩石が本当に南海にあると?」「お前の師父は見当違いな場所を探し続けた 神聖な清瑩石が仙界ではなく、妖魔がはびこる南海にあるとは思いもしなかっただろう」すると山主は話が終わったと言って席を立った。「九雲…さらばだ、自分を大切にしろ」「…修行の道は険しいぞ、保重!」山主が出て行くと、眉山(ビザン)君が姿を現した。「あいつを信じるのか?」「ああ、だが南海より先に行くところがある」九雲と眉山は再び極寒の地を訪ねた。すると火山の想像以上の威力に驚愕し、どうやら妖王だけの力ではないと気づく。「九雲、山肌を見ろ」「…まさか、妖神か?!」九雲が宿に戻ると覃川はまだ起きていた。しかし覃川の様子がおかしい。「あの手鏡は偽物ね?本物の小白はどこへ行ったの?」「川兒…すまない、小白は死んだ」覃川は白(ハク)公子が自分たちを守って犠牲になったと知り、呆然となる。「無駄死にではない…」すると九雲は覃川を抱きしめ、気が済むまで泣かせてやった。玄珠は中庭でひとりぼんやりしていた。すると紫辰がやって来る。「玄珠、今後はどうしたい?」「…さあ、分からないわ」「白河龍王から譲り受けた白河氷原の小屋で暮らそうか?父亲が建ててくれた桃林の家はどう? 私はどこでも構わないが…ふっ」しかし玄珠は紫辰の本音が分からず困惑した。「何が言いたいの?」「私は…そなたと一緒にここを出たい!2人さえ幸せなら世界がどうなってもいい! そなたとずっと一緒にいたいんだ!」玄珠はようやく紫辰の想いを知って笑顔を見せると、急に″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″を弾いて欲しいと頼んだ。翌朝、九雲は覃川を連れて湖に向かった。風呂に入るのが好きだった小白は水の中なら安らかに眠れるだろう。すると九雲は白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)のかけらを投げ入れた。覃川は小白の犠牲を無駄にしないためにも、一緒に清瑩石を探しに行こうという。「あなたのためなら深淵の中にだって飛び込めるわ」玄珠は紫辰の演奏で燕燕が踊った東風桃花曲を舞った。しかしうっかり足がもつれて転んでしまう。「玄珠!大丈夫か?」「…帝女みたいだった?ふっ」「玄珠、思い詰めるな」すると玄珠は居たたまれなくなって逃げるように部屋へ戻ってしまう。玄珠は自分でも自分の気持ちが分からなかった。紫辰と一緒にいたい、紫辰の告白は嬉しいはずなのに、どうしても燕燕と自分を比べてしまう。…あの子に勝たなければ自分のこともあなたのことも愛せないわ…( ๑≧ꇴ≦) メンドクセー!覃川と九雲は南疆の海岸へ到着した。九雲は覃川に丸薬を飲ませ、これで海の中でも溺れないという。すると1日1回だけ起こるという大きな渦潮が見えて来た。九雲はあの渦潮に入れば海底にたどり着けると説明、覃川と海へ入る。「川兒、何があっても絶対にこの手を離すな」「うん」( ๑≧ꇴ≦)って早速、手を離してますけど~w九雲と覃川は渦潮まで泳いだ。やがて激しい海水の流れに引き込まれ、九雲は覃川と離れ離れにならないよう強く抱きしめる。それからどれくらいの時間が経っただろうか。「…川兒、もう大丈夫だ、目を開けろ」覃川がゆっくり目を開くと、静かな深淵まで潜っていた。「ここはとても寒い…怖くてたまらないわ」「川兒には私がいる」すると2人は自然と顔を近づけ、口づけを交わした。九雲と覃川は無事、海底に到着した。覃川はその美しさに感激しながら、早速、清瑩石を探すことにする。そこで目に付く貝を開けてみると、美しく大きな真珠があった。最初こそ真珠に目を輝かせていた覃川、しかしさすがに落胆の色を隠せなくなる。「この丸い形もそろそろ見飽きたわ…」「嫌なら捨てればいいだろう?」その時、覃川は自分の後をついて来る貝に気づいた。九雲は気のせいだと言ったが、覃川がふいに振り返ると、同じ貝が動いているのを目撃する。「ほら!見間違いじゃない!」覃川は貝を捕まえ、なぜ追いかけて来るのかと迫った。すると貝が自ら口を開き、美しい玉のような石が現れる。九雲は清瑩石が自ら主を選ぶと聞いたことを思い出し、これが清瑩石だと確信した。つづく|ω・`)あらやだ、いつの間にか九雲は″川儿″呼びに変わってたのね〜
2021.05.08
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第26話「愛する人のため」傅九雲(フキュウウン)は霊灯の灯心だった。妖王から真実を聞いた覃川(タンセン)は驚愕し、崩れ落ちるようにへたり込んでしまう。「そりゃ〜お前に言えるはずがない まあ〜お前を霊灯から引き離すためには嘘もつくだろう、己の命が惜しいからな? お前の亡国の恨みなど、奴の長〜い命に比べたら取るに足らぬ ひどい仙人もいたものだ〜ここまで身勝手とはな?お前の真心を踏みにじったのだ でも傅九雲はもう虫の息だ、お前の顔を見て悪あがきされたら面倒だが、 真相を教えたのは何も知らずに騙されている一途なお前が哀れだからだ」すると泣き崩れていた覃川が妖王にすがりつき、九雲に会わせて欲しいと懇願する。妖王はおとなしく燃えるよう九雲を説得するなら会わせると条件を出したが、そこへ何も知らずに亭渊(テイエン)が現れた。そこで妖王はこの機会に亭渊も片付けようとしたが、覃川が止める。「羅(ラ)国帝女が天原国皇子の命乞いか?」「…いいわ、彼に会わせて」亭渊はついに覃川の正体が驪国の帝女・燕燕(エンエン)だと知った。一方、左紫辰(サシシン)は氷の扉に閉じ込められた玄珠(ゲンシュ)を見つけた。しかしどんなに割ろうとしても氷はびくともしない。その時、洞窟が揺れて崩れて来た。玄珠は紫辰だけでも逃げるよう訴えたが、紫辰は諦めずに血まみれの拳で氷を殴り続ける。するとついに氷にヒビが入った。|ω・`).oO(かんざしで刺せば良かったんじゃ…妖王が覃川を連れて火口へ戻って来た。驚いた九雲は来てはだめだと叫んだが、覃川は岩に横たわっている九雲の元へ飛び降りてしまう。「九雲、苦しんだのね…教えて、あなたは灯心なの?」「そうだ、隠すつもりはなかった、そなたを死なせたくなくて…でもそなたの意思は固かった 小川、霊灯をそなたに渡すと決めた時に決心した 霊灯をともすなら、そなたには知らせずに燃え尽きようと…」覃川は九雲の深い愛情に心打たれ、思わず抱きしめた。「私も一緒よ…」すると覃川が白紙仙術で仙鶴を招喚する。仙鶴はその身体を燃やしながらも、2人を無事に火口まで送り届けてから燃え尽きた。九雲は戦える霊力などなかったが、覃川を守るため果敢にも妖王に襲いかかった。しかしまともに掌(ショウ)を受け、激しく吹き飛ばされてしまう。妖王は九雲に駆け寄る哀れな覃川を眺めながら、不敵な笑みを浮かべた。「驪国帝女よ、肉親が死ぬのは見たであろう?…次は愛する者だな?」驚いた覃川は傷だらけの九雲を抱きしめ、燃えないようかばう。妖王はそんな2人めがけて一撃を放とうとしたが、その時、ふもとで待っているはずの白(ハク)公子が立ちはだかった。「やっぱり僕が必要だろう?」「小白!」「ぶはっはっはっは、白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)か、たかが仙鏡が出る幕ではないわ!」妖王はあっさり小白を投げ飛ばし、九雲を黒煙で捕まえ引き寄せた。覃川と小白は九雲を救おうと妖王に立ち向かったが、近づく間もなく吹き飛ばされてしまう。「傅九雲、仲間を助けたくば早く灰になったほうが良いぞ?」覃川はなす術なく呆然と座り込んでいた。するとふいに師匠の言葉を思い出す。…白紙仙術の究極の境地に達するには身を差し出すのです…いつか分かる時が来るでしょうそこで覃川は短剣を握りしめ、自分の心臓を突き刺してから白虎を招喚した。九雲は妖王が白虎に襲われている隙に覃川の元へ駆け寄った。しかし白虎も火口へ突き落とされ、激怒した妖王は全員を始末しようと溶岩を集め始める。驚いた小白は最後の力を振り絞って九雲たちの前に立つと、妖王が放った炎を全て飲み込み、一気に吐き出した。すると激しい熱波を浴びた妖王は思わず霊灯を落とし、そのまま火口へ消えて行く。こうして九雲と覃川を守った小白だったが、白月星雲鏡は粉々に割れた。( ;∀;)えーっ!しゃぉばい…その頃、紫辰はついに氷を割ることに成功、玄珠を救出した。一方、眉山(ビザン)君はようやく火口へ到着したが妖王の姿はなく、九雲が意識のない覃川を抱きしめている。「何があった?!」「私を救うために自ら心臓を突き刺したんだ」そこで眉山は仙術で覃川の心臓を封じ、一刻も早く下山するため小白を探した。しかし九雲が小さな鏡の破片を見せる。破片にはもはや小白の姿は映らなかった。九雲が覃川を抱いて立ち上がると、その時、瓶が転がり落ちた。すると瓶から香取(コウシュ)山主の叫ぶ声が聞こえる。山主は必死に靂渊(レキエン)に騙されたと訴え、命乞いした。しかし眉山はそもそも強欲な山主が全ての元凶だと断罪する。そこで火口に瓶を投げようとしたが、九雲が止めた。「これ以上、誰かが死ぬのは見たくない…」仕方なく眉山は瓶を火山に捨て置き、九雲の後を追った。九雲たちは桃源(トウゲン)鎮の宿に落ち着いた。覃川を手当てした眉山は九雲と部屋を出ると、あと少し深くまで刺していたら危なかったと告げる。「かなり消耗している、寿命が縮むかもしれん」「霊灯をともせば命はわずかだ、寿命など…」眉山は覃川もさすがに九雲を燃やそうとは思わないと言った。しかし九雲は自分が灯心と知っても覃川にやり遂げて欲しいという。「共に生き、共に死ぬなら怖くない… むしろ怖いのは彼女が私のために宿願と信念を捨て、苦しみの中で生きることだ」九雲の覃川への揺るぎない愛と理解に眉山は深く感銘を受け、ただ黙って九雲の肩をポンと叩いた。すると眉山がふとあの火山がおかしいと思い出す。「確かに、火山…妖王…」九雲は師匠の最期の言葉から手がかりを探した。…目の前の災いはわしが止めた…この先の未来の災いはもう抑えられん…今後はやつに近づいてはならん、霊灯を守るのだ、お前の命のために「″未来の災い″とは一体、何なのだ?」九雲は妖王がこうもやすやすと死ぬとは思えず、何か別の目的があって消えたと疑った。|ω・`),oO(師匠の″最期″の言葉って書いたの何度目かとw一方、亭渊は紫辰と玄珠を連れて鯪(リョウ)州王府に戻っていた。すでに香取山に連絡したため、明日には左相国(サショウコク)が迎えに来てくれるという。玄珠は沐浴しながら、自分を必死に助けようとした紫辰の姿を思い出して笑顔になった。しかしふと宮女たちの噂話が耳に入り、再び自尊心が傷ついてしまう。<一番上等の薬湯を使うなんて驪国の公主かしら?<じゃあ第二皇子に嫁ぐっていう?<違うわ、彼女は帝女じゃなく藩国の公主よ<え~っ!厚かましいわねえ~覃川は傷の痛みで目が覚めた。付き添っていた九雲は傷口が開いたと気づき、薬を塗ることにする。「…生きていたのね」「ああ、そなたのおかげだ、妖王は火口へ落ちたぞ、霊灯も戻った」「…小白は?姿が見えないけど」すると九雲は手鏡を出し、霊力を使い果たして眠ってしまったという。「休みが必要なんだ…」九雲は風呂好きの小白のため、手鏡をおけの中に浸けてやった。九雲は覃川を起き上がらせた。そこで上着を緩めて肩を出そうとしたが、覃川が慌てて拒む。「誰が包帯を巻いたと思っているんだ?」九雲が失笑すると、覃川は素直に薬を塗ってもらうことにした。「う″っ…」想像以上の激痛に顔をゆがめる覃川、すると九雲は左手を差し出し、自分の手を噛むよう勧める。「…こんな痛みを何度も経験して来たのね?」「そうだな」「痛い時は誰の手を噛んだの?…小白?」九雲はうっすら笑みを浮かべただけで、何も答えなかった。「もし霊灯をともしたら…とても痛い?」「…さ、済んだぞ」薬を塗り終わった九雲は何と答えたら良いのか分からない。「九雲、私…」覃川は辛そうに言葉を詰まらせると、九雲も黙って覃川を見つめた。しかし急に覃川の表情が和らぐ。「私、酥油餅(スーユービン)が食べたい…クスッ」( ;∀;)小川…その夜、玄珠は悪夢を見ながらうなされた。「寒い…寒い…紫辰…寒い…逃げて、紫辰…」付き添っていた紫辰は布団をもう一枚かけたが、玄珠の震えは止まらない。そこで紫辰は隣に横たわり、玄珠の手を握りしめて温めてやった。「1人の時はいつもこうだったのか?…今まで苦労かけた、これからは私がそなたを守る」すると紫辰は玄珠を抱きしめた。(  ̄꒳ ̄)紫辰…告白は起きてる時に言いなさいよ~翌朝、九雲は覃川を連れて酥油餅の露店にやって来た。覃川は自分も酥油餅屋を開きたいと話したが、そこへ店主が焼きたての酥油餅を持って来る。「良い時に来たね~ここは驪国の隣だろう?1年前は店でも家でも肉を食べられなかったんだ 妖魔が来るのが怖くてね~ それがどうしたことか、妖魔の大半が南蛮に行った、道士の話では妖王が戻ったらしい」「老板、焦げているぞ?」九雲は覃川の耳に余計な話を入れないよう、店主を追い払った。つづく( ๑≧ꇴ≦)餅が食べたい!でも糖質が高い(←そこかw
2021.05.07
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第25話「皇女の務め」公主として重責を担わされた玄珠(ゲンシュ)、しかし祭典の直前、思いがけず左紫辰(サシシン)の本音を聞いてしまう。紫辰は覃川(タンセン)に驪(リ)国を復興に導けるのは覃川しかいないと説得していた。玄珠はやはり自分では駄目なのだと思い知らされる。こうして復興の祭典が始まった。玄珠は無事に拝礼の義を済ませたが、ちょうど祭壇にある燕燕(エンエン)の位牌が目に入る。どうやら紫辰の説得も無駄に終わったのだろう。すると玄珠は無性に覃川に腹が立ち、帝女の位牌を投げ捨て、民の前で覃川こそ本物の驪(リ)国帝女だと暴露してしまう。「逃げてばかりいるから現実を見せてあげたのよ!」左相国(サショウコク)は訳がわからず呆然と立ちすくみ、民たちは料理長だった覃川に説明を求めて詰め寄った。「鎮まれ!彼女がどれだけの犠牲を払ったと?!」紫辰は咄嗟に覃川をかばい、怒号の中から助け出した。紫辰は覃川を逃がし、玄珠の元へ急いだ。しかし秋華(シュウカ)夫人が玄珠ならすでに香取(コウシュ)山から去ってしまったと教える。紫辰は何があっても見つけると約束したが、秋華夫人が止めた。「あなたの本心が見えない、燕燕が生きていると知っていたのね? それなのになぜ玄珠を代役に?…これ以上、苦しめないで!」←え?!( ̄▽ ̄;)「玄珠は私にとって大切な人です、必ず連れ戻します…」すると紫辰は玄珠のあとを追った。その頃、下山していた玄珠は道すがら、見慣れない廃屋を通りかかった。すると山主が現れ、一緒に下山しないかと誘う。玄珠は相手にしなかったが、急に山主の声が変わった。「愛妃(アイフェイ)?…一体どうした?何を怒っている?」その声は死んだはずの靂渊(レキエン)だった。覃川は左相国(サショウコク)を訪ね、丁重に拝礼してから帝女だと認めた。実は当初から覃川に懐かしさやを親しみを感じていたという左相国、ようやくその理由を知って腑に落ちる。帝女はあの日、師匠に救われて妖魔の封じ方を聞き、顔を変えて香取山へ潜入していた。「見た目は違えど、驪国への思いは変わりません…左叔叔に再会できたことを嬉しく思っています」すると左相国はすでに玄珠からこれまでの経緯を聞いたと明かし、霊灯のことは諦めて欲しいという。「公主殿下に万一のことがあったら、先帝に何とお詫びすれば良いか…」しかし覃川は自分が霊灯を失ったせいで民にまで災いが及ぶことを懸念した。「左大人、私の代わりに民を導いてください、覃川として民への説明は果たします」覃川は立ち上がって出て行くと、中庭で民たちが集まっていた。公主殿下!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<公主殿下!覃川は帝女としての使命を果たすことも叶わず、やりきれない思いを酒でまぎらせていた。すると白(ハク)公子が駆けつけ、傅九雲(フキュウウン)がこの姿を見たら悲しむと叱る。「九雲は私が幸せならいいって…私にできることなんて何もないの」「九雲は今、この時、因縁の場所にいるんだ 妖王を倒すために清瑩石(セイエイセキ)を探しに危険な地へ行った 分かるだろう?全部、お前のためなんだよ!」小白はうっかり口を滑らせ、覃川から九雲の居場所を問い詰められてしまう。一方、九雲と眉山(ビザン)君は極寒の地にいた。恐らく火山は法術で氷の下に隠されているのだろう。確かに氷河の中を歩いているのに、奇妙なことにどんどん暑くなって来た。眉山はひとまず小休止、どんな火傷もすぐ治る飲み薬や、身につけていれば炎の中でも燃えないという寒天麒麟甲、飲むと7日間だけ延命できる血錦丹(ケッキンタン)を準備して来たと話す。その時、突然、激しい吹雪が2人を襲った。すると九雲の姿がこつ然と消えてしまう。小白は九雲が鏡を持っていないので様子が分からないと困惑した。すると覃川は九雲が自分の銅鏡を持っていると思い出す。小白は早速、銅鏡を通じて九雲を映し出すと、火山でひとり妖王と戦っていた。どうやら妖王が火山に清瑩石があると嘘をついて九雲を誘き出したらしい。しかしさすがに九雲でも7つの力が揃った妖王が相手では歯が立たず、やがて一撃を受けた九雲は激しく血を吐いた。妖王はその隙に九雲を黒煙で捕らえ、火口に突き落としてしまう。小白は九雲が北の果ての火山にいると分かった。驚いた覃川は今から出発しても10日もかかると苛立ちを隠せない。すると小白は氷河の結界には入れないが、ふもとまでなら転送できると気づいた。覃川は白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)を抜けて極寒の地へやって来た。しかし小白はあまりの寒さで身体にヒビが入り始めている。「鏡の仙人には寒すぎるのよ!無理すると割れてしまう、ここにいて、私が行って来る!」その頃、玄珠を追って下山していた紫辰はちょうど廃屋に差し掛かった。すると道端に落ちている玄珠の耳飾りに気づく。しかし突然、何者かに襲われ、意識を失った。紫辰を捕まえたのは江湖の術士・独孤堕天(ドッコダテン)だった。すると目を覚ました紫辰の前に天原国の第二皇子・亭渊(テイエン)が現れる。「見たところ玄珠姑娘(グーニャン)は香取山主に連れ去られたようだ、その山主の正体は靂渊だ」「まだ靂渊の魂が生きているのか?」「…魂だけでなく肉体も生きている」亭渊は靂渊を追って香取山へ来たと教え、靂渊に見つからないよう紫辰を連れ去ったという。そこへもう1人の配下・百里噬月(ヒャクリゼイゲツ)が玄珠の居場所を突き止めて戻って来た。「北の果てです、お任せください、空間法術など朝飯前です」覃川は吹雪の中を必死に進んでいた。その途中、なぜか玄珠が現れ、ここは師匠の修行場所なので自分も修行しているという。「あなたが来るなんて嬉しい~ちょうど暇だったから話したいと思って~」覃川はやけに馴れ馴れしい玄珠に困惑し、先を急いでいると断って歩き出した。すると突然、靂渊の声が聞こえ、覃川は恐る恐る振り返る。「…似ていなかったか?あ~そうか、お前たちは仲が悪かったな?」紫辰たちは陣を通って火山の洞窟へ飛び出した。人の気配に気づいて物陰に隠れた紫辰たち、すると山主が現れる。そこで亭渊は慎重に行動しようと釘を刺そうとしたが、百里堕天(ヒャクリダテン)の2人がいつの間にか飛び出していた。すると無謀にも山主に戦いを挑み、あっさり殺されてしまう。意識が戻った覃川は洞窟で寝かされていた。そっと様子をうかがうと、横たわった靂渊の肉体を見守る妖王の背中が見える。その時、山主が入って来た。覃川は寝たふりをして2人の会話を聞いていたが、そこで靂渊が実は妖王の息子だと知る。すると靂渊は南蛮の妖魔より自分が心配だという妖王の言葉を信じ、初めて父と呼んだ。「ではそなたの魂を肉体に戻そう」靂渊は父の情を信じて自分の肉体の隣に横たわり、山主の口から抜け出す。しかしその瞬間、妖王が靂渊の魂をつかんだ。「靂渊、鎖霊釘に苦しめられて死ぬ思いだった父を助けてくれ!」「父亲(フーチン)!不要(ブーヤオ)!」「力を返してもらおう、そなたの力はもともと私のものだ!」妖王は無常にも息子の魂を吸い込み、鎖霊釘で失った霊力を補ってしまう。妖王が振り返ると覃川が起き上がっていた。「傅九雲はどこ?!」「やつはあそこだ」すると妖王は火口内の岩の上に倒れている九雲の姿を映し出す。覃川は深傷を負った九雲の姿に驚愕し、どうするつもりかと迫った。「奴が燃えるのを待っている…おや?まさかとは思うが知らぬのか? 霊灯をともすには灯心が必要だが、傅九雲こそ、その灯心なのだ」実は九雲はこの山で生まれ、いずれここに帰る運命だという。つまり覃川が霊灯をともせば自分だけでなく、九雲も灯心となって燃え尽きてしまうのだ。「お前たちは2人とも死ぬ…聞いておらぬのか?」つづく( ̄꒳ ̄)b 三羽ガラス豆知識第12話で亭渊が″百里堕天″と呼んだのは、双子の″百里さん″と″堕天さん″のことでした
2021.05.07
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第24話「不穏な前触れ」中秋節の夜、傅九雲(フキュウウン)は覃川(タンセン)を連れ出し、空中散歩を楽しんでいた。一方、香取(コウシュ)山主の身体を乗っ取った靂渊(レキエン)はひとり、中秋を祝う驪(ラ)国人たちを冷ややかに眺めている。するとふいに少女がやって来た。皆の輪に入れない男を見つけた小花(ショウカ)は一緒に天灯を上げないかと誘ったが…。左紫辰(サシシン)は先に帰った玄珠(ゲンシュ)を心配して訪ねると、ちょうど父がいた。驪国の習わしでは皇帝が毎年、自ら先祖代々の魂を祭り、皇后が補佐を務めていたが、この重要な儀式を玄珠に任せたいという。しかし玄珠は紫辰への当てつけで、形ばかりの公主である自分になど務まらないと卑下した。左相国(サショウコク)は儀式の本当の目的は民を鼓舞することだと明かし、唯一の驪国公主である玄珠こそが驪国人の心をつかむ力を持っていると説得する。「適任の皇族がいない場合、代理が認められるのです、公主大人に1つだけ不都合があるとすれば… ぁ~未婚であることです」すると秋華(シュウカ)夫人が思わず良い相手が目の前にいると笑った。紫辰も喜んで公主に付き添うと承知したが、玄珠は紫辰の本心が分からず困惑してしまう。夜空に浮かぶ天灯の間を行きながら、覃川はいつの間にか鬱々とした気分が吹き飛んでいた。「この空で一番きれいな光はその瞳だ…」覃川は九雲の甘い言葉にも素直に感激し、思わず首に手を回して抱きつく。ようやく苦労が報われた九雲、しかしその時、白(ハク)公子から連絡が来た。『九雲大人、大変だ!村の子供が襲われた!』その知らせは紫辰たちのもとにも届いた。「公主!大変です!村で妖魔が暴れています!多くの民が怪我を!」九雲と覃川は小白の案内で林の中で倒れた小花を発見した。「精気を奪われたな…」そこで九雲は小花に仙気を注ぎ、覃川に世話を任せて小白と村の様子を見に行ってみる。すると妖魔が暴れたのか、民家が燃やされ、民たちが逃げ惑っていた。九雲は小白に村人たちを守るよう頼み、ひとり妖魔を探しに向かう。やがてがれきの中で不満を爆発させている山主を発見した。「平民の分際で仙人の山を汚すとは!家を奪われた私の気持ちをお前たちも味わえ!」「…力を全て失ったはずでは?怪しげな炎まで放つとは」九雲は善良な蛇だった山主の変わり様を嘆き、民を害する者は殺すと宣告して剣を招喚した。驚いた山主は命乞いし、咄嗟に清瑩石(セイエイセキ)の在りかを知っていると訴える。「どこだ?」「北の果てにある火山の噴火口だ、今まで隠していたのはお前と霊灯を失いたくなくて…」山主は北の果てにある火山こそ九雲が探していた答えだと言ったが、帰れる保証はないと心配した。しかし妖王がいずれ九雲の居場所を見つければ、その時は覃川や驪国人も道連れになるだろう。九雲は山主の正体が靂渊だと見抜けず、結局、見逃した。出雲(シュツウン)閣に戻った九雲は亡き師匠と最後に交わした言葉を思い出していた。『灯心よ、泣かなくてよい…それともまさか、このわしがお前を燃やすとでも思ったか?』『師父が授けてくれたこの命、いつでも喜んで差し出します』師匠の敵討ちと愛する覃川への深い愛、九雲の心は揺れていたが、清瑩石があればすべて解決できる。すると回廊で先に戻った覃川が待っていた。「何か悩み事があるのね?…何よ?私に言えないこと?」「そなたに隠すようなことはない」九雲は笑顔を見せると、眉山(ビザン)君に酒に誘われていると言って出かけてしまう。九雲は眉山に山主の話を伝え、清瑩石を探しに行くと言った。驚いた眉山はその身体で行けば死んでしまうと反対したが、九雲は自分には覃川の運命を変えてしまった責任があるという。「妖王を倒す最後の機会だ、あきらめたくない、まあいい、明るく送り出してくれ」すると眉山は自分も一緒に行くと決め、ただ出発までに準備することがあるという。そんな2人の話を偶然、小白が聞いていた。九雲はすっかり元気を取り戻した覃川に旅に出ることを伝えられずにいた。すると小白が現れ、自分も一緒に行きたいと懇願する。いつの間にか自分を気遣えるほど成長した小白に感慨深い九雲、そこでならば覃川を見守って欲しいと頼んだ。「それが最大の助けになる」一方、村の建て直しを手伝っていた玄珠はうっかり足を怪我した。紫辰は慌てて駆けつけたが、玄珠はどこかよそよそしく、以前のように強がっている。そこで紫辰は玄珠を背負い、自分の前では本当の気持ちを見せて欲しいと話した。玄珠は本当に自分と一緒に儀式を行うつもりか尋ね、誰かに強要されたのではと心配する。しかし紫辰はあっさり違うと答え、玄珠の足の傷の手当を始めた。「あの時のあなたの言葉は本心だったの?」「…やっぱり医者に見せよう」紫辰は玄珠を抱きかかえると、慌てて連れて行った。覃川は時間ができると大工を手伝いながら木彫りを学んでいた。そこへ玄珠が現れ、大工に儀式の準備はどうか尋ねる。大工はまもなく完成すると報告し、あとは先祖の名を位牌に刻むだけだと言った。すると玄珠は帝女の位牌の名入れを覃川にやってもらうという。大工は大事な位牌は熟練の匠に頼むべきだと進言したが、玄珠は有無を言わせず位牌を渡した。「亡き帝女のために心を込めて刻むのよ?」覃川は九雲の帰りを待ちながら、聴風(チョウフウ)亭で位牌に自分の名を彫っていた。するとようやく九雲が戻って来る。「そう言えば何か話があるの?」「別に…ただ鏡をなくしたからそなたに借りようと思ったんだ 小白は妖魔を映す鏡だろう?この端正な仙人の顔を映すには向かない」覃川は失笑し、驪国の至宝である銅鏡を渡した。「死んでも離さないさ」「え?」「なんてな…」九雲はその夜、覃川を自分の寝台に引っ張り込み、腕の中に抱いて眠ることにした。やがて安心して寝息を立てる覃川、そこで九雲はそっと寝台から抜け出し、名残惜しそうに覃川の寝顔を眺める。しかしそこへ支度ができた眉山が迎えにやって来た。翌朝、覃川が目を覚ますと九雲の姿がなかった。そこで小白に九雲の居場所を聞いたが、ただ出かけたとしか教えてくれない。「大事な用事があるらしい…」小白はなぜか元気がなかった。紫辰は朝から儀式の準備に追われて忙しかった。身支度を整えた玄珠もいよいよ凝碧(ギョウヘキ)殿へ向かったが、その途中、偶然、紫辰と覃川の話を聞いてしまう。実は紫辰は覃川が自分の位牌を仕上げている姿を目撃し、慌てて止めていた。「なぜこんなことを?!玄珠がやらせたのか?!」「新生驪国のためだもの、これくらい平気よ」「本当に真実から逃げられると思うか?」「真実は民が決めるの、みんなにとっての帝女はもういない」「私はそうは思わない、帝女は今も私の目の前にいる、思い出してくれ そなたはどんなに辛い境遇でも高潔な志を持って自分と向き合って来た 分かっているだろう?驪国を復興に導けるのはそなたしかいないと…」玄珠は紫辰の言葉を聞いて深く傷ついた。…やはり私では駄目なのね…つづく(  ̄꒳ ̄)紫辰…なんなの?
2021.05.06
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第23話「つかの間の平穏」本格的に驪(リ)国の再建に動き出した左相国(サショウコク)。そこで皇族の血を唯一引き継ぐ玄珠(ゲンシュ)を公主として担ぎ上げることにした。さすがに玄珠は諸侯の娘には荷が重すぎると尻込みしたが、秋華(シュウカ)夫人は娘が女帝になると知って目の色を変える。左相国や民たちのすがるような目に困惑する玄珠、その時、覃川(タンセン)の姿に気づいた。すると対抗心がわき上がり、思わず公主として使命を果たすと宣言してしまう。玄珠は覃川を追いかけ、引き止めた。「逃げるの?民にも私にも合わせる顔がないから? そうよね?私がいなければ靂渊(レキエン)は殺せなかった、だから公主まで私に押し付けるの? 今のあなたには霊灯に命を捧げる資格なんてないわ」「誰から聞いたの?!」「それは関係ない、あなたが愚かだと言いたいだけ あなたが死んでも誰も感謝しない、結局、人は自分さえ良ければいいのよ」「…あなたには関係ない」覃川は昔のように玄珠へ言い返す気力もない。「もう諦めたの?民のことも見捨てたのね?本当に私に公主の地位を譲るの?」「玄珠…あなたは昔から何でもやり遂げて来た、私より勇敢だわ、公主にふさわしい 民のことはあなたに任せたわ…」「やめて、国の復興なんて興味ない、こんな人数で戦っても死ぬだけよ 公主になった気分はいいわ~皆が仰いでくれるもの でも代わりはごめんよ、自分の役目は果たしなさい」しかしどんなに挑発しても、覃川を奮起させることはできなかった。そんな覃川を元気づけるため、傅九雲(フキュウウン)は白(ハク)公子を差し向けた。すると小白は鏡に燕燕(エンエン)の姿を映し出し、鼓舞する。「しっかりしろ!公主はお前だろ?あの偽物を見るとムカムカするんだ~! 元気出せよ!たかが霊灯をなくしただけだろう?」「霊灯のことじゃないの…」「九雲に浮気されのか?!」河原で2人の様子を鏡で見ていた九雲は何の話だと失笑した。実は覃川は自信を失っていた。二萌(ジホウ)や偽の左相国にまんまと騙され、白虎を守れず、1人では靂渊も殺せない。しかも九雲まで傷つけてしまったのだ。「僕のことも割ったしな、2回も!」「あ~そうだった、ごめんね…ほらね?役立たずなの」(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン (^_^;)<認めるんかい覃川はいつかもっと多くの人を傷つけるのではないかと恐れていた。「私はただ平凡に生きるだけの運命なのかも…」「平凡なわけないだろう?白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)を割ったのはお前だけだ どうした?死も恐れず突き進んで来たのに、なぜ弱気になった?お前は強い!」小白は過ぎたことは気にするなと励まし、問題があれば解決しようと言った。九雲は小白が上手く覃川を励ます姿を見て安堵した。その時、急に鏡が映らなくなる。九雲は続きを見ようと鏡の枠を叩いていたが、そこへ突然、覃川が駆けつけた。「傅九雲!立って!」「(はっ!)何で分かった?」「小白があんなこと言うわけないでしょう?!」すると小白が現れ、自分が悪者になると言ってその場を収めた。仕方なく覃川は矛を収めて魚を捕って来いと指示、九雲と小白は逃げるように出かけて行く。その様子を見ながら、覃川はふと気がつくと久しぶりに笑顔を取り戻していた。そこで区切りをつけるため、密かに師匠の仙弓を大木の下に埋めてしまう。眉山(ビザン)君が九雲の治療にやって来た。聞けば覃川は以前より元気になり、毎日、野菜や花の世話で農民のような生活をしているという。安堵した眉山はここで2人で静かに過ごし、100年経ったらまた一緒に気ままにやろうと言った。「何百年か過ぎればゆっくりと忘れるさ~これが一番いい結末だ」「…だがすっきりしない」九雲はこれが本当に覃川の幸せなのか疑問だった。一方、あれから天原(テンゲン)国は皇帝も妖神の呪縛が解け、平穏を取り戻していた。第二皇子・亭渊(テイエン)は都から妖魔を追い払った功績を称えられ、ついに父皇に靂渊の死を報告することになる。その時、皇太子の到着を知らせる前触れが聞こえた。すると死んだはずの靂渊が現れ、亭渊は驚愕する。しかし靂渊はまるで魂が抜けたように生気がなく、亭渊は馬を駆けて都を飛び出した。覃川は九雲の大きな愛に包まれ、次第に落ち着いてきたように見えた。そんなある夜、覃川は九雲と食事をしながら、ふと今の暮らしは好きかと尋ねる。「この香取山で野良仕事や縫い物をして静かに暮らすの」「誰とだ」「あなたよ?」すると九雲はすぐには答えず、酒を飲んだ。「私はそうしたい、ただ…」しかし覃川はそれから先は聞きたくないとばかりに話を遮ってしまう。その時、突然、雷鳴がとどろき、激しい雨になった。「大変だわ!」覃川は雷雨の中、急いで畑に向かった。しかしすでに大雨で土が流れ、せっかく芽が出た野菜の根が出てしまう。(←あくまでイメージ「やっぱり私は何をやってもダメなのね…」覃川はそのまま泣き崩れた。九雲は雨に打たれながら自分を責め続ける覃川にかける言葉もなく、ただ強く抱きしめることしかできなかった。( ;∀;)覃川、切ない…その頃、山主は霊灯を手に入れるため、覃川の居所に忍び込んだ。すると覃川の寝台で小さな袋を見つける。袋の中には瓶が入っていたが、突然、光を放った。「やっと来たか…お前を助けてやろう、私の力は霊灯の比ではないぞ?」欲深い山主はかつての栄華を取り戻すため、瓶の蓋を開けて靂渊の魂を取り込んでしまう。しかし靂渊は身体を乗っ取ると山主の魂を追い出し、代わりに瓶へ閉じ込めた。出雲(シュツウン)閣に戻った九雲は眉山の治療を受けた。「鎖霊釘(サレイテイ)は凶悪な術だ、良く耐えたな」眉山は毒を抜いたが、1ヶ月は安静にして仙術は使うなと無駄な注意をする。すると九雲は妖王が7つの力を揃えた今、鎖霊釘の効力は数日しかないと漏らし、平穏な日々は長くないと言った。確かに清瑩石(セイエイセキ)があれば一挙に片付けられるが、師匠が見つけられなかったこと思うと、ただの伝説なのかもしれない。しかし眉山は冠仁(カンジン)師匠から直接、清瑩石で妖王を倒せると聞いていた。「傅九雲?…覃川に感化されてないか?」九雲はふと覃川からなぜ仙人は妖魔を滅ぼさないのか聞かれたことを思い出した。その時は三界には各々の道があると答えたが、まさか覃川が自分と同じ運命を背負い、同じ敵を持つ日が来ようとは…。「眉山、誰が運命の輪廻から逃れられる?」「九雲、これは輪廻ではない、因果と呼ぶべきでは?初めて見た時にお前があいつの運命を変えた 覃川に敵を作ったのはお前かもしれん」「…じきに中秋だな」九雲は回廊から月を見上げた。一方、身体を手に入れた靂渊は密かに妖王と交信していた。妖王は靂渊の身体なら取り戻したと教え、愚かな天原帝は全く気づいていないという。「身体が戻ったなら早く戻って来い」しかし靂渊は山主が九雲と懇意なことから、ここに残れば何か意外な収穫があるかもしれないと期待した。すると妖王は傅九雲に勝機があるとすれば清瑩石しかないという。「清瑩石?」覃川は中秋節の支度をする幸せそうな一家を眺めていた。すると皇宮での家族との思い出が走馬灯のように蘇る。自然と顔がほころぶ覃川、しかしふいに現実に引き戻され、寂しさが募った。九雲はしばらくその姿を見ていたが、ようやく声をかける。「中秋節は家族で祝う…小川、羨ましくなったのか?」「…そうね」「私が叶えてやろう…子供を作ろう!」「ったく、消えて」九雲は覃川がいつもの調子に戻ると、自分たちも中秋を祝いに行こうと誘った。玄珠は紫辰へのわだかまりが消え、ようやく素直になって2人の距離も近くなった。その夜、紫辰が学堂の子供たちと天灯を上げる準備をしてると、ちょうど玄珠がやって来て手伝ってくれる。すると子供が無邪気に天灯は好きな人と上げるものなのか聞いた。紫辰はようやく玄珠の想いに応えられる時が来たと感慨深かったが、玄珠は黙った紫辰がまた燕燕を思い出していると誤解、急に天灯から手を離して帰ってしまう。「天灯は好きな人と一緒に上げるんだ…」紫宸は空に上がって行く天灯を眺めながら答えたが、気がつくと玄珠は帰路についていた。つづく(; ̄▽ ̄)紫辰よ…いつか女心が分かるようになるのだろうか…
2021.05.05
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第22話「祖国再建を目指して」覃川(タンセン)は復讐すべき相手を間違えていた。しかも奪われた霊灯が傅九雲(フキュウウン)にとって師匠から託された大切な物だと知る。「私のせいね…」罪悪感に苛まれる覃川、しかし九雲は気にするなと優しかった。「霊灯は失ったが得た物もある、これを…」実は九雲は靂渊(レキエン)の魂を瓶に閉じ込めていた。「今夜はここで休もう、明日、驪(ラ)国人が集う場所へ連れて行くよ」翌朝、張(チョウ)太尉は捜査命令を出し、驪国人を全て追放した。屋敷を追い出された秋華(シュウカ)夫人は最後まで官兵相手にごねていたが、すでに馬車に乗っていた玄珠(ゲンシュ)にたしなめられてしまう。「もうたくさん、天原(テンゲン)国に用はないの!…私はもうあなたの人形じゃないのよ?」秋華夫人は初めて娘に反発され、慌てて馬車に乗り込んだ。驪国の民が集まっていたのは香取(コウシュ)山だった。「またここに戻って来るなんてね…」九雲は覃川の手をつないで歩き出そうとしたが、その時、馬車が続けて到着するのが見える。一台からは玄珠と秋華夫人が降りてきたが、もう一台から降りてきたのは左紫辰(サシシン)と左相国(サショウコク)だった。覃川は自分が殺した左相国が偽物だったと知った。左相国が驪国の民を前に国を再建すると誓う姿を見ながら、覃川は居たたまれなくなってしまう。すると左相国は湧き上がる民たちの輪から寂しそうに離れていく娘の姿に気づいた。覃川は無力感に苛まれながらひとり歩いていた。そこへ左相国が現れ、何か心配事かと尋ねる。そんな2人の様子を紫辰が遠目から見ていた。「家族はいるのかい?」「おりません」「驪国の民は皆、家族だと思っている、安心して頼ってくれていいんだ」しかし覃川はかえって己の不甲斐なさを思い知り、辛くなって早々に話を切り上げた。紫辰は覃川を追いかけ、呼び止めた。「燕燕(エンエン)!…燕燕、なぜ真実を言わなかった?復讐はしないのか? 私では力になれなかったが、父上ならきっと助けてくれる」「紫辰…ごめんなさい」「謝るなよ、殺されたのは父ではなかったんだ」「…謝ったのは全ての驪国人に対してなの」すると紫辰は燕燕からもらった玉のかんざしを返し、過去は水に流して前に進む時だと励ました。覃川も前に進みたかったが、なかなか立ち直れなかった。居所に戻った覃川は子供からもらった折り紙でふと白虎を思い出し、涙があふれ出す。その姿をちょうど好物を持って来た九雲が戸の隙間から見ていた。そこで代わりに白(ハク)公子を送り込むことにする。小白は相変わらず遠慮ない物言いで酥油餅(スーユービン)を差し入れると、覃川は泣きながらも少しは以前のような顔をのぞかせ、好物を頬張った。九雲は眉山(ビザン)君のもとへ向かった。しかし覃川が気になって上の空、眉山からしばらく覃川に関わるなと釘を刺される。九雲は確かに自分の存在が今は覃川の後悔を募らせるだけだと分かっていたが、どうしても放っておけなかった。そんな情けない九雲の顔を見た眉山は思わず、何の悩みもない頃が懐かしいと漏らす。「自由気ままで楽しかったな~」「人間だったら愚痴を言って眠れば悩みもすぐに忘れる、だが我ら仙人は? 虚しさだけが残る、それも永遠に… どんな人間にも悩みはあるが、いつか終わりが来る、でも仙人は? 終わらない苦しみを抱えて何千年も生きるんだぞ?!」「じゃあ俺が霊灯をともしてやんよ、楽になれるぞ?!」思わず眉山が口を滑らせると、九雲が怒って机を蹴った。気まずくなって黙り込む2人、すると眉山が沈黙を破る。「…霊灯が妖王に渡れば7つの力が集まって世界に危険が及ぶ、ここの結界だって耐えられないぞ」「鎖霊釘(サレイテイ)の効力も長くはもたない、奴はじきに動くだろう 霊灯を破壊したいなら私を探すはず…」その時、九雲は清瑩石(セイエイセキ)を思い出し、師匠が見つけていれば霊灯を使う必要もなく死なずに済んだと言った。「妖魔も人間には手を出さなかった…」「ぁぁ~それを言ってどうする?」眉山は歯牙にも掛けなかったが、九雲は何やら考え込んでいた。翌日、紫辰がひとり瓊花(ケイカ)海を眺めていると、九雲がやって来た。九雲は偶然を装っていたが、紫辰は自分に話があるとすぐ見抜く。「彼女の様子は?」「良くなっている、彼女のことなら私の方が詳しい…」「幼なじみの私より知っていると?」「私は千年、見て来たんでね…って、冗談だ」すると何とか覃川の肩の荷を降ろしてやりたい九雲は柄にもなく口数が多くなった。「この世には大それた望みを抱く者がいる 全て自分の責任だと思い、人々の願いを一身に背負おうとする者が… 君たち驪国人とって彼女は神も同然、国を救い、妖魔を追い払ってくれる希望だ」「彼女自身が望み、決めたことだ、私に何ができる?」「その通りだ、だが君たちの前では神であっても、彼女に普通の女子としての幸せはないと? 彼女が自分の負けを認め、諦めない限り、君たちにとって彼女は希望の神だ だが私にとっては違う、神は私だけで十分だろう?彼女の幸せは誰にも奪わせはしない」「だから彼女を霊灯から遠ざけようとしたのか?」「守ることが愛だと思っていたが、やっと分かった、受け入れるのが愛だと…」九雲は眠っている覃川の顔を愛おしそうにながめていた。すると外から香取山主の声が聞こえて来る。「九雲?九雲?!」九雲は覃川を起こさないよう外へ出ると、山主が力を回復して欲しいと頼んだ。驪国人たちはあろうことか自分のお宝で漬物を漬けている始末、この惨状にとても我慢できない。九雲は妖王との戦いでそんな力がないと断ったが、山主はならば霊灯があれば自力で取り戻せると言った。仕方なく九雲は今の山主では霊灯の力に耐えられないため、もう少し修練するよう勧める。「それに霊灯を失くしてしまって…」「まさか!隠すのはあの女のためか?」「ないものはないんでね…」「分かった、ならせめて驪国人を追い出してくれ、山はめちゃくちゃだ!」しかし九雲はこれも山主のためだとごまかして追い返した。紫辰は燕燕への想いにケジメをつけ、玄珠と生きて行こうと決めた。そんな矢先、左相国は息子に自分の命が残りわずかだと明かし、もしもの時は紫辰に国の復活を託したいという。帝女の燕燕が亡くなり、今や玄珠だけが皇族の生き残りだと誤解している父、しかし紫辰は何も言えなかった。一方、玄珠は自分の後をついてくる蛇に気づき、隙を見ていきなり蛇を捕まえて地面に叩きつけた。すると蛇は山主の姿に戻り、自分の山を好き勝手に荒らす驪国人への不満を漏らす。「九雲が霊灯を渡せば私は力を取り戻せるのに…その時は驪国人どもを追い出してやる」「霊灯?霊灯にそんな力が?」「当然だ、だから白河(ハクガ)龍王もお前に盗めと命じたんだ」山主は他にも霊灯をともせば妖魔を封じることができると教えた。しかし霊灯をともすには血の契約が必要だという。↓本気出すと怖い玄珠wつづく
2021.05.04
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第21話「死闘の果てに」中元節、ついに天原(テンゲン)国太子・靂渊(レキエン)を討つ時が来た。玄珠(ゲンシュ)の協力で靂渊が昊天(コウテン)殿にいると知った覃川(タンセン)は、左紫辰(サシシン)、第二皇子・亭渊(テイエン)と共に殿内に入る。人の気配はなかったが、紫辰が地下から琴の音がすると気づいた。床の図柄を見た亭渊は何か仕掛けがあると考え、″太極陰陽魚図(タイキョクインヨウギョズ)″についてうんちくを語り始める。しかし紫辰が剣で図柄の中心を押すと、あっさり床が開いて地下への階段が出現した。「急ごう!」一方、覃川が昊天殿へ入るのを見届けた傅九雲(フキュウウン)は師匠の最期の言葉を思い出していた。あれは師匠と妖王が戦った時のこと、師匠は霊灯と血の契りを結び、妖王の霊力を吸い取ることで撃退する。…九雲、今、わしにできるのはここまでじゃ…災いは必ず再び訪れる、未来はお前に託したぞ…妖王が持つ7つの霊力のうち、わしが奪い取った2つをお前の体内に封印する…妖王には近づくな、霊灯をお前に託す、自分の命は自分でしっかり守りなさい九雲もまた師匠の敵を討とうとしていた。九雲が殿内に入ると勝手に門が閉じた。すると妖神の像から車椅子に乗った国師が現れる。「傅九雲、私が思い描いたとおりの男だな…」「お前の姿は少し期待はずれだったがな」妖王は国師に化けていた。「分かっているだろう?師父の借りはお前が返せ!」妖王は九雲から霊気を奪い取りながら、自分たちは陰陽のごとく表裏一体の関係にあると言った。九雲の体内の霊力は分身のようなもの、7つの霊力が再び集まれば三界は自分のものだ。その頃、覃川たちは妖神を祭る地下の密室で靂渊と玄珠を発見していた。亭渊は靂渊にじりじり迫りながら、中元節になると自分から逃げ回る兄をついに見つけたと不敵な笑みを浮かべる。「今日こそお前を殺す…」亭渊は逃げ惑う靂渊をついに斬りつけたが、その瞬間、靂渊と玄珠が消散した。「亭渊!これは罠よ!」覃川が叫ぶと、柱に縛り付けられた本物の玄珠が姿を現す。すると妖神の像からツルが伸びて覃川たちに襲いかかった。九雲は霊灯の在りかを決して教えなかった。痺れを切らした妖王は地下でツルに捕まった覃川の様子を映し出し、覃川がどうなってもいいのかと脅す。「あの女が魂を捧げて霊灯をともせば、灯心のお前も燃えて道連れになるぞ!」妖王は九雲があの娘に真実を告げていないと察し、思わず高笑いした。覃川たち3人はツルに捕らわれ、身動きがとれなくなった。すると靂渊が姿を現し、すでに何もかもお見通しだったと言いながら紙人形を投げ捨てる。実は覃川が喪服の着替えを手伝った時も、靂渊は侍女の企みに勘づいていた。そして玄珠までこんな危険を冒したのは紫辰のためだと分かっていたが、紫辰が愛しているのは玄珠ではなく、この侍女だと気づく。靂渊は勝ち誇ったように覃川の顔をつかむと、驚いた亭渊は触るなと叫んだ。思いがけず弟の弱みを知った靂渊、その時、この娘こそ自分を狙った刺客・胡姫(コキ)だと気づく。「髪と瞳の色は前の方が良かったぞ?ふふ」すると靂渊は殺せるものなら殺してみろと挑発し、覃川の乾坤(ケンコン)袋から霊灯を奪った。「お前は一体、何者だ?まあいい、お前も妖神の供物にする」靂渊が妖神の像に向かって歩き始めると、覃川は後ろ手のまま白紙を放って白虎を招喚した。しかし白虎が背後から靂渊を襲おうとしたその時、妖神のツルに捕まってあっけなく消散してしまう。「猫猫(マォマォ)っ!」妖王はついに九雲から2つの霊力を回収した。九雲は崩れ落ちるように膝をつき、激しく喀血してしまう。「待ちわびていた時がついに来た…」すると妖王は車椅子から立ち上がり、九雲に掌(ショウ)を放とうと構えた。しかしその時、急に霊力が逆流して激しく血を吹き出してしまう。九雲はゆっくり起き上がると、呆然とする妖王を見て思わずにやりとした。…深傷を負った九雲は香取(コウシュ)山主を頼っていた山主は白河(ハクガ)龍王に霊力を奪われたせいで蛇の姿にかえっていたが、九雲が人形(ヒトガタ)に戻してくれる『わはははは~!九雲よ!お前は恩人だ!』『霊力を取り戻したいだろう?この力を鎮めてくれたら必ず手助けする』しかし今や何の力もない山主はもはや封印大師ではなかったすると山主はせめてものお礼に最後まで手放さずに持っていた唯一の法具を譲る『この2本の蛇牙(ジャガ)を使え、鎖霊釘(サレイテイ)という香取山に伝わる禁断の仙術だ 敵に強い一撃を与えられるが、その反動が自分にも返って来る、並の仙人には扱えない代物だ』鎖霊釘は体内で陰陽をかき乱す効力を持っていた九雲が2つの力と共に妖王の中に送り込めば、鎖霊釘の効力が全体に及んで妖王は霊力を御せなくなるというそして体内で霊力が暴れ回った妖王は苦しみを味わい続けるだろう…覃川は相棒の白虎を失い、靂渊への憎しみを募らせた。しかしツルに縛られ身動きが取れない。その時、靂渊に捨てられた紙人形が起き上がり、覃川の背中を登ってツルを切り始めた。妖神に祈りを捧げた靂渊はまず覃川を生贄にすると決めたが、亭渊が咄嗟に愛する人の先に死にたいと懇願する。すると思わぬ弟の可愛い頼みを知り、靂渊は叶えてやろうと言った。覃川を守るため生贄に志願した亭渊、しかし危機一髪のところで紙人形が覃川のツルを切った。覃川は即座に仙弓で亭渊と紫辰のツタを切断して解放、そこで紫辰はこの機に玄珠を救出する。しかし再び妖神のツタが襲いかかり、覃川たちは窮地に追い込まれた。同じ頃、上階では九雲が師匠の敵を討つべく、妖王と最後の戦いに挑んでいた。しかし妖王への攻撃はそのまま九雲の身体にも跳ね返って来る。「…愚か者め、この私がお前にやすやすと殺されてたまるか」追い詰められてもなお妖王は強気だったが、九雲の反撃でついに地下の妖神への霊力が途絶える。すると妖神のツルが消失した。霊力を失ったと気づいた靂渊は逃げ出そうとしたが、覃川の放った矢に阻まれてしまう。覃川は仙弓を引いて靂渊にじわじわと迫った。「私が何者か聞いたわね?…あなたが血眼になって探している人物よ」その時、靂渊は仙鶴で逃げて行った驪国帝女のことを思い出した。「あなたは父皇と母后の命を奪い、罪のない民を殺した…靂渊、驪国の敵(カタキ)っ!」覃川はついに矢を放ち、靂渊の心臓を貫いた。「驪国の…帝女?…生きていたのか…ウッ…」靂渊は膝から崩れ落ち、霊灯を落としてばったり倒れた。「驪国を踏みにじった罪人は逃さない、1人たりとも…」すると靂渊の死を知った妖王は衝撃のあまり絶叫し、激しい霊気を放って消散した。覃川は霊灯を掲げ、さまよう靂渊の魂を吸い込もうとした。しかし深傷を負った九雲が駆けつけ、すぐ逃げろと急かせる。「もうすぐ奴が来るぞ!早く逃げるんだ!」焦った覃川は咄嗟に霊灯を投げ、靂渊の魂を吸わせようとした。そこへ肉体を失った妖王の元神が現れ、霊灯と靂渊の亡骸を奪ってしまう。九雲は危険を感じて斬りかかると、妖王の元神を覆っていた黒煙が散り散りになった。「ふっ、まさかお前が驪国の帝女だったとはな、復讐の相手を間違えてはおらぬか?」妖王は高笑いすると、バラバラになった黒煙を集めて逃げ出した。張(チョウ)太尉に化けた眉山(ビザン)君が禁軍を連れて駆けつけた。そこで紫辰は玄珠を先に送るよう頼み、このまま密室を調べることにする。一方、覃川はただ呆然と立ちすくみ、自分の浅はかさを思い知っていた。すると亭渊が駆け寄り、復讐を果たした覃川を労う。「ここにいてくれ…これからは私が面倒をみる」しかし九雲が現れ、覃川の腕をつかんだ亭渊の手を離した。「また後日に、小川…帰ろう」その頃、紫辰は地下牢を発見していた。牢には罪人なのか、繋がれたまま気力をなくした人たちがいる。紫辰は錠を壊して入ってみると、その中に李(リ)侍郎がいた。「李大人(ダーレン)?!」「どなたかな?」「…左紫辰です、お忘れですか?」「ああ~そうか、あなたが朝廷で会っているのは本物の私ではない」すると助けが来たと気づいた老臣たちが集まって来た。聞いてみれば国師に化けた妖王が朝廷を掌握した時から、老臣たちは皆ここに閉じ込められてしまったという。表舞台にいるのは全て偽物、しかし妖術を使って老臣たちに化けているため誰も気が付かなかった。その時、牢の奥から紫辰の名を呼ぶ声がする。紫辰は様子を見に行くと、ぼさぼさになった髪の毛の下から父の顔が現れた。紫辰は父と再会した。実は左相国(サショウコク)は天原国の危険を奏上するつもりだったが、その前夜に妖魔に襲われてしまう。あれから何年もの間、ここに監禁されていたが、いつか息子が助け出してくれると信じて生き延びていた。九雲と覃川はひとまず太尉府に戻った。覃川は危うく天原国の皇帝まで殺すところだったと困惑し、九雲がなぜ妖王を知っているのか訝しむ。全ての元凶である妖王はもともと南蛮にいたが、天原国に移ったあと皇帝を惑わせ、国師の座に収まっていた。実はかつて南蛮の妖王が暴れた時、霊灯で力を封じたのが九雲の師匠・冠仁(カンジン)だという。覃川はようやくあの霊灯が師匠から託された九雲の大切な物だったと知った。つづく(´⊙ω⊙`)えーっ!九雲が灯心?!って霊灯ってどんな構造なのか?wいよいよファイナルシーズンへ!(←って勝手にw
2021.05.03
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第20話「作戦決行の日」左紫辰(サシシン)は宮廷で屈辱を強いられる玄珠(ゲンシュ)に心を痛めた。「玄珠、とにかく太子には嫁ぐな、幸せになどなれない」「幸せ?幸せって何?それって美味しいの?」もちろん好きな人と添い遂げたいと願って来た玄珠、しかしこれまでの努力は全て無駄だった。そこで玄珠は紫辰の手をにぎりしめ、最後にもう一度だけ、その心に自分の居場所があるのか尋ねる。しかし紫辰は嘘をつけず、黙っていた。玄珠はそれが答えだと悟り、これで終わりにすると決める。「左詹事(センジ)、これからの私の人生はあなたと関係ない これから私ががどんな目に遭おうが心配無用よ…」すると紫辰はそんな玄珠を見放せず、思わず後ろから抱きしめた。「2人だけでここを離れよう…玄珠、もう意地を張らないでくれ、太子には嫁がせない!」紫辰は全てを忘れ、玄珠と2人で生きると約束した。傅九雲(フキュウウン)は丸一日、寝込んだが、ようやく床を離れた。眉山(ビザン)君は九雲がこれほど弱ったことに驚き、封印を解いたこと後悔する。すると覃川(タンセン)に投げ捨てられたせいで頭を打った白(ハク)公子が痛くて眠れなかったと憤慨した。「あいつのせいだ!あのバカな小川が…」その時、九雲が思わず扇子で机を叩き、驚いた小白は口をつぐんだ。その夜、屋敷に戻った玄珠は荷物をまとめた。何も知らない秋華(シュウカ)夫人は娘が皇太子妃に決まったようなものだと夢見心地になっている。「私は無理だったけれど、あなたなら皇后になれるわ」玄珠は黙ってうなずき、後は全て紫辰に任せることにした。天原国太子・靂渊(レキエン)はついに玄珠を太子妃にすると決意、皇帝に許しをもらった。そこで紫辰に宣旨(センジ)を務めるよう命じる。「もうすぐ中元節だ、玄珠姑娘(グーニャン)は太子妃として皇室のしきたりに従い、宮中で祈祷する 宣旨のあと、宮中に迎えろ」翌朝、紫辰は宣旨として玄珠を迎えにやって来た。すっかり舞い上がっている母を横目に動揺を隠せない玄珠、しかし紫辰が帰り際に密かに声をかける。「落ち着け、ひとまず宮中に入るんだ、時を見て連れ出す…信じてくれ」主衣(シュイ)局の侍女に紛れ込んだ覃川は喪服を届ける道すがら、入宮した玄珠を見かけた。まさか天原国の皇太子に嫁ぐとは…。覃川はやるせない思いを抱えながら仕事へ戻ったが、回廊で運悪く紫辰に見咎められてしまう。「…燕燕(エンエン)、私の父はすでに報いを受けた、復讐はここまでにするんだ」「死んだら全ての罪が消せるとでも?私も驪(リ)国の民も永遠に許さない」「分かっているが私だってそなたを許せない!私の父だぞ?!私が…」しかし覃川が話を遮った。「好きだったわ、あなたに嫁ぎたかった…本心よ、でも全て変わってしまった あなたが好きだった燕燕は死んだの、私が好きだった紫辰ももういない、だから…構わないで」紫辰は愛する燕燕の無念の思いを初めて知り、何も言えなくなってしまう。すると覃川は最後に警告した。「…中元節の日は靂渊に近づかないで、父親の敵ならすぐ討てるわ」( ;∀;)燕燕…切ない靂渊は今年の中元節は正妃となる玄珠と2人で祈祷したいと言い出した。そこで紫辰に婚儀と併せて祈祷についても取り仕切ってほしいと頼む。驚いた玄珠は恐れ多いと辞退したが、なぜか紫辰は皇太子の気持ちを受けるべきだと勧めた。こうして中元節の前日、覃川は紙人形を密かに隠し持ち、主衣局へ向かう。一方、玄珠はちょうど身支度を整えたところだった。そこへ紫辰が現れ、皇太子から伝言があると嘘をつく。玄珠は侍女たちを下げると、紫辰がこっそり令牌(レイハイ)を渡した。「今夜、皇族が一斉に祈祷する、戌(イヌ)の刻は警備が手薄だ 祈祷が終わったら、これを使って南門から出ろ、門衛には話を通した、馬車も用意してある」すると紫辰は最後の仕事を終えたら合流すると言った。「玄珠、必ず皇宮から出るんだ、私が遅れても待たなくていい…分かったな?無事でいてくれ」祈祷が終わり、靂渊は着替えを待ちながら15歳の時にできた指の傷跡を眺めていた。そこへ主衣局が喪服を持ってやって来る。覃川は皇太子の身支度を始めたが、そこへ紫辰が現れた。覃川の姿に気づいて内心、動揺する紫辰、その時、覃川が密かに靂渊の背中に紙人形を貼り付けてから外衣を羽織らせる。しかし安心したのも束の間、目覚めた紙人形が勝手に床へ降りて来た。焦った覃川は靂渊の気をそらすため、思わず声をかける。「殿下っ!寸法はいかがでしょうか?」「よい、下がれ」すると紫辰は靂渊が覃川の方を見ている間に紙人形を踏みつけ、下がる際に隙を見て拾っておいた。( ๑≧ꇴ≦)紙人形~驚いて変な声、出ちゃったわw玄珠は予定通り馬車に乗って待っていたが、紫辰は間に合わなかった。仕方なく先に城門を出ることにしたが、ふと紫辰との会話を思い出し胸騒ぎを覚える。あの時、紫辰は無事でいてくれと言って玄珠の頬に触れた。まるでこれが最後の別れだというように…。「待って!」その頃、紫辰は覃川を連れて詹事房にいた。覃川は紙人形を返すよう頼んだが、紫辰は厳戒態勢の東宮に行けば死ぬと止める。そもそも心臓を射られても傷ひとつない靂渊に何ができるというのか。そこで覃川はその理由を説明し、返してもらえなくてもまた作ると譲らなかった。「燕燕、なぜ聞いてくれないんだ!」そんな2人の会話を引き返して来た玄珠が聞いてしまう。…燕燕と呼んだ?彼女のためだったのね、覃川、なぜいつも現れるの?…「止められないなら紙人形は私がつけるよ、靂渊に近づけるのは私しかいない、そなたへの償いだ」…彼女に命で償うつもりなの?!なら私は?私にはどう償ってくれるの?!…「だめよ!」覃川が紫辰を引き止めたその時、突然、玄珠が入って来た。覃川は玄珠に誤解しないよう訴えた。しかし玄珠は外で一言一句もらさず話を聞いたという。まさか最後の仕事というのが覃川のことだったとは…。覃川に父親を殺されたと知りながら、それでもまだ助けるというのか。「分かってたわ、詹事になったのは彼女のためだと…でも私と逃げるという言葉を信じてしまった やっと分かったの、彼女のために私を追いやったのね?!」「玄珠、私と紫辰は今日、会ったばかりよ?」「燕燕、過去を引きずって生きているのはあなたの方よ?このままでは私たちは自由になれない」「悪いと思ってるわ…」玄珠は紙人形を渡せと言った。復讐が終わらねば自分たちの苦しみも終わらない。すると紫辰は玄珠の手を取り、自分の胸に当てた。「紙人形はここだ、だが行けばそなたも死ぬ」「今は死ぬより、生きる方が辛いの」その時、宦官の声が聞こえた。「詹事?殿下が姑娘を東宮へお連れしろと…」「分かった、すぐ行く」覃川は紫辰を連れて第二皇子・亭渊(テイエン)と合流した。経緯を聞いた亭渊は玄珠では心許ないと動揺したが、覃川は玄珠がやると言ったやるという。「心配ないわ」その頃、玄珠は靂渊と一緒に地下の密室へ続く階段を降りていた。隙を見て背中に紙人形を貼り付けた玄珠、すると靂渊が急に自分を陥れようとする者がいたらどうするか尋ねる。玄珠は命をかけて皇太子を守ると言ったが、靂渊は失笑した。覃川はじっと地図を眺めていた。するとついに地図に青い光が灯る。「来たわ!…東宮じゃない」「やはり思った通りだ」亭渊は北三所の昊天(コウテン)殿だと教えた。昊天殿はかつての書院で廃太子を幽閉していたが、ここで死んでしまったという。「それからは使われていない…行こう!」一方、張(チョウ)太尉に化けた眉山はそれらしく禁軍に指示を出していた。すると1人になったところで九雲が現れ、必ず覃川を守るよう釘を刺しておく。「九雲、気をつけろよ」九雲は笑顔で煙消すると、昊天殿へ到着した。物陰から様子をうかがう九雲、殿前には侍衛たちの目をかいくぐってやって来た覃川たち3人の姿があった。つづく
2021.05.03
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第19話「覚悟の一手」覃川(タンセン)は傅九雲(フキュウウン)から靂渊(レキエン)に敵がもう1人いると言われ、ある人物を思い出した。そこで鯪(リョウ)州王府に天原国第二皇子・亭渊(テイエン)を訪ねる。実は亭渊はそろそろ覃川が現れる頃だと気づいていた。覃川は本物の霊灯を見せて自分が靂渊を殺すと持ちかけたが、亭渊も簡単には諦められない。すると覃川は血の契約をした者だけが霊灯をともせると教えた。亭渊は灯心もないのに火がつくのか半信半疑だったが、ならば自分がやると申し出る。しかし霊灯をともすには代価があった。人は身体が滅びても魂はこの世に残るが、霊灯に必要なのはその魂、霊灯は燃え続け、苦しみも永遠に続くという。「それでもやるの?…私はやる」亭渊はさすがに怖気付いたが、ここまで覚悟できる覃川に驚いた。「君は何者だ?…靂渊が探している胡姫(コキ)とは君なんだな」覃川は靂渊にどんな武器も法術も効かなかったと話した。すると亭渊が兄の秘密を教えてくれる。靂渊が生まれた年、天原国にひどい長雨が降った。外では妖魔の声が響いていたが、靂渊が生まれるとなぜかその声は止んだという。国師は特別な力を持つ不死身の子供だと告げ、剣も法術も効かぬ子は妖神が現れる吉兆だと進言した。それ以来、天原国では妖神が信じられている。しかし亭渊は幼い頃、不死身の兄にも弱点があると知った。あれは靂渊の15歳の誕生日のことだった。靂渊は父皇から西域の宝剣を賜り、自ら手を斬りつける。その時、亭渊は怪我や病気と無縁だった靂渊の指から血が流れるのを見た。靂渊は咄嗟に手を隠してごまかしたが、それからと言うもの、中元節に姿を見せなくなったという。中元節にどこにいるのかは皇太子妃が知っていたようだが、実は皇太子妃は病気で早逝していた。しかも皇太子妃の命日は中元節の翌日だという。恐らく中元節に靂渊が普通の人間になると知ってしまったせいだろう。亭渊は偽物で懲りたため、霊灯を奪うつもりはないと安心させた。そこで覃川は偽物にすり替えたのが九雲だと教える。亭渊は九雲が自分たちを探しに来るのではと心配したが、覃川は自分が死なない限り問題ないと断言した。「…私たちは立場こそ違うが、大きな目的を持つ同士だ」「一緒にしないで、私は復讐のために霊灯を盗んだ、驪(リ)国の民の幸せのために闘ってる でもあなたは野心のためでしょう?」「それは違う、権力に興味はない、国師は靂渊を使って妖神の信仰を広めた 私は皇子だ、妖魔を除く責任がある、君も天原国も驪国も全ての民を救いたい!私が君を守る!」何事にも絶対はない。亭渊は必ず血の契約を破る者が現れるに違いないという。「君は生きなければ…生きていないと意味がない」「命なんて関係ない…私たちは違うのよ、今までも、これからも」すると亭渊はともかく話は全て片付いてからだと決めて作戦を考えようと提案した。中元節に靂渊がどこにいるのか調べるにはどうすればいいのか。一方、空回りしてばかりの九雲は眉山(ビザン)君と一緒に酒で憂さ晴らししていた。そこへ白(ハク)公子が現れる。実は九雲は小白に覃川の身辺を探らせていた。「亭渊は帝位に就いたら覃川にも良くすると言っていた、全ての民を大切にして彼女を守るんだって でも覃川は同志じゃないってさ」「当たり前だ!何が同志だ!」九雲が思わず声を荒げると、眉山と小白は失笑した。 それにしてもこんな神器の使い方はさすがに仙人の常識を外れている。眉山が苦言を呈すと、小白も思わず不満を漏らした。「覃川をそばに置けばいいだろう?僕を何だと思っているんだ!都合よく鏡にしたり眠らせたり…」しかし九雲からやめてもいいと突き放され、仕方なく小白は報告を続けた。覃川は香取山で白紙仙術を学んだと嘘をつき、紙人形を靂渊に貼り付けようと考えた。そうすれば靂渊の霊力が消えたのか、その時どこにいるのかも分かる。しかし当日の大祭は身分によって行動が決まっているため、亭渊は皇太子と接触の機会がなかった。「私がやるわ」帝女だった覃川は皇室の儀礼に詳しい。天原国の皇族たちも焼香に行く時に喪服に着替えるはずだ。「そうだ、喪服はすでに主衣(シュイ)局にある」「なら喪服を運ぶ侍女に紛れて宮廷に忍び込む」亭渊は主衣局に知り合いがいると思い出し、覃川を母の侍女として紛れ込ませることにした。秋華(シュウカ)夫人は栄華を取り戻すまであと一歩だった。今日も宮廷から皇太子の使者がやって来る。秋華夫人は娘の身支度を手伝ったが、玄珠は浮かない顔をしていた。「太子殿下はあなたを気に入っているわ、山ほど贈り物も来ている」「そうですか…母妾(ムーチン)、ご満足ですか?」「何ですって?!これもあなたのためでしょう?」母の言いなりになるしかない玄珠、すると使者がなぜか侍女に玄珠の採寸を命じた。実は中元節には喪服を着る習わしで、皇太子の命で玄珠にも喪服を仕立てるという。亭渊は覃川のために侍女の衣装を手に入れた。片や覃川は黒い喪服に貼り付けても目立たないよう、紙人形を墨で塗りつぶし、真っ黒にする。一方、九雲は覃川が再び宮殿に潜入するつもりだと知り、悶々としていた。どんなに強がっても覃川が心配で仕方がない九雲、そこで酔い潰れた眉山を起こし、宮廷に遊びに行こうと誘う。覃川は亭渊から天原国の儀礼を学び、いよいよ宮中に上がることになった。その頃、眉山は張(チョウ)太尉に変身、公子斉(コウシセイ)に皇后の肖像画を描かせると言う名目で九雲を参内させることに成功する。しかしそんな九雲に国師の魔の手が迫っていた。皇后の姿絵を描き終えた九雲は眉山と2人で主衣局の様子をうかがっていたが、その時、突然、九雲が首の封印を押さえて苦しみ始める。「どうした?!確かに封印したはずなのに」「…奴からの宣戦布告だ」眉山は九雲の真の目的が妖王だと気づいて止めたが、九雲はこれも覃川のためだと訴えた。命懸けで復讐しようとしている覃川をこのまま見捨てることはできないという。そこで九雲は妖王の居場所を突き止めるため、封印を解くよう頼んだ。すると国師は九雲の発する力がすぐ近くにあると気づく。「時が来たぞ、傅九雲…ここへ来る勇気があるなら歓迎しよう~わはははは~」傅九雲は眉山について来るなと釘を刺し、解放された力がおもむくまま歩いた。するとしばらくして昊天(コウテン)殿の前に出る。その時、運悪く覃川が現れた。九雲は咄嗟に力を鎮め、何食わぬ顔で奇遇だと笑顔を見せる。「覚えているさ、霊灯にもそなたにも関わらない ただ中元節にそなたとバカな豆豆(トウトウ)哥が何を企んでいるのかちょっと見たくてな」「なぜそれを?」うっかり口を滑らせた九雲は黙っていられなくなった。「よく考えろ、本当に宮廷で事を起こすのか?あんな人形なんかで靂渊を殺せると? それにあの豆豆哥だ、帝位に就いたらそなたも驪国も天原国の民も救うと信じているのか?」覃川は小白を通じて全て九雲が見ていたと気づいた。激怒した覃川は手鏡を割ろうとしたが、九雲が咄嗟に止める。「よく聞け、靂渊はそんな甘い相手ではない!」しかし興奮したせいか九雲は急に苦しくなり、思わず背を向けて欄干にもたれかかった。「…どうしたの?」「来るなっ!…私から離れろ、行けっ!」九雲から初めて拒絶された覃川は深く傷ついたが、必死に涙をこらえた。「分かった、行くわ」覃川は怒りに任せて手鏡を捨て、走り去ってしまう。靂渊は東苑で側室たちに玄珠を紹介した。しかし玄珠はひとりうつむいたまま、笑顔はない。側室たちは自分たちが世話をすると優しい素振り、ちょうどそこへ左紫辰(サシシン)が現れた。「太子殿下、国師がお見えです」すると靂渊は側室たちに玄珠の舞を見てしっかり学ぶよう指示し、左紫辰は残って玄珠を部屋まで送るよう命じた。玄珠は側室たちから早く踊れと迫られ、仕方なく涙を流しながら舞を披露した。母親のために屈辱に耐える玄珠、その痛々しい姿を見た紫辰は胸が痛い。結局、側室たちは参考にもならない踊りだと揶揄し、さっさと帰って行った。「私は身分も尊厳もない、宮廷で遊ばれるだけの女よ…私には何もない、本当に…何も…」「玄珠、とにかく太子には嫁ぐな、幸せになどなれない」つづく(  ̄꒳ ̄)あああ~なるほど、小白は九雲の都合で鏡になったり人形に戻ったりするのね…覃川がずっと持っていたんだ(←今さらw
2021.05.02
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第18話「失敗」万花楼(バンカロウ)で始まった花創(カソウ)大会。天原(テンゲン)国太子・靂渊(レキエン)は玄珠(ゲンシュ)を侍らせ、美女たちの舞をながめていた。「どうだ?良い女子はいるか?」すると玄珠は人によって容貌の評価は異なるが、舞なら驪(リ)国の女子には及ばないという。「胆力はそなたに及ばぬな…ふっ」靂渊は玄珠の腰を抱き寄せると、両側の席にいた左紫辰(サシシン)と第二皇子・亭渊(テイエン)は見て見ぬふりをした。一方、公子斉(コウシセイ)こと傅九雲(フキュウウン)は三児(サンジ)に化けた眉山(ビザン)君をお供に花創大会を楽しんでいた。すると九雲は不機嫌そうな紫辰に気づき、暇つぶしに昔の憂さを晴らすことにする。九雲は酒を持って紫辰の隣に腰を下ろし、馴れ馴れしく肩を組んだ。「ところで左大人(ダーレン)は天才的な詩人として有名だ〜それに楽曲の改編もお得意だとか〜? 私の″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″をどう書き換えたのです?教えてくださ〜い」しかし紫辰は酔っ払いにからまれたと思ったのか、公子斉を早々に追い返した。九雲が席に戻ると、眉山は呆れた。「余計なことを~」「恋敵をやっつけてやろうと…」「恋敵など い な い」しかし九雲は紫辰を眺めながら、確かにあの物腰の柔らかさ、覃川(タンセン)が好きになるのも無理はないという。すると眉山は書童に化けていることも忘れ、思わず九雲の背中を叩いた。その時、ついに西域の胡姫(コキ)に成り済ました覃川が登場する。覃川の美しい舞に皇太子は目が釘付け、その時、紫辰と玄珠は胡姫の正体に気づいて思わず顔を見合わせた。美女たちのお披露目が終わり、覃川はその見事な舞で花創大会の勝者となった。観客たちは面紗(メンシャ)を外して顔を見せろの大合唱、しかし皇太子が自ら胡姫の顔を見たいと希望し、大会はそのままお開きとなる。すると店を出た亭渊は馬車の前でちょうど1人で皇太子を待っている玄珠を見つけた。そこでお互いのために香取山のことは秘密にしようと耳打ちする。しかし運悪く靂渊に見られた。「何を話している?!」亭渊は咄嗟に兄の好みはふくよかな人だと助言しただけだと取り繕ったが、靂渊は納得しない。「それで?」「それと~私も胡姫の顔が見たいです」「だめだ」皇宮に戻った靂渊は胡姫と祝杯を挙げ、寝殿へ連れて行った。そこで早速、胡姫を抱き上げて面紗を外そうとしたが、覃川はその手からするりと抜け出す。「私が酒に仕込んだ薬が効き出す頃です…」覃川は軽やかに飛び上がると、振り向きざまに仙弓を引いて靂渊の心臓を射抜いた。ついに2人目を仕留め、霊灯を掲げる覃川、しかし靂渊が目を覚ましてしまう。「…霊灯か、左相国(サショウコク)を殺したのはお前だな?」靂渊が掌を放つと、覃川はあっけなく吹き飛ばされた。「私は強いぞ?」すると突然、殿内に無数の白い鳥が舞い込み、靂渊に襲いかかる。駆けつけた紫辰が鳥を追い払ったが、その間に胡姫は逃げ出していた。覃川は九雲が放った鳥のお陰で難を逃れ、月明かりのもと林の中を走っていた。そこへ突然、紫辰が現れ、剣を突きつける。「覃川、2度と現れるな」すると紫辰は引き返し、覃川を見逃してくれる。一方、書童の姿から解放された眉山はようやく酒にありつき、九雲が何だかんだ言いながら結局、覃川を助けたと揶揄していた。翌朝、街では皇太子を襲撃した刺客の手配書が張り出された。覃川は似顔絵を確認してみたが、異国の娘の絵姿は自分とは似ても似つかない。安堵して店に戻ることにした覃川、すると玄珠が現れた。玄珠はその身なりなら確かに胡姫とはほど遠いと呆れた。「約束でしょう?紫辰に近づかないで」「別の用事で来たの」「そのようね、でも失敗した、あなたは役立たずだわ」玄珠は紫辰が詹事(センジ)を引き受けたのは覃川のためだと言った。しかし覃川はあくまで紫辰自身が選択したに過ぎず、誰の助けもいらないという。「玄珠、いい加減、私に執着するのはやめて、もう大人でしょう? 過去を引きずって生きてはだめよ」覃川は一方的に話を終わらせ帰って行った。覃川は玄珠に強がって見せたものの、復讐の失敗は大きな痛手となった。とぼとぼ燕燕(エンエン)飯店に帰って来た覃川、すると老板娘が慌てて出迎える。「小川!昨夜はどこに行っていたの?!ずっと探していたのよ!」「ぁ…郊外に用があって…」「とにかく早く来て!」老板娘は覃川を店の中へ引っ張って行くと、公子斉が待っていた。公子斉は差し入れの料理が気に入り、娘を譲って欲しいと頼んだ。「無論、ただとは言わぬ、この黄金の花と交換しよう」覃川は拒んだが、老板娘は覃川が見初められたと勘違い、郭(カク)大婶も黄金に目が眩んで覃川を引き渡してしまう。覃川は九雲に無理やり引っ張られて行った。何とか九雲から逃れようと腕に噛みつく覃川、その時、官兵たちがかたっぱしから年頃の娘を捕らえている様子を目の当たりにする。「胡姫が着ていた衣装なら私の部屋にあるぞ?その中でも特に偽物の瞳が好きだな~」覃川はこのままでは捕まると焦り、仕方なく太尉府について行った。覃川は九雲の寝殿に到着するなり、そのまま寝床へ入った。驚いた九雲は勝手に寝るなと叱り、料理を作れという。「ハイハイ、本当は困っていないくせに~」「何だと?!」しかし昨夜から一睡もしていない覃川はあっという間に眠ってしまう。覃川が目を覚ますと、すでに外は暗かった。寝床から出た覃川は殿内を見回しながら歩いていると、文机の上に広げられた絵に気づく。それは燕燕が幸せな公主だった頃の正殿の様子だった。覃川はふとあの頃に戻ったような錯覚に陥ったが、そこへ九雲が現れる。すると九雲は早く厨房へ行けと言った。九雲は最高級の肉を準備し、涼亭で焼くことにした。相変わらず素直になれず、口では覃川のためではないと言いながら、自ら肉を焼いてご馳走する。「そうだ、本物の胡姫は逃した、今頃は帰路についている」覃川は九雲の心遣いに感謝したが、肉には手をつけなかった。「あなたには関係ないことよ、止めないで」「止めるまでもないだろう?今回の失敗で思い知ったはずだ、奴に傷すら負わせられなかった」「挑み続けるわ、何度でもね…だから霊灯はあきらめて 絵なんかで私を説得することはできない、それどころかあの絵を見て自分の使命に確信が持てた」そこで九雲は仕えてくれたよしみで1つ助言すると切り出した。「靂渊の敵はもう1人いる… おとなしく私の料理長を努めればいい、そのうち″誰か″が靂渊を殺してくれるさ」しかし覃川は急に立ち上がり、行ってしまう。「小川!なぜ香取山の時のように忍耐強く待てないんだっ!(はあ~)困らせるな…」九雲は思わず箸を投げた。その夜、鯪(リョウ)州王府に覃川が現れた。「待っていたぞ」亭渊はそろそろ覃川が現れる頃だと気づいていた。そこで覃川は乾坤(ケンコン)袋から霊灯を取り出し、本物の証として左相国の魂を見せる。「疑うならあなたも入ってみる?驪国人にとってはあなたも宿敵よ?…なんてね~ふふふ」覃川は冗談だと笑って霊灯をしまうと、率直に靂渊を殺したいと言った。「あなたの代わりに靂渊を殺してあげる」つづく(; ゚ェ゚)胡姫は逃げられたろうけど、無駄に捕まった娘たちの立場は…
2021.05.01
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第17話「公子斉の正体」鳳眠(ホウミン)山にある公子斉(コウシセイ)の山荘を探りに来た覃川(タンセン)。そこで偶然にも復讐の相手である天原(テンゲン)国太子・靂渊(レキエン)を見かけた。するとなぜかお供に左紫辰(サシシン)がいる。一体、なぜ2人が一緒にいるのだろうか。その時、公子斉こと傅九雲(フキュウウン)は休憩に入り、昼寝しようとしていた。しかし強い妖気を感じ、眠るどころではない。すると書童・三児(サンジ)が慌てて皇太子が来ると伝えにやって来た。「来たのなら会ってやるか…」公子斉は皇太子の来訪を光栄だと喜んだ。靂渊はそれとなく探りを入れたが、公子斉は香取(コウシュ)山に行ったことはないという。実は住まいも持たず風来坊で、絵を描くだけで大した仙術も使えないと言うのだ。そこで靂渊は旧友と良く似ていると話し、公子斉に仮面を取って欲しいと頼む。凄まれた公子斉は仕方なく素顔を見せたが、靂渊は友人と似ても似つかぬ顔に落胆した。しかし仮面を外した途端になぜ髭が生えたのか。すると公子斉は簡単な仙術で変装できると教えた。「間違いないと思ったのだが…詫びの印に皋都(コウト)の広い屋敷に越して来るといい」「それなら明日にでも」靂渊はそこで席を立つと、花創(カソウ)大会にも賓客として招くと約束して引き上げた。思いがけず次の標的と出くわした覃川。そこで竹林の陰から馬車に乗り込もうとする靂渊に狙いを定め、仙弓を引いた。しかし突然、三児が現れ、邪魔されてしまう。「小姐姐?あなたも絵を描いてもらうの?」「違うわ、薬草を採りに来たの」するとその間に靂渊を乗せた馬車が行ってしまう。三児に化けていた九雲は屋敷に入ると元の姿に戻った。九雲の代わりに公子斉に成りすましていた眉山(ビザン)君は皇太子から都に来るよう誘われ、花創大会にも招かれたと報告する。「狙い通りか?分かっているぞ?覃川を探すのが目的だろう?」眉山は靂渊を狙う覃川にとって花創大会こそ絶好の好機、この絵も覃川を引き寄せるためだと承知していた。図星だった九雲だったが、照れ隠しに否定し、覃川がどうなろうと関係ないと強がる。ただ皇太子の妖気は確かに自分の体内の2つの力と同じものだった。まさか妖王は靂渊の背後にいるのだろうか。驚いた眉山は自分の未熟な封印術では効果が一時的だと焦り、用心するよう警告した。靂渊は公子斉が傅九雲でもなければ、自分と戦った相手でもなかったと国師に報告した。また紫辰は自分に従ってはいるが、相変わらず堅物でつまらない男だと鼻で笑う。しかし国師は紫辰が詹事(センジ)になったのは香取山と傅九雲に関係があると疑った。「つまり父親を殺したのが傅九雲だと?」「違う、傅九雲は左相国(サショウコク)に恨みはない、刺客は傅九雲から霊灯を奪った者だ」国師は次に狙われるのは靂渊だと断言、この刺客を利用して傅九雲を誘き出せと指示した。皇太子が秋華(シュウカ)夫人と玄珠(ゲンシュ)のため、李(リ)侍郎の隣に屋敷を準備した。紫辰から話を聞いてすっかり舞い上がる秋華夫人、そんな母を横目に玄珠は靂渊の言いなりになる紫辰を痛烈に非難する。「あなたの学問は太子のために美人を見繕うためのもの?」しかし紫辰は何も答えず、疲れたと言って部屋に帰ってしまう。翌日、紫辰は皇太子に謁見し、花創大会の準備が整ったと報告した。万花楼(バンカロウ)には礼部が選んだ22名の美女が揃い、異国の娘には李管事が天原の礼儀を教えているという。「殿下にお伺いしたいことが…花創大会は他国との国交を結ぶためですか? それとも本当に太子妃をお選びになると?」「太子妃は身分が高く、容貌も美しくなければならぬ…玄珠はどうだ?」「出身も容貌も問題ありませんが、驪国は滅んだので少し不吉かと…」「不吉か…故国に対してずい分と冷静だな」紫辰は詹事として進言したと釈明し、最終的に皇太子妃を選ぶのは皇太子自身だと言った。すると靂渊は紫辰が父の暗殺の件をひと月余りも調べさせておきながら、なぜ手がかりをつかめないのかと訝しむ。驚いた紫辰はひざまずき、知っていたら落ち着いていられるはずがないと訴えた。「私が傲慢で妖神を拝まなかったため、父とは不仲でした ですから父の遺志を継ぎ、殿下のため妖神に忠誠を尽くします! これが父にできる最後の孝行です!」「その心意気に安心した」実は靂渊は左相国を殺した刺客が花創大会で事を起こすことを懸念しているという。しかし紫辰は必ず自分が皇太子を守ると誓った。町中の娘たちの憧れの的、公子斉が都に現れ、大街は大騒ぎになった。燕燕(エンエン)飯店の老板娘と郭(カク)大婶も御多分にもれず、公子斉から署名をもらおうと覃川を道連れに群衆に突撃する。覃川は人混みにもまれながら、この仮面の仙人があの時の公子斉なのかと思うと、署名をもらうことも忘れて見惚れていた。覃川は万花楼へ出前を届けにやって来た。そこで公子斉の山荘で見かけた西域の娘を見つける。覃川は娘の部屋を訪ねると、特別に西域の料理を差し入れした。「絶対に頑張ってね!一番きれいだもの、たくさん食べて私みたいに太ってね!」「え?」「ぁ…その~太子はふくよかな人が好みなの」胡姫(コキ)は思わぬ情報を手に入れ、感謝した。覃川が燕燕飯店に戻ると、老板娘と郭大婶がなぜか得意料理を作れと言い出した。そこで覃川は久しぶりに九雲が好きだった甘酢炒めを作ったが、2人が公子斉に持って行けという。今や町中の娘たちが競って料理を差し入れており、郭大婶もこっそり届けに行ったが、若くないと追い返されていた。公子斉の滞在先である太尉府の前には岡持ちを持った娘たちが集まっていた。すると家職が現れ、銀1銭を納めた者から料理を受け取ると告げる。娘たちはこぞって銭を払おうと家職に群がったが、覃川は呆れてその場を離れた。「老天爺、食べ物を無駄にはしません、公子斉とは縁がないので私が頂きます~ふふふ」覃川は人けのない裏門の石段に腰掛け、自分の料理を頬張った。その時、騒ぎからこっそり抜け出そうとした公子斉が現れる。「いいのか?届けずに盗み食いして…お?甘酢炒めか?!私の好物だ」「…あなたも?」「ふっ、他にもいるのか?」覃川は九雲が美味しそうに甘酢炒めを食べていた姿を思い出し、小さくうなずいた。「それを頂こう、中へ」公子斉は覃川の料理を嬉しそうに食べた。そこへ張(チョウ)太尉が押しかけた娘たちのことでやって来る。しかし覃川に気づき、すでに料理を作る美女がいたのかと笑った。「彼女は…″最愛の侍女″です、長年、仕えているので私の好みを知っています」その言葉で覃川はようやく公子斉が傅九雲だと気づいた。張太尉は賓客の世話をする侍女がいると知って安堵し、帰って行った。事実に気づいた覃川は慌てて帰ろうとしたが、公子斉が引き止める。「…傅九雲」「ふっ、そなたときたら…」九雲は仮面を外すと、最初は白虎に襲わせ、次は眠り薬で置いてきぼりかとこぼした。「驪国で私をからかったのもあなただったのね?」「…そうさ、私の曲を書き換えても許されるのは1人だけ、公主殿下」九雲は覃川が都にいることも、鳳眠山に来たこともすべて知っていた。次は恐らく異色の瞳とかつらで変装し、西域の舞の代わりに驪国の舞でも披露するつもりなのだろう。九雲は覃川の浅知恵をあっさり見抜いたが、ここに来た目的は覃川でも霊灯でもないと否定、自分たちは無関係だと突き放した。「ならなぜ来たの?…ああ~目的は美女ね?」「もちろんそなただ…そなたの力でどんな騒ぎを起こせるのか見てみたい 力尽きて底知れぬ深淵に落ちる時、″九雲大人(ダーレン)助けて″と言うか?」「残念だったわね!たとえ深淵に落ちても自分で生きて行ける!今日の話を覚えておいて」九雲に挑発された覃川は憤慨して帰って行った。復讐に駆られた覃川にはまだ九雲の本音まで見抜く余裕はないのだろう。「傅九雲も公子斉もただの名前だ…前回はそばにいられなかった、今度はそなたを放さない」♪~からの周深メンターの歌wするとその夜、覃川は大切に持っていた紙人形を燃やした。それから3日後、花創大会の当日の朝、身支度を整えた胡姫は片方の耳飾りを失くして探していた。その時、突然、差し入れを届けてくれた娘が現れる。その娘は探していた耳飾りを持っていた。「ありがとう!」胡姫は耳飾りを受け取って予行演習に向かおうとしたが、突然、後ろから手刀で打たれ、卒倒してしまう。陽が暮れるといよいよ花創大会が始まった。皇太子の隣で仕える玄珠を見ながら複雑な心境の紫辰、その時、遅れて第二皇子・亭渊(テイエン)が到着する。紫辰と玄珠は亭渊があの二萌(ジホウ)だと気づいて内心、驚いたが、決して顔には出さなかった。つづく(  ̄꒳ ̄)あの~白公子はどこへ?w
2021.04.30
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第16話「復讐の第一歩」朝廷から礼部の李(リ)侍郎が左府にやって来た。今日は紫竹林(シチクリン)で詩人を招いた春の歌会がある。左相国(サショウコク)は李侍郎も是非にと招待していると、ちょうど左紫辰(サシシン)が挨拶に現れた。李侍郎は立派な青年だと褒め、″献天寿令(ケンテンジュレイ)″を書くだけのことはあると感心する。「李大人(ダーレン)、ぜひ息子を国のために使ってください、李大人が頼りです」「妖魔の国のためにですか?…妖魔がいれば私など不要でしょう?」紫辰は自分を勝手に仕官させようとする父を非難したが、左相国は笑ってごまかした。「李大人、息子は仙山から帰ったばかりで、不思議な体験をしたせいか、このような戯言を…」「わははは~面白いことを言う御子息ですな~」李侍郎は問題にしなかったが、憤慨した紫辰は歌会を辞退しようと決めた。しかしそこへ秋華(シュゥカ)夫人が現れる。左相国は李侍郎に驪(リ)国皇后の妹だと紹介、すると秋華夫人は娘が舞の準備をしていると話した。「紫辰の伴奏がなければ娘は1人で踊る羽目になるわ~ふふふ」紫辰は嫌々ながらも玄珠(ゲンシュ)のために歌会で琴を弾いた。李侍郎は美しい玄珠に目を奪われ、左相国に宴の後には″人″も味わいという。しかしそんな2人の話を耳にした紫辰はほとほと嫌気が差し、舞が終わった途端に席を立って出て行ってしまう。その頃、復讐を誓った覃川(タンセン)は人知れず林を駆け抜けていた。桃小令(トウショウレイ)の話では左相国が今日、紫竹林で宴を開いているという。やがて覃川は竹林に響く話し声に気づき、その声を頼りに進んだ。「天原国は屈強な国となった、ここに妖兵をもって敵を殲滅(センメツ)したと宣言する…」宴ではちょうど左相国が杯を手に立ち上がり、乾杯しようとしている。覃川は惨殺された民たちの無念を思いながらゆっくり仙弓を引き、憎き左相国の心臓に狙いを定めた。紫辰は馬を駆けていたが、ふと胸騒ぎがして引き返した。するとすでに招待客たちが逃げ出した宴で息絶えた父の姿を発見する。「父亲(フーチン)…しっかりしてください…父亲っ!」その時、父の身体からふっと霊気が抜け出し、飛んで行ってしまう。やがて左相国の魂は覃川が掲げていた霊灯に吸い込まれて行った。「これで1人目…霊灯は世界の苦難の受け皿、驪国を裏切り、滅した者の償いの場よ…」一方、静養していた傅九雲(フキュウウン)は急にあることに気づいた。覃川がもし復讐を遂げても霊灯をともせるとは限らない。「それを決められるのはつまり?…おいっ!どこへ行く?!九雲!」眉山(ビザン)君は霊力を抑えるなら半年休めと叫んだが、九雲は飛び出して行った。「心配なら一緒に来いよ!」紫辰は父の葬儀を済ませた。左相国の死を目の当たりにした紫辰は父と和解できなかったことを深く後悔し、遺志に従って皇太子に仕えようと決意する。そして事件からひと月、中元節が近くなる頃、紫辰はついに参内した。秋華夫人は中元節の準備のため街へ出かけた。しかし倹約するどころか左府の付けで贅沢ざんまい、玄珠は頭が痛い。すると急に店の外が騒がしくなった。何事かと思えば、久しぶりに都へ戻って来た第二皇子の行列がやって来る。その時、玄珠は偶然、窓から顔を出した第二皇子を見て困惑した。「どこかで会ったことが…」その頃、覃川は料理の腕を活かし、都の燕燕(エンエン)飯店で料理長として働いていた。街では近づく花創(カソウ)大会を前に皇太子の花嫁候補となるべく娘たちが奔走している。その日、覃川は花創大会の会場となる万花楼(マンカロウ)へ出前を届けにやって来た。そこで顔見知りの老板に差し入れを渡して機嫌を取り、こっそり会場を盗み見る。次の標的は皇太子・靂渊(レキエン)だ。紫辰は東宮詹事(センジ)として初日の仕事を片付け、皇太子に謁見した。すると靂渊は香取(コウシュ)山で目を治してもらった紫辰に探りを入れる。「傅九雲を知っているか?…単なる興味だ、どんな容姿でどんな仙人だ?」「…傅九雲は女好きの遊び人ですが、能力は群を抜いていて、山での力は絶大でした 正しい取捨選択のできる人物かと」しかし紫辰は全て聞いた話だと答え、屋敷からあまり出て来ないため、会ったのも一度だけだと嘘をついた。靂渊はどうやって香取山から逃げ延びたのか訝しむと、紫辰は友人が逃がしてくれたと説明する。「驪国諸侯の娘・玄珠です、私に付き添って香取山に…」「玄珠なら知っている、母親の秋華が有名だからな 何でもあらゆる宴に招待もなく出席しているとか、そう言えば…」紫辰は思わず秋華夫人も父の古い友人だと告げ、話を遮った。仕方なく靂渊はそこで切り上げ、明日は紫辰も東苑(トウエン)に同行するよう命じる。「玄珠と母親も連れて来てくれ」紫辰が竹林に戻る頃にはすっかり暗くなっていた。中庭には玄珠がいたが出迎えるわけでもなく、ただ紫辰を冷ややかに見つめている。紫辰もそのまま素通りし、直接、秋華夫人を訪ねた。「明日、殿下が夫人と玄珠も一緒に東苑へと…」「本当に?!玄珠にもすぐ伝えるわ!」秋華夫人は思わぬ好機を喜び、最近の玄珠の態度を許して欲しいと謝った。「いいえ、玄珠が怒る気持ちも良く分かります」玄珠は文人としての誇りを捨て、権力に降った紫辰に怒っていた。その夜、覃川は記憶を頼りに花創大会の会場の見取り図を書いていた。すると老板娘と郭(カク)大婶から話があると呼び出される。何事かと思えば、覃川もそろそろ年頃のため、家族を持ってはどうかと言うのだ。そこで覃川はお金が貯まったら豆豆(トウトウ)哥が迎えに来てくれると嘘をつく。「絵描きなの、世界を旅して感性を磨いているわ」「絵描き?…まさか!イヤイヤイヤ~公子斉(コウシセイ)なわけないか~」(;゚Д゚)<公子斉ーっ?!実は今、街にあの有名な絵描きの仙人・公子斉が滞在しているという。翌日、秋華夫人と玄珠が東苑にやって来た。すると靂渊は玄珠に白河(ハクガ)龍王が死んだのになぜ無事なのか尋ねる。玄珠は弟子を守って亡くなった龍王を恩人だと言ったが、片や香取山主は弟子を見捨てて逃げ延びたと非難した。「私を恐れないとは良い度胸だ、気に入った」皇太子の言葉に期待が膨らむ秋華夫人、そこへ臣下が妃候補の絵姿を持って来た。しかし靂渊は実物より美しく書く絵師の姿絵にへき易、もう不要だとはね付ける。そこで巻物をひとつ紫辰に渡し、代わりに評価しろと命じた。紫辰は早速、巻物を広げて見たが、その出来栄えに目を見張る。「(はっ!)これは…まさか」紫辰の反応に驚いた靂渊は巻物を奪い取り、その美しさに驚いた。「誰が描いた?!」紫辰と玄珠は口をつぐんだが、おしゃべりな秋華夫人が公子斉の絵だと口を滑らせる。「絵と音楽に精通し、色を好む仙人です、噂では女遊びをするので顔を隠しています 毎日、仮面をつけ、琴を弾いて過ごすとか…」「琴だと?」靂渊は公子斉が驪国の皇宮に現れた例の仙人ではないかと疑った。公子斉は鳳眠(ホウミン)山にいた。山荘の庭には公子斉に姿絵を描いてもらおうと、若い娘が列をなしている。一方、覃川は仕事を片付け、休みをもらうことにした。鳳眠山へ行くと聞いた郭大婶は覃川まで皇太子妃になる妄想に取り憑かれ、公子斉に姿絵を描いてもらうつもりだと呆れる。しかし老板娘は珍しくお洒落した覃川を可愛いと褒め、喜んで送り出してくれた。公子斉こと九雲は西域から来た娘・胡姫(コキ)の姿絵を完成させていた。絵を見た胡姫は見事な出来栄えに満足し、妃に選ばれた暁には必ず礼に来ると約束して帰って行く。ちょうどその時、覃川がロバを引いて公子斉の山荘に到着していた。すると屋敷から出て来た胡姫を見かける。覃川は美しい胡姫に目をつけ後を追ったが、その時、前から侍衛たちを引き連れた靂渊と紫辰がやって来た。「なぜ彼らが一緒に?!」ロバの影に隠れてやり過ごしながら、覃川は首をかしげた。つづく✩°。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝ 折り返し~!
2021.04.29
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第15話「血の契り」深傷を負った傅九雲(フキュウウン)を甲斐甲斐しく介抱する覃川(タンセン)。その夜、九雲は覃川が作ってくれた夕食を楽しみながら、このまま出て行かないで欲しいと頼んだ。覃川は黙ってうつむくと、九雲はあの日の告白なら気にするなという。「…本心じゃないことは知っているわ、仙人が人間を愛するわけないもの」「本心だ…小川と食事ができて幸せだよ」「最近のあなたは甘い言葉ばかりね、何か企みがあるの?」「別にいいだろう?見返りなど期待していないさ」すると酔いが回って来たのか、九雲は次第に朦朧として来た。「想像してみろ?大切な人をずっと守り続ける気持ちを…私はそなたの幸せだけを望んでいる 悲しい思いをせずに楽しく生きて欲しい、不安のない人生を…」覃川は照れ隠しに失笑し、自分もできることならそうしたいという。「バカね…」しかし九雲はそこで意識を失った。「ごめんね、眠り薬を飲ませたの、でも良い休養にもなるわ…さようなら」覃川は恩師である師匠の墓へ到着した。そして墓前で九雲から奪った霊灯を取り出し、指先を切って血を吸わせる。…妖魔を封じるためには、まず3人の宿敵の魂が必要です…そして最後に自分の魂を差し出さねばなりません覃川は師匠の言葉を思い出したが、迷いはなかった。「左相国(サショウコク)、靂渊(レキエン)、天原(テンゲン)国皇帝…絶対に逃すものですか…」一方、桃源(トウゲン)鎮の宿では、覃川が見張りを任せた紙人形が侵入者に気づいて起き上がった。眉山(ビザン)君は可愛い人形を見て喜んだが、うっかり噛まれてしまう。翌朝、覃川は師匠の墓の前から仙弓を掘り起こした。すると突然、少女が現れる。少女は師匠が植えた桃の妖精・桃小令(トウショウレイ)だった。本来なら小令は豊(ホウ)城にいるはずだったが、住みかの紫竹林(シチクリン)を左相国に奪われてしまったという。「友だちを置いて来てしまったの、逃げ遅れた桃は無理やり花を咲かさせられる…最悪よ」「安心して、紫竹林は必ず取り返す」そこで覃川は小令に九雲の様子を見に行ってもらうことにした。九雲は三日三晩、眠り続け、ようやく目を覚ました。するとなぜか眉山の山荘にいる。眉山の話から実は覃川が食事に眠り薬を混ぜたのだと分かった。驚いた九雲は乾坤(ケンコン)袋を取り出して調べたが、やはり霊灯がない。「まずいっ!」九雲はすぐ出発しようと立ち上がったが、めまいで動けなかった。「落ち着けよ、あいつの紙人形に伝言を書き残しておいた」しかし九雲は覃川が霊灯と血の契りを結んでことに気づき、このまま霊灯をともせば覃川が死んでしまうと焦る。眉山は霊灯に宿敵の魂を捧げるのは容易ではないとなだめ、何より覃川は心のどこかで九雲を求めているはずだと言った。驪(リ)国人が帝女の復讐にしか興味がない中、九雲だけが覃川を心配し、守ろうとしている。「お前だけが覃川の心をこの世につなぎ止めておける存在だ」九雲は眉山の説得で落ち着いた。すると眉山は近頃この辺りでも妖魔が現れるようになったと教える。九雲は自分が狙いだと教え、実はまた力が暴れ出したと話した。師匠が命と引き換えに九雲の体内に封じ込めた2つの霊力、それが再び活気づいているという。心配した眉山は自分が一旦その力を鎮め、半月ほど休むよう勧めた。「その間に覃川を助ける計画もじっくり考えよう」国師は傅九雲の霊力を見失った。どうやら腕が立つ仙人が仙術で隠しているらしい。靂渊は困惑したが、国師はそれでも傅九雲の焦りが感じ取れると話した。「なぜだ?(はっ!)まさか!…霊灯か!」左紫辰(サシシン)は手元に戻って来た燕燕(エンエン)のかんざしをまた挿すことにした。しかし竹林で別れを告げられたことを思い出し、結局、箱にしまってしまう。その時、父が呼んでいると知らせが来た。紫辰は早速、父を訪ねると、ちょうど王(オウ)管事が左相国(サショウコク)の詩・献天寿令(ケンテンジュレイ)を絶賛している。そこで左相国は息子に添削を頼んだが、巻物を見た紫辰の顔色が一変した。「媚びた詩ですね…九天義和(キュウテンギワ)は妖魔でなく仙人です、天元国にはふさわしくありません どうせなら″閻魔大王、灼(ヤ)き葬るべし″と改めてはどうですか?」左相国は昔のことを引きずらないよう諭したが、紫辰は父が初めて添削してくれた詩を持ち出し、痛烈に批判した。「″丹心溢(アフ)るる″の句を覚えていますか? 父亲(フーチン)は″丹心″から″磁心″へ書き換えた、私にも磁石のような忠誠心を持てと… 磁心のあった時代をもうお忘れになったのですか?父亲?」紫辰はやはり父と和解するのは難しいと実感した。秋華(シュウカ)夫人は煮え切らない紫辰にしびれを切らし、玄珠(ゲンシュ)に駆け引きするよう煽った。そこで玄珠は紫辰に嫉妬させようと、権(ケン)御史の息子と出かけると嘘をつく。紫辰は聞いたことのない名前だと首を傾げたが、ならば馬車を用意させておくと言った。「楽しんでおいで~」玄珠が無関心な紫辰に落胆していると、左相国がやって来た。すると左相国は左家に玄珠に嫁いで欲しいと懐柔し、それとなく燕燕の消息を聞き出そうとする。「大人(ダーレン)…」「おいおい、大人ではなく″叔父″と呼んでくれ」しかし玄珠は紫辰との約束を守り、香取山での出来事も燕燕のことも上手くごまかした。一方、秋華夫人も紫辰に行動を起こさせようと策を講じた。「娘もいい年だから身を固めないとね~王(オウ)少卿(ショウケイ)をご存知かしら?」「ぁ…王御史の御子息ですか?」「え?あ~そうそう、玄珠を気に入っているみたいで~」「ぁ~良縁ですね~」紫辰は適当に話を合わせたが、王少卿が誰なのか分からない。その夜、紫辰は床に入ってからも権御史や王御史が誰なのか考えていたが、ようやく作り話で自分を牽制したのだと気づいた。師匠と過ごした山荘でしみじみ孤独を実感する覃川、すると小令が戻って来た。しかし九雲はすでに宿を出ており、その代わり紙人形に伝言が残っていたという。…天涯海角、至る所に必ず現れる…小令はこれを書いた人が覃川を好きだと分かったが、覃川は照れ隠しに迷惑だと言った。「勝手に現れないで欲しいわっ!…てかどうせ冗談よ!」そんなある日、左府に李(リ)侍郎が訪ねて来た。実は皇太子が才能ある者を招き入れたいと考え、左紫辰に強い関心を持っているという。そこで左相国は息子に非難された詩・献天寿令を紫辰が書いたと嘘をついて謹呈した。李侍郎は紫辰の詩なら1字に千金の価値があり、しかも天原国の皇室に捧げた詩となればなおさらと感激する。そんな事とは知らず、貴賓への挨拶に向かった紫辰だったが…。つづく|ω・`)話が細切れ過ぎるわ~
2021.04.29
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第14話「温めてきた想い」その夜、傅九雲(フキュウウン)は首の封印がうごめき、慌てて宿を抜け出した。真夜中の林の中で気を整える九雲、すると黒衣に着替えた覃川(タンセン)が走って行く姿が見える。一方、覃川は九雲が密かに出かけた隙に1人で旅立つことにした。しかし突如、九雲が現れる。「言っただろう?傷が治ったら一緒に探すと…」「口先だけじゃない!」「私のそばにいて欲しいんだ、何の心配もなく平凡な幸せを味わって欲しい」「驪(リ)国の帝女には無理な話よ」覃川は九雲に指図する資格などないと反発した。すると仕方なく九雲は明日の朝、一緒に霊灯を探しに行くと約束する。「だからそんな顔をするな…な?」左相国(サショウコク)は息子たちを連れて豊(ホウ)城の左府に到着した。秋華(シュウカ)夫人は立派な屋敷に目を輝かせたが、あえて長居はしないと遠慮してみせる。すると左相国は息子の世話をしてくれた玄珠(ゲンシュ)への恩返しに、このまま留まるよう勧めた。母娘が偏殿へ向かうと、左相国は前庭にある妖神の像を詩人の像に替えるよう命じた。しかし左紫辰(サシシン)は無用だと止め、居所へ行ってしまう。すると左相国は密偵にしばらく息子から目を離さないよう指示し、どこへ行って誰と会ったか、何を話したか報告するよう命じた。「…玄珠との会話は重要だ」九雲と霊灯探しの旅に出た覃川、しかし何もない高原を永遠と歩かされ、やがて日も暮れる頃、山頂へ到着した。実はここは九雲が最初に修行した場所で、100年間もたった1人だったという。その頃、意識は混沌とし、自分は何者なのか、孤独も喜びも悲しみも何も知らなかったが、一瞬で音もなく落ちて行く星々を見て、どんな偉大なものもいつかは滅ぶと悟った。「じゃあいつ孤独を感じたの?」そこで九雲は近くの岩に腰掛けると、覃川も隣に座った。「師父の絵を見た時だ…師父は人間界を描いた、絵の中の多くの人から様々な感情を学んだ そして生命の意味を悟った」「仙人はこうやって高い場所から簡単に人間の運命を変えるんだ?得意げにね」しかし九雲は仙界と人間界の境界を越えて運命を変えることなどできないと教える。覃川はならば一度も誰かの運命を変えたいと思ったことはないのか聞いた。「…ある」九雲はそれが覃川だと教えなかったが、不思議なほどひどい運命を持っていた人間だと話す。最初はもがいている姿を楽しんでいたが、やがていつ諦めるのかどうしても見たくなった。そして先に待つ苦しみを知らず、その人間がただ運命にあらがう様子を見ている時、初めて孤独を感じたという。「…でもその人間は孤独ではないと思う あなたは全てを見渡せるけれど、その人が味わった思いまでは分からない」「違う、全てが見えるから私には分かる、あらゆるものが最後には無に帰すると… 闘うより今を楽しむほうが良い、今を大切にしていないのはそなただ」「何が言いたいの?」九雲は覃川に平凡な幸せを感じて欲しいと訴え、それが自分の願いだという。まさか九雲が運命を変えたい相手とは自分なのだろうか。覃川は困惑し、思わず立ち上がった。「私は驪国の帝女よ、それに仙人のあなたに私の幸せなんか関係ない、よっぼど暇なの? それとも…私が好きなわけ?」「ふっ、好きなもんか」九雲は覃川と向き合うと、ついに千年の想いを告白する。「…そなたを愛している」しかし激しく動揺した覃川は逃げるように走って行ってしまう。下山した覃川と九雲、しかし夜も更けたことから九雲は明日の朝から探そうと提案した。気がはやる覃川はこのまま霊灯を探すと反対したが、九雲が止める。「小川、やめろ…本当の霊灯はここにある」九雲は覃川に盗まれないよう香取(コウシュ)山で偽物とすり替えておいたと暴露した。「そなたを死なせたくなくてな」驪国滅亡は天命であり、誰にも変えられない。九雲は幸せな道を選び、人生を全うすれば良いと説得した。「私の人生は今しかないの…」九雲が自分の望みを知りながら騙し続けて来たと知った覃川は激情に駆られ、白紙仙術を放った。しかし九雲は迫り来る白虎を避けず、肩を噛まれて倒れてしまう。「小川、忘れなくてもいい…私はただそばにいて、そなたの苦しみを減らしてやりたいだけだ 確かに短くうわべだけの幸せもある…それでもいい…」「何を言ってるの?!私が生きようが死のうがあなたに関係ない…だって… 私はあなたを愛していない!」「構わない…全て私が望んだことだ…霊灯は渡せない…恨むなら私を恨め… 長旅をして探す必要はない、私はここにいる、殺すのは簡単だ 小川には私がついている、どうなろうと一緒にいるよ…ただ霊灯だけは渡せぬ…」すると九雲は意識を失った。覃川は深手を負った九雲を抱きしめながら、その愛情に心が揺れた。霊灯を使えば魂が霧散し、永遠に苦しむことになる。確かに身寄りのない普通の娘である覃川が苦しむ必要はないのだろう。しかし覃川になる前は驪国の帝女だったのも事実、帝女にとっては大きな意味があった。「もう2度と…苦しませない…」九雲は意識を失いながらも涙を流し、うわごとで覃川を心配していた。…九雲、何度も何度も私の命を救ってくれた、小川は恩知らずじゃないわ…霊灯のことは怪我が治るまで待つから一方、左相国は紫辰に思わぬ贈り物を渡していた。「分かっておる、それはお前の大切な物なんだろう?だから取り戻した」木箱には手放したはずの燕燕(エンエン)との思い出、玉のかんざしが入っていた。感激する紫辰だったが、左相国はそれとなく燕燕の消息を聞き出そうとする。「あれから会ったか?元気だったか?」左相国は驪国が滅んだ後に後悔したと吐露し、両国の紛争に幼い公主まで巻き込んでしまったと反省した。しかし父の思惑に気付いた紫辰は黙ってかんざしを箱に戻してしまう。「失明してから公主には会っていません」九雲が目を覚ますと、宿に戻っていた。枕元では覃川が居眠りしている。安堵した九雲はそっと覃川のおでこに口づけしようとしたが、急に覃川が目を覚まして頭を上げた。「(ガツン!)うっ!」「(はっ!)どうしたの?大丈夫?」「小川、どこにも行かないでくれ」「行かないわ、ここで看病する」九雲は涙を拭うと、またいつもの傲慢な仙人に戻った。紫辰は人が変わったように優しくなった父に困惑していた。そこで玄珠に父から燕燕のことを聞かれたが教えなかったと話す。「何か裏があると感じる、玄珠?誰かに聞かれても燕燕や香取山のことを話さないでくれ」しかし2人の話を密偵が聞いていた。九雲は覃川と幸せな時間を過ごした。しかしある夜、気を巡らせていると、再び国師が放った黒煙のせいで封印がうごめきはじめる。九雲は不穏な動きを察知しながら、それでも甲斐甲斐しく尽くしてくれる覃川の姿に目を細めた。そんなある日、沐浴していた九雲は覃川に着替えを頼んだ。「持ってこないなら裸で出て行くぞ?!」「あーもう分かった!メンドクセ〜ブツブツ」すると覃川は偶然、九雲の衣の上にある巾着を見つける。巾着が気になる覃川だったが、結局、中を確認せずに元に戻した。「傅九雲!持って来たわよ?…傅九雲?!」覃川は返事がないので湯殿に入ると、隠れていた九雲が突然、現れ、覃川を抱きしめて口づけした。玄珠は夜食を届けに来たが、紫辰はどこか上の空だった。「燕燕を探したいのね?」「心配なんだ、まだ復讐するつもりなのでは…」紫辰はあの無鉄砲さが気がかりだった。香取山に潜入したのも、何か命懸けのことをするためだったのだろう。しかし玄珠は例え燕燕を見つけ出せたとしても、今の紫辰には何もできないと現実を突きつけた。九雲は覃川の夕食を楽しんでいた。しかしなぜか覃川が口をつけていないと気づく。九雲は何か企んでいると怪しんだが、覃川は料理くらいで九雲が満足するなら、この世も悪くないと思ったと笑った。「ならば出ていかないんだな~」すると覃川は黙ってうつむいてしまう。「あの日の話は気にするな」「…分かってる、私を引き留めたくて心にもない告白をしたのよね? 本心じゃないことは知っているわ、仙人が人間を愛するわけないもの」「本心だ…小川と食事ができて幸せだよ」つづく(  ̄꒳ ̄)気がつくと見入ってる、やっぱり上手いな~ルースー(←そればっかりwそしてまたしても周深、だけど今回はエンディング曲が好き(^ꇴ^)
2021.04.28
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第13話「逸る気持ち」傅九雲(フキュウウン)が突然、覃川(タンセン)の前に現れた。九雲は覃川を桃源(トウゲン)鎮へ連れて来ると、まるで何事もなかったかのように陽気に振る舞う。「傷は治ったの?痛むなら無理に出歩かなくても…」「無理などしていないさ~」「戦いのあと、一体どこにいたの?」すると九雲はようやく絵の中で傷を癒していたと答えた。実はあの絵は九雲の隠れ家、しかし天原国太子と戦って台無しにしてしまい、今や身を隠す場所もないという。覃川はひとまず宿で部屋を頼むことにした。すると九雲が巨大な真珠を出して貸切にしてしまう。九雲を心配していた覃川はすっかり振り回され、部屋にこもって悶々とした。…元気そうだし傷もなさそう、霊灯を探す様子もないわ、霊灯のことなんて気にもしてない…その時、九雲が酒を持ってやって来た。覃川は戸を開けて九雲だと分かると閉めたが、九雲はいつの間にか仙術で部屋に入ってしまう。「私をからかって楽しいの?今この瞬間にも無辜の驪(リ)国人が殺されているのに!」焦りを隠せない覃川は自分で霊灯を探すことにしたが、九雲は鯪魚(リョウギョ)城にはないと教えた。しかも今は傷を負っている身、霊灯より哀れな自分に同情して欲しいという。確かに覃川も九雲の身体は心配だった。そこで仕方なく万全の状態になったら必ず探しに行くという九雲を信じ、酒に付き合うことにする。一方、鯪州王府では靂渊(レキエン)と亭渊(テイエン)が一見、仲良さそうに囲碁を打っていた。互いに相手の腹を探り合う2人、すると靂渊が亡国の才子・左紫辰(サシシン)を懐柔して仕官させたいと持ちかける。しかし亭渊は興味がなく、それより今年こそ一緒に中元節を祝おうと誘った。「そうだな、忙しくなければ一緒に楽しもう」「いつもそう言って会ってくれませんけどね~」覃川は仙術で自分をからかう九雲に腹を立て、仙術禁止令を出した。すると九雲はならば非力となった自分の世話をして欲しいと条件を出す。「腹が減ったな~甘酢炒めが食べたい」「お断りよ!」「もう私のものではないのだな…私の侍女はどこへ行ってしまったんだ~うわ~ん」九雲は卓にうつぶして大げさに泣きわめいた。一方、豊城(ホウジョウ)へ出発した左紫辰(サシシン)たちは途中で馬車を止め、小休止していた。すると左相国(サショウコク)が息子を誘ってその場を離れる。「秋華(シュウカ)夫人が私と一緒にいるのは娘をお前に嫁がせるためだ だがお前にはその気がないのだな? もう大人だ、お前の考えがあるのだろう、それで構わん 気が向いたら時々、顔を見せに帰って来い」左相国は自分から離れた息子の心を取り戻そうと必死だった。「四海紀を集めたぞ、闌洲(ランシュウ)紀もあと2巻だ、お前が家を出てから2年かけて集めていたんだ 目が治ったらすぐ読めるようにな」左相国は自らを責め続けていたと吐露し、父親として間違っていたと謝罪した。老いた父の弱々しい姿に同情した紫辰は、父の願いを聞いて豊城でしばらくそばにいると約束する。一方、秋華夫人は玄珠(ゲンシュ)を紫辰に嫁がせようと画策していた。今や自分たちは左家の機嫌を損ねれば吹けば飛ぶような存在、娘が嫁げば見捨てられずに済むという。玄珠は下心なく純粋に紫辰を想っていると訴えたが、母はどちらにしても早く紫辰に嫁げと急かした。「玄珠…私の運命はあなたにかかっているのよ?」九雲は覃川と市場へ出かけ、2人の時間を堪能した。お揃いのお面を頭に着けて露店を回り、九雲は次々と目についた物を買ってしまう。「無駄遣いして歩くなんて…本当の人間みたい」「そなたもだろう?」九雲から皇宮育ちを揶揄された覃川は、ならばと自分の好物の露店に案内した。「昔は贅沢三昧の公主だったのに、今は一文の酥油餅(スーヨウビン)が美味しいとはな?」「(もぐもぐ…)はあ~妖魔が襲って来てもこれがあれば幸せだわ」九雲は安上がりだと失笑し、宮中を出た頃も泣かなかったのか聞いた。「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン 泣かなかった、だってね、面白いことがたくさんあったの 買い物で支払いを忘れたり、髪型を失敗して変になったり…そうそう! 身体中にすごくかゆい斑点ができたことがあったわ!それで買った肉をひっくり返しちゃったり! …だからもう慣れた、私にとっては何でもないの」「ではもう帝女の頃に未練はないと?」「フル(・_・ ))(( ・_・)フル 考えたこともないわ、これが現実だもの、それに今はやるべきことがある、だから大丈夫!」「やり遂げてもそなたの父皇も母后も二哥も戻らないぞ?」「分かってるわ、もちろん全て分かってる だけど父皇や母后、それに二哥も、天界で安心してくれるんじゃないかな? 以前は頼りなかった小公主が自分たちのようにたくさんの人を助けるのを見たら…」九雲は健気な覃川の言葉に胸を打たれた。しかし当の本人はけろりとしながら、講談が始まったと言って走って行ってしまう。講談は人間を愛してしまった仙女の話だった。九雲は仙女に自分の姿を重ね、興味深く話を聞く。…恙(ヨウ)王を愛した仙女はついに正体がバレた仙人が人間の子を成せば神々の怒りを買い、10年の干ばつと10年の洪水が襲うそこで仙女は天界へ戻って罰を下さぬよう説得すると決意、恙王に自分が戻るまで他の人を娶らないで欲しいと頼んだ仙女は天界で壮絶な罰を受けたが、恙王との幸せな記憶を支えに耐え続け、やがてそんな仙女を哀れんだ母親が願いを聞き入れてくれる喜んだ仙女は人間界へ戻ると、仙女を心配して待っていた恙王は白髪になっていた仙女は愛する恙王に罰を受けたことを隠し、天界で夫婦になろうと言ったが…講談を聞きながら、覃川は九雲だったら待てるか聞いた。九雲は本気の恋なら千年の時間も一瞬だとさらりと答える。まるで経験者みたいだと笑う覃川、まさか九雲が千年も自分を探していたとは知る由もない。すると覃川は結末の前に恙王は天界へは行かないと言い当てた。「聴衆は幸せな結末を望むけど、恙王は一国の王よ?もし行ってしまったら民が苦しむわ」「だが仙女にも恙王が必要だ、大勢のために1人を諦めることが本当に正しいか?」「もし恙王が天界に行っても心にしこりが残る、美しい日々も彼には地獄だわ 私が恙王でも人間界に残ると思う!たとえ後悔したとしてもね!」覃川は思わず声が大きくなり、聴衆たちから何と冷たいのかと噛みつかれてしまう。2人は幸せな結末を期待する聴衆の怒りを買い、慌てて逃げ出した。そこで物陰に身を潜めてやり過ごしたが、九雲は抱きしめた覃川をなかなか離してくれない。すると覃川の高鳴る動悸が聞こえ、九雲はこの機に乗じて口づけしようと顔を近づけた。「あ…お腹が空いた」九雲は覃川が麺を食べる姿を苦々しい顔で眺めていた。やがて我慢も限界、九雲は霊灯や驪国人のことを考えない日はないのかと責めてしまう。「あるわ…」「いつだ!」「教えないっ!」「はっ!そうか!じゃあ食え!」そこへ物乞いが現れた。覃川は物乞いが驪国人だと知って恵んであげたいが手持ちの銭がない。すると九雲が大きな真珠を渡し、これでちゃんとした生活をしろと送り出した。「あの真珠は返すわ」「いいさ、だが手持ちの2つは宿と彼に渡してしまった 旅に出る金がないから、もう少しここにいるのはどうだ?」「また先延ばしにするつもり?!」「貧しき者を救うためだったんだ~しかもそなたのためにな」「人助けは自分を犠牲にせず行うものよ!」「…できることをして自分を犠牲にしない、その通りだ、なら自分はどうだ?」痛いところを突かれた覃川は反論することができなかった。豊城に戻った靂渊は妖魔を崇める密室へ向かった。すると車椅子の国師が現れる。「殿下、そなたが送った煙書は見た、確かにあの者か?」「間違いない、結界の中で戦ったのは驪国皇宮の上空にいた琴を弾く仙人に間違いない」「前回は驪国の皇宮に現れ、今回は驪国の流民を助けた…ふっ、関係があるに違いない 奴と戦った時に顔は見たのか?」「端正な顔立ちだったが、泣きぼくろはなかった、傅九雲ではないはず」しかし国師が残念がる様子はなく、人を出して調査させると決めた。「傅九雲を見つけて2つの力が手に入れば、もう苦しまなくていい」「…そう願いたい」靂渊はそこで出て行った。九雲は何とか覃川の部屋で一緒に寝ようと食い下がった。しかし覃川に出ていけと拒まれてしまう。すると九雲はがっくり肩を落とし、傷口が悪化しそうだとぼやきながら戸を開けた。「ゆっくり休め」九雲の悲しそうな顔を見た覃川は怪我人に冷た過ぎたのではと思い直した。「…ここにいてもいいわよ」「そうか?」九雲は急に元気になって戻って来た。その夜、国師は傅九雲の居場所を探すため、黒煙を放った。すると九雲は首の封印の異変で目を覚まし、覃川を起こさないようにこっそり外へ出る。その時、寝たふりをしていた覃川が目を覚ました。つづく(๑•́ω•̀๑)ルースー、やっぱり上手いな〜しんみりしちゃったわ
2021.04.27
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第12話「霊灯の行方」天原国の第二皇子・亭渊(テイエン)は趙(チョウ)管事の屋敷で霊灯を保管して欲しいと頼んだ。「霊灯はあそこだ」「では私が…」趙管事に成り済ました白(ハク)公子は喜んで取りに行ったが、箱から飛び出した仙鎖に捕まってしまう。『小白よ小白~何をしている?間抜けな奴め…』桃花の絵の中にこもっている傅九雲(フキュウウン)は呆れて鏡を消した。亭渊はすぐ趙管事が偽物だと分かった。城にいる時はいつも趙管事と呼んでいるが、礼儀上、趙管事が一人称を使うはずがないという。「覃川(タンセン)が親切にしてやったのに…裏切り者め!」白公子の言葉に亭渊は目の色を変えた。「覃川はどこにいる?」「教えるもんか!死んでも言わないぞ?!」すると亭渊は剣を取り、殺しはしないが顔を傷をつけると脅す。「分かった!教えるよ~覃川の居場所なら知ってる」しかしその時、皇太子の来訪を知らせる前触れが聞こえた。靂渊(レキエン)がこれほど早く戻るとは予定外だった。しかし亭渊はおくびにも出さずに歓迎する。すると靂渊はしばらく世話になると告げ、付き合いのある術士たちを紹介するよう命じた。玄珠(ゲンシュ)は母と水入らずの時間を過ごした。秋華(シュウカ)夫人は香取(コウシュ)山で苦労した娘を労ったが、良い後ろ盾になると思っていた白河(ハクガ)龍王があっさり死んだと落胆する。そこで今度は玄珠と左紫辰(サシシン)の仲を取り持ち、左相国を寄る辺にしようと考えた。玄珠は母の変わり身の早さに戸惑っていたが、紫辰への想いは変わらない。しかし紫辰は驪(リ)国を裏切った父へのわだかまりから、どこかよそよそしく見える。玄珠は自分のそばにいて欲しいと頼んだが、紫辰は話をそらして答えなかった。覃川はなかなか戻って来ない白公子を心配し、王府へ救出に向かった。そこで屋根から部屋の中を調べていたが、偶然、靂渊の部屋をのぞいてしまう。覃川は師匠の仙鶴で逃げ出した時に目が合った男だと思い出し、激しい憎悪が湧き上がった。すると運悪く酒を飲んでいた靂渊が天井を見上げ、屋根からのぞく覃川に気がつく。覃川は慌てて逃げ出したが、回廊を走っていたところで靂渊が矢を放った。危ないところで矢を避けた覃川、しかし段差に足を取られて倒れそうになる。その時、駆けつけた亭渊が覃川を抱き止め、物陰に隠れた。亭渊は偽の刺客を準備していた。走り去る黒い影に気づいた靂渊が後を追って消えると、その間に亭渊は覃川を隠す。一方、靂渊は刺客を見失っていた。その時、裏庭で剣戟(ケンゲキ)の音が聞こえ、急いで様子を見に行ってみる。するとちょうど亭渊が刺客を倒したところだった。亭渊は刺客の目的は明らかに自分だったと報告、闘鶏で勝ち過ぎて恨みを買ったのかもしれないと取り繕う。しかし靂渊は近頃、驪国の残党があちこちで騒ぎを起こしていることから、驪国人の仕業だと決めつけた。「安心しろ、今度こそ奴らを一掃してみせる…ところでお前の武芸も侮れんな 日を改めて私の稽古にも付き合え(ニヤリ」「とんでもないことです、皇兄には敵いません」亭渊は隠し扉を開け、覃川を密室から出した。覃川は自分の身代わりを心配していたが、亭渊は無事だと安心させる。すると亭渊は覃川が来ると分かっていたと意味ありげに笑い、眠っている白公子の姿を見せた。「シャオバイ!」「彼は無事だ、じきに目を覚ます」そこで覃川は自分から奪った霊灯を返すよう迫り、天原国に滅ぼされた驪国のために必要だと訴える。しかし亭渊はうかつに行動すれば覃川の命が危ないと案じた。「それにしても普通の女子がなぜ霊灯を?」「…あなたには関係ない、でもあなたが何を企んでいるかは知っているわ」「ならば分かるだろう?私は君の敵ではない」亭渊は霊灯をあきらめるよう説得し、兄がいる限り霊灯に近づいてはだめだと警告した。「しばらくは楽師に変装していろ、上手く逃してやる」覃川と白公子は楽師として王府に滞在することになった。白公子は意識が戻ったものの、衝撃のあまり茫然自失としている。ともかく覃川は白公子を連れて稽古場に出たが、驚いたことに舞姫が″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″で踊っていた。聞いてみれば舞姫は驪国人で、公主の踊りを参考にしているという。「戦のあと二皇子にかくまわれて何とか生きて来たわ」舞姫は亭渊だけは他の皇族と違い、無辜の民を殺さないと言った。覃川は白公子を弟だと紹介したため、2人は同じ居所になった。するとようやく白公子が正気を取り戻し、覃川は安堵する。そしてその夜、眠りについた覃川は傅九雲の夢を見ていた。手鏡に戻って枕元で寝ている白公子、九雲は鏡を通して愛しい覃川の寝顔を眺めている。「傅九雲…ムニャムニャ…どこにいるの?」しかし今の九雲にしてやれることは、ずれた布団を直してやることだけだった。いつの間にか眠っていた九雲は再び暴れ出した力で目を覚ました。そこで力を鎮めてから鏡を映し出し、覃川たちの動向をうかがう。その時、覃川と白公子は楽師たちに紛れて王府から抜け出していた。するとちょうど連行される驪国の流民たちを見かける。聞けば皇太子が全員を妖魔に捧げるつもりだという。「どこで?!」「きっと城外にある兵営よ」覃川は怒りに震えて追いかけようとしたが、白公子が咄嗟に制止した。「…今は戦うべき時じゃないわ」「そうさ!」「夜よ…」「はあ?!」覃川は白公子が来なくても1人で行くという。その夜、亭渊は百里堕天(ヒャクリダテン)の2人を連れて皇太子の兵営を偵察していた。すると眼下に天幕の影に隠れている覃川の姿を見つける。覃川は生贄にされる驪国人たちを発見、物陰から思わず飛び出したが、あっという間に妖兵たちに囲まれた。「まずい!」驚いた亭渊は助けに行こうとしたが、百里堕天の2人に止められてしまう。「行ってはなりませぬ!大義のためなのです!」しかし突然、空に白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)が現れ、覃川のそばに降り立った。「来てくれたのね!」「早く!」覃川は妖兵が鏡の光を浴びて倒れているうちに驪国人を開放し、鏡の中へ逃すことに成功する。その時、突如、靂渊が現れ、覃川のか細い首を握った。「うっ…」息が止まり、意識が遠のいていく覃川、すると鏡の中から剣が飛び出して来る。靂渊は咄嗟に覃川から手を離して身をかわすと、鏡の中にいる九雲に気づいて中へ飛び込んだ。しかし不意をついて現れた九雲に背後から掌(ショウ)を受け、谷底へ突き落とされてしまう。九雲が現れると同時に鏡は消えた。「危なかったぞ?」「…傅九雲っ」覃川は自分を見下ろす九雲の姿に唖然となる。「話はあとだ、ここを出よう」九雲は覃川を抱き上げると、仙術で姿を消した。高台に隠れていた亭渊たちが様子を見にやって来た。すると空から黒い煙の玉が落下、中から靂渊が現れ、ばったり倒れてしまう。「殿下、二度とない好機です!」「そうだな」亭渊は霊灯を取り出して空中に放り投げると、霊灯が開いて靂渊から魂を吸い始めた。しかし霊灯の様子がおかしくなり、突然、爆発してしまう。呆然となった亭渊だったが、ひとまず靂渊が死んだのか確認することにした。そっと鼻の下に指を伸ばす亭渊、その時、靂渊が急に目を開ける。「皇兄?!ご無事でしたか!」亭渊は咄嗟に霊灯の破片を隠した。「私が死ぬとでも思ったか?残念だったな」「またそのような冗談を」「で仙人はどこだ?」「仙人?」亭渊は自分が到着した時には仙人などいなかったとごまかした。呆れた靂渊はどちらにしても誰も自分には勝てないと鼻で笑い、天幕へ帰ってしまう。霊灯は偽物だった。困惑する百里堕天の2人、本物は一体どこにあるのか。「恐らくはまだ″彼″の手元にある…」亭渊はふと覃川からもらった香袋を見つめた。つづく|ω・`)9さん、お早いお戻りで…むしろ閉関していた方が面s…ゲフンゲフン
2021.04.27
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第11話「手がかりを求めて」覃川(タンセン)は趙(チョウ)管事を探すため、白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)の化身・白公子と一緒に鯪魚(リョウギョ)城へやって来た。そこで趙管事が好物だった瓜の種の露店で聞き込みしてみたが、瓜の種が好きな中年の女性は珍しくない。仕方なく町を散策する覃川と白公子、すると子供に銭袋を盗まれてしまう。覃川たちは急いで子供を追いかけたが、驚いたことに子供が帰ったのは町の片隅で肩を寄せ合って生きている驪(リ)国人の流民の集落だった。聞けば国が滅びて村は天原国の妖魔に焼き払われ、何とか生き延びたが今度は天災、何ヶ月もさまよって鯪魚城にたどり着いたものの、太守から救済金を全て取り上げられてしまったという。稼ぎたくても流民では仕事につけず、身分が低いというだけで暴力を受けることもあった。驚いた覃川は自分の銭袋で食べ物を買うよう勧め、横暴な太守と話をつけることにする。一方、深傷を負った傅九雲(フキュウウン)は桃花の絵の中に閉じこもり、体内にある2つの力を自力で封印しようとしていた。…わしの力で封印できたのは妖王の2つの力のみ…霊灯を守るのだ、お前の命のためにあの時、師匠は霊灯に2つの力を吸い込んだが、その力はなぜか九雲の体内に入っていた。ここは鯪州府署、寝殿に戻った太守は寝台に見慣れない鏡を見つけた。「この鏡は?」太守は手鏡を持って自分の顔を映すと、その隙を突いて背後から覃川が首に短剣を突きつける。「小白(シャオバイ)?誰が見える?」「どこの賊なの?!誰と話しているの?!」「姨娘(イーニャン)?私を忘れた?」実は太守とは雑役院の趙管事だった。驚いた趙管事は逃げようとしたが、咄嗟に人形(ヒトガタ)に戻った白公子に足をつかまれ転んでしまう。覃川は趙管事を縛り上げ、二萌(ジホウ)の正体を聞いた。趙管事は口ごもったが、白公子に足の裏をくすぐられ耐え切れず、ついに白状する。実は二萌は天原国の第二皇子・亭渊(テイエン)だった。そこで2人は鯪州王府の前で露店を開き、二萌が出て来るのを待つ。するとしばらくして正門が開き、第二皇子が侍衛や使用人たちを引き連れて現れた。どこへ行くのかと思えば、亭渊は賭場に入ってしまう。覃川と白公子は見張りの多さから潜入を断念したが、覃川はある妙策を思いついた。その頃、左紫辰(サシシン)は小さな村に立ち寄っていた。白河氷原は一面の銀世界、そこで馬車で待つ玄珠(ゲンシュ)のために暖かい外套を買ってやりたい。しかし毛皮を買うには持ち合わせがなく、紫辰は仕方なく燕燕(エンエン)がくれた玉のかんざしを差し出した。こうして外套を手に入れた紫辰は急いで馬車へ戻ったが、玄珠と一緒に父がいる。「父亲(フーチン)?!」「ここは妖気が強い、早く離れよう」兵営に戻った天原国の皇太子・靂渊(レキエン)は妖王と交信していた。香取(コウシュ)山の生き残りによると傅九雲と山主は白河(ハクガ)龍王を殺した後、行方不明だという。報告を聞いた妖王は冪龍丹(ベキリュウタン)が無駄になったとこぼしたが、少なくとも傅九雲がすぐに姿を現すことはないと言った。「今のうちだ、山主の封印が解ければ力を取り返すのはたやすい…で、弟の様子はどうだ? 病というのは嘘だろう?」「さあな〜妓楼や賭場に入り浸るか、山でくだらん連中と会っている」しかし妖王は知恵が回る亭渊を警戒、なるべくそばにいるよう指示した。気楽な藩主を装う亭渊は賭場で遊んでいると見せかけ、実は地下の密室にいた。密室では江湖の術士たちが第二皇子を出迎え、指示通り凶暴な妖獣を準備したと報告する。実は亭渊はこの妖獣で霊灯の法力を試すつもりだった。そこで早速、霊灯に妖獣から魂を奪い取れと命じると、妖獣はみるみる霊気を吸い取られて干からびてしまう。するとなぜか絵の中にいる九雲の身体にも影響が及んだ。術士たちは霊灯が手に入ったのも天命だと喜び、皇太子陣営を襲撃して一挙に滅ぼそうと鼓舞した。しかし亭渊は霊灯を眺めているうち、ふと覃川のことが頭をよぎって上の空になる。「殿下?…殿下?!」亭渊は我に返ると、まだ時期尚早だとなだめた。「全てが整う時まで待つのだ」馬車に揺られながらいつの間にか眠っていた玄珠。紫辰はそっと外套を肩までかけてやったが、その時、玄珠が目を覚ました。「…紫辰、かんざしは?まさか売ったの?あれは燕燕から」「気にするな、早く休め」玄珠は紫辰が自分のためにかんざしをはずしたと知り、思わず紫辰に身体を預けた。九雲はようやく2つの力が鎮まった。そこで白月星雲鏡を通じて外の様子を見ることにする。すると鏡にいたずらっぽく笑う覃川が映った。一体、何をしているのだろうか。覃川は白公子を趙管事に変身させ、二皇子から霊灯を取り戻そうと考えた。実はちょうどその時、覃川は楽しそうに白公子に化粧していたのだ。「小川…」九雲は愛しい覃川に手を伸ばしたが、触れることは叶わない。一方、左相国は紫辰と玄珠を連れて氷原の洞窟に到着した。そこで玄珠は母と再会を果たす。あの時、白河龍王が驪国の皇宮から秋華(シュウカ)夫人と玄珠を救い出したが、龍王が敗れたと知って左相国が夫人を助け出していた。今や驪国皇室唯一の血族となった玄珠、左相国は2人を守るのは臣下として当然だと笑い、これから豊城(ホウジョウ)に向かうという。こうして和やかに始まった4人の食事、しかし紫辰はまだ父を許せず、1人で出て行った。趙管事に成り済ました白公子は王府へやって来た。すると誰もが趙管事に頭を下げ、白公子は側仕えを追い払って簡単に第二皇子の寝殿へ入ることに成功する。白公子は早速、霊灯を探し始めたが、箱の中をあさっていると亭渊が現れた。「趙君侯(クンコウ)?なぜ声をかけぬ?!」「私はその~どうしても飲みたくなって…お持ちでないかと…あ、瓊花(ケイカ)海の雲峰(ウンボウ)茶を」「香取山の品か~姨娘?香取山が懐かしいのか~」焦った白公子は仕事があると断って退散することにしたが、亭渊が引き止めた。「覚えているか?傅九雲のそばにいたひ弱で芝居がかったナヨナヨした色白の男の名を?」「(ムッ)ああ~白公子ですか?」「そうだ、白公子だ!生きているかな?」「あの~殿下、そろそろ失礼します」「待った!実は姨娘にひとつ頼みがあってな、霊灯のことだ」亭渊は自分の屋敷では人目につきやすいため、趙君侯の屋敷で保管して欲しいという。つづく( ̄▽ ̄;)ぁぁぁ…亭渊の肩パットぉぉぉ…目も当てられない…
2021.04.26
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第10話「死闘の末に」白河(ハクガ)龍王が丸薬を飲み込むと巨大な白龍となった。殿内にいた弟子たちは一斉に逃げ出したが、遅れた青青(セイセイ)は龍の尾の一撃で倒れてしまう。一方、傅九雲(フキュウウン)は龍王の弟子たちを容易く退けていた。しかし急に首の封印に異変が現れる。実はその頃、香取(コウシュ)山主は白龍に倒され、小さな蛇に変えられていた。これにより白虎に乗って避難していた左紫辰(サシシン)も山主の術が解け、唐突に燕燕(エンエン)の記憶が蘇って来る。…(はっ!)白紙仙術は驪(リ)国皇室の秘技だ、それを使えるのは…紫辰は覃川の正体が燕燕だと気づいた。山主が負けたと気づいた九雲は覃川を探し回っていた。そこへ白龍が現れる。九雲は白龍の攻撃を何とかこらえると、その時、薬効が解けた白河龍王が人形(ヒトガタ)に戻った。こうして九雲は白河龍王と真っ向勝負となったが、山主の霊力を失ったせいで2つの封印が壊れそうになり、龍王の攻撃に思わず膝をついてしまう。「内情は知らぬが傅九雲よ、お前は賢い男だ、私につかぬか?霊灯を渡せば悪いようにはしない」しかし突然、白河龍王めがけて暗器が飛んで来た。白河龍王は瞬時に反応して暗器を破壊、真紅の衣をまとった娘を見つけた。屋根の上に立つ凛とした覃川の姿を仰ぎ見た九雲は、まさに師匠が残したあの絵の娘そのものだと感慨深い。目が合う覃川と九雲、しかしその一瞬の隙を狙い、龍王が覃川を仙鎖で引きずり下ろした。驚いた九雲は咄嗟に覃川を受け止め助けたが、覃川を庇って背中に龍王の一撃を浴びてしまう。「馬鹿者、誰が…戻って来いと言った?」すると九雲は動揺する覃川に仙術をかけて眠らせてしまう。覃川を傷つけられた九雲は激情に駆られ、ついに封印を解いた。すると九雲の首元から真っ黒な霊気があふれ出し、その凄まじい力で白河龍王を倒すことに成功する。しかしそのせいで九雲は激しい内傷を追って喀血、ばったり倒れた。目線の先には愛しい覃川の姿がある。そこで九雲は最後の力を振り絞って巻物を取り出すと、思い出の桃花の絵の中に消えた。覃川が目を覚ますと九雲が消えていた。ともかくこの混乱に乗じ、裏山の洞窟から霊灯を奪うしかない。しかし覃川が霊灯を持ち上げると陣が動き出し、洞窟が崩れ始めた。覃川は岩の下敷きになるところだったが、思いがけず二萌(ジホウ)が助けてくれる。二萌の話では偶然、覃川の姿を見かけ、様子がおかしかったので後を追って来たという。「あそこで何を?」「何って…九雲大人の手伝いよ?でもあなたが法術を使えるなんて…」「法術?ああ…邱(キュウ)大人に習ったんだ、薪割りに使ってたけど石にも使えるなんてな~ははは」そこで二萌はこのまま逃げようと言ったが、覃川はまだやり残したことがあると拒んだ。覃川は牢に捕われている玄珠の救出に向かった。白河龍王が死んだと聞いた玄珠は情け無用だと覚悟したが、覃川が鎖を解いて解放してくれる。「あなたが待っていると紫辰に言ってしまったの」「…でもあなたの助けはいらない」覃川は仕方なく二萌に目配せすると、二萌は玄珠を殴って卒倒させた。「玄珠…分かってる、あなたは私よりずっと苦しんでいるのね…」覃川と二萌は玄珠を連れて山門を出ると、雑役院で趙(チョウ)管事が待っていた。無事を喜んだ趙管事はとにかく家に入ろうと促したが、その時、紫辰が現れる。「…燕燕」覃川は紫辰の記憶が戻ったと知った。香取山の弟子たちは全滅、宮殿の周りは焼死体だらけだった。趙管事の話では山主と九雲大人が白河龍王と決闘して勝ったものの、山主は姿を消し、九雲大人に至っては龍王に刺し殺されたという。「何でも背中から急所をひと突きされて亡くなったとか…」覃川はあまりの衝撃で立ちくらみを起こした。玄珠を介抱していた紫辰は慌てて燕燕の元へ駆け寄り、部屋まで送るという。しかし覃川は九雲の死に耐えられず、そのまま飛び出して行った。覃川は竹林に逃げ込み、ようやく誰もいない場所で悲しみに暮れた。失って初めて気がつく九雲の深い愛情、まさか本当にあのまま死んでしまったのだろうか。覃川はたがが外れたように声をあげて泣き始めた。すると紫辰が現れ、黙って手巾を差し出す。「大切なんだな…傅九雲のことが」しかし覃川は慌てて涙をぬぐい、何度か助けられただけだと強がった。「燕燕…なぜ阿満(アマン)の姿に?どうして香取山で雑用など…」「もう過ぎたことよ…聞かないで」覃川は自分には使命があり、姿を変えることなど大した代償ではないと言った。「燕燕、私を許してくれるか?」「…ごめんなさい」紫辰はふと同じような竹林で燕燕に叩かれたことがあったと思い出した。これまで色々あったが、あの悲劇から三年が経つ。そこで紫辰はここから近い鯪魚(リョウギョ)城という街へ行ってはどうかと勧めた。他にもカニが美味しい青雲(セイウン)城や北の雲夢澤(ウンボウタク)に行くのもいい。しかし思わぬ紫辰の言葉に覃川は落胆した。かつての紫辰は志が高く、その心には民と国があったはずなのに…。「私の心にあるのは…そなただけだ」「でも私の心は違うの…もう戻れない」すると覃川は逃げるように去って行った。紫辰が雑役院に戻ると、家の前に手巾が置いてあった。すると趙管事が現れ、覃川なら行ってしまったと教える。「行き先は?何か伝言はなかったか?」「″あなたは優しい人、今度は玄珠を大切にして″と…」覃川は害のない二萌を道連れに香取山をあとにした。そこで二萌は道すがら、自分と結婚しないかと聞く。覃川はやり残したことがあると断ったが、二萌のことは好きだと答えた。「さあ、行きましょう!」しかし覃川が前を向いた瞬間、突然、動けなくなってしまう。「そう言ってもらえて嬉しいよ…香袋もずっと身につけている 知っていたか?ひと目、見た時から賢い君が気に入った、だから趙管事に推薦したんだ …まさか君の目的が私と同じだったとはね、こんなやり方ですまない」本当なら覃川と2人で穏やかに過ごせると思っていたが、二萌にとっても予想外の結末だった。すると二萌は覃川の荷物からから霊灯を奪い、姿を消してしまう。一方、玄珠は意識を取り戻し、愛する紫辰との再会を喜んだ。しかし紫辰の記憶が戻り、覃川が燕燕だと気がついたと知る。玄珠は許してもらえるとは思っていなかったが、なぜか紫辰は怒っていないと優しかった。「回復したらここを離れよう、君の母上のところへ…」すでに雑役院は閑散としていたが、なぜか馬車が2人を待っていた。御者の話では覃川の頼みで趙管事が手配しておいたという。その頃、白(ハク)公子が山を降りていた。実は白河龍王の弟子たちが巨大な白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)を運び出すことができず、難を逃れる。しかしたったひとり取り残され、途方に暮れていた。すると偶然、動けなくなった覃川を見つける。覃川は背中に貼られた定身符(テイシンフ)で3刻は動けないはずだったが、その時、突風が吹いて偶然、剥がれ落ちた。「ねえっ!九雲大人は?死んだって本当なの?!」「いや、重傷だがどこかで生きている、九雲が僕を必要としていると感じるんだ …細い息でひとりぼっちだ、きっとはめられたんだよ、すごく弱ってる」そこで覃川は白公子を連れて雑役院に戻った。雑役院にはすでに誰もいなかった。そう言えば趙管事は二萌の叔母、あの2人はぐるだったのだろう。霊灯を取り戻そうにもなす術ない覃川、その時、趙管事がいつも鯪魚城の瓜の種を食べていたことを思い出した。「きっとそこよ!」すると白公子は覃川に付いて行くという。「九雲はお前がどこにいても見つけると言っていた、今日から僕たちは同志だ!」ここは鯪魚城、かつては驪国だった。藩主は療養を理由に3年前、自ら鯪魚城に赴いた第二皇子・亭渊(テイエン)。亭渊はしばらく留守にしていたが、皇帝に干ばつの視察を命じられた皇太子・靂渊(レキエン)の到着には間に合った。「ん?この匂いは何だ?」「ぁ…これでしょう、医者の処方した香です、身体に良いんだとか…」それは龍涎香(リュウバンコウ)の香りだった。すると靂渊は法術に凝っているのかと尋ね、術士との交流があるか探りを入れる。しかし亭渊は闘鶏も競馬も1人ではつまらないので江湖の術士を付き人にしただけだと話し、気ままな藩主を演じた。「…聞けば香取山でお前を見た者がいるとか、何を企んでいる?」「香取山主は言わば隣人です、しかし傲慢でよそ者には心を許しません そんな奴に近づくはずがないでしょう?」亭渊はうまく誤魔化し、香取山が荒れているという噂も知らないと言った。つづく( ๑≧ꇴ≦)二萌~そうだったのか~なるほど青青は復活したのにもう退場かしら?見所が〜(←そこ?wでも今回の竹林の2人のシーン、良かったわ〜( ;∀;)さてここでシーズン1が終わり、いよいよシーズン2へ♪
2021.04.25
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第9話「思い出の絵」傅九雲(フキュウウン)は覃川(タンセン)を左紫辰(サシシン)の元に送り、その間に内通者の件に手を打った。そこで九雲は覃川を無事に連れ戻したが、覃川から青青(セイセイ)の死に関わっているのかと追及されてしまう。「私を守るために青青に罪を着せたの?彼女は無実よ!」「だがそなたは無実ではない」「傅九雲、同門を見殺しにして平気なの?」「…ならばそなたを突き出せば良かったのか?」そう言われると覃川はぐうの音も出なかった。その頃、本当の密通者である玄珠(ゲンシュ)は追い詰められていた。実は白河(ハクガ)龍王の密偵から丸薬を渡され、霊灯の中に隠すよう指示されている。『務めを果たせば望み通り母君と再会できるぞ』『必ずやり遂げるわ…』そしていよいよ香取山に白河龍王がやって来た。山主は白河龍王のため、凝碧(ギョウヘキ)殿に自慢の宝物を準備していた。しかし白河龍王は興味を示さず、公子斉(コウシセイ)が描いた自分の扇子には遠く及ばないと自慢する。すると山主は失笑し、公子斉の絵なら何枚もあるが、そのうち一枚を持って来たと言った。そこで早速、巻物を広げると、桃花の花びらが殿内に舞う。覃川は自分がもらった絵だと気づいて懐かしそうに微笑んだが、すぐ現実に引き戻された。白河龍王は山主の絵に嫉妬し、公子斉の絵はその中に身を置いて楽しむものだと言い出した。そこで真贋(シンガン)を確かめるため、自ら絵に入ってしまう。すると山主に目配せされた九雲がすぐ後を追った。「師匠殺しの九雲か」「…これは山主の絵のため、念のため私がお供します」白河龍王は挑発するように桃の木のそばにある琵琶を仙術で引き寄せようとしたが、九雲が邪魔した。「これは山主の物です、手を触れずに目だけでお楽しみください」九雲は燕燕の思い出の琵琶を渡すものかと食い下がり、何とか取り返したものの深傷を負ってしまう。絵から戻った白河龍王は確かに公子斉の絵だったと認めた。しかし自分に挑んだ九雲を分別がないと非難し、激しく糾弾する。山主は白河龍王の手前、無礼を働いた九雲を叱責して下がれと命じた。覃川は傷を負った九雲を心配した。「急に優しくなったな?私は青青を見殺しにした悪人だろう?」「…あなたじゃないわ」覃川は本当の黒幕を知っていたが、口を閉ざした。すると九雲は以前にも言ったように最愛の人を守りたいと訴え、背負わされた重責を忘れて幸せになって欲しいと説得する。「とぼけても構わぬ、だが私の気持ちは知っておいて欲しい」「何度も言わせないで、私は何があっても霊灯を手に入れるわ」そこで九雲は見せたいものがあると告げ、覃川を万宝(バンホウ)閣へ連れて行った。万宝閣に公子斉の桃花の絵が戻っていた。しかし覃川は絵に目もくれず、霊灯がないと落胆する。すると九雲はいきなり覃川の背中を押し、絵の中へ放り込んだ。覃川は絵の中で自分の琵琶を見つけた。早速、琵琶を持ってみると、母の誕生日の宴で踊ったあの日が昨日の事のように思い出される。「この絵を返そう」その声は後を追って来た九雲だった。「そなたの絵だろう?万宝閣は私に一任されている、私が返すと言ったら返す」「謝謝…でもこの絵は以前と何かが違う気がするわ」「絵は昔のままだ、そなたも昔に戻ればいい」九雲はあの時の幸せそうに舞った燕燕のように覃川に笑顔を取り戻して欲しかった。白河龍王の歓迎の宴が始まった。そこで龍王の美しい女弟子たちが見事な舞を披露、宴に花を添える。覃川は給仕のため控えていたが、仲睦まじい紫辰と玄珠の様子に胸が痛んだ。すると山主が次に自分の愛弟子である玄珠を紹介し、舞で龍王をもてなすよう命じる。そこで玄珠は琵琶を片手に登場、驚いたことに燕燕と紫辰との思い出の曲・東風桃花曲(トウフウトウカキョク)の舞を披露した。覃川は唖然としながら紫辰の表情をうかがったが、記憶を消された紫辰は懐かしい曲だと感じながらも思い出すことができない。そうしているうちに玄珠の舞が終わり、山主は下がるよう命じた。覃川は急に腹痛を訴え、翠丫(スイア)に任せて玄珠の後を追った。すると玄珠は裏山にある洞窟の結界を破り、中へ入って行く。実はその洞窟こそ霊灯の隠し場所だった。「…いるのね?あなたが来ることくらい分かっていたわ」玄珠が振り返ると、覃川が現れた。「もう私たちに関わらないで」「あなたに用はないの、霊灯が欲しいだけ」「妖魔を倒しても家族は生き返らないのよ?!」そこで覃川は驪(リ)国の民のために霊灯で妖魔を倒したいと説得した。玄珠も民を救いたいのはやまやまだったが、母を見捨てることはできない。「帝女のあなたと違って私にそんな高尚な志はないわ! …それより紫辰を逃がしてあげて、彼は無関係よ? 分かっていないのね?龍王が香取山を掌握したら、全員が餌食になる 紫辰だけは巻き込みたくないの、あなただって彼への罪を償いたいでしょう?」玄珠は霊灯を奪おうとしたが、覃川が立ちはだかった。玄珠は仕方なく隠し持っていた暗器を覃川めがけて放った。しかし突然、覃川の前に結界が現れ、跳ね返った暗器が玄珠の腹をかすめる。「玄珠大人(ダーレン)の人を陥れる手腕は見事だったわ…」その声は死んだはずの青青だった。玄珠は驚愕したが、青青の仙力では自分の暗器を止められないはずだと驚く。その時、九雲が現れた。「まさか…そんな…」玄珠はようやく自分が罠にはめられたと気づいた。実は山主も九雲も最初から密通者が玄珠だと知っていたという。そこで九雲は仙鎖で玄珠を捕縛し、青青に覃川を連れて行くよう命じた。覃川は後ろ髪を引かれる思いだったが、その時、玄珠が覃川に紫辰だけは助けて欲しいと懇願する。すると覃川は九雲に玄珠を殺さないよう頼んだ。「いいだろう、彼女の無事を約束する」青青は覃川を連れて裏山を出た。「山には戻らないで…あとは私たちに任せて、全て終わったら九雲大人が会いに行くわ」そこで覃川は急いで紫辰を迎えに行った。紫辰は玄珠がいないことを訝しんだが、覃川はすでに山を出て紫辰を待っていると嘘をつく。一方、凝碧殿では山主が白河龍王に手合わせを申し出ていた。こうして師匠と師匠の力比べという仙界でもめったにない対決が始まったが、九雲は龍王の弟子たちが内殿になだれ込んできたことを察知し、凝碧殿を飛び出す。やがて白河龍王はどこかおかしいと気づいた。すると玄珠に化けて座っていた青青が正体を現わす。「龍王よ、負けを認めろ、これからも友として修行に励もうではないか」山主は白河龍王の鼻を明かした気分だった。覃川は紫辰を連れて川まで逃げた。そこで白紙仙術で白虎を招喚する。「この子に乗って逃げてください!早く!…玄珠大人の指示なんです」紫辰は一緒に逃げようと言ったが、覃川は未練を断ち切るように山に残ると伝えた。「猫猫(マオマオ)!行って!」白河龍王がついに倒れた。山主は今、負けを認めれば龍王が忍ばせた弟子の何人かは救えるだろうと笑う。すでに九雲たちが片付けているはずだ。しかし白河龍王が急に高笑いした。「山主も考えが甘いな、私が何も備えていないと?」…いざとなったらこれを飲め、山主と傅九雲を滅ぼして香取山を手に入れろ…霊灯は私に渡せ、お前の苦労も報われるぞ?すると白河龍王は黒い外套を被った男からもらった丸薬を取り出し、飲み込んだ。つづく|ω・`)白河龍王…もうちょっと何とかならなかったのか…
2021.04.24
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第8話「内通者の正体」傅九雲(フキュウウン)の命で左紫辰(サシシン)の侍女になった覃川(タンセン)。紫辰は覃川と瓊花(ケイカ)海へ散策に出かけると、ここに来て以来、一番楽しいと喜んだ。「でも玄珠(ゲンシュ)大人とは恋仲では?」「玄珠は恩人だ、感謝している…」すると紫辰は玄珠の話を2度としないで欲しいと頼んだ。ちょうどその頃、傅九雲は綿毛を調べている青青(セイセイ)を見かけた。「青青師妹、どうした?最近、私を避けているようだが…」「まさか、忙しかったものですから」するとこちらに歩いて来る紫辰と覃川が見える。気まずい覃川は紫辰に事情を説明して引き返そうと言ったが、紫辰は2人に挨拶したいと言った。紫辰は覃川を譲ってくれた九雲に感謝した。すると九雲は侍女なら掃いて捨てるほどいるので問題ないと強がってしまう。玄珠が用意してくれた美しい衣をまとった覃川、どうやら大切にされているようだ。しかし覃川は九雲の言葉に傷つき、それ以来、仕事に身が入らず、上の空になる。紫辰はそんな覃川の異変を感じ、本当は自分のそばにいるのが嫌なのだと誤解した。「私は役立たずだ、何もできない…明日の朝、帰るといい 皆、私に気を使うが、本心では蔑んでいる…小川は優しい人だ、ここへ来てくれて、ありがとう」「左公子、私はそんなふうに思っていません」「いいんだ、明日、戻りなさい」覃川は苦悩する紫辰の姿を目の当たりにし、思わず愛する人の頬に触れてしまう。その指先の感触はまさに燕燕(エンエン)そのものだった。驚きのあまりしばし呆然となる紫辰、そこへ運悪く玄珠がやって来る。玄珠は親密そうな2人に動揺し、覃川にすぐ下がれと命じた。気まずい覃川は慌てて出て行こうとしたが、その時、紫辰は思わず叫んでしまう。「目の治療を受ける!視力を取り戻したい!」香取(コウシュ)山主は九雲を呼び、また洞窟にこもるため山を任せると言った。実は左公子がどういうわけか急に目の治療を受けると言い出したという。九雲は覃川のためだと気づいたが、そこへ青青が慌てた様子で入って来た。しかし九雲がいると知るや否や、宴会の件だと嘘をついて出直すことにする。その時、九雲は青青がこっそり覃川の桂花油の瓶を袂に隠すのを見逃さなかった。青青を怪しんだ九雲は、再び山主を訪ねる前に青青を引き留める。「分かっているぞ、何を見つけ、山主に何を言うのか…」青青は玄珠を船遊びに誘った。すると綿毛がなぜか玄珠の回りに飛んで来る。「妹妹が美人だから綿毛も近くに来るのね…ふふ」「姐姐、ご冗談を」「今までここにこんな野草はなかったわ…実は聞きたいことがあるの」青青は左公子が覃川を侍女に迎えたことから、あの娘には秘密があると警告した。恐らく何か目的があるはず、そこでもし何か見つけたら必ず教えて欲しいという。玄珠は青青が覃川を内通者だと疑っていることに気づいた。そこでこの機に紫辰が好意を抱いている覃川を排除しようと思いつく。玄珠は早速、覃川の居所にこっそり綿毛を入れた箱を置いたが、ちょうど覃川が戻って来た。「玄珠?」「公主の名前を呼ぶとは大胆な!」「私が分からない?…無理もないわね、阿満(アマン)の顔だもの、4年ぶりね」「まさか…あなた、燕燕なの?!」燕燕は顔を変えて生きていた。驚愕する玄珠を横目に、覃川はなぜ自分を陥れようとするのか訝しむ。すると玄珠は昔から燕燕が邪魔だったと言い放った。覃川は玄珠が自分のものを何でも欲しがったことを思い出し、ここにきてようやく自分への憎悪の理由に気づく。叔母は父皇に嫁ぎたかったが、周知の通り願いは叶わず、諸侯の妻に甘んじた。結局、皇后になれず、皇族血統の子供も産めず、その嫉妬から自分が憎いのだろう。玄珠は自分たち母子の本音を見抜かれ、動揺した。すると覃川が貸した借りだけは返せと迫る。自分が身を引いたおかげで玄珠は紫辰を手に入れることができたからだ。「玄珠、私の目的はあなたや紫辰じゃないの、だから面倒を起こさないで」「あなたの正体を暴露するわよ?天原国は今も驪(リ)国の帝女を探しているわ」「ふっ…白河(ハクガ)龍王の弟子で香取山の内通者はあなたでしょう?玄珠?」覃川はかつて玄珠が自分に対抗して仙術を学び、師匠を自慢していたことを覚えていた。中山(チュウザン)藩と懇意の仙人を調べたところ、それが白河龍王だと分かったという。「その顔は図星ね?思った通りだった」「あなたの話を誰が信じるものですか!」互いに秘密がある身、玄珠はこうなったらやるかやられるかだと開き直った。そこで覃川は目的を果たせばすぐここを出ると伝え、紫辰を守って欲しいだけだと訴える。「山主は最近、内通者の捜索に躍起だそうね~」玄珠は覃川に脅されたが、結局、何も言わずに出て行った。玄珠は証拠の綿毛を持って山主に密告した。実は新しい侍女・覃川の居所にこの綿毛があったが、それを隠したのは青青だという。山主は青青が自分を裏切るはずないと激怒、玄珠の封印に術をかけて拷問したが、玄珠は耐え切った。そこで山主は念のため青青の居所を捜索させたところ、驚いたことに綿毛が発見される。予想外の結果に驚愕した山主は青青を呼んだ。自分が内通者と疑われていることに気づいた青青は誰かの企みだと訴えたが、その時、綿毛がふわふわと青青の元へ飛んで来る。山主は玄珠の報告が正しかったと確信し、青青に渾身の一撃を与えて封印を消した。すると倒れていた玄珠を起こし、誤解したことを詫びる。「明日、紫辰を連れてまいれ」玄珠の計画は成功した。そしていよいよ紫辰の目の包帯が取れる日がやって来る。玄珠は覃川もその場に呼んでいた。するとゆっくり目を開けた紫辰は眩しい光に思わず目を閉じてしまう。しかし再び開いて見ると、美しい玄珠の顔がはっきり見えた。玄珠の頬に触れながら、これまでの苦労を労う紫辰、そしてついに覃川の顔を確認する。「覃川、本当に世話になったな」紫辰は覃川も美人だと言ってくれたが、これまでと別人のような反応だった。覃川は呆然としながら仕事へ戻ることにした。すると玄珠が追いかけて来る。実は玄珠は紫辰の目の治療の時、山主に燕燕との記憶を一緒に消して欲しいと頼んだことを暴露した。つまり紫辰にとって覃川はもはやただの侍女でしかないという。「あなたの記憶は邪魔なのよ、それにあなたのためでもあるわ」「卑怯なことを…」「紫辰の苦悩はあなたよ?でもそれも終わり、忘れたんだから… 昔の優しさも思い出してくれた、何が問題なの?」「…私は虚構の中に生きるのは嫌」「話は終わりよ、あとは好きにして」玄珠は早速、燕燕が贈ったかんざしを外させることにした。そこで紫辰に新しいかんざしを贈り、早速、つけかえようとする。しかしなぜか紫辰は自然と避けた。「古いが、このまま使うよ」香取山は青青が亡くなった噂で持ちきりだった。すると山主が弟子たちを招集し、青青の代わりに玄珠を女弟子の首席に任命、采配を任せる。玄珠は早速、白河龍王を迎える準備に取り掛かったが、雑用係が運んでいる花に目を付けた。「なぜ瓊花海の花がここにあるの?責任者は誰?」「翠丫(スイア)です、鶴園(カクエン)からここに移動になりました」「…全て凝碧(ギョウヘキ)殿へ運ばせて、1人でやらせてね」覃川は紫辰から自分の記憶が消えたと知って深く傷ついた。その衝撃から寝床で布団にくるまる覃川、すると突然、戸が開いて九雲が現れる。「(ガラッ!)悲しいなら泣けばいいだろう?」「どっどっどうしてここに?!」「私の小川は少し見ないうちに…ずい分と行儀が悪くなったな~」「傅九雲、あなたってこの世で最も嫌な仙人ね!」すると九雲は寝台に腰掛けた。「何だ?豆豆哥と喧嘩でもしたのか?それでそんな態度なのか?」九雲から八つ当たりするなと責められた覃川は、思わず頭からすっぽり布団をかぶってしまう。「まあ良い、泣くな、一緒に帰るぞ?」「どういうこと?…行ったり来たりさせて、ずい分と勝手ね!」「…そなたは″最愛の侍女″だからな、ふっ」( ತ _ತ)チッ!九雲はさっさと覃川の荷物をまとめ、激しい雨の中、出雲閣へ連れて帰った。しかし覃川は中庭でふと立ち止まり、青青の死に関わっているのか尋ねる。つづく(  ̄꒳ ̄)はやり九雲は絵の中の娘に千年も恋してたってことか〜(←今さら?w9だーれんはあまり表情がないので心情がよく分からず、勝手に解釈してますご了承ください
2021.04.23
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第7話「暴かれた身元」傅九雲(フキュウウン)は万宝(バンホウ)閣へ忍び込んだ覃川(タンセン)を見逃した。それは覃川が最愛の侍女だからだという。するとこれまで警戒していた覃川が初めて暖かい眼差しで九雲をじっと見つめた。九雲は覃川の潤んだ瞳に吸い込まれそうになったが、ふと我に返って視線を外す。「今まで通り侍女らしく仕えろ、タツノオトシゴと同じ目に遭いたくはないだろう? それならすぐにでも身分を明かしたらどうだ?香取(コウシュ)山に来た目的もな?」いつもの調子でまくし立てながら、九雲は覃川を寝台に座らせた。「ありがとうございました…覃川、今日から九雲大人(ダーレン)のご恩を忘れず、懸命にお仕えします」「…今さら媚びても遅い」素直な覃川に調子が狂ったのか、九雲はぶっきら棒に言って出て行ってしまう。「あの~でも私が差し出せるのはこの身しかないんですけど~!」「薬を忘れずに飲めよ~(バタン)」覃川は不器用な九雲の優しさに思わず頬がゆるんだ。その頃、山主は再び洞窟で霊灯修行を行っていた。しかし霊灯の凄まじい威力を制御することができない。…どうやらこの霊灯の力をみくびっていたようだな…その様子を黒衣の密通者が見ていた。九雲は山主がまた隠れて霊灯修行を行ったと気づき、寝殿を訪ねた。九雲から指摘された山主は千年分の霊力くらい耐えられると笑ったが、九雲の言う通り、欲を出すと身を滅ぼしかねないのも事実だろう。その時、ちょうど玄珠(ゲンシュ)が山主へ差し入れの酒を持ってやって来た。子衿(シキン)と一心(イッシン)は九雲が来ていると伝えたが、玄珠は山主に出来立ての酒を飲ませたいと説明し、他の部屋で待つという。すると子衿と一心はそのまま玄珠を通した。山主は九雲に俗世の野草を見せた。すでに九雲もこの綿毛に気づいていたが、見たことがないと嘘をつく。実はこの山の草木は全て山主の指示で植えたものだった。山主はタツノオトシゴは死んだが、どうやら敵の回し者は他にもいるようだと警戒する。「この綿毛には仙術が仕込まれている、奴らの連絡手段のようだ」すると山主は香取山の守備を任させている九雲にくれぐれも敵の企みに気をつけろと釘を刺した。その時、回廊がきしむ音が聞こえる。「誰だ?」「師父、お酒をお持ちしました」玄珠は2人の会話を立ち聞きしていたが、さもたった今、到着したとように振る舞った。九雲が出雲(シュツウン)閣に戻ると、白(ハク)公子が覃川の部屋を監視していた。白公子は山主が覃川の正体に気づかないほど甘くはないと警告する。呆れた九雲は白公子には関係ないと不快感をあらわにしたが、そこへ突然、左紫辰(サシシン)が剣を片手に現れた。紫辰は覃川を傷つけた九雲への怒りがおさまらず、目は見えなくとも九雲に決闘を申し込む。「死にたいなら葬ってやろう」九雲は必死に止める白公子を鏡に戻して袂にしまった。九雲にとって紫辰など敵ではなかった。すると覃川が駆けつけ、左公子を傷つけないよう頼む。「左公子、私の傷は転んでできたもので九雲大人は何の関係もありません それに傷まで治してくれたんですよ?」紫辰は覃川を疑うわけにもいかず、自分の誤解だったと謝罪して帰って行った。二萌(ジホウ)は覃川が九雲にいじめられていないか心配だった。しかし覃川ははにかみながら、九雲が自分のことを″最愛の侍女″と言ったと教える。「じゃあ川儿を左紫辰に譲る話は?」「デタラメよ!」「ふふ、傅九雲より左紫辰の方がましだ」「?」「でも傅九雲も川儿が大事ならきっと手放さないな」「…さあ、知らないわ」二萌の指摘に覃川はふと不安がよぎった。そんなある日、九雲は覃川を連れて裏山へ向かった。山道には仙人たちが作ったのか、雪だるまが並んでいる。覃川は赤い傘を持ってかんざしを挿した雪だるまが気に入ったが、それは九雲の作品だった。しかしなぜか顔が全くできていない。「時間切れですか?」「彼女は本当の顔を私に見せてくれないんだ、理由は分からない、だから私も放っておくことにした」すると九雲は先を急いだ。九雲は覃川を万宝閣に連れて来た。すると九雲は最愛の侍女に好きなものを贈るという。「またご冗談を…」「私は常に真剣だぞ?…最愛の人を守りたい 背負われた不相応な重荷など忘れ、普通の女子と同じように毎日、笑って過ごして欲しい とぼけても構わぬ、だが私の気持ちだけは知っておいて欲しい」「ふふ、何のことやら」覃川は笑ってやり過ごしながら、ちょうど目の前にあった香が欲しいと頼んだ。「龍涎香(リュウバンコウ)か?」「ええ、とても良い香だわ」九雲は仙術で大きな塊からひとかけら取って授けると、いよいよしびれを切らして聞いた。「目に効く妙薬もあるぞ?そなたの豆豆(トウトウ)哥とは左公子なのだろう? …大驪(リ)の帝女・燕燕(エンエン)よ、なぜ素性を隠すのだ?」「知っていたのね?」九雲は探し物なら別の場所にあると教えたが、それがどこかは言わなかった。「くれぐれも気をつけるんだな、山主は敵の動きを察知したぞ?」「私は内通者じゃないわ、ここの宝にも興味はないの」「だがそなたは霊灯を狙っているのだろう?」「…安心して、自分の身くらい自分で守れる」「なぜあの霊灯にこだわるんだ?」覃川は驪国が滅ぼされてようやく一国の公主としての自覚が芽生えたと話した。天原国は未だ驪国の民を殺して妖魔へ捧げている。妖魔を倒すにはどうしてもあの霊灯が必要なのだ。「止めたいなら私を殺せばいいわ」「霊灯をともせば、どうなるか分かっているのか?」「分かってるわ」「分かっていない!…まあいい、話は終わりだ、怪我も治ったことだし明日から左公子に仕えよ」覃川は二萌に龍涎香を入れた香袋を贈った。(´-ω-`)<龍涎香なんか取るつもりじゃなかったのに…まんまと踊らされたわ(ボソッするとその夜、九雲が聴風(チョウフウ)亭で別れの杯を交わそうと誘った。しかし覃川はどこか九雲に裏切られたようで口をきく気分ではない。結局、そのまま2人は黙って酒を飲んだ。やがて九雲は覃川を手放す寂しさに耐えられず、先に席を立ってしまう。覃川は去って行く九雲の背中を見つめていたが、九雲が振り返ることはなかった。そして後ろを気にしながら歩いていた九雲だったが、覃川が行きたくないと泣いてすがることもない。こうして翌朝、覃川は出雲閣をあとにした。覃川が小さな荷物を背負って竹林の山荘へ到着した。すると待ちきれずに回廊に出ていた紫辰が出迎え、覃川のために茶を入れてくれる。「あ、それは私の仕事です…それから私のことは″覃川″とお呼びください 九雲大人や他の大人は″小川″とお呼びでした」「いや、私は覃川姑娘を侍女とは思っていない、ただ一緒にいたいだけなんだ」眉山(ビザン)君が山荘に戻ると九雲が待っていた。九雲は白河龍王の回し者を探していると話したが、眉山もやはりあの帝女が怪しいという。そこで九雲は俗世から紛れ込んだ綿毛を見せた。眉山は驚いたが、ともかく帝女が仙山に来た理由が分かったのか聞いてみる。「…霊灯が目当てだった」「霊灯?!絶対、渡すなよ?!分かっているだろう?お前の命が懸かってるんだ!」しかし九雲は笑ってごまかした。覃川はありがたく紫辰のお茶を頂いた。すると緊張していたせいか、むせて咳き込んでしまう。紫辰は咄嗟に覃川の背中をポンポンと叩いたが、なぜかふと燕燕のことを思い出した。そこで紫辰は燕燕との思い出がつまった″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″を琴で弾くことにする。一方、居所にこもっていた玄珠(ゲンシュ)は覃川が到着したと報告を受けていた。「分かったわ、見張っていて…」九雲は出雲閣に戻ると、久しぶりに絵を描き始めた。すると白公子が突然、声をかけたせいでうっかり描き損じてしまう。九雲は思わず絵をビリビリに破いて頭を抱えたが、白公子は九雲の不注意だと言い逃れた。「そうだ、趙(チョウ)管事が甥と一緒に訪ねて来たぞ?」覃川は久しぶりに紫辰の琴を聞いて昔を懐かしんだ。紫辰の髪にはあの時、自分が贈った玉のかんざしがある。すると覃川は紫辰との間に訪れた悲劇を思い出し、思わず涙がこぼれた。「小川?どうかしたのか?…これは悲しい曲だ、そなたにも分かるのだな」「…アハッ、私に音楽など分かりません、ただきれいな音だと思って」覃川は話題を変え、なぜ香取山に来ても目の治療をしないのか聞いた。しかし紫辰は目が治っても何の意味もないという。「この曲にはある人との思い出がある…見えなくても彼女を思い出せる 指が東風桃花曲を覚えているんだ」紫辰は今日は天気が良いので散歩をしようと言った。趙管事の用件は覃川のことだった。実は青青(セイセイ)大人から覃川のことを根掘り葉掘り聞かれたという。しかし九雲は覃川には自分がついているの心配無用だと言った。趙管事は安堵し、雑用なら二萌に手伝わせると申し出る。すると九雲は二萌の香袋から龍涎香の匂いがすると気づいた。…小川よ、私からの贈り物には何の価値もないのか…つづく
2021.04.22
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第6話「唯一の願い」覃川(タンセン)は左紫辰(サシシン)に仕えたくないときっぱり断った。しかしその頑な態度を見た傅九雲(フキュウウン)は、未だあの娘の心にいるのが紫辰なのだと思い知る。そんな九雲の切ない想いなど知る由もない白(ハク)公子は、絵を描いてくれる約束だと言いに来た。九雲は絵を描けば覃川に公子斉(コウシセイ)だと気づかれてしまうため断ったが、白公子は約束したはずだとしつこい。「描きたくないんだ」「でも…」「言っただろうっ?!」九雲が思わず声を荒げると、白公子はなぜ九雲がそんなに怒るのか分からず、困惑した。一方、香取(コウシュ)山主はお気に入りの弟子・青青(セイセイ)の膝枕で愚痴をこぼしていた。「奴め!ここに宝を奪いに来る気だぞ?!身の程知らずめ!」「師父の万宝(バンホウ)閣を見たら白河(ハクガ)龍王もさぞ羨ましがるでしょうね〜」「この香取山の宝で最も価値のある物は何だと思う?…これだ」山主は寝殿に飾ってある公子斉の絵を指さした。「玄珠(ゲンシュ)が持って来たのだ、愚かな想い人のためにな」その夜、九雲はもう一度、覃川に左公子に仕えても構わないと言った。「左公子は目が見えない、昨夜、そなたに断られたのは気の毒だったな…」覃川は一瞬、顔を曇らせたが、とにかく他には行かないと断った。「彼がそなたを慕っていても?」すると覃川は押し黙ってしまう。九雲はそれが覃川の本音だと気づき、ようやく決断した。「今夜は戻らぬ、だが悪さはするなよ?…侍女なら大勢いる、左公子のためにあちらへ行け」九雲は眉山(ビザン)君を訪ねた。すでに酔い潰れていた眉山は強引に起こされ、結局、九雲に付き合わされて酒を飲む。一方、白公子は覃川が来てから九雲が怒りっぽくなり、自分に冷たくなったと不満だった。しかしついに覃川が左公子の元へ移ると知り、ちょうど荷物をまとめていた覃川を早々に追い出してしまう。覃川は行く当てもなく途方に暮れた。驪(リ)国での紫辰との悲しい結末、まさか今さら紫辰の元へ行くわけにもいかない。…この世のどこかに私の居場所はあるのかな?…覃川が中庭の池を眺めていると、そこへ二萌(ジホウ)が現れた。「眠れなかったし、会いに来たんだよ、川儿?この池は綺麗か?」「二萌、人生って難しいわね…って、なぜあなたにこんな話を(クスッ」すると二萌は自分が香取山に来たのは金稼ぎと妻が欲しかったからだと話した。覃川は単純な二萌がうらやましかったが、二萌は単純な目的こそ成功する秘訣だともっともらしいことを言う。「あれこれ欲しがると一番、欲しいものが分からなくなる」二萌の答えは確かに明快だ。顔を変えてまで香取山に潜り込んだ理由はただひとつ、復讐に他ならない。「欲しいものは1つよ、忘れないわ…」眉山は九雲がなぜ酒で憂さ晴らししたいのか、その理由に気づいていた。「九雲よ、この世界には仙山はいくつもあるだろう? ではあの娘はなぜわざわざ香取山を選んだんだ?…理由はお前だ!」九雲は思わぬ指摘に失笑した。「そりゃ良い話だな~」「笑っている場合か?!お前の運命をも変える一大事なんだぞ?!」「運命ならどうやって逃げろというんだ?」九雲はようやく見つけ出したあの娘を苦しめたくないと吐露した。覃川は香取山へ来た目的を思い出し、再び霊灯を探すことにした。そこで地図を頼りに再び禁地へ足を踏み入れ、ついに万宝閣を発見する。一方、九雲は出雲(シュツウン)閣に帰っていた。しかし覃川の姿がなく、聞いてみれば白公子がすでに追い出したという。九雲はふと自分が決めたことだと思い出したが、その時、侵入者を知らせる石が光った。「まずい…」覃川は万宝閣の石門を開けようとした。しかし目に見えない符文に触れ、万宝閣を守る2体の鎧兜が動き出してしまう。覃川は応戦したものの深傷を負い、鎧兜たちの鉄鎖に捕まった。すると意識が遠のく中、九雲が駆けつけ難を逃れる。「小川よ~とんだ跳ねっ返りだな」その時、運悪く山主と青青の声が聞こえて来た。青青は山主の興味が玄珠(ゲンシュ)に移ったと疑った。そこで山主は嫉妬する青青をなだめるため、万宝閣から好きな物を贈ることにする。「多くの弟子の中でもお前は特別だよ~お前を蔑ろにするはずないだろう~」山主は思わず青青を抱きしめると、青青は偶然、地面に落ちている小瓶に気づいた。万宝閣と名が付くだけあって、洞窟の中には宝物が所狭しと置かれていた。すると青青はたくさん並んだ香袋のひとつから仙気を感じ、手を伸ばす。しかし山主が巾着などつまらない物だと声をかけた。「そうですね、他のものにします」実は九雲は覃川を連れて巾着の中に身を隠していた。九雲はうなされる覃川に耳を近づけた。「父皇…母后…妖魔を倒せません…」「…霊灯か」九雲はついに覃川が香取山に潜入した理由を知る。するとようやく山主と青青が万宝閣を出て行った。九雲は深傷を負った覃川を抱きかかえて出雲閣に戻った。そこで白公子に誰も入れないよう頼んだが、運悪く紫辰と玄珠(ゲンシュ)がやって来る。紫辰は覃川の答えを聞きたいと訴えたが、白公子は都合が悪いと断った。玄珠も出直そうとなだめたが、紫辰はどうしても返事が欲しいと梃子でも動こうとしない。すると九雲が中へ通すよう告げた。医術の心得がある紫辰は覃川を脈診した。「九雲大人、昨夜、姑娘の身に何があったので?」「紫辰、帰りましょう?」玄珠は紫辰の腕をつかんだが、紫辰は急に怒って玄珠の手を振り払った。「重症だぞ!誰がこんなことを…」仕方なく白公子は自分が殴ったとごまかしたが、紫辰にそんな嘘は通用しない。そこで九雲は自分が罰したと嘘を付き、山主の高弟が侍女を罰しても問題ないと言った。「玄珠、これが仙人だよ」これにはさすに玄珠も呆れた。「傅九雲、侍女の意見を尊重する人が体罰を与えたの?!」「その通り、口では忠誠を誓いながら本心では左公子の所へ行きたがっていた」「なぜ分かるの?」「憶測さ…左公子、貴君も名家の息子なら見たことあるだろう?主が奴婢を罰するのを…」「ふっ、なるほど、師父殺しなら侍女を殴ることくらい普通だろうな?」憤慨した紫辰は玄珠にすぐ帰ろうと言った。紫辰が覃川を侍女に欲しがったことで、覃川は注目の的になった。弟子の子衿(シキン)と一心(イッシン)は覃川が九雲と共寝したらしいと噂したが、青青に聞かれて叱られてしまう。あの日、万宝閣で覃川が落とした桂花油を拾った青青、覃川には必ず何か秘密があると疑った。紫辰はこれまで九雲の悪評などただの噂に過ぎないと思っていた。しかしどうやら真実だと失望し、玄珠にすぐにでも山を降りたいと希望する。玄珠は目が治ったら帰ろうと言ったが、紫辰は玄珠が下山できない理由を知っていた。「今朝から玄珠大人と呼ぶ声がする、私の目のために山主の弟子になったのか?」「ええ」玄珠は仕方なく認めると、紫辰はこの香取山にそこまでの価値があるのかと言った。九雲は覃川に付き切りで看病していた。すると記憶が戻った白公子が駆けつけ、覃川は危険なので追い出した方がいいとう。「これを見て」白公子は自分が壊された時の映像を映し出すと、そこには覃川の本当の姿があった。「覃川が私の頭を割った!この侍女は人間の帝女だよ!名前を変えて別人になったんだ!」恨みを募らせた白公子は覃川を起こして拷問しようと頼んだが、九雲は拷問するには早すぎるという。「もっと大きな計画があるが、まだ数日かかる…」青青は玄珠を花見に誘った。紫辰を残しておくのは気が引ける玄珠、しかし紫辰はせっかくの厚意なので行ってくるよう勧める。玄珠は弟子入りの件で気まずいこともあり、確かに紫辰を1人にしておくのも良いと考えた。その頃、覃川はようやく目を覚ました。しかしなぜか自分が出雲閣にいると気づいて困惑する。すると九雲が薬湯を持って来た。「昨夜のことを話そう、そなたは私の命で山に入り、道に迷って崖から落ちたんだ」九雲は覃川に薬湯を飲ませると、ゆっくり休めと行って出かけることにする。「傅九雲?@呼び捨て」「無礼者!」「私は万宝閣で盗みを働こうとした、なぜ助けたの?…本当のことを言って?!」覃川は思わず寝台から飛び出したが、めまいでよろけてしまう。慌てた九雲は覃川の腕をつかんで支えると、2人は気まずい雰囲気になった。「なぜかって…それはそなたが最愛の侍女だからさ」つづく(  ̄꒳ ̄)ちんだーれん、首から色が全然、違ってる時があったわwAIの精度が悪いのか、使いこなせていないのか?
2021.04.21
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第5話「仙人の侍女」傅九雲(フキュウウン)は青青(センセン)らに目を付けられた覃川(タンセン)を守るという口実で自分付きの侍女にすると決めた。「安心しろ、秘密は黙っておいてやる」「…何のことやらさっぱり」覃川はまさか自分の正体がバレているとも知らず涼しい顔、すると九雲が急に覃川を後ろから抱きしめた。「よいか、もっと慎重に動け」しかし覃川は九雲の腕の中からするりと逃げてしまう。「ふっ、ずっと見張っているぞ?…さっ、支度して私の屋敷へ」その頃、翠丫(スイア)は収監された覃川を心配して涙に暮れていた。すると日も暮れる頃になって覃川がひょっこり戻って来る。翠丫は喜んだが、その時、中庭で九雲の伝令が響き渡った。雑用係たちは何事かと集まり出し、実は覃川が九雲に見染められたと知る。しかし中には九雲に仕えるなど気の毒だと同情する声もあった。( ・ノェ・)<だって自分の師父を死に追いやった悪人よ?コソッ覃川は思わず聞き耳を立てたが、九雲を慕う翠丫がだだの妬みだと一蹴した。実は香取(コウシュ)山の決まりで、四大弟子に仕える者は自身も弟子の一員となり、仙人にも成り上がれるという。九雲は仙山のしきたりに従い、覃川のために真紅の籠を迎えに出した。これなら青青たちも簡単に手は出せないだろう。やがて覃川が籠に乗って無事、出雲(シュツウン)閣に到着した。「小川(シャオチュァン)、今日からそなたは私のものだ まずは夜食を作ってくれ、それから夜のお供も頼む」「夜のお供?」「身も心も尽くしてお供しろ」九雲はこれでもう逃げられまいとほくそ笑んだ。九雲は寝床の準備をするよう命じ、自分を警戒する覃川にわざと先に入れと指示した。九雲が好色で軽薄だと信じて疑わない覃川は侍女にも尊厳があると抗議、身を許そうと心は許さないという。(  ̄꒳ ̄)<構わんさ…( ̄◇ ̄)ノ″<じゃ心の方で!(  ̄꒳ ̄)<ならば私だけを愛すると約束するか?(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン(  ̄꒳ ̄)<豆豆哥は?( ತ _ತ )<それは別です!九雲はさっき誓ったばかりなのに、もう別の男を思い出したと呆れた。すると九雲は布団を温めるのも侍女の立派な仕事だと教える。(; ̄▽ ̄)<え?温めるだけ?九雲は恋にうつつを抜かしているせいで誤解をするのだと戒め、仕方なく冷たい寝床に入った。「今晩はここの床で寝ても良いぞ?」覃川はまだ自分の部屋がなく、仕方なく九雲の寝台の下からもう1つの寝台を引っ張り出して寝ることにした。初日から振り回されて疲れたのか、覃川はすぐ眠り込んでしまう。すると優しい母の夢を見た…『私はお嫁に行かない、ずっと母后に守ってもらう』『そう言われても母后だっていつかは死ぬのよ?』『じゃあ~その時は一緒に死ぬわ』…九雲は覃川のすすり泣きでふと目を覚ました。覃川の頬を伝う涙を見た九雲は頬に手を伸ばしたが、急に覃川に手をつかまれてしまう。「豆豆哥~待って~!うわ~ん!」「こいつめっ!」九雲はいつの間にか寝たふりをしていた覃川の頬をつねり、また休んだ。翌朝、寝殿をこっそり抜け出した覃川は、見知らぬ仙人と出くわした。「お前が例の新入りか?」白(ハク)公子と名乗る仙人は覃川をみすぼらしい娘だと蔑み、新しい衣に着替えるよう命じる。「香取山は仙人が集う高貴な場所だ、もっと身なりに気を配れ」そこで覃川は言われた通り早速、着替えたが、白公子が急に頭が痛いと苦しみ出した。頭痛はすぐ治ったが、白公子は覃川のことを覚えておらず、再びみすぼらしい格好だという。「香取山は仙人が集う高貴な場所だ、もっと身なりに気を配れ」すると白公子はまた頭が痛いと訴え、結局、すぐに治った。「あの~私はみすぼらしい小娘です、思い出してください ここ香取山は高貴な場所で、もっと身なりに気を配れ!でしょ?」「よく言いたいことが分かったな?あ、新しい侍女か!思い出した!早く働け!」九雲と白公子は2人で外出すことになった。そこで覃川に山のような洗濯を頼んで出かけてしまう。しかし帰ってみると、中庭に無惨にも破れた洗濯物が干してあった。「うわっ!」「上着が!」「破れている!」「はかまも!」「台なしだ!」するとちょうど聴風(チョウフウ)亭の掃除をしていた覃川が現れる。「お帰りなさいませ~♪」すると覃川は拝礼に気を取られて抱えていた高価な花瓶を落とし、割った。ガッシャーン!覃川は呆気に取られている九雲の前にひざまずき、涙ながらに謝罪した。すると怒った白公子が出ていけと怒鳴りつける。覃川は願ったり叶ったり、早速、出て行くことにしたが、九雲に止められた。「一日中、洗濯して疲れただろう?…初めは皆、失敗するものだ」九雲は自分が手取り足取りしつけてやると言った。覃川は九雲が追い出すよう仕向けたが失敗した。仕方なく水汲みに出かけたが、すれ違った雑用係たちの失笑を買う。どうやら九雲大人(ダーレン)は本当に雑用係が必要だったらしい。覃川はふて腐れながら戻ると、九雲がなぜか白公子を丁重に扱うよう命じた。「湯船は程よい温かさにするように」「分かりました…( ತ _ತ)チッ」覃川は白公子のため湯を運んだ。しかし白公子の姿はなく、湯船にはなぜか鏡が浸かっている。覃川はともかく桶の湯を置いて外で待つことにしたが、しばらくして殿内から白公子が出て来た。「え?いつの間に中へ?」「?始終いたぞ?」すると白公子はどこかへ出かけて行った。…まさかこの人、白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)の化身なんじゃ…覃川は白公子が鏡に映った自分の正体を思い出す前に手を打とうと考えた。そこで白公子が寝静まった頃、金槌を持って寝所に潜入する。しかし結局、覃川は無邪気な顔で眠っている白公子を割ることができなかった。そんな中、突然、出雲閣に左紫辰(サシシン)と玄珠(ゲンシュ)がやって来た。紫辰は覃川と縁を感じ、九雲に譲って欲しいと頼む。すると九雲は文人である紫辰を称賛し、人の作品に筆を加えるのも得意なようだと遠回しに嫌味を言った。しかし紫辰があの曲を作ったのは九雲だと知る由もなく、その意味は伝わらない。「侍女1人くらいいつでも差し出すさ~この屋敷内にあるものは何でも謹呈しよう ただ本人の意思も尊重しなくてはな…」「嫌です!」覃川は間髪入れず断り、九雲がやすやすと自分を手放すとは辱めを受けた気分だと不快感を表す。驚いた紫辰は無礼を詫びたが、九雲はわがままを言うなと叱責した。「そなたは左公子を慕っていると思ったのだが…考え直さなくていいのか?」九雲は覃川の反応を見たが、気まずい雰囲気を察した玄珠が改めて出直そうと提案した。翌日、九雲を訪ねた眉山(ビザン)君は、花畑にいる侍女があの娘だと気づいた。そこで名前を聞いてみると″覃川″だという。「覃川か?…あの人らしい命名だ」「え?」「いや、亡き師兄を思い出してな…」すると眉山はしみじみ自分にも覃川のような妹弟子が欲しいと漏らし、酒を渡した。「湯せんしたら白玉の器に入れて持って来い」しかしやはり思い直して自分でやるという。覃川は酒を温めるくらいできると言ったが、眉山は酒になぞらえて警告した。「九雲はいちずでな、千年間も同じ酒しか飲まぬ だが美酒というのは人を狂わすものだ、内側からじわじわとな…」「…飲み過ぎには注意しないと」「分かってないな~この酒は心に巣くうんだ 杯の中では静かにとどまっているのに、一口飲めばたちまち感情をかき乱す 九雲は哀れな男だ…いずれ身を滅ぼすかもな?」「…大人、でもお酒はお酒でしょう?九雲大人も命まで落とすことはないのでは?」「っ!この酒というのはつまり…」眉山は覃川に何か言おうとしたが、九雲が現れた。「小川、すぐ酒を温めて来い」眉山は瓊花(ケイカ)海の涼亭で覃川が温めてくれた酒を飲み始めた。九雲は覃川に余計なことを吹き込むなと頼んだが、眉山は悩みを酒でごまかす九雲が心配だという。すると丸薬を取り出し、白河(ハクガ)龍王は必ず災いをもたらすと警告した。「この帰元護心丹(キゲンゴシンタン)を食しておけば、深傷を負っても霊力を失うことはない」九雲は必要ないと断ったが、眉山はそれでも強引に渡す。「お前の体内に宿るものを甘くみるなよ?」仕方なく九雲は丸薬を飲み込んだが、万始山の頂上に封じてあったという仙薬はかなりまずい。そこで眉山は酒で流し込めと勧めた。「ん?においが変だぞ?」「酒が分かっていないな~」眉山はそこで酔い潰れてしまう。「ふっ、小川を敵に回すと大変だぞ?」実は覃川は道すがら尿瓶を運んでいた二萌(ジホウ)と出くわし、酒に混ぜていた。つづく(  ̄꒳ ̄)あれ?9だーれんは何?燕燕を千年も好きだったってこと?てっきり師父が残した絵の謎を解きたい→次第に好きになるだと思ってた…
2021.04.20
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第4話「愛する人との再会」梯子から落下して顔に切り傷を負った覃川(タンセン)。少しは良心があるのか、傅九雲(フキュウウン)は″芝草玉露膏(シソウギョクロコウ)″を置いて行った。しかし仙術を施した妙薬のため、患部に軟膏で護符を書く必要があるという。その護符とは亀の絵だった。覃川は嫌がらせだと憤慨しながらも渋々、黒い軟膏で顔に亀の絵を描く。鏡をのぞき込んだ二萌(ジホウ)は吹き出したが、驚いたことに覃川の顔の傷がみるみるキレイに消えた。その夜、修行を終えた香取(コウシュ)山主が洞窟を出た。弟子たち総出で出迎える中、山主は真っ先に九雲をそばに呼んで釘を刺しておく。一見、平穏に見える香取山、しかしタツノオトシゴの一件の通り、裏では不穏な動きがあると警戒していた。「例のことは霊力に関わる重大事だ、分かっているな?白河龍王だけではない 他の仙人や当山の弟子にも、もし知られたらどうなるか?」山主は九雲の腕をつかむ手に力を込め、無言の圧力を与えた。翌日、香取山に2人の賓客が到着した。瓊花(ケイカ)海で仕事中だった覃川たち雑用係も沿道にひざまずいて出迎えたが、翠丫(スイア)の話では驪(リ)国の公主だった絶世の美女が山主に弟子入りするらしいという。驚いた覃川はちょうど前を通り過ぎる賓客の顔をのぞき見ると、信じられないことに従姉妹の玄珠(ゲンシュ)が左紫辰(サシシン)を連れていた。玄珠と紫辰は静かな山荘に落ち着いた。紫辰の目を治すため半月ほど滞在する予定だが、何も知らずに香取山に案内された紫辰は機嫌が悪い。玄珠は左相国(サショウコク)の指示だと取り繕ったが、紫辰は失笑した。実はかつて香取山での修行の話が流れたことがある。度量の小さい仙人たちが離脱した門徒のような自分を治療するはずがない。玄珠は当時と事情が違うとなだめたが、紫辰は山主に頼りたくないと拒んだ。「香取山の山主は欲深いと有名だ、治療の見返りに何を渡したんだ?!」「なぜそんなに頑固なの?」「私の目だ!…私が決める」ちょうどその頃、覃川は玄珠たちの食事を届けに竹林へやって来た。しかしあの時の約束を思い出し、足がすくんでしまう。…燕燕(エンエン)は顔を変える前、最後に紫辰に会うことにしたそこで紫辰の部屋を訪ねたが、偶然、紫辰と玄珠の話を聞いてしまう実は紫辰は反乱のことを何も知らなかった紫辰は燕燕に誤解されて目を斬り付けられながら、それでも父の異変に早く気づけなかった自分を責めている真実を知った燕燕は紫辰に合わせる顔がなく、慌てて引き返したすると物音に気づいた玄珠が現れる『従姉妹のよしみで見逃すから、迷惑をかけないで、紫辰にしたことが正しかったと思うの?』『…たとえ目を失おうと父親の罪は償えない』燕燕は精一杯の強がりを見せたが、玄珠には見抜かれていた『彼を愛しているなら、もう構わないで』玄珠は燕燕が紫辰の謝罪を受け入れて元の鞘におさまることを恐れたしかし燕燕は否定する『違うの…紫辰を恨まなくても永遠に忘れられない、驪国の滅亡は全て左家が招いたことよ? 最後にひと目、会いたかっただけ…ありがとう、真相を聞かせてくれて これからはもう紫辰と関わらない、2度と会わないわ』『分かった、今の話を忘れないでよね これから紫辰の人生は私の人生よ、あなたのことを忘れさせてみせる』玄珠と紫辰の食事は結局、翠丫が運んでくれた。一方、九雲は偶然、俗世界の野草を発見、なぜ仙山に紛れ込んだのか訝しむ。そしてその夜、玄珠は山主を訪ね、かつて燕燕が公子斉(コウシセイ)からもらった絵を献上した。山主は絵を気に入って紫辰の目の治療を快諾、さらに美しい玄珠を自分の弟子に迎えたいという。「私は自分の直弟子のためにのみ仙術を使いたいのでな…」これも紫辰のため、玄珠はすぐさま弟子入りの叩頭を済ませると、山主は玄珠の額に弟子の証となる封印を残した。青青(セイセイ)は師妹となった玄珠を迎えるため、雑用係に凝碧(ギョウヘキ)殿を掃除させていた。そこへ玄珠が紫辰を連れてやって来る。「ここは宴会で使う場所よ、琴もあるからあとで届けさせるわね」「必要ない、気が乗らぬ…」すると青青は驪国の符文がある琵琶があると教えた。青青と玄珠は琵琶の話に花を咲かせたが、そんな2人をよそに、紫辰はふと懐かしい匂いに気づいて覃川の方へ歩き始める。焦った覃川は咄嗟に腰巾着から桂花油を出して髪の毛に塗りたくった。そのせいで紫辰は急にくしゃみが止まらなくなってしまう。玄珠は慌てて紫辰を気遣うと、青青は雑用係の匂いだと気づいて全員を下げた。覃川が中庭の掃除をしていると九雲が現れた。九雲は珍しく殊勝な覃川に銅鏡を返してやると言ったが、なぜか覃川は気に入ったのなら譲るという。「構わん、だが聞きたいことがある」実はその銅鏡の裏には驪国皇室の紋様・瑞燕麒麟(ズイエンキリン)があった。九雲は覃川が皇室の血筋とは驚きだと含みを持たせたが、覃川は意地でも正体を明かさない。「んなバカな~ダーレンったら見る目がないんですね~」「ならば娘(ニャン)から偽物をもらったと?」「そうです、貧しい家でしたから」すると覃川は仕事があると断り、銅鏡を受け取って逃げるように去って行った。覃川は九雲の追求を逃れ、花畑の仕事に戻ることにした。すると道すがら、橋の途中でたたずむ紫辰と出くわす。覃川は早歩きで通り過ぎようとしたが、足音に気づいた紫辰が急に声をかけた。「誰だ?」驚いた覃川はうっかり玉瓶を落とし、割ってしまう。「瓊花(ケイカ)海の水やり係です、お騒がせして申し訳ありません」「雑用係か…こちらへ」しかし紫辰に関わりたくない覃川は無視して歩き出した。紫辰は慌てて引き止めようとしたが割れた玉瓶を踏んで膝をつき、うっかり破片に手をついてしまう。紫辰は手のひらを切っていた。「姑娘(グゥニャン)、ただ瓊花海への行き方を聞きたかっただけなんだ…」覃川は急いで引き返し、紫辰の手に手巾を巻いて応急手当てする。「公子(ゴンズー)、天上池に沿って東へ向かえば瓊花海です」しかし紫辰は怪我をしたので散歩をやめると伝え、山荘へ送って欲しいと頼んだ。「そなたの名は?」「…覃川です」「覃川姑娘…今、割れたのは玉瓶だろう?私の部屋にも同じものがある それを持っていけば叱られないだろう」紫辰は昔の家と同じ場所に琴を置いていた。「旧友の贈り物なんだ…これを残すのは過去にあった全てのことを忘れないためだ」実は紫辰は覃川の語調で驪国人だと分かったという。「とても良い声だ、旧友と似ている…私たちは以前にも会ったことが?なぜか懐かしく感じる」「ご冗談を~ただの使用人が高い身分の方と会えるわけがありません」「…なぜだろう、そなたと話していると心が落ち着くよ」動揺した覃川は紫辰の手当を終わらせると、早々に下がることにした。すると紫辰が覃川の顔が知りたいと言い出し、手を伸ばして覃川の頬に触れる。「覃川、君は美しいね」その時、玄珠が青青を連れて入って来た。青青は覃川が賓客を誘惑したと激怒した。しかし紫辰は自分が覃川を連れて来たとかばい、むしろ居所に青青を入れた玄珠に不快感を示す。玄珠は仕方なく紫辰に言われたとおり覃川に玉瓶を渡して見逃したが、青青は怒りが治らなかった。そこで弟子たちを引き連れ、覃川の居所を捜索する。ちょうど仕事から戻って来た覃川は何事かと聞いたが、その場で取り押さえられた。「私が何をしたと言うんです?!」「牢に入って考えなさい、連れて行って!」その夜、玄珠は中庭でたたずむ紫辰を見つけ、外套を持って行った。「玄珠、すまない、嫌な思いをさせて…この数年、苦労をかけたね」玄珠は紫辰の優しい言葉に胸がいっぱいになり、思わず紫辰の耳元でささやいた。「月が美しいわ」一方、収監された覃川は天原国に滅ぼされた驪国の無念を思い出していた。…覃川、何度も言って来たわね?阿満、父皇、母后、そして驪国人の敵を討つと…牢の中にいてはこれまでの苦労が水の泡になる…でもどうすれば妖魔を倒し、民を救えるの?すると思いがけず二萌が九雲を連れて面会にやって来た。「こう思っているのだろう?″私は何をしているのか、大事なことが進んでいないのに″と…ふっ」九雲の鋭い指摘に覃川は動揺を隠せない。しかし二萌が確かに自分たちの大事なことが進んでいないと笑った。|ω・`)<私は無実なんです!あぁ~目の前の九雲大人が本当の菩薩様に見えるわ~(.. ゚ェ゚)<川儿?九雲大人は元から神仙だ|ꇴ≦`)<そうだった!そこで九雲は助けても良いが見返りは何かと聞いた。|ω・`)<今後の給料全て…?(うーん)この身を捧げます( ๑≧ꇴ≦)<そこにいろ!|ω・`)<そんな~覃川は仕方なく助けてくれるなら何でも言われた通りにすると泣きついた。すると九雲は覃川をあっさり解放し、見返りとして自分の侍女になるよう命じる。つづく↓今日のチンダーレン左の遠目の映像はそのまま?でも右のアップは雑すぎるw
2021.04.19
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第3話「霊灯の在りか」妖魔を封印することができる法器・霊灯(レイトウ)は香取(コウシュ)山にあった。山主は洞窟にこもって灯火修行をしていたが、その夜、ふらりと傅九雲(フキュウウン)が現れる。「九雲、次の灯火修行の時は外で守っていなくてもよい、霊力の吸収は節度を守っている お前の師父のように行き過ぎることはない」「だが今は慎重になったほうが良い…まもなく白河(ハクガ)龍王が訪ねて来る」霊灯のお陰で霊力が増した山主は白河龍王など歯牙にも掛けていなかったが、確かに来訪する真の目的によっては厄介なことになる。ともかく山主は九雲の身体に霊力を注いでやった。すると九雲の首の後ろにある印が反応する。「九雲よ、お前の霊灯は素晴らしい 私が霊灯の霊力を吸収するのは、お前の体内の2つのものを封印するためだ」「山主は仙界でも屈指の封印大師、山主の封印がなければ私はとうに死んでいる」その時、山主は誰かが結界を破ったと分かった。九雲は恐らくあの覃川(タンセン)だと気づき、すぐ飛び出して行く。まさか向こうから飛び込んで来るとは好都合だ。覃川の正体は驪(リ)国の帝女・燕燕(エンエン)だった。あの夜、亡国の恨みを晴らすと決意した燕燕は師匠から法術を授かり、霊灯の在りかを記した香取山の地図を受け取る。しかし香取山で本当の姿を見せてはならなかった。すると師匠が燕燕を座らせ、髪を梳きながら新しい名を授けてくれる。実は今年が燕燕の笄礼(ケイレイ)の年、驪国の女子はかんざしを挿す年に年長者から本当の名前をもらうしきたりだ。『これからあなたの名前は″覃川″です』老先生は最後にかんざしを挿すと、燕燕の顔を阿満(アマン)に変えた。こうして新しく生まれ変わった覃川はついに雑用係として香取山へ潜り込むことに成功、早速、地図を頼りに岩山へやって来た。しかし結界に阻まれ、入ることができない。そこで覃川は白紙術で白虎を招喚、無事に岩山へ入った。↓猫猫(マオマオ)洞窟を抜けた覃川、すると九雲がいきなり背後から覃川を抱きしめ、口づけしたいとささやいた。身の危険を感じた覃川はこっそり腰巾着から針を取り出すと、振り向きざまに九雲の肩に突き刺してしまう。「そなたがどこにいても…見つけてみせ…る…ゥッ」九雲はそこでばったり倒れた。翌日から覃川の行く先々に九雲が現れるようになった。九雲に翻弄されながらも機転を利かせてあしらう覃川、すると偶然、桂花が仙人たちの嫌いな匂いだと知る。そこでその朝、覃川はわざと髪に桂花油を塗りたくり、仕事へ出かけた。仕事場の花畑で九雲が待っていた。しかし九雲は桂花油に全く反応を見せず、涼しい顔で覃川の髪に花を挿す。覃川は軽薄な九雲を牽制するため、実は愛する幼なじみがいると言った。香取山の雑用係になったのも、16歳の時に仙人になる修行に出たまま行方知れずになった幼なじみを探すためだという。(^ꇴ^)b<彼は…姓は豆(トウ)、名も豆(トウ)、豆豆哥です( ತ _ತ)<幼なじみ?で、何だって?( 」゚ロ゚)」<だから~″どーどーぐぁー″です!「私の名は豆豆じゃないぞーっ!」その声は覃川の許嫁・二萌(ジホウ)だった。二萌は覃川が自分の名前を間違えたと気づいて走って来た。しかし動揺した覃川が帰れと命じると、素直に仕事に戻ってくれる。まさか九雲が自分の正体を知っているとは思わず、覃川は本当に愛する人は豆豆だけだと言い張った。するとさすがに痺れを切らした九雲が覃川に刺された針を返す。驚いた覃川は咄嗟にその場にひざまずき、命乞いした。実は父から武術を少し学んでおり、針と針に塗った麻酔薬は護身用だという。「やむを得ず使ったのです、九雲大人(ダーレン)を痴漢と勘違いして…これも純潔を守るためです! それに大人は身体がお強いでしょう?あの麻酔は普通の人なら耐えられないけど~ お元気そうで~オホホホ~」「なら本当に豆豆哥のためのようだな? …立ちなさい、小川よ、桂花油を塗りたくっても美女にはなれないぞ?ん?」すると九雲は小賢しい覃川のほおをつねって帰って行った。覃川は九雲から解放され、再び霊灯探しに戻った。すると偶然、弟子たちが九雲の指示で裏山の結界を増やしていると小耳に挟む。覃川は弟子たちに見つからないよう気をつけたが、知らず知らずのうちに禁地に入っていた。覃川は山の奥で巨大な鏡を発見した。そこへ偶然、見知らぬ侍女が通りかかり、気まずい2人は互いに道に迷ったと取り繕う。しかし鏡に2人の正体、燕燕とタツノオトシゴが映し出された。2人は互いの正体に気づいて対峙したが、侵入者に気づいたツルが2人に襲いかかる。すると覃川はタツノオトシゴなら白河龍王の間者だと気づき、自分も龍王の弟子だと嘘をついた。「とにかくこの鏡を割らないと!」侍女は咄嗟に短剣を投げて鏡にヒビを入れたが、その隙に覃川が腕をつかみ、侍女を思い切り鏡に投げ飛ばしてしまう。裏山の騒ぎに気付いて弟子たちが集まって来た。覃川は道に迷い、侍女を見かけて道を聞こうとしたところ、鏡に真の姿が映ったと涙ながらに訴える。確かに覃川のそばにはタツノオトシゴが倒れていた。弟子たちは白河龍王の間者だと警戒したが、そこへ九雲がやって来る。すると九雲は山主が閉関しているため自分に任せるよう伝え、弟子たちを解散させた。そこで覃川もどさくさに紛れて帰ろうとしたが、九雲に止められてしまう。|ω・`)oO(oops!ヤバい…(  ̄꒳ ̄)<何がヤバいんだ?覃川は何も知らないと訴え、タツノオトシゴがひとりで鏡を割ったと嘘をついた。しかしどちらか1人の力でこの鏡陣を破れるはずもなく、九雲は侍女と協力して鏡を壊した後、覃川が背後から侍女を襲ったのだと気づく。そこで不意を突いて覃川を抱き寄せ、全て見透かすように耳元でささやいた。「嘘つきめ、言い訳はできぬぞ…このツルは万宝(バンホウ)閣に侵入する者に絡みつく」九雲は短刀で切り落とされたツルから桂花油の匂いがすると確認し、かすめ取った折り紙を見せた。「白紙仙術だな?これで何をするつもりだ?…自分で出すか?それとも私が探そうか?」追い詰められた覃川は仕方なく外衣を脱ぐと、懐に隠していた折り紙が転がり落ちた。「折り紙もしてはいけないんですか?!うさぎは娘(ニャン)からもらったんです!」九雲は知らぬ存ぜぬを貫く覃川に実力行使、万宝閣に入れず残念だろうと言いながら覃川の頬に手を伸ばした。驚いた覃川は咄嗟に短剣を自分の首に突きつけ、想い人がいると抵抗する。「そなたの話は嘘ばかりだな、この山に豆豆などいない」「罪を着せられ、貞操も守れないなら死にます!」しかし嘘だと知っている九雲は止めてくれない。覃川は何度も腹を刺そうとしたが、無駄だった。「私への嫌がらせなのか?その三文芝居は…」すると九雲は急に馬鹿馬鹿しくなって帰って行った。九雲は居所に戻ると湯殿を準備した。「お前はついてなかったな…」九雲は湯殿に″白月星雲鏡(ハクゲツセイウンキョウ)″の破片を浸けると、しばらくして鏡は人形(ヒトガタ)になった。すると鏡はきれいな娘を見たという。翌朝、覃川が天上池で水をくんでいると、偶然、青青(セイセイ)と九雲が通りかかった。すると青青が昨日の裏山の娘だと気づき、わざわざ声をかけて覃川の証言など信じていないと迫る。九雲は自分の調べで問題はなかったと助け船を出したが、青青いわくこれは戒めだという。「使用人の身で勝手なまねをしたら、3日間、死体をさらしてやるわよ」青青はどうやら禁地に入った覃川を警戒しているようだった。覃川は梯子に登り、中庭の大木の葉を選別していた。すると後ろの涼亭に陣取った九雲が急に声をかける。「言ってみろ?ここに来た目的を…」「目的なんてありませんよ~もう勘弁してください」「狼少年(小騙子)?もはや疑っているのは私だけではないぞ?」「なら放っておいてください、どうせ死体をさらされるだけですから…」「ふん、目的を聞き出すまで手を引かないぞ?」|ω-`)oO(チッ!狗屁(クソ)仙人め…妖魔の退治もせず山に隠れてるだけで崇められちゃって、世間では隠者なんて言われてるけど、鏡でその顔を良く見てみろっつーのすると覃川はイライラして木の葉に八つ当たりした。「切ってやる!(チョキン!)こっちも!」九雲が急に静かになった。そこで覃川は振り返って後ろの涼亭を確認したが、九雲の姿はない。その時、うっかり腰巾着から銅鏡を落とし、ちょうど梯子の真下にいた九雲が拾った。「この銅鏡は?」「はっ!私のーっ!」不意打ちされた覃川は下をのぞき込んだ拍子に足を踏み外し、落下してしまう。しかし九雲が見事に覃川を抱き留め、難を逃れた。「九雲大人は人を抱くのが本当に好きですね(棒)」すると九雲は急に手を離し、覃川はそのまま地面に落ちてしまう。「顔に擦り傷があるぞ?ほら?」九雲は銅鏡で頬の傷を見せると、鏡が気に入ったので助けた礼にもらうと言った。驚いた覃川は母からもらったので返してくれと頼んだが、九雲はまた母かと呆れる。「なぜかこの銅鏡は…まるで…」そこへ二萌が現れ、話は途中で終わった。「ご亭主が来たなら私は失礼しよう」九雲は覃川の手に薬瓶を握らせて帰って行った。九雲がくれた薬は″芝草玉露膏(シソウギョクロコウ)″だった。小瓶に巻きついていた紙片には、4刻のうちに塗れば傷が消えるとある。ただし注意書きがあった。実は仙術を施した妙薬のため、下記の護符を患部に書かねばならないという。それは…。つづく
2021.04.18
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第2話「亡国の恨み」病を理由に朝廷を休んでいた左相国(サショウコク)は妖魔に寝返っていた。左相国は天原国の襲撃を手助けすべく妖兵と共に屋敷を出たが、その様子を偶然、驪(リ)国の帝女・燕燕(エンエン)に見られてしまう。その時、上仙・傅九雲(フキュウウン)は眉山(ビザン)君と別れ、屋根の上から高見の見物を決め込んでいた。すると妖兵に追われた燕燕が転倒し、今まさに殺されようとしている。…天に逆らい再び関わるならば、あなたも災難を避けられませんぞ?…「″天に逆らう″か?…それもよい」九雲は老先生の戒めに逆らい、結局、仙術で燕燕を助けてしまう。すでに城門には天原国の大軍が迫っていた。しかしこの時までなぜ狼煙が1つも上がらなかったのか。朝廷を招集した宝安(ホウアン)帝は左相国に問いただそうとしたが、この危機的状況にも関わらず左相国は参内していないという。皇帝は愕然となり、この時、ようやく相国の裏切りに気づいた。一方、父の使いで寺に向かっていた左紫辰(サシシン)は胸騒ぎを覚え、馬車を止めるよう命じた。しかし従者が左相国の命令で寺までは止まれないと断る。「寺に着けば守って頂けます!」紫辰は政変に気づき、今すぐ引き返さねば自害すると脅した。九雲は仙術で竜巻をおこし、天原軍の侵攻を阻んだ。しかし天原国の皇太子・靂渊(レキエン)が九雲の姿に気づいて矢をつがえる。「仙人が邪魔をしおって…」九雲は靂渊の矢をあっさり払い避けたが、それ以上、天原軍を阻止することはできなかった。左相国は城門を開き、天原国の皇太子を招き入れた。こうして天原軍は難なく城内へなだれ込み、人々をなぎ倒して行く。襲撃された驪軍はなす術なく、両親を守るべく宮門を守っていた二皇子は靂渊の剣に突き刺され絶命した。その頃、慌てて皇宮に戻った燕燕は宮道を埋め尽くする兵士たちの亡骸に呆然としていた。しかし亡骸の下敷きになって奇跡に助かった貼身侍女・阿満(アマン)と再会を果たす。すると突如、息を吹き返した妖兵が2人に襲いかかった。阿満は咄嗟に公主をかばい、背中を斬られて卒倒してしまう。驚いた燕燕は落ちていた剣を拾うも絶体絶命、その時、駆けつけた紫辰が妖兵を刺し殺してくれた。燕燕は愛しい紫辰が助けに来てくれたと安堵した。しかし左府の配下の言葉で全てを悟る。「公子!なりません!相国が城内の者は皆殺しにせよと…」紫辰は配下を怒鳴りつけ、自分が燕燕を守ると誓った。一瞬、頭が真っ白になった燕燕だったが、ふつふつと怒りと悲しみが湧き上がって来る。「天原国と左家は通じていたのね…」燕燕は紫辰に裏切られたと誤解、激情に駆られて思わず剣を振った。すると紫辰の両目から激しい血飛沫が飛び散り、驚いた配下たちが熱り立つ。しかし紫辰は両目を押さえながら配下を制し、燕燕を逃がそうとした。その時、仙鶴に乗った師匠が現れる。仙鶴が巻き起こす激しい風に左府の配下たちは身動きが取れず、燕燕はその隙に阿満を抱えて師匠の手を取った。こうして無事に脱出した燕燕、すると皇宮を埋め尽くす亡骸の中に惨殺された両親の姿を見つける。「父皇!母后!」眼下には自分たちを睨みつける靂渊の姿があったが、今の燕燕は逃げるしか方法はなかった。燕燕は意識を取り戻した阿満を連れ、師匠と共に郊外まで逃げ延びた。しかし運悪く妖兵と出くわし、師匠が仙術で応戦したものの、阿満が刺し殺されてしまう。阿満は幼い頃から公主の側に仕え、身分は違えど燕燕にとって姉妹同然の存在だった。…阿満が死んだ、これで身近な人は皆、いなくなったわ…この世にはもう父上も母上も兄上もいない燕燕は絶望し、阿満を埋葬しながら自分もすぐ行くと覚悟する。すると老先生が諦めるのはまだ早いと励ました。実は霊灯(レイトウ)という法器があれば妖魔を封印することができるという。「それを灯せば全ての妖魔の霊力を封じられるのです、しかし… 灯をともすには霊灯と血の契りを結ばねばならず、灯に捧げた魂は最後には消えてしまう」「…霊灯を探すわ」燕燕は驪国の敵を討つと奮起、自分の魂を犠牲にしても天原国の妖魔を討ち、全世界の妖魔を滅ぼすと決意した。ただし霊灯を取りに行くには身分を忘れ、名を隠して生きなければならないという。この世から亡国の帝女が消え3年が経った。ここは仙人たちが住む雪深い香取(コウシュ)山、下働きの人間たちが暮らす雑役院とは境界線となる符文(フモン)を彫った高い壁があった。実は来月、この香取山に白河(ハクガ)龍王がやって来る。趙(チョウ)管事は仙人たちの住む内殿で働く雑用係を選ぶことになったが、ある娘に目をつけていた。趙管事が目をつけたのは阿満に瓜二つの娘・覃川(タンセン)だった。覃川は黙々と仕事をこなす一方で、同僚の仕事を請け負いながら小銭を稼いでいる。そんなある日、内殿で働きたい翠丫(スイア)が賢い覃川を頼った。( ・ノェ・)コショッ<これは趙管事が一日中、食べている鯪魚(リョウギョ)城の瓜の種なの趙管事は覃川を居所に呼び、甥の二萌(ジホウ)を紹介した。まだ香取山に来たばかり、20歳で独り身だという。「白河龍王の訪問のことは知っているでしょう?私が雑用係を選んでいるの」すると趙管事は急に馴れ馴れしくなり、二萌は頭が鈍いが両親を亡くして不びんだと訴えた。そこで内殿で働かせるつもりだが、今回の白河龍王の訪問で何かあるかもしれないという。実は香取山主と白河龍王の良好な関係は表向き、互いに腹を探り合っているため、内殿はぴりぴりしていた。趙管事は覃川を二萌へ嫁がせ、内殿でへまをしないよう面倒を見て欲しいという。(^ꇴ^)<はい!(; ゚ェ゚)<え?いいの?(^ꇴ^)<いいですよ!覃川は即決して趙管事を驚かせたが、二萌が急に怒って出て行ってしまう。「顔は醜いし、肌も汚い!青青(セイセイ)姑娘(グゥニャン)の足元にも及ばないよ!」驚いた趙管事は甥に悪気はないと取り繕った。覃川はむしろ率直で男らしいと褒め、これでめでたく婚約となる。そこで翠丫から預かった瓜の種を渡し、一緒に内殿の雑用係に選んでもらうことにした。翌朝、内殿の雑用係に選ばれた覃川たちは荷物をまとめて塀の前に集合した。趙管事は香取山に入ったら掟に従うよう命じ、いよいよ洞窟へ入る。そして山を登ること二刻、ようやく長い洞窟を抜けると、美しい花畑が広がっていた。趙管事は許されていないことはしないよう釘を刺し、特に裏山は立ち入り禁止だと警告する。「もし入ったら、跡形もなく消えるわよ!」やがて花畑を抜けると、巨大な鏡が現れた。驚いたことに鏡の中が凝碧(ギョウヘキ)殿だという。覃川は皆が次々と鏡に吸い込まれるのを見ながら、最後まで入るのをためらった。そこで恐る恐る片足を突っ込んでは戻し、今度は片手を入れてみては戻す。すると趙管事がいきなり覃川の腕をつかみ、中へ引っ張り込んだ。「何してるの?!まったく〜早くして!」覃川が急いで仲間たちの列に加わると、ちょうど青青が現れた。「青青大人(ダーレン)、新しい雑用係です」「ん…子衿(シキン)、一心(イッシン)、仕事を割り振って」九雲が笛を吹いていると、ちょうど眼下を歩く一行を見かけた。子衿と一心は九雲大人に気づいて足を止め、白河龍王が来訪するため新しい雑用係が来たと説明する。翠丫は九雲の美しい容姿に目が釘付け、うっかり手に持っていた腕輪を落とした。すると九雲が瞬時に飛び降りて拾ってくれる。「独山玉(ドクサンギョク)の逸品だな」「母の形見です」九雲はこれ見よがしに翠丫の手を握りしめて腕輪を返し、隣にいる覃川の様子をうかがう。…今どきの仙人って軽薄ね…覃川は思わず目をそらしたが、そんな覃川を翻弄するように九雲は翠丫に口づけしてもいいかと耳打ちした。…恥知らず…呆れる覃川だったが、その時、舞い上がった翠丫が気を失ってしまう。雑用係の男たちは翠丫を近くの林の中まで運んだ。覃川は心配で付き添っていたが、そこで男たちの噂話を聞く。<容貌に惑わされたのか?今の仙界では全ての仙人が九雲大人を避けてるって言うのに〜<ああ~だから滅多に見かけないのか、評判が悪いんじゃ面目ないもんな眉山が涼亭で酒を飲んでいると、九雲がやって来た。「あの娘が来た…」「まさか!師兄が皇宮から救い出し、お前に見えぬよう結界を張ったんだぞ? 自ら出向いて来るとは…恩返しでもするつもりか?!」「恩返し?」「仙人と人間と妖魔、3つの世界は千年以上も互いに干渉せずにやって来た、3年前まではな あの娘のために古来の掟を破ったんだぞ?!感謝して当然だ!」しかし九雲の興味はあの娘が香取山に何をしに来たのかだという。眉山は情が湧くのは縁かもしれないが、災いかもしれないと釘を刺した。「…しばらく見ないうちにあの娘は小賢しくなった、構わぬ、時間はたっぷりあるさ」不敵な笑みを浮かべる九雲、眉山は得意のお遊びかと揶揄したが、九雲は遊びではないと言った。覃川は雑用係として花畑を任された。しかし渡されたのは小さな玉の瓶ひとつ、何でも瓊花(ニカ)海の花は全て仙花のため天上池の水を与えればいいという。するとその夜、翠丫が文句を言いながら居所に戻って来た。「仙鶴に噛まれた~何が仙境よ~動物にまでバカにされるなんて」覃川はふて腐れながら寝台に倒れ込んだ翠丫を励ましたが、すでに翠丫は眠っていた。つづく( ๑≧ꇴ≦)青青だーれん!どこか違和感あるけどまだ普通ですwそれにしても結構な惨劇映像でしたね…
2021.04.16
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三千鸦杀 Love of Thousand Years第1話「天原国の動き」『なぜまたあの絵の中に?』『少し酔ったかな…』傅九雲(フキュウウン)は人間界の戦の絵を眺めながら盟友・眉山(ビザン)君にそう答えた絵の中では深紅の衣をまとった娘が激しい雪の中、満身創痍で巨大な陣太鼓を打っているすでに多くの兵士の亡骸が野を覆い、流れ出した血は川となったそしてその恨みが積もり積もって山河に満ちて行く実はこれは九雲の亡き師匠が残した絵だった九雲は師匠の絵を千年も眺めて来たが、いまだにその意味を理解できないという結局、娘は斬り殺されてしまうが、眉山は人間の殺し合いなど日常茶飯事だと無関心だったしかし九雲は人間界でこの娘を見たという『千年かけてやっと見つけた…』九雲が見つけた絵の娘は驪(リ)国の帝女・燕燕(エンエン)だった。燕燕は皇室だけに伝わる秘術・白紙(ハクシ)仙術の修行中だったが、老先生は口達者な公主に手を焼いている。「仙鶴(センカク)を10羽、呼び出すまで外出禁止です!」すると燕燕は早速、白い紙を放ったが、飛び出したのは鶴ではなく、蛙だった。もうすぐ母の誕生日、祝宴には燕燕の天敵である従姉も招かれていた。すると二皇子が不機嫌そうな妹を見つけ、声をかける。「良いものを見せてやろう、この絵は金千両を出しても買えないぞ?」その巻物は確かに素敵な梅の絵だったが、さすがに千両は言い過ぎだ。しかし燕燕はすぐその絵の価値が分かる。ふいに絵の中から雪が舞い上がったかと思うと、燕燕は白銀の世界で凛とした寒梅を観賞できた。燕燕は幻影を映し出す不思議な絵に魅了された。二皇子の話ではこの絵は博文(ハクブン)館に現れた並外れた容姿を持つ絵の達人・公子斉(セイ)が書いたものだという。公子斉は絵に驚くような仙術を施し、見る者を夢中にさせていた。本人いわく一番得意なのは音楽で、二番目は色ごと、三番目が絵、四番目が仙術だとか…。噂を聞いた二皇子も公子斉の絵を手に入れようと群がる人々の波に揉まれていたが、ふと気がつくと手の中にこの巻物があったという。それにしても自分に惚れない女はこの世にいないとまで公言するとは思い上がり過ぎではないか。燕燕はそんな軽薄な人間が描いた絵とは思えなかったが、色ごとより得意と言うなら音楽の腕前はかなりのものだろう。すると二皇子は確か″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″という作品があったが未完成だと教えた。実は前半を作ったあと、天下にこの曲を舞える者はいないと感じて後半を作らなかったという。「なんて高慢な!公子斉に曲を完成させるように言って、踊り手ならここにいるわ!」「よし、阿哥に任せろ、ただし…ひとつ約束してくれ」兄の条件は反りが合わない叔母たちと仲良くして皇室の対面を守ることだった。仕方なく兄と2人で叔母・秋華(シュウカ)夫人と従姉・玄珠(ゲンシュ)に挨拶に行った燕燕、すると叔母が燕燕を見てすっかり美しくなったと歯の浮くようなお世辞を言う。そこで燕燕は玄珠にはとても敵わないと卑下し、さすが″中山(チュウザン)藩一の美女″と言い返した。夫人は顔を引きつらせながら、諸侯の娘など驪国の帝女とは比べ物にならないと笑う。妹の一撃に二皇子は頭を抱えたが、燕燕が話を変えた。「姐姐(ジェジェ)?最近、凄腕の仙人に師事されているとか?何か仙術を見せて欲しいわ」「修行は心身を正しくし、慎ましくあることが大切よ?学び終えるまでは見せたりしないわ~フン」燕燕は仙術の授業があると断り、兄に2人を任せて帰ることにした。すると母から見送るよう命じられた玄珠が仕方なく一緒に回廊へ出る。面白くない燕燕は咄嗟に手巾を取り出し、これで汗を拭いたらどうかと言った。玄珠は手巾に″辰″の刺繍があることに気づいて思わずつかんだが、燕燕は離さない。「私のものは何でも欲しいのね?」そこへ偶然にも燕燕に手巾を贈った相手・左紫辰(サシシン)が現れた。驚いた燕燕は玄珠が到着してすぐ来るほど気になるのかと嫉妬したが、紫辰は病の父から命じられただけだと釈明する。安心した燕燕は笑顔で紫辰を見送ると、玄珠は想い人に挨拶する間もなく不満げだった。そんな中、天原(テンゲン)国がまたしても周辺国を併合した。天原国と言えば勢力を広げながら軍力を増強し、しかも妖魔を崇めて妖術を使っている。報告を聞いた宝安(ホウアン)帝はいよいよ驪国も狙われると危惧し、国境の兵士たちを心配した。驪后は左相国(サショウコク)に相談するよう進言したが、なぜか昨日になって突然、辞官したいと奏状が届いたという。そこで皇帝は自ら左府を訪ねて説得することにした。まさか病を理由に屋敷にこもっている左相国が密かに妖魔を崇めているとも知らず…。翌日、皇帝と二皇子はお忍びで左府を訪ねることになった。燕燕は男装で身分を隠し同行したが、馬車の中で兄から″東風桃花曲″の完全版の楽譜を手に入れる。すると二皇子は妹がこの曲を踊れたら最高の絵を描いてもらえる約束を取り付けたと教えた。燕燕が突然、紫辰の部屋に現れた。「燕燕?!どうしてここに?」「父皇がお忍びで来ているの」すると燕燕は六芸すべてに秀でている紫辰に楽譜を渡した。紫辰はその複雑な旋律を見るなり達人の作だと気づき、仙人か皇室しか持つことができない名作だと絶賛する。「ここが分からないの、どうやって琵琶を奏でるのかしら?」「並外れた切れ者だな…でもあの奏法を使えば難しくはないだろう、背で弾くのだ」紫辰はあっさり難題を解決したが、なぜか華やかで勢いのある曲に強い殺気があると分かった。特に後半は死の気配があふれているため、紫辰は慶事にふさわしくなるよう編曲する。喜んだ燕燕は紫辰に玉のかんざしを贈った。「父皇の宮殿で見つけた上等の玉を使って国で一番の職人に作らせたの」燕燕は自ら紫辰の髪にかんざしを挿し、そっと紫辰の頬に触れた。紫辰は思わず燕燕の手を握りしめ、2人はしばし見つめ合う。「嬉しいよ…」皇帝たちが帰ると、紫辰の部屋に父がやって来た。すると父から皇后の祝宴に代わりに行くよう命じられる。紫辰は朝廷が乱れて外敵が迫る今、辞官するのはどうかと諌めたが、父は息子の進言を許さなかった。その夜、燕燕の寝所に公子斉が現れた。公子斉が仙術で燕燕の手元に文を残すと、燕燕はふと目を覚ます。…女人の男装は見苦しいことよ、歌舞の約束を忘れるなかれ…文を読んだ燕燕は驚いて寝台から飛び出したが、すでに公子斉の姿はなかった。「公子斉ね!私が勝つから!」皇后の誕生日、祝宴に集った朝臣たちの噂の主はもっぱら左相国だった。すでにひと月余りも姿を見せない相国、果たして今日は現れるだろうか。何でも皇帝がお忍びで訪ねて慰留したものの、病が重く立つことも難しかったとか。しかし噂では病は嘘で、皇帝が相国の権勢に不満だと知って辞官を申し出たという。すると宴席に父の名代で紫辰が現れ、朝臣たちは口をつぐんだ。都が祝賀に湧いている頃、天原国の皇子・靂渊(レキエン)は密かに左相国から驪国の防衛図を受け取っていた。今なら驪国の砦は隙だらけ、この機に乗じ、一気に都まで侵攻して平定を目指す。一方、九雲と眉山は宴へ向かっていた朝臣を拘束、しれっと2人に成り済まして祝宴に紛れ込んだ。するといよいよ燕燕の出番がやって来る。燕燕は仙術を駆使して見事な舞を披露し、誰もがその美しさに目を奪われた。あの難解な章も燕燕は琵琶を背に回し、難なく弾きこなしてみせる。「どうやら賭けは負けだな?」眉山は思わず九雲を見たが、九雲は悔しがるどころか嬉しそうに見えた。しかしそんな九雲が急に杯を置き、憤慨する。「書き換えたな?!私の作品だぞ!」九雲は燕燕の舞が終わると早々に席を立った。仕方なく会食を諦めた眉山は、たかが小娘のために万年の修行で得た悟りの心を乱す必要はないとなだめる。「私はただ…酒がまずいだけだ」九雲はそう言ってごまかしたが、その時、2人の前に燕燕の師匠が現れた。「師兄?!」兄弟子の姿に驚きを隠せない眉山、すると老先生は上仙が俗世間に関わるべきではないと苦言を呈す。「公子斉先生、帝女はまだ年若い、ここまでで良いでしょう?」「…嫌だと言ったら?」「彼女の天命は定められている、手出しはご無用です」老先生は悪縁を結ばぬよう釘を刺し、天に逆らって関われば公子斉自身も災難を避けられなくなると警告した。すると九雲は納得し、巻物を招喚して託すことにする。「ではこれを渡してください、今後は近づきません」しかしその夜、ついに天原国が驪国に侵攻した。翌朝、燕燕が目を覚ますと、机の上に巻物と文があった。貼身侍女・阿満(アマン)の話では朝、門の前に置いてあったという。…負けを認める、公子斉…燕燕は早速、巻物を広げると、部屋の中に桃の花が舞い上がった。「公主!公主!見てください!」思わず歓声を上げる阿満、すると燕燕はひとりで宮殿を抜け出したいと頼む。阿満は難色を示したが、燕燕は紫辰に公子斉の絵を見せたいと訴えた。左相国は朝から紫辰を寺へ送り出した。紫辰は父に頼まれて札を取りに向かったが、どうも父の様子がおかしい。一方、無事に息子を都から遠ざけた左相国は門を固く閉じ、すぐに密室へ向かった。燕燕は巻物片手に歩いて左府までやって来た。しかし紫辰を驚かせるため門を叩かず、塀を登ってこっそり侵入することにする。そんな燕燕の様子を九雲と眉山が物陰から見ていた。「九雲?本当にあの娘が絵の中の女なのか?…師兄に言われたろう?俗世に関わるなと」しかし九雲は眉山こそ人間界に相思相愛の相手がいたはずだと揶揄した。「私のことより自分はどうだ?その傷は辛湄(シンビ)の男にやられたんだろう?」「仙人が俗人を相手にするわけにはいかんからな、公平に戦ったのだ、仙術は使わん」「なるほど」眉山は左目の周りがあざになっていた。するとその時、塀をよじ登った燕燕が思わぬ危険に巻き込まれる。燕燕は運悪く左相国が妖術で招喚した兵士たちと共に屋敷から出て来る様子を目撃していた。つづく※原題「三千鴉殺」でお気づきの皆さんも多いと思いますが…まさしくその通り「三千世界の鴉を殺し、主と朝寝してみたい」でおなじみ、高杉晋作の都々逸から取ったそうですと言うか恐らく「三千世界の鴉を殺し」の漫画からでしょうねでも本国の人は意味不明では?しかも邦題になったら「三千鴉の恋歌」って訳わからなくなってるし( ̄▽ ̄;)( ๑≧ꇴ≦)そんなわけで青青大人待ちですw
2021.04.15
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