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自民党総裁選挙で現職に挑戦した石破氏が地方票の半分近くを獲得したことの意味について、法政大学教授の山口二郎氏はその意味するところを23日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 自民党総裁選挙では、石破茂氏が地方の党員票で安倍首相に肉薄した。この選挙の有権者は一般の有権者ではなく、自民党の党員、党友、つまり安倍首相の身内である。しかし、政治に対して強い関心を持つ人々である。そうした有権者の中で、安倍首相に対する評価が二分されていることが明らかになった。これは、今後の政治に大きな影響を持つ。 選挙戦の中で、安倍、石破両氏はテレビのニュース番組で数回対論した。安倍首相は森友、加計疑惑に関する質問に対してまともに答えず、ゴルフを一緒にするのが悪いのなら、将棋やテニスはいいのかなどと、頓珍漢(とんちんかん)な答えをした。自民党の杉田水脈議員によるLGBTの人々に対する差別的な論文について、自民党にはいろいろな考えがあると、事実上擁護した。安倍首相が理性的議論の能力を持たず、人間の尊厳にも無関心であることが露呈した。 世論調査で安倍政権を支持しない人々があげる理由のうち、「首相の人柄が信頼できない」が多い。一連の首相の発言は、それを裏書きした。今回の総裁選で、自民党員の多くが、王様は裸だという意思表示をしたのである。 これから問われるのは、メディアの姿勢である。裸の王様に遠慮は不要である。首相が改憲に意欲を示す今、メディアのチェック機能は特に重要である。(法政大教授)2018年9月23日 東京新聞朝刊 11版 25ページ「本音のコラム-王様は裸だ」から引用 総裁選挙が終わって間もなくの時点で、菅官房長官や麻生財務大臣が記者団の前で必死になって「今回の総裁選は首相の圧勝だった」と言い張っていて、「え? どうして?」とでも言いたげな顔の記者団に「何故、安倍氏の圧勝を認めないんだ!」と叱りつけるような気色ばんだ顔で話しかけるのを見て、この人はどうして、そこまでして安倍氏に迎合しないといけないのか、実に不思議に思いました。事前の下馬評では誰もが安倍氏の「圧勝」を予想していただけに、石破氏が地方票の半分に迫る得票をしたのは誰にとっても衝撃的であったと思います。メデイァはそれをありのままに、記事に書いて石破氏の善戦を世の中に再確認させるべきです。そうすることによって、私たちの明日への活路が見いだされるというものでしょう。
2018年09月30日
原子力委員会が発行するメルマガで委員長の岡芳明氏が、高速増殖炉「もんじゅ」の後継を開発する政府方針を批判したと、22日の東京新聞が報道している; 国の原子力委員会の岡芳明委員長が、廃炉作業が始まった高速増殖原型炉もんじゅの後継となる高速炉開発に関し、もんじゅと同じナトリウム冷却型は経済性がなく「無理なものを研究しても予算と優秀人材を浪費する」との見解を、原子力委のメールマガジンで21日までに公表した。 政府が検討するもんじゅ後継機の開発や、フランスと共同研究を進める実証炉「ASTRID(アストリツド)」の計画に異を唱えた形。原子力委の委員長が政府方針に反する立場を公に表明するのは異例だ。 岡氏は7月発行の原子力委のメルマガで「高速炉が電力会社で利用されるためには(現在の)軽水炉並みかそれ以下の建設コスト、発電コストである必要がある」と指摘。「文献を探し、国内外の知人の意見も聞いたが、ナトリウム冷却の高速炉では無理である」と判断したとしている。過酷事故などに関する多くの研究開発課題が残る上、詳細設計をする必要もあり、これらには膨大なコストがかかって、造ってもうまく動くか未確認だと、問題点を列挙した。 また「ウランは地殻上には実質的に無限に存在する。ウランが枯渇するから高速炉サイクルが必要になるというのは誤っている」と主張。「高速炉を推進するための、ためにする議論ではないか」「研究費をもらう側から意見を集めて政策を決める時代は終わりである」としている。2018年9月22日 東京新聞朝刊 12版 3ページ 「もんじゅ後継開発を、原子力委員長が批判」から引用 さして需要もなく技術的に相当無理なことが分かっている高速増殖炉の開発は人材と予算の浪費だという見解は傾聴に値すると思います。研究費をもらう側から意見を集めて政策を決める時代は終わりであるという指摘も、政府自民党の原子力行政の「急所」を突いており実に「正論」です。予算と人材を大切に考え、もっと有益な分野で活用するべきという考えは、将来の日本の発展を考えた発想であり、こういう人物こそが「愛国者」の名にふさわしいと言えるのではないでしょうか。やたら軍事予算を増やし憲法を蔑ろにして武器使用のハードルを下げるようなことばかり画策する政治家は、かつてと同様に国を滅ぼす輩だと思います。
2018年09月29日
安倍首相の軽薄な改憲姿勢を鋭く指摘する高校生の投書が、20日の東京新聞に掲載された; 何十年も議論されてきた憲法改正を安倍政権は2020年までに達成しようとしている。しかし、国民がそれについて行けていない現状があるように感じる。 アジア周辺の情勢や日本と他国の関係性の変化などから、早急に対応しなくてはならないという政府の気持ちも分かるが、憲法は国民の賛成がなければ成立しない。安倍政権は憲法改正に対する国民の不安を受け取れていないように思う。 国民はただ流され、引きずられるようになるのではないか。それはまるで操り人形のようであって、国民主権という憲法の核心にも触れると感じる。憲法は国民の意見や意思も伴って初めて成立することを、政府は忘れてはならないし、国民の「わからない」も変えていかなければならない。2018年9月20日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「発言-改憲の重みを国は知るべき」から引用 この投書は高校生にしては中々立派であるが、所々に問題点も見え隠れしているような気がする。第一に、冒頭に「何十年も議論されてきた憲法改正」などと書いてるが、これは事実を誤認している。自民党が結成された当初に憲法改正を主張する者が何人かいたのは事実であるが、党として「憲法改正」を正面に出すと、その都度得票数が経るので歴代自民党政権は「憲法改正」を封印してきたのが実情である。これが近年は、社会全体が右傾化して総理大臣が勝手に憲法解釈を180度変えてしまうなどという違憲行為がまかり通っているのは由々しい事態である。また、「他国との関係性」などと言って、アメリカに言われたからといって憲法9条に余分な言葉を書き加えるとか、いっそ廃止するとか、そういうことは国民主権をないがしろにする違憲行為である。しかし、安倍政権が国民の不安を無視して勝手に憲法改正を進めようとしているのは事実で、これを国民は黙って許すべきではない。安倍政権が国民の意志を無視して改憲発議を強行すれば、国民はただ流され、引きずられるようになるのではないかという指摘は正鵠を射ている。日本人はそういう正確の民族だからである。私たちは本腰を入れて改憲反対運動に取り組む秋である。
2018年09月28日
インターネット利用者が違法な海賊版サイトに接続しないように、プロバイダーが利用者を監視することを合法化しようという政府案に対し、有識者会議では反対意見が多かったため政府案は先送りになったと、20日の東京新聞が報道している; 漫画などをインターネット上に無料で公開している海賊版サイトへの対策を検討する政府の有識者会議は19日、予定していた中間取りまとめを延期した。ネット利用者が特定サイトを見ることができないようにする「接続遮断(ブロッキング)」の法制化に対し異論が相次ぎ、賛否の溝が埋まらなかった。 明確に反対したのは委員18人のうち、憲法学者の宍戸常寿(じょうじ)東京大大学院教授ら9人。連名で「ブロッキングの法制化は憲法違反の疑いが強い」と意見書を提出した。接続を遮断するにはプロバイダー(インターネット接続事業者)が利用者の接続先を監視しなければならず、憲法で定めた通信の秘密などを侵害する恐れがあるからだ。 取りまとめ案には、新たに著作権者とプロバイダーが協議会を立ち上げ、海賊版サイトの収益源になる広告の出稿を差し止める制度などブロッキングに頼らない取り組みも盛り込まれている。宍戸氏らは「まずは新たな取り組みの実効性を検証し、ブロッキングの法制化を検討するのはそれからだ」と指摘した。 一方、政府とブロッキングに賛成する委員は刑法の「緊急避難」が適用できる可能性を指摘している。 「正当防衛」のように、差し迫った危険を防ぐためにほかの手段がない場合は、違法行為をしても処罰されないという規定で、出版社カドカワの川上量生社長は「やれることはすでに尽くしている」と語る。 政府は海賊版サイトにより出版社の利益が侵害されているとして4月に緊急対策をまとめ、プロバイダーに対し「漫画村」など海賊版3サイトへの接続の遮断を要請。来年の通常国会に、ブロッキングを手続きとして定める法案を提出する方針を示していた。◆委員の半数異例の反対 憲法違反懸念ぬぐえず 政府が方針を定めた海賊版サイトへの接続遮断(ブロッキング)の法制化に対し、追認することが多い有識者会合で、委員の半数が反対を表明して結論を持ち越す異例の展開となった。通信の秘密などを定めた憲法を侵害する恐れがある大問題なのに、議論の経緯が不透明で拙速だったツケが回っている。 菅義偉官房長官は今年3月に突如、海賊版サイトのブロッキングを検討すると表明した。それから1ヵ月もたたないうちに、政府はプロバイダーにブロッキングを要請。さらに、今回の有識者会合を経て遮断の制度化まで進めようとしたが、制度に慎重な法学者やプロバイダー事業者らが委員に加わったことで、政策の不透明な決定過程や憲法上の問題などが鮮明となっている。 政府はブロッキングが必要な根拠として、著作権侵害による被害額が3千億円にのぽることを挙げている。だが、この数字は、信ぴょう性が疑われている民間企業の統計が基だ。ブロッキングが実施されれば、巨額の費用が新たに発生し、利用者の負担になる恐れがある。遮断を回避する策があるため効果も疑問だ。 ブロッキングが違憲とならないためには、ほかに可能な対策を尽くすことがまず必要だ。取りまとめ案には、権利者とプロバイダーなどが加わる協議体をつくるなど新たな対策が入った。その結果も検証せずにブロッキングを進めようとする政府に対し、森亮二弁護士は「法制化ありきではないか」と不信感をあらわにする。(吉田通夫)2018年9月20日 東京新聞朝刊 12版 7ページ 「海賊版サイト遮断、先送り」から引用 ブロッキングが必要な根拠として政府が挙げた「被害額、3千億円」は信憑性が疑われている民間企業の統計を基にしているとは呆れた話です。安倍政権では、このような事例は数多くあります。近いところでは裁量労働制の法案が国会に提出されたとき、政府は「労働者の間に多様な働き方を求める声がある」などとさも立法事実が存在するかのような説明をしていたのに、審議が進んで野党が追及すると、実は労働者の声など一度も聞いていないことが発覚したということもありました。昔の自民党であれば、ここまでお粗末な政治はしていなかったと思います。福田元首相が「こんなことをやっていれば、国家は滅亡する」と心配したのも無理はないという気がします。
2018年09月27日

差別や偏見で問題を起こして世間からは後ろ指をさされるような「虎ノ門ニュース」が何故か安倍首相はお気に入りであったが、この「虎ノ門ニュース」がYou Tubeから配信停止の処分を受けました。このようないかがわしネット媒体に出演した安倍首相の責任を問うツイッターが投稿されました;差別や偏見を私たちの社会に広める者がみな、安倍首相と親密な関係をもっているという指摘は、実に重大な警告です。
2018年09月26日
8月号に杉田議員のLGBT差別記事を掲載した月刊誌「新潮45」は、10月号に「そんなにおかしいか・・・」という杉田議員を擁護する特集を組んだため、新潮社の内外から「新潮45」を批判する声が上がりました。その様子を20日の東京新聞は、次のように報道しています; 性的少数者(LGBT)を「生産性がない」と表現した自民党の杉田水脈衆院議員の寄稿を掲載し非難された月刊誌「新潮45」が、「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」「見当外れの大バッシング」と反論する特集を10月号(18日発売)に掲載したことに、作家らがツイッターで怒りの声を上げている。発行元の新潮社内や同業他社のツイッターでも、同誌への批判を拡散する異例の動きが起きている。 特集は保守派論客ら7人が寄稿。評論家の八幡和郎さんは「(杉田議員はLGBTへの)予算配分など政策的な優先順位を論じただけ。差別主義者だと批判する余地などない」「揚げ足を取られているだけ」と杉田議員を擁護。文芸評論家の小川栄太郎さんは、LGBTが生きづらいなら痴漢も生きづらいとし「彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか」と主張した。 これに対し、同社からも著書を出している作家の平野啓一郎さんは、ツイッターで「どうしてあんな低劣な差別に加担するのか」と発信。文学研究者のロバート・キャンベルさんも「低劣な偏見と分かってそれでも売り物にしていこうという出版に、活路はないはずだ」と指摘した。 新潮社の編集者らが運営するツイッター「新潮社出版部文芸」は、創業者佐藤義亮の「良心に背く出版は、殺されてもせぬ事」という言葉を紹介し、こうした作家らの批判を次々とリツイード(転載)。これに岩波文庫編集部や文春文庫編集部が「志を共有したい」と呼応し、河出書房新社も「これ(佐藤義亮の言葉)は新潮社さんの社是」と発信した。 ◇ 新潮社は「『新潮45』の記事については、社内でもさまざまな意見が存在している」と認めた上で「言論の自由を最大限に尊重するという立場から、各部署、社員の個人の意見表明に関して言論統制のようなことは従来より一切行っていない」とコメントした。2018年9月20日 東京新聞朝刊 12版 26ページ「『新潮45』へ怒りの声」から引用 「新潮45」の10月号が特集した杉田議員擁護論は、どれもみなLGBTの問題を正しく理解しておらず、事実誤認の上に勝手な想像を加えているお粗末な記事で、非常識の一語に尽きます。小川栄太郎という自称文芸評論家などはLGBTを痴漢と同じと思っているらしく、「痴漢が女性に触る権利云々」と書いている。天下の新潮社がこのような愚劣な記事を「言論の自由」などと言って放置することは、社会的責任の観点からも許されることではありません。上の記事が新聞に掲載されたその日のうちに、関西の本屋さんは「新潮社の本はすべて店頭から撤去します!」とツイッターにつぶやき、何軒もの本屋さんが追随するに及んで、新潮社の社長が「新潮45」に差別的な表現があったことを認めはしたものの謝罪の言葉はなく、何を言いたいのか要領を得ないコメントになりました。いずれ新潮社はこの問題に対し、きっちりと落とし前をつけることになると思います。
2018年09月25日
自民党の杉田水脈議員が「新潮45」という月刊誌に投稿して「子どもを産まないLGBTに税金を投入するのはムダ」という主張をしたために、差別発言に反発した市民団体が連日自民党本部に抗議デモをするなど大きな騒ぎになったのであったが、月刊「創」の編集長・篠田博之氏は、この件について同誌10月号に次のように書いている;「LGBTには生産性がない」とする杉田水脈議員の発言が大きな社会的批判にさらされた。掲載したのは『新潮45』だが、これは同誌がネトウヨ路線に舵を切りつつあることと無関係でない。◆杉田発言が掲載された『新潮45』の誌面 『新潮45』9月号を見て、半分ホッとして半分残念に思った。この号の特集は「『茶の問の正義』を疑え」。いいタイトルだ。この雑誌はこんなふうに、常識であるかのように流通している見方に対してちょっと異論を提示するというスタンスをとってきた。 例えば特集の1本目が「裏口入学、何が悪い」だ。東京医科大の裏口入学騒動が社会的話題になっている時に、敢えてこのタイトルである。新聞・テレビのような王道系メディアと違って雑誌は、基本的にゲリラである。時には敢えて異論を提示して問題提起を行うのも大事な機能といえる。『新潮45』を見てホッとしたというのは、本来のこの雑誌らしい誌面に戻ったという印象を受けたからだ。 実はこの前の8月号には、大きな社会的問題となった杉田水脈議員の論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」が掲載されていた。LGBTに対して「『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」という記述が大きな反発を招き、全国でデモが行われたのは記憶に新しい。 同誌が杉田議員の論考を載せるのはこれだけでなく、この間、何度もある。掲載された署名記事と編集部の考えはもちろんイコールではないが、杉田議員の論考を敢えて載せるというのも、編集方針によるものなのだろう。 この半年ほどの同誌の特集を見ると、いわゆるネトウヨと呼ばれるような論者を多用し、いわば『月刊Hanada』や『WILL』の路線に大きく舵を切っているのは明らかだ。その意味では、同誌に杉田議員のこういう論考が載っだのは、編集方針と無関係ではない。 あれだけの大騒ぎになったのだから、本当はそれについてこの9月号で少し報告をしてほしいと思った。それを通して編集部がその問題についてどう考えているのかというスタンスもわかる。しかし、9月号では全くそのことに触れていなかった。意図的にそうしたのだろう。それもひとつの考え方だとは思う。ただ読者としては少し残念だなと思った。 杉田発言が差別的だとして大きな騒動になっている過程で、それが『新潮45』に掲載されていたことを問題にした報道はほとんどなかった。かつて差別表現への糾弾が激しかった頃は、掲載媒体の責任も同時に問われるのは普通だった。 例外的だったのは、8月7日付の朝日新聞が「杉田水脈氏寄稿、出版社の責任は」という記事を掲載したことだ。掲載した『新潮45』の責任を論じたものだ。 この朝日新聞の記事については私も結構、長時問の取材を受けた。でも紙幅の都合で、話した内容の一部のみがコメントとして使われただけだった。そこで本稿では、杉田発言と『新潮45』について少し書いてみようと思う。◆青木理さんが「正真正銘の阿呆」と酷評 その話に入る前に、今回の杉田論文についての感想を書いておけば、ひどいとしか言いようがない。自分の信念から何かを論じるのは自由だが、右とか左とか言う以前に、日本においてこれまで例えばゲイがどんなふうに差別を受けてきたかといった歴史的経緯をほとんど知らないのではないかと思わせる内容だ。圧倒的多数の議席を確保している今の自民党は、こういう人でも国会議員になれてしまうんだという驚きを最初に感じた。 その内容の問題点は多くの論者が指摘しているから割愛しよう。例えば『週刊現代』8月11日号では青木理さんがこう書いている。「これほど常軌を逸した正真正銘の阿呆が国会議員を務めていることに心底唖然とした」 それよりも今回の一件で感じたのは、この杉田論文への批判が予想以上の大きな社会的動きになったことへのいささかの驚きだった。それは日本社会においてマイノリティの存在や権利を認めようという流れがそこまで広がっていることの反映だ。かつて「アカー」(動くゲイとレズビアンの会)などの団体が、週刊誌などのゲイ差別にコツコツと抗議を繰り返していた時代に比べると、大きな社会的変化と言わねばならないだろう。 それはよいとして、問題の杉田論文「『LGBT』支援の度が過ぎる」だが、これは「日本を不幸にする『朝日新聞』という特集の中の1本だ。LGBTには「『生産性』がないのです」という一節のみが問題にされてしまったが、論考自体は、朝日新聞に象徴されるリベラル派が多様性や少数者の権利を主張することを行きすぎたと批判したものだ。 杉田論文はたまたまその号に掲載されていたわけでなく、同誌が今年に入って加速させているリベラル叩きの中で登場してきたものだ。朝日新聞が杉田論文を載せた同誌の掲載責任に言及しようとしていたのも、背景にそういう問題があるからだろう。 特に今年に入って、『新潮45』は、その方向に大きく舵を切っている。2月号「『反安倍』病につける薬」、4月号「『朝日新聞』という病」、6月号「朝日の論調ばかりが正義じゃない」、7月号「こんな野党は邪魔なだけ」、そして8月号の「日本を不幸にする『朝日新聞』」だ。簡単に言えば、『月刊Hanada』『WILL』の右派雑誌の後追いを意識的にやっているのだ。ここへ来て大きく舵を切ったのは、雑誌市場全体が苦境に立たされている中で、その路線に生き残りを賭けようとしたのだろう。◆生き残りを賭けてネトウヨ路線に転換? そもそも元『週刊文春』編集長の花田紀凱さんが創刊した『WILL』が分裂して『月刊Hanada』と2誌体制になった時に、ネトウヨ系とも言われるその市場が2誌の存在を許すほどの規模を持っているのかと言われたものだが、現状においては2誌が存立し、その市場はむしろ拡大しているような印象さえある。安倍政権のもとで日本の言論界は急速に右へと軸足を移しつつあるのだが、それに伴って新たな言論市場が拡大しているのだ。 『新潮45』はそれを見ながら、その市場はもう少し拡大の余地があるのではないかと推測し、そこに相乗りすることを生き残り策として選んだのだろう。この何力月かの誌面を見ていると、先行2誌とそっくりというか、「一番煎じの道を敢えて行く」という意識が感じられる。 ただ古くからの読者として残念なのは、花田さんには誌面への評価は別にして、新たな市場を作り出そうというパイオニア精神のようなものがあったのだが、『新潮45』の後追い路線には、その気概が希薄なことだ。先行2誌は、露骨に安倍首相を持ち上げるわ、東京新聞の望月衣塑子記者を私怨まじりに毎号叩くわ、と、まさにネトウヨ路線をそのまま紙媒体に持ち込んだような印象なのだが、新しいことに取り組もうという意識が多少感じられる。しかし、『新潮45』は、偏見かもしれないが、「二番煎じ」感が否めないのだ。 だから読者の一人として提言するならば、どうも今の『新潮45』の路線は、うまくいかないような予感がしてならない。そこへ案の定というか、今回の騒動だ。 今回の騒動は、TOKYO MXが「ニュース女子」事件で足をすくわれたのとよく似ている。MXも後発で新しいことにチャレンジしない限り生き残れないと、ゲリラ性やタブーに挑戦といった方針を掲げ、その挙句に手を染めてしまったのが「ニュース女子」の「沖縄ヘイト」番組だった。激しい社会的批判を浴びて、同番組を以後、放送しないとしたものの、あの騒動で同局の被ったイメージ悪化は相当なものだった。何やら今回の『新潮45』はそれとよく似ているのだ。 この半年であれだけ急激に誌面の舵を切ったのは、それなりの覚悟を決め、そのくらい思い切ったことをやらないと生き残れないと考えたからだろう。先行2誌のマーケットの分析もそれなりにやったはずだ。 でも『新潮45』というのは、かつてのノンフィクション路線もそうだし、もう少し独自の路線で評価を得てきた雑誌だったはずだ。今のような路線で本当によいのだろうか。新潮社といえば、ノンフィクションにおいてもそれなりの伝統を誇ってきた出版社だから、今の『新潮45』の方針については、社内でもいろいろな見方が出ていると思う。今回の騒動を機に、今の路線について、もう一度検討してみてはどうだろうか。◆雑誌ジャーナリズムが岐路に立たされている 新潮社の看板雑誌『週刊新潮』もまた、今年に入って大きな誌面転換を図りつつある。これについては本誌9月号に「『週刊新潮』キャンペーンに『週刊文春』が異議申し立て」という記事を書いた。 「食べてはいけない国産食品」キャンペーンがようやく一段落して従来の誌面に戻ったとホッとしていたら、今度は「食べてはいけないペットフード」キャンペーンが始まって思わずずっこけた。 事件ものや政治スキャンダルを得意としてきた『週刊新潮』も、生き残りを賭けて新たな路線に挑戦しようとしているわけだ。『週刊朝日』など、最近は本当に健康雑誌になりつつあるし、総合週刊誌全体として岐路に立たさされているのは明らかだ。 私は『週刊朝日』も好きな雑誌だったから、最近の変貌ぶりには正直言って残念な思いを禁じえない。それと同じような意味で、この間の『新潮45』の路線には、そのまま突き進んで大丈夫なのかという危惧を持たざるをえない。 世の中にきな臭い雰囲気が蔓延すると、ジャーナリズムがそれに合わせて右旋回するという風潮は歴史上何度も繰り返されてきた。 かつてジャーナリズムといえば反権力が当たり前で、新たな政権が誕生すれば週刊誌が競って権力トップのスキャンダルを取材し報じたものだ。しかし今やそういう空気そのものが希薄になりつつある。 雑誌ジャーナリズムは本当に難しい局面に至っている。月刊「創」 2018年10月号 94ページ「杉田水脈差別発言掲載『新潮45』への危惧と提言」から引用 杉田議員のLGBT差別発言は議員辞職に相当する重大な事案であるが、自民党は安倍一強体制にあぐらをかいて、同議員を処分しようともしていない。月刊「創」に篠田氏が上の記事を掲載した翌週くらいには「新潮45」10月号が発売になり、そこには「そんなにおかしいか 杉田水脈論文」という特集が組まれていて、世間はあきれ果てたのでした。そこには杉田議員を擁護する記事が6、7本掲載されていて、小川栄太郎という評論家は「LGBTの権利を擁護するなら、痴漢が女性に触る権利も認めるべきだ」というような、トイレの落書きレベルの主張で、いくら一雑誌の編集の問題とは言え、トルストイや漱石のような格調高い文学出版を担ってきた新潮社が、このような低俗出版を容認するのはおかしいのではないでしょうか。新潮社の社会的責任が問われると思います。
2018年09月24日
スルガ銀行の不正融資事件に関連して、法政大学教授の山口二郎氏は16日の東京新聞コラムに、人の心の問題について次のように書いている; スルガ銀行の不正融資事件には驚かされた。顧客をだまし、書類を偽造してまで巨額の融資を行い、顧客を債務奴隷の地位に落とし込むとは、闇金よりもたちが悪い。この銀行をつい最近まで、金融庁が地方銀行のモデルとしてほめたたえていたことにも、呆れるばかりである。手段を選ばず、金儲けさえできれば何でもよいという方針は、監督官庁公認だったのか。 詐欺同然の融資については行員からも疑問が上がったのかもしれないが、銀行では過剰なノルマとパワハラが横行し、行員を追い詰めていたと第三者委員会の報告書で明らかにされている。この事件は特殊な銀行で起こった例外事例ではないと思う。おりしも、日大アメフト部の危険タックルに続いて、いくつかのスポーツでパワハラが発覚している。運動部の中には、軍隊的な統制を今に伝えているところもまだ存在している。上からの命令には絶対服従、自分の頭で考えることは厳禁を美徳と考えている指導者もいたのだろう。 さらに、今年度から正式教科となった道徳のある教科書では、「星野君の二塁打」という物語が採用され、監督の指示に服従し、チームの輪を乱さないことを教え込もうとしている。道徳とは、第二のスルガ銀行で、上司の言うまま犯罪行為に手を染めて金儲けにいそしむ人間をつくる教科なのか。(法政大教授)2018年9月16日 東京新聞朝刊 11版 27ページ 「本音のコラム-服従は美徳か」から引用 銀行が行員に過剰なノルマを課したために行員が無理な融資をやろうとするのは、世の中に資金需要というものが無くなった上に日銀が「マイナス金利政策」をとって銀行の経営を圧迫しているからで、アベノミクスの無理がこういうところに祟っているいうことではないかと思います。「星野君の二塁打」という物語が道徳の教科書に入っているというのも問題です。自分の頭で考えることの大切さを教える物語も入れてバランスをとる必要があるのではないでしょうか。
2018年09月23日
昨日の蘭に引用した月刊誌「創」10月号の安倍首相と暴力団の関係を論じた記事の続きは、刑期を終えて出所した「火炎瓶犯人」が二人のジャーナリストにどのように接近したか、次のように述べている;◆選挙妨害で悪質な怪文書が出回った山岡 この怪文書の内容は、この種のものとしても相当悪質なんですが、ただややこしいのは、小山氏自身は、『アサヒ芸能』のコピーを配ったことは認めているんですが、悪質な怪文書の方は自分がやったとは認めていないのです。ただ、佐伯秘書がやってきて話を聞いた時に、『アサヒ芸能』の記事のほかにそういう内容も聞いたことは認めています。自分は金目当てでなく、その話を聞いて信じたので選挙妨害に協力したと言っているんです。 だから後になって小山氏らは選挙妨害に協力したのだから見返りを寄越せといって安倍氏の秘書に談判するのだけれど、実際にどこまで具体的に依頼がなされたのかはあいまいなんですね。もしかすると小山氏側か忖度して、自分の判断で怪文書までまいたのかもしれません。寺澤 小山氏にインタビューした時にわかったのですが、朝鮮人に対してヘイト感情を抱いている人なんですね。取材したホテルで一緒にランチを食ぺたんですが、店の人にニンニクが入ってないか聞いているんです。なので、「ニンニク嫌いなんですか」と聞いたら、「朝鮮人嫌いだから」と言っていました。山岡 我々が念書と呼んでいる、やりとりを裏付ける文書は3通あるのですが、最初は口約束で、文書は後になって小山氏側か要求して書かれたようなんです。しかも、秘書から小山氏らに300万円渡されたことは明らかになっているんですが、その文書に書かれているのは、公共工事をやらせろとか、もっと大きな見返りなんですね。寺澤 300万円とかいう金額でなく、もっと大きな話なんです。山岡 そこが反社会勢力のゆえんで、一度恥部を握ってしまえば300万円で終わるわけがないんですよ。そもそも双方、癒着ともいえる関係で、300万円渡した佐伯氏は、小山氏の事務所に入り浸っていた、と小山氏自身が言っていましたから。 たぶん最初は阿吽の呼吸でやっていたんでしょうが、小山氏側かその後、文書を書かせたり、安倍氏本人にも会わせろと要求したんだと思います。寺澤 森友加計問題との違いは、証拠になるようなものを残さずに相手側が忖度してやったという話に持っていくにしても、まずいことに安倍氏本人が小山氏とその件で直接会っているんですね。だから森友加計のように周囲が勝手にやったものだという抗弁がなかなか難しい。◆秘書のサインもある3通の秘密文書山岡 2人で会った時に安倍氏が脅されてやめてほしいと言ったというのでないんです。謀議とみなされても仕方ないような状況なんです。 3つの文書というのは、1通目が1999年の市長選から約2ヵ月後の6月17日付の「確認書」です。選挙妨害を「古賀潰し」と表現し、それについて安倍氏に会わせてほしいという小山氏の要求が書かれたものです。 小山氏の話によると、安倍事務所の佐伯秘書が恵友開発という小山氏の事務所に来て、選挙妨害を依頼された。そこで小山氏は、地元筆頭秘書だった竹田氏に電話し、真意を聞いたところ、「秘書全員と安倍代議士も了解しています」と言われたというんです。そこで後に「確認書」を交わしたんですが、竹田氏が署名捺印しているんですね。寺澤 竹田氏とは山口県警捜査一課次長を最後に安倍事務所へ天下った元警視なんです。だから安倍事務所は県警に顔がきく。怪文書をまかれた古賀氏が警察に被害届を出しても山口県警は動かないわけです。山岡 2通目は6月22日付で、「願書」と書かれています。やはり竹田氏が署名しているんですが、7月3日午前10時から、安倍議員と1対1の面談を設定したから安倍事務所に来て下さいと書いてある。寺澤 3通目は7月13日付の「確認書」ですが、小山氏が安倍氏と2時間ぐらい話をしたことを踏まえて、大手スーパーのジャスコ誘致に絡む都市計画道路の変更について、非常に難しいけれど、地権者の意向を恵友開発がまとめてくれれば、行政側への要請に最大限努力すると安倍事務所側か答えているんです。 2014年8月に山岡さんと2人で下関へ取材に行き、竹田氏の自宅で2回インタビューしたのですが、安倍氏を小山氏に会わせたことも認めたし、なおも小山氏がいろいろ言ってくるので、持ってきた文書にサインしたということも認めました。ただ、小山氏とは面識がなかったとか、今思うと嘘もついていましたね。――お二人は、今年になって、出所した小山氏から電話がかかってきてインタビューしたというわけですが、そもそも小山氏はどういう思惑なんでしょうか。寺澤 ほしいのはお金と名誉なんでしょうね。僕は2009年公開の『ポチの告白』という警察組織の腐敗を描いた映画の原案協力をしており、それに関する本も出版しています。その本を刑務所の小山氏へ手紙と一緒に送っておいたんですが、小山氏は、最初に電話をかけてきた時に、自分のドキュメンタリー映画を作りたいという希望も言っていました。そこでそのための素材としてというのでインタビューしながらビデオカメラを回したんです。小山氏は、自分の本や映画を作れば絶対売れるから、と言っていました。山岡 小山氏には5月13日と6月7日の2回インタビューしてどちらもカメラを回しています。1回目は2人でインタビューし、2回目は僕が別の人間と小山氏に会いに行っています。◆取材した日に4000万円を要求寺澤 最初にホテルで会った時に、文書を用意していて、自分の本と映画を作れば必ず売れるから、4000万円を用意してほしいと要求してきたんです。孫にマンションを買ってやりたいからと言っていました。 それを聞いた時に僕も驚いて、4000万円はありえないだろうと思ったのですが、山岡さんはいろいろ説得して、本を出して印税を払うにしても4000万円はありえない、謝礼を出すにしてもせいぜい100万円が限度だという話をしたんです。山岡 そしたら小山氏も理解したようで、一気に100万円でいいという話になったんです。100万円くらいなら取材謝礼として払うことも可能だと思い、私はそのくらい渡すつもりではいたんです。その過程で、この話を週刊誌などに持ち込んで、例えば『週刊新潮』でやろうとなったのですが、小山氏が編集部にやめてくれと電話をして、なくなってしまった。小山氏も私の話に同意したり、反対したりしていたのですが、結局、その後、やりとりは途絶えてしまいました。寺澤 結局、僕は電子書籍で、山岡さんはニュースサイトで記事にしたんです。山本太郎議員の国会質問にも協力しました。ちょうどカジノ法案の審議が内閣委員会でなされた時で、山本議員が、カジノ法案と反社会的勢力の問題にからめて安倍首相にこの件を問いただしたんです。 その時のやりとりは動画が国会チャンネルで見られますが、安倍首相も質問者を小ばかにしたようないつもの対応でなく、困ったような顔をして答弁していました。ただ答弁では、自分はあくまでも被害者だと強調していましたね。 でも、かつて共同通信が封印したこのスキャンダルも、国会で正式に取り上げられたのだから、記事にするのは可能なはずなのに、どこも報道しなかった。今のメディアはそんなこともできなくなっているのかと驚きましたね。山岡 いくら安倍政権の力が強いというても、それさえも報道できないのかと思いましたね。 ただ小山氏に2回インタビューして、その後、地元の人から情報を得たのですが、小山氏が出所したことは安倍首相も聞いているようで、以前火炎瓶を投げられているので公安が小山氏をマークしているようです。 小山氏はさすがに今回は安倍首相には接触していないようですが、事件当時の安倍サイドの弁護士などには会っているようです。 小山氏がそのへん何を考えているのかわからない面はあるのですが、さきほどの安倍首相の元秘書から300万円渡されたという話も、恐喝になる恐れがあるので、小山氏本人は受け取っていないんですね。間に安倍首相の後援者が入って、絵画の購入代金ということになっている。 火炎瓶事件の前に、小山氏は一度その恐喝で逮捕されながら起訴されなかったんですが、安倍サイドとしては山口県警を使って何とかして口封じを狙ったと思われるんですね。でも安倍首相と直接会った翌月に逮捕されたこともあって、小山氏は激怒したんです。そこで火炎瓶事件を起こすわけですが、その前にも当選した江島市長の車のフロントガラスが割られたり、いろいろな動きがなされているんです。不審な出来事があった。 それからこれも小山氏に聞いたのですが、もともと1999年の市長選では、江島氏と古賀氏のほかに亀田氏という元市長が立候補していて三つ巴だったのですね。それで実は小山氏は亀田氏を応援していて、亀田氏を当選させるためだとして古賀氏の選挙妨害に関わったようなのですが、実際に当選したのは江島氏で、小山氏はそのことについても偏されたと怒っていました。◆なぜ逮捕したのが福岡県警だったのか寺澤 安倍首相の地元では、反安倍と言われる『長周新聞』が、山本太郎議員の国会質問を受けて記事を書いています。20年前の事件が再び取り上げられたとして、選挙妨害を仕掛けたのは誰なのかという山本議員の質問内容を紹介しています。 ただ今や山口県の地元では安倍首相の影響力は圧倒的で、この『長周新聞』の記事も「今さら古い話を持ち出さなくても」とも読める書き方でした。山岡 この事件が複雑なのは、小山氏は一度恐喝容疑で山口県警に逮捕されながら起訴されず、自分は安倍氏と関りがあるので起訴はできないんだと言っていたらしいんです。そして、その後火炎瓶事件で逮捕したのは福岡県警なんですね。 つまり小山氏と一緒に動いていたのが工藤会の人問なんですが、その工藤会を壊滅させるという名目で動いていた福岡県警が、小山氏と工藤会の人間を逮捕しているんです。山口県警は安倍氏と関係が深いんですが、そういう経緯で小山氏らは逮捕されたのです。寺澤 山口県は安倍首相の影響力が強いのは確かですが、山本議員の国会質問にしても在京のメディアも記事にしないというのはおかしいですよね。山岡 私もこの話は、『フラッシュ』『サンデー毎日』『週刊朝日』などに持ち込んだのですが、いずれも動かなかった。寺澤 NHK記者にも話をしましたが、安倍政権を批判するにはそれなりの体制を作らないといけないとか言っていてそのままでした。山岡 『週刊現代』や『週刊ポスト』にも話していますが、記事になっていない。寺澤 さきほどの『長周新聞』によると、小山氏は講談社から本を出すとか吹聴していたらしい。だから我々と接触しながら向こうもいろいろ思惑はあるんでしょうね。山岡 たぶん小山氏は、新聞・テレビのような大手メディアでない我々と接触して一部で記事になったのを使って安倍首相なりに揺さぶりをかけるとか、思惑があるのかもしれない。でも彼がどういう思惑を持っていようと、事実を報道するのが我々の使命ですからね。――安倍一強が続いているためメディアが萎縮しているという事情はあるでしょうが、そもそも週刊誌は事件モノをやらなくなってしまったでしょう。今回、報道が広がらないのは、そういう事情もあるかもしれない。山岡 でも週刊誌が事件をやらなくて何をやるんですか。――山岡さんは、かつて自宅を放火されたりしたけれど、今回も突然、新宿で階段から落ちてケガをしたんですね。山岡 今も傷が痛いんですが、これも新宿署に行って防犯カメラを確認してもらおうと思っています(注=防犯カメラはなかった場所だったことが後日判明)。寺澤 後ろから押したやつがいたかもしれないし、きちんと調べたほうがいいですよ。(おわり)寺澤有●67年生まれ/警察の腐敗を一貫して追及。14年、「国境なき記者団」による「世界のヒーロー100人」に日本人ジャーナリストとして唯一選ばれた。近著は電子書籍『安倍普三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の「確認書」』。山岡俊介●59年生まれ。かつて武富士から盗聴されながら刑事告発によって武富士王国を崩壊させた経緯は弊社04年刊『銀バエ』に詳しい。ウェブマガジン「アクセスジャーナル」発行。著書に「福島第一原発替入記」など。月刊「創」 2018年10月号 18ページ「封印されてきた安倍晋三スキャンダル」から後半を引用 安倍首相の自宅に火炎瓶が投げ込まれた事件は、表向きにはカネほしさの犯行で、「犯人」が法廷で陳述した「500万円で選挙妨害を依頼されて、実行したのに300万円しかもらえなかったから犯行に及んだ」との内容については、裁判所は「だからと言って、犯行を正当化することはできないから、有罪」という判決を出したもので、裁判所としては、当該事件を裁定するにあたって「安倍事務所が暴力団に選挙違反行為の実行を依頼したかどうか」という事実認定は不要だったから言及していないだけのようだ。しかし、社会的には、他人の家に火炎瓶を投げつけた罪の軽重もさることながら、総理大臣になるほどの大物政治家が暴力団との関係を指摘されるという事態は由々しき問題であり、真相を究明する必要があると思います。
2018年09月22日
月刊「創」10月号では、2人のジャーナリストが安倍首相と暴力団の関係が何故今まで封印されてきたのかという問題について、次のように対談をしている; ”安倍一強”の政治状況が続く中で安倍首相の過去のスキャンダルが国会で取り上げられるなどしている。しかし、それを大手マスコミはいっさい報道しない。実はそのスキャンダルは、共同通信がかつて封印したものだった。 対談会場に山岡さんは包帯姿で現れた。数日前、新宿で階段から転倒したという。山岡さんと言えば、政治や企業のスキャンダルを果敢に暴き、かつて武富士から自宅を盗聴されたり、何者かに自宅を放火され命を失いかけた経験を持つ。今回の転倒も不審な経緯もあり、事実関係を調査中という。一方の寺澤有さんも警察不祥事などを激しく追及してきたジャーナリストだ。 その2人がこの間、取り組んでいるのがここに紹介する安倍首相のスキャンダルだ。実はこのスキャンダル、2006年に共同通信が報道一歩手前まで行きながら上層部の命令で封印したいわくつきのものだ。それがなぜ今年になって再び取りざたされるようになっているのか。2人の対談をお届けしよう。◆ 安倍氏の自宅と事務所が放火され昭恵夫人の車が炎上寺澤 一番最初にこの事件についてスクープしたのは山岡さんのメールマガジンで、2003年2月でしたね。2000年6月17日、28日、8月14日と、3回にわたって下関市の安倍晋三衆議院議員の自宅や後援会事務所に火炎瓶が投げ込まれ、車3台が全半焼するなどした。その事件を報じたものです。山岡 火炎瓶は5回投げられたようですが、火がついたのがそのうち1回だけで、燃えた車の一台は昭恵さんの車でした。寺澤 山岡さんが当時書いた記事では、容疑者はK氏と匿名でしたが、発端が選挙妨害だったことを含め、概要はほぼ書かれていた。そしてその11月に小山佐市氏と工藤会系高野組の高野基組長及び組員が逮捕された。確かその後に『噂の真相』も記事にしてましたね。山岡 もともと発端となったのは1999年4月の下関市長選で、当時はまだ一介の衆議院議員だった安倍晋三が推薦した江島潔候補(現在は参院議員)が当選した。その選挙戦で江島氏の対立候補だった古賀敬章氏を中傷する怪文書がまかれたんですが、それを実行したという小山氏が、その見返りを求めて安倍議員の秘書に談判するんです。 そして後に裁判で明らかになりますが、安倍議員の秘書の佐伯伸之が300万円を渡し、小山氏は7月3日には安倍議員本人とも面会しています。 ところが一転して、小山氏は、8月30日に恐喝容疑で逮捕されるんです。ただ、この時は9月21日に不起訴処分となってしまった。 そして安倍議員自ら小山氏と会い、見返りの約束をしながらタイホされたことから小山氏は激怒し、2000年6月になって、今度は安倍議員の自宅や事務所に火炎瓶を投げ、2003年11月11日に逮捕されたのです。その間、安倍議員は2000年7月に官房副長官になっています。寺澤 この放火事件は当時、地元では大きく報じられたんですが、安倍事務所は「犯人に心当たりはない」とコメントしています。でも実際には双方の関係が後に問題になるわけですね。山岡 それだけでなく、これは当時伏せられたようなのですが、火炎瓶だけでなく、安倍事務所に銃撃、いわゆるカチコミも行われていたようなんですね。事務所の網戸と窓を銃弾が貫通した跡を当時「アクセスジャーナル」は掲載しました。近所の住民も「銃声を聞いた」と証言していたんです。でも、報道はされなかった。銃撃されたとなるとイメージが悪いために発表されなかったようなんですね。◆ 7月17日に山本太郎議員が国会で安倍首相に質問寺澤 事件については2007年3月9日に福岡地裁小倉支部で小山被告に懲役13年の判決が出るんですが、その中である程度明らかになっています。 実はこの事件については、今年7月17日にカジノ法案の審議の中で、山本太郎議員が国会で質問しているんです。その質問にあたって山本議員は裁判所に問い合わせて記録を調べたのですが、重要事件として福岡地裁小倉支部で出た判決文が裁判所のホームページに載っているんです。それをもとに山本議員は質問したのですが、その判決文に、小山氏らが選挙に協力した見返りとして安倍議員の秘書に要求し、秘書が300万円渡したという経緯も記載されているんです。 だから基本的な事実は明らかなんですが、山本議員の質問に対して、安倍首相は「妻と私か寝ていた自宅に火炎瓶を投げ込まれた。私たちはあくまでも被害者です」と答弁していました。山岡 それから今回、寺澤さんがアマゾンの電子書籍『安倍晋三秘書が放火未遂犯とかわした疑惑の「確認書」』で書いているんですが、2006年に一度共同通信がこの事件を取材し、配信しようとしたんですね。寺澤 共同通信の記者が福岡拘置所に勾留中の小山氏に面会して取材し、小山氏と秘書の間で交わされた念書の存在も確認し、秘書のコメントもとっていたんです。ところがその報道を上屑部の判断で見送った。 これについては『現代』(既に休刊)06年12月号に共同通信OBである魚住昭氏と青木理氏が「共同通信が握りつぶした安倍スキャンダル」という告発レポートを書いています。当時、共同通信はピヨンヤンに支局を開設する予定で、10月末に安倍首相を招いて加盟社編集局長会議を行う直前でした。10月2日の共同通信定例部会で、社会部長から記事を見送るという説明がなされたのですが、納得できない記者たちが次々と上層部を批判した様子がその記事に書かれています。 共同通信が記事配信を取りやめたのは、まさに安倍首相が総裁選に当選して権力を持っていくその時期だったのです。共同通信記者らは、その総裁選のテレビ中継が放映されている下関市内の会場で安倍首相の秘書に念書のコピーを持って行ってぶつけたのですが、そうやって書き上げた記事が結局上層部によって握りつぶされたわけです。 本当なら安倍首相が総截選に当選したという報道とともにそのスキャンダルをぶつければ、権力を監視するという報道機関のスタンスを示せる機会だったのに、そうしなかった。「いったん見送って時機を見て配信する」と社内に説明したようなんですが、結局やらないという時のお決まりの言い訳ですよね。◆ かつて事件で逮捕された人物が今年、出所――そうやって封印されたスキャンダルが、今年になって再び取りざたされるようになったのは、服役していた小山氏らが出所したという事情があるからですね。山岡 2014年に仮出所するらしいという情報を聞いて我々が接触を図るんですが、その仮出所の情報はガセだったんです。でもその時に送った手紙が本人の手に渡ったようで、今年、実際に出所した後、5月10日、私か電話に出なかったことから、本人からいきなり寺澤さんに電話があったのです。寺澤 取材したいという手紙を出して、その中にこちらの携帯電話の番号を書いておいたんですが、突然、電話がかかってきました。 実は、その前に仮出所したらしいという情報に基づいて取材に入った時に、安倍首相の地元筆頭秘書だった竹田力氏など関係者に一通りあたったのです。この竹田元秘書はその前の共同通信の取材でも念書の存在とそれに自分がサインしたことを認めていたんですが、我々の取材でもあっさり認めました。山岡 もう亡くなってしまったのですがね。でも、基本的な事実は裁判でも明らかになっているし、共同通信の取材でも認めていたからでしょう。 もうひとり、その事件に関わった佐伯秘書にも取材したけれど、これは応じようとしませんでした。寺澤 ただ佐伯秘書は魚住氏と青木氏の取材では事実関係を認めていたから、その経緯は今回我々が取材する時にすごく役立ちました。――その出所した事件当事者に直接話を聞けたところから今回の話が始まるわけですが、その前に、そもそも発端となった選挙妨害事件とはどんなものだったのか教えてください。山岡 1999年4月の下関市長選で安倍議員の推した江島候補を勝たせるために、対抗馬の古賀候補についての怪文書を流したというのです。出回った怪文書は何種類かあるんですが、ひとつは古賀候補の不倫疑惑を報じた『アサヒ芸能』の記事でした。選挙の2年くらい前に報じられた記事で、しかも古賀氏は匿名でした。でも、その記事を佐伯秘書が小山氏に見せて、こういうやつを当選させるわけにはいかないだろう、と言ったというんです。その記事コピーが選挙戦で大量にまかれました。 ただ、その記事自体は、匿名だったとはいえ、既に報道されたものでした。本当にひどいのはそれ以外の怪文書で、古賀候補が北朝鮮生まれで、当選させたら下関が朝鮮支配になるという、とんでもないデマなんです。これも何種類かあるんですが、とにかくひどい怪文書です。 しかも手がこんでいて、例えばひとつは、江島候補の妻が書いたという体裁で、怪文書と同じ内容の手紙があちこちに送られたんです。もちろん妻が書いたという事実はなく、妻を騙って誰かが怪文書を送ったわけです。つまり実在の候補の妻から送られた手紙という体裁だと中身を信じてしまう者もいるだろうというアイデアなんです。寺澤 怪文書がまかれた当時、古賀氏は事実無根だとして警察に被害届を出しているんですが、警察は結局、動かなかったわけですね。月刊「創」 2018年10月号 18ページ「封印されてきた安倍晋三スキャンダル」から前半を引用 共同通信の現場では記者が拘留中の被疑者に会って取材したというのに、会社は「真実の報道」より政治家を招待して事務所開設のセレモニーを行なうことを優先したというのは、報道の仕事に携わる者としての自覚に欠ける由々しい事態だったと言えるのではないでしょうか。報道機関がこのように堕落すると、社会には安倍政権のような「悪政」がはびこり民主主義は衰退する。実に分かりやすい教訓だと思います。
2018年09月21日

自民党総裁選に立候補した2名がそろってテレビに出演し、番組キャスターが安倍総理に、国家戦略特区の認可権限を持つ総理大臣が、いくら長年の友人とは言え申請者である学園理事長とゴルフや会食を重ねたのはまずかったのではないか、と問いかけたところ、安倍氏はとっさに奇策を思いついて「それはゴルフに対する偏見だ。今はゴルフはオリンピックの種目にもなってる立派なスポーツだ」などとまくし立てて、周りにいる人々やテレビ視聴者は「目が点」になったのでしたが、ツイッターでは、次のような反応がありました。このような反応の他に目についたのは、安倍氏の「ゴルフはオリンピック種目だ」という反論を、「許認可権限をもつ総理」と「申請者」の「不適切な交際」を指摘されたことに気づかずに、「ゴルフは総理大臣に相応しくないスポーツだ」と言われたかのように「勘違い」して、安倍氏はあのような「反論」をした、幼稚な反応だという指摘です。しかし、私はそうは思いません。私は安倍氏がそこまで幼稚とは考えられない。むしろ、彼は質問の主旨をよく理解していて、これにまともに応えると益々自分の方の分が悪くなるので、ここで敢えてとぼけて、故意に勘違いしたかのように演技して、周囲があっけに取られるのを見届けて、それで急場をしのいだだけだと思います。単なる「幼稚」どころではなく、「悪質性」という点で二枚も三枚も上手なのだと思います。
2018年09月20日

中央公論から「日本軍兵士」(中公新書)を出版した一橋大学大学院特任教授の吉田裕氏は、8月12日の「しんぶん赤旗」日曜版で、73年前の戦争がどのようなものだったのか、次のように語っています; 8月15日はアジア・太平洋戦争が終結した日です。今年で73年。日中戦争期を含む日本人の戦没者数は310万人に上りました。うち軍人・軍属は230万人。その一つ一つの「死の現場」について文献を読み解き、明らかにした吉田裕(ゆたか)・一橋大学大学院特任教授に、戦場の現実について聞きました。<本吉真希記者>――吉田さんは昨年末、『日本軍兵士-アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)を出し、発行部数は14万部を超えました。 近年、日本軍を礼賛する本が目立ちます。 ”戦争”が消費の対象になることはこれまでもありました。1960年代の週刊少年漫画は戦記もので一色でした。その後、非現実的な「架空戦記」が小説やゲームでブームになりました。 ただ、少年漫画にはあまり人殺しの場面はないし、架空戦記には日本軍のレイプなど戦場の暗部を描くものもあるなど、単純ではありませんでした。 ところがいまの礼賛ものは、日本軍の賛美に終始しています。 全戦没者310万人のうち推定9割が戦争末期の44年以降、わずか1年間で亡くなっています。 『日本軍兵士』を読んで初めてその事実を知ったという反応がかなりあり、戦場体験が継承されていないのではないかとショックを受けました。 生身の人間が殺し殺される戦場の残酷さに目を向けなければ、自衛隊の海外派兵で何が起こり得るのかを想像する力は持てません。戦場の現実を前提にしないと、9条改憲をめぐる議論も非常に観念的になります。 俳人であり、元兵士の金子兜太さんが繰り返し強調した「死の現場」を直視する必要があります。◆戦争栄養失調症――戦場での日本軍兵士たちの死はどういうものだったのでしょう。 第一に、異常に多いのは戦病死者です。戦争が長期化するにしたがって増大しました。中国に駐屯したある歩兵連隊の部隊史を見ると、44年以降の戦病死者はこの時期の戦没者の73・5%にもなります。 その多くを占めるのが餓死です。 軍人・軍属の戦没者230万人のうち、栄養失調による餓死者と、栄養失調に伴う体力消耗の結果、マラリアなどに感染して病死した広義の餓死者の合計は61%=140万人に達すると推定されています。(藤原彰著『餓死した英霊たち』) 第二に、極度の痩せや食欲不振、貧血、慢性の下痢になる兵士が多発しました。それらは栄養不足や戦闘による心身の疲労など、戦場の過酷さに起因するものです。日中戦争初期から「戦争栄養失調症」として知られていました。 第三に、戦局の悪化に比例して精神病患者は増大しました。とくに44年は前年の倍以上に跳ね上かっています。(グラフ) 兵士の損耗を補充するため、日本の軍隊内には「弱兵」や「老兵」が急速に増えました。これに対し米軍の戦力は飛躍的に上がり、一方的な殺りくが展開されました。戦場そのものが凄惨(せいさん)になるにつれて、精神的に病む兵士が増えていくのです。 このような「戦争神経症」は日本でも近年、研究が進みつつあります。イラクやアフガニスタンから帰ってきた自衛隊員の自殺など、実際問題として対応せざるを得なくなっているからです。◆限界こえた戦線――戦闘以外の死を多数生んだ原因は何でしょう。 日本軍は国力の限界を超えて戦線を拡大し、その上、作戦至上主義で補給や衛生を一貫して軽視しました。 大量の餓死者を出した最大の原因は、制海・制空権の喪失によって日本軍の補給路が完全に寸断され、深刻な食糧不足が発生したからです。 他にも、輸送船の沈没に伴う海没死者は35万8千人に上りました。 過酷な行軍や絶望的な戦闘、厳しい軍隊内の私的制裁に生きる意志を失ったり、捕虜になることを恐れたりして自殺した兵士がかなりいました。 日本は傷病兵に関するジュネーブ条約を35年に公布し、傷病兵が捕虜になることを一度は容認しました。ところが41年に出された戦陣訓は、捕虜になることを事実上禁じました。その結果、自殺者が確実に増えました。 戦場では歯磨きをする余裕さえなく、虫歯を持つ将兵が増大しました。深刻な凍傷や水虫もまん延しました。水浸しの軍靴を履き続けたためです。 歩兵の場合は、体重の50%を超える装備を身につけて行軍しました。自分の体重に近い量を背負った兵士もいました。その負担がどれだけ過酷か、想像してほしい。 こうした日本軍の極端な人命軽視の体質が、多くの日本人の死者を生み、さらにはアジアの2千万人の命を犠牲にしたのです。2018年8月12日・19日合併号「しんぶん赤旗」日曜版 31ページ「残酷な戦場見ない改憲論は観念的」から引用 この記事で、吉田裕氏は「戦争体験が継承されていないのではないかとショックを受けた」などと言ってますが、わが国の学識経験者として少し認識が不足ではないかと思います。戦後の日本政府は概して戦争に対する反省が乏しく、共産党議員から「日中戦争は侵略戦争であったことを認めるか」と質問されて「いかなる戦争であったかは将来の歴史学者の判断に委ねる」などと誤魔化してきており、学校教育の歴史の授業なども「かつて戦争がありました」程度の話でさらりと過ぎてしまうような実態ですから、その程度の教育しか受けていない者が社会に出て、たまたま夏に靖国神社の脇を通りかかって「あれはアジアの植民地を解放する聖戦だった」などというデタラメの宣伝にコロリと騙されて「なるほど、そうだったのか」と、虚構の愛国心に絡め取られることになるわけです。わが国政府も、外に向かっては「慰安婦の悲劇を二度と繰り返さないように、歴史研究や教育の場を通じて後世に伝えていきます」などと当然の態度表明をしてはいるものの、いまだ実現してはいません。吉田氏の著作がもっと多くの国民に読まれて、正しい歴史認識が普及することを祈るばかりです。
2018年09月19日
日本列島の災害と安全保障について、法政大学教授の山口二郎氏は9日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 猛烈な台風が関西を襲った直後、北海道では大地震が起きた。日本中どこにいても大規模な自然災害に襲われる可能性があるという自明の事実を改めて教えられる。この危険な列島に住む我々にとっての安全保障とは何か、本気で考えなければならない。 人命救助や復旧のために奮闘する現場の人々には頭が下がる。現場の献身的頑張りに依存するシステムはすぐに破綻する。政治家の宣伝のために復旧を急げと指図だけするのを見ると、腹が立つ。政治家の仕事は、復旧に必要な人手と予算を十分確保することである。 これからこの種の災害が頻発することを前提に、予算の使い方を見直すことも政治の課題である。民営化されたJRでは、災害で線路が破壊されると、それを奇貨として復旧をサボり、赤字路線を廃止に追い込むという事例が何件も起こっている。北海道の農村部で災害が起こると、政府がこれをまねて、復旧のコストがかかるからと地域社会自体を見捨てることだって起こりかねない。 安倍首相は北朝鮮のミサイルに対しては過剰に反応し、国民を守ると豪語した。しかし、ミサイルよりもはるかに高い確率で、災害によって人命は奪われる。国民の命を守るために金を使うことを優先するなら、米国の軍需産業をもうけさせるために高価な武器を買うなどもっての外である。(法政大教授)2018年9月9日 東京新聞朝刊 11版 25ページ 「本音のコラム-災害列島の安全保障」から引用 この数年は豪雨や大洪水という災害が多いような気がします。異常気象のせいということもあると思いますが、安倍政権になって防衛予算ばかりが増額されており、その裏では災害対策としての治山治水の予算が減らされているのではないかと心配です。北海道の地震と大停電のニュースにかき消されて、岡山や大阪の水害のニュースはかすんでますが、被災者救援もしっかりやってほしいと思います。
2018年09月18日

森友学園が国有地を購入するに当たって総理の関与があったのか無かったのか質問されたとき、安倍氏は「もし私や私の妻が関わっていたということになれば、私は総理も国会議員も辞める」と明言したことは、今も多くの国民が記憶しているところであり、その発言を聞いた当時の財務省の官僚は慌てて決裁文書の中の「昭恵夫人」関連の記述を削除するという「改ざん事件」まで起こしてしまったのであった。だから、自民党総裁選の公開討論会の場で安倍氏のうっかりした発言には多くのツイッターが反応しました。安倍氏は「関わっていたなら辞める」発言から1年くらい経って、その発言が元で公文書改ざんが行なわれたことが明らかになったとき、「あの時の発言の意味は、贈収賄が絡んだ関わり方という意味だった」などと言い逃れをしており、「そういう言い逃れはおかしい」と味方であるはずの読売新聞・論説委員からも批判される始末で、こういう人物が総理大臣に相応しいと言えるのかどうか、国民はよく考える必要があると思います。
2018年09月17日

安倍首相の公人としてあるまじき、呆れた言動について、精神科医の香山リカ氏は今月初めに次のようなツイッターを書いている;「地上波放送局の考査に引っかかるような」とは、中立公正の精神を謳った放送法に引っかかるということで、実際に安倍首相が出演したテレビはかつて「ヘイト」番組を放送してBPOから警告を受けた放送局であり、分かりやすく言えば、こういうテレビに出演するということは、暴力団と付き合うのと同じことになるので、常識を持った政治家であれば評判が悪くなるのを恐れて近寄らないのが普通であるが、なにしろ「一強」を誇る天下の自民党総裁ともなると、評判もヘチマもまったく眼中になく、ただ居心地がいい番組に出ることしか考えていない。わが国の総理大臣も品位が落ちたものだ。こういう人物を今後も総理大臣にしておいていいのか、国民はよく考えるべきだ。
2018年09月16日

集英社新書から「保守と大東亜戦争」を出版した東京工業大学教授の中島岳志氏は、9日の「しんぶん赤旗」に次のように書いている; 政治学者で東京工業大学教授の中島岳志さんが、新著『保守と大東亜戦争』を出しました。「リベラル保守」の立場から戦中・戦後の保守の在り方を考察し、安倍晋三首相を「保守ではない」とズパリ指摘。安倍政権を倒すための野党共闘への期待を語りました。(田中倫夫記者)<自らを「リベラル保守」という中島氏。90年代中期以降、保守の一部から台頭してきた「『大東亜戦争』(アジア・太平洋戦争)は正しかった」という論調に、強い違和感を持つたといいます> 戦前の日本では、大東亜戦争を正当化するために、「五族協和・王道楽土」とか「大東亜共栄圏」「八紘一宇」などというスローガンがもてはやされました。このスローガンの意味することは、国家を超えた世界を、天皇中心の神聖政治で構築できる、というものです。 保守の一部論者は90年代中期以降、「慰安婦」問題で政府の見解を明らかにした河野洋平官房長官談話(93年)や、侵略と植民地支配を謝罪した戦後50年の村山富市首相談話(95年)への攻撃を開始します。「大東亜戦争は正しかった。解放戦争だった」という歴史修正主義というべきものです。私は、保守を標榜している人たちがなぜこのような議論に陥っているのかが不思議でした。そこで、その前の世代、戦争を体験し、戦後活躍した保守の論客たちがどういう議論をしていたのか、改めて調べなおそうと思いました。◆戦争への懐疑 <中島氏が『保守と大東亜戦争』で取り上げたのは、戦後保守論壇で活躍した猪木正道、福田恒存(つねあり)、池島信平、山本七平・・・。戦後民主主義や日本共産党を激しく批判してきた人たちでもあります> 結論からいえば、彼らは大東亜戦争にきわめて懐疑的な見方を示していました。戦争に至るプロセス、イデオロギーに同調できなかった。たとえば文芸春秋社の第3代社長となる池島信平は、こう書いています。 「朝、社へ出勤してみると、この人達の或る人は声高らかに自分の机で古事記を朗誦している。或いは日本書紀を朗誦している。そして私の顔を見て、これ見よがしに、日本精神のないヤツがやって来たねというような顔をする」(『雑誌記者』) 『日本人とユダヤ人』『「空気」の研究』で知られる山本七平は陸軍に入隊し、激しいリンチに直面しました。軍内部で冷静な分析やリアリズムがなくなり、大言壮語ばかりがはびこるという、「空気の支配」の非論理性を告発します。 歴史学者の林健太郎は、アジア諸国が独立したのは「日本のおかげ」とする「東亜解放のたたかい」論に、「賛同しない」「歴史の事実に反している」(『東京裁判史観というもの』)と批判しています。 戦前・戦中派の保守は、大東亜戦争を賛美せず、反対していたのです。私は、哲学者の故・鶴見俊輔さんから生前、こう言われました。「あの戦争に至ったのは、日本が保守化したからではまったくない。むしろ、保守が脆弱(ぜいじゃく)であり、弱体化したからだ」と。《 全身で強度を守ろうとしだ翁長さんこそ真の保守 》◆妥協点を探るくその視点から今の安倍政権をみると・・・> 本来、保守というものは、人間の理性は完全ではないと考えています。違う意見が野党から示されれば、まずは対話、議論をする。相手の言い分に道理があると思えば、調整して妥協点を探る。だから、昔の自民党は議会でもそれなりに野党のいうことに耳を傾けてきました。 私の尊敬する大平正芳元首相は、「政治は60点でなければならない」といっていました。60点とればいいのではない。60点でなきゃだめ、野党に40点は与えないといけないということです。 しかし安倍さんのキーワードは「この道しかない」で、野党や国民のいうことなど聞く耳持たない。国会で議論せず、時間が過ぎれば最後は強行採決。選挙にさえ勝てば「民意を得た」とやりたい放題です。 これはおよそ保守のとる態度ではありません。戦前の右派政治、軍人の政治に似ています。安倍さんは保守ではありません。 安倍さんが尊敬してやまない母方の祖父・岸信介氏は、2・26クーデターの思想的バックボーンだった「国家社会主義者」の北一輝を尊敬していました。天皇中心の国家改造をめざすいわゆる「革新」官僚だった岸氏は、満州で統制経済の「理想国家」をつくり、東条英機内閣では商工大臣として戦争の物資動員を担当しました。安倍さんが保守でなく、戦前の右派政治、軍人の政治に似ていることもわかります。 <安倍政治に、まじめな保守はついていけないということなのでしょうか> TPP(環太平洋連携協定)で日本農業をつぶしたり、「働き方改革」で「残業代ゼロ」制度をつくったり・・・カジノにしろ、水道民営化にしろ、種子法廃止にしろ、どれをとっても保守が共感する政策ではありません。それに反対している共産党の論理の方が、私のような保守には圧倒的に賛成できます。共産党の「日本の農業を守り、国土を保全せよ」との主張を素直に読めば、その正しさは明らかです。 「まじめな保守」とは、亡くなられた沖縄の翁長雄志知事のような政治家のことです。立場を超え、郷土を守ろうとする。私は翁長さんが全身で示した「保守」の態度を受け継ぎたい。 安倍政権がいつまでも続くわけではありません。野党は共闘し、政権をとることを本気で考えるべきです。共産党にも閣僚を出すぐらいの責任をとってほしい。参院選、総選挙と共闘を積み上げ、野党は、少なくても3年間は政権をやれる体制をつくってほしいですね。なかじま・たけし=1975年大阪生まれ。京都大学大学院博士課程修了。北海道大学大学院准教授を経て、東京工業大学リペラルアーツ研究教育院教授。専攻は近代日本政治思想史、南アジア地域研究。『中村屋のボース』『「リベラル保守」宣言』『保守と立憲』など著書多数2018年9月9日 「しんぶん赤旗」日曜版 3ページ 「安倍首相は保守ではない」から引用 安倍晋三という政治家が保守の政治家ではないという指摘は重要だと思います。彼が保守の政治家だということになると、保守を標榜する政治家が全員彼に賛同するのが当たり前ということになって、石破氏のような行動をとることが「保守」に敵対する者と見なされるようでは、日本は過去の過ちを繰り返す羽目になります。例えば「日本の農業を守り、国土を保全する」とか「憲法を護る」というスローガンは、保守にこそ相応しいものですが、安倍氏の言動も安倍内閣の政策も、ことごとくこれらのスローガンに反するわけですから、安倍氏が保守政治家ではないことは明白だと思います。
2018年09月15日
憲法遵守義務を負う安倍首相が自衛隊幹部を集めた会合で自らの改憲意欲を公言したと、4日の神奈川新聞が報道している; 安倍晋三首相は3日午前、防衛省での自衛隊高級幹部会同で訓示し「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは今を生きる政治家の責任だ。私は責任をしっかり果たしていく決意だ」と述ぺた。持論である憲法9条への自衛隊明記に意欲を示した形だ。 野党や有識者から「憲法99条が定める閣僚らの憲法尊重擁護義務に反している」(共産党の小池晃書記局長)と批判が相次ぎ、自民党ベテラン議員も困惑の声を上げた。 首相は幹部らに対し「(自衛隊に対する)心ない批判にさらされたこともあったと思う。自衛隊の最高指揮官、そして同じ時代を生きた政治家としてじくじたる思いだ」とも語った。 小池氏は記者会見で、会合の性格を考慮すれば、自民党総裁でなく首相としての発言なのは明白だとして「擁護義務を土足で踏みにじる暴言だ」と非難。水島朝穂早稲田大教授(憲法学)は「憲法を順守すると服務の宣誓をした隊員に対し、最高指揮官の首相が改憲を説いたと受け取られかねない。これも首相のおごりの表れだろう」と断じた。 自民党のベテランは「従来の首相のスタンスを踏まえれば、改憲に直結する言葉だ。なぜ現役自衛官を集めた場で言わねばならないのか」と指摘した。 一方、菅義偉官房長官は会見で、憲法改正に対する強い意欲を示した発言ではないかと問われ「今までと同じ発言。政府としてコメントは控える」と述べた。公明党の山口那津男代表は記者団に「自衛隊に対する政府の姿勢を確認した発言だと思う。静かに見守りたい」と語った。 首相は3日夕、公邸で開いた高級幹部会同出席者との懇親会で「首相の最も重要な責務は国民の命と平和な暮らしを守ることだ。この責務を支える皆さんと心を一つに、しつかりと力を合わせていきたい」と強調した。2018年9月4日 神奈川新聞朝刊 A版 2ページ 「首相、自衛隊幹部に改憲意欲」から引用 安倍首相も自衛隊幹部も公務員として憲法を遵守する義務を負う立場であるから、公の場で公然と「改憲」を語るのは「憲法違反」である。安倍氏は今回に限らず、過去にも右翼団体の集会にビデオメッセージを送るとか、商業新聞に憲法改正の考えを掲載すると言うような不適切な行動を何度も繰り返しているが、野党もメディアもこれを十分に批判しないので、彼は図に乗って不祥事を不祥事とも思わないで繰り返している。現憲法を制定する作業に携わった人々は、まさか安倍氏のような非常識な政治家が出現するとは夢にも思わなかったのかも知れないが、現実にこういう事態が起こりうるのであるから、今後憲法を改正するときには、憲法違反で「有罪」になった場合、首相は懲役50年、自衛官は40年というような「罰則規定」も盛り込むという「改訂」が望ましいと思います。
2018年09月14日
夏の甲子園大会で大活躍した金足農業高校の校歌について、元放送記者の藤田文知氏は9日の「しんぶん赤旗」に、次のように書いている; 甲子園の高校野球大会で秋田県代表の金足農高は、公立校として強豪校を次々に破り、決勝戦まで進出。勝利するたび選手たちが体をのけぞらせて高らかに校歌を歌う姿は感動的でした。 この校歌は誰が作ったのかと思っていたところ、「しんぶん赤旗」(8月23日付)の「潮流」が教えてくれました。「校歌の作詞者は近藤忠義さん。近藤さんは戦前、治安維持法違反で検挙され、敗戦は獄中で迎え、戦後は共産党に入党、民主的な文学研究に従事された」人でした。 近藤さんが検挙された治安維持法について同18日放送のETV特集「自由はこうして奪われた~治安維持法10万人の記録~」は、膨大な政府資料をもとに、この悪法による検挙者のデータを分析しました。映像化が難しいテーマをCGやグラフ、証言などを駆使して見事に構成しました。 治安維持法は1925年、戦前の絶対主義的天皇制の下で、「国体」の変革などを掲げた共産党を弾圧するために制定されたものですが、その後、2度、改悪。集会を企画しただけで検挙される「目的遂行罪」などに姿を変え、共産党の目的を助けたという口実で、自由主義者なども弾圧の対象になりました。 番組によると、検挙者は、把握できるだけでも国内で6万8332人、植民地支配していた朝鮮や台湾では3万3322人、合計10万人を超えています。日本政府は依然として謝罪や実態調査を拒否しています。 番組では師範学校時代に日常の絵を描いただけで検挙された97歳の男性が当時の模様を詳細に語りました。103歳の男性の証言も放送されました。歴史の証言は貴重です。 治安維持法が拡大解釈され、”普通”の人々が次々に検挙された実態が明らかになりました。政府与党が昨年夏、強引に成立させた「共謀罪」で、天下の悪法、治安維持法が息を吹き返してこないかと寒気がしてきます。(ふじた・ふみとも=元放送記者)2018年9月9日 「しんぶん赤旗」日曜版 35ページ「メディアをよむ-金足農校歌と治安維持法」から引用 わが国政府が昔、治安維持法という法律で多くの国民の人権を踏みにじったことについて、政府は実態を明らかにし遺族と国民に謝罪するべきです。慰安婦問題の他に、朝鮮人中国人強制連行問題、731部隊の問題、南太平洋の島々に置き去りにされた日本兵の遺骨の問題等々、先の戦争の未解決問題が残っていることを、私たちは忘れてはならないと思います。
2018年09月13日

自民党の総裁選挙に出馬した石破議員が、選挙スローガンに「正直」「公正」と書き込んだら、党内の議員から「個人攻撃はするべきでない」と批判されて、一度は引っ込める事態にまでなり世間のヒンシュクを買ったのであったが、これが実は紛うかたなき自民党員の価値観であり実態である。いくら安倍一強と言っても、どこまで安倍にゴマをすれば気が済むのか。しかし、2年後に東京でオリンピックが開催されて、だれが選手宣誓をするのか知りませんが、言葉には気をつけなければなりません。安倍氏は選挙が公示されてすぐに、公開討論からこそこそ逃げるようにロシアへ行くし、それまでは公示日をギリギリまで延ばして、その間、地方の党員を首相官邸に招待して接待するなど、おのれの立場を不当に利用して票を増やそうとする、およそフェアプレイの精神からほど遠い態度である。したがって、オリンピックなどという晴れがましい場所で「フェアプレイ」などと言ったのでは、安倍氏は自分に対する当てこすりだと立腹するのではないかと思われます。そこで、したのようなツイートが出てきたわけです。2つめのツイートも実にこっけいです。食品を提供する仕事では、「清潔」であることは実に大切な基本であって、その基本を「宣伝」すると、他店を「攻撃」することになるのでしょうか? 正に「語るに落ちる」の標本みたいな話で、しかし、私たちの「政治」がこういうレベルでいいのかと考えたときには、笑ってばかりもいられないという問題が、あるわけです。
2018年09月12日
最近の新聞を読んだ感想について、武蔵大学社会学部教授の永田浩三氏は2日の東京新聞に、次のように書いている; わが家のテレビの前には大きな箱があり、気になる新聞記事を切り抜いて放り込む。いっぱいになるとえり分け永久保存版だけ残す。8月は残しておきたい記事が多かった。 8月12日の社説は、「米騒動」から百年にあたって、ジャーナリズムの役割を歴史的に考察している。富山で始まった「女一揆」は新聞報道によって全国に広がった。寺内正毅内閣はそれに危機感を抱き、騒動の翌月には全国の新聞に報道を禁じた。 これに怒ったのは、東京新聞を発行する中日新聞社の前身のひとつ名古屋新聞だった。米価高騰は政府の無能、無知、無定見が原因だとして退陣を迫った。もうひとつの前身・新愛知新聞の主筆は桐生悠々。「起てよ全国の新聞紙!」と、ジャーナリストの連帯を呼び掛けた。内閣弾劾の声が広がり、報道禁止令は事実上撤回され内閣は倒れた。 12日の社説は歴史の記述にとどまらない。「わたしたちは、政権に批判的な新聞との対決姿勢を強める安倍晋三政権と向き合います」ときっぱりと書いた。新聞は権力の道具ではなく、読者市民とともにあるべしと宣言する社説に心が揺れた。 19日の1面は明治期の民間憲法草案「五日市憲法」を紹介していた。あきる野市の土蔵で発見されたのは半世紀前の8月。五日市憲法は国民の権利保障に力点が置かれ、いまの日本国憲法に近い内容が盛り込まれている。発見者の歴史学者・新井勝紘さんは言う。「明治政府は自由や権利を切望する人たちの声にまったく耳を貸さず、大日本帝国憲法を天皇の名において制定し、国民に押し付けた。以後戦争に突き進んだ歴史をきちんとみなければならない」 この日の2面には、「自民党総裁選2018改憲の行方」の連載3回目、「緊急事態条項の創設」の記事が載った。候補の石破茂氏は、9条改憲よりも積極的だ。災害や海外からの武力攻撃を受けたときに、国民の移動を制限し、車や家を所有者の許可なく処分できるようにしたいそうだ。こうした「私権の制限」は災害対策基本法でも可能なのになぜ急ぐのか。もうひとつ緊急事態で求められるのが「国会議員の任期延長」だ。しかし、と思う。先日の大水害のさなかでの「赤坂自民亭」に象徴されるように、与党議員が被災に対して心を寄せ、奮闘しているとは言い難い。そうではない議員もいるとは思うが、永田町のなかの権力闘争や、政治家自身の私権の拡大に一生懸命な気がしてならない。 社説や記事は、しばしば歴史の節目に着目し、そこから現代を生きるわれわれに気づきを与えてくれる。今後も永久保存版にしたい紙面を連打してほしい。それが日本社会をよりよくする道だと思う。(武蔵大学社会学部教授)2018年9月2日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ 「新聞を読んで-新聞は権力の道具でない」から引用 憲法に緊急事態条項を書き加えようという意見には大きな疑問がある。第一は、上の記事が指摘するように、わざわざ憲法に書き込まなくても現在の災害対策基本法で十分に対応が可能だからである。しかも、先日の西日本の大水害のときも、憲法に不備があって救援活動に支障があったなどということは皆無で、それどころか、大水害の真っ最中に総理大臣を初めとして政府要人が国会内で酒盛りをしてピースサインの記念写真などを撮ったりしている始末だった。したがって、緊急事態に関しては憲法に不備があるのではなく、政府要人の「自覚」が足りないという問題こそが重大なのであって、これは憲法を改正して解決するものではなく、政権を交代させて内閣のメンバーを入れ替えなければ解決しない問題である。
2018年09月11日
言論の自由を認めようとしない安倍政権の政治手法について、法政大学教授の山口二郎氏は2日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 9月に行われる自民党総裁選と沖縄県知事選挙は、安倍晋三首相の政治手法を如実に物語る機会となった。それは、権力者に異論を唱えるものを力ずくでねじ伏せて、唯我独尊の政治を追求することである。 自民党総裁選において反主流派の存在自体を許さないという安倍陣営のいきりたち方は異様である。沖縄でも、辺野古新基地建設に反対する沖縄県に対してあめとむちで圧力を加え、中央政府に反対しても無意味だと、県民の心を折ろうとしている。 自分に対する異論を許さない権力者は、自分よりも強い権力者には異論を唱えず、追従する。日朝の実務者が秘密会談を行ったことに米政府が不快感を示し、トランプ大統領が真珠湾を忘れないと発言しても、日本として反論をした形跡は見られない。これこそ卑怯な権力者の真骨頂である。 外交であれ、民主政治であれ、異論は不可欠である。8月30日付の琉球新報で、元米外交官のモートン・ハルペリン氏が、沖縄返還について米国に遠慮していた日本政府に、日本から返還を強く要求しなければ米軍統治に批判的だった穏健派の米外交官の問題意識が政策化されないと説得した経験を記していた。 自由な異論が飛び交う国内の民主政治があってこそ、政府は外国に対しても国益を主張して本物の交渉ができるのである。(法政大教授)2018年9月2日 東京新聞朝刊 12版 27ページ 「本音のコラム-異論と権力」から引用 反主流派の存在自体を許さないという姿勢は「現職がいるのに、対立候補として立候補するということは、現職に止めろと言うのと同じ(だから、許されない態度だ)」と安倍氏が発言したことを指している。安倍氏のこの発言の主旨は「オレが現職としている限りは、対立候補の存在は許さない。逆らって立候補するなら、徹底的に干す」と、このように党内を恫喝しているのであるから、もはや独裁政治である。実際に、国会は与党が3分の2を超える議席を占めており、最高裁判所には息の掛かった元加計学園理事を判事として送り込んでおり、どんな裁判でも政府に不利な判決はでる可能性はない。このように後退してしまった日本の民主主義を、どのようにして再生するか、国民は考えなければならない。
2018年09月10日
かつて安倍首相が下関市長選挙の選挙妨害を暴力団に依頼した事件を調べているジャーナリストが不審な怪我をした事件について、1日の「日刊ゲンダイ」は次のように報道している; 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」が28日付で<日本は、首相とヤクザの関係を調査するジャーナリストの不審な転落事故を捜査しなければならない>との声明を出した。過去の山口県下関市長選を巡る安倍事務所の”火炎瓶騒動”を取材するジャーナリスト・山岡俊介氏が遭った不審な転落事故について、当局による捜査を要請。安倍の過去の重大疑惑は、いよいよ世界の知るところとなった。 火炎瓶騒動とは、1999年の市長選で、安倍事務所が支援候補を当選させるため、暴力団に対立候補の中傷ビラまきを依頼し、500万円の報酬を300万円に値切ったため、自宅に火炎瓶を投げ込まれたとされる事件だ。国会でも指摘され、「#ケチって火炎瓶」のツイートが話題を呼び大炎上している。 この事件を長年追及する山岡氏は8月7日夜9時ごろ、東京・新宿アルタから地下鉄駅に通じる階段上から転落。肩を骨折し、額を7針縫う全治1ヵ月の大ケガを負った。山岡氏に当時の状況を聞いた。 「後ろから押された感覚はありませんが、当時、私は酔っていたわけでも、体調が悪かったわけでもありません。体力には自信がある方ですから、普通なら踏ん張ったり何かにつかまろうとするはず。ところが、救急車を呼んでくれた方によると、前転するように上から下まで真っ逆さまに転げ落ちたといいます。私は過去に脅迫状を自宅に送り付けられたこともありますから、今回の一件も何かしらの力が働いたと疑わざるを得ません」 RSFは声明で<(山岡氏が)取材していた対象を考慮すると、このような不自然な転落は本格的な捜査に値するが、現在行われていない>と指摘。<日本のジャーナリストは、安倍首相が12年に政権を取って以来、自分たちに対する不信と敵意の雰囲気があると不満を抱いている>と、安倍政権の報道に対する姿勢まで批判している。世界に拡散しつつある「#ケチって火炎瓶」疑惑。このまま放置していいのか。 「『報道の自由度ランキング』を年1回、公表するRSFは、第2次安倍政権の発足以降、日本のランク急落を憂慮しているのでしょう。十数年前の事件とはいえ、安倍首相はキチンと釈明しなければ、国際社会に不信感を与えるだけです」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学) 総裁選前だからと、ダンマリは許されまい。2018年9月1日 「日刊ゲンダイ」 2ページ 「『#ケチって火炎瓶』騒動、いよいよ世界に拡散」から引用 安倍晋三氏の自宅に暴力団が火炎瓶を投げつけた事件は2000年6月に起きたもので、裁判の過程で被告は「安倍氏から選挙妨害の依頼を受けて実行したが、約束の金額が支払われなかったので腹いせに火焔瓶を投げつけた」と証言し、その証言は法廷で事実認定されているわけで、安倍氏が十数年前に暴力団に選挙妨害を依頼しカネを支払ったのは、もはや既定の事実である。今年の国会でもこの件を追及された安倍首相は「この事件では、正に私と妻が就寝中に玄関先に火炎瓶を投げ込まれた、言わば私は被害者なのであってですね、、、、」と話をすり替えて「問題はない」ということになっているのは、おかしなことで、何故野党やメディアが「安倍氏と暴力団は、仕事を依頼し報酬を支払うという関係であった」という点を「問題」として取り上げなかったのか、不思議に思います。ちなみに、当ブログでは2016年2月12日の蘭に、この問題を報じた「週刊金曜日」の記事を引用したので、山本太郎議員がこの問題を国会で取り上げて以来、多くの人々がインターネットで検索をかけるようで、たまたま当ブログもそれに引っかかるらしく、アクセス数が一気に数千にも上って私も「何が起きたのか」焦りましたが、この「2月12日の蘭」がたまたま引っかかっていただけだったのでした。今も毎日、100前後のアクセスがあり、当ブログの中でダントツのトップです。
2018年09月09日
自民党の総裁選挙について、4日の神奈川新聞は次のように報道している; 自民党総裁選(7日告示-20日投開票)で連続3選を目指す安倍晋三首相(総裁)の陣営は3日、選対本部の発足式を東京都内のホテルで開き、国会議員230人が出席した。秘書ら代理出席を含めると346人となり、党所属国会議員405人の約85%を占めた。対決する石破茂元幹事長の支持議員が開催した同日の選対会合には議員18人が出席。石破氏は西日本豪雨に遭った岡山県を視察し、持論とする防災省設置を訴えた。 選対本部発足式は事実上の総決起集会。首相は「地方の声に今まで以上に耳を傾けていきたい」と地方重視をアピールした。森友、加計学園問題などの政権不祥事を念頭に「私の不徳からさまざまな批判があり、皆さんにかぷっていただいた」とした上で「そういう時こそ一致結束。それがわが党の強さだ」と団結を求めた。選対本部は、本部長に橋本聖子参院議員会長、事務総長に甘利明元経済再生担当相が就任した。 これとは別に、先月末に出馬を断念した野田聖子総務相は首相支持を首相に伝達した。 その後、首相は東京都立川市の党員集会で「新しい時代の国造りをしなければならない。あと3年、総裁を務める決意をした」と呼び掛けた。 一方、石破氏は首相の決起集会に多くの議員が集まったことについて岡山空港で記者団に「自民党と国民が考えていることに乖離があるなら、決していいことだと思わない。われわれは国民を見ていきたい」と述べ、党員・党友の地方票獲得に尽力する姿勢を見せた。被災現場の視察を通じ、防災省設置の必要性を実感したと説明した。 石破陣営が国会内で開いた選対会合には、石破派や竹下派参院側の議員、無派閥の渡海紀三朗元文部科学相らが出席。選対本部長の尾辻秀久元参院副議長は「正々堂々、真正面から戦っていきたい」と述べた。 これに先立ち、竹下派の衆院側(34人)が首相を支援する独自の選対本部を設置。本部長に就いた額賀福志郎元財務相ら議員21人と、代理出席の秘書5人が参加した。石破氏を支持する竹下亘総務会長や小渕優子元経済産業相ら8人は欠席した。2018年9月4日 神奈川新聞 A版 2ページ 「首相陣営に議員230人」から引用 森友、加計学園問題などの政権不祥事については安倍首相は一切責任を認めない態度であるが、党内の大部分も国民の大半も安倍首相の指示で行なわれた不正行為であり司法の裁きがあって当然の事案であることは明白で、小泉元首相も「ウソであることはみんな分かっている」と明言している。それでも次期総裁選で安倍氏を支持するということは、それぞれの党員が「正直」や「公正」を投げ捨てて、己の大臣のイスを獲得することが第一と、そういう価値観の輩の集団であることを示している。70年代ころの自民党であれば、不祥事があれば弱小派閥であってもクリーンなリーダーを総裁に選んで自浄作用を発揮したものであったが、今の自民党はそういう政党ではなくなったことを国民は考えるべきだ。首相自身、自分の不祥事について「皆さんにかぷっていただいた」と発言して、濡れ衣ではないれっきとした犯罪の責任を他人になすりつけたことを認めている。その上、こういうときこそ一致結束するのが自分たちの強さだなどといって、一体、わが国の「法と正義」はどうなっているのか、ブラックジョークもここに極まれりといった感じである。
2018年09月08日
最近の新聞を読んだ感想について、中央大学教授の目加田説子氏は8月26日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 8月の東京新聞は広島、長崎、終戦記念日を丁寧に、力を込めて報じた。 権力者の公式発言はむしろ脇役で、主役は被爆・戦争体験者の言葉、戦争を語り継ぐ若者の取り組み、そして顧みられないままの人々の現在、例えば「北朝鮮被爆者 置き去り」(4日朝刊24面)など、民草の過去と現在を報じる記事だった。戦争体験を風化させないためにどう伝えたらいいのか。多くの記者が現場で悩みながらも多様な視点で取材を試み、奔走する日々が目に浮かぶようだった。 社説にも気迫を感じた。「『韓国のヒロシマ』から」(6日朝刊5面)をはじめ、14日から3日連続で「国家は国民を守るのか」「平和をつくるために」「不戦の思いを次世代に」(いずれも朝刊5面)と、戦争を繰り返さない決意が伝わる力作だった。 民草の視点で多くの主張、報道を展開した本紙を読んでいるうちに、戦争を止められなかったのはなぜだったのか、その責任はどこまで広がるのだろうかと、ふと考えた。 ナチスで最も冷酷と恐れられた宣伝大臣、ゲッベルスの秘書が69年の沈黙を破って告白したドキュメンタリー映画『ゲッベルスと私』(今年公開)。秘書はホロコーストについて「自分は何も知らなかった。私に罪はない」と語った。若き一秘書にすぎなかった彼女が、ナチスの戦争に加担したと言えるのか、責任があるのか。 戦前に映画監督として活躍した伊丹万作は「戦争責任者の問題」というエッセーで、多くの人が戦争でだまされていたとの言説について「だましていた人間の数は、一般に考えられているよりもはるかに多かったにちがいない・・・つまり日本人全体が夢中になって互いにだましたり、だまされたりしていたのだろうと思う」と書いている。 「『だまされていた』と平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているにちがいないのである」とも記している(『伊丹万作エッセイ集』ちくま学芸文庫)。つづられたのは昭和21年8月だった。 平和は願うものではなく、反戦・非戦の運動によって闘いとられるものである。平和を「祈る」だけでは十分ではない。安保法制や秘密保護法、そして、今秋にも始まるともされる憲法改正論議の本格化が、どこに向かおうとしているのか。「国家を平和へと向けさせるのは私たちの判断と意思である」(15日朝刊社説)。その通りだ。 見ないふり知らないふりをする私たちに、「今」に潜む危機を執拗なまでに伝え続けること。それが、戦争と平和に関わる報道の重要な使命である。(中央大総合政策学部教授)2018年8月26日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「新聞を読んで-『戦争と平和』報道の使命」から引用 戦争を止められなかった理由は、いろいろ挙げることが出来るが、その一つには文民統制というルールが無かったことが挙げられると思います。天皇も政府も満州事変を拡大する意志はなかったのに、勝手に兵を動員した陸軍をコントロールできなかった。また、メディアが一部国民の好戦的な態度をさらに煽って軍人の勝手な振る舞いを後押ししたことも追及されなければならない問題だと思います。今また安倍政権は「いつまでも議論だけ続けているわけにはいかない」などと言って、あたかも改憲論議がどこかで行なわれているかのように言いつのって国民を騙そうとしている。そういう問題をしっかり報道していくべきだと思います。
2018年09月07日
自民党総裁選挙とタイミングを合わせて代表選挙を行なう国民民主党について、法政大学教授の山口二郎氏は8月26日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 国民民主党の代表選挙が始まった。自民党総裁選挙の陰に隠れて、ほとんど注目されていないが、日本政治における別の選択肢を作るためにはこの党にも奮起してもらわなければならない。 国民民主党については、支持率が低い、何をやりたいのかわからないという冷笑が常套句になっている。支持率を気にしても仕方ない。ただ、党の性格付けがはっきりしないのでは、政党を作った意味がない。 この党の立ち位置を考える際、同時に行われている自民党総裁選挙を対照材料にすればよいと思う。今の自民党は、安倍総裁の下、右向け右の号令の下、ほとんど一枚岩のように動こうとしている。かつての日本を支えた穏健保守勢力、内におけるそれなりの平等、外に対する平和路線を担った経世会や宏池会は絶滅寸前である。 代表選に立候補した玉木、津村両氏には、細かい政策よりも、経世会、宏池会の良い部分を継承し、現代に適応させて、豊かで平和な国を再建するという構想を打ち出してほしい。 穏健な保守層の中にも、最高指導者としての廉恥心を欠いた総理大臣が長期政権を続け、日本社会を分断することに心を痛める人々が大勢いるはずである。 他党と組む、組めないなどと形の話から入るのは、見当外れの極致である。(法政大教授)2018年8月26日 東京新聞朝刊 11版 25ページ 「本音のコラム-国民民主党」から引用 この記事を読む限りでは山口先生は国民民主党に大きな期待を持っているようですが、私はこの政党には期待できないと思います。代表選に立候補した玉木、津村両議員がどういう経歴の持ち主かも知らないし、所詮はこの人たちは去年の総選挙のときに小池百合子に騙されて民主党を壊した人たちであり、民主党を壊して「希望の党」になったはずなのに、それがどう転んで「国民民主党」になったのかよく分かりません。自民党員でもないのに、経世会、宏池会の良い部分を継承するなど、あり得ないのではないかと思います。やはり、政権交代への近道は全野党の共闘です。この全野党の共闘を破壊する役目を持った政党が「日本維新の会」で、ここに新たに「国民民主党」が加わって国会における「安倍一強」がますます強化されたと見るべきではないかと思います。
2018年09月06日
ドイツはナチス時代の加害行為について被害国に謝罪し信頼関係を取り戻したが、日本の場合は、中国や韓国と国交再開はしたものの、これまで教科書問題や靖国問題などが時折問題として再燃するケースがあり、東南アジア諸国の日本帝国主義に対する警戒感も払拭し切れていないという具合で、戦後の日本とドイツの政治姿勢には大きな違いが存在するが、日本とドイツの「違い」は政治姿勢だけではなく、国家財政にもあると、日本総研上席主任研究員の河村小百合氏が8月16日の東京新聞コラムに書いている; ドイツではショイブレ前財務相の在任中、2014年から18年まで収支均衡予算の編成を継続。一般政府ペースでも財政収支は11年以降一貫して黒字を維持。これはその年に新たに生み出す借金、すなわち新発国債はゼロであるのに加え、過去の借金も返済し、後の世代の負担を減らしていることを意味する。 ゆえに独の公債残高規模(一般政府ペースの名目GDP比)は、リーマンーショツク後の約81%(10年)をピークに一貫して低下し、今年はついに60%を切る見通しだ。これに対して日本の同比率は膨張の一途。今年は実に236%に達する見通しで世界最悪。収束の見通しはおよそ立っていない。この差はいったい、どこから来るのか。 日独両国はともに敗戦国として戦後をスタートした。戦中の中央銀行の国債引き受けがハイパーインフレを招き財政は破綻。預金封鎖と通貨交換をやって国民に酷(むご)い国内債務調整による負担を強いたのもそっくりだ。違いはこの歴史を国民にどう教え、語り継いだかであろう。この国の高校の教科書には「預金封鎖はインフレ抑制のために行った」とあるのみ。だから国民は、日本も戦後に財政破綻したことを認識すらしていない。そして高度成長期の自信、慢心が40年たった今もはびこり、できもしない高成長願望にしがみつき、財政再建を怠るのだ。(日本総研上席主任研究員)2018年8月16日 東京新聞朝刊 11版 27ページ「本音のコラム-日独の差」から引用 この記事は正鵠を射ていると言えます。自分の中学高校の歴史の授業を思い返してみても、無謀な戦争の結果、国家経済が破綻したなどという勉強をした記憶はないし、多分安倍晋三氏も同じだと思います。だから気楽に赤字国債を乱発して日銀に買わせて平気な顔をしている。将来の子孫に莫大な赤字を残してどうするつもりなのか。その点、ドイツは将来の負担を軽減するための施策を着実に実行している。どうやら、日本はドイツに完全に負けているようです。
2018年09月05日
来年5月から先の元号について、8月19日の東京新聞は次のように報道している; 政府が来年5月1日の新天皇即位に伴う改元を巡り、中国の古典(漢籍)から採用することが慣例となっている元号の出典に関し、日本の古典も選択肢に入れて検討していることが分かった。平成改元の際も中国文学や東洋史学に加え、ひそかに国文学の専門家へ新元号候補の考案を委嘱していた。古事記や日本書紀といった作品が候補になるとみられる。関係者が18日、明らかにした。 政府は新元号の公表時期を来年2月以降とする方向で選定作業を進めている。元号の条件については (1)漢字2文字 (2)書きやすく、読みやすい (3)過去に使われていない-などと規定している。さらに考案者には意味と典拠(出典)の説明を付けることを求めている。 元号はもともと中国がルーツで、日本で最初に取り入れられたのは「大化の改新」で有名な飛鳥時代の「大化」。以来1300年以上にわたり、日本の元号は中国の古典が出典となり、日本の古典が採用された例はないとされる。 政府が平成改元時、極秘裏に考案を依頼した専門家の中には国文学専攻の市古貞次(いちこていじ)東大名誉教授(故人)が含まれており、関係者によると、日本古典を対象とする場合、室町時代以降の作品は元号候補の対象外とする条件も内部で設けていたという。 当時の政府高官は「日本の古典からも良いものがあれば採用しようとの議論はあった。日本の古典を排除したわけではなく、結果的に選ばれなかった」と説明する。2018年8月19日 東京新聞朝刊 12版 3ページ「新元号 日本古典も選択肢」から引用 元号などというものは日本国内でしか通用しないもので、文書管理や人の年齢を数えるときなど煩雑で甚だ迷惑であるが、中国の古典からとったものだと聞けばそれなり「由緒正しい」印象も持ちます。しかし、これを日本の古典からとなるとちょっと威厳がなくなりがっかりします。発案した人にとっては「斬新なアイデア」かも知れませんが、私は元来が保守主義者ですので、やはり元号はわが国古来の伝統に則り中国古典から選ぶのが良いと思います。
2018年09月04日
昨日の蘭に引用した東京新聞の記事の続きは、東京に修学旅行に来たクルド人中高生が浅草を見学したこと、東京芸術大学の一室でクルド民族の歴史を学習したことなどを、次のように報道している; 2日目に訪れた浅草(台東区)には、クルド人が日本人よりもよく知る街の姿があった。 案内人はアリさん。笑顔を絶やさず巨大な腹を左右に振って歩く姿に、「有名な社長?」と道行く人がスマホを向ける。 2020年東京五輪を控え、浅草寺周辺でもホテルの建設が進む。その現場を、多くのクルド人作業員が担っているという。山と低地を季節ごとに移動しながら牧畜を営む民族にとって、建てたり壊したりはお手のものらしい。 仲見世通り脇の更地になった建設用地の前で立ち止まり、アリさんは解説する。「半世紀前に建てられた建物を解体し、地面の基礎部分を掘る。すると、われわれが目にするのは昔の日本人の骨や墓石だ」 実際、浅草寺から国際通りを挟んだ西側の一帯には江戸時代、寺町が広がっていた。明治に入って凌雲閣をはじめ西欧を模した開発が進み、大正の震災で崩れ、昭和の戦争で焼けた。その過程で、大半の寺が郊外へ移転。人骨や墓、棺おけが多く置き去りにされた。 「発注元に報告すると、『その処分は元請けが考えるから』と言われて終わり。その後どうなったかは知らない」。土産物屋の並ぶ通りを練り歩く参加者に配られたイヤホン越しに、穏やかな声が届いた。 3日目、参加者たちはクルド民族の歴史をさらに深くさかのぼった。 東京芸大(台東区)の教室で、4力国のクルド人が集まってギリシャ悲劇を朗読したのだ。題材は、世界最古の「難民」を扱った悲劇である紀元前の詩人アイスキュロスの「嘆願する女たち」。 ギリシャ文明は、メソポタミア文明を参考に築いたという説がある。メソポタミアは現在、クルドが暮らす地域でもある。ギリシャ悲劇は主に、西欧のオペラの形式で現代まで伝わるが、原初の悲劇には、クルドの響きも含まれていたとの仮説に基づいたワークショップだ。 「この国のほかに、いったいどこの土地が快く迎え入れてくれようか」。ソホラブさんがペルシャ語で、ジャブさんがクルド語で、「日本クルド文化協会」事務局長のチョーラク・ワッカスさん(36)がトルコ語で、順に読み上げる。PortB主宰の高山明さん(49)は「どの発音やリズムを詩として生かし、どの部分を散文化するかで劇の意味は変わる。西欧でオペラが発展する中で忘れられた、それぞれの文化固有の音楽性をよみがえらせたい」と語る。 チョーラクさんは言語学者で、トルコ大使館(渋谷区)で在外投票の選挙委員も務める。2015年の総選挙時には、大使館前でクルド人とトルコ人の乱闘騒ぎがあった。「クルドを巡って語られるのは、紛争の話ばかりだった。今回は日本の人々にわれわれの文化を知ってもらえた」とうれしそうだった。 ツアーの行程は「旅のしおり」としてネットで公開している。足跡を残し、誰でもしおりを参考に旅程をたどれる可能性をとどめておくことで、ツアーを「モニュメント(記念碑)を持てないタルト民族のモニュメントにしたい」(高山さん)との思いからだ。 戦争の犠牲者を悼み、日本の文化を愛し、日本人も知らない歴史の一端を証言する。そうしたクルド人の姿に3日間を通じて接した国際基督教大四年の小田部恵流川(えりか)さん(21)は、「私たちとクルドの人はつながっていると肌で感じた。たくさんのことを教えてもらったし、これからもお互いに学べることがきっとある」と振り返った。<デスクメモ> 見慣れた日本の風景がクルドの人々には、まったく異なって見えていることに驚く。彼らの視線は、日本のマスコミが触れたがらない部分まで容赦なく及ぶため、真にジャーナリスティックとも言える。そんな視線から再発見した日本の実像から、未来へのヒントを考えてみたい。(典)2018年8月19日 東京新聞朝刊 11版 27ページ 「文化・歴史 記憶する記念碑に」から引用 江戸時代にはお寺が並んでいた地区を明治になって洋風の町並みにするためにお寺を移転させたのであったが、その時の移転作業が雑だったために一部の人骨や墓石が置き去りにされ、今も地面を掘ると出てくるというのは驚きです。宗教とか信仰というものに関心が薄い日本人ならではの現象といったところでしょうか。また、メソポタミア文明が古代ギリシャにどのように影響したのかという点も大変興味深く思います。
2018年09月03日

クルド人の中高生が修学旅行で東京を訪れた様子を、8月19日の東京新聞は次のように報道している; 在日クルド人と日本人が共同企画し「新・東京修学旅行」と銘打ったツアーが先月13~15日、都内近郊で開かれた。国を持てず、難民として世界各地に離散するクルド人が「自民族の中高生を案内したい日本」をテーマに旅程を練った。彼らは日本に何を見ているのか。(皆川剛) 郷土ではイスラム国(IS)の戦闘員と銃を手に戦うイラク系クルド人のジャフ・ヒワさん(53)は先月13日、酷暑の東京にいた。 両国・都立横網町公園。1923(大正12)年の関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺を伝える碑の前で、語り部の西崎雅夫さん(58)の話に耳を傾ける。 「朝鮮人が暴動を起こしたというデマを信じた人々が、手足を4人がかりでつかんで火であぶり、次々と川に放り込んだ。6千人が殺されたとされるが、人数には議論がある。当時の朝鮮人に国がなく、公式な調査ができなかったためだ」。西崎さんが説明すると、ジャブさんはつぶやいた。「私だちと同じだ」 ジャブさんが生まれたイラク北部のハラブジャは、イラン・イラク戦争下の88年、フセイン政権軍がクルド系住民を化学兵器で襲った惨劇の舞台。5千人以上が死亡したとされるが、国の調査も謝罪もない。 「春になり、私たちはピクニックの準備をしていた。突然、リンゴに似た匂いが広がり、眠気が襲った。1時間もしないうちに、子を呼ぶ母の声も動物の鳴き声も聞こえなくなった」。震災と戦争で死亡した16万3千人が眠る公園内の慰霊堂で、ジャブさんも通訳を介し、英語で民族の歴史を紹介した。 このツアーは、演劇ユニット「PortB(ポルトービー)」が在日クルド人たちと共同企画した。 クルド人は、独立国家の樹立を望みながら、居住地域がトルコ、イラン、イラク、シリアの4力国に分割され、紛争のため世界に離散。日本に暮らす約2千人も、歴史を保存する公的機関を持てないまま、独自の文化を受け継いでいる。 そうしたクルド人の記憶を、旅を通して共有できないかと、同ユニットの田中沙季さん(31)とトルコ出身のアリ・アイユルディズさん(43)が中心となり、行程を練った。修学旅行の体裁で、主に在日クルド人がガイドとなって訪れた地を案内する。3日間で延べ160人が参加した。 一行はこの日、横網町公園に先立ち、東京入国管理局(港区)を訪れた。十字型の建物の高層階には、クルド人も収容されている。 案内役は、筑波大の博士課程で学ぶイラン系クルド人のソホラブ・アフマディヤーンさん(31)。イランではペルシャ語の四行詩ルバイヤートと松尾芭蕉の俳句を「無常観」を軸に比較し、学位を取った。日本ではディアスポラ(民族離散)を研究する。「国は離散者のアイデンティティーに影響を与える。だが、離散者の存在もその国の政治に影響を与える。クルド人を難民と認めない日本で、自分たちの役割を考えたい」 夕食は、ファミレスの「サイゼリヤ」。味付けがクルド料理に似ているという「辛味チキン」を参加者に勧めながら、ジャブさんは「広島と長崎の後に、世界最悪の虐殺がハラブジャで起きた。二度と起こさぬよう、日本とクルドで連帯したい」と熱っぽく語った。2018年8月19日 東京新聞朝刊 11版 26ページ 「朝鮮人虐殺『私たちと同じ』」から引用 関東大震災の直後にデマが流されて多数の朝鮮人や地方出身の日本人が虐殺された事件は有名であるが、例によって右翼勢力は犠牲者数が正確でないことをあげつらって「そんな事件は無かった」説を流布しようと策動している。この記事には、当時の朝鮮人が国を持たなかったために、正確な被害記録を残すことができなかったと記述されているが、当時は朝鮮半島が日本の植民地になっていたため、朝鮮人には日本国籍が付与されていたのであるから、事件に関する記録を保管する責任は現在の日本政府にある。そのことは当時の日本政府も自覚しており、当時の警察も当たり障りの無いごく一部の朝鮮人殺害事件について取り調べを行ない裁判を行なった記録も残されているが、軍人や警官が関与した虐殺事件については一切が隠蔽されている。この件についても、日本政府は責任の所在を明確にせざるを得ない時がくるのではないかと思います。
2018年09月02日

自民党総裁選挙に立候補した石破茂氏は、スローガンとして「正直」「公正」など4つの言葉を挙げました。すると、ツイッターには「まるで中学校の生徒会長選挙のレベルだ」などと嘲笑する書き込みが出たのでしたが、なんと自民党内では「安倍首相に対する個人攻撃だ。やめるべきだ」という声が上がり、一度は石破氏も「幅広い支持を得るため」引っ込める事態になりました。そのような状況を皮肉ったのが、次のような共産党・小池議員のツイッターです; 安倍政治の本質は、個人的な繋がりを優先する縁故主義、そのことを追及すると質問をはぐらかし、官僚に命じて公文書を改ざんさせる、丁寧に説明すると口では言うが一度も実行したためしがない。挙げ句の果ては、総裁選挙になっても公開討論は逃げ続ける。このように考えると、やはり安倍よりは石破のほうがマシな気がします。
2018年09月01日
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