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新国立劇場 14:00〜 4階左手 サロメ:アレクサンドリーナ・ベンダチャンスカ ヘロデ:イアン・ストーレイ ヘロディアス:ジェニファー・ラーモア ヨハナーン:トマス・トマソン 東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:コンスタンティン・トリンクス 演出:アウグスト・エファーディング 昨日の今日で連日の新国立劇場です。どんだけ好きなんだって?いやそういうわけでは全然無い。ましてリゴレットで色々がっかりした翌日だし、正直気は乗らなかったのですけどね。なにしろサロメだし。別にそんなに観たいわけじゃないし。でも、まぁ、買ってあるし、行こうかな、と思って。 もうね、前日と段違いです。全然いいじゃないかと。オケはどちらも東フィルなのだけど、リゴレットのあの演奏は、ほぼ同時期にこれやってたからなのか。メンバーが完全に一緒かどうかはわかりませんが、今の東フィルは流石に完全に違うメンバーでやれるほどの人員は抱えてないと思うし。まぁ、そもそもお前サロメのことそんなに分かってるのか?とか問われれば、まぁリゴレットほどには知らないかも知れんなぁ、とは思うんですけれどもね。 まず、主役級の歌手が粒が揃っている。それだけでなく、丁寧で雑なところがない。まぁ、サロメというのはヨハナーン以外は出ずっぱりに近いのもあって、気を抜く余裕もないのですが、それにしても詰めの甘いところがない。傷が無いわけではないのです。粒が揃っているとはいえ、なんでも圧倒的にサラリと歌えてしまう、という訳ではないから、足りない部分がないとは言わない。でも、それはもう仕方ないことであって、その上でどれだけのことが出来るか、という意味で、丁寧にやっているので、不満には思わないのですよね。 個別の歌手を言えば、ヨハナーン役のトマス・トマソンがなかなかの声量で圧倒していて、これは良かったと思います。サロメ役のペンダチャンスカも、圧倒的とまでは言わないですが、よく最後まで歌い切っていました。ヘロデとヘロディアスの二人もこの二人に伍して劣らず、隙のない歌唱。 他の役は日本人キャストで、殆ど二期会所属らしいのですが、まぁ、それなり。ただ、これは言っておいていいけれど、声量や技術はともかく、丁寧さという意味では珍しくちゃんとやっていました。 そう、全体に、やっぱり丁寧に詰めてあるんですよね。だから、観ていても「なんで?」と思うことがない。それは演奏だけでなく、演技に於いても同じで、なんでそう動く?というところがない。 この演出は今回で7回目の再演らしく、新国立劇場ではずっと同じ演出です。初演は2000年で、演出は1999年に亡くなったエファーディングのものなので、いわば忘れ形見といったところでしょうか。そういう意味では20年くらいサロメはこれしか観てない気もするのですが、よく出来ていると思います。新国では再演での演出が残念なことになっている事例が少なからずあるのだけれど、今日のこの演出はちゃんとしていて、いい意味で長年の上演の蓄積が出来ているのだと思います。 ちょっと気になったのは、この演出、衣装はなんとなくそれっぽい「昔のパレスチナというか中東というかってこんな感じ?でもちょっと近代入ってるけどね」という感じのものなのですが、宗教論争を始めるユダヤ人達が、今回は見るからに近世か近代のユダヤ人のような衣装を着ていること。つまり、洋服風の上着を着ているのですね。ボタンのついたチョッキを着ていたり。これ、前からこうだっけなぁ?ナザレ人の方は中東っぽい衣装なのですけどね。いや、変えてもいいけど、どうだっけなぁと。どういう意図でこうなってるのかな、という。昔からだったとして、今回はそれに気付いてしまったので。 オケは前述の通り東フィルですが、力強い演奏。例によってちょっと管が怪しかったりするんですけれどね。でも、それを含めても、よく統制されたいい演奏だったと思います。指揮者のトリンクスは何度か新国で振っているそうで、正直あまり印象はなかったのですが、練れた演奏でした。 今回の歌唱陣は、正直言うとベテラン勢による、或いは盛りを過ぎた面々だったかも知れません。なにしろジェニファー・ラーモアですからね。でも、それが悪い方には行かず、むしろよく練れたものになっていたのではないかなと。 実はリゴレットもサロメもこの週末が千秋楽ということで、一番練れた状態なのだとは思いますが、サロメの完成度はかなり高かったと思います。
2023年06月05日
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新国立劇場 14:00〜 3階左手 先週に続き、2回目です。 まぁ、公平に言って、先週よりは改善されていた部分はあると思います。ただ、本質的には大差無いかなと。まぁ、そんなにひょいひょい変わるなんてこともないのでね。 やっぱり2幕が救いようがない。いや、好評だったのでしょうから、そういう言い方をしても響かないのでしょう。でも、ダメなものはダメなのよ。 そもそも外題役のフロンターリがリゴレットに合ってないのかも知れません。そんな筈もないと言えばない筈なのですが、けれど、2幕の歌いようを聞く限り、なんというか、リゴレットという人物に共感していないんじゃないかという気がするのです。 フロンターリ。来シーズンのシモン・ボッカネグラにも出るらしいですし、それなりに期待はしたいのでしょう。でも、悪いけど、如何にもロートルではあります。いや、それがいけないわけではない。ただ、この人は、一声聞くだけで魅了されるような歌手ではないのです。それは今回の他の歌手も皆そうなのですけれども。それでもいいんですよ、勿論。現実の舞台は今ここで、今いる人でやるしかないのだから、常に史上最高のメンツが揃うものではない。もっと言えば確かに現実に今ここで聞ける限りではベストなのかも知れません。でも、それならば尚のこと、その場で出来ることはちゃんとやって欲しいのです。 人によってはあの2幕のフロンターリに圧倒的な説得力を感じたのかも知れません。でも、申し訳ないけれど、声の大きさとか以前に、フロンターリからはリゴレットという人物としての説得力、リアリティを細かいところで感じることが出来ませんでした。リゴレットという人物は、はっきり言ってバランスを失している人です。けれども、そうであって尚悲劇的な人物であるという点に特異性がある。演ずるのが難しいかどうか、ではなくて、そうした複雑な人物にどう相対するか、という意味で、フロンターリはリゴレットという人物を信じられないんじゃないかと思います。寸鉄人を刺す毒舌の道化師でありながら、孤独に悩み、それでも何物にも代え難い一人娘を溺愛し、その人物があの2幕のような状況でどうするのか、というところに、腑に落ちてない部分があるのではないか。他のオペラ、他の役なら、それでも出来るかも知れないけれど、リゴレットでは..... もう一つは、そもそも全体に役者不足、というところでしょう。今日もジルダはまだしも、のジルダにしてから、それほど圧倒的なわけではない。そう、今回の歌手は皆それほどのものではない。それならそれで、の、詰めが甘過ぎるのです。ジルダの場合はそこそこ歌えても、安定性がない。声量とか声質とかは、持って生まれたものもあるし、努力すればどうにかなるものではない。でも、それなら、せめて声は安定させられないかな、と思うのだけれど.... テノールは今日もダメ。そもそもこの人は喉の奥の方で声を出してしまっている感じ。詰まってるんですよね。なんか勘違いした日本人歌手みたい。でも、声は口から出すものなので、喉の奥で詰まらせてしまってはまともに響くわけはないのだけれども....でも、日本人はこういうの好きなんですかね。敢えて言えば、ボニゾッリとかの声質はこの系統かも知れません。実はコレッリも多分この感じが少しあるんじゃないかと。でも、どう考えても、いいやり方ではない。そもそも声が綺麗に出ないし、声量的にも不利な筈で、それを無理に補おうとするから、聞いてるこちらが苦しくなってくる。音程も安定しないし。そんなだから、皆、とてもじゃないけど役に説得力を....なんて出来る訳も無い。それどころか、アンサンブルも出来ていない。今日一番良かったアンサンブルがスパラフチレとマッダレーナ、っていうのも、悪い冗談であって欲しいけれど事実なのでね....いや、真面目に、マッダレーナは今日一番安定していたと思いますが、マッダレーナが良くってもねぇ..... 要するに全体に雑なんです。いや、たとえばグルベローヴァみたいな声を披露出来るのなら、多少雑でも、というのはつまり、アンサンブルに合わないところがあったり、人物造形で「ん?」と思うようなところがあったりしても、通ってしまうでしょうけれど、そうでないなら、せめてもそうしたところは隙のないように詰めてきて欲しい訳です。大体が、グルベローヴァにしても、他の本当にトップレベルの人達なら、そんな雑なところは決してありませんからね。 歌唱が雑になってしまうのには、指揮者の選択の問題もあるかも知れません。例の2幕は爆速系の演奏で、歌手が持たないからそうなったのか、それともお構いなしに爆速を選択したのか。いずれにせよ、決して感心しません。 それなのに拍手喝采ですよ。いや、前回に輪をかけて解せないのはこの点です。本当にあなた達これがいいと思ってるの? 私も人のこと言えないのですが、まぁ、私はマニアなので、チケットは頑張って一番安いところ買ってます。で、そういうエリアには、そういう人達がやっぱり多いわけですね。それはまぁ類は友を呼ぶの類なのでいいんですけれど、こういう人達が、まぁ騒ぐ騒ぐ。ぶらぼおおおおおおおおおの雨嵐。いや、まぁ、それだけならまだいいんだけれど、今日唯一ブーを聞いたのが、なんと、指揮者ですらなく、オーケストラなのですよ。 ねぇ。みんな何を聞いていたの?そして、どういうものがいいものだと思っているの? 前回同様、一番良かったのはやはりオケだと思います。例によって金管がひっくり返ったりしますよ?だけど、それはそれだけのこと。相当な指揮者の無茶振りにも対応して、弛まずかなり密度のある音を出していたのは確かだと思います。ただ、指揮者の指示もあって相当音は大きいので、ともすれば歌手がかき消されてしまったりしたのではありますが、はっきり言って、このくらいでかき消されてんじゃねーよ、の類ですね。 いや、そもそも、あんな声の引っ込んだマントヴァ公や、人物に共感してないリゴレットが、本当にいいと思ってるの?ブラボおおおおおおおおに値するようなものなの?あなた達はこれまで何を聞いて、何を感じてきたの? まぁ、正直、絶望してます。 演出はもうこれ以上書きませんが、これも雑なのは同じ、というのも先週と同じ。 色々やってりゃこういうこともあるから、そのこと自体には絶望しないし、ダメなものはダメとしても受け止めるけど、今後もこんな環境で見続けるのは、嫌だなぁ....
2023年06月04日
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