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ジャズ界の“ブルース”と“即興性” ジャズにおけるブルースとは何なのか。元来のブルース(本来的なジャンルとしてのブルーズ)とジャズにおけるブルースは明らかに違う。もちろん12小節から成る、独自のコード進行を持つ云々といった音楽的な形式は基本的に一致するのだろう。けれども、仮にそうした形式を踏襲していながらもブルースとは言い難いものもあれば、形式から外れていてもこれぞブルースと言われる楽曲あるいは編曲もあるように感じる。究極的にいえば、モダン・ジャズにおけるブルースの捉え方なんてものは、奏者や聴き手それぞれでまちまちかもしれない。ともあれ、少なくとも、ジャズという閉じられた世界において “これぞブルース”と言われる盤はいくつもある。オリヴァー・ネルソンの『ブルースの真実』などはその代表格と言ってよいだろう。そして、今回取り上げるレイ・ブライアント(Ray Bryant)の『オール・ブルース(All Blues)』もそんな中の一枚ということになる。 レイ・ブライアントは1931年フィラデルフィア生まれのジャズ・ピアノ奏者、作曲家である。ベース奏者のトミー・ブライアント、ドラム奏者のレン・ブライアントとは実の兄弟である。1950年代後半から近年に至るまで数多くのリーダー作を残しているほか、過去にはマイルス・デイヴィスやソニー・ロリンズをはじめ様々な有名アーティストとの共演も経験している。 上で述べたように、ブルースは、20世紀に入ってからのジャズの発展とともに、ジャズ界においては、良くも悪くも根本的に別の音楽と化してしまった。コアなブルース・ファンにしてみれば、ジャズのブルースなんぞもはやブルースではないとすら突き放されるだろう。ただ、ジャズでのブルースという用語にもけっこう曖昧さがある。ジャズの世界でブルースという場合、形式としてのブルース(ブルース形式)のことを指すこともあれば、ブルージーな演奏(雰囲気としてのブルース)をいう場合の双方がしばしば含まれる。ちなみにこの手のややこしさはロック界にも蔓延っていて、何が“ブルース”で、何が“ブルージー”なのかの境目が実にいい加減である。ともあれ、上で述べたうちの後者、つまりは“雰囲気としてのブルース”が結構なくせ者で、もしもこれらを“ブルース”に含めると定義するのならば、早い話、聴き手の感覚で何でも含まれることになる。 実際、本盤のレイ・ブライアントの演奏も、曲によってはブルースの形式をはみ出してしまっている。なので、本盤を“これぞブルースだ”と言うのは正確ではないかもしれない。いや、そもそも形式がブルースであればブルースだということになるかどうかも微妙だろう。ジャズの場合、形式とは別に、明るさと陰のバランス(別に曲調のメジャーかマイナーかというわけではない)によって、ブルージーに仕上がる(と呼ばれる)か否かという部分もある。 独断と偏見で言うと、1.「スティック・ウィズ・イット」、3.「Cジャム・ブルース」、7.「ビリーズ・バウンス」がベスト3曲。いずれもいかにもなレイ・ブライアントの手癖…、いやはや得意フレーズが軽快かつブルージーな雰囲気の中、オンパレードで展開される。 それと同時に、この手のフォーマットと演奏の展開に、変な意味での“即興(インプロヴィゼーション)”を求めてはいけないのかもしれない、と思ったりもする。同じジャズ・ピアニストとしては、レッド・ガーランドなんかも典型的にそうなんだろうと思うのだけれど、筋書きはある程度決まっていて、全てが即興演奏なわけではない。というか、そもそもジャズというのは(フリー・ジャズなんかはともかく)、片っぱしから即興なのではなく、本来的に“即興度や即興部分の占める割合が高い”音楽に過ぎない。その意味で、レイ・ブライアントの本領もこの辺りにあるのではないだろうか、と思う。 つまりは、即興的なフレーズの集積がある種、独自の技となって年月とともに集積され、その集積が披露されると見事な演奏となって決まるタイプ。なので、結果的には聴きこめば聴きこむほど“即興的でない”気分にさせられることもある。けれども、上で述べたようにジャズ音楽の特質を考えれば、ソニー・ロリンズのようなその場の雰囲気で何が飛び出すか、というのも魅力だし、即興的演奏の集積の上にあるいくぶん出来上がった風のこうしたブライアントの演奏も、ジャズの魅力を存分に伝えるものなんだろうという気がする。[収録曲]1. Stick With It2. All Blues3. C Jam Blues4. Please Send Me Someone To Love5. Jumpin’ With Symphony Sid6. Blues Changes7. Billie’s Bounce[パーソネル]Ray Bryant (p)Sam Jones (b)Grady Tate (ds)1978年4月10日録音。 Ray Bryant レイブライアント / All Blues 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2012.07.30
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ポップなカントリー調の名曲 本名モーナ・アン・マレー(Morna Anne Murray)ことアン・マレー(Anne Murray)は、1945年、カナダ東部のノバスコシア州出身の女性シンガー。今となっては、セリーヌ・ディオンに象徴されるように、カナダ出身の女性シンガーが全米で人気を博すのはごくごく普通のように思えるが、彼女が出てきた頃はそうではなく、全米で1位をとったのも、全米でゴールドディスクを獲得したのも、70年代にカナダ人女性シンガー初の快挙を成し遂げたのがこのアン・マレーという人であった。 1968年にレコード・デビューを果たし、翌年のセカンド・アルバム『ディス・ウェイ・イズ・マイ・ウェイ』からカットされて1970年にヒットとなったのがこの「スノーバード(Snowbird)」という曲だった。カナダではシングルチャート2位(アダルト・コンテンポラリーおよびカントリーのチャートではそれぞれ1位)、全米チャートでは8位(イージー・リスニング・チャートでは6週連続1位、カントリー・チャートでもトップ10入り)だった。上述のように、カナダ人女性シンガーとして初めて全米でのゴールド・ディスクをこの曲で獲得した。 筆者はリアルタイムで聴いたわけではなく、記憶は定かではないのだけれど、たぶんその10年後ぐらいにふとラジオで耳にし、その歌声の虜になってしまった。下のビデオを見るとわかるように清楚なお嬢さま的風貌に、カレン・カーペンターを思い起こさせるような明瞭な発音と伸びやかな歌い方。曲調はカントリー的でありながら、いい具合のポップな感じに仕上がっている。そして、さらりと歌われている詞の内容が美しく、人生の傷心の苦悩を自然の風景に重ね合わせ(その接点がスノーバードと呼ばれる小さな鳥)ている。ひとまずは、懐かしのこの曲をご覧あれ(どちらの動画も曲の内容は同じ)。↓オリジナル・ヴァージョンをアン・マレーの姿とともにどうぞ。↓ ↓同じ音源ですが、英語・日本語の対訳詞つきのビデオです。↓ 後に知ったのだが、この曲は別の大物たちによってもレコーディングされていた。様々なアーティストによる「スノーバード」の吹き込みがある中、有名どころと言えば、ビング・クロスビー(1972年のアルバムに収録)、エルヴィス・プレスリー(1971年のアルバムに所収)だろう。ビング・クロスビーの「スノーバード」は大幅にテンポを落とし、いかにも“ビング・クロスビー節”でまとめている。他方、筆者が結構気に入っているのが、プレスリーのヴァージョン。プレスリーは有名どころのヒット曲を聴くと“カッコいい”とか“キマッテる”といった印象が先に来るのだけれど、この「スノーバード」みたいなのを聴くとそうじゃない認識を新たにさせられる。プレスリーという“ヴォーカリスト”は実に渋い。いや、“渋い”というのがあまり適切じゃないならば、“深みのある歌手”でもあったと表現すればよいだろうか。とにかくプレスリーの偉大さを再認識できる1曲に仕上がっている。↓どっぷり“ビング・クロスビー節”に染まった「スノーバード」をどうぞ↓ ↓とにかく渋い! エルヴィス・プレスリーの「スノーバード」です。↓ [収録盤]Anne Murray / This Way Is My Way (1969年) 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012.07.26
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愛しの名曲たち(6) カーペンターズ(Carpenters)のベスト曲はどれか? 難し過ぎる質問だけれども、一般の知名度からしても、筆者の個人的好みで選ぶにしても、きっと最終候補まで残るに違いない曲の一つはこの「トップ・オブ・ザ・ワールド(Top of the World)」という曲である。1972年のアルバム『ア・ソング・フォー・ユー』(邦盤は一時期『トップ・オブ・ザ・ワールド』や『愛は夢の中に』ともいう邦題でも発売されたが、これらは後のヒット曲に引きずられたもの)に収録された曲で、1973年にシングル・カットされた。全米ではビルボード1位となり、「遥かなる影」に続いて、2曲目の全米ナンバー1ヒットとなった。 当初はアルバムの収録曲の一つだった「トップ・オブ・ザ・ワールド」が、全米1位となり、世界での大ヒットを記録するまでには、ちょっとした経緯があった。1972年6月のアルバムリリースの後、カントリー・シンガーのリン・アンダーソン(Lynn Anderson)がこの曲を耳にし、この曲をシングルとして発表した。このヴァージョンはカントリー・チャートで2位のヒットとなり、これを受けてカーペンターズ側もアルバム発売から1年以上を経て1973年9月に「トップ・オブ・ザ・ワールド」をシングル・リリースした。この際、リチャードは曲のエンディングや、ギター演奏の一部に少し手を加えてシングル盤にした。ちなみに、前回取り上げた「シング」は1973年1月にシングル発売され、これが収められたアルバム『ナウ・アンド・ゼン』は同5月にリリースされている。このタイミングから見ても、イレギュラーな様子がよくわかる。次のアルバム(と先行シングル)をリリースする一方で、その後に前作からもシングル・カットをリリースするというややこしい事態で、「トップ・オブ・ザ・ワールド」は元々シングル化する予定でなかったことが見て取られる。なお、この点に関して、リチャードはこの曲の商業的価値を見誤ったとも発言しているようだ。 いずれにしても、「トップ・オブ・ザ・ワールド」は、シングル発売の時点からして、いわばヒットを約束された曲であった。さらには後世においてもいろんな場面で使われ続ける名曲として愛されている。日本生命のCMやJR西日本(ひかりレールスター)のCM、アグネス・チャン、少年ナイフ、倉木麻衣など日本のアーティストによるカヴァーも数多い。上記のリン・アンダーソンのカヴァーも含め、結局のところカレンの歌唱には及ばないとは思うけれど、いかにこの曲が愛され続けているかがよくわかるほど、カヴァー・ヴァージョンも多く、カヴァー、オリジナルともに繰り返し聴かれ続けている。 ↓絶頂期のカレン、リチャードの笑顔とともに、「トップ・オブ・ザ・ワールド」の動画です。↓ ↓続いては、本文中で言及したリン・アンダーソンによる「トップ・オブ・ザ・ワールド」です(絵は動きません)。↓ [収録アルバム]Carpenters / A Song For You (1972年)その他、Carpenters / Yesterday Once More (ベスト盤、1984年)などベスト盤類に収録。1973年シングル・リリース。[関連過去記事] カーペンターズ~愛しの名曲たち(1):「涙の乗車券」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(2):「遥かなる影」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(3):「雨の日と月曜日は」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(4):「スーパースター」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(5):「シング」 【送料無料】ア・ソング・フォー・ユー/カーペンターズ[SHM-CD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.07.22
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここしばらくの記事を追加しています。 INDEXページは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)から見ることができます。お時間の許す方は、過去記事からお気に入りのアーティストやアルバムなど探しつつ、お楽しみください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → つづき(M-Z)はこちらです。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2012.07.21
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激しく…でも激しいだけでないオルガン・ジャズの真骨頂 ジミー・スミス(Jimmy Smith)は、1925年ペンシルヴァニア生まれのジャズ・ミュージシャン(2005年に79歳で死没)。ジャズ界にハモンド・オルガンを持ち込み、いわゆる“ソウル・ジャズ”を確立した奏者である。1980年代以降のいわゆるアシッド・ジャズの潮流も彼に多くを負っているとされ、いわば時代を先取りした“踊れるジャズ”の先駆者と位置づけられる。 とまあ、一般的な評価はそうなのだろうけれど、どうもジミー・スミスの後世における評価は、激しくてダンサブルな部分に偏り過ぎている気がしないでもない。そのグル―ヴが鮮烈だったのは認めるが、その一方で“いかにもモダン・ジャズ”的な、場合によっては“まったりした”演奏にも見事にマッチできた。1965年の本盤は、そんな両面を見事に映し出しているアルバムという印象がある。 アルバムはいきなりのグル―ヴ感あふれる表題曲1.「オルガン・グラインダー・スウィング」で幕を開ける。しかし、このノリが全編続くわけではないのが本盤のミソだと思う。2.「オー・ノー・ベイブ」ではうってかわって、ケニー・バレル(参考過去記事:(1)・(2))がじっくりとギターを聴かせる。さらに聴きどころとなっているのが、5.「アイル・クローズ・マイ・アイズ」。筆者はこの同じ曲を軽快かつ爽快に奏でたブルー・ミッチェルの演奏がお気に入りなのだが、どこかしら重く響き、じっくりと聴かせる本盤の演奏もなかなかのもの。ジミー・スミス、ケニー・バレルともにソウルでブルージーな演奏を意図的に繰り広げている。 結局のところ、ただ勢いで押すのではなく、押したり引いたりのメリハリが明確につけられたアルバムと言える。アシッド・ジャズの流れのような後世の、ある種部分的なジミー・スミスのイメージ(過去に取り上げた『ザ・キャット』や『クレイジー・ベイビー』はその典型例)に沿って聴くならば、意表を突かれる(場合によってはがっかりする?)かもしれない。けれども、個人的には、この両面があってこそのジミー・スミスと言えるようにも思う。つまるところ、ジミー・スミスというオルガン奏者は、ただ押しまくるというだけの人ではなかった。じっくりしっかりな演奏もあってこその彼の本領があり、本盤はその両面をしっかり体験できる好盤だと言えるだろう。 なお、ジミー・スミスは主にブルーノートとヴァーヴにまとまった吹き込みを残している。大雑把には、50年代~60年代初頭がブルーノートの花形としての時代、その後、60年代初頭~70年代初頭がヴァーヴでの活躍の時期に当たる。本盤は、ブルーノートからヴァーヴに移籍して数年後の録音。ブルーノートとしてはトップ・アーティストの移籍は痛手だったのだろうが、ブルーノート時代の形容詞“ジ・インクレディブル(驚がくの、信じられない)”という表現は、ヴァーヴ時代にも受け継がれた。ブルーノートが寛容だったということだろうか。この盤でも“The Incredible Jimmy Smith featuring Kenny Burrell and Grady Tate”の文字が堂々とジャケット上部に印刷されている。[収録曲]1. Organ Grinder's Swing2. Oh No, Babe3. Blues for J4. Greensleeves5. I'll Close My Eyes6. Satin Doll[パーソネル、録音]Jimmy Smith (org)Kenny Burrell (g)Grady Tate (ds)1965年(?)録音。 【送料無料選択可!】【試聴できます!】オルガン・グラインダー・スウィング [SHM-CD] / ジミー・スミス 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.07.20
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スウェーデン出身のポップ・グループ、デビュー作 グローバル化―この言葉が世間に浸透したのはいつ頃からだったろう。よくわからないが、日本でのいろんな環境を振り返ってみると、1990年代、2000年代と人や物の移動は活発化し、どんどんこの流れが進んできて、今現在の2010年代を迎えている。街で“和風”なものを買っても“Made in China”だったりする、あるいはどこか外国の観光地でお土産を買おうとしても、実はその素材はその国ではなくよその国のものだった、なんていうのも、市場経済の面でそういうグローバルな展開が進んだ結果なのだろう。 そこで話をロックやポップ音楽に向けると、1970年代、80年代は明白にまだまだ英米が“本流”であった。例えば、ボブ・マーリー(ジャマイカ出身のレゲエ・アーティスト)は有名になったが、やはり“特殊なアーティスト”だった。あるいは、カルロス・サンタナ(メキシコ出身のブルース/ロック系ギタリスト)は、自身のグループサンタナで成功したが、メキシカンなシーンから出たわけではなくあくまで米国ロックの枠内から出てきたのだった。80年代になって“ワールド・ミュージック”に注目が集まったが、それもまた、他方に英米の“メインストリーム”があるという前提は崩れておらず、確固たる本流に対してそれ以外の世界音楽への注目という感じだった。 けれども、商品や経済などのグローバルな道筋がついて以降、音楽にも変化が見られるようになった。ポップ音楽に関してはこの傾向が顕著であるように思う。北欧や南欧で新しいものが作られ日本で火がつく、はたまた南米やアフリカのどこかしらか発でヨーロッパに飛び火する、などと同時多発的に世界のあちこちで若者の心をつかみ得る音楽が出現するようになった。繰り返しておくと、どこか“辺境”で作られたものがアメリカやイギリスで流行るのとは違う。90年代以降、現在までの特徴は、その発信地も多様であれば、それに火がつく場所も多様という現象なのである。 スウェーデン出身の5人組、ザ・カーディガンズ(The Cardigans)もまた、そうした流れの中に位置づけられるのではないかと思う。かつては北欧発と言えば、アバかロクセット、あるいはハードロック系ではイングヴェイ・マルムスティーンやヨーロッパといったあたりだったのだろうが、ザ・カーディガンズは、売れ方の面でもそもそもの音楽的な生成に関しても、上の流れの中に位置づけられるという点でこれらアーティストとは根本的に違っているような気がする。何よりも、“北欧的”や“スウェーデン”が前面には出てこない点にその違いがあるように思う。 本作『エマーデイル(Emmerdale)』は、1994年に発表されたデビュー盤。ネオアコなサウンドをベースに、メランコリックな雰囲気とさらりとしたヴォーカル(女性ヴォーカリストのニーナ)の歌い口が印象的な1枚である。最初はスウェーデン国内のみのリリースだったが、同じ年に日本で発売されて大きな注目を集めた。当初はイギリスやアメリカでは、彼らには目が向けられなかった。その後、このバンドは世界的なヒットへと向かって行くのは1995年のセカンド作(『ライフ』)からであったが、この時点で、もう既に世界を相手にするユニバーサルな音楽はできあがっていたように感じる。 繰り返しになるが、これがスウェーデンである必然性は果たしてあったのだろうか。最初に火がついた場所の一つが日本という必然性はあったのだろうか。極端な話、ポルトガルから出てきてアメリカ西海岸で火がついていても不思議はなかったのではなかろうか。音楽のボーダレス現象と言えばカッコいいかもしれないが、こうしたグローバル化と表裏一体になっているのは、要するにポップ音楽を英米のみがリードする時代の終焉ということでもあったのかもしれない。[収録曲]1. Sick & Tired2. Black Letter Day3. In the Afternoon4. Over the Water5. After All...6. Cloudy Sky7. Our Space8. Rise & Shine9. Celia Inside10. Sabbath Bloody Sabbath11. Seems Hard12. Last Song1994年リリース(全米1999年リリース)。 【送料無料選択可!】エマーデイル / カーディガンズ 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.07.18
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円熟のコーエン、初めて聴く人にもおすすめ 1934年生まれのカナダの詩人・シンガーソングライターであるレナード・コーエン(Leonard Cohen)。筆者は初期の“クラ~い”作品たち(と言うと語弊があるけれど、いきなり勧められた人の気持ちになってみれば、この表現もあながち大外れではない)も好きなのだが、あまりそちらばかり勧めると拒否反応を示されるのではないかとの恐れがある。そこで、今回はもう少し後の、いわば“円熟期”にあたるコーエン作を紹介してみようと思う。90年代にリリースされた唯一のスタジオ盤『ザ・フューチャー』を取り上げたい。 このアルバムは、コーエンのスタジオ作としては通算9枚目となる。曲のテーマも雰囲気もどれも重い。英語がよくわからなくてもその重さは伝わってくるのだが、英語の詞を理解すればなおのことそうなのだろう。筆者の英語力でもって、部分部分の詞がわかる程度に過ぎなくても、十分のヘヴィである。例えば、アルバム表題曲の1.「ザ・フューチャー」。これは本アルバム収録の2.とともにオリバー・ストーン監督の映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ』で使用された曲でもある。この曲では、“~を返しておくれ”という詞が続くが、その“~”の部分に入るのは、ベルリンの壁、スターリン、さらにはHiroshima(広島)だったりする。最後には、“自分は未来を見てきた。それは殺人だ”と締めくくる。表題曲がこの調子というだけで、“未来”という表題にも関わらず、その内容が何とも重苦しいものだという様子がイメージしてもらえるのではないか。 その一方でサウンド面では初期のコーエンと違い、いかにも弾き語り的な部分は少ない。荘厳なアレンジや孤独感を盛り上げる女性ヴォーカルなどがバックから聞こえてくる。詞がわからなくても雰囲気が伝わる…と述べたのは、この演奏面の盛り上げが一役買っているためだと感じる。コーエンの詩だけを淡々と楽しみたい向き(コーエン上級者?とでも言えばよいだろうか)には耳障りな部分もあるかもしれない。けれども、初めて聴いて見ようという向きには、こっちの方がとっつきやすい(というか、まだとっつきやすい)ように思う。 とまあ、全体のイメージ的の概略みたいになってしまったけれど、1984年作の『哀しみのダンス(Various Positions)』なんかと並んで、最初にレナード・コーエンに触れてみるにはバランスのとれたよい作品だと思う。もちろんコーエンにひたすら弾き語り的なものを求めるのでなければ、単独の作品としてもよくできているお勧め作と言える。[収録曲]1. The Future2. Waiting for the Miracle3. Be for Real4. Closing Time5. Anthem6. Democracy7. Light as the Breeze8. Always9. Tacoma Trailer1992年リリース。 Leonard Cohen レナードコーエン / Death Of A Ladies' Man / Recentsongs / The Future 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012.07.16
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愛しの名曲たち(5) カーペンターズ(Carpenters)のヴォーカルを務めたカレン・カーペンターは、歌がうまい。つまりは、広い音域の見事な歌唱力があるというのは確かなのだけれど、もう一つヴォーカリストとしての大きな特徴を持っていたように思う。その特徴とは、発音が実に明瞭で美しいことである。言い換えると、きれいな英語を通して曲のメッセージが真っ直ぐに伝わってくる。非英語圏に住む私たちにとってみれば、何とも有り難い話でもある。“洋楽で英語を学ぼう!”みたいな企画があるとするなら、間違いなくカレンの出番となるだろう。そして、そんな場合に、真っ先に取り上げられるべき曲と筆者が思うのは、この「シング」である。 1973年に発表され米チャートでは3位にランクインしたシングルとなったが、上で触れた歌詞の内容は特に深いものではなく、至ってシンプルなもの。でも、それには理由がある。元々、この曲は子供向けテレビ番組『セサミ・ストリート』の挿入歌だった。そして、この曲を取り上げたきっかけというのも、カレンがTVに出演した際、子どもたちがこの曲を歌っているのを見て自分も取り上げてみようと思ったからだった。そこで、レコーディングにはバッキングコーラスとして子どもたち(ジミー・ジョイス少年少女合唱団)が呼ばれた。ライヴでもしばしばこうした児童合唱団と共演でこの曲を演じた。 ちなみに、この曲には“日本語ヴァージョン”が存在する。日本のアーティストによるカヴァーという意味ではなく、カーペンターズとしての日本語版「シング(歌おう)」である(アルバム『ライヴ・イン・ジャパン』に収録)。洋楽を聴く人は英語での歌を求めていることが多いため、海外で活躍している世界的な外国人シンガーが日本向けに日本語で歌うというのは、案外例が少ない。このカレンのヴァージョンはそうした少ない例のひとつ。さらには、スペイン語圏向けにレコーディングしたスペイン語ヴァージョン(アルバム『フロム・ザ・トップ』に収録)も存在する。 今回の動画、まずはこちら。↓レトロスペクティヴな映像とともに、オリジナルのヴァージョンを堪能あれ。↓ 続いては日本語ヴァージョン。↓1974年、大阪でのコンサート(上記ライヴ盤)より、合唱は地元の子どもたちということで、京都少年少女合唱団。↓ ↓最後はスペイン語ヴァージョン。発音明瞭で歌はうまいのですが、いかんせんスペイン語訳詞の“字余り”具合がちょっといまいちかも…。↓ [収録アルバム]Carpenters / Now And Then (1973年)その他、Carpenters / Yesterday Once More (ベスト盤、1984年)など各種ベスト盤類に収録。1973年シングルリリース。[関連過去記事] カーペンターズ~愛しの名曲たち(1):「涙の乗車券」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(2):「遥かなる影」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(3):「雨の日と月曜日は」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(4):「スーパースター」 【送料無料】ナウ・アンド・ゼン/カーペンターズ[SHM-CD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 カーペンターズ/イエスタデイ・ワンス・モア/カーペンターズ・ゼア・グレイテスト・ヒッツ 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012.07.14
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ビーチ・ボーイズの奇才、80年代の本格復帰作 ~後編~ 前回(前編)に続き、今回は収録曲を順に見ていきたい。1.「ラヴ・アンド・マーシー」はブライアン・ウィルソンの真骨頂とも言える優しさと美しさに溢れたメロディが象徴的な曲で、本盤の聴きどころのひとつ。2.「ウォーキン・ザ・ライン」はコーラスワークが在りし日のビーチ・ボーイズを彷彿とさせる。3.「メルト・アウェイ」も何とも美しい旋律の曲だが、内向的な雰囲気を同時に持ち合わせているところが、ブライアンの本領でもあるというのを再認識させられる。4.は多彩な曲作りとアレンジの一端をあらためて垣間見ることができる1曲。時に『ペット・サウンズ』は難解と言われることもあるが、案外聴きやすい(つまりは難しい音楽をやっているのではなく、これはポップスですよ~的な雰囲気)部分もある。この曲もそれと同様な部分があり、精緻で難解なことを織り込んでいても、それをさらりとポップな曲として聴かせようといううまさがある。 2分足らずの短編曲5.「リトル・チルドレン」は、ビーチ・ボーイズ的というか、いかにも60年代ポップス的な明るい曲に仕上がっている。6.「ワン・フォー・ザ・ボーイズ」もやはり2分に満たない短い曲だが、アカペラのハーモニーだけという風変わりな曲。この曲は、独立した曲というよりはアルバム内のインタールード、あるいは次の曲のイントロとしてきれいに決まっているとの印象を受ける。実際、通して聴いていると、このアカペラ曲から次の7.への流れが何とも美しい。その後に続く7. 「ゼアズ・ソー・メニー」は、本盤の聴きどころのひとつとなる荘厳かつ美しい旋律で、ぜひ6.からの流れで聴きたい。8.「ナイト・タイム」はミディアム・テンポの、ブライアンの得意な感じの曲。こういうポップな部分がないと、アルバムとしては退屈するだろうという、効果的なタイミングで配置されている。 9.「レット・イット・シャイン」は、プロデューサーとしてジェフ・リンが参加した曲で、確かに、落ち着いて耳を傾ければ、いかにもE.L.O.的というか、ジェフ・リン的なポップ・センスに溢れている。案外、この曲あたりが本盤の新境地の一つであるようにも思われる。続く10.「夢で逢いましょう」は、あらためて本盤の聴きどころとなる、いかにもブライアン・ウィルソン風のポップ・センスが光るナンバー。そして、アルバムを締めくくる11.「リオ・グランデ」は、8分超の大作。演奏時間の長さにもかかわらず起伏に富んだ構成で、聴いている側としてはまったく退屈しない。さながらポップ・シンフォニー曲といった雄大な音の作りが印象的な曲である。 この作品で本格復帰した後のブライアンは数年おきに作品を発表し、90年代~21世紀へとその実績を積み重ねていくこととなる(最近も新作リリースがあった)。そうして復帰後のキャリアを積み重ねていく中、彼はやがて残っていた大仕事にも取り掛かることとなる。かつて未完に終わった『スマイル』の制作である。とはいえ、それが出来上がるには、本盤のリリース時から数えても、まださらに16年を要することになるであった(『スマイル』の発売は2004年)。こんな言い方をするのは縁起でもないとファンから怒られそうだが、復帰後の活躍が順調に進んだからこそ、このアルバムが“単なる1枚のアルバム”にすら見えてしまうのであって、もし仮にブライアンの活動が再び暗礁にでも乗り上げていようものなら、このセルフ・タイトル作だけでも十分な名作と呼ばれたに違いない。そのくらい、本復帰作は、ブライアンらしさがよく表現された、彼独自のトーンに彩られた見事な仕上がりのアルバムだと思う。[収録曲]1. Love And Mercy2. Walkin' The Line3. Melt Away4. Baby Let Your Hair Grow Long5. Little Children6. One For The Boys7. There's So Many8. Night Time9. Let It Shine10. Meet Me In My Dreams Tonight11. Rio Grande1988年リリース。[関連過去記事]Brian Wilson / Brian Wilson(前編)The Beach Boys / Pet Sounds Brian Wilson ブライアンウィルソン (ビーチボーイズ) / Brian Wilson 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2012.07.13
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ビーチ・ボーイズの奇才、80年代の本格復帰作 ~前編~ 1961年、ザ・ビーチ・ボーイズの中心メンバーとして音楽シーンに登場したブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)。最近も新作を出すなど第一線で活躍中だが、今回はこの人の苦悩と、そこからの復帰を振り返ってみたい。 ブライアン・ウィルソンは、ビーチ・ボーイズというグループの中で突出した才能と芸術性を発揮し、ビートルズの刺激を受けながら1966年には名作『ペット・サウンズ』を世に送り出す。けれども、同作は、時代の先を行き過ぎていたのか、その当時のシーンでは十分に受け入れられなかった。ブライアンは、続く大作『スマイル』の制作にも取り掛かるが、結局、暗礁に乗り上げてしまう。 行き詰った理由は、ブライアンが一人で抱え込んでしまったからであった。要するに、ビーチ・ボーイズ全体がそういう進歩的な方向を向いてはおらず、その志向性がグループのものでなくて彼個人のものだったということになるだろうか。わかりよい比較で言うならば、ビートルズが4人の知恵と才能、中心メンバーとしてのジョンとポールのせめぎ合い(コラボや共作、対立や対抗心などプラスマイナスどちらの要素も含め)に依拠して音楽的な深みを獲得していったのと違い、ビーチ・ボーイズではその重荷をブライアンがすべて抱え込んでしまったという図式だったと言える。 そもそも、『ペット・サウンズ』や『スマイル』の制作と並行する1964年以降、ブライアンは通常のバンド活動からは離れており、やがてLSDやドラッグの依存が進む。結局、ブライアンは精神に異常をきたし、20年近くの長い低迷期を過ごすことになる。スタジオに放火したり、レコード会社の重役夫人に暴言を吐いたり、ポール・マッカートニーが彼の自宅を訪れた時にはロッカーに隠れていたりと奇行譚は枚挙にいとまがない。 けれども、周囲の人たちの努力もあったのだろう。70年代には単発的にステージに上がることがあったものの、ようやく80年代後半以降、本格的に復帰を果たすことになる。その第1弾のフル・アルバム(ブライアン個人名義としては初めてのアルバムとなる作品)がセルフ・タイトルの本作『ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)』であった。決して大きくヒットしたアルバムというわけではなかったが、シーンでは好意的に受け入れられた。それは、長らくの引き篭もった状態からの復帰というだけでなく、何よりもこの『ブライアン・ウィルソン』が、名盤『ペット・サウンズ』、あるいは未完に終わっていた『スマイル』の作者としてのアーティスティックな側面のちゃんと反映された出来のいいアルバムだったからだと思う。 収録曲は全曲ブライアンのオリジナル曲(複数の共作を含む)で、プロデュースは彼自身のほか、ラス・タイトルマン(6曲参加、S・ウィンウッドの「ハイヤー・ラヴ」やE・クラプトンの複数アルバムなどのプロデュースで知られる)やジェフ・リン(1曲参加、ELOの中心メンバーで当時はトラベリング・ウィルベリーズで活躍)らも参加している。全体として統一感があり、何よりもブライアン得意の美しい旋律と精緻な作りが全編にわたって続く。一言でまとめると、60年代の全盛期当時の続きが、20年数年分のポップ音楽の進化も加味されているといったところ。(後編へ続く)1998年リリース(収録曲一覧は後編に掲載) Brian Wilson ブライアンウィルソン (ビーチボーイズ) / Brian Wilson 輸入盤 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.07.11
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ここのところ、仕事が立て込んでいて、コンスタントに更新できない状態が続いています。申し訳ありません。 2週間ほどINDEXを更新していなかったので、とりあえずはINDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → 分量が増えてきたので、2つに分けました。つづき(M-Z)はこちらです。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2012.07.05
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愛しの名曲たち(4) カレン・カーペンターが歌うカーペンターズ(Carpenters)の曲の中で“憂い”の感覚は結構大事だったように感じる。この点で最高の曲はといえば、筆者の中では3曲がその有力候補である。「雨の日と月曜日は(Rainy Days and Mondays)」、「マスカレ-ド」、そしてこの「スーパースター」。最初の曲は前回取り上げたが、迷った挙句、今回は「スーパースター」を取り上げることにしたい。 この曲の作詞作曲はレオン・ラッセルとボニー・ブラムレットのコンビ。レオン・ラッセルは、スワンプ・ロックで名が知られ、名曲「ア・ソング・フォーユー」(これもカーペンターズがカヴァーしている)で有名なシンガーソングライター。一方のボニー・ブラムレットは、デラニー&ボニーという夫婦デュオのボニーで、エリック・クラプトンへの影響などブルース・ロック~スワンプ・ロック系のミュージシャンである。 原曲はデラニー&ボニーのシングルB面曲として1969年に発表された。その時のタイトルは「グルーピー(スーパースター)」(つまり「スーパースター」は副題)というもので、ソウルフルでブルージーな感覚を持った演奏だった。これが、カレンの名歌唱によるしっとりして憂いをたたえたヴォーカル曲「スーパースター」に化けるには、次のような経緯があったと言う。 リチャード・カーペンターによると、彼はテレビの音楽番組を見ている時、この曲を耳にした。その時、歌っていたのは、オリジナルのボニーではなく、ベット・ミドラーだったという。当時のベット・ミドラーはブロードウェイで活躍しながら、シンガーへのキャリアも開始させていた頃である(ファースト作は1972年なので、この時点ではシンガーとしてはデビュー前)。リチャードは妹カレンにぴったりの曲だと考え、歌詞の一部を変えて仮レコーディング。この時点でカレンの歌が完璧だったため、仮歌のヴァージョンがそのまま正式リリースのヴァージョンになったという。このリチャードの証言を信じるならば、自分たち兄妹にあう曲を探し出すリチャードのアンテナの広さというか直観力に改めて感心する。 出来上がりは見事なヴォーカル曲で、カレンの歌唱が抜群によい。セールス面でも全米2位となり、日本でもオリコン7位に入った。また、2007年には映画『ゴーストライダー』のサントラにも使用されている。カレンは、しっとりとした歌い口で、表現力豊かに歌い上げている。繰り返しになるが、その表現力という点で、“憂い”をたたえた感覚が特にこの曲のカギになっているように思う。 今回は、オリジナル録音ではなく、リリース当時のBBCライブ映像をどうぞ。↓ 聴き比べということで、元のデラニー&ボニーのヴァージョンです。↓ さらにもう1つ。カレンが歌うきっかけになったというベット・ミドラーによる「スーパースター」。カーペンターズがヒットさせた後、自身のデビュー・アルバムに収録し、その後もレパートリーとしているようです。↓ [収録アルバム]Carpenters / Carpenters(The Tan Album)(邦題:『ふたりの誓い』、後に『スーパースター』、現在は『カーペンターズ』) (1971年)。その他、Carpenters / Yesterday Once More (ベスト盤、1984年)などベスト盤類に収録。1971年、シングル・リリース。[関連過去記事] カーペンターズ~愛しの名曲たち(1):「涙の乗車券」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(2):「遥かなる影」 カーペンターズ~愛しの名曲たち(3):「雨の日と月曜日は」 【送料無料】【輸入盤CD3枚でポイント5倍対象商品】【輸入盤】 CARPENTERS / CARPENTERS 【中古】洋楽CD カーペンターズ / イエスタデイ・ワンス・モア【after0608】【画】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2012.07.04
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