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パティ独特の世界に引き込まれた12の有名曲 パンクのゴッドマザーと呼ばれたパティ・スミス(Patti Smith)。1970年代半ばにバンド(当初はパティ・スミスそのものがバンド名、後にパティ・スミス・グループ)として音楽シーンに登場し、結婚・出産で休業した時期もあったが、現在もコンスタントに活動を続け、今年(2012年)にも新作『バンガ』を発表している(現時点では筆者は未聴)。 パティは2007年3月にロックの殿堂入りを果たした。これとほぼ同じタイミングで、同年4月にリリースされたのが本作『トゥエルヴ(Twelve)』である。ふつうこの手のタイトルを見ると通算12作目か?と思うかもしれないが、本盤はパティのオリジナル作としてはバンド時代を含めて10作目。ベスト盤(2002年の『ランド』)を入れても11作目である。ではなぜ「12」なのか。それは、12のカバー曲から成る、彼女にとって初のカバー・アルバムということのようだ。 選ばれた12曲は、1960年代後半から1980年代半ばのものが中心。古いものから挙げていくと、ジミ・ヘンドリクスの1.、ビートルズの5.、ジェファーソン・エアプレーンの6.、ドアーズの9.がいずれも1967年のもの。加えてローリング・ストーンズの4.(1969年)、ニール・ヤング(CSNY)の3.(1970年)という有名曲もカバーしている。オールマン・ブラザーズの11.(1970年)、スティーヴィー・ワンダーの12.(1976年)、ボブ・ディランの7.(1978年)までが70年代の曲。80年代のナンバーとしては、ティアーズ・フォー・フィアーズの2.(1985年)、ポール・サイモンの8.(1986年)が収められている。残る1曲はニルヴァーナの10.(1991年)で、この1曲だけは90年代のもの。演奏メンバーは、デビュー時から一緒に演奏してきたレニー・ケイ(ギター)とジェイ・ディー・ドーティ(ドラム)に加え、90年代からパティのもとで演奏しているトニー・シャナハン(ベース、キーボード)である。 当初、筆者の第一印象は“有名曲のカバーをやるとはパティ・スミスも丸くなったのかな~”というものだった。そう思い込んでも仕方ないほど有名曲(コマーシャルな意味も含めて)が並んでいる。しかし、実際にアルバムをちゃんと聴いてみると、そんな印象は様変わりした。いくつかの曲はけっこう忠実なカバーで、また、いくつかの曲では原曲とは雰囲気が大きく異なるアレンジになっている。けれども、すべてに共通しているのは、パティの世界にどっぷりつかってしまっているのだ。適切な表現かどうかわからないけれど、どれも重くて陰があり、これまでのパティが作ってきた音楽世界との間に違和感がない。 想像するに、パティはそれぞれの原曲をいったん極限まで切り詰め、あとは自作の曲をアレンジする時と同じように再構築していったんじゃないだろうか。その結果、ドアーズの「ソウル・キッチン」みたいに元のアーティストの曲に比較的近づいていった場合もあれば、1.「アー・ユー・エクスペリエンスト?」や12.「楽園の彼方へ」みたいに、もとのジミ・ヘンドリクスやスティーヴィー・ワンダーのイメージから離れていって、パティ・スミスらしい世界へ辿り着くということも起こる。 結果として、アルバム全体を聴いて思うのは、とても21世紀のアルバムとういう感じがしないということ。いい意味で60年代からの続き(あるいはそこへタイムスリップし手続きを聴いているかのような感覚)が、何の違和感もなく表現されている。過去数十年のロックの歴史を振り返るかのような曲が並んでいながら、まったく懐古主義に陥っていない。しかもカバー作を聴いた時にありがちな“原曲の方がやっぱいいじゃん”とか“やっぱり原曲のイメージが頭から離れなくて違和感が残るね”みたいな感想がまったく浮かんでこない。言い換えると、いずれの曲もすっかりパティ・スミスのものと化してしまっている。パティを初めて体験するには好適かどうかわからないが、2000年代に入ってからの古典的ロックの名盤として聴き継がれてしかるべき一枚だと思う。[収録曲]1. Are You Experienced?2. Everybody Wants to Rule the World3. Helpless4. Gimme Shelter5. Within You Without You6. White Rabbit7. Changing of the Guards8. The Boy in the Bubble9. Soul Kitchen10. Smells Like Teen Spirit11. Midnight Rider12. Pastime Paradise2007年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】パティ・スミス Patti Smith / Twelve (輸入盤CD)【YDKG-u】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.29
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2012.09.26
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ソロ・アーティストとしてのジョン・メイオールの実力 ジョン・メイオール(John Mayall)は1933年イギリス出身のミュージシャン。1956年から78歳になった現在まで半世紀以上にわたって現役を続けているブルース・ロックのゴッドファーザーである。巷では、ジョン・メイオールと言えばブルース・ブレイカーズ、ブルース・ブレイカーズと言えば優れたプレイヤーの養成学校と言ったイメージが強い。例えば、若き日のE・クラプトンが在籍した時のこちらのアルバム何かが代表例である。この手の評判は、下手をすると、ジョン・メイオールが素晴らしいのではなくて、彼のバンドから輩出されたミュージシャンばかりが優れているかのような印象を与えてしまう。 そのようなイメージに反し、1967年の本盤『ブルース・アローン(The Blues Alone)』は、その当時のジョン・メイオールの実力がそのままに反映された1枚である。言い換えれば、決して彼がバンド・リーダーとしての才覚だけに長けていたのではなく、演奏者としても時代をリードできる人だったということがわかる作品というわけである。 本盤におけるメイオール以外の参加ミュージシャンは、実はただ一人。なんとドラムのキーフ・ハートレー(この人は本作の数ヵ月後にレコーディングされたブルースブレイカーのアルバム『クルセード』にも参加している)だけである。残る楽器パートと歌はすべてメイオール自身が担当し、作曲も全曲メイオールの筆による。ヴォーカルはもちろんのこと、ギターにピアノ、オルガンにハーモニカ、さらには2曲(1.と5.)ではドラムも叩くという風に、メイオールがすべて演奏していて“ほぼワンマン録音”。 ブルースブレイカーズを率いたメイオールの演奏にふだん馴染んでいるならば、バンドとしてのノリや一体感に欠けるというマイナス印象もあるかもしれない。けれども、その分、いつもの演奏にはない穏やかな部分や、メイオールの演奏(特にハーモニカ)の細かな部分が全体の音に埋もれることなく真っ直ぐに聞こえてくるというプラス部分がある。個人的に気に入っている曲をいくつか挙げるならば、4.「ソニー・ボーイ・ブロウ」は、明らかにサニー・ボーイ風を意図してそうなアップテンポのナンバーでハーモニカが効果的。逆にまったりした穏やかな部分をよく表しているピアノ中心のインスト曲5.「マーシャズ・ムード」。さらに、雰囲気として後者の延長線上にあって、本盤で抜きんでてよくできていると思うのは、8.「キャンセリング・アウト」。ヴォーカルがもう少し強ければ言うことなしなのだけれど、曲も素晴らしければ各楽器の演奏も見事に曲調に溶け合っている(ちなみにこの曲にハーモニカはなし)。こうやって気に入った曲をいくつか並べてみるだけで、楽器(上述のようにほとんどの楽器を一人で演奏している)のばらつきがあることに気付く。ギターが強い、ハーモニカが特異、オルガンがいい、など楽器の好き嫌いの次元を越えて、いい曲ができ上がっているというのは、やはりメイオールの才能であるということになるのだろう。[収録曲]1. Brand New Start2. Please Don't Tell3. Down the Line4. Sonny Boy Blow5. Marsha's Mood6. No More Tears7. Catch That Train8. Cancelling Out9. Harp Man10. Brown Sugar11. Broken Wings12. Don't Kick Me1967年リリース。 John Mayall ジョンメイオール / Blues Alone 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2012.09.24
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“名盤とされるから聴いて見る”タイプの盤ではないけれど…マルチな音楽性の好盤 アル・クーパー(Al Kooper)は1944年ニューヨーク出身のミュージシャン。60年代に入った頃からセッション・ミュージシャンとして頭角を現わし、1965年にはボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」にもオルガンで参加している。1968年にはプロジェクトを立ち上げ、ブラッド・スウェット&ティアーズ(BS&T)を結成してその初作『子供は人類の父である』を発表する。また、同年には、マイク・ブルームフィールドと組んだ『スーパー・セッション』も企画し、アルバムをリリースしている。アルはこの直後からソロ活動を開始し、1969年に出た記念すべきソロ第1作目がこの『アイ・スタンド・アローン(I Stand Alone)』というアルバムだった。 このアル・クーパーという人は、よく言えば“マルチな才能”の人、悪く言えば“これといった分かりやすい売りがない”人である。セッション・ミュージシャンとして参加した上述のボブ・ディランの名曲のレコーディングにおいても、天才M・ブルームフィールドのギターを耳にしてこりゃだめだとギター演奏を断念し(おかげで急に入ったオルガンで名演奏を残したけれど)、気合の入ったプロジェクトであったBS&Tも、おそらくは彼のヴォーカルの弱さが原因で1作だけで脱退する羽目になってしまう。本作の『アイ・スタンド・アローン』という表題は、こうしたBS&T脱退の経緯を踏まえてのソロ宣言とも言うべきものであった。ジャケット写真では自由の女神に扮し、ジャケット裏のイラストではその女神像を頬張るという挑戦的なデザインがなされている。 上で述べたいい点と悪い点はそのまま本盤の特徴にもなっている。ブルース、ポップ、R&B、ジャズ、フォークといった多彩なジャンルの間をアルは行き来する。この点こそ本盤の名盤たる所以ではあるのだけれど、逆にその“どっちつかず具合”に聴き手は困惑するかもしれない。つまり、“名作と言われるから聴いて見よっ”てなノリで手を出すとこの点にまずは戸惑う可能性が高い。しかも、上述のように、決してヴォーカルには強くないので、歌もの的インパクトには欠ける(とは言っても、2.「アイ・スタンド・アローン」や7.「アイ・キャン・ラヴ・ア・ウーマン」なんかはかなりの名曲だと思うけれど)。 では、いったいどこが優れた盤なのか。時代背景も少し踏まえてみると明確になってくるように思う。60年代末、音楽シーンは大きな変化のうねりの真っただ中にあった。ブルースロックの台頭、西海岸サウンドの芽生えはその当時にしてみれば現在進行形の出来事。70年代以降にメインストリームとして定着する“ロック”はまだ確立されていく過程にあった(60年代後半のビートルズは、その過程の重要な体現者に他ならない)。ミュージシャンたちは、何が可能なのかを求め、形式に捉われない創造性を自在に発揮していた。この文脈を考慮すれば、アルの“どっちつかず”加減は、実のところ、その才能の発揮そのものでもあるということに気がつく。そう、この音楽は実は“どっちつかず”ではなく、これだけの融合をできていることが素晴らしいという種のものなのだ。聴くたびに新たな発見のできる、ある意味で複雑な盤。本作が名盤と呼ばれているのは、某かの音楽スタイルを確立したからではなく、過程の真っただ中にあってこの複雑な融合加減を提示できたという点にあるように思う。[収録曲]1. Overture2. I Stand Alone3. Camille4. One5. Coloured Rain6. Soft Landing on the Moon7. I Can Love a Woman8. Blue Moon of Kentucky9. Toe Hold10. Right Now For You11. Hey, Western Union Man12. Song and Dance for the Unborn, Frightened Child1968年リリース。 【Joshin webはネット通販1位(アフターサービスランキング)/日経ビジネス誌2012】【マラソンsep12_大阪府】【RCP1209mara】アイ・スタンド・アローン/アル・クーパー[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.20
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70年代からのソロ路線が好きな人にはお勧めの1枚 1980年、エリック・クラプトン(Eric Clapton)は2枚組ライブ盤『ジャスト・ワン・ナイト』を発表した。前年に始まったヨーロッパ・ツアーからバンドメンバーを全員イギリス人で一新し、同年の日本公演もそのメンバーで来日。その際の武道館での演奏が同盤には収められた。つまりは、その時点までの活動の集大成的なライブ盤とも言える内容だった。そして翌1981年には、バハマ録音の次のスタジオ作リリースが発表される。ファンには新境地や活動の次のステップといった風な新作を期待する向きもあったが、実際に発表された本作『アナザー・チケット』は、ライブの前作とほぼ同じメンバーで、しかも70年代からの作風を踏襲したものだった。 プロデューサーは、それまでにもクラプトンの作品(『安息の地を求めて(There's One in Every Crowd)』や『エリック・クラプトン・ライヴ(E.C. Was Here)』)をプロデュースした経験のあるトム・ダウド。参加メンバーで注目したいのは、アルバート・リー(Albert Lee)。“ギタリストのギタリスト”とも言われる、玄人受けのギタリストである。前作のライブ盤でも彼のソロ曲が取り上げるなどこのメンバーの中では中心的な人物で、次作(『マネー・アンド・シガレッツ』)でもメンバーが総入れ替えされる中で彼だけはそのまま残っている。 このアルバムは、70年代の作品をリリースしてきたポリドールからのスタジオ作としては最後の作品となった。アルコール中毒症からの復帰後、『マネー・アンド・シガレッツ』以降はワーナーに移籍し、作品の内容も80年代的なポップさを増していくことになった。つまり、本盤『アナザー・チケット』は、リリースは81年だが、クラプトンのキャリア的には70年代のものという感覚に近く、実際、『461オーシャン・ブールヴァード』、『安息の地を求めて』から続く、レイド・バックしつつもブルース系への愛着を示す盤としての路線上にある。70年代のクラプトンのソロ作と言えば、上記をはじめとする70年代半ばの作品が注目されやすいけれど、80年代初頭の本盤も負けじと劣らぬ好盤だと思う。 個人的な好みでお勧め曲をいくつか挙げておきたい。1.「サムシング・スペシャル」は、いわゆるレイド・バックしたクラプトンらしさがよく出た好ナンバー。3.「ブロウ・ウィンド・ブロウ」はノリのいいブルース・ナンバーで、元はシカゴ・ブルースの巨匠、マディ・ウォーターズの曲。6.「ホールド・ミー・ロード」のようなロック調ナンバーは好みが分かれそうだが、個人的にはブルース的なギター・プレイを織り交ぜたロック・ナンバーは、クラプトンらしいという印象がある。全9曲にあまり統一性はないが、少しずつ趣向の異なる曲がバランスよく収められていて、好ナンバー、好演奏の並んだなかなか捨てがたいクラプトン盤だと思う。[収録曲]1. Something Special2. Black Rose3. Blow Wind Blow4. Another Ticket5. I Can't Stand It6. Hold Me Lord7. Floating Bridge8. Catch Me If You Can9. Rita Mae1981年リリース。 【Joshin webはネット通販1位(アフターサービスランキング)/日経ビジネス誌2012】【マラソンsep12_大阪府】【RCP1209mara】アナザー・チケット/エリック・クラプトン[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.17
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復活ヒット作の真価とは ビートルズのメンバーとして活躍し、解散後も2001年に58歳で亡くなるまでソロとしての名声を博したジョージ・ハリスン(George Harrison)。ソロ活動開始後の金字塔と言えば、多くの人が『オール・シングス・マスト・パス』(1970年)を思い浮かべることだろう。その後も好作を作り続けるが、一時は音楽業界と距離を置くようになっていく。そんな中、1980年代後半になってジェフ・リン(E.L.O.)の協力の下で制作され、大ヒットを記録したのが、この『クラウド・ナイン(Cloud Nine)』であった。 その当時は“久々のヒット作”的な聴き方しかできていなかったように自分では思う。これをお読みの方の中にも“ああ、あの「セット・オン・ユー」の頃だね”というイメージを持つ向きもあるんじゃないだろうか。けれども、筆者自身の体験としては、年月が経つにつれてアルバム作品として聴けるようになったという、ちょっと変わった体験の盤である。そして、結論から言うと、“過去と現在”が交錯し見事に融合した快作だったと今では思っている。 70年代にソロ活動を始めてからのジョージ・ハリスンの特徴は、ビートルズ時代からのインド楽器の使用などといった要素と同時に、“曲の情緒”というのが大きな役割を占めていた。「マイ・スウィート・ロード」や「美しき人生(ホワット・イズ・ライフ)」といった有名曲に代表される、どこか慈悲を感じさせるあの曲調である。ソロ活動を続けたジョージは、やがて80年代の曲がり角に来るころには、発表しようとしたアルバム(『想いは果てなく〜母なるイングランド』)が“暗過ぎてキャッチーでない”という理由から曲の差し替えまで要求されるはめに陥る。けれども、その“暗さ”(そしてその暗さの中にはしばしば“優しさ”や“慈悲”がある)は、実は70年代を通してジョージの最もいいところだったんではないだろうか。 さて、本盤ではその情緒を捨て去ったのかと言えば、決してそうではなかったと筆者は感じている。一見、ポップでキャッチーな曲が多い。ヒット曲の11.「セット・オン・ユー」や7.「デヴィルズ・レイディオ」の印象は確かにそうかもしれない。キャッチーさという部分での成功は、E.L.O.のジェフ・リンの参加が大きかった。でも、上で述べたように聴き方の変化があってから個人的に注目しているのは、80年代的現代性とジョージの過去の作品で見られたよさとが見事に結合している部分にある。2.「ザッツ・ホワット・イット・テイクス」なんかは、イントロやコーラスがいかにもE.L.O.的なのに、曲そのものの情緒感覚は70年代のジョージのそれという不思議な仕上がりである。実際、ジェフ・リンはこの曲をはじめ3曲で共作しており、共作曲の5.「ディス・イズ・ラヴ」にも同じようなことが言えるように思う。ともかく、このように感じ始めてから、いかにもアップ・テンポのナンバー以外の曲(とくに6.「FAB(ホエン・ウィー・ワズ・ファブ)」や8.「サムプレイス・エルス」)のよさを再認識した。 ちなみに参加メンバーも豪華で、その中にはビートルズの同僚リンゴ・スターがドラムス、エリック・クラプトンのギター参加、エルトン・ジョンもピアノで参加している。また、上記5.「ディス・イズ・ラヴ」のシングル・カットに際しては、B面曲録音のために有名ミュージシャンが集い、このレコーディングから新たなプロジェクトとしてのトラヴェリング・ウィルベリーズが誕生するという、大きすぎるおまけまでついた。[収録曲]1. Cloud 92. That's What It Takes3. Fish On The Sand4. Just for Today5. This is Love6. When We Was Fab7. Devil's Radio8. Someplace Else9. Wreck of the Hesperus10. Breath Away from Heaven11. Got My Mind Set on You1987年リリース。 【Joshin webはネット通販1位(アフターサービスランキング)/日経ビジネス誌2012】【マラソンsep12_大阪府】【RCP1209mara】【送料無料】クラウド・ナイン/ジョージ・ハリスン[CD]【返品種別A】 クラウド・ナイン [ ジョージ・ハリスン ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.16
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溢れる創作意欲、爽快な新世紀の夜明け ライアン・アダムス(Ryan Adams)は、1974年アメリカ合衆国(ノースカロライナ州)出身のシンガー・ソングライター。このブログに何度か登場しているブライアン・アダムス(Bryan Adams,参考記事(1) ・(2) ・(3) )とは、カタカナでも原語でも“1字違いで大違い”の、全く別人なのでご注意を(笑)。 さて、このライアン・アダムスという人は、当初ウィスキータウン(Whiskeytown)というバンドに在籍していたが、2000年にこのバンドを解散し、ソロ・キャリアの道を歩み始めた。第一作の『ハートブレーカー』(2000年)は、評価こそ高かったものの、急激なセールスを記録するには至らなかった。けれども、続く第二作となった本盤『ゴールド(Gold)』は、世界で80万枚以上を売り上げることとなった(筆者もライアンを最初に知ったのはこのアルバムだった)。結果的に、現在のところ、これまでのライアンのキャリアの中で最も売れたアルバムとなっている。 全体として曲調とヴォーカルの爽やかさとメロディ・メイカーとしての腕が光る。ポップにしては甘すぎず、ロックにしては重過ぎない。けれども、キャッチーなメロディの心地よさと、ロック的な要素がうまくミックスされている。個人的に好みなのは、2.「ファイアークラッカー」、11.「ゴナ・メイク・ユー・ラヴ・ミー」、15.「ティナ・トレドズ・ストリート・ウォーキング・ブルース」。これらの曲はいずれも、80年代~90年代にかけての大衆的ロックのアレンジでよく用いられた要素が巧妙に組み合わされている。1990年代から世紀の変わり目にかけて“ロックの凋落”といってよい現象があったけれども、ライアン・アダムスなんかを聴くと実は“断絶”じゃなかったんだという気がしてくる。他方、シンガー・ソングライターとしての語りかけるような歌は彼の重要な魅力。佳曲が多いが、本盤でのナンバー1は何と言っても16.「グッドナイト・ハリウッド・ブールヴァード」。 ちなみに、ライアンは8歳にしてショート・ストーリーの創作を始め、14歳でギターを手にし始めたとのこと。どんな家庭環境で育ったのか知らないが、いいタイミングでいい環境に置かれたのだろうと想像する。ミュージシャンの紹介によくあるのは“4歳でピアノを始め…”みたいなやつだが、この人の場合は、少し違ったようだ。上の経緯からして、“創作”先にありきだったのだろう。作ったのものを表現する技法の手助けである楽器を後から手にしたからこそ、“超多作”と言われるほどの創作活動ぶりが後々開花していったのかな、と思ったりする。[収録曲]1. New York, New York2. Firecracker3. Answering Bell4. La Cienega Just Smiled5. The Rescue Blues6. Somehow, Someday7. When the Stars Go Blue8. Nobody Girl9. Sylvia Plath10. Enemy Fire11. Gonna Make You Love Me12. Wild Flowers13. Harder Now That It's Over14. Touch, Feel and Lose15. Tina Toledo's Street Walkin' Blues16. Goodnight, Hollywood Blvd.2001年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】ライアン・アダムス Ryan Adams / Gold (輸入盤CD)【YDKG-u】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.14
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2012.09.13
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時代の狭間に消えたマイナー・バンドのデビュー作 グリン(Grin, 英語でもともとは「にやりと笑う」の意味)は、1971年から74年まで活動した3人組の米国のロック・バンド。ハードな部分を含みつつもキャッチーなロックを軸にやっていたが、数年間、数枚のアルバムだけで消え去ってしまった。そのリーダーは、後にソロ活動やブルース・スプリングスティーンのバック(E・ストリート・バンド)で活躍したニルス・ロフグレン(ギター、ヴォーカル、キーボード)である。残る二人はボブ・バーバリッチ(ドラムス、ヴォーカル)、ボブ・ゴードン(ベース、ヴォーカル)。このバンドの活動のデビューは、ニルス・ロフグレンの名が知られるようになったところからだった。 1970年、弱冠17歳のニルスは、ニール・ヤングのアルバム『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』に参加し、ピアノを担当。これがきっかけになって自身のバンドとなるグリンが翌1971年にデビューとなった。時系列的には発売順はこうなのだが、どうやら録音そのものは、本デビュー作『グリン』の方が先だったとのこと。ちなみに、ニルスは、後の1975年にもニール・ヤングの作品(『今宵その夜』)にも参加し、見事なギター・ソロを披露している。 さて、このバンドの作品としてどれがベストかと言われれば迷うところだが、まず今回はデビュー作を今回は取り上げることにした。本盤『グリン』は、荒削りな部分もありながら結構よくできていて、はまると病みつきになりやすいタイプの作品だと思う。それって、要は、言い換えると、万人受けしたり、全米的(あるいは世界的)ヒットにはいかにもならなさそうなアルバムとも言えるのだけれど…(苦笑)。いやはや、筆者はニルス・ロフグレンが大好きで、グリン時代の作品も含めて気に入っているので、お許しあれ。 独断と偏見で注目曲を挙げてみたい。何より本盤のベスト曲は1.「ライク・レイン」。グリンの短い活動期間全体の中でもベストと言ってよい名曲。次に気に入っているのは、さりげないラブソングの8.「テイク・ユー・トゥ・ザ・ムーヴィーズ・トゥナイト」、それから軽快な6.「ウィー・オール・サング・トゥゲザー」。これら3曲は、アルバム収録曲の中ではとりわけ軽め(あるいは甘め)の曲で、実はこれらの曲が生きているのは、もう少しハードなロック・ナンバーと併せてアルバムが作られているからだという風に感じる。そういう風に考えると、ハードめのヴォーカルと切れのあるギターが印象的な2.「シー・ホワット・ア・ラヴ・キャン・ドゥー」や12.「アイ・ハッド・トゥー・マッチ」なんかが実は重要と思えてくる。4.や11.も同じ流れの中にあるが、ギターとヴォーカルの総合的な出来では、ハードめのナンバーの9.「ディレクション」が一押しで、ギターのフレーズ(スライド・ギター含む)もなかなかカッコいい。ちなみに、10.「パイオニア・メアリー」では、ニール・ヤングがゲスト参加している。 まあ、決して当時のニルスのヴォーカルは上手とは言い難いし、一般受けするには洗練度が足りず、コアなファン向けには中途半端にキャッチーで、ヒットしなかったのは仕方なかったのかもしれない。時代そのものを考えてもロックが“産業化”する以前、そもそも大きなうねりあってようやくいくつかのロックの方向性が見えてきつつあった70年代初頭、いわばロックが変容しその道筋をつけていく時期の狭間にひっそりと咲いた一輪の花がグリンというバンドだったというのは言い過ぎだろうか。[収録曲]1. Like Rain2. See What a Love Can Do3. Everybody's Missin' The Sun4. 18 Faced Lover5. Outlaw6. We All Sung Together7. If I Were a Song8. Take You To The Movies Tonight9. Direction10. Pioneer Mary11. Open Wide12. I Had Too Much (Miss Dazi)1971年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】ニルス・ロフグレン NILS LOFGREN / GRIN / 1+1 / ALL OUT (REIS) (RMST) (輸入盤CD)【YDKG-u】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2012.09.12
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここしばらくジャズの記事が多かったので、主にジャズ編の更新です。お時間の許す方は、お気に入りのアーティストやアルバムを探しながら、ぜひ過去記事をブラウズしてみてください。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)から入ることができます。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → 分量が増えてきたので、2つに分けました。つづき(M-Z)はこちらです。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。各バナーからぜひ応援をお願いします!(1つでもありがたいですのでぜひ励ましのクリックをいただけると嬉しいです!) ↓ ↓
2012.09.09
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ジャケットもカッコいいモブレーの三管盤 以前にも述べたように(『ソウル・ステーション』)、ハンク・モブレー(ハンク・モブレイとも、Hank Mobley)というテナー奏者は“B級”とか“イモ・テナー”などと言われてなかなか相応の評価を受けないという不遇にある。その一つの理由は、特定時期に多くの作品を吹き込んでおり、代表作と呼ばれるものはいくつかあるにせよ、どれから聴いていいかわからないと同時に似通った演奏(実際によく聴けばそうとは限らないけれど)のものがたくさん並んでいるような印象を与えるという点があるのかもしれない。 かく言う筆者も特定の作品しか聴いておらず、網羅的に聴いているわけではない。徐々に買っては聴き進めようと思いつつ、ちょっとずつしか進んでいない感じなので、偉そうなことは言えない。けれども、ハンク・モブレーという人はハード・バップを見事に体現し、その時代の勢いと雰囲気を存分に伝えてくれるジャズ・ミュージシャンだと思う。マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンのような革新性や何か新たな展開みたいなものに期待するのではなくて、ハード・バップ全盛時代の音楽的フォームを前提として聴けば、こんなに多彩で素晴らしい演奏を繰り広げた奏者はそういないんじゃないだろうか。 本盤は、モブレーがもっとも精力的に活動していた1957年の録音。モブレイのテナーを含む3管編成で、ビル・ハードマンのトランペット、さらにはカーティス・ポーターのサックスが含まれている。ちなみに、カーティス・ポーターという人は、シャフィ・ハディの別名で知られるテナーおよびアルト・サックス奏者。本盤でもテナーとアルトの両方を演奏している。彼らの演奏を支えるのは、ソニー・クラーク(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)。このがっちりとしたリズム隊の安定感があって初めて、上記のハンク・モブレーらしさが発揮されるんだと感じる。 いかにもと言われるかもしれないが、筆者のお気に入りは、1.「マイティ・モー・アンド・ジョー」と3.「バグズ・グル―ヴ」。どちらもベタなハード・バップそのものの雰囲気がたまらなくいい。後半(LPのB面)の2曲は、最初の3曲よりもやや長尺(それぞれ8分強)で印象としてはインパクトに欠けるが、よく聴けば、ハンク・モブレーのプレイを堪能できるじゃないか、というのに最近気がついた。濃すぎて後半には疲れが出るから印象に残りづらかったのかもしれない(筆者は本盤はCDでしか聴いていない)。これからは“B面”単独でももっとしっかり聴くようにしようと思っている今日この頃といったところ。[収録曲]1. Mighty Moe and Joe2. Falling in Love with Love3. Bags' Groove4. Double Exposure5. News[パーソネル・録音]Hank Mobley (ts)Bill Hardman (tp)Curtis Porter (as, ts)Sonny Clark (p)Paul Chambers (b)Art Taylor (ds)1957年6月23日録音。Blue Note 1568 【Joshin webはネット通販1位(アフターサービスランキング)/日経ビジネス誌2012】【マラソンsep12_大阪府】【RCP1209mara】ハンク・モブレー/ハンク・モブレー[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.08
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甘いヴォーカル?いかにも西海岸?のその先 チェット・ベイカー(Chet Baker)の名を耳にして、一般に人がイメージする音楽と言えば、良くも悪くも“甘い方のチェット”ではないだろうか。優しい歌声と柔らかなトランペット…これも当然ながらチェット・ベイカーの魅力ではあるけれども、彼はれっきとしたジャズマンだった。ジェリー・マリガン、アート・ペッパーなどとともにいわゆるウェスト・コースト(西海岸)・ジャズの立役者でもある。 けれども、そんなチェットのイメージのさらに一歩先を行っている演奏もある。本盤『チェット・ベイカー&クルー(Chet Baker and Crew)』はその典型だろう。ヨーロッパ滞在から戻り、パシフィックでの第1弾作品。もちろん、歌ものはなし(実際には14.がヴォーカル曲だが、これはCD化の際の追加曲)。バックには東海岸っぽさ、ハード・バップ真っ向勝負の雰囲気を持ち込む若きボビー・ティモンズ(ピアノ)が参加していて、このピアノが全体の雰囲気をうまく作っている。 1.「トゥ・ミッキーズ・メモリー」は、始まった瞬間(というか要するにテーマ部分のアンサンブル)がいかにも“西海岸ジャズ”な展開を予想させる。ところが途中から何やら雰囲気が違うことに気がつく。曲の後半になってティンパニのソロが入る頃にはすっかりそんな単純な雰囲気ではなくなっていて、最後の大合奏のあたりには、もはや東海岸のハードバッパーの世界に足を踏み入れているように思える。ちなみに9.も同じ曲の別ヴァージョンだが、もしかするとこちらの方がパワフルでいいという人もいるかもしれない(たぶん音がいまいちなため、本来のアルバムのテイクにならなかったのだろう)。ハードバップ的という意味では、4.「リヴェレーション」が本盤の中では筆者のイチオシ曲である。 他方、3.「ハレマ」や7.「ウォリング・ザ・ライフ・アウト・オブ・ミー」のように、まさしく“歌もの”風なトランペットを披露するチェットの姿がある。要するに、歌ってもトランペットを吹いても、やっていることは同じなのかもしれない。けれども、3.に特徴的なように、ボビー・ティモンズのスイングぶりが全体に違った雰囲気を加えていて、この点が普通の“歌もの”と違っている。ともあれ、筆者はどちらかというとこっち系はあんまり得意じゃないけれど、他に面白いと思う曲を2つほど挙げておきたい。一つは、2.「スライトリー・アバヴ・モデラート」。氷でできた洞窟を抜け、その先を探検しているかのようなひんやりかつファンタジックな雰囲気が何とも気に入っている。もう一つは8.「ミディアム・ロック」。こちらもどこかファンタジックな世界なのだけれど、それぞれのソロがその中で際立った個性をだしていて面白い。 あと、CDでの追加曲はとりあえず詰め込んだ感もあるにはあるが、とにかく質が高い(ただし最後のヴォーカル曲14.はやっぱり不要)。本来の曲ではない追加曲の中では、上で述べた9.「トゥ・ミッキーズ・メモリー(別テイク)」のほか、10.「ジャンピン・オフ・ア・クレフ」と11.「チッピン」が抜群にいい。兎にも角にも、チェット・ベイカーが真剣になった時の実力の高さが存分に詰まった推奨盤。 最後になったが、船に乗りトランペットを颯爽と構えるチェットとメンバーたちのジャケット写真(下記商品リンク)も評判がよい。“西海岸から東海岸へ颯爽と船出”とか言う人もいるが、西海岸を出航しても、船(海路)では、地球の反対側かパナマ運河でも回らないと東海岸へ行けないのでご注意を(笑)。ともあれ、メンバーを“クルー(乗組員)”と呼んでこの表紙写真というのは、なかなか遊び心にも富んでいると思う。[収録曲]1. To Mickey's Memory2. Slightly Above Moderate3. Halema4. Revelation5. Something For Liza6. Lucius Lu7. Worrying The Life Out Of Me8. Medium Rock~以下、CDでの追加曲~9. To Mickey's Memory (alternate take)10. Jumpin' Off A Clef11. Chippyin'12. Pawnee Junction13. Music To Dance By14. Line For Lyons[パーソネル・録音]Chet Baker (tp)Phil Urso (ts)Bobby Timmons (p)Jimmy Bond (b)Peter Littman (ds)Bill Loughbrough (timp)1956年7月24日、25日、31日録音。 【中古】美品! チェット・ベイカー&クルー/チェット・ベイカーCDアルバム/ジャズ/フュージョン 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.06
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楽しく演奏することを見て聴く楽しさ ジャズ・ピアニストの大西順子はこのブログでも何度か取り上げてきたのだけれど、先ごろ彼女が引退を発表した。それから、筆者の頭の中を繰り返し駆け巡っていたのは、主にアルバム『Fragile(フラジャイル)』(1998年)の演奏だった。自由奔放とか、型にはまらない、好きなように、などという形容(もちろんすべていい意味であって、規範主義的な悪い意味ではない)が似合うと筆者が思っている演奏家の、ある意味では代表作と言えるアルバムだからだろう。念のために言っておくと、同アルバムの作風がこの人のキャリア全体の中で必ずしも代表的なわけではないけれど、ピアノに縛られずにキーボードも楽しげに操るこのアルバムでの姿は、筆者は大好きである。 とはいっても、上記アルバム『フラジャイル』は既に紹介してしまったし、集大成作の『バロック』はまだちゃんと聴きこめていないし…、でも何か記事にしたくなってユーチューブ動画を見ながら、やっぱり落ち着いたのが、上記『Fragile』にも収録された「ヘイ・ジョー(Hey Joe)」。1960年代半ばのアメリカのポピュラー曲で、1966年のジミヘン(ジミ・ヘンドリクス・エクスピリエンス)のデビュー曲として有名かつロック・スタンダードに定着した曲。内容は妻を撃った男(ジョー)がメキシコへ逃亡するストーリーらしい。動画は、京都は円山公園と思しき演奏の模様から。 大西順子自身の引退表明の文章によれば、自分のためにやってきた音楽を人に提示する(自分のエゴを生業にする)とういことに納得がいかずに引退を決意したようだ。その決定はファンや聴衆の側がどうこうという類のものではない。とはいえ、逆説的ながら、筆者にとって大西順子を聴く楽しみは、まさしくそこにあったように思う。演奏者本人が楽しいことを演り、その姿とその結果としての演奏を聴いて聴き手の側が楽しむ。そういう意味で、引退表明は実に残念なのだけれど、秋のツアー後の今後の人生、再び人前に出ることがもしもあるならば、この自由な発想という筆者の中にある大西順子像が消えないでいてほしい、そういう大西順子でい続けてほしい、と思うのは“ファンのエゴ”だろうか。 【送料無料】 大西順子 オオニシジュンコ / Fragile 【CD】 【送料無料】バロック [ 大西順子 ] 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012.09.05
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こういうのがジャズ・サックスの入口としても最適では? ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビイ』のところでも書いたように、エヴァンスの同盤やマイルス・デイヴィスのいくつかの盤(例えば『カインド・オブ・ブルー』や『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』)は、初めてジャズを聴く人の入口になることが多い。この“多い”という事実は少々曲者で、自然発生的にそういう人が多いわけではないように思う。雑誌やジャズ入門書みたいな場で頻繁に“初めてジャズを聴くならこれ”みたいにして取り上げられ、“まずはこれを聴くべきなのか”的な感覚で聴き手側がそういう選択をする結果なのだろう。 ところが、例として挙げたこれら3枚に共通するのは、リラックスよりも集中力や緊張感である。はたして“ジャズでも聴いてみよっか”と思った聴き手が期待しているものと合致しているのか疑問である。ためしにジャズを聴いてみようという人が、正座して、あるいは精神集中して最初の1枚を聴くかと言えば、正直なところ、疑問が残る。小説を読みながら、はたまた、ワイングラスを傾けながら、はたまた座ったり寝転がったりしてぼーっと、いわば“BGM”的に最初の1枚を聴く人も結構いるんじゃなかろうか。そんなふうに考えると、もっとリラックスした盤が最初の1枚に勧められてもいいようにも思う。ピアノが入りやすいというのは確かに一理ある。けれども、ジャズを聴きすすむにつれて、管楽器はどこかの時点で出会う。では、管楽器でリラックスして聴くこともできて、ジャズ的に完成度の高いものは? そういう観点から考えた時、筆者の頭に浮かぶものの中の一枚が本盤『ザ・ケリー・ダンサーズ(The Kerry Dancers)』なのである。 ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)は、1928年シカゴ生まれのテナー・サックス奏者。2008年に80歳で亡くなるまで長期間にわたって活躍した。50年代末、“西海岸でいちばん速いサックス”と呼ばれ、“リトル・ジャイアント(小さな巨人)”なるニックネーム(それはまたアルバム名でもある)でブイブイ言わせる豪快なブロウが注目された。けれども、そのイメージで臨むとこの『ザ・ケリー・ダンサーズ』は肩透かしである。何せ民謡(フォーク)系の曲をゆったりと演奏するスタイルだからだ。 『ウェイ・アウト!』というアルバムについて書いた時にも記したように、グリフィンの持ち味の真髄は、ただ豪快で疾走感のあるプレイとういのではなく、“歌心”ともいうべきサックスの演奏にあったように思う。全体としては明らかにゆったりまったりしている。けれども繰り返し気をつけて聴いていると、力強さとスピード感がちょこっとだけ顔を出す瞬間というのがある。そう、時速100キロで走れる車がわざと60キロでゆっくりドライブしている感じとでも言うのだろうか。100キロ出そうと思ったらいつでも出せるので、力を込めたり勢いに乗せたい部分は、エンジンに相当の余裕がある状態で無理なく加速できる、という感じだ。 特に曲単位でのお薦めは、表題曲の1.「ザ・ケリー・ダンサーズ」。とにかくメロディが親しみやすく軽快で、ジャズとは小難しいと思っている人には、これで既成概念を覆してもらいたい、という曲の一つである。もう一曲、7.「ハッシャ・バイ」も、テーマの軽妙なメロディが心地よく、その後のアドリブではところどころエンジンをかけながらの演奏。ちなみに、グリフィンはこの曲を気に入ったようで、後にも吹き込みを行っている。 とまあ、いかにもありがちな有名2曲のおすすめになってしまったが、他の曲も基本リラックス、ところどころアクセルを適度に踏み込む程度にとどめていて、聴きやすい上に“歌心”に満ちた演奏が楽しめる超好盤。ジャズを聴いたことない向きは、ぜひ初めて手に取るなら、『ザ・コングリゲーション』とならんでお薦め中のお薦め、長く聴き続けられること間違いなしの本盤をどうぞ。[収録曲]1. The Kerry Dancers2. Black Is The Color Of My True Love's Hair3. Green Grow The Rushes4. The Londonberry Air5. 25 1/2 Daze6. Oh, Now I See7. Hush-A-Bye8. Ballad For Monsieur[パーソネル、録音]Johnny Griffin (ts)Barry Harris (p)Ron Carter (b)Ben Riley (ds)1961年12月21日、1962年1月5日、同29日録音。 ジョニー・グリフィン(ts)/ザ・ケリー・ダンサーズ(完全生産限定盤)(CD) 下記ランキングに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2012.09.03
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出しゃばらないリーダーによる実力派の二管クインテット盤 ある意味、レッド・ガーランド(Red Garland)らしからぬ盤である。レッド・ガーランドという人は、ピアノ演奏が(いい意味でも悪い意味でも)個性的なだけに、“ピアノの人”という印象が強い。けれども、本盤は二管のクインテット。しかも、トランペットにバリトン・サックス(レッド・ガーランドにとってバリトン・サックスが入りの編成はこの盤だけとのこと)という二管である。お得意のピアノ演奏をじっくり聴かせるというよりも、クインテットの演奏として見事な一枚、そんな印象なのが、本盤『レッズ・グッド・グルーヴ(Red’s Good Groove)』である。 メンバーを見てみよう。レッド・ガーランドとフィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)はマイルス・デイヴィスのクインテットデの仲間。そのフィリー・ジョーとサム・ジョーンズ(ベース)はリヴァーサイドでのリズム背クッションの常連コンビ。そこにトランペットのブルー・ミッチェル、バリトン・サックスのペッパー・アダムスと、いずれもキャリアの頂点にいる、力量あるホーン奏者が加わっている。レギュラー・メンバーというわけではないが、その演奏は、まるでいつも一緒にやっている仲間の間での演奏であるかのように、一体感がある。 レッド・ガーランド自作曲の表題曲1.「レッズ・グッド・グルーヴ」は、何ともいい感じのまったり感を持ったブルース・ナンバー。ジャケットの黒字に鮮烈な赤のイメージからすると、若干、拍子抜けするかもしれないが、ガーランドらしさがうまく発揮された1曲で、このおかげでついつい続きを聴きたくなってしまうという、不思議な効果が筆者にはある。 これ以外で収録曲の中で特に目を引くのは、3.「ディス・タイム・ザ・ドリームズ・オン・ミー」、4.「テイク・ミー・イン・ユア・ドリームズ」と5.「エクセレント!」の3曲。3.は二管の参加とガーランドのピアノのよさが絶妙に絡み合い、本当に即席クインテットなのかと疑問に思うほど安定した流れが印象的。4.はアルバム全体の中ではやや奇抜な感じのするナンバーであるが、ここでもまたトランペットとバリトン・サックスの演奏と、リーダーのガーランドのピアノのバランス・絡み方、そしてその結果としての全体の安定感が絶妙によい。5.「エクセレント!」はバリトン・サックスのペッパー・アダムスのオリジナル曲で、彼のバリトンとブルー・ミッチェルのトランペットによるテーマが実にカッコいい。 全体をまとめると、即席のクインテットというのが信じられないほどの安定感がある。ブローイング・セッションというよりは、レギュラーの演奏・安定感を聴いているといった気分にすらさせてくれる。リラックス感と、流れの中での緊張感の組み合わせは、各プレイヤーの絶頂期に、偶発的とはいえ、この組み合わせのセッションが実現したからということだろうか。[収録曲]1. Red's Good Groove2. Love Is Here to Stay3. This Time the Dream's on Me4. Excellent!5. Take Me in Your Arms6. Falling in Love With Love[パーソネル、録音]Red Garland (p)Blue Mitchell (tp)Pepper Adams (bs)Sam Jones (b)Philly Joe Jones (ds)1962年3月22日録音。 Red Garland レッドガーランド / Red's Good Groove 輸入盤 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2012.09.01
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