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『ミスフィッツ』と双璧を成すアリスタ時代の秀逸盤 ザ・キンクス(The Kinks)は、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フーと並ぶ英ロックの4大バンド。とはいえ、ザ・キンクスとザ・フーはどうも日本での受容度が低く、「キンクスと言えば、ユー・リアリー・ガット・ミー」、「ザ・フーと言えば、マイ・ジェネレーション」みたいな安直な図式のイメージが強い(それはそれで一つの典型を表してはいるが、これがすべてかと言うと実際にはまったく違う)。その一方で、少数のコアなファンによってキンクスのコンセプト・アルバム群(過去記事(1) 、過去記事(2))が高く評価されている。結果、コンセプト作群以降の諸作は、なおのこと忘れ去られがちになる。 キンクス(というかレイ・デイヴィス)は、1960年代後半から10年ほどコンセプト・アルバム群を作り続けたが、それらは1975年の『不良少年のメロディ~愛の鞭への傾向と対策(原題:Schoolboys in Disgrace)』によって終わるとされる。同作品のリリース後、キンクスはRCAレーベルからアリスタへと移籍し、アリスタで最初にリリースしたのが本作『スリープウォーカー(Sleepwalker)』(1977年)である。こうした経緯から、本盤とこれに続く『ミスフィッツ(歪んだ映像)』(1978年)は、“キンクスのロックン・ロールへの回帰のアルバム”という位置付けが一般的になされる。 確かに、アルバムとしての明確なコンセプトというかストーリー性は、それまでの諸作のようではない。けれども、それは以前のコンセプト・アルバム群を支配していた“音の色彩”がなくなったという意味ではない。“ロック・サウンドに回帰”と言われると、何か初期(「ユー・リアリー・ガット・ミー」に代表される)の音に戻ったかのようなイメージを与えてしまうが、実際のところはまったくそうではない。むしろ、サウンド的にはコンセプト・アルバム群の時代の流れを引き継ぎ、その時代に熟成された抒情性がそのまま継承されていると筆者は感じている。 例えば、1.「ライフ・オン・ザ・ロード」からもそのことはよくわかる。ギター・サウンドが小気味よく、ノリのいいナンバーではあるが、イントロ部分(曲の終盤にも同じような箇所がある)の抒情的な雰囲気を醸し出す盛り上げ方は、やっぱり“真っ直ぐにはロックしていない”ことを示している。つまりは、コンセプト・アルバム時代の上に成立した“発展型キンクス”の音がこのアルバムにはある。その音の核となっているのは、憂いを湛えたギター・フレーズと表情豊かなヴォーカルだと思う。 他に表題曲の3.「スリープウォーカー」や4.「ブラザー」など、いずれかのコンセプト・アルバムのストーリーの中に組み込まれていたとしても違和感のない曲が多い。『ミスフィッツ』の項でも書いたように、この時期のキンクスはぱっとしないイメージで捉えられてしまっているけれども、個人的には結構好きで、特に本作『スリープウォーカー』と次作に当たる『ミスフィッツ』はもっと広く聴かれてしかるべきキンクス作品だと思う。[収録曲]1. Life on the Road2. Mr. Big Man3. Sleepwalker4. Brother5. Juke Box Music6. Sleepless Night7. Stormy Sky8. Full Moon9. Life Goes On~以下、現行CD(『スリープウォーカー +5』所収のボーナス・トラック)10. Artificial Light11. Prince of the Punks12. The Poseur13. On the Outside -1977 mix-14. On the Outside -1994 mix-1977年リリース。 スリープウォーカー +5/ザ・キンクス[SHM-CD]【返品種別A】 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.10.30
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2010.10.29
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メキシコのロックバンド、EL TRIの「転がる石~ピエドラス・ロダンテス(Piedras rodantes)」のビデオクリップです。前回記事のEL TRIのアルバム『ミヌスバリドス(Una rola para los minusválidos)』の収録曲です。 ちなみにヴォーカルを取っているのがバンドリーダーのアレハンドロ・ローラ(アレックス・ローラ)、横にいるのは彼の妻かつメンバー。手前でハーモニカを吹くおじさんも登場しますが、EL TRIにはハープ専門メンバーがいて、彼もバンドのメンバーです。 関連過去記事: EL TRI 『ミヌスバリドス(Una rola para los minusválidos)』(1994年) 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.10.28
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相変わらずの社会風刺+名曲2曲の好盤 EL TRI(エル・トリ、関連過去記事(1)、(2))はメキシカン・ロックのパイオニアにして現在も活躍する大御所バンドである。1994年にリリースされた本作『ミヌスバリドス(Una rola para los minusválidos)』は、先駆者的な活動から、国内産ロックというものがメキシコに定着しベテランバンドへと移っていく時期の1枚である。 アルバム・タイトルは直訳すると『身障者に捧げる曲』の意味で、6.「ミヌスバリドス」はそうした人々も社会生活を他の人たちと同じように送れるよう願いを込めたもの。現在の日本社会から見れば陳腐なテーマに見えるかもしれないが、この当時のメキシコは、例えば車椅子で街に出ることなどはかなり困難な状況だったことを考えると納得のいくテーマである。ジャケットの裏側にもバンドのリーダーであるアレハンドロ・ローラが心身の不自由な人々に捧げる旨のメッセージが記載されていて、EL TRIのコンサートでもそうした人々を招待するなどという活動もしている。 他のアルバム同様、社会批判や社会風刺の曲も相変わらず痛烈で、ちょうどこの年にメキシコ南部で武装蜂起したEZLN(サパティスタ民族解放軍)を歌った4.「レボルシオン ‘94(94年の革命)」、このアルバム制作の少し前に暗殺された大統領候補(当時の与党、制度的革命党のコロシオ候補)を取り上げて社会の不安定と社会正義の不在を歌った10.「コン・ラ・コラ・エントレ・ラス・パタス(脚の間に尻尾を隠して)」のような曲も含まれている。他方、メキシコ人性を強調した7.「いちばんイケてる人種(La raza más chida)」では“俺たちメキシコ人の体はテキーラとメスカルでできている”と明るい詞でありながら、ここでも“自分の運命を自嘲できるのは俺たちメキシコ人だけ”と風刺的な詞を紛れ込ますことも忘れていない。 そうした風刺性はスロー~ミドルテンポの次の2曲に集約されている。2.「ペルデドール(負け犬)」と8.「ピエドラス・ロダンテス」は、地味ながらも本盤を代表する曲で、なおかつ後々のライブなどでも必ず演奏される名曲である。 2.の方は“人生何をやってもうまくいかない”、“いつも負け犬だった”主人公が道端に座って都会の風景の断片を歌うという情緒的な内容の詞である。大通りを流れるバスやタクシーを見つめながらこれらの交通機関に乗る人たちを“皆がもうすぐ無事に到着するという確信を持った顔をした大勢の人”と描写し、人生うまくいかない人と都会生活を忙しく送る人との対比を示しながらも、慌ただしく人が溢れた都会での公共交通の不安性をさりげなく風刺する(日本でも鉄道や突発的交通事故が起こるたびにこの詞が思い起こされる)。 8.は別々の人生を歩んでいくであろう同級生に捧げる内容を歌った体裁で、これから互いの人生は全然異なるだろうけれどもまたいつか出会うかもしれない、それまでいつも落ちこぼれだった俺のように道を踏み外すようなことはするなよ、という情緒的な詞である。曲目の「ピエドラス・ロダンテス」は直訳すれば“転がる石”(つまりは英語で“ローリング・ストーンズ”)という何ともベタなタイトルだが、曲と詞は非常に優れた仕上がりで、筆者の独断と偏見ではこのバンドがこれまでに残した名曲ベスト3に入る。[収録曲]1. Todo es materia2. Perdedor3. Trabaja, niño, trabaja4. Revolución5. La puerta falsa6. Los minusválidos7. La raza más chida8. Las piedras rodantes9. Siempre he sido banda10. Con la cola entre las patas11. No me hagan perder el tiempo1994年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.10.27
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。 ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)から入ることができます。お気に入りのアーティストやアルバムがあればぜひご覧ください。アーティスト別INDEX~ジャズ編へアーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へアーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ下記ランキング(3サイト)に参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも2つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ ↓ ↓人気ブログランキング: にほんブログ村 : 音楽広場:
2010.10.25
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売れ筋路線に自信が加わった1枚 1985年にリリースされ、ハート(Heart)の大きな転換点(かつ復活劇)となった『ハート』の項で触れたように、このアルバムでは従来のハートのサウンドに大きな変化があった。同アルバムのヒットとそこからのシングル攻勢は翌86年まで続いたが、その次年の1987年には早くも次のアルバムがリリースされた。それが本作『バッド・アニマルズ(Bad Animals)』である。 プロデューサーは前作に引き続きロン・ネヴィソンで、自作曲以外を積極的に取り入れた点も前作と同じ。異なるのは“開き直り”というか、“思いきり”の度合いである。とりわけヴォーカルに顕著なのだけれど、『ハート』ではまだ照れがあったというか、いま一つどう演じていいか手探りな部分があったように思う。それが、復活=売れ筋路線の2作目となる本盤では、どうやればいいのかの目途がついてきたのだろう。 前作『ハート』と本作『バッド・アニマルズ』の収録曲の対比をいくつか挙げると、前作の1.「イフ・ルックス・クッド・キル」と本作の1.「フー・ウィル・ユー・ラン・トゥ」はいずれもノリのいいオープニング・ナンバーだが、バッキングのギターの音の活かし方に格段の工夫が見られ、ポップでキャッチーな雰囲気を保ちながらも、ハートのバンド・サウンドの良さを活かそうという意図が明確化されている。同じように、前作の4.「ジーズ・ドリームス」と本作の2.「アローン」はともにスロー・ナンバーだが、ナンシーかアンかという違いはあるにせよ、ヴォーカルの熱唱ぶりが際立ち、後者の方がより思いきりのよさが見てとられる。 『ハート』の爆発的ヒットによって、本人たちは戸惑うよりもむしろ吹っ切れたのだろう。それは、アン・ウィルソンの言葉を借りれば、82~83年に“死の谷にいたようなもの”だったからで、85年のアルバム『ハート』は“私たちがまさに必要としていた特別なもの”との思いがあったからだろう。同じ時期のアーティストを挙げれば、例えばB・スプリングスティーンが『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』の特大ヒットでビッグになりすぎた自分に戸惑い、次作までに間を空けてしまった(しかも次作『トンネル・オブ・ラヴ』は内省的な内容となった)。MTVが世界中で流れ、アリーナ・コンサートが拡大し、シングルカットでのヒットが相次ぐという80年代型なアーティsとやアルバムの売り込み方が広がる中、スプリングスティーンのように苦悩してしまう例がいくつもあったのに反し、ハートは前向きだった。アンの発言を再び引用すると、『ハート』のツアーで来日した際に、既に“次のアルバム(つまり本作)のアイデアはもうだいぶ固まっている”と述べていて、その言葉通り、87年半ばには本作がリリースされたというわけである。 そのようなわけで、同じメンバーにプロデューサー、似通った目的やコンセプトで作られたアルバムだったが、『バッド・アニマルズ』の方がトータルな完成度では『ハート』よりも上を行ったと思う。最後に余談ながら、このアルバムのジャケ内側に収められた1枚の写真(ウィルソン姉妹が収まっている)を筆者は気に入っている。ここに映っているアン・ウィルソンの表情が最高にいい。どちらかと言えば、個人的にはアンよりもナンシーの方が好みのタイプなのだが、この写真に関しては別である。生まれ年から計算すれば36~37歳の頃の写真のはずなのだが、何ともお麗しい…。あくまで個人的感想(というか好み)に過ぎないが、興味のある方は一度ジャケ内をご覧あれ。[収録曲]1. Who Will You Run To2. Alone3. There's the Girl4. I Want You So Bad5. Wait for an Answer6. Bad Animals7. You Ain't So Tough8. Strangers of the Heart9. Easy Target10. RSVP1987年リリース。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】バッド・アニマルズ [ ハート ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.10.23
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バンドリーダーからシンガーとして、ライオンのヴォーカル実力発揮盤 サウスサイド・ジョニー(Southside Johnny、本名ジョン・ライオン)初のソロ・アルバムという触れ込みで1988年に発表されたのが本盤『スロウ・ダンス(Slow Dance)』である。サウスサイド・ジョニーは、ニュージャージー出身で、ブルース・スプリングスティーンの盟友として知られ、70年代からジュークス/アズベリー・ジュークスとともに活動してきた。大ヒットはないものの玄人向けの評価が高く、ジョン・ボン・ジョヴィが傾倒しているのは有名。そんなサウスサイド・ジョニーが40歳代を迎え、バンドマンではなく一人のシンガーとして新たな挑戦そして飛躍をしたのがこの『スロウ・ダンス』であった。 アルバム表題(タイトル曲6.から採られたもの)が示唆しているように、本盤はスローおよびミディアム・テンポの曲を集めた1枚。何より1曲1曲の完成度が高い。通して聴くと各曲の個性が強く出てこないようにも聞こえるのだが、その原因はいま述べた二つのことによる。つまり、アップ・テンポのメリハリが大きくつく曲がないことと、捨て曲がない出来映えのために、通して聴いた時に曲の個性がわかりにくいのであって、それは全曲が素晴らしい出来であることの裏返しでもあるという皮肉な仕上がりとなっている。 そんな中で注目曲を個人的な好みでピックアップしてみると、まずは3.「エイント・ザット・ペキュリアー」。マーヴィン・ゲイのカヴァーだが、ホーン・セクションが効果的でソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれる。表題曲の6.「スロウ・ダンス」はいかにもサウスサイド・ジョニー得意のアメリカン・ロック・バラード調。少し変わったところでは、7.「ユア・プレシャス・ラヴ」が面白い。50年代のヒット・ソウル・バラードを原曲の雰囲気を壊すことはしないでおきながらも、完全に“サウスサイド節”になっている。10.「ウォーキング・スルー・ミッドナイト」は地味ながらも盟友ブルース・スプリングスティーンとの共作で、スプリングスティーン的な詩的世界(ただし作詞はサウスサイド・ジョニー)がいい。 繰り返しになるが、他の曲も素晴らしくて捨て曲がないので、以上はあくまで個人的な好みでいくつかピックアップしたものに過ぎない。いずれにも共通して言えるのは、汗がほとばしるようなアズベリー・ジュークスとのバンドでのイメージとは異なり、抑制を聴かせながらもサウスサイド・ジョニーがこんなにソウルフルであったり、大らかであったり、また時には繊細なヴォーカルを聴かせることができるという点である。ヴォーカリストとしての力量がいかんなく発揮されたこの1枚は、アメリカン・ロック系のファンのみならず、ソウル・ヴォーカル系やAOR系が好きな人にも向く好盤だと思う。アメリカン・ロックという意味では、ドン・ヘンリーのバラードのようにさらりとはならず、ソウルという意味では、マーヴィン・ゲイのコピーに陥るわけでもなく、AORという意味ではボズ・スキャッグスのように甘々になっているわけでもない、サウスサイド・ジョニーにしかできない独自の世界が見事に展開されている。80年代男性ヴォーカルものとしては、五指に入る陰の名盤である。[収録曲]1. On The Air2. Siren Of The Night3. Ain't That Peculiar4. Little Calcutta5. Act Of Love6. Slow Dance7. Your Precious Love8. No Secret9. When The Moment Is Right10. Walking Through The Midnight1988年リリース。関連過去記事:サウスサイド・ジョニー&ジ・アズベリー・ジュークス・フィーチャリング・リトル・スティーヴン「破れた心(ブローク・ダウン・ピース・オブ・マン)」サウスサイド・ジョニー&ジ・アズベリー・ジュークス 『ベター・デイズ』サウスサイド・ジョニー&ジ・アズベリー・ジュークス with リトル・スティーヴン&ブルース・スプリングスティーン 「イッツ・ビン・ア・ロング・タイム」 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2010.10.21
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秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを ~その3(最終回)~ いつしかジャズっぽいがジャズではない、“ジャジー”なヴォーカルというジャンル(?)が定着した。ここまでメロディ・ガルドーの『夜と朝の間で』、ダフィーの『ロックフェリー』と比較的リリース年の新しい(共に2008年)ものを見てきたけれど、ここでその流れを時間的に少しだけさかのぼり、ひとまずは3回シリーズの最終回にしようと思う。 ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)は、近年“ジャージー”という形容がなされる女性ヴォーカリストの筆頭である。“ジャジー”という言葉自体はずっと前からよく使われていたにせよ、現在、女性ヴォーカルとの絡みでよく使用されるに至ったのは、明らかにこの人の成功と関係している。もっと時間幅を長くとってみれば、その前にカサンドラ・ウィルソンなどもいるわけだけれど、短期的に見てノラ・ジョーンズは、近年の“ジャジーな女性ヴォーカル”の直接の起点と言えるのだろう。 1979年生まれの彼女のデビュー作が本盤『カム・アウェイ・ウィズ・ミー(邦題:ノラ・ジョーンズ)』である。父はシタール奏者だったらしい。本人は大学でジャズ・ピアノを専攻しているが、自身が語るところでは、ジャズ一辺倒の人ではなく、学生時代には“ダークでジャジーなロック”をバンドでやっていたと言う。 2000年にその才能を買われた彼女は翌年にブルーノートと契約、2002年にこのデビュー作を同レーベルからリリースすることになる。ブルーノートという名が(あるいはネームバリューが)すべてではないが、“ブルーノート”からリリースというのは一つのミソだったのだろう。デビュー作に際してあてがわれたプロデューサーはクレイグ・ストリート、さらに途中からはアリフ・マーディンであった。マーディンの方はとりわけ有名なプロデューサーで、アレサ・フランクリンやロバータ・フラックをプロデュースした大物であった。このことからもノラのデビューにレコード会社側がどれほど期待していたかがよくわかる。実際、アルバムは本人がまったく想像していなかったような特大ヒットになり、2003年のグラミー賞では8部門を受賞(*文末の注釈を参照)で話題をさらった。 初めてこれを聴いた時から今まで変わらずに続いている感想は、ノラ・ジョーンズの歌声は“癒し”であるということ。ある時から“癒し系”などというヘンテコな日本語が普及して安易に使われるようになってしまったが、彼女の場合は、“~系”といったような軽薄な響きではなく、“癒し”そのものだと思う。1曲目の「ドント・ノウ・ホワイ」を初めて聴いた瞬間から筆者はノックアウトであった。1.の他に個人的なお気に入りは、4.「フィーリング・ザ・セイム・ウェイ」、表題曲の5.「カム・アウェイ・ウィズ・ミー」、13.「ザ・ロング・デイ・イズ・オーバー」、14.「ニアネス・オヴ・ユー」などがあるが、どれも聴いていて心を落ち着かせてくれる曲が並んでいる。 さて、 “ジャジーな女性ヴォーカル”と題して今回は3枚を紹介して一区切りだけれども、実はこの流れというのは、上でも名を挙げたように、例えばカサンドラ・ウィルソンにさかのぼることができるし、いわゆるシンガーソングライター系がジャズ的な要素に何らかの形でタッチするアプローチという点では、ジョニ・ミッチェルにもさかのぼれるかもしれない(特にカサンドラ・ウィルソンは特別なお気に入りも複数枚あるのでいつか記事を改めて書きたいと思う)。とはいえ、もっとお洒落な感覚(?)を伴って、若いリスナー層を巻き込んでのヒットを記録したという意味では、このノラ・ジョーンズの成功は大きかった。そういう大きな流れを作ったという意味で、今回はノラ・ジョーンズで一区切りとしたい。*注釈:グラミー賞の内訳は、最優秀アルバム賞、最優秀ポップヴォーカルアルバム賞、非クラシック最優秀録音賞(以上、アルバムが対象)、最優秀新人賞(ノラ・ジョーンズが対象)、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀女性ポップヴォーカルパフォーマンス賞(以上、「ドント・ノウ・ホワイ」が対象)、最優秀プロディーサー賞(プロデューサーのアリフ・マーディンが対象)の計8部門。[収録曲]1. Don't Know Why2. Seven Years3. Cold Cold Heart4. Feelin' the Same Way5. Come Away with Me6. Shoot the Moon7. Turn Me On8. Lonestar9. I've Got to See You Again10. Painter Song" 11. One Flight Down12. Nightingale13. The Long Day Is Over14. The Nearness of You2002年リリース。[関連記事リンク]秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その1~(メロディ・ガルド―) へ秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その2~(ダフィー) へ 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.10.19
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ダフィー『ロックフェリー』(前回記事)のジャケット・デザインについて追記です。このアルバムは洋盤と邦盤では違うジャケット写真が使用されているようです。皆さんはどちらがお好みでしょうか?■輸入盤DUFFY/ROCKFERRY : ダフィー/ロックフェリー私は雑誌の新譜情報でジャケットを見た時も、入手した時も輸入盤だったので、この上の写真のイメージが固定化されてしまっています。ちなみに邦盤はこんなジャケです。こちらの方がジャケ買いされそうな気はします。【送料無料】[枚数限定][限定盤]ロックフェリー/ダフィー[CD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ついでなので、さらにもう一つ前の記事のメロディ・ガルドー『夜と朝の間(はざま)で』のジャケットも下に掲載しておきます。夜と朝の間で/メロディ・ガルドー[CD]【返品種別A】アルバムの雰囲気が反映されている写真にインパクトのある文字色の組み合わせで、なかなかよく出来ていると思います。このシンプルでありながら色使いの妙は、ちょっと(ちょっとだけ、ですが)ブルーノートの往時のジャケット作りにおける文字効果と似た感性を持ち合わせているようにすら思えます。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.10.17
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秋の夜長にジャジーなヴォーカルを ~その2~ ダフィー(Duffy、本名エイミー・アン・ダフィー)は、英国ウェールズ出身のシンガーソングライターで、前回記事のメロディ・ガルドーとほぼ同世代の1984年生まれ。現在のところスタジオ・フル・アルバムとしてはこの『ロックフェリー(Rockferry)』しか出していないが、英国では発売から1週間で一気に18万枚が売れたという。これまでのところ世界中あわせると400万枚以上のセールスという大ヒットアルバムとなった。 ダフィーはいわゆる“ジャジー系”で名前の挙げられるアーティストではあるが、本ブログの今回の3回シリーズの中ではいちばんポップなので、初めての人にもとっつきやすいかもしれない。実際、“ジャジー”というのは、“ジャズ”とは別物なわけで、つまりは、“ジャジー”と呼ばれ、時にCDショップなどでジャズ・コーナーに並べられていたとしても、やはりその多くはジャズではないと思う。しかし、このように区分けされる音楽は、とりわけ2000年代を迎えてのノラ・ジョーンズの成功とともに、ポップの1ジャンル(それもジャンル越境型志向のポップス)として飛躍的に広がりを見せてきた。そんな中で、ダスティ・スプリングフィールド(1960年代に一世を風靡したロンドン出身の女性シンガー)の流れを汲みながら、うまく上記のような大ヒットをつかんだのがダフィーと言えるだろう。 本作『ロックフェリー』の成功は、ダフィー自身の曲作りとヴォーカル力もさることながら、全体の綿密なアレンジによる部分が大きい。バックの演奏のメリハリ(特にストリングスの効果的使用と単調に陥らないバックの演奏内容の工夫)が耳につく。さらに、1.の表題曲「ロックフェリー」や5.「シロップ&ハニー」に特徴的なように、歌のエコーのかけ方が印象的で、下手をするとありきたりな“今風ヴォーカル”で終わってしまいそうなところにうまくアクセントをつけている。その一方で、3.「シリアス」や7.「マーシー」といったアップ・テンポの曲もほどよく挿入されていて、アルバムを通して飽きさせない内容に仕上がっている。あともう一つ付け加えておくと、オールディーズっぽさと現代的曲調がほどよく同居しているのも、ダフィー本人のみならず制作スタッフ一同の意図が成功した点だと思う。ボーっと聴いていると所々で“オールディーズを聴いているのか?”という錯覚に陥るが、落ち着いてよく聞くと現代的に凝ったことをやっていたりするというところが工夫されていて面白い。 それにしても、音楽的に見て英国というのは、何とも不思議な国である。言うまでもなく、ブルース、ロック、ジャズといった音楽は米国起源である。世界の歴史から見ると米国は英国の子という出自であるにもかかわらず、現代音楽の面ではその立場が逆なわけで、基本的に英国は米国の模倣や追従によって現代音楽を作り出してきた側面が大きい。ところが、ブリティッシュ・インヴェイジョンに象徴されるように、英国の音楽シーンからは突然に米国産音楽を圧倒する質のものが生み出される。このダフィーのアルバムもこうした英国発の近年の成果の一つと言えるのかもしれない。[収録曲]1. Rockferry2. Warwick Avenue3. Serious4. Stepping Stone5. Syrup & Honey6. Hanging on Too Long7. Mercy8. Delayed Devotion9. I'm Scared10. Distant Dreamer2008年リリース。[関連記事リンク]本盤のジャケット写真 へ秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その1~(メロディ・ガルドー) へ秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その3~(ノラ・ジョーンズ) へ 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ロックフェリー(初回生産限定) [ ダフィー ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.10.17
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INDEXページを更新しました。ここ1週間ほどの記事を追加しています。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。ジャンル別で、アーティストのアルファベット順になっていますので、お気に入りのアーティストやアルバムの過去記事を探してお楽しみいただければ幸いです。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へ アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ下記ランキング(3サイト)に参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも2つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ ↓ ↓にほんブログ村 : 人気ブログランキング: 音楽広場:
2010.10.15
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秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを ~その1~ メロディ・ガルドー(Melody Gardot)は米国出身のシンガーソングライター。本盤『夜と朝の間で(Worrisome Heart)』は、2008年にリリースされたメジャー・デビュー作。ただし、もとはその2年前に自主制作盤として作られていたものとのことである。メロディ自身は1985年生まれだから、20~21歳でこれらの曲を作ったということになる。 きっかけは19歳で交通事故にあい、その治療(セラピー)の一環で音楽を始めたことだという(余談ながら、いつもサングラスをかけているのはこの時の後遺症のためだとか)。もともと16歳の頃からピアノ・バーでバイトをして、ママス&パパスやデューク・エリントンなどを演奏していたというが、この事故で1年間にわたって寝たきりの生活を強いられたことで、曲を作り始める。 そのような経緯からか、アルバム全体のトーンは決して明るくない。むしろ全編を通してどこか憂いを湛えた気だるい雰囲気が漂ってくる。けれども、それこそが本盤の最大の特徴で、20歳代初頭でこれだけ自分の世界を作り上げ、“完成された世界”としてそれを提示しきっていることは驚きである。唯一難点かもしれない部分を挙げると、曲の最後があっさり終わってしまう傾向にあると個人的には感じるが、これはもしかすると意図的なものかもしれない。 とはいえ、収録曲のヴァラエティも結構ある。なので、上で述べた全編を通しての雰囲気というのは、通して聴いた時に単調なアルバムになっているという意味ではない。1.「夜と朝の間で(ウォーリーサム・ハート)」は結構暗めの曲だが、アルバム全体のイメージを冒頭から決定づける意味で効果的。4.「スウィート・メモリー」はもう少し明るくアップテンポだが、それでも影を背後に秘めたアレンジ・演奏で単なる少女趣味的に小さくまとまっていないのがよい。5.「サム・レッスンズ」は病床での曲作りの原点のような曲。アルバムの最後を締めくくる9.「グッドナイト」と10.「トワイライト」も曲としてというよりもアルバム全体の構成の中でうまく効果を発揮するように収められている。夜の眠りを告げる曲(「グッドナイト」)で終わりかと思いきや、次の朝を連想させる短いインスト曲(「トワイライト」)があり、後は聴き手の想像に任せるかのようなアルバムの締めくくりはなかなかよく考えられている。 といったわけで、この曲が素晴らしい、などといった曲レベルだけでなく、アルバム全体として非常に統一感があるのがとくに好印象の1枚である。その点からするとレコード会社・制作者一同の成功ということにもなるのだろうが、想像するに、メロディ自身がとてもしっかりと自己の確立された人物で、それが本アルバム作りにも反映されたのではないかという気がする。[収録曲]1. Worrisome Heart2. All That I Need Is Love3. Gone4. Sweet Memory5. Some Lessons6. Quiet Fire7. One Day8. Love Me Like a River Does9. Goodnite10. Twilight2008年リリース。*日本盤はボーナストラック1曲入り;米盤でも曲順が異なる11曲入りもある模様(いずれも筆者は未聴)。[関連記事リンク]本盤のジャケット写真 へ秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その2~(ダフィー) へ秋の夜長にジャジーな女性ヴォーカルを~その3~(ノラ・ジョーンズ) へ 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.10.14
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代表作扱いには異議ありだが、聴き逃せない名盤 ウェスト・コースト(西海岸)ジャズの代表の一人と言われるジェリー・マリガン。ジャズの世界ではサックスはトランペットと並んで花形の楽器だけれども、彼が演奏するのはバリトン・サックスというサックス。アルト・サックスやテナー・サックスと違って扱いが難しく、それを自在に操りソロ楽器としてのバリトン・サックスを確立し印象づけたプレイヤーがジェリー・マリガンである。 そんなマリガンの代表作は?と問われると、本盤を挙げるには気が引ける。『ナイト・ライツ(Night Lights)』つまりは“夜の灯り”というタイトルが示すように、アルバム全編にわたって“夜ムード”が漂っている。そのムードの中で演出される夜とは“熱い夜”ではなく、リラックスした“クールな夜”なのである。マリガンは、上述のように、バリトン・サックスという楽器のソロとしての地位をジャズ界に根付かせたわけだが、本盤のタイトル曲ではピアノを演奏している。他の曲のバリトン・サックスを吹いている場面でもがんがん吹きまくる姿というのではない。 そんなわけで、早い話、本盤はジェリー・マリガンの代表作ではない(名盤ガイド類ではしょっちゅう代表作扱いされているけれど)。彼の特徴がわかる一枚を挙げよ、と言われれば、例えば『ジェリー・マリガン・カルテット』のような盤の方が絶対に彼のカラーがよく出ていてわかりやすいに違いないと個人的には思う。にもかかわらず、本盤は聴き逃せない。あるアーティストの代表盤か否かというのと、名盤か否かというのは全く別の次元の議論であるからだ。 では、何が本作を名盤にしているのか。それは、純粋にクオリティが高く、全体の統一感が見事にとれている一枚だからに他ならない。実は、“バリトン奏者としてのマリガン”という前提を外していいのであれば、本盤はマリガンの特徴を確かによく反映している。別の項(『マリガン・プレイズ・マリガン』)でも述べたように、マリガンのよさは、1)演奏者として、2)作曲家として、3)編曲者としての三点にあると思う。そのうちの二つめと三つめが本盤では明瞭に出ている。 クールジャズ(=西海岸のイメージ)と言われながら、バリトンのアドリブをやっている時は東海岸的にバリバリ吹いたりする。バリトン奏者と言われながら、実は作編曲家としての能力に長けていて本盤のような作品も作っている。一筋縄ではいかないアーティストという結論でまとめてしまうのは、ありきたりだろうか。[収録曲]1. Night Lights2. Morning of the Carnival (from "Black Orpheus")3. In the Wee Small Hours of the Morning4. Prelude in E Minor5. Festival Minor6. Tell Me When7. Night Lights (1965 version)(CDボーナス曲)[パーソネル]1.~6.: Gerry Mulligan (bs; p.:1.のみ)Art Farmer (tp, flh)Bob Brookmeyer (tb)Jim Hall (g)Bill Crow (b)Dave Baily (ds)1963年9月録音7.: Gerry Mulligan (cl)Pete Jolly (p)Jond Gray (g)Jimmy Bond (b)Hal Blaine (ds)他10ピースのストリングセクションを含む1965年録音 【2500円以上お買い上げで送料無料】【CD】[UCCU-99028]ナイト・ライツ+1 [ ジェリー・マリガン ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.10.13
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ヘンテコな奇才と革新的秀才の紙一重 セロニアス・モンクの代表盤はという問いに対する答えは、あまり一定していない。『ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック』(Vol. 1 & Vol. 2)という人もいれば、『モンクス・ミュージック』だという人もいる。マイルスとの共演盤(『バグス・グルーヴ』、『マイルス・デイヴィス&モダン・ジャズ・ジャイアンツ』)を思い浮かべる人もいれば、モンクのソロ演奏盤(『セロニアス・ヒムセルフ』など)が先に思い浮かぶ人もいるだろう。かと思うと名盤選では、『ミステリオーソ』や『セロニアス・モンク・トリオ』を挙げる人もいる。 こうした様々な“代表盤”と並んで名前の挙がるのが、本盤『ブリリアント・コーナーズ(Brilliant Corners)』である。結局のところ、セロニアス・モンクのこれぞ1枚という盤は意見が分かれてしまい選び難い。けれども、50年代後半、リヴァーサイドに残した一連の吹き込み(特に56年の本盤から58年の『ミステリオーソ』にかけて)は、特に充実していたように思われる。名作が連なるモンクをどこから聴くのがいいのかはもはや聴き手の思いつきによるしかないのかもしれない。とはいえ、本盤は、ソニー・ロリンズの参加という見た目のとっつきやすさ(実は名前だけでとっつきやすいことにあまり直結しないとは思うが)もあるので、とりあえずこの『ブリリアント・コーナーズ』を聴いてみるというのも一つかもしれない。 表題曲の1.「ブリリアント・コーナーズ」はいきなり前衛的ホーンから始まり、立体的で摩訶不思議な構成の曲。2.「バルー・ボリヴァー・バルーズアー」は、「ブルー・ボリヴァー・ブルース」というタイトルでも知られ、まともなブルースかと思いきや、曲が進むにつれてロリンズのサックスも不思議な演奏の世界に引きずり込まれていくという感じがする。3. 「パノニカ」では、さらにヘンテコ度は最高潮に達していて、モンクは右手でチェレスタ、左手でピアノを演奏している。4.「アイ・サレンダー・ディア」は一転してモンクのソロ演奏で、これが意外といちばん“まっとうな”演奏かもしれない。とはいえ、個人的にはいきなりモンクのソロを聴くのは好みが分かれると思うので、最初はこういうアルバム収録曲の中で試し聴きして気に入ったらソロ盤を聴き進む方がいいような気がする。5.「ベムシャ・スウィング」は摩訶不思議度のスケールが大きな曲であるが、この5曲目まで聴き進められた人は、きっとこのヘンテコ世界に慣れ始めていることと思う。 つまり、ここまで聴き進められれば、耳がモンクのヘンテコ不思議ワールドに順応し、曲の立体的広がりや普通でない構成に魅力を感じ始めることになる。逆に、ここにたどりつくまでに一筋縄ではいかないということもあり得る。筆者は最初にこのアルバムを聴いた時、最後まで通して聴けなかった。あまりのヘンテコ具合に途中で挫折し、何度かトライしてようやく最後まで聴くことができた。ところが、ひとたびそうなると、今度は最後まで聴きたくなるという中毒的なアルバムに変わってしまった。その理由は、ヘンテコ具合が偶発的なものではなく、緻密な計算の上に成り立っているからで、それゆえ、繰り返し聴いても決して飽きがこないからだと思う。 そのようなわけで、とっつきやすさという意味ではいまいちなのだが、はまると抜けだせなくなるのが本盤の特徴と言っていいかもしれない。[収録曲] 1. Brilliant Corners2. Ba-lue Bolivar Ba-lues-are3. Pannonica4. I Surrender, Dear5. Bemsha Swing [パーソネル]Thelonious Monk (p, celeste: 3のみ)Sonny Rollins (ts: 4除く)Oscar Pettiford (b: 1~3)Max Roach (ds, tymp: 4除く), Clark Terry (tp: 5のみ)Paul Chambers (b: 5のみ)録音:1956年10月9日(2と3)1956年10月15日(1)1956年12月7日(4と5) 【2500円以上お買い上げで送料無料】【CD】[UCCO-99019]ブリリアント・コーナーズ [ セロニアス・モンク ] 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.10.12
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エアロ節に染められたブルース・ナンバー群 2003年(厳密には2003年2月から2004年1月まで)は、全米を挙げての“ブルース年”だった(エリック・クラプトン『ミー&Mr.ジョンソン』の項も参照)。1903年は後にブルースを広めることになるW.C.ハンディがブルースに遭遇した年とされ、一説ではこの年が“ブルース誕生の年”と言われるらしい。これを受けて米国議会は2003年に“ブルースの年”を宣言したというわけだ。お上が決めた(しかも特定の一説に基づいて誕生100年と決めつけた)ブルース年なんて、多くのミュージシャンにとって関係ないと言えばそれまでかもしれない。けれども、各ミュージシャンの実際の活動には影響を与え得る。彼らもミュージシャンという“職業”に従事しているわけで、それに関連した仕事を依頼されるとか、こういう年だからこそあるプロジェクトが実現しやすかったとかいう要素はあったわけだ。 本盤『ホンキン・オン・ボーボゥ(Honkin’ on Bobo)』は、エアロスミス(Aerosmith)によるブルース・ナンバーを中心としたカバー曲集である。たとえ本人たちが否定しようとも、やっぱりこのブルース年というタイミングと無関係ではなかったように思う。エアロスミスは、ブルース年などとは無関係に、以前からこういうアルバムを作りたかったのかもしれない。けれども、結果的にはブルースというキーワードで全米が盛り上がったタイミングでのリリースとなった。 ところが、ブルースを意識して本盤を聴くと、拍子ぬけな感じがするに違いない。というのも、出てくる音が全然ブルースを連想させない雰囲気のものだからだ。ひょっとして、「全編エアロスミスの新曲です」(注:実際にはオリジナルは8.「ザ・グラインド」の1曲だけ)とウソの解説をしたら、「へ~なるほど」と思う人すらいるかもしれない。そんな仕上がりになっている時点で、筆者はこのアルバムの出来とか成功とかいう点では、エアロスミスの勝ちだったと言えるのではないかと思う。過去の他人の曲を取り上げながら、出来上がりはどこを切ってみてもエアロ節。若い頃の彼らにはできなかった芸当だろう。長年同じバンドを続けてきたからこそ出来上がった“色”があり、取り上げた楽曲を見事その色に染めている。 ちなみに原曲(あるいは過去の有名ヴァージョン)にいくつか触れておくと、1.はボー・ディドリー(1959年)、3.はソニー・ボーイ・ウィリアムソンII世(1951年)、7.はかつてストーンズもカヴァーしている。9.はマディ・ウォーターズ、10.はリトル・ウォーターの1950年代の発表曲。11.はピーター・グリーン時代のフリートウッド・マックで知られる。こんな多彩な楽曲群を自分色に染められるのは、本当に経験と貫禄のなせる業としか言いようがない。[収録曲]1. Road Runner2. Shame, Shame, Shame3. Eyesight to the Blind4. Baby, Please Don't Go5. Never Loved a Girl6. Back Back Train7. You Gotta Move8. The Grind9. I'm Ready10. Temperature11. Stop Messin' Around12. Jesus Is on the Main Line2004年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2010.10.11
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初めてトム・ぺティを聴く人にも推奨、アメリカン・ロック/ポップのエッセンス トム・ぺティ(Tom Petty)は1970年代後半から現在に至るまで活発に活動を続けているアメリカン・ロックの雄。ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンといったメッセージ性の強いロック・シンガーとよく比較される。しかし、アメリカン・ロックという表現で名前が浮かぶであろうブルース・スプリングスティーンがコテコテで武骨な感じがするのに対し、あるいは、ボブ・ディランが無愛想で小難しい感じがするのに対し、トム・ぺティはより爽やかでスマートな印象である。 本作『フル・ムーン・フィーヴァー(Full Moon Fever)』は、1989年にリリースされた初めてのトム・ぺティのソロ名義のアルバムである(それまではトム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズとしてアルバムを発表してきた)。1979年発表の『破壊(Damn The Torpedos)』は初めてトム・ぺティを聴く人にもお勧めの名盤だけれども、本盤もまたトム・ぺティの入口としては好適盤であると思う。 その理由は、ストレートでなおかつさらりと聴かせるスマートなアメリカン・ロック・アルバムに仕上がっているのに加えて、アメリカン・ポップな要素が比較的目立っているいるという部分にある。そのポップな側面は曲作りとプロデュースの両面に参加した(E.L.O.の)ジェフ・リンの影響が強い。当時、トム・ぺティとジェフ・リンは覆面スーパーバンド、トラベリング・ウィルベリーズで活動を共にしていたため、なるほどという参加ではある。実際、本盤を聴いていると、ジェフ・リンの参加によって“これってE.L.O.?”と思わされる箇所が所々ある。だが、そうしたポップ性すらトム・ぺティが自己のものとしてのみ込んでいってしまっているような気がする。というのも、トム・ぺティ自身がザ・バーズやビーチボーイズといったアメリカン・ポップの影響を強く受けてきたわけで、当然、E.L.O.もその延長線上のような立場にいる。トム・ぺティと言えば、ロックな面ばかりがクローズアップされがちだけれども、ある意味、彼は結構ポップなのだということをとりわけ本作は再確認させてくれる。実際、6.ではザ・バーズの有名曲をカヴァーし、そのバックグラウンドからくる部分を見事に表現している。仰々しい名盤ではないが、さらりと聴かせる気持ちいい好盤で、上で書いたように、初めてトム・ぺティを聴くという人にも外れのない推薦盤だと思う。[収録曲]1. Free Fallin'2. I Won't Back Down3. Love Is A Long Road4. A Face In The Crowd5. Runnin' Down A Dream6. Feel A Whole Lot Better7. Yer So Bad8. Depending On You9. The Apartment Song10. Alright For Now11. A Mind With A Heart Of Its Own12. Zombie Zoo1989年リリース。 【メール便送料無料】トム・ペティTom Petty / Full Moon Fever (輸入盤CD)(トム・ペティ) 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓
2010.10.10
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここしばらくの記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)から入ることができます。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編へ アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ下記ランキング(3サイト)に参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも2つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ ↓ ↓にほんブログ村 : 人気ブログランキング: 音楽広場:
2010.10.09
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四半世紀来のパートナーシップが活かされた94年作 『スリープス・ウィズ・エンジェルズ』は、ニール・ヤング(Neil Young)とクレイジー・ホース(Crazy Horse)名義で1994年にリリースされたアルバム。直前にカート・コバーン(ニルヴァーナ)の自殺という出来事があり、その遺書にはニールの詞(1979年のアルバム『ラスト・ネヴァー・スリープス』所収の「マイ・マイ、ヘイ・ヘイ」)の一部が記されていたことから、コバーンを強く意識して作ったアルバムであると言われる。確かにタイトル曲(4.「スリープス・ウィズ・エンジェルズ」)はコバーンにちなんだ内容であるものの、逆に収録曲の大半は前年から彼の死(1994年4月5日、遺体の発見はその3日後)の前までに録音されている。 本作でバックを務めるクレイジー・ホースとニール・ヤングの付き合いは長く、ニールがソロ転向後2枚目となるアルバム『ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース(原題:Everybody Knows This Is Nowhere)』(1969年リリース)がその始まりである。当時のクレイジー・ホースは、ダニー・ウィットン(ギター)、ラルフ・モリーナ(ドラム)、ビリー・タルボット(ベース)の3人であったが、その後変遷があり(ダニー・ウィットンは1972年に死亡)、本作でのクレイジー・ホースは、上記のダニーの部分がフランク・“ポンチョ”・サンペドロ(ギター、オルガン)に入れ替わった編成である。本盤のリリースが1994年であるので、クレイジー・ホースとはこの時点で既に25年(四半世紀!)もの長い関係ということになる。こうした経緯もあり、本盤においても演奏の息はぴったり合っていて、本盤の演奏面での一つの特徴となっている。 他方、一般的には、クレイジー・ホースとの組み合わせでのニールは“激しい”演奏のイメージがある。本盤でのその片鱗もなくはない(例えば7.や11.の演奏)。しかし、それを過剰に期待して聴くと、アルバム全体としてはあまりに印象が違うために、“はずれ”と感じかねない。だが、本盤のよさはそういった“激しさ”にあるのではないと感じる。路線としては、『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』(1970年)や『今宵その夜(Tonight’s The Night)』(1975年)といった、クレイジー・ホースとは組んでいなかった作品の延長線上に位置づけられるような色調のアルバムで、そのイメージを持って聴くと、すんなり入ってくるように思う。 個人的な好みを何曲か挙げておくと、アコースティック寄りの曲では3.「ドライヴ・バイ」と9.「トレイン・オブ・ラヴ」が特によい。ちょっと変わったところでは、12.「夢の彷徨(ドリーム・ザッと・キャン・ラスト)」も幻想的な雰囲気が功を奏しているように思う。しかし、いちばんの聴きどころは前半のアコースティック系の続くところで、1.~3.さらには表題曲を挟んで5.と6.に至る流れである。まあ、ニール・ヤングは作風にヴァリエーションが大きくて、アルバム毎に聴き手によって好みが分かれるだろうけれど、スローやアコースティック系(=頼りなげなヴォーカル)に魅力を感じるタイプの聴き手には、以上の個人的好みを共感していただけるものと思う。[収録曲]1. My Heart2. Prime of Life3. Driveby4. Sleeps with Angels5. Western Hero6. Change Your Mind7. Blue Eden8. Safeway Cart9. Train of Love10. Trans Am11. Piece of Crap12. A Dream That Can Last1994年リリース。 【メール便送料無料】ニール・ヤングNeil Young / Sleeps With Angels (輸入盤CD)(ニール・ヤング) 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.10.07
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重要だから聴くわけではない、1枚のアルバムとしてずっと聴かれるであろう名盤 ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)というバンド名からして何とも罪作りな感じがする。ボーイズと言っているが、当然、いつまでも少年なわけではなく、10年20年と時間が過ぎれば“おじさんたち”になることがわかっていながら何とも計画性のないネーミングだったと思う。おまけに“ビーチ”なわけで、夏のバンドというイメージが定着したら(というか実際に定着したわけで)、冬場はどうするつもりだったのだろうとこの名を見るたびに思ってしまう。結局、大物になったわけでそんな名称の心配など余計なお世話ということになるのかもしれないけれど…。 とはいえ、このバンド名の適当さ加減と歩をあわせるように、その作風もブライアン・ウィルソンなる奇才がメンバーにいたことで迷走する。本盤はその頂点で、ビーチ・ボーイズが“おかしな方向に走った”1枚であると同時に、ただのアイドル的ヒット・グループでないことを示した1枚(いや、それどころか現在ではロック史に残る名盤という評価すらなされる)である。 今となっては古典的名盤としての評価が定着しているので、説明など不要かもしれないが、よく言われるように、この『ペット・サウンズ』は、ビートルズの『ラバー・ソウル』に衝撃を受けたブライアン・ウィルソンが、ビートルズに対抗して完璧なコンセプト・アルバムを制作しようとしたことに始まる。それまでの方向性との違いからメンバーやレコード会社との軋轢が生じ、不遇のアルバムとなった。本作後にこれを越えるアルバムを作ろうとしたブライアンは精神的にもおかしくなっていってしまう。その点からすると、本盤は、上で述べたように、ビーチボーイズがおかしな方向に走ったきっかけであり、おかしな方向に行った頂点ということになる。結局、『ペット・サウンズ』はリリース当時は、少なくとも一般リスナーにはまともに受け止められなかった。あまりに突飛な作品だったわけである。しかし、ビートルズの次作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に影響を与え、実はロック/ポップ界の革新の“裏の原動力”になった。 そんなロック/ポップ史上の役割を持ったから名盤だといってもてはやしているのかと言うと決してそうではない(否、そうあってはならない)。一個の独立した作品として純粋に優れているのである。けれども、評価が定着し、21世紀を迎えた現在、そうした聴き方がなされているのだろうかというと何だか怪しい気がする。相変わらずビーチ・ボーイズといえば海・サーフィンというイメージで聴いている層と、“ロック/ポップ史の重要性”でブライアン作品を聴いてみようという層に二分されてしまっているように思われる。けれど、重要だからという理由で私たちは無理に“名作”とされるアルバムを聴く必要などない。ジャズみたいに(ジャズがそうであることにも個人的には異論ありだけれど)、“お勉強”な気分でロックを聴くなんて面白くも何ともない。当たり前の話に戻ってきてしまうが、要は“楽しいから聴く”。そう、この美しさは、20世紀後半のロックやポップスの歴史・その影響云々とは関係あろうが無かろうが、21世紀の今の耳から聴いても、ただただ素直に美しく、その精緻な作りとコンセプトに感動する類のものだと思う。 ちなみにレコードA面は1.~7.の7曲、B面は8.~13.の6曲。ほとんどの曲が3分未満なので、総合計にしても40分足らずの収録時間であるが、とにかく密度が濃い。美しさと切なさが強い印象となる曲が中心で、個人的ベスト・トラックは、2.「僕を信じて(ユー・スティル・ビリーブ・イン・ミー)」。次いで、1.「素敵じゃないか(ウドゥント・イット・ビー・ナイス)」、と13.「キャロライン・ノー」。あと別格で6.「少しの間(レッツ・ゴー・アウェイ・フォー・ア・ホワイル)」と12.「ペット・サウンズ」の精緻さも聴き逃せない。[収録曲]1. Wouldn't It Be Nice2. You Still Believe in Me3. That's Not Me4. Don't Talk (Put Your Head on My Shoulder)5. I'm Waiting for the Day6. Let's Go Away for Awhile7. Sloop John B8. God Only Knows9. I Know There's an Answer10. Here Today11. I Just Wasn't Made for These Times12. Pet Sounds13. Caroline, No1966年リリース。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ペット・サウンズ<モノ&ステレオ> [ ザ・ビーチ・ボーイズ ] 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓
2010.10.06
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シンプル&ソリッド、一見地味だが実はヴァラエティに富んだスタジオ代表作 ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)は1948年、アイルランドに生まれたギタリスト。10代の時から音楽活動をはじめ、1960年代にはテイスト(Taste)というバンドを経て、70年代に多くのアルバムをリリース。80年代~90年代にもいくつかの作品を発表したが、1995年に47歳で没した。 ロリー・ギャラガーはブルース・ロックのギタリストと一般には分類されるが、ヴォーカルとソングライティングも担当する。愛用のギター(ストラトキャスターをたくさん所有していた)を用いての、シンプルでソリッドな音作りの演奏がその身上である。彼のディスコグラフィーには、いくつかの有名なライブ盤があるが、スタジオ録音での代表作ということになると、その1つとして挙げられるのがソロ4枚目(ライブも入れると5枚目)に当たる本作『タトゥー』である。 正直、この人のスタジオ作は派手さに欠ける。レコードの作り方が気真面目すぎた部分もあったのかもしれない。おまけに80年代以降は活動ペースが落ち、肝臓を悪くした原因で若くして亡くなったこともあり、既に没後15年経った現在では、影が薄くなってしまった。けれども、あえて強調しておきたい。ロック・ギター少年よ、これを聴かずに育つなかれ。一聴して地味に聴こえる部分もなくはないが、耳を澄まして落ち着いて聴くと、実はこれほど真摯でかつカッコいいギターは他にない。ブルース・ロックという触れ込みのせいで避けている人がいるならば、それも取っ払った方がいい。専門家によってブルース・ロックというジャンルに振り分けられるのはわかるが、強調したいのは、ロリー・ギャラガーのギターは、そういうジャンル分けを超越したところで“ロック”なのである。中でもこの『タトゥー』は、様々なヴァリエーション(多ジャンル)の曲で構成されていて、彼のギター演奏の才能とレベルの高さがよく表れている。おそらくヴォーカルは好みが分かれる(個人的には好き)のだけれども、少なくともこのギターの素晴らしさはロック好きにはかなり普遍的だと思う。 さて、その曲と演奏のヴァリエーションだが、彼の真骨頂であるブルース・ロック調の1.「いれずみの女(タトゥード・レディ)」、ライブでも人気を博すことになる2.「クレイドル・ロック」、ヴォーカルが個人的には気に入っている3.「多くの夢(20:20・ヴィジョン)」、ジャズの影響もあるとされる4.「ライク・ユー・エニィ・モア」、さらには、リフ・ロックの典型である6.「スリープ・オン・ア・クローゼズ・ライン」、ブルース色の濃い7.「フーズ・ザット・カミング」…。つまるところ、これだけの幅の音楽を吸収して自分のものにし、そのギターの才能と組み合わせて表現していたわけである。一つのジャンルやスタイルで突っ走るアーティストもそれはそれですごいが、ロリー・ギャラガーのこの演奏を聴くにつけ、この人の奥行きの深さがわかる。きっとその奥行きは天性というよりも、真面目に取り組んでコツコツ積み上げたものの合計が作品という表現媒体に滲み出ているのだろうという印象を抱いている。つまりは、それがロリー・ギャラガーのことを筆者が真摯なアーティストと感じる所以である。[収録曲]1. Tattoo'd Lady2. Cradle Rock3. 20:20 Vision4. They Don't Make Them Like You Anymore5. Livin' Like a Trucker6. Sleep on a Clothes Line7. Who's That Coming8. A Million Miles Away9. Admit It1973年リリース。*なお、2000年リマスター時にボーナス曲が2曲追加された(筆者未聴)。 Rory Gallagher / Tatoo (180 Gram Vinyl)【輸入盤LPレコード】(ロリー・ギャラガー) 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.10.04
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新生LRBの出発点 ウェイン・ネルソン(Wayne Nelson)を中心に“生きながらえた”リトル・リバー・バンド(Little River Band)による2000年の復活作。このネルソンという人物はオリジナルメンバーではない。1970年代後半にオーストラリア出身バンドとして世界進出を果たし、その絶頂期の終盤、1980年に加入したメンバーである。以前にリトル・リバー・バンドの最高作として紹介した『光ある時を』に所収のヒット曲「ナイト・アウル」のリード・ヴォーカルも担当していた人物だ。その彼が、現在ではバンドをリードする中心メンバーとなっている(実際には他のオリジナル・メンバーとバンド名使用をめぐる複雑ないきさつがあって、相手側の立場からはネルソンがバンド名の使用権を奪い取ったと批判されている側面もある)。 『ホエア・ウィ・スターテッド・フロム(Where We Started From)』(われわれがスタートした場所から)というタイトルが示すように、本盤は、原点回帰を目指したアルバムである。とはいえ、別にサウンドそのものが70年代に完全に回帰するわけはない。上の通り、もはやオリジナル・メンバーはいない。それゆえ、近年のリトル・リバー・バンドは“懐メロ・バンド”とか、“再生産ばっか”と非難されることがある。要するに、過去の栄光(「リミニッシング(追憶の甘い日々)」に代表されるような70年代後半~80年代前半のヒット曲の栄光)にしがみついて、メンバーは変われども同じ曲をやり続けているという非難である。しかし、本盤をちゃんと聴けば、このバンドはそうした批判とは違う方向性にちゃんと向かおうとしていたことがわかる。 本作に収録されている曲の中には、リメイクもあれば新曲もある。1.の表題曲「ホエア・ウィー・スターテッド・フロム」や7.「フー・メイド・ザ・ムーン」は、素直に優れた曲だと思う。リトル・リバー・バンドに伝統のコーラスワークも美しく決まっているし、ソングライティングのよさもかつてのこのバンドの華やかな頃と遜色ない。 バンドの行きたい方向を理解するのには、リメイク曲にも注目してみるとよい。5.「ナイト・アウル」はその典型と言っていいかもしれない。オリジナルは上述の通り『光ある時を』に収められているが、このオリジナル・ヴァージョンは夜の闇を思わせるスリリングな曲調・演奏だった。それに対し、本盤での「ナイト・アウル」は、同じように夜を連想させる雰囲気に満ちていながらも、もっとゆったりした夜を連想させるという、全く違う曲調に仕上がっている。どちらが好きかといった個人的好みの問題ではなく(個人的好みを言えば、実はこのニュー・ヴァージョンもかなり気に入っているのだが)、バンドとして新しい音を提示していこうという意志表明がはっきりと出ている。そこは正当に評価されてしかるべきだと思う。 上で挙げた3曲以外に特にいいと思うのは、2.「ディス・プレイス」と6.「アイ・シンク・アイ・レフト・マイ・ハート・ウィズ・ユー」。どちらもとりわけサビ部分にシンプルなメロディの美しさとそれに加えてどこかしら哀愁が漂っているところに魅かれる。 LRB(リトル・リバー・バンド)を初めて聴く人に、代表作としてこの新生バンドのアルバムを勧めようとは思わない。けれども、かつての輝かしきLRVを知る人でその後に関心があれば、ぜひ本盤を聴いてみることを勧めたい。70年代後半から80年代初頭の“全盛期”で時が止まってしまったわけではなく、バンドは時代とともに前進していっているのだということがわかる。[収録曲]1. Where We Started From2. This Place3. Magazine Girl4. Just You And I5. Night Owls6. I Think I Left My Heart With You7. Who Made The Moon8. Look In Your Eyes9. American Way10. Lead Me To Water11. Cool Change2000年リリース。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓
2010.10.02
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2010.10.01
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