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最もポップにスマッシュ・ヒットとなったジェネシス80年代の大ヒット作 ジェネシス(Genesis)とは、あらためて考えてみれば、何とも大仰な名前(英語で“創世記”)だけれども、1967年にピーター・ガブリエル、アンソニー・フィリップス、トニー・バンクス、マイク・ラザフォード、クリス・スチュワートという5人の同級生が結成した高校生バンドだった。1969年にデビューした後、メンバーは少しずつ入れ替わっていくが、プログレッシヴ・ロック・バンドとしての地位を確立していく。 長期的にこのバンドの変遷にとりわけ重要となったのは、1970年のフィル・コリンズ(ドラム)の加入と1975年のピーター・ガブリエル(ヴォーカル)の脱退であった。フィル・コリンズはリズムを強く表に出したサウンドを指向し、なおかつ抜けたガブリエルの穴を自らヴォーカリストとして埋めた。さらにギタリストのスティーヴ・ハケット(1970~77年までジェネシスに在籍)が脱退すると、マイク・ラザフォード(ベース)がギターも担当するようになり、ポップ色が強まっていった。 その傾向が極まったのが1986年の本盤『インヴィジブル・タッチ(Invisible Touch)』である。全英では96週も連続チャートインし、5枚のシングル(シングルとしての発売順に、収録曲1.,7.,3.,4.,2.)は全米シングルチャートベスト5以内に入るヒットを記録した。ポップでキャッチーな表題曲の1.「インヴィジブル・タッチ」や、しっとりバラードの4.「イン・トゥー・ディープ」の印象が強い。シングル曲では、個人的には3.「混迷の地(ランド・オブ・コンフュージョン)」が結構気に入っている。 このようにポップで商業的成功に走ったことから往年のプログレ・バンドとしてのジェネシスのファンからは厳しい声が寄せられるアルバムだけれど、少し違う見方も必要な気がしないでもない。ジェネシスというバンドの歩みとして見れば、上記のようにポップな方向に進んでいった極みが本作ということになるけれども、フィル・コリンズというミュージシャンの軌跡からすると少し違うようにも見える。ソロ・アーティストとしてのフィル・コリンズは1981年のファースト・アルバムを皮切りにポップ街道を突き進んだ。この彼のソロ・キャリアと、ジェネシスというバンドという2つの危ういバランスの上に成り立っていたのが『インヴィジブル・タッチ』だったとも言えそうである。 そう考えて本作を聴くと、1.「インヴィジブル・タッチ」や5.「エニシング・シー・ダズ」のようにポップ性を極めた曲や上記4.「イン・トゥー・ディープ」をはじめとするバラードも納得がいく。その上で本盤には2部構成の長編曲6.「ドミノ」や、インストルメンタル曲の8.「ブラジリアン」といった、プログレ・バンドとしてのジェネシスの流れをくむ曲もうまくミックスされている。無論、この微妙なバランスは永続することはなく崩れていってしまうわけだけれども、華やかなヒットの陰で志向の違う音楽性が絶妙なバランスで成立していたという実は稀有なアルバムなのかもしれない。[収録曲]1. Invisible Touch2. Tonight, Tonight, Tonight3. Land of Confusion4. In Too Deep5. Anything She Does6. Domino (In the Glow of the Night~The Last Domino)7. Throwing It All Away8. The Brazilian1986年リリース。 Genesis ジェネシス / Invisible Touch 輸入盤 【CD】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.30
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暫くサボっていましたが、INDEXページを更新しました。 INDEXは、ジャンル別(ジャズ、ロック&ポップス、ラテン系ロック&ポップス)で、それぞれアーティストのアルファベット順に並べてあります。気の向いた方やお時間の許す方はぜひお気に入りのアーティストを探して過去記事をご覧ください。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)から入ることができます。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へ アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ下記ランキング(3サイト)に参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも2つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング: 音楽広場: ?
2010.09.28
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ハード・バップにおける美メロと物悲しい音色の絶妙の組み合わせ ドナルド・バード(Donald Byrd)は1932年デトロイト出身のジャズ・トランペッター。1955年以降、ジャズ・メッセンジャーズへの参加(ケニー・ドーハムの後釜)など本格的な活動をし、ブルーノート・レーベルを中心に様々な作品を残した。その後、1960年代には、実験的な作品を試みたり、1970年代に入ると、フュージョンの先駆けといえるような作品も手がけた。 そのようなわけで、一口にドナルド・バードといっても時代とともに大きな変遷があるわけだけれど、1950年代のハード・バップ期の彼の代表作としてよく言及されるのが、この『フエゴ(Fuego)』である。ちなみに、日本語では『フュエゴ』の名で通っているけれども、スペイン語で“火”を意味するこの語は “フエゴ”と読むのが正しい(いつまでも“フュエゴ”で通っているのは何とかならないものだろうか…)。 本盤の最大の特徴はメロディのよさである。テーマ部分は一度聴いたら耳に残るものばかりで、その意味ではキャッチーと言ってもいいかもしれない。それと同時に、ドナルド・バードのソロは概ねどの曲においても、ひたすら美しい旋律を奏でる。本盤をしてファンキーという表現がなされることもあるけれど、ドナルド・バードの音色には常に一抹の物悲しさが同居していて、筆者にはこちらの印象の方が強い。つまりは、ただ明るくノリがいいことをやっているのではなくて、そこに情緒があるわけで、だから日本でよく受けるということになっているのかもしれない。 もう一人のフロントとして参加しているのは、アルト奏者ジャッキー・マクリーン。けれども、彼は本盤ではあまり目立たず、比較的単調な演奏に終始している。これは欠点というよりも本盤のよさにつながる意図的プレイのように感じる。どちらかと言えば抑揚のあまりないマクリーンのアルトにバードのトランペットの憂いを湛えたくすんだ音が寄り添うことで、全体の厚みを保ちながら物悲しさを滲ませるという絶妙の効果を発揮することにつながっている。 というわけで、本盤では、上で述べたような印象的な旋律の曲が並べられているが、いずれもがオリジナルというのも大きな特徴である。独断と偏見で収録曲ベスト3(順不同)を挙げると、1.「フエゴ」、4.「ロウ・ライフ」、5.「ラメント」の3曲。いずれの曲もとっつきやすさと哀愁に満ちたトーンが特徴的。これら3曲はあくまで筆者の好みなので、別の好みを聴き手もいるだろう。例えば、6.「エイメン」などは非常に人気が高い。こちらの方はいわゆるファンキーな曲調であるが、上で述べたような情緒感を多分に含んでいる点が実はいいという感想を個人的には抱いている。[収録曲]1. Fuego2. Bup A Loup3. Funky Mama4. Low Life5. Lament6. Amen[パーソネル]Donald Byrd (tp)Jackie McLean (as)Duke Pearson (p)Doug Watkins (b)Lex Humphries (ds)1959年10月4日録音Blue Note 4026 【送料無料】フュエゴ [ ドナルド・バード ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.27
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フォルクローレとポップの融合 ソレダー(Soledad)ことソレダー・パストルティ(Soledad Pastorutti)は、アルゼンチン北東部のサンタ・フェ地方カシルダ市出身のフォルクローレ/ポップ・シンガー、女優。1980年生まれで、15歳の若さで活動を開始し、1996年にはファースト・アルバム『ポンチョ・アル・ビエント』をヒットさせた。 これまでのところ彼女のアルバムで筆者が唯一聴いているのが本作『祖国への愛(Yo sí quiero a mi país)』である。アルバムとしては4作目に当たり、この頃に女優として映画にも登場し始めている。本アルバムの特徴は、キューバ出身の音楽プロデューサー、エミリオ・エステファン(グロリア・エステファンの夫としても知られる)がプロデュースを担当した点で、最初はエミリオがアルゼンチンまでソレダーに会いに行き、その後、彼女を米国マイアミのスタジオに呼んでレコーディングされた。その結果、本アルバムはソレダーにとって初のインターナショナル・ヒット作になり、本国アルゼンチン以外に、ウルグアイ、パラグアイ、チリ、ペルーといった近隣南米諸国ばかりか、メキシコ、米国さらにはスペインでもセールスを挙げることに成功した。特にペルーでは同国出身の大物歌手タニア・リベルターと並ぶ扱いだったという。 収録曲の曲調はいずれも伝統音楽フォルクローレをベースにポップな味付けが加えられたものである。母国アルゼンチンへの愛をテーマとした表題曲の1.「祖国への愛(ジョ・シー・キエロ・ア・ミ・パイス)」や、同じく母なる大陸への感情をテーマにした8.「アメリカの心(コラソン・アメリカーノ)」(注:ここでの“アメリカ”というのは米国ではなく米大陸の意味)といった情緒に富んだ詞の曲が個人的には気に入っている。またアンデスの伝統楽器サンポーニャ(シークともいい、葦の管が複数並んだもの)やチャランゴ(ギターもしくはマンドリンのような形状の小型の弦楽器)といった民族楽器が効果的に使われているのもいい。 アルゼンチンの国内事情はよく知らないが、想像するに、10代の小娘が伝統音楽をポップに仕上げてヒットさせたことへの批判もきっとあったのではないだろうか。フォルクローレの愛好者やその分野の側からは、こんなのはフォルクローレではないという意見もきっとあったことだろう。けれども、若くてチャーミングなスターが現れてフォルクローレ的サウンドを若者の間に流布してヒットさせ、なおかつ国外(特に南米大陸を越えてメキシコやスペインや米国)でもセールスを上げたことは重要だと思う。おかげでアルゼンチンの伝統音楽の要素がいままでそういう音楽を聴かなかったリスナー層にまで広まったことの功績は大きい(何を隠そう筆者もその一人というわけだ)。10代の少女がアルゼンチン性を前面に出してインターナショナルなヒットを飛ばしたのだからあっぱれというべきだろう。ジャケット記載の謝辞が印象的で、“神に感謝”から始まり、家族や関係者への謝辞の後、次のように結ばれている。“ARRIBA ARGENTINA!!! (porque… yo sí quiero a mi país) アルゼンチン万歳!!!(なぜなら私は祖国を愛しているから)”。[収録曲]1. Yo sí quiero a mi país2. El bahiano3. Cómo será4. Mi consejo5. Luna mía6. Mi bien7. Amarraditos8. Corazón americano9. Un amigo, una flor, una estrella10. De la mano11. El humahuaqueño12. Popurrí de candombes1999年リリース。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.09.25
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77777アクセス達成しました!いつもご覧いただきありがとうございます。お陰さまで、アクセス累計が77777を超えました。あらためて御礼申し上げるとともに、今後もかわらぬご愛顧をお願いいたします。なお77777アクセス目はアヒルトンセナさんでした。いつものことながら、景品などはありませんのであしからず(笑)。 下記のブログランキングに参加しています。よろしければぜひバナーをクリック(投票)して応援をお願いします!にほんブログ村 : 人気ブログランキング: 音楽広場: ?
2010.09.24
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主役2人+元締め1人、完成度に“勢い”がプラスされたブラウニーの死の直前の1枚 タイトルからしてライブ盤のように見えるが、実際はそうではなく、スタジオで録音されたもの。何でもニューヨークの名門クラブであるベイズン・ストリートに出演し、そのイメージや余韻を引っさげたままスタジオで録られたものとのこと。確かに、演奏自体はライブでやっている雰囲気に近い迫力が感じられる。 録音が行われたのは1956年1月と2月、つまりはクリフォード・ブラウン(さらには本盤にも参加のリッチー・パウエルも)が不慮の交通事故死を遂げる数か月前であり、ブラウン=ローチのスタジオ作としては本盤が遺作となった(ただし同じメンバーでロリンズ名義の『プラス・フォー』の録音が生前になされている)。 本盤は名盤案内などでもあまり取り上げられることのない1枚だけれど、それはこの作品に難点があるからではなく、本盤のメンバー構成ゆえにブラウニーの代表盤として選ばれにくいというのがその大きな理由ではないかと思う。通常と違うのは、テナー奏者ソニー・ロリンズの参加であり、正式リリースでロリンズをフィーチャーしている唯一のブラウン=ローチ盤が本作であるとのこと。実際、主役はブラウニー(クリフォード・ブラウン)一人ではなく、ソニー・ロリンズとの二人が主役という位置づけだと言える。それゆえ、結果的に“ブラウニーの”代表盤を選ぶ時には選ばれにくい(『スタディ・イン・ブラウン』や『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』という見事な盤が他にあるのだから選ばれにくくて当然ではあるが)。 さて管奏者の二人を本作の“主役”と呼ぶとなると、マックス・ローチは主役ではないのか!というお叱りが熱心なファンからは聞こえてきそうだ。筆者が思うに、やはりローチは主役ではない。むしろ、“元締め”といった方がぴったりだと思う(ついでに言えば、だからこそドラム中心のジャケでよいのだ)。つまり、本盤の演奏の根っこを掌握してコントロールしているのがドラムのマックス・ローチ、前面に出て華々しく主役を半々で分け合うのが管楽器の二人、ブラウニー(トランペット)とソニー・ロリンズ(テナー・サックス)。この構図を把握した上で演出役が、ピアノのリッチー・パウエルとベースのジョージ・モロウなのである。 さて、その“主役”の二人であるが、鋭く切れのあるトランペットを吹くブラウニーと、悠々とテナーを吹くロリンズはかみ合わないとの評がある。確かにイメージとしてはかみ合わないようにイメージされる。しかし実際に本盤を聴けばそうでないことがわかると思う。ロリンズは確かに悠々とした部分もあるのだけれど、ブラウニーに誘われるかのように、切れのあるフレーズを披露している。ロリンズの名盤として知られる『サキソフォン・コロッサス』の録音は本盤のすぐ後(1956年4月)に行われているが、このような真剣勝負的な場での演奏経験が活かされたと言えるのではないだろうか。 なお、現在販売されているCDでは“8曲追加”とか、“4曲別テイク入り”とかがあるけれど、本来の9曲(または7曲)で、十分満たされる。というか、それ以上続くと食傷気味になってしまうので、これらボーナス・トラックはやはり蛇足と言わざるを得ない。[収録曲]1. What Is This Thing Called Love?2. Love Is a Many-Splendored Thing3. I'll Remember April4. Step Lightly (Junior's Arrival)5. Powell's Prances6. Time7. The Scene Is Clean8. Gertrude's Bounce9. Flossie Lou~以下、CD収録時追加の別テイク(筆者の所有は1990年リイシューの輸入盤)~10. What Is This Thing Called Love?11. Love Is a Many Splendored Thing12. I'll Remember April13. Flossie Lou[パーソネル]Clifford Brown (tp)Sonny Rollins (ts)Richie Powell (p)George Morrow (b)Max Roach (ds)1956年1月4日(4., 5., 8.のみ)、2月16日(他すべて)録音。 【送料無料】【輸入盤】At Basin Street [ Clifford Brown / Max Roach ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.21
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最初の1枚には勧めないが、愛すべき一枚 相応に有名なミュージシャンにはふつう“代表盤”なるものがある。ディスクガイド本などの類にはそういった盤が掲載されるのが一般的である。そうした代表盤はたいていが名盤とイコールで結ばれるが、その逆は必ずしもそうではない。つまり、優れた作品でありつつも、そのミュージシャンのキャリアを代表するとは言えない作品も存在するわけだ。ブルース・スプリングスティーンをこれから聴く人(通常はアメリカン・ロックを期待している)に、いきなりアコースティックの弾き語り盤を勧めるのは気が引ける。レッド・ツェッペリンの代表盤はと訊かれてトラッド・アコースティック色の強い『レッド・ツェッペリンIII』を勧める人ももあまりいないだろう。パット・メセニーを聴こうかという時に、いきなりジミー・レイニーと2人だけの演奏盤を聴かされたらどうなるか。同じような理由で、セロニアス・モンクは独演ソロ盤(例えばこちら)を最初に聴くべきではないと思うし、クリフォード・ブラウンのストリングス盤もまた同様と思う(後者の代表作云々については、『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』の項の“ラーメンとうどん”の話もぜひご参照いただきたい)。ロックやらジャズやらごた混ぜの例になってしまったが、今回はそういう系統の盤なのでお許しいただき、本題に入りたい。 ジャズ・ピアニストの大西順子が1998年に発売したアルバムが本作『フラジャイル(Fragile)』である。上の見出しに挙げたように、初めて大西順子を聴くという人や、大西順子ってどんな音楽をやってる人なの?と思っているような人には絶対に勧めようとは思わない。ミュージシャンを一つの枠に押し込めるつもりはないが、今まで彼女がやってきたことの全体像を考えると、これが代表作とは間違っても言えないからだ。 しかし、典型的な盤でないのと、聴き手が興味深い作品であったり、好盤であったりすると思うかどうかは全く別問題である。大西自身が聴いて育ってきた“ポップ”を音楽ジャンルの垣根なく取り入れ、本人曰く“いつもだと、自分で聴くのは1~2週間で飽きたりするけど、今回は流しっぱなしにしても気にならない”出来栄えに仕上がったとのこと。演奏曲目には、ライチャス・ブラザーズが歌っていた3.「ユーヴ・ロスト・ザット・ラヴィン・フィーリン(ふられた気持ち)」、ジミ・ヘンドリクスで有名な5.「ヘイ・ジョー」、クリームの7.「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」といった曲が含まれている。さらに、グルーヴィーな4.「コンペアード・トゥ・ホワット」は、PEACE(ピース)なるクレジットの人物のヴォーカル入りである。自作曲も含むが、すべての収録曲を結ぶのは、ジャンルやリズムというよりは、ジャズらしい“さあやってみよう”的自由さと集中力である。 演りたい放題に演る。6.「ユーロジア・ヴァリエーション」(アルバム『クルージン』所収曲の再演)が収められているのもこうした流れの中でのことだろう。自由奔放な雰囲気は、7.のようなジャム的演奏に端的に表わされている。ベースが以前から一緒に演奏をしてきたレジナルド・ヴィールで、彼がエレクトリック・ベースを溌剌と弾いているのも面白い。さらに、大西の思いつきでドラマーの応援を呼んできてツイン・ブラシをやってみたなどという実験も自由に楽しみながらやったことの表れだろう このアルバムに先立ってブルーノートでのライブ演奏が2週間ほど行われているが、多くの収録曲はそこで演奏され熟成されたもので、その時のエネルギーがそのままアルバム化された。興味深いのはこの年、大西自身が前厄だったとのエピソード。当初は動かずおとなしくしてようとしたが、どうせ風向きがよくないのなら思い切って何かやってしまえと発想を変えたそうだ。自由奔放を地で行く彼女らしい発想転換ではないだろうか。 とはいえ、本盤の後、大西順子は表舞台に出なくなり、次のリーダー作が発表されたのは2008年(『楽興の時』)だった。本盤が既に何らかの心境の変化を反映していたのだろうと思われるが、日本ジャズ界での役割が重たかっただけに、自由にさせてもらえなかったのだろうかなどと、余計な想像をしたりする。彼女の1ファンとしては、自由にやる姿に魅力を感じるのだけれど。[収録曲]1. Phaethon2. Complexions3. You’ve Lost That Lovin’ Feelin’4. Compared To What5. Hey Joe6. Eulogia Variation7. Sunshine of Your Love[パーソネル]大西順子 (p, key)Reginald Veal (b, elb)Karriem Riggins (ds)日野元彦 (ds: 2, 4)本田珠也 (ds: 5, 7)PEACE (v: 4)録音: 1998年7月関連過去記事:大西順子『ヴィレッジ・ヴァンガードの大西順子』へ大西順子『楽興の時(Musical Moments)』へ 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.09.19
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巨匠が奏でる優しく暖かなサックスを堪能 レスター・ヤング(Lester Young)は1909年に生まれ、1959年に亡くなったテナー・サックス奏者。11歳から家族バンドで演奏を始め、30年代にカウント・ベイシー楽団の一員として人気を博した。ビリー・ホリデイが名付けた“プレズ(Pres, Prez)”(プレジデント=大統領)の愛称で知られる。 本盤は1944年と1949年に彼がサヴォイに吹き込んだ4回のセッションの音源から編まれたものである。5.、6.、8.、12.は1944年4月18日(午前)のジョニー・ガルニエリ・オール・スターズのセッションで、レスターのテナーに加えてトランペットとクラリネットの入った三管セプテット(管楽器3種入りの7人編成)の演奏。次に13.、14.、15.の3曲は、同じく1944年4月18日(午後)のアール・ウォーレン楽団の別のセッションからで、名義はこの楽団だが実質的にはレスターが所属したカウント・ベイシー楽団の演奏。ただしカウント・ベイシー本人は参加しておらず、アルト奏者ウォーレンの名義のセッションになったというもの。 残る音源はレスター名義のリーダー・セッション。まずは1944年5月1日の初リーダー・セッションで、1.、4.、10.、11.がこれに該当し、カウント・ベイシーも参加している。最後は1949年6月28日のレスター名義では2度目となるリーダー・セッションで、収録曲2.、3.、7.、9.がこの音源からのものである。初リーダー・セッションから5年ほどの間隔が空いているが、これは軍(通常の軍役)に召集され、さらには懲罰監禁などを受けたせいで、この経験のためにレスターは絶頂期の勢いを失っていったと一般には言われている。 “漂うように澱みなく流れる”プレイがこのアルバムおよび当時のレスターの真骨頂と言える。ビッグ・バンドの中で、そのバンドが奏でる音のリズムに囚われるのではなく自由なアドリブ・ソロを展開し、それはモダン・ジャズの礎となった。それと同時に、この人のサックスの音は鋭さよりも柔らかさ、閃きよりも漂い、といった情緒を持つ。音楽スタイル云々よりも以前に、そういう優しい人柄だったのではないかという印象を与えてくれるフレージングと音色である。 その一方で、レスターのソロを聴いていると、“古き良き時代”的な野暮ったさも漂ってくる。音源が古く、それでもこもこした音というせいもあるが、それを差し引いても“野暮ったさ”が十分感じられる。けれども、上で述べた“澱みない”プレイとこの“野暮ったさ”は、おそらく同じコインの裏表であって、しかもやがてハード・バップが発展していく過程でジャズの世界では完全に置き去りにされ、捨てられてしまった要素である。 ハードでスリリングな方向へと進んでいったジャズの潮流に対し、そのジャズが置き残してしまった暖かみやリラックス感がレスターの演奏には溢れている。“古き良き時代”的な聴き方と同時に、ジャズの発展の異なる道筋がありえたことを想像しながら、澱みない流れに聴き入るというのもこれまた本盤の一つの聴き方なのかもしれない。[収録曲]1. Ghost of a Chance2. Crazy Over Jazz3. Ding Dong4. Back Home in Indiana5. These Foolish Things6. Exercise in Swing7. Blues’n’Bells8. Salute to Fats9. June Bug10. Blue Lester11. Jump, Lester, Jump12. Basie English13. Circus in Rhythm14. Poor Little Playing15. Tush[パーソネル・録音]5., 6., 8., 12.: Billy Butterfield (tp) Hank D’Amico (cl) Lester Young (ts) Johnny Guarnieri (pf) Dexter Hall (g) Billy Taylor (b) Cozy Cole (ds) 1944年4月18日(午前)録音。13.~15.: Joe Newman (tp) Ed Lewis (tp) Al Killian (tp) Harry Edison (tp) Eli Robinson (tb) Dicky Wells (tb) Ted Donnelly (tb) Lou Taylor (tb) Earl Warren (as, vo) Jimmy Powell (as) Lester Young (ts) Buddy Tate (ts) Rudy Rutherford (bs) Clyde Hart (pf) Freddie Green (g) Jo Jones (ds) Tadd Dameron (arr) Dick Flanagan (arr) Dixky Wells (arr) 1944年4月18日(午後)録音。1., 4., 10., 11.: Lester Young (ts) Count Basie (pf) Freddie Green (g) Rodney Richardson (b) Shadow Wilson (ds) Junior Mance (pf) 1944年5月1日録音。2., 3., 7., 9.: Jessie Drakes (tp) Jerry Elliot (tb) Junior Mance (pf) Lester Young (ts) LeRoy Jackson (b) Roy Haynes (ds) 1949年6月28日録音。 ブルー・レスター/レスター・ヤング[CD]【返品種別A】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.09.17
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ブルース感覚溢れるテナーを楽しむ ~その2~ 先回のティナ・ブルックス『トゥルー・ブルー』に続き、ブルース感覚溢れるテナーを楽しむという趣旨で同じブルーノート4000盤台からもう1枚お気に入り盤を挙げておきたい。リーダーはピアノのホレス・パーランながら、個人的に贔屓のテナー奏者、ブッカー・アーヴィンを含む『アップ・アンド・ダウン(Up & Down)』である。 1950年代末、チャーリー・ミンガスの下で同僚だったホレス・パーラン(Horace Parlan)とブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)は、退団後にプレイハウス・フォーなるグループを形成する。メンバーはこれら二人(それぞれピアノ、テナー・サックス)に加え、ジョージ・タッカー(ベース)、アル・ヘアウッド(ドラム)の4人だった。クラブ演奏で鳴らしたらしいが、何かが足りなかったのだろうか。そのままのメンバーでスタジオ録音を残すには至らなかった。その一方で、ブッカー・アーヴィンを除いた3人は『アス・スリー』で吹き込みを行なっており、上記プレイハウス・フォーは単に運に恵まれなかったのか、それとも録音に値する何かが欠けていたのかよくわからない。いずれにせよ、これら4人にグラント・グリーンを加えて吹き込まれ、ブルーノートからリリースされたのが本作ということになる。 上記の経緯があるだけに、安定感は抜群で、メンバーの息がピタリと合っている。ホレス・パーラン自身も“がっちりまとまったグループという感じになれた”と自画自賛気味で、“これまでで一番リラックスした楽しいセッションだった”と振り返っている(パーランの発言はオリジナルのライナーより)。 いちばんの聴きどころは、このまとまったグループとしての演奏の中で繰り広げられるブッカー・アーヴィンのテナーであると思う。アーヴィンの演奏は基本的に“こってり系”なのだが、ホレス・パーランとの間合い、やり取りの中で暴走することなく(かといって小さく収まることもなく)見事にまとまった演奏を披露している。その意味で、抑制と自由のバランスがうまく取れたアーヴィンの演奏が楽しめる。その影の立役者はパーランのピアノということになると思う。 さらに、もう一つ、本盤で際立った特徴は、グラント・グリーンがブルージーな雰囲気を随所でうまく醸し出していることである。上記ライナーによれば、グリーンを加えるというアイデアはパーラン自身の発案だったとのことだ。 繰り返しておくが、いちばんの聴きどころはやはりアーヴィンのサックスにある。ホレス・パーランとグラント・グリーンという個性の狭間で、出しゃばりすぎることなく、だからといって抑え込まれることもなく、微妙なバランスの上に成立しているのが本盤のブッカー・アーヴィンの演奏とである。私的な好みでは、3.「ファギー」や6.「ライト・ブルー」が特にお気に入りだが、他の曲も捨てがたく、全編を通して上記の特徴が楽しめる好盤だと思う。[収録曲]1. The Book’s Beat2. Up and Down3. Fugee4. The Other Part of Town5. Lonely One6. Light Blue[パーソネル]Booker Ervin (ts)Grant Green (g)Horace Parlan (p)George Tucker (b)Al Harewood (ds)1961年6月18日録音Blue Note 4082 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.09.15
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ブルース感覚溢れるテナーを楽しむ ~その1~ ブルース感覚に溢れたテナー盤という漠然とした言い方をすると、該当盤は星の数ほどありそうなのだけれど、今回は個人的な独断と偏見を存分に盛り込んで、ブルーノート4000番台から2枚を挙げておきたく思う。1回目の今回は、“幻の”という形容詞が常に付きまとうテナー奏者、ティナ・ブルックス(Tina Brooks)の1枚である。 ティナ・ブルックス(Tina Brooks)は1932年生まれで、本名はハロルド・フロイド・ブルックスという。ティナというのは、“タイニー”もしくは“ティニー”に由来し、若い頃に小柄だった彼に与えられたあだ名から来るらしい。録音期間があまり長くなく、リーダー作が少ないということもあり、“幻”という形容が長らくされてきた。実際、死後(1974年死去)だいぶたってから『バック・トゥ・ザ・トラックス』がリリースされるまで、唯一のリーダー作として珍重されてきたのが本盤『トゥルー・ブルー(True Blue)』であった。 演奏を実際に聴いてすぐにわかるように、本盤のテナーは派手にブロウするわけではない。せいぜい表題曲4.「トゥルー・ブルー」や5.「ミス・ヘーゼル」の演奏が収録曲中で派手な方といった程度だ。その意味では、かなり地味な盤であると言ってもいいかもしれない。もう一人の管楽器(トランペット)で参加しているフレディ・ハバートに関しても同様のことが言え、派手さはない(むしろおとなしめで地味である)。しかし、ティナ自身の言では、ハバートは“自分の作品が持つムードを見事にとらえてくれた”とのことで、この雰囲気はアルバム全体としてティナが表現したかったものという意図が見て取られる。大半の曲(6曲中1.~5.の5曲)を自作曲でかため、アルバム表題(=収録曲4.のタイトル)にあるように、“真のブルー”をゆったりした雰囲気の中に示そうとした。 実際、R&Bバンドにいた時に鍛えられたであろうブルース感覚が本盤でのティナのソロの端々に滲み出ている。その意気込みはジャケットにも見事に表現されている。ジャケットにはいろんな色調のブルー(青色)が並んでいて、それぞれに一言添えられている。“Too Blue(青すぎ)”、“Blue or False(青か偽か)”、なかには“Blue Note”なんてのもある。そして、そのうちの一ヶ所だけがティナ・ブルックスの小さな上半身写真で、その箇所には“True Blue(真のブルー)”と記されている。つまり、“われこそが真のブルー”を自負するさりげないデザインになっているというわけだ。 個人的な好みは、1.「グッド・オールド・ソウル」、3.「ドリスのテーマ」、6.「ナッシング・エヴァー・チェンジズ・マイ・ラヴ・フォー・ユー」のややまったり系のブルージーさ。とはいえ、この手の曲ばかりを6曲並べるのではなく、起伏をつけたところが正解なのだろう。あと、あらぬ想像でしかないのだが、この盤でホレス・パーラン(次回~その2~を参照)がピアノを弾いていたなら、もっと強烈な大名盤になっていたのではないかと思ったりもするのだが、いかがだろうか。[収録曲] 1. Good Old Soul2. Up Tight's Creek3. Theme For Doris4. True Blue5. Miss Hazel6. Nothing Ever Changes My Love For You[パーソネル]Freddie Hubbard (tp)Tina Brooks (ts)Duke Jordan (p)Sam Jones (b)Art Taylor (ds)録音:1960年6月25日Blue Note 4041関連記事: ブルース感覚あふれるテナー(その2)へ ティナ・ブルックス『バック・トゥ・ザ・トラックス』へ 【送料無料】トゥルー・ブルー+2 [ ティナ・ブルックス ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.09.13
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2010.09.11
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驚くべき質のアウトテイク ~後編~(前編からの続き) さて、ブートレグで断片的に出ていた頃から聴いている曲もあるので、筆者には本盤『トラックス』として正式リリースされる以前からのお気に入りもある。逆にこの『トラックス』のおかげで初めて聴いた曲もある。そんなわけで、かなり偏っているかもしれないが、ここからは筆者の気に入っている曲を挙げていきたい。 何よりもこの時期のE・ストリート・バンドらしい一体感が最も的確に表現されているのは、5.「ホエアー・ザ・バンズ・アー(Where The Bands Are)」だと思う。それこそシングルにしてもヒットしたのではないかというスプリングスティーン(そしてE・ストリート・バンド)らしさ全開の曲である。『ザ・リバー』のアルバム・コンセプトに合わなかったということ以外に、この曲がボツになった理由はどこにも見当たらない。本当に単発シングルでもいいから出せばよかったのにと聴くたびに思ってしまう。 他に同じ流れで心地よいロック・チューンとしては、1.「レストレス・ナイツ」、6.「ルーズ・エンズ」、9.「テイク・ゼム・アズ・ゼイ・カム」、10.「ビー・トゥルー」、11.「リッキー・ウォンツ・ア・マン・オブ・ハー・オウン」の5曲が特に気に入っている。 このディスクには、シングルB面などの形だけで既発表の曲も数曲含まれている。3.「ルーレット」、10.「ビー・トゥルー」、16.「ジョニー・バイ・バイ」、17.「シャット・アウト・ザ・ライト」がそうである。とくに3.や10.は、その当時、未発表音源をシングル発売時にB面収録曲として収めるという形でしか表に出なかったにもかかわらず、兼ねてから人気の高かったナンバーであった。とりわけ、3.「ルーレット」はボス特有のテンションの高い早口のヴォーカルが印象的である。 アウトテイク集特有の楽しみとして、どうやって曲が作られていったかも、本盤からは垣間見ることができる。以前に別の記事で紹介した「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」のアコースティック・ヴァージョンもこの中に収録されており、ロックンロール全開のアルバム『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』を作る際にこの曲がどうサウンド的に変容したかがわかる。その逆とも言えるパターンは14.「ストールン・カー(盗んだ車)」である。本盤収録のような“普通の”スロー・ナンバーのサウンドだったものが、アルバム『ザ・リバー』では、何とも不安で孤独感を醸し出す別のアレンジに変えられている。さらに、本盤の中だけで二つのヴァージョンが収められているというものもある。10.「ビー・トゥルー」と13.「メアリー・ルー」である。曲名としては別々の曲として扱われているが、実際には歌詞も途中までほぼ同じである。収録の曲順とは違って録音は13.の方が先なので、13.が数か月間の内に10.に進化したということだろう(個人的には10.の方が好みである)。 20年ほどの時を経て、これらのレコーディングは、ようやく『トラックス』として正式に陽の目を浴びることなった。出来のいいアウトテイクがこれだけ多く残されていたということからも、この時期の彼の創作活動の質の高さがあらためて認識できる。[収録曲]1. Restless Nights2. A Good Man Is Hard To Find (Pittsburgh)3. Roulette4. Dollhouse5. Where The Bands Are6. Loose Ends7. Living On The Edge Of The World8. Wages Of Sin9. Take’em As They Come10. Be True11. Ricky Wants A Man Of Her Own12. I Wanna Be With You13. Mary Lou14. Stolen Car15. Born In The U.S.A.16. Johnny Bye-Bye17. Shut Out The LightBruce Springsteen/Tracks(1998年リリース)のDisc 2 【送料無料】ブルース・スプリングスティーンBruce Springsteen / Tracks(4CD Boxset) (輸入盤CD)(ブルース・スプリングスティーン) 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.11
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驚くべき質のアウトテイク ~前編~ ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアウトテイク集として1998年に発売されたのが4枚組の『トラックス(Tracks)』である。アウトテイク、すなわち結果的に正規のアルバムに収録されなかった未発表音源を集めたものなので、アルバムとしてのコンセプト云々などはあったものではない。しかも4枚組という、聴くのにも大変だが、金額的に買うのも大変なボリュームなので、普通は熱心なファンしか買わない代物だろう。とはいえ、そういう類のリリースであったにもかかわらず、ビルボードで27位になるほど米国で売れてるという事実はびっくりである。それだけ米国でのスプリングスティーン人気は絶大で、“一家に一枚”的に買われているということなのだろうか。 というわけで、4枚分レヴューというのはちょっとどうなのかと思うほど“寄せ集め”的な内容だが、全体としてはとにかく質が高い。その中でとりわけ質が高く、筆者も気に入っている2枚目(Disc 2)のみを今回は取り上げたい。 1980年にスプリングスティーンがリリースした『ザ・リバー』は2枚組の大作かつ名盤であった。スプリングスティーンを初めて聴く人に訊かれたら個人的には絶対にこれを勧めるという充実作である。ちょうどこの2枚組の作成時とその後数年間(1982年に自宅録音のアコースティック盤『ネブラスカ』を出しているが、バンドのアルバムという意味での次作は1984年の『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』まで間が開く)のスプリングスティーンの創作意欲は目ざましかったようだ。 確か渋谷陽一氏が『ザ・リバー』のことを“1枚ずつにしても優れたアルバムになりそうな2枚組を天才はいとも簡単に作り上げてしまうんだろうなあ”といったような主旨のことを述べていたように記憶している。きっとスプリングスティーンだっていろいろ悩み、試行錯誤し、思案しながら苦労してアルバムを作っていたのだろう。けれど、他人からすればいとも簡単に創作活動を続けているように見えるほどの充実ぶりというのもまた確かであった。 こうして次々と準備された曲と演奏には、リリースされたアルバムから抜け落ちてアウトテイクとなったものが数多く存在した。問題の『トラックス』の4枚のうち、2枚目(Disc 2)が『ザ・リバー』作成時の録音曲が収録されている部分である(一部、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』のアウトテイクも含まれる)。『ザ・リバー』のアウトテイクの質がとくに高いことはファンの間では有名で、ブートレグとして多く出回っていた。筆者もそれらのブートレグ(LP)を何枚か入手して聴いていたのだが、それだけで軽く1枚の正式なアルバムになるのではと思うほど質の高い内容だった。曲の質はもちろんのこと、『ザ・リバー』に収録された他の楽曲と同様、E・ストリート・バンドの息の合った演奏の質も変わらずレベルが高い。結局のところ、上述の渋谷氏の言を真似れば、“2枚組じゃなくて3枚組だって簡単に作れてしまいそうな天才ぶりだった”ということになろうか。 このまま続けると長くなりそうなので、個別の曲については次回記事(後編)へ持ち越しとさせていただきたい。 (後編へ続く)*収録曲の一覧は後編に掲載します。 【送料無料】ブルース・スプリングスティーンBruce Springsteen / Tracks (Box) (輸入盤CD)【I2013/10/1発売】(ブルース・スプリングスティーン) 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.10
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石の上にも十数年、28歳のメジャー・デビュー作 スティーヴィー・レイ・ヴォーン(Stevie Ray Vaughan)は1958年テキサス生まれの白人ブルース・ギタリストで、エレクトリック・ブルースの一つの頂点を築き上げたアーティストとして知られる。このデビュー・アルバム以降数枚のアルバムを残したが、1990年にヘリ墜落事故で死去した。幼くしてギターを学び始めた彼は12歳で演奏活動を始め、実力をつけていき、1978年にはダブル・トラブルを形成(このバンド名はオーティス・ラッシュの曲に因んだものである)。1980年代に入る頃には目立った実績はなくともかなりの実力をつけていたようだ。1982年、ローリング・ストーンズのツアー・サポート・メンバーのオーディションで演奏後、ロン・ウッドからジャム・セッションを申し込まれたり、世界的には無名ながらも同年にはスイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏を実現したりしている。1983年、デヴィッド・ボウイの録音に参加したことが、直接的には本盤でのブレークにつながった。 1983年発表の本デビュー作『テキサス・フラッド~ブルースの洪水~(Texas Flood)』はEPIC/CBS(現ソニー傘下)からリリースされた。このレコード契約をもたらしたのは、ビリー・ホリデイ、アレサ(アリサ)・フランクリン、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーンといった大物をスカウトしてきたジョン・ハモンドである。このジョン・ハモンドという人は、ジャズからロックまで20世紀のポピュラー音楽に多大な影響を与えたと言われ、彼が晩年にスカウトした最大の大物がスティーヴィー・レイ・ヴォーンだった(なお、本盤でもエグゼクティヴ・プロデューサーとして彼の名がクレジットされている)。 “石の上にも3年”というけれど、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの場合は十何年も石の上に座っていたわけで、デヴィッド・ボウイのツアーへの同行も断ったりしている。この頑なな態度は、求道者といってしまえばそれまでなのかもしれない。けれどもその求道ぶりは決して暗い雰囲気が漂うものでもなんでもない。スティーヴィーいわく、68年に兄ジミーのバンドで初めて演奏し始め、アルバート・キング(ブルース界の大物で、“3大キング”の一人)のテープを聴いた時、これしかないと考えたそうである。なぜあれほどリラックスして演奏できるのかをスティーヴィーは不思議に思い、残りの人生をかけてもその境地に辿りつきたいと望んだらしい。つまりは、力を込めてネクラに演るのではなく、リラックスして楽しく演りたいというのが彼の理想だったわけだ。 このアルバムの時点では、本人いわくまだ勉強中でその理想に完全にたどりついてはいなかったという認識らしい。けれども、演奏自体は既に完成の域に達していたように思える。自作曲(10曲中7曲を占める)の中では、とりわけ1.「ラブ・ストラック・ベイビー」や2.「プライド・アンド・ジョイ」が際立っており、これぞエレクトリック・ブルースを代表するに相応しい曲と演奏である。 自作以外の曲では、ラリー・デーヴィスの作品である3.「テキサス・フラッド」、バディ・ガイの7.「メアリー・八ッド・ア・リトル・ラム」がとくにいい。前者はスロウな曲調でのスティーヴィーのギター・プレイが聴きもの。後者はヴォーカルにしても演奏全体にしても余裕と貫禄すら感じさせるところが気に入っている。 その他に本盤は数曲のインストルメンタル・ナンバー(5.、6.、10.)を含む。とりわけ5.「テスティファイ」はスティーヴィーのブルース・ギタリストとしてのメジャー・デビュー時点からの完成度が伺える。対して自作曲(かつ妻の名前からとった曲名)の10.「レニー」はブルースに根ざしながらも一風変わった演奏で、これなどを聴くにつけ、ジャズ系ミュージシャンとの共演アルバムなどもやって欲しかったと思ったりもする。全編通じてとにかく衝撃的な一枚で、若くしての事故死が本当に悔やまれる。[収録曲]1. Love Struck Baby2. Pride and Joy3. Texas Flood4. Tell Me5. Testify6. Rude Mood7. Mary Had a Little Lamb8. Dirty Pool9. I'm Cryin’10. Lenny1983年リリース。*近年のリイシュー盤では5トラック追加のものも出ている(筆者は未聴)。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.09.09
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ギターとコーラスの美しさに素直に耳を傾ける アメリカ(America)とは何ともベタなグループ名だけれども、実はアメリカで結成されたのではない。ロンドン駐留の米軍で仕事をしていた父親たちとイギリスの母親たちの間に生まれた少年たち3人がアメリカの地を思いながらつけた名前である(ただし、全員かどうかはわからないが、米国は“まだ見ぬ地”という訳ではなかったらしい)。その3人とはジェリー・ベックリー、デューイ・バネル、ダン・ピークであり、ロンドンのアメリカン・スクールの仲間だった。 「名前のない馬(A Horse With No Name)」は、アメリカの1stアルバム所収のシングル曲であると同時に、彼らの代表曲である。細かいことを言うと少々ややこしいのだが、実はセルフ・タイトルのデビュー・アルバム『アメリカ』は1971年末にいったんリリースされ、この曲は含まれていなかった。たが、年が明けてから1972年初頭にシングル「名前のない馬」がヒットし、その結果、この曲を加えてアルバム自体が再リリースされたという経緯を持つ(その結果、同アルバムの邦題も『名前のない馬』となった)。 当時はサウンド面でCSNY(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)と比較されたり、その弟分的に見られたりしたという。確かに、音楽的な展開を考えると、西海岸サウンドの流れの中に位置づけられるというのも納得できる部分はある。また、この曲のタイトルにある“馬”が当時の隠語で“ヘロイン”を意味しており、したがってドラッグ・ソングではないかとの噂も飛んだ(それゆえ話題を集めてヒットにつながったとの見方もある)。 筆者はこの頃をリアルタイムでは知らず、そのせいかもしれないが、最初に聴いて以来ずっとこの曲にはほんの少しの“陰り”を湛えた“爽やかさ”というイメージを抱いている。砂漠を行く無名の馬に乗っての旅。素直にそのメッセージを字義通りに受け、見事なコーラスワークと12弦ギターの響きに身を任せる。そんな素直な聴き方しかしていないのだが、それでも名曲は名曲。他にない美しさを醸し出していると思う。この手のサウンドの曲がヒットしたというのは1970年代初頭ならではの現象だったかもしれない。けれども、時代を反映していながらも、何十年経った現時点でこれだけ懐かしさや素朴さの感覚がすんなり聴き手に届き続けている曲はそう多くない。他にもこのグループの名曲と言えるものはあるのだけれど、この「名前のない馬」はとりわけ、これからも聴き継がれていく名曲なのだろうと思う。[収録アルバム]America / America (1971年)America / History America’s Greatest Hits (1975年、ベスト盤)その他のベスト盤類にも収録。 【送料無料】名前のない馬/アメリカ[CD]【返品種別A】 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.08
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ポップ・センスが光る好盤 ジョー・ジャクソン(Joe Jackson)という人は、何ともあまのじゃくなアーティストで、このことは別の記事(『ブレイズ・オブ・グローリー』の項を参照)でも触れた通りである。クラシック系なのかと言うような音楽をやったかと思うと、ある時は何事もなかったかのように正統派のポップ/ロック系に戻ってきたりもする。またある時はポップやロック系でありながら、ジャズやらヒップホップやらといったあらゆる音楽要素を平然と引っ張り込んできて、ジャンル分けしたがる批評家を悩ませるような作品を提示してくる。 本盤『ラーフター・アンド・ラスト(Laughter & Lust)』は、デビュー以来10年ほど在籍したA&Mを離れ、ヴァージン(Virgin)レーベルに移籍しての第一弾となった1991年作である。上記の“あまのじゃく”な性質はここでは鳴りをひそめている(というか、いろいろやった後でここに戻ってくるというところが“あまのじゃく”ではあるのだが…)。本盤での彼は、ポップ/ロックの王道を行く音楽を展開しており、本作は彼のポップ・センスが抜群に発揮された一枚に仕上がっている。 冒頭の1.「オブヴィアス・ソング」からして実にポップで、曲の展開がスリリングだ。同様のポップセンスは5.「ジャミー・G」や7.「イッツ・オール・トゥー・マッチ」など他の多くの収録曲にも強く見て取れる。しかし何と言っても、そうしたポップセンスの良さという点で筆者が好きなのは、3.「ストレンジャー・ザン・フィクション」である。“事実は小説よりも奇なり”という言葉があるが、元はバイロン(英国の詩人)の言葉で、“真実は虚構よりも奇なり(Truth is stranger than fiction)”というらしい。ジョー・ジャクソンは、これをもじって“愛のみぞ虚構よりも奇たりうる(Only love can be stranger than fiction)”と歌っている。ポップセンスのよさにこういうひねりが加わっているのだ(そのひねりがなくとも見事であるのだが)。あともう一つの聴きどころは、スローテンポの9.「ジ・アザー・ミー」。ジョー・ジャクソンの他の有名曲(「奴に気をつけろ(イズ・シー・リアリー・ゴーイング・アウト・ウィズ・ヒム?)」、「危険な関係(ブレイキング・アス・イン・トゥー)」、「スローな曲をかけてくれ(スロー・ソング)」など)と並べて遜色のない名曲の一つである。これら3.と9.だけでもこのアルバムは聴く価値があり、その上その他の曲も見事となれば、非の打ちどころがない。 このアルバムの発表後、ジョー・ジャクソンは突如“ポップ界からの引退”を表明する。その後、数年にわたりうつ病の克服に苦労したという。うつ病の症状というのは筆者にはよくわからないが、そんな経緯を知った上で本盤を聴くと、いろんなことを想像してしまう。ふっきれたポップ・ミュージックを本作で披露したというのはその病状とも関係あったのかもしれないとか、9.「ジ・アザー・ミー」は、既にそれまでの自分とうつ状態の自分との対比があってできたのだろうか等々、勝手な推測は尽きない。ともあれ、真相がどうであるにせよ、ポップ/ロック方面のセンスの良さが抜群に発揮された好盤であることに変わりはなく、ジョー・ジャクソンの曲をどこかで聴いて、ポップ・メイカーとしての彼の側面が気に入った人にはぜひぜひ強く薦めたい一枚である。[収録曲]1. Obvious Song2. Goin' Downtown3. Stranger Than Fiction4. Oh Well5. Jamie G.6. Hit Single7. It's All Too Much8. When You're Not Around9. The Other Me10. Trying to Cry11. My House12. Old Songs13. Drowning1991年リリース。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.09.06
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余裕と貫禄の91年作 サウスサイド・ジョニーことジョン・ライオン(John Lyon)は1948年、ニュージャージー生まれのロッカーで、ブルース・スプリングスティーンやリトル・スティーヴン(スティーヴ・ヴァン・ザント)とは旧知の仲のミュージシャン。B・スプリングスティーンが1975年に『明日なき暴走(Born To Run)』でブレイクしたのを受け、サウスサイド・ジョニー&ジ・アズベリー・ジュークス(Southside Johnny & The Asbury Jukes)も1976年にエピックからデビューした。70年代後半は同レーベルから立て続けにアルバムを発表するものの、大ヒットには恵まれず、80年代はレコード会社を変えたり、サウスサイド・ジョニーだけのソロアルバムを発表したりしていた。その後、1991年に通算11枚目のスタジオ作として健在ぶりを見せたのが本作『ベター・デイズ(Better Days)』である。 『ベター・デイズ』は、盟友B・スプリングスティーンとリトル・スティーヴンの大きなサポートを受けて制作された。スプリングスティーンは1曲(10.)を提供し、2曲でヴォーカル参加(6.のセカンド・ヴォーカルと10.のコーラス)。一方のリトル・スティーヴン(過去にもこのバンドのプロデュースを担当してきた経緯がある)は、プロデューサーとして辣腕を奮うほか、全11曲中の8曲を提供(うち1曲はサウスサイドとの共作)。さらに有名どころでは、ジョン・ボン・ジョヴィが2曲(4.のコーラスと6.のセカンド・ヴォーカル)で参加している。 この当時のサウスサイド・ジョニーは40歳代に入り、かつてのような勢いや若々しさというよりも、貫禄と円熟味が出始めたころだった。実際、本盤所収の各曲も、得意のホーン・セクションを大幅に取り込んだ王道アメリカン・ロックを展開しつつも、全編にわたって余裕のようなものがにじみ出ている。それは、4.「ソウルズ・オン・ファイヤー」、8.「ライト・トゥ・ウォーク・アウェイ」、10.「オール・ザ・ウェイ・ホーム」のようなスロー・テンポの曲をやった時ももちろんそうなのだけれど、1.「カミング・バック」や表題曲の5.「ベター・デイズ」、あるいは9.「オール・ナイト・ロング」などのよりアップ・テンポの曲でも、その一挙手一投足に余裕と貫禄が十分というのが感じられる。6.「アイヴ・ビン・ワーキング・トゥー・ハード」や11.「シェイク・ダウン」のように、どちらかと言えばせわしない曲調のものにさえも、堂々たる余裕が滲むように思う。 筆者の好みは2.「オール・アイ・ニーデッド・イズ・ユー」、5.「ベター・デイズ」、9.「オール・ナイト・ロング」といった、その貫禄が前面に出たいかにも“おじさんロック”系の楽曲。それ以外には、過去に別の記事で取り上げたように、盟友3人が集う、3.「イッツ・ビン・ア・ロング・タイム」。いかにもスプリングスティーンといった曲調の10.「オール・ザ・ウェイ・ホーム」(なぜかサウスサイドがスプリングスティーンの曲を歌うと見事なまでに“きまって”しまう)。捨て曲がほとんどなく、筆者の中では、円熟系アメリカン・ロックではベスト10に入れたくなるほどの1枚である。[収録曲]1. Coming Back2. All I Needed Was You3. It’s Been A Long Time 4. Soul’s On Fire5. Better Days6. I’ve Been Working Too Hard7. Ride The Night Away8. The Right To Walk Away9. All Night Long10. All The Way Home11. Shake Down*CDでは4.、5.、9.に付されたイントロが独立したトラックとして表示されるので、トラックNo.が異なります(ここではイントロを含めて1曲と見なしています)。1991年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2010.09.05
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不運の盲目ギタリスト、豪快なブルース・ロックのデビュー作 ジェフ・ヒーリー(Jeff Healey)は、1966年、カナダはトロント出身のギタリスト/ヴォーカリスト。幼い時に網膜芽細胞腫(小児ガンの一種らしい)を患って1歳で失明するものの、3歳からギターを始め、1988年に自らのバンド名義の本アルバム『シー・ザ・ライト(See The Light)』でメジャー・デビューした。試行錯誤の末ということらしいが、膝上にギターを平らに置いて上からフィンガーボードを押さえて(つまり琴を弾くようにして)プレイするという独特の奏法でも知られる。この奏法のポーズは、本作のジャケにも見られる。 本盤は1986年にプライベート・レーベルで出されていた内容(こちらは聴いていないので、まったく同一かどうかは不明)に基づいたデビュー作である。ザ・ジェフ・ヒーリー・バンドは3人編成のバンドで、ジェフ・ヒーリー(ギター、ヴォーカル)に、ジョー・ロックマン(ベース)、トム・スティーヴン(ドラム)というシンプルな構成。本作ではこれに何人かのミュージシャンが追加参加しているものの、上記のシンプルなスリー・ピースのバンド形態が基本となっている。 彼らが披露する楽曲・演奏はブルース・ロック色の強いロック・サウンドである。このデビュー時点において、ジェフ・ヒーリーのヴォーカルは少し粗削りなところもなくはないけれども、ギター・プレイそのものは既に完成の域に達している。かのスティーヴィー・レイ・ヴォーンをして、その当時、「ギターがどう演奏され得るかという方法を彼は革新していくだろう」と言わしめる大器であった。 実際、本盤のいちばんの聴きどころはジェフ・ヒーリーのギター演奏だと思う。1.「コンフィデンス・マン」や12.「シー・ザ・ライト」に代表されるリズムに乗ったブルース・ロック調全開の曲でのギターは豪快そのもの。インスト・ナンバーの6.「ナイス・プロブレム・トゥ・ハヴ」のようなよりブルースそのものに近いアプローチの曲でもその良さは存分に発揮されていて、特殊奏法ゆえの普通のプレイとは趣の異なるフレーズも随所に織り込まれている。豪快にギターを聴かせられて、なおかつこのような繊細なアプローチができるギター演奏は見事という他ない。 ちなみに5.「エンジェル・アイズ」はジョン・ハイアットの書き下ろしで、1989年にビルボードのシングル・チャートで全米5位になった名曲。同年の本人出演の映画『ロードハウス』でも使用され、90年代には原作者ハイアットもこの曲を取り上げ、さらに後の2004年にはオーストラリアで活躍するパウリーニによってカヴァーもされている(どこかのCMでも使われてたような気がするが、よく思い出せない)。 その後、ジェフ・ヒーリ―はジェフ・ヒーリー・バンドでのプレイを続けながら、他方ではジャズも手がけた。またラジオのDJも務めたという。しかし、肺の手術や足の肉腫の除去など、度重なる病に苛まれ、残念ながら2008年に41歳でガンで亡くなっている。[収録曲]1. Confidence Man2. My Little Girl3. River of No Return4. Don't Let Your Chance Go By5. Angel Eyes6. Nice Problem to Have7. Someday, Someway8. I Need to Be Loved9. Blue Jean Blues10. That's What They Say11. Hide Away12. See the Light1988年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.04
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2010.09.02
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オルガンのコルトレーンの代表作は、“走り出したら止まらない” ラリー・ヤング(Larry Young)は、米国出身のオルガン・ジャズ奏者。イスラム教に改宗した際に、名前をハリド・ヤシン・アブドゥル・アジズと改名している。生まれたのは1940年だが、1978年に37歳で肺炎によって亡くなっている。1950年代から音楽活動をしていたが、リーダー作を発表し始めたのは、1960年以降で、その後、亡くなる前年の1977年までに作品を残している。ピアノを演奏することもあったものの、基本的にはハモンド・オルガンを演奏する。 ジャズ・オルガンと言えば、既にジミー・スミスのアルバムを過去に数枚紹介している(参考記事(1)、(2)、(3))。だが、ラリー・ヤングのオルガンは、ジミー・スミスの繰り広げるソウル寄りのアーシーな演奏とは一線を画す。“オルガンのコルトレーン”などという異名をとることからもわかるように、オルガン奏者でありながらモード・ジャズの世界に足を踏み入れ、音楽的実験や革新を進めていこうという姿勢が強い。実際、ジョン・コルトレーンから受けた影響は大きく、グラント・グリーンと『トーキン・アバウト』という、コルトレーンに捧げた曲を含むアルバムも録音している。 そんな彼の代表作として広く知られているのが本盤『ユニティ(Unity)』である。1965年にブルーノートに吹き込まれた。ジャケットはいかにもブルーノートらしい(というかデザイナーのリード・マイルスらしい)シンプルながら粋な作りで、白地に黒で大きくUNITYの文字に4つの赤丸の二色刷り。このジャケットもこのアルバムを名盤として知らしめるのに一役買っている。 さて、肝心のこのアルバムの演奏の特徴は二つある。一つは、ラリー・ヤング自身のオルガン演奏である。アドリブによる個々の演奏というよりは、音楽全体の流れや空間的広がりを意識した演奏で、アルバム全体から感じられるスピード感は、おそらくラリー・ヤングが意図した基本コンセプトなのだろう。エルヴィン・ジョーンズのドラミングもところどころやかましいぐらいに激しいプレイを見せているが(例えば2.や5.)、全体のトータルの流れの中で聴けば、なるほどと思える。 さらに、二つめの特徴がとりわけ本盤を他と違うものにしているように思われる。それは、トランペット奏者のウッディ・ショウとテナーサックスのジョー・ヘンダーソンの演奏である。本盤の二人の演奏は、とにかく“吹きまくる”演奏で、随所で“管楽器の嵐”のような怒涛のブロウをしている。そのブロウの前後ではラリー・ヤングがスピードに乗った激しい演奏を繰り広げ、結果、それらが混然一体となって、アルバム全体の疾走感を演出している。 走り出したら止まらない感覚、というのが本盤の形容にはぴったりだと思う。小手先の技術的演奏ではなく、全体としての音の塊で聴かせる音楽。そんなコンセプトが成功したのは、個々の技術の高さだったのかもしれない。6曲ぶっ通しで聴くと疲れないと言えば嘘になる。けれども、疲労感を伴ったとしても、気持ちいいスピード感が味わえる好盤だと思う。[収録曲]1. Zoltan2. Monk’s Dream3. If4. The Moontrane5. Softly as in a Morning Sunrise6. Beyond All Limits[パーソネル]Woody Shaw (tp)Joe Henderson (ts)Larry Young (org)Elvin Jones (ds)1965年11月10日録音 Blue Note 4221 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ユニティ +4 [ ラリー・ヤング ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.09.01
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