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犯罪にしろ謀略にしろ、「手口」というものがある。「小泉劇場」が開幕してから、警察や検察は「政治資金」に関する問題を利用して「ある種の政治家」を側面から支援してきた。「ある種の政治家」と対立するライバル、あるいは潜在的ライバルである政治家を攻撃してきた、つまり日本を支配する暴力装置として機能しているということだ。 加藤紘一たちの「反乱」を鎮圧した際の功労者、小泉純一郎が内閣総理大臣に選ばれたのは2001年4月、アメリカでジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した3カ月後のことである。ブッシュ・ジュニアの周辺を固めていた勢力は、ネオコン(新保守)とシアコン(神保守)の親イスラエル派、そしてリチャード・チェイニー副大統領夫妻に象徴される戦争ビジネスの人脈だった。 この勢力は、軍事力による世界制覇を目指し、潜在的ライバルを叩くと1990年代の初頭に宣言している。中東問題ではパレスチナ和平を否定し、イラクからサダム・フセインを排除すべきだとも主張、そのプランは実現した。 逆に言うと、中東問題以外の分野では、新保守/神保守は旧保守と政策に大差はない。社会システムを無視した強者総取りの強欲なレッセフェール的な経済政策を推進するということだ。日本の一部エリートも1990年代からアメリカのエリートとこのシステムを広める下準備をしている。その象徴的な存在は「日米21世紀委員会」だ。 さて、小泉政権は強者総取りの経済政策を一気に進めた。資本主義とは本質的に強欲なものであり、小泉という一個人が日本に持ち込んだわけではないが、それまではある程度、自制が機能していた。その自制がはずれたのである。 さて、小泉首相は総裁選で助けられた田中真紀子を外相に据えるが、小泉の背景を考えれば両者のつながりは不自然。案の定、鈴木宗男との対立を利用さして2002年2月に解任されてしまう。田中と鈴木のふたりが排除されることは、小泉の背景を考えると自然な流れである。 鈴木との対立で排除された政治家には社民党の辻元清美もいる。国会で鈴木を「疑惑のデパート」だと追及していたが、2002年4月には「秘書給与疑惑」で辞職している。似たような資金調達の手口は永田町に蔓延していたと言われ、辻元だけが槍玉に挙がったことに不自然さを感じる人は多かったはずだ。加藤は政治資金流用疑惑で4月に辞職、田中や辻元と対立していた鈴木も2002年6月に収賄容疑で逮捕されている。 9月になると小泉は朝鮮を訪問して金正日総書記と会談、日朝平壌宣言に調印する。この行動をアメリカ政府は怒ったというのだが、そのアメリカの権力層と朝鮮との関係は深い。ジョージ・H・W・ブッシュ、つまりブッシュ・シニアの有力スポンサーである統一協会は、1990年代に莫大な資金を朝鮮に提供している。アメリカの情報機関、DIA(国防情報局)によると、1991年11月末から翌月上旬にかけて統一協会の文鮮明教祖が朝鮮を訪問、その際に「4500億円」を寄付、1993年にはアメリカのペンシルベニア州に保有していた不動産を売却して得た資金300万ドルを香港の韓国系企業を介して朝鮮に送っているのだ。 1980年代には、アメリカの情報機関系企業、GMT(ジオミリテック)はイランからカチューシャ・ロケット弾の注文を受けてイスラエルに武器の調達を依頼、イスラエルの情報機関員は朝鮮で約20万発とも言われる大量のロケット弾を調達しようとした。平壌から直接イランへ相当数のロケット弾が送られたとイスラエルの元情報機関幹部は証言している。 時間を少しさかのぼって1970年代、田中角栄がロッキード事件で失脚した後に中曽根康弘が首相に選ばれる情勢になると、「ある種の勢力」は田中の懐刀だった後藤田正晴を排除しようとしたが失敗し、後藤田は中曽根の監視役になる。こうした状況をマスコミは「田中曽根」と命名したが、その実態は「岸影内閣」だった。それ以降、自民党は岸派の人脈が影響力を強めていく。現在、民主党に「元田中派」の議員が多い一因はここにある。 言うまでもなく、小泉も岸派の流れに属している。1952年に岸信介に近い政治家たちは「新日本政治経済調査会」を結成しているが、このグループに小泉純一郎の父、純也も参加していた。純一郎自身は純也の死後、福田赳夫の書生を務めている。要するに岸派。 岸は「A級戦犯」として巣鴨刑務所に収監されていた時期があるのだが、その刑務所仲間のひとりが児玉誉士夫。1948年12月に岸は児玉たちと一緒に釈放されるが、このふたりにCIAの資金が流れていたとアメリカのメディアは報道している。アメリカの権力者にとって役に立つと判断されたので巣鴨から出られたわけで、CIAの紐付きになった可能性は高いと言えるだろう。その岸の下に集まった政治家もアメリカから好意的に見られてきたはずだ。 警察や検察が政治に介入するのは昨日今日に始まった話ではない。戦前はともかく、戦後になっても当局が「政治的に中立」ということはなかった。(どの国でもそうだが) まず、占領時代に起こった「昭電事件」では、アメリカの軍事強硬派(ウォール街の親ナチス/反コミュニスト派)の意向を受け、ニューディール派の影響下にあるGS(民政局)を攻撃している。 まず、社会党の稲村順三議員が1947年に商工省の役人と昭電関係者との関係について質問、同じ時期に警視庁捜査二課は捜査に着手している。翌年には、民主自由党(吉田茂の自由党と民主党の反芦田派で結成)の高橋英吉代議士が「昭電問題調査要求書」を提出して不当財産取引調査特別委員会で採択され、その翌月に捜査二課は昭和電工の本社を捜索しているが、捜査を指揮していた藤田刑事部長と秦野章捜査二課長が更迭されると、検察の特捜部が登場してくる。警察から検察へバトンタッチされたわけだ。そして12月にはGSが高く評価していた芦田均が逮捕、起訴された。10年後に無罪判決が出ているが。 ところで、このところ問題になっている民主党幹部の献金問題も不可解な面があることは間違いない。小沢一郎のケースでは地検特捜部の行動を元検察官の郷原信郎が批判しているので、その主張を見てもらうとして、鳩山由紀夫のケースも奇怪だ。勿論、決して褒められたことをしているわけではないが、ほかの政治家に比べて悪質だと言うことは決して言えない。自腹を切って政治活動している政治家と、企業献金を受け取って大企業のために政治活動し、日本社会を破壊した政治家のどちらが日本という国にとって良くないのか、言うまでもないだろう。占領時代にアメリカの権力者が警察や検察の内部に築いた支配システムは今でも生きているとしか考えられない。
2009.11.26
ジョージ・W・ブッシュ政権は、世界に怒りと憎しみを広めた。その切っ掛けになった出来事と言えば、2001年9月11日の航空機によるニューヨークの高層ビルへの突入とペンタゴンに対する攻撃だろう。その事件で「主犯格」だとアメリカ政府は主張しているハリド・シェイク・モハメドなど5名の容疑者をグアンタナモ基地からニューヨーク州へ移送し、連邦地裁で裁くと13日にバラク・オバマ政権は発表した。つまり、これから裁判で事実を検証するわけである。 しかし、すでにアメリカ政府(といっても前政権だが)は「テロ」の実行者は「アル・カイダ」というCIAやアメリカ軍が育てた武装集団(自由の戦士と呼ばれた時期もある)だということにして、その指導者だというオサマ・ビン・ラディンを匿っているという口実でアフガニスタンを先制攻撃し、ついでに全く無関係のイラクも先制攻撃して多くの市民を殺害した。 イラクなどでの正確な犠牲者数は不明だが、最も信頼できる調査、つまりアメリカのジョン・ホプキンズ大学とイラクのアル・ムスタンシリヤ大学の研究者が統計学的な手法を用いて行った推計では、2006年7月の時点で65万人以上のイラク人が殺害されている。また、イギリスのオピニオン・リサーチ・ビジネス(ORB)がまとめたリポートでは、2003年3月19日から2007年夏までの間に、戦争を直接・間接の原因とする死者が100万人に達すると見積もっている。現時点では、100万人をかなり上回っていることだろう。 アメリカ国内では「テロ」の可能性を叫び、今回の裁判を止めさせようとする人たちもいるようだが、裁判になって拷問の実態の一部でも明らかになることを恐れているはずだ。すでに国防総省では写真の公開を禁止することを決めているのだが、オバマ政権としても予想以上に凄惨な状況だったのだろう。 5名の容疑者が「9/11」について何を話すかも大問題である。ハイジャック犯の中心的な存在だとされているモハメド・アッタの場合は「死人に口なし」(ハイジャック犯とされた何人かは生きているらしいが)だが、それでも公式発表とは違うアッタ像も報告されている。 事件の直後、アッタたちがアメリカ軍の基地で訓練を受けていた、イスラエルの情報機関がアッタたちをフロリダで監視していた、あるいは米軍情報部に所属する秘密部隊「エイブル・デンジャー」が1999年頃から追跡していたとする情報も流れている。アッタたちが小型飛行機の操縦を習っていたというパイロット学校が麻薬取引や情報機関と関係があるという話も伝わってくる。 航空機の突入、ビル崩壊、ペンタゴン攻撃、いずれも公式見解は不自然で、納得のできる内容ではない。日本やアメリカの「左翼」は「第三世界の反撃」だと言って満足しているらしいが、確かに「賢い見解」ではある。巨大な権力に切り込むことなく、左翼的な雰囲気も感じさせられるからだ。権力者の闇に光を当てようとしたならば、強烈な報復が待っていることを知っているのだろう。 それはともかく、「9/11」はアメリカをファシズム化する切っ掛けになった。かつてドイツでは国会議事堂の放火を利用してナチスが独裁体制を築いていったように。真珠湾攻撃の後、アメリカ政府が第2次世界大戦に参戦したことを連想し、「9/11」を新たな真珠湾攻撃と呼ぶ人もいるが、「9/11」と真珠湾攻撃には大きな違いがある。真珠湾攻撃は日本軍が実行したことは明確だが、「9/11」は誰が実行したか、少なくとも現段階では明らかでなく、公式見解に大きな疑問があることも事実だ。ハリド・シェイク・モハメドたちの裁判がこうした疑問に答えを提供できるのかどうか、注目したい。
2009.11.17
最近、事件が起こるとコンビニやATMなどに設置されたビデオの映像が公開される。道路ではNシステムが有名だが、数十年前から高層ビルには「下界」にレンズを向け、監視しているカメラもあるそうだ。そうした映像で容疑者が逮捕されることもあるので「良いではないか!」という人も多いだろうが、容疑者だけが監視されているわけではない。 最近の個人向けカメラは人の顔を認識できるようになったが、監視カメラの世界では特定の人物を識別することも不可能ではなくなっている。2001年9月11日の事件以降、そうした高性能のカメラを設置するようになった。当初は精度が悪く、何割かは間違えていたようだが、急速に精度は向上することだろう。 日本では、無実の人間が「痴漢」だとして逮捕され、刑務所の送られることが珍しくない。さすがに社会問題化しているが、それを逆手にとって電車の中にも監視カメラを設置すべきだという議論が出ている。そもそも女性が「痴漢だ」と言ったら、即有罪という仕組みが間違っているのであり、カメラを設置する前に法律を廃止するべきだ。 かつて、痴漢を捕まえるため、警官はそれなりの努力を求められていたのだが、今では机の前に座り、女性が獲物を見つけてくるのを待つだけだ。男が「犯行」を認めれば罰金で終わり、つまり一種のカツアゲを警察は行っているということである。 それはともかく、監視カメラが街に溢れると、権力者が気に入らない人物を追跡することも不可能ではない。1970年代からアメリカは世界規模で通話を盗聴している。言うまでもなく、その後の電子技術の進歩はめざましく、それだけ監視能力は向上している。アメリカではあらゆる個人情報、例えば銀行口座の出し入れ、クレジットカードの使用状況、借り入れ状況、交通関係やコンサートなどの予約、病歴などコンピュータ化されている情報は情報機関や捜査機関が監視している。勿論、インターネットも「匿名」ではない。 監視システムに武器を取り付ける動きもある。イラクやアフガニスタンでは無線操縦の飛行機に武器を搭載し、非武装の市民を殺しまくっている。どこかの国で銃を乱射した兵士がいると大騒ぎのようだが、それより、はるかにひどいことを占領軍は行っている。 無人機を商売にしているのはイスラエルである。パレスチナ人をコンクリートの壁で特定の地域に隔離し、いわば巨大な刑務所を出現させたが、壁に近づく人間を最近では遠隔操作で動く機関銃で殺している。女性がオペレーターを務めているようだ。近い将来、パレスチナ人の家を壊すブルドーザーにロボットを乗せて運転させるだろうという話も流れている。弱者の手が届かない場所から強者は弱者を自由に殺す。そうした世界になりつつある。
2009.11.13
アメリカの下院は「ゴールドストーン報告」を拒否する決議を344対36の大差で可決した。言うまでもなく、この報告書をまとめたのは、リチャード・ゴールドストーンを中心とする国連調査委員会で、イスラエル軍のガザ地区侵攻で国際人道法に違反する行為があったと結論づけている。すでに国連人権理事会の特別会合で協議され、報告書を支持する決議案が採択されている。賛成25カ国、反対6カ国、棄権11カ国、そして無投票5カ国だった。 アメリカ政府もゴールドストーン報告を「偏向している」として認めていないのだが、どこが問題なのか具体的に指摘するべきだというゴールドストーンの発言にバラク・オバマ大統領もヒラリー・クリントン国務長官も答えていない。要するに、答えられない。 米下院の決議にしても、報告書を議論しての投票ではなかった。ゴールドストーンから説明を受けなかっただけでなく、おそらく大多数の議員は報告書を読んでいないし、決議文すら読んでいない。単に、イスラエルに都合の悪い報告書は認めないというだけのことだ。 アメリカの議員が報告書を読んでいないことはないだろうと思う人もいるだろうが、米下院のブライアン・ベアード議員は同僚議員が報告書や決議の内容を知らないと考えているのだ。ベアード議員は自身も現地で調査している。 今回のゴールドストーン報告が信用できないと主張することは、南アフリカ、旧ユーゴスラビア、ルワンダ、コソボ、ナチなどの残虐行為に関する報告も信用できないということになる。 確かに、これまでに国連が行った調査に問題がないわけではない。アメリカに配慮しすぎているという点で問題があるのだ。今回のガザ侵攻では、そうした配慮をしても黙殺できないほどの残虐行為があったということである。 前にも書いたように、イスラエル政府はゴールドストーン報告を葬り去ろうと必死である。頼みはアメリカだけという状況なのだが、アメリカがイスラエルを無批判に守ろうとするならば、アメリカはさらに世界から信頼されなくなるだけのことだ。 ゴールドストーン報告をくずかごに捨てなければ和平プロセスを壊すとイスラエル政府はアメリカを脅し、ヒラリー・クリントン国務長官はイスラエル人の違法入植を容認する発言もしている。当然、イスラム諸国は反発しているが、それ以外の国々もあきれて見ていることを忘れてはならない。日本のようにアメリカの一挙手一投足をビクビクしながら見ている国は少ない。
2009.11.04
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