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以前読んだイメージではもっと重厚なイメージでしたが、意外にテンポよく読めました。
I&C海運会社の青年事務員ブロートンは、入港した船から積み荷のワインを降ろすのに立ち会いました。
バランスを崩したワイン樽が落下し、ほかの樽と異なる頑丈な作りの樽が破損してしまいました。慌てて確認すると、金貨が出てきて、さらに死体とおぼしきものの手が…。
序盤からセンセーショナルで引きつけられます。その後、樽を引き取った荷主の怪しい行動、加えて樽は盗まれて…、と追跡劇が続きます。
ストーリーの面白さ、美術品運搬用の樽という特殊な入れ物を使ったトリックの面白さは、クロフツの代表作と言われるだけあります。
探偵役の警部や探偵は、真面目でノーマル(いわゆる名探偵は変人が多いのですが)です。時に描かれる背景の描写が、硬くなりがちな作品に風を通してくれます。
4月初旬の、心もうきうきするような午前、…長雨がカラリとあがったときの、あのういういしい光を放ちながら、陽はかがやきわたっていた。
結末はあっさりと書かれていますが、苦労した人には幸福が訪れ、雲間から陽が輝き出すようなエンディングです。
参照元:クロフツ『樽』グーテンベルク21デジタルブック
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