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図書館で『疑史世界伝』という本を、手にしたのです。おお 清水義範さんのパスティーシュ短編集ではないか♪フェイクが混じるかもしれないが、軽く読み飛ばす分には許されるだろう♪・・・ということでチョイスしたのです。【疑史世界伝】清水義範著、集英社、2007年刊<「BOOK」データベース>よりソクラテスとオリンピックの意外な関係(「戦場のソクラテス」)、超スピードで語り尽くす中国三千年の歴史(「あわただ史記」前編・後編)、あの十字軍遠征をイスラム社会側から見てみると…?(「フランクが来た」)などなど、おもしろ世界史短編全19編。<読む前の大使寸評>おお 清水義範さんのパスティーシュ短編集ではないか♪フェイクが混じるかもしれないが、軽く読み飛ばす分には許されるだろう♪・・・ということでチョイスしたのです。rakuten疑史世界伝「中国三千年の歴史の後半」が語られているあたりを、見てみましょう。宋と金とに分裂して戦っていた時代の史記なんですが。p267~271<あわただ史記・後編> やれって言われりゃなんとかやってみるけれど、中国三千年の歴史の後半を、原稿用紙30枚にまとめるってのは暴挙だよなあ。前半では、唐が滅んだところまでを語った。それって10世紀の初頭のことだよ。そこからあと千年分を語らなきゃいけないのだよ。 千年を30枚ってことは、計算してみたら1年分を12字で書かなきゃいけないわけなんだが、やめよう、そんな計算をして愚痴をこぼしているからそれだけでもう10年分ぐらい使っちゃったじゃないか。 中国の歴史だけを語ろう。 さて黄巣の乱がきっかけとなって唐は907年に滅びたのだが、すぐさまそれに代わる大きな王朝が始まるわけではない。50年ばかりの間、華北では王朝が五つ入れ替わり、そしてそのほかには小国が十ばかり乱立した時代があったのだ。その50年あまりを、五代十国の時代、という。 華北の五つの王朝を順に並べると、後梁、後唐、後晋、後漢、後周である。地方政権である十国の名は省略しよう。とにかく、互いに戦いに明け暮れ、次々に王朝が入れ替わる争乱の時代だったのだ。 そうしてようやく960年になって、趙匡胤が後周を倒して、宋を建国したのである。趙は初代皇帝となり、太祖と呼ばれる。 宋の時代は、新しい社会システムが作られた時代である。宋は、唐などにくらべると、国を外に向かって広げていくだけの国力を持たず、かろうじて現状を守るのが精いっぱいという王朝だった。中国東北地方に遼(契丹)という別の王朝があったが、これを倒して全中国を平定することはできず、条約を結んで並立していたくらいだ。 しかし一方では、国内を整備し、学問を盛んにし、芸術も花開いた。三大発明として知られる火薬、羅針盤、印刷術の発明は宋代のものとされているのだ。 宋では、中央集権的な官僚の支配システムがつくられ、軍制も整備され、道路網も完備されていった。科挙の制度はますます重要なものになり、学校教育の初歩のものが始まったと言ってもいい。 芸術のほうを見れば、庭園の造営が盛んになり、絵画では、山水画や文人画が発達した。 だから宋は決して弱小王朝だったわけではない。日本の平清盛は大いに日宋貿易をしたぐらいである。 だが北方に悩みの種を抱えているのが宋であった。遼のほかに、ウイグル地方にも西夏という王朝ができたが、討伐することはできなかった。(中略) かつて5世紀に、五胡十六国時代の後、北に北魏、南に宋があって並行する時代があり、6世紀末に隋によって統一されるまで分裂していた頃を南北朝時代と言っていた。今、12世紀になって、北に金、南に南宋のある時代もまた、もうひとつの南北朝時代と言うべきかもしれない。 南宋は、宰相たちの時代である。それはつまり、皇帝たちの権力が弱かったということである。初代の高宗にしても、正式な譲位なしにどさくさにまぎれて帝位についているので、正当性に疑問を持たれていたのだ。そんな中で、なんとかふんばって南宋を成立させたのである。南宋のほうが米がよく稔る豊かな土地だったことが幸いしたのだ。
2024.11.24
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図書館で『華僑二世徐翆珍的在日』という本を、手にしたのです。神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。【華僑二世徐翠珍的在日】 徐翠珍著、東方出版、2020年刊<出版社>より日本に生きた「在日華僑」の闘いの記録。日本の植民地政策の残存の象徴でもある「国籍条項」「外国人登録法」「入管法」をめぐる闘いの一つの結果として、外国籍公務員第一号となる。その他、指紋押捺拒否や「思いやり予算」返還訴訟、靖国訴訟などを提訴、「非暴力・反戦反差別平和」を理念に活動を続けている。<読む前の大使寸評>神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。rakuten華僑二世徐翆珍的在日神戸の定時制高校を経て大坂の西成区に移った後も著者が受けた辛苦を、「第2章 国籍条項」で見てみましょう。p17~19<西成で 黙っていては、中国人として生きられない!> 1970年、結婚し大阪の西成区に移りました。初めて多くの在日韓国・朝鮮人、あるいは私と同じ、在日中国人が日本社会の様々な偏見や差別によって同化を強いられていることを知りました。 それぞれの民族性が肯定的なものとしてではなく多くの場合は否定的なものとして扱われていること、日本人学校に多くの在日韓国・朝鮮人や、在日中国人の子どもたちが在籍していることにそれまで気がつきませんでした。在日中国人であることを主張して生きていながら、より多くの在日中国人や同じような歴史を持ってこれまで歩んできた在日韓国・朝鮮人が日本社会でどのような状況の中で生きているのかさえ知らなかったことに初めて気づかされました。 こうして、この西成で民族差別を実感していくことになります。 それでも私は、「貧乏ったれ」であったがために生きにくかった在日中国人社会からこの西成に移り、まさに水を得た魚のように「貧乏ったれ」を堂々と肯定的に生き始めることが出来たのです。 西成に移った私はまず、仕事を探し始めました。自分の住む地域近辺のすべての保育所、幼稚園に保母としての採用を打診して回りました。結局どこからも良い返事がありませんでした。近所の工場で数ヶ月働いている間にある民間の保育園から連絡があり、面接に行くことになりました。 履歴書を持参し、家からすぐ近くにある大阪社会福祉法人キリスト教社会館めぐみ保育園に出向いて行きました。キリスト教の牧師である園長は私の履歴書を見ながら「来て下さい」と話し正式職員として採用となりました。1970年11月19日のことです。 しかし「名前は徐では読みにくいので」という理由で、私の連れ合いの苗字である林を日本語読みの「はやし」と読んで「はやし先生で」と条件がつきました。良心的な園長とは言え、外国人の人権には、まだまだ疎かったのでしょう。 私はやっと仕事をみつけたのに、情けなくなりました。自分の名前が「ダメだ!」「日本名にしろ」と言われるなんて、情けなくて、悔しくて、こんなことは初めてでした。 私はそのまま、そこに就職しました。でも、どうしよう。、「はやし」なんかで生きていける筈がないのに、と内心思っていました。 私はずっと中国人として生きてきました。でも、この西成に来て、初めて黙っていては、中国人として生きられなくなることを思い知らされていくことになるのです。 就職してすぐに私は、「はやし」として紹介されたのですが、1ヶ月もたたないうちに私は職員や子どもたちみんなに「はやし」ではない、在日中国人だから「リンです」と主張しました。 71年1月から「リン」となりました。徐(ジョ)ではなかったけれども、私は少なくとも中国人であることを取り戻したのです。私は中国人保母として在日韓国・朝鮮人が半数近くも在籍するこの保育園の子どもたちの前にやっと堂々と立つことができたのです。 1970年の時点ですでにめぐみ保育園の公立への移転計画が持ち上がっていました。1971年7月1日には民間保育園から大阪市立長橋第三保育所に変わり、園長は大正区の新しい民間保育所に委託されることが決まりました。 私たち職員は、この保育所が市立になってもそのまま残る人と、大正区の新保育所に移る人と、それぞれ自由意志で選択することとなり、大阪キリスト教社会館職員組合を通じて具体的交渉に入りました。 私が、在日中国人であることもあってか、在日韓国・朝鮮人の保護者たちともつながりができ、オモニ(お母さん)たちと民族差別の実態や子どもたちへの思いなどを話し合えるようになりました。家庭訪問などを通じて、在日を生きてきたオモニ(お母さん)・アボジ(お父さん)たちの被差別の実態などを聞かせてもらいながら、私はここで多くのことを学び、私のやることをやっと見つけたような気がしていました。『華僑二世徐翆珍的在日』1:私の原点―闘いの軌跡
2024.11.23
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今回借りた3冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「図鑑」でしょうか♪<市立図書館>・カレー移民の謎・イギリス断片図鑑・江戸ペディア<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【イギリス断片図鑑】エディング著・編、自由国民社、2018年刊<「BOOK」データベース>よりローマ帝国と戦ったケルトの女王は?最初にネッシーを目撃したとされる守護聖人は?イギリス王室の公邸といえば?ヘンリー8世の王妃の幽霊が出る宮殿は?17世紀半ば、イングランド共和国を成立させた指導者は?イギリスの丘陵地帯に描かれた巨大な地上絵とは?「プリンキピア」とよばれる本の著者である科学者は?1889年、男性同性愛者が摘発された事件とは?1920年11月21日、アイルランド独立運動で起きた惨劇は?1項目3分読書!<読む前の大使寸評>追って記入rakutenイギリス断片図鑑【江戸ペディア】飯田泰子著、芙蓉書房出版、2021年刊<「BOOK」データベース>より品川は江戸ではなかった!二割に満たない土地に商人、職人、犬猫がひしめく町。象も駱駝もやって来る、両国と浅草の見世物小屋が大盛況!リサイクルは江戸人の基本技。江戸にもあった「百円ショップ」。シャンプーは月1回。江戸時代の税金事情 長屋の住人は無税!軽い病は売薬で、流行病はひたすら祈る。一攫千金!富くじは夢の宝くじ。お城には国会・内閣・裁判所が完備。江戸の町をパトロールしていたのは精鋭の町方同心たった十二人。火消の面々は半鐘が鳴れば飛び出すファイアーファイター…江戸時代に関わる蘊蓄を集めた豆知識の事典!6つのカテゴリーの300項目。すべて挿絵つき。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten江戸ペディア
2024.11.22
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在18位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/10予約、副本?、予約8)現在3位・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』 (5/14予約、副本2、予約5)現在1位・内田樹『勇気論』(7/07予約、副本?、予約?)現在7位・消費者金融ずるずる日記(8/27予約、副本6、予約112)現在79位・パッキパキ北京(8/29予約、副本9、予約111)現在60位・転がる珠玉のように(9/05予約、副本7、予約87)現在55位・原爆裁判(9/11予約、副本?、予約133)現在99位・沈む日本4つの大罪(10/10予約、副本?、予約?)現在9位・官僚国家 日本の闇(10/28予約、副本2、予約47)現在45位・森永卓郎『身辺整理』(11/20予約、副本4、予約76)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵・ヤマザキマリ『水木しげる厳選集 異』:図書館未収蔵・猫社会学、はじめます:図書館未収蔵・書いてはいけない日本経済墜落の真相:図書館未収蔵・金水敏『よくわかる日本語学』・闇の中国語入門・奪還 日本人難民6万人を救った男:・花まんま<予約分受取:9/01以降> ・パンとサーカス(8/28予約、9/01受取)・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、9/12受取)・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、9/22受取)・池澤夏樹『ノイエ・ハイマート』(6/29予約、10/13受取)・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、10/27受取)・有田芳正『誰も書かなかった統一教会』(7/27予約、11/14受取)・ぜんぶ、すてれば(11/07予約、11/14受取)・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、11/21受取)**********************************************************************【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【アジア発酵紀行】小倉ヒラク著、文藝春秋、2023年刊<出版社>よりアジアの巨大な地下水脈をたどる冒険行。「発酵界のインディ・ジョーンズ」を見ているようだ!ーー高野秀行(ノンフィクション作家) 自由になれーー各地の微生物が、奔放な旅を通じて語りかけてくる。ーー平松洋子(作家・エッセイスト)発酵はアナーキーだ! チベット~雲南の「茶馬古道」からインド最果ての内戦地帯へーー前人未到の旅がいま幕をあける! 壮大なスケールでアジアの発酵文化の源流が浮き彫りになる渾身作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/14予約、副本2、予約21)>rakutenアジア発酵紀行【勇気論】内田樹著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりモヤモヤを抱えた編集者との“カウンセリング”往復書簡。ジョブズ、フロイト、孔子、伊丹万作、河竹黙阿弥、大瀧詠一、パルメニデス、富永仲基…話頭は転々として奇を極めー。いまの日本人に一番足りないものは何だろうか?読めば心が軽くなるーウチダが綴る9通のメッセージ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/07予約、副本?、予約?)>rakuten勇気論【消費者金融ずるずる日記】 加原井末路著、三五館シンシャ、2024年刊<「BOOK」データベース>より1990年代の半ば、30歳のときに足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を私はこの業界ですごし、お金にまつわる悲喜こもごもを目撃した。私が在籍した期間は、消費者金融業界が栄華を極めてから、2010年の法改正施行を経て、没落していく年月でもあった。-本書にあるのはすべて私の実体験である。「お客を追い込む仕事」。サラ金社員が経験した、貸し手と借り手のお金の修羅場。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten消費者金融ずるずる日記【パッキパキ北京】綿矢りさ著、集英社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりコロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは…?<読む前の大使寸評>追って記入rakutenパッキパキ北京【転がる珠玉のように】ブレイディみかこ著 、中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりLike A Rolling Gem。大人の山あり谷ありライフを越えていけ!結婚するゲイの友人、職人魂を燃やす父、イギリスで、日本で、社会の底を支える労働者たちの人生劇場。泥くさい毎日を“宝石”に変える著者3年ぶりの最新エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(9/05予約、副本7、予約87)>rakuten転がる珠玉のように【原爆裁判】山我浩著、毎日ワンズ、2024年刊<商品説明>より日本初の女性判事・三淵嘉子が昭和三十年代に裁判官を務めた「原爆裁判」に焦点を当てた書き下ろし。原爆を巡るアメリカの闇を追及すると共に三淵嘉子の半生を紹介、さらに、世に名高い「原爆裁判の判決文」も付載した一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/11予約、副本?、予約133)>rakuten原爆裁判【沈む日本4つの大罪】 植草一秀×白井聡著、ビジネス社、2024年刊<「BOOK」データベース>より捏造と欺瞞、狡猾と策略で、夢も希望も失った日本人に告ぐ!奴隷国家に堕した日本の国難に打ち勝つ再生への処方箋。経済学の論客と気鋭の政治思想家が日本のタブーに斬り込む!LGBTQ、SDGs、コロナワクチン、政権と大企業の罠、メディア腐敗etc。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約 (10/10予約、副本?、予約?)>rakuten沈む日本4つの大罪【官僚国家 日本の闇】泉房穂著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され命を落とした政治家・石井紘基。当時、石井は犯罪被害者救済活動、特殊法人関連の問題追及等で注目を浴びていた。その弱者救済と不正追及の姿勢は、最初の秘書・泉房穂に大きな影響を与えた。石井は日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破。その構造は、今も巧妙に姿を変え国民の暮らしを蝕んでいる。本書第1部は石井の問題提起の意義を泉が説き、第2部は石井の長女ターニャ、同志だった弁護士の紀藤正樹、石井を「卓越した財政学者」と評する経済学者の安冨歩と泉の対談を収録。石井が危惧した通り国が傾きつつある現在、あらためてその政治哲学に光を当てる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/28予約、副本2、予約47)>rakuten官僚国家 日本の闇【身辺整理】森永卓郎著、興陽館、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいきなり、ステージ4のがん告知を受けた、森永卓郎の「遺言」。迷惑をかけずに、跡形もなく消え去りたい。渾身の「死に支度」ドキュメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/20予約、副本4、予約76)>rakuten身辺整理【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・デジタル朝日「好書好日」でめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.11.21
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図書館に予約していた『ぜんぶ、すてれば』という本を、待つこと〇ほどでゲットしたのです。〝中野流・逆輸入型広報戦略〟によって構成されたようなこの本であるが・・・面白そうである♪【ぜんぶ、すてれば】中野善壽著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年刊<商品説明>より【隈研吾 推薦】「ビジネスとかアートとか、結局のところ「切れ味」だということを、日本で唯一中野さんだけが直感的に理解し実践している!」"今日がすべて。颯爽と軽やかに、ぜんぶ捨てれば""人の評価は気にしない。 自分自身が納得できるか""準備万端の日は一生来ない。 何も考えず、思い切ればいい"<読む前の大使寸評>〝中野流・逆輸入型広報戦略〟によって構成されたようなこの本であるが・・・面白そうである♪<図書館予約:(11/07予約、副本?、予約?)>rakutenぜんぶ、すてれば著者の過激なライフスタイルを、見てみましょう。p44~45<捨てる以前に、持たなくていい。家もクルマも、時計さえも>「捨てる」ことについての話を進める前に。僕は捨てる以前に、モノをできるだけ「持たない」ライフスタイルを選んできました。言えは台湾に一応ありますが、賃貸暮らし。家具もごく限られた最小限のものだけで、日本で仕事をするときには、ホテルなどに滞在しています。クルマもなし。高価な腕時計にも興味はなく、仕事の打ち合わせを時間内で終えるための液晶時計が一つあれば十分です。日用品も決して高級品ではありません。服は通りすがりのアジア各地でパパッと、いつでも捨てられるくらいの気軽なものを。食べ物はコンビニの新商品を選ぶのが一番楽しい。御馳走は会食でいただくだけで満足。「経営者としての収入を、家財に費やせばそれなりものが手に入るでしょうに」と不思議がる人も多いのですが、僕はまったくモノに執着がありません。持たなければ、生活がモノで埋め尽くされないし、土地や家を売買する上での繁雑な手続きもしなくていい。何よりも災害での心配が一つ減る。何より身軽な生き方が好きなのです。ところで、斎藤新知事が19日の初登庁に際して「ワンチームで、謙虚に」と、クレバーな発言があったが・・・どうしても胡散臭いのである。公選法の不備をつくようなSNS重視の戦略と、県民に分断を持ち込んだ自己中心には驚くのです。今後ものっけから百条委員会とのヤリトリが予定されていて・・・罪は深いのではないか?また、にわかに斎藤氏を応援した県民の反応の幼稚さ?も想定外であったし、普段からSNSには近付かない私に落ち度があったのか?『ぜんぶ、すてれば』2:スマホを捨てる『ぜんぶ、すてれば』1:プロローグのような辺り
2024.11.20
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図書館に予約していた『ぜんぶ、すてれば』という本を、待つこと〇ほどでゲットしたのです。〝中野流・逆輸入型広報戦略〟によって構成されたようなこの本であるが・・・面白そうである♪【ぜんぶ、すてれば】中野善壽著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年刊<商品説明>より【隈研吾 推薦】「ビジネスとかアートとか、結局のところ「切れ味」だということを、日本で唯一中野さんだけが直感的に理解し実践している!」"今日がすべて。颯爽と軽やかに、ぜんぶ捨てれば""人の評価は気にしない。 自分自身が納得できるか""準備万端の日は一生来ない。 何も考えず、思い切ればいい"<読む前の大使寸評>〝中野流・逆輸入型広報戦略〟によって構成されたようなこの本であるが・・・面白そうである♪<図書館予約:(11/07予約、副本?、予約?)>rakutenぜんぶ、すてればSNS嫌いの大使であるが、著者はスマホをどう見ているか、見てみましょう。p76~79<スマホを捨てる。ぜんぶ、自分を失くしたくないから。>街を歩いていると、皆スマートフォンを見つめています。僕も昔、スマホを使ったことがありました。でも、1ヶ月で嫌になって、やめました。何が嫌だったかというと、乗法が多過ぎて余計な時間を撮られてしまうこと。画面を開けば、ネットもできるし、アプリは無限にある。結果、自分が処理できる以上の情報をついつい扱うことになってしまいます。すると、いつの間にか自分を失くしてしまう。これはよくないとすぐに気づいて、スマホ生活を捨てました。今持っているのは、ガラケー。正確に言うと、2018年に復刻したau「INFOBAR」というシリーズで、赤、白、水色の配色デザインが気に入っています。どうです? 可愛いでしょう。自己満足かも・・・。ゆったりと情報を見たいときには、iPadで。自分のペースを守るには、このスタイルが一番です。<スマホで観る貧しい映画は文化じゃない。五感で本物を受け止めよ。>一見便利なものが、実は僕たちの心を貧しくする危険をはらむことはよくあります。これまで大切にしてきた文化を、失いかけてはいないか。それは文化なのか、ただの文明の利器なのか。いつも注意深くしていなければなりません。例えば、映画鑑賞。僕は映画館で観る映画こそが映画だと思っているので、飛行機の中で観て「いい」と思った作品は、もう一度映画館で観るようにしています。大画面でのストーリー展開、迫力の音。作り手が想定したとおりの環境で観て初めて「映画を観た」と言えるはずです。しかし、最近はスマートフォンの小さな画面でも簡単に観られるようになって、映画館に行かない若者も増えているようです。それは本当に映画と言えるのか。自分の五感でしっかり受け止めた感動というのは、確実に自分のものになる。「他人のレビューに左右されてばかりで、自分の感想がうまく言えない」と密かに悩んでいる人がいるとしたら、「まず本物を見なさい」と助言したいですね。大画面で観れば、自然と感情が沸き立つものです。『ぜんぶ、すてれば』1:プロローグのような辺り
2024.11.20
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図書館に予約していた『ぜんぶ、すてれば』という本を、待つこと〇ほどでゲットしたのです。〝中野流・逆輸入型広報戦略〟によって構成されたようなこの本であるが・・・面白そうである♪【ぜんぶ、すてれば】中野善壽著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年刊<商品説明>より【隈研吾 推薦】「ビジネスとかアートとか、結局のところ「切れ味」だということを、日本で唯一中野さんだけが直感的に理解し実践している!」"今日がすべて。颯爽と軽やかに、ぜんぶ捨てれば""人の評価は気にしない。 自分自身が納得できるか""準備万端の日は一生来ない。 何も考えず、思い切ればいい"<読む前の大使寸評>〝中野流・逆輸入型広報戦略〟によって構成されたようなこの本であるが・・・面白そうである♪<図書館予約:(11/07予約、副本?、予約?)>rakutenぜんぶ、すてればまず、冒頭にあるプロローグのような辺り(寺田倉庫の広報からか?)から、見てみましょう。p4~5<何も、必要ありません。ぜんぶ、捨てればいいんですよ。>中野善壽、75歳(2020発刊当時)。伊勢丹、鈴屋で新規事業の立ち上げと海外進出を成功させる。その後、台湾へ渡り、大手財閥企業で経営者として活躍。2011年、寺田倉庫の代表取締役社長兼CEOに就任。大規模な改革を実施し、老舗の大企業を機動力溢れる組織へと変貌させた。その手腕と独自の考え方、そして人柄により、各界の著名人に慕われている。一方で、メディアにはほとんど姿を現さず、社員にさえ、本当に実在するのか疑われていた、異端の人物。その生き方の根幹にあるのは「何も持たない」こと。家や車、時計は持たない。お酒もタバコも嗜まない。お金も若い頃から、生活に必要な分を除いてすべて寄付している。何も持たないからこそ、過去に縛られず、未来に悩まず、今日を大切に生きることができる。本書は、中野氏の話を聞くことにより浮かび上がった現代を前向きに、楽しみながら生きるためのヒントを短い言葉と文章にまとめ、紹介する。ウーム、かなりハッタリをかまされたような出だしであるが・・・中野氏は台湾で活躍されたようで、もしかしてオードリー・タンのような超人なのかも♪
2024.11.19
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図書館で『誰も書かなかった統一教会』という本を、手にしたのです。安倍ファミリーと統一教会の関係が語られているようだが、政治資金規正法違反(不記載)など自民党の闇にも触れているようで、興味深いのです。【誰も書かなかった統一教会】有田芳正著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2022年7月の安倍元首相銃撃事件後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着を中心に多くの報道があった。だが、メディアが報じたのは全体像のごく一部だった。教団をめぐる多くの問題が残されたまま事件の風化を憂慮したジャーナリストが、教団の政治への浸食の実態、霊感商法の問題はもちろん、「勝共=反共」にもかかわらず北朝鮮に接近していた事実、教団の実態を早くから認識していたアメリカのフレイザー委員会報告書、教団関係者による銃砲店経営、原理研究会の武装組織、「世界日報」編集局長襲撃事件、公安が教団関係者を調査していた事実等、その全貌を公開する。<読む前の大使寸評>安倍ファミリーと統一教会の関係が語られているようだが、政治資金規正法違反(不記載)など自民党の闇にも触れているようで、興味深いのです。<図書館予約(7/27予約、副本?、予約?)>rakuten誰も書かなかった統一教会「第5章 フレイザー委員会報告書」で統一教会の商法が語られているので、見てみましょう。p147~151<教団が世界に保有する富の資金源は日本> 数多あるアメリカの教団系企業の中でも、最大の成功を収めたのが「トゥルー・ワールド・フーズ」だ。40種類以上のサーモンや5種類の鯛、イクラの加工品などの魚介類だけでなく、鰻のタレ、ゆずなどの柑橘類、さらには庖丁まで、アメリカの寿司職人が必要とするおよそすべての商品を扱っている。現在では、アメリカ17州に加えて、イギリス、カナダ、スペイン、韓国、そして日本にも支社に持つまでに成長を遂げた。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」の記事「The Untold Story of Sushi in Àmerica」(2021年11月5日付)によれば、トゥルー・ワールド・フーズは、2021年度、アメリカとカナダに8300以上の顧客を持ち、日本支社はアメリカに年間1000トン以上の鮮魚を輸出している。アメリカの高級・中級の寿司店向けの鮮魚販売の実に7~8割を同社が占め、グループ全体の年間売上高は5億ドル(当時の為替レートで約570億円)を超えるという。 だが、トゥルー・ワールド・フーズの成功や、同社を筆頭とするアメリカの統一教会系企業の隆盛は、日本の統一教会系による霊感商法や事実上強制的な献金が下支えしていたのだ。アメリカの教団系企業の多くが、70年代後半から80年代前半に設立されているが、日本で霊感商法がピークに達していた時期と重なる。いわば、日本人の被害によって、教団が言うところのアメリカン・ドリームは成就したのだ。 英紙「フィナンシャル・タイムズ」(2022年7月16日付)は「教会の指導者らが、日本から米国へ送金された数十億ドルをふくむ信者の労働力と資産を、企業帝国を築き上げるために搾取している」との批判があると指摘し、「日本は教団が世界で保有する富の最大の資金源」というのが多くの識者の一致した見方だとしている。 文鮮明教祖は1975年から日本の統一教会に月20億円の送金命令を下し、約10年間で送金された額は2000億円に上ったことが元幹部信者の告発で明らかになっている。(中略) アメリカの教団系企業の成功を支えたのが、資金面では日本からの送金だったが、人的に大きな貢献をしたのもまた日本から渡米した数百人の信者だった。選抜されたエリート信者たちはアメリカに入国すると、国際合同結婚式でアメリカ人とマッチングする。こうしてアメリカ市民権を取得した後、教団系企業で薄給、あるいは無給で寝食を忘れて献身的に働き続けたのだ。 アメリカでもっとも成功した教団系企業体となったトゥルー・ワールド・グループは、現在、「統一教会インターナショナル」(1977年設立)が所有する。問題なのは、教団の反共運動やリトルエンジェルス芸術団などの文化活動、プロパガンダを行うメディア企業、教団の脱税をめぐる訴訟費用などに統一教会インターナショナルが資金を提供していることだ。 さらに憂慮すべきは、こうした資金提供が、時には文鮮明機関のペーパーカンパニーやトンネル法人を経由して行われている可能性が高いことだ。無数の組織や企業を抱える文鮮明機関を介した資金移動を、当局が捕捉するのは極めて困難なのである。『誰も書かなかった統一教会』1:安倍晋三と統一教会
2024.11.18
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図書館で『誰も書かなかった統一教会』という本を、手にしたのです。安倍ファミリーと統一教会の関係が語られているようだが、政治資金規正法違反(不記載)など自民党の闇にも触れているようで、興味深いのです。【誰も書かなかった統一教会】有田芳正著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2022年7月の安倍元首相銃撃事件後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着を中心に多くの報道があった。だが、メディアが報じたのは全体像のごく一部だった。教団をめぐる多くの問題が残されたまま事件の風化を憂慮したジャーナリストが、教団の政治への浸食の実態、霊感商法の問題はもちろん、「勝共=反共」にもかかわらず北朝鮮に接近していた事実、教団の実態を早くから認識していたアメリカのフレイザー委員会報告書、教団関係者による銃砲店経営、原理研究会の武装組織、「世界日報」編集局長襲撃事件、公安が教団関係者を調査していた事実等、その全貌を公開する。<読む前の大使寸評>安倍ファミリーと統一教会の関係が語られているようだが、政治資金規正法違反(不記載)など自民党の闇にも触れているようで、興味深いのです。<図書館予約(7/27予約、副本?、予約?)>rakuten誰も書かなかった統一教会p230~233<第8章 安倍晋三と統一教会>■「聖地」下関 2023年4月11日、私は安倍晋三元首相の死去に伴う衆議院山口4区補欠選挙に、立憲民主党の公認を受けて立候補した。山口は保守王国として有名な土地だ。依頼があった時、「やろう」と誰にも相談せずに決めたのは、この地が憲政史上最長の政権を担った安倍元首相のお膝元であり、岸信介元首相、安倍晋太郎元外務大臣、そして安倍晋三元首相の「3代」が象徴するように、戦後日本の保守政治が選挙支援と引き換えに統一教会の影響を受けてきた事実を訴える意味があったからだ。 保守の地盤で戦うのは無謀だという声もあった。だが、黙して闘わず・・・という選択肢はなかった。 山口4区にある下関は、統一教会にとっての「聖地」であり、そもそも安倍元首相と教団の接点もまたここからはじまっていた。 1941年4月1日、朝鮮半島を関釜連絡船で夜中2時に出発し、海を渡った21歳の文龍明が下関の地に降り立ったのは朝8時だ。後に統一教会を設立して教祖となる文鮮明を名乗る青年が、初めて日本の土を踏んだのだ。文は一路東京をめざす。わせだ高等工学校に留学するためだ。 統一教会はこの日を記念し「日臨節」と名付けて毎年祝ってきた。信者の間で「下関=聖地」という認識が広まったのは、日臨節の記念大会における講演(2021年3月28日)で、日本の教団を指導していた方相逸(パンサンイル)大陸会長が「山口の下関は聖地と同等の場所です」と祝辞を述べたからだ。 下関駅から歩いて8分ほどの場所に「ビル三枡」がある。統一教会が下関に教会を設立したのは1963年。日本に教団ができて4年後だ。福岡出身でミッション系大学生だった女性が寮に訪問してきた女性信者から伝道された。家族の反対を押し切って中退した女性は、門司と下関を担当、廃品回収などで活動費を捻出し、下関教会を設立したのだった。 やがてこのビルの一部を借りて拠点とした。韓国から日本を訪れた幹部や信者たちは、この施設に布団を持ち込んで宿泊することが多かった。この下関教会から約150メートル、歩いて約2分のところに安倍晋太郎事務所があった。住所は下関市東大和町1丁目だ。その後は安倍晋三事務所になり、2023年に安倍後継の補選で当選した吉田真次議員の事務所になる。 安倍晋太郎が衆議院選挙に旧山口1区から出馬し、初当選を果たしたのは1958年だ。下関教会の信者は「共産主義に勝利する」という国際勝共連合の強烈なイデオロギーをテコに安倍事務所を定期的に訪れた。安倍晋太郎事務所では山口県警出身の竹田力秘書が統一教会との窓口となっていた。 安倍晋三は父が中曽根内閣の外務大臣に就任した1982年に、神戸製鋼所を辞めて秘書となる。安倍晋太郎は1991年5月15日に67歳で逝去。世襲であとを継いだ安倍晋三は1993年7月の衆議院選挙で旧山口1区から立候補、当選を果たす。 安倍晋三後援会の青年部に農協で働いていた配川博之がいた。配川は最初、私設秘書として阿部事務所に入り、やがて公設第一秘書になる。2020年に「桜を見る会」問題で政治資金規正法違反(不記載)で略式起訴され、秘書を辞任するまでずっと地元で活動、名刺には「筆頭秘書」と印刷されていた。安倍昭恵が引き上げたと地元では言われている。配川秘書は統一教会との関係を竹田から引き継いだ。■安倍元首相が教団と絶縁できなかった理由 安倍晋三は統一教会と距離を置いていた時期がある。1980年代半ばに続き1990年代に霊感商法が社会的に批判を浴びたからだ。2003年から2004年、安倍は自民党の幹事長を務めていた。党三役として問題の多い教団を警戒していたのだろう。 (中略) 2007年、体調悪化により第一次安倍政権がわずか1年で崩壊すると、世間からはもちろん、味方であるはずの保守層からも厳しい批判を浴びせられた。安倍元首相は深い挫折を味わうことになる。それだけでなく、続く福田康夫、麻生太郎内閣も短命に終わり、ついに2009年には自民党は政権を失い、野党に転落してしまう。 深い挫折に傷付く安倍元首相の心の隙に付け込むように接近したのが統一教会だった。人の心の弱みに付け込んで、霊感商法で法外な価格の壺や多宝塔などを買わせ、多額の献金を強要するのは、教団の基本的な手法である。
2024.11.17
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図書館で『華僑二世徐翆珍的在日』という本を、手にしたのです。神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。【華僑二世徐翠珍的在日】 徐翠珍著、東方出版、2020年刊<出版社>より日本に生きた「在日華僑」の闘いの記録。日本の植民地政策の残存の象徴でもある「国籍条項」「外国人登録法」「入管法」をめぐる闘いの一つの結果として、外国籍公務員第一号となる。その他、指紋押捺拒否や「思いやり予算」返還訴訟、靖国訴訟などを提訴、「非暴力・反戦反差別平和」を理念に活動を続けている。<読む前の大使寸評>神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。rakuten華僑二世徐翆珍的在日「第1章 私の原点―闘いの軌跡」の冒頭から見てみましょう。p5~9<華僑には家があっても帰る場所がない> 戦争が引き起こされ、その同じ地で「敵国人」になってしまうとはどのようなことなのか。 日常の生活は環視の中、いつなんどきスパイにされて迫害され、命そのものが危険に晒されてもおかしくない。事実、過去幾度もの戦争勃発時には、その危険を少しでも回避するため、国に残した家族との離散を避けるためにも、多くの在日華僑たちは日本から故郷中国へと帰国して行きました。・1894年~1895年 庚午戦争(日清戦争)、清国民は日本の敵国人となる。・1893年 5343人を数えた華僑たちは敵国人としての弾圧、迫害を恐れて多くが帰国。1894年にはその数1576人にまで激減。1899年、やっと6359人に回復した。・1899年 ここからはかつての貿易商などの華僑ではなく、「内地雑居令」等によって厳しい法規制下で日本の労働力の調整弁となる「華工」の時代、日本における「外国人労働者」の時代に入る。・1931年 柳条湖事変(満州事変)では、横浜・神戸の華僑の多くが迫害を恐れて集団帰国。 ・1937年 対中国全面戦争で、1936年の華僑人数は4万5000人であったが、戦争勃発の1937年には華僑の集団帰国が始まり、2万7090人と減少している。これ以後は厳しい戦争状態で帰国不能となった。・1945年 日本の敗戦から1972年日中国交回復まで、政治に翻弄され、故郷中国の地を踏むことが出来ず、家族は引き離されたまま、もちろん親の死に目にも会えませんでした。(中略) 当時の華僑一世たちはまがりなりにも「帰る」故郷があり、様々な形で「国」との具体的な繋がりもまだあったであろう。しかし、戦後を生きて来た私たちはすでに5世、6世を数えます。戦争準備をする日本は私たちに大きなとまどいと脅威をもたらしています。 私にはもう帰る「故郷」、つなgる「国」はありません。戦禍が広がろうが、敵国人としての迫害を受けようが、ここが日本の私の「故郷」です。 私は「中国国籍」であり、私の子や孫は「日本国籍」です。(国籍法により、父母両系血統主義・帰化手続き簡素化などや、日本人との婚姻が圧倒的に多い中、「中国籍をルーツにもつ」日本人が年々増えている) 国家間の憎悪を生む「戦争」は私たちに何をもたらすのか! かつて私たち華僑は国家による「内政不干渉」という方針の下、日本の政治には極力直接関りを持たないように生きてきました。しかし、ここ日本はすでに帰る場のない私たちの「故郷」であり、国籍が何処であれ、この社会の主体者なのです。 まがりなりにも生きていた「憲法九条」の下で、私は70数年生きてきました。ほんの一時期を除いて、日本はアメリカの要請に動かされながら、常に戦争への危惧がつきまとっていました。特に「嫌中」ヘイトが民衆の中にも根を張りそうな気配に、戦争は遠い「歴史」ではなくなりつつあります。 市民社会の一員としてこの社会を監視する義務と責任があるとはいえ、私には「選挙権」すらないのです。憲法制定に責任あるみなさん、どうか「憲法九条」を捨てないで頂きたい。日本の憲法にはアジアの人々にも「もの言う権利」があるものと確信しています。「憲法九条捨てさせない!」私の切なる叫びなのです。
2024.11.16
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今回借りた3冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「予約本」でしょうか♪<市立図書館>・誰も書かなかった統一教会・ぜんぶ、すてれば・疑史世界伝<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【誰も書かなかった統一教会】有田芳正著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2022年7月の安倍元首相銃撃事件後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着を中心に多くの報道があった。だが、メディアが報じたのは全体像のごく一部だった。教団をめぐる多くの問題が残されたまま事件の風化を憂慮したジャーナリストが、教団の政治への浸食の実態、霊感商法の問題はもちろん、「勝共=反共」にもかかわらず北朝鮮に接近していた事実、教団の実態を早くから認識していたアメリカのフレイザー委員会報告書、教団関係者による銃砲店経営、原理研究会の武装組織、「世界日報」編集局長襲撃事件、公安が教団関係者を調査していた事実等、その全貌を公開する。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(7/27予約、副本?、予約?)>rakuten誰も書かなかった統一教会【ぜんぶ、すてれば】中野善壽著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年刊<商品説明>より【隈研吾 推薦】「ビジネスとかアートとか、結局のところ「切れ味」だということを、日本で唯一中野さんだけが直感的に理解し実践している!」"今日がすべて。颯爽と軽やかに、ぜんぶ捨てれば""人の評価は気にしない。 自分自身が納得できるか""準備万端の日は一生来ない。 何も考えず、思い切ればいい"<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/07予約、副本?、予約?)>rakutenぜんぶ、すてれば【疑史世界伝】清水義範著、集英社、2007年刊<「BOOK」データベース>よりソクラテスとオリンピックの意外な関係(「戦場のソクラテス」)、超スピードで語り尽くす中国三千年の歴史(「あわただ史記」前編・後編)、あの十字軍遠征をイスラム社会側から見てみると…?(「フランクが来た」)などなど、おもしろ世界史短編全19編。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten疑史世界伝
2024.11.16
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在18位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)現在1位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/10予約、副本?、予約8)現在3位・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』 (5/14予約、副本2、予約5)現在3位・内田樹『勇気論』(7/07予約、副本?、予約?)現在9位・消費者金融ずるずる日記(8/27予約、副本6、予約112)現在83位・パッキパキ北京(8/29予約、副本9、予約111)現在65位・転がる珠玉のように(9/05予約、副本7、予約87)現在57位・原爆裁判(9/11予約、副本?、予約133)現在103位・沈む日本4つの大罪(10/10予約、副本?、予約?)現在9位・官僚国家 日本の闇(10/28予約、副本2、予約47)現在45位<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵・ヤマザキマリ『水木しげる厳選集 異』:図書館未収蔵・猫社会学、はじめます:図書館未収蔵・書いてはいけない日本経済墜落の真相:図書館未収蔵・金水敏『よくわかる日本語学』・闇の中国語入門・奪還 日本人難民6万人を救った男:・花まんま<予約分受取:8/06以降> ・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、8/06受取)・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、8/27受取)・パンとサーカス(8/28予約、9/01受取)・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、9/12受取)・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、9/22受取)・池澤夏樹『ノイエ・ハイマート』(6/29予約、10/13受取)・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、10/27受取)・有田芳正『誰も書かなかった統一教会』(7/27予約、11/14受取)・ぜんぶ、すてれば(11/07予約、11/14受取)**********************************************************************【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【アジア発酵紀行】小倉ヒラク著、文藝春秋、2023年刊<出版社>よりアジアの巨大な地下水脈をたどる冒険行。「発酵界のインディ・ジョーンズ」を見ているようだ!ーー高野秀行(ノンフィクション作家) 自由になれーー各地の微生物が、奔放な旅を通じて語りかけてくる。ーー平松洋子(作家・エッセイスト)発酵はアナーキーだ! チベット~雲南の「茶馬古道」からインド最果ての内戦地帯へーー前人未到の旅がいま幕をあける! 壮大なスケールでアジアの発酵文化の源流が浮き彫りになる渾身作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/14予約、副本2、予約21)>rakutenアジア発酵紀行【勇気論】内田樹著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりモヤモヤを抱えた編集者との“カウンセリング”往復書簡。ジョブズ、フロイト、孔子、伊丹万作、河竹黙阿弥、大瀧詠一、パルメニデス、富永仲基…話頭は転々として奇を極めー。いまの日本人に一番足りないものは何だろうか?読めば心が軽くなるーウチダが綴る9通のメッセージ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/07予約、副本?、予約?)>rakuten勇気論【消費者金融ずるずる日記】 加原井末路著、三五館シンシャ、2024年刊<「BOOK」データベース>より1990年代の半ば、30歳のときに足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を私はこの業界ですごし、お金にまつわる悲喜こもごもを目撃した。私が在籍した期間は、消費者金融業界が栄華を極めてから、2010年の法改正施行を経て、没落していく年月でもあった。-本書にあるのはすべて私の実体験である。「お客を追い込む仕事」。サラ金社員が経験した、貸し手と借り手のお金の修羅場。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten消費者金融ずるずる日記【パッキパキ北京】綿矢りさ著、集英社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりコロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは…?<読む前の大使寸評>追って記入rakutenパッキパキ北京【転がる珠玉のように】ブレイディみかこ著 、中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりLike A Rolling Gem。大人の山あり谷ありライフを越えていけ!結婚するゲイの友人、職人魂を燃やす父、イギリスで、日本で、社会の底を支える労働者たちの人生劇場。泥くさい毎日を“宝石”に変える著者3年ぶりの最新エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(9/05予約、副本7、予約87)>rakuten転がる珠玉のように【原爆裁判】山我浩著、毎日ワンズ、2024年刊<商品説明>より日本初の女性判事・三淵嘉子が昭和三十年代に裁判官を務めた「原爆裁判」に焦点を当てた書き下ろし。原爆を巡るアメリカの闇を追及すると共に三淵嘉子の半生を紹介、さらに、世に名高い「原爆裁判の判決文」も付載した一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/11予約、副本?、予約133)>rakuten原爆裁判【沈む日本4つの大罪】 植草一秀×白井聡著、ビジネス社、2024年刊<「BOOK」データベース>より捏造と欺瞞、狡猾と策略で、夢も希望も失った日本人に告ぐ!奴隷国家に堕した日本の国難に打ち勝つ再生への処方箋。経済学の論客と気鋭の政治思想家が日本のタブーに斬り込む!LGBTQ、SDGs、コロナワクチン、政権と大企業の罠、メディア腐敗etc。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約 (10/10予約、副本?、予約?)>rakuten沈む日本4つの大罪【官僚国家 日本の闇】泉房穂著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され命を落とした政治家・石井紘基。当時、石井は犯罪被害者救済活動、特殊法人関連の問題追及等で注目を浴びていた。その弱者救済と不正追及の姿勢は、最初の秘書・泉房穂に大きな影響を与えた。石井は日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破。その構造は、今も巧妙に姿を変え国民の暮らしを蝕んでいる。本書第1部は石井の問題提起の意義を泉が説き、第2部は石井の長女ターニャ、同志だった弁護士の紀藤正樹、石井を「卓越した財政学者」と評する経済学者の安冨歩と泉の対談を収録。石井が危惧した通り国が傾きつつある現在、あらためてその政治哲学に光を当てる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/28予約、副本2、予約47)>rakuten官僚国家 日本の闇【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・デジタル朝日「好書好日」でめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.11.15
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図書館で『戦争の値段』という文庫本を、手にしたのです。石破首相が登場したが日本の安全保障はどうなるのだろう?・・・という危機感が高まるわけでチョイスした次第です。仮想敵国はもちろんロシア、中国、北朝鮮になるのですが。【戦争の値段】加谷珪一著、祥伝社、2022年刊<「BOOK」データベース>より戦争が起きるか否かは、経済力で決まる!ウクライナ侵攻、太平洋戦争、日清日露戦争をお金の流れから読み解く。<読む前の大使寸評>石破首相が登場したが日本の安全保障はどうなるのだろう?・・・という危機感が高まるわけでチョイスした次第です。仮想敵国はもちろんロシア、中国、北朝鮮になるのですが。rakuten戦争の値段第2章「世界から見た戦争とお金」で、ロシアのウクライナ侵攻に触れたあたりを、見てみましょう。p75~77<4 敵国を支援でも金融市場を守れ> 国際社会に少々、不可解な印象を与えたロシアによるクリミア侵攻も、経済というフィルターを通すことでかなり客観的に分析することが可能です。 2014年、ロシアはウクライナのクリミアを制圧、自国の影響下に置きました。世の中では、大きな戦争が起こるのではないかと憂慮する声が出ましたが、各国の資本家は思いのほか落ち着いていました。■ロシアはなぜ戦線を拡大しないのか? その理由は単純で、資本家は戦争とお金の関係を知り尽くしており、ロシアに宣戦を拡大する能力がないことは、資本家の間では常識だったからです。 結局、ロシアのクリミア侵攻に対して市場はあまり反応しませんでした。 ロシアは軍事大国で強い国家というイメージがありますが、これは、策略に長けた政治家であるプーチン大統領が戦略的に作り上げてきたイメージにほかなりません。本書で解説している経済と戦争の関係を知っていれば、ロシアは必ずしも軍事大国とは呼べない実態がわかってきます。 ロシアのGDPは220兆円ほどしかなく、思いのほか小規模です。日本は約500兆円、中国は1200兆円、米国は2000兆円ですから、その差は圧倒的です。さらにロシアの経済構造は、米国や日本、中国と比べても非常に脆弱です。 ロシアには目立った産業がなく、天然ガスくらいしか国外に輸出して外貨を稼げる手段がありません。原油価格が安くなってしまうと、国庫への収入が減るだけでなく、輸入に必要な外貨すら不足することになります。このため、原油価格の状況によっては国内の経済が大打撃を受けることになってしまいます。 ロシアがクリミアに侵攻したのは、大国の野心というよりも、原油安で追い込まれたことから、軍事力を使って最大限の効果を上げようとした結果と考えられます。もしロシアが本格的な戦争に踏み込むためには、かなりの資金を調達しなければなりません。ロシアは、米国や日本、中国と異なり、グローバルに通用する金融市場を持っていませんから、資金の調達力には限界があります。莫大な戦費を無理に調達すれば、インフレがさらに加速してしまうでしょう。 プーチン大統領は徹底的なリアリストですから、こうした戦争の法則を知り尽くしているはずです。よほどのことがない限り、ロシアが戦線を拡大する可能性は低いでしょう。 プーチン大統領が行っているのはあくまで芝居にすぎないのです。(注:ロシアがウクライナ全土への侵攻を行ったのは、クリミア併合から8年後。原油価格が上昇し、ロシアの財政基盤がある程度好転してからでした)。『戦争の値段』1:戦争とお金の関係性
2024.11.14
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図書館で『戦争の値段』という文庫本を、手にしたのです。石破首相が登場したが日本の安全保障はどうなるのだろう?・・・という危機感が高まるわけでチョイスした次第です。仮想敵国はもちろんロシア、中国、北朝鮮になるのですが。【戦争の値段】加谷珪一著、祥伝社、2022年刊<「BOOK」データベース>より戦争が起きるか否かは、経済力で決まる!ウクライナ侵攻、太平洋戦争、日清日露戦争をお金の流れから読み解く。<読む前の大使寸評>石破首相が登場したが日本の安全保障はどうなるのだろう?・・・という危機感が高まるわけでチョイスした次第です。仮想敵国はもちろんロシア、中国、北朝鮮になるのですが。rakuten戦争の値段まず第1章「戦争にはどのくらいお金がかかるのか」の冒頭から、見てみましょう。p23~26<1 戦争とお金の切っても切り離せない関係性> 戦争には多額のコストがかかります。そのことは多くの人が認識していると思いますが、実際にどのくらいお金がかかるのか具体的にイメージできる人はあまり多くないでしょう。戦争のコストについては細かく報道されませんし、経済に詳しい人でも、実はよくわかっていないということも多いのです。 しかし、戦争の現実はお金そのものです。多くの戦争にお金の問題が関係していますし、兵器のハイテク化が進んだ今、その国の経済力は、戦争遂行能力に直結しています。戦争の問題=お金の問題なのです。■結局のところ軍事費は経済水準で決まってくる。 戦争にかかるコストとひとくちにいっても、その範囲や規模は様々です。かなり大がかりな戦争を遂行している時と、定常的な軍事活動しかしない時では、必要なコストは変わってきます。 また大子ぼな戦争は、長期にわたることになりますから、各年度の支出と戦費の総額にはかなりの乖離が生じます。 まずは、特に大きな紛争が発生していない平時における軍事コストというものを考えてみましょう。 図1-1は平時における各国の軍事費とGDP(国内総生産)の大きさを比較したものです。当然といえば当然ですが、世界最大の経済大国である米国の軍事費は突出しており、年間70兆円以上の金額を軍事費に支出しています。日本の国家予算()が年間約100兆円ですから、米国は日本の国家予算に近い金額を常に軍事費として支出しているわけです。 次に金額が大きいのは中国です。中国の軍事費はここ10年、驚異的なペースで増加しており、周辺各国に脅威を与えています。中国はすでに年間25兆円程度を軍事費として支出していますが、中国政府の透明性は低く、総額でどの程度の支出があるのか、外部からは見えにくい状況です。実際にはもっと金額が多いという説もあります。 軍事費に対する支出の絶対額が同じでも、負担の大きさは国によってバラバラです。経済力がある国は、総額が多くても、無理なくそのコストを負担できます。一方、経済水準が低い国は、軍事力の維持が大きな負担になることもあるわけです。(中略) ロシアは、表の中ではもっとも国民生活に犠牲を強いて軍事費を捻出している国ですが、それでもGDPに占める軍事の割合は4.5%程度です。 米国は4.5%、中国は2.1%程度、日本やドイツは1.0%程度となっています。ロシアは、先進国と比べると生活水準が低く、現在の軍事費水準はギリギリのラインと見ることができます。一般的にはGDPの1%から3%程度の範囲が適正水準といえるでしょう。
2024.11.13
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図書館で『水彩 風景を描く』という本を、手にしたのです。おお水彩画の指南書ってか・・・いつか水彩画を描こうと思っているので、ある程度の画材を準備済みの私は即、チョイスした次第です♪【水彩 風景を描く】レー・スミス著、美術出版社、1993年刊<「BOOK」データベース>より風景画を描くにあたっての最初の一筆から最終的な構図の取り方まで、実際に描くにあたっての準備から実習までを、ステップを追って写真とやさしい解説文によってていねいに説明します。また、解説を進めるにあたって、プロのアーティストたちが描いた作品を実例として、新しいテクニックを教えていきます。<読む前の大使寸評>おお水彩画の指南書ってか・・・いつか水彩画を描こうと思っているので、ある程度の画材を準備済みの私は即、チョイスした次第です♪rakuten水彩 風景を描く混色とウォッシュ、色の積み重ねなどの技法を、見てみましょう。p22~23<限られた色で描く> 色の原理を習得してしまえば、膨大な量の絵具を買う必要はないことがわかってきます。たとえ窓から外を眺めていたり、いなか道を歩いていたりすると、数限りない色と色調が目に映えるとしても。 このページの練習で必要なのは7色だけです。この7色を混ぜて、色の幅をぐっと広げることができるのです。戸外で描くときは、夏の原色、冬の寒々としたモノクロームに近い色調といった季節独特の光の状態を頭に入れて、それにあった限られた色があなたの必要を満たすものであることを、確かめておきましょう。【画材】 ビリジャングリーン、アリザリンクリムソン、プルシャンブルー、カドミウムイエロー、レモンイエローヒュー、インディアンレッド、ローシェンナ 合成繊維の筆(4号、9号、14号)、合成繊維の平筆(4インチ幅)■色の積み重ね たくさんのウォッシュが、適切な場所に適切な色で塗り重ねられるよう、腕をコントロールしましょう。 すでに塗ってある中間部の丘陵、および画紙のなにも塗っていない部分にレモンイエローヒューの薄いウォッシュをかけます。これによって色調の後退が生まれ、木々のうしろに空間の広がりが出てきます。この本も暇になったら、絵を描くのだったR6に収めておくものとします。『水彩 風景を描く』1:はじめに
2024.11.11
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図書館で『水彩 風景を描く』という本を、手にしたのです。おお水彩画の指南書ってか・・・いつか水彩画を描こうと思っているので、ある程度の画材を準備済みの私は即、チョイスした次第です♪【水彩 風景を描く】レー・スミス著、美術出版社、1993年刊<「BOOK」データベース>より風景画を描くにあたっての最初の一筆から最終的な構図の取り方まで、実際に描くにあたっての準備から実習までを、ステップを追って写真とやさしい解説文によってていねいに説明します。また、解説を進めるにあたって、プロのアーティストたちが描いた作品を実例として、新しいテクニックを教えていきます。<読む前の大使寸評>おお水彩画の指南書ってか・・・いつか水彩画を描こうと思っているので、ある程度の画材を準備済みの私は即、チョイスした次第です♪rakuten水彩 風景を描くまず「はじめに」から、見てみましょう。p6~7<はじめに> 水彩画は数多くの魅力を持った絵画です。そして、それに必要な画材は、数本の筆と絵具と見ずだけというかんたんなものですから、どこへでも持ち運べます。一方、水彩絵具にはみずみずしく、のびやかに描けるという特徴がありますから、戸外に飛び出して、風景の時間によって変化する光や微妙な陰影を自由な筆づかいで捕えたくなります。 水彩はスケッチにも向いています。ですからスケッチブックはいつも手近に用意しておきましょう。■近代の水彩画 水彩画を描くには、芸術的に高度なものが要求されるのは当然です。にもかかわらず、16世紀以来ヨーロッパの画壇では、油彩画が支配的でした。当時、水彩画は無視されるか、低く見られ、せいぜい油彩の大作を準備するためのスケッチに使われるのが関の山でした。 とはいえ、自然を詩的に研究した天才画家アルブレヒト・デユーラーは、水彩絵具を本格的な画材として使っています。ほかにもフランスの画家クロード・ロレーンとニコラ・プッサンがいます。このふたりの画家は、ウォッシュとモノクローム(1色の絵具による画法)の使い方を発展させました。 しかし、水彩画の価値をひとびとに正当に認めさせたのは、なんといってもポール・サンドビー、ジョン・コンスタブルJ.M.W.ターナーでしょう。 これらの画家の複雑な色彩の色調と自由な筆づかいは、19世紀の英国社会の多くの画家やアマチュア画家の心を揺さぶり、影響を与えました。 水彩画は、フランスの印象派の画家が使いはじめると、さらに重要視されるようになりました。印象派の指導的な画家、ポール・セザンヌは水彩画の巨匠となりました。ドイツのオーギュスト・マケとアメリカのウィンスロー・ホーマーは大胆な力強いテクニックを導入して、近代の水彩画の重要性を高めました。■本書について 本書は、水彩画における色、光、色調の扱い方の基本を紹介します。構図の説明もし、技法については随所に触れていきます。技法の基礎を習得してしまえば、専門家はだしの風景画をたくみに描ける日も遠くはありません。歴史上の作品や現代画家の絵も載せました。参考にしてください。また上達のよい刺激剤ともなるでしょう。ターナー「ロスリン城」
2024.11.11
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図書館で『絵の中のモノ語り』という本を、手にしたのです。あまり知らなかった絵が並んでいるが・・・その絵に対する著者の解説が、博識というか素晴らしいのである♪【絵の中のモノ語り】 中野京子著、KADOKAWA、2021年刊<「BOOK」データベース>より身分違いの恋、救いのない終焉ー。少女が抱える鉢の中には愛しき人の頭部!?ルノワール、ミュシャ、ホッパー、クリムトなど“モノ”をもとに歴史の謎や社会背景、画家たちの思惑を読み解く。<読む前の大使寸評>あまり知らなかった絵が並んでいるが・・・その絵に対する著者の解説が、博識というか素晴らしいのである♪rakuten絵の中のモノ語りまず、ハードボイルドなものをひとつ見てみましょう。p16~20<ホッパー「ナイトホークス」×「煙草」> タイトルのナイトホークスとは、ヨタカ(夜鷹)のこと。転じて「夜更かしする人々」を指す。 1940年代のニューヨークは、エドワード・ホッパー(1882―1967)がここに描いたように、深夜の下町でさえ安全な場所だった。とはいえ夜通し開いている街角のダイナー(列車の食堂車を模した簡易食堂)で、酒ならぬコーヒーを飲むナイトホークスたちは、それぞれ深い孤独と漠然たる不安を抱えているように見える。 ハードボイルドの時代だ。 タフでなければ生きられず、優しくなければ生きる資格がないと信じる探偵や、「昨夜はどこにいたの、明日は何するの」と女友達から訊かれて「そんな昔は忘れた、そんな先は知らん」とつれない返事をする男が(少なくとも小説や映画の中には)いた時代。寡黙な男と謎めいた美女の、古き良き時代。ナイトホークス 画面はまるで舞台のセットのようだ。道路にはゴミ一つなく、猫一匹通った気配もない。奥の建物は書割りめき、煌々と照らされたダイナー内のカウンターには、余計なものはいっさいない。登場人物のアクションも最小限で、感情は測りがたい。多くの手がかりが削ぎ落され、行間を読むことを強いられるハードボイルド小説の、まさにこれは絵画版といったところ。 もちろん小さなドラマは仄めかされる。赤いドレスの女性が、手元のブックマッチから視線を外さぬまま、さりげなく左腕を伸ばし、隣の男の手に触れようとしている。ふと顔を上げる店のマスター。背を向け、うつむいたままの、もう一人の客。誰も視線を交わさない。明るいカプセルに閉じ込められた四人に、これから何が起こるのだろう・・・。 女連れの男は指に煙草をはさんでいる。当時は男も女も青少年までもが盛大に口から鼻から煙を吐き出していた。もともと煙草はアメリカ原産だ。このダイナーの屋根の看板にもサツマイモ風に膨らんだ葉巻のイラストと「only 5¢(たったの5セント)」「PHILLIES」(=フィリーズ)と、煙草会社の広告が見える。 かつて煙草は「聖なる薬草」とされ、ペストをも防ぐと信じられていた。19世紀においてもなお万能薬として勧める医者がいたほどだ。ところが20世紀になると研究が進んでニコチンの害が明らかになり、ヒトラーは健康帝国を謳ってドイツから煙草を一掃した。一方アメリカの煙草産業界は、むしろ逆にこの時点から大々的な宣伝攻勢をかけ始める。とりわけ効果的だったのは映画界との共同戦線だ。ハリウッドの大スターたちは莫大な報酬をもらい、スクリーンでしきりに喫煙しまくった。 観客はハンサムな男優が煙たげに細める目つきや、美人女優が煙草を口に運ぶ優雅な手つきに憧れた。おまけに煙草を吸うから素敵なのだと錯覚し、自分も煙草を吸えば彼らに近づけると、とんでもない誤解にまで至ったのだから始末に負えない。かくしてアメリカ中に紫煙が漂った。
2024.11.10
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図書館で『ざんねんな筋トレ図鑑』という本を、手にしたのです。ジムに通って、自己流の筋トレに励んでいるのだが・・・専門家のアドバイスを聞いてみようと思い立って借りた本なんですが。【ざんねんな筋トレ図鑑】 小島央著、マキノ出版、2020年刊<「BOOK」データベース>よりついやってしまいがちな「ざんねんな筋トレ30」を、ざんねんなイラストとともに筋肉ドクターが一刀両断!<読む前の大使寸評>ジムに通って、自己流の筋トレに励んでいるのだが・・・専門家のアドバイスを聞いてみようと思い立って借りた本なんですが。rakutenざんねんな筋トレ図鑑第4章『データから読む・筋肉ドクター流・筋トレの効果』から、老人向けのテーマ を見てみましょう。p126~129<筋トレは老化に抵抗できる唯一の手段> 筋トレのセミナーを開くと、よくお話しすることがあります。 それは 筋トレは老化に抵抗できる唯一の手段である ということです。 人間は、20歳を超えると、全身のあらゆる臓器組織の機能低下が徐々に起こります。心臓も肺も肝臓も膵臓も皮膚も神経も。皮膚などの、見た目でわかる「美容法」だけが、老化に対抗できる方法だと思っているかたも多いですが、ちょっと若そうに見えても、全身の機能は確実に衰えていくわけです。 何か一つでも、体の機能の向上、老化に抵抗できる方法を知っていますか? ないですよね。 しかし、運動器(筋肉や骨など)だけは、運動でなんとかなることがわかっています。しかも、そのなかで最も運動機能を向上させるものが、筋トレなんです。だから筋トレは、老化に抵抗できる唯一の手段といえるのです。 私たちは、20歳を過ぎると、ふだんからある程度の運動をしていても、年間1%の筋力低下が起こってくるといわれています。 加齢変化の影響をもっとも受けるといわれている太ももの大腿四頭筋は、20代では、体重1kg当たり25gの重さがあります。それが、加齢や運動不足の影響で、しだいにへっていきます。 体重1kg当たり10gが必要最小水準ライン。10gを切ると、自分の脚で歩くのが困難になり、寝たきりになる というデータもあるのです(『貯筋通帳』ワニブックス)。 それに対抗するにはどうしたらいいか。 私が、「筋力を鍛えてくださいね」というと、お年寄りのかたは、「毎日歩いています!」と答えたりするんですね。多くのかたたちにとっては、歩くこと=筋力を鍛える運動、となっていた。 しかし、この認識は間違っています。 中高年で体力の衰えたかたが、毎日歩くことで、見違えるように脚が太くなったのを見たことがありますか? 本書でもくり返し指摘してきたとおり、私たちは高強度の運動習慣によって、筋肉強化という適応を引き出さなければなりません。 歩くことは、たいてい日常生活動作レベルの強度ですから、有酸素運動にもなっていないことが多いのです。要するに、筋トレにはなりません。いくら毎日歩いても、ジリジリと筋肉が衰えていきます。 リハビリを継続してやっていて、だんだん筋量・筋力ともに衰えていくのも、同じ事情からです。 しかし、私たちには筋トレという手段があります。 意識して筋トレを行うことで、筋肉の衰えを防ぐことができるどころか、筋力を上げられます。 これは野生動物にはできません。 野生動物は、強度・容量・頻度を計算できませんし、必要もないのに、高強度の運動をあえて行いません。このため、ある一定の時期がくると(たいていは繁殖を終えると)衰えていきます。 高強度の運動習慣をつけることができるのは、人間だけなのです。 ちなみに、よく高齢者に筋トレは無理とか、筋トレは危ないとかいわれていますが、こうした考え方も、筋トレに対する無知からきているといってよいでしょう。 何歳になっても、筋トレをキッチリ行えば、着実に、安全に、筋量・筋力がアップしていきます。これによって、さまざまな副次的な効果がもたらされます。 もちろん、もっと若い層、青少年から壮年期のかたにとっても、筋トレが大きな効果をもたらすことは間違いありません。『ざんねんな筋トレ図鑑』2:テクニックその1『ざんねんな筋トレ図鑑』1:原則その4
2024.11.10
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「絵」でしょうか♪<市立図書館>・水彩 風景を描く・絵の中のモノ語り・戦争の値段・華僑二世徐翠珍的在日<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【水彩 風景を描く】レー・スミス著、美術出版社、1993年刊<「BOOK」データベース>より風景画を描くにあたっての最初の一筆から最終的な構図の取り方まで、実際に描くにあたっての準備から実習までを、ステップを追って写真とやさしい解説文によってていねいに説明します。また、解説を進めるにあたって、プロのアーティストたちが描いた作品を実例として、新しいテクニックを教えていきます。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten水彩 風景を描く【絵の中のモノ語り】 中野京子著、KADOKAWA、2021年刊<「BOOK」データベース>より身分違いの恋、救いのない終焉ー。少女が抱える鉢の中には愛しき人の頭部!?ルノワール、ミュシャ、ホッパー、クリムトなど“モノ”をもとに歴史の謎や社会背景、画家たちの思惑を読み解く。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten絵の中のモノ語り【戦争の値段】加谷珪一著、祥伝社、2022年刊<「BOOK」データベース>より戦争が起きるか否かは、経済力で決まる!ウクライナ侵攻、太平洋戦争、日清日露戦争をお金の流れから読み解く。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten戦争の値段【華僑二世徐翠珍的在日】 徐翠珍著、東方出版、2020年刊<出版社>より日本に生きた「在日華僑」の闘いの記録。日本の植民地政策の残存の象徴でもある「国籍条項」「外国人登録法」「入管法」をめぐる闘いの一つの結果として、外国籍公務員第一号となる。その他、指紋押捺拒否や「思いやり予算」返還訴訟、靖国訴訟などを提訴、「非暴力・反戦反差別平和」を理念に活動を続けている。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten華僑二世徐翆珍的在日
2024.11.09
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在20位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)現在2位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/10予約、副本?、予約8)現在3位・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』 (5/14予約、副本2、予約5)現在3位・内田樹『勇気論』(7/07予約、副本?、予約?)現在9位・有田芳正『誰も書かなかった統一教会』(7/27予約、副本?、予約?)現在1位・消費者金融ずるずる日記(8/27予約、副本6、予約112)現在85位・パッキパキ北京(8/29予約、副本9、予約111)現在67位・転がる珠玉のように(9/05予約、副本7、予約87)現在60位・原爆裁判(9/11予約、副本?、予約133)現在107位・沈む日本4つの大罪(10/10予約、副本?、予約?)現在9位・官僚国家 日本の闇(10/28予約、副本2、予約47)現在45位・ぜんぶ、すてれば(11/07予約、副本?、予約?)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵・ヤマザキマリ『水木しげる厳選集 異』:図書館未収蔵・猫社会学、はじめます:図書館未収蔵・書いてはいけない日本経済墜落の真相:図書館未収蔵・金水敏『よくわかる日本語学』・闇の中国語入門・奪還 日本人難民6万人を救った男:・花まんま<予約分受取:7/27以降> ・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、7/27受取)・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、7/27受取)・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、8/06受取)・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、8/27受取)・パンとサーカス(8/28予約、9/01受取)・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、9/12受取)・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、9/22受取)・池澤夏樹『ノイエ・ハイマート』(6/29予約、10/13受取)・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、10/27受取)**********************************************************************【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【アジア発酵紀行】小倉ヒラク著、文藝春秋、2023年刊<出版社>よりアジアの巨大な地下水脈をたどる冒険行。「発酵界のインディ・ジョーンズ」を見ているようだ!ーー高野秀行(ノンフィクション作家) 自由になれーー各地の微生物が、奔放な旅を通じて語りかけてくる。ーー平松洋子(作家・エッセイスト)発酵はアナーキーだ! チベット~雲南の「茶馬古道」からインド最果ての内戦地帯へーー前人未到の旅がいま幕をあける! 壮大なスケールでアジアの発酵文化の源流が浮き彫りになる渾身作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/14予約、副本2、予約21)>rakutenアジア発酵紀行【勇気論】内田樹著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりモヤモヤを抱えた編集者との“カウンセリング”往復書簡。ジョブズ、フロイト、孔子、伊丹万作、河竹黙阿弥、大瀧詠一、パルメニデス、富永仲基…話頭は転々として奇を極めー。いまの日本人に一番足りないものは何だろうか?読めば心が軽くなるーウチダが綴る9通のメッセージ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/07予約、副本?、予約?)>rakuten勇気論【誰も書かなかった統一教会】有田芳正著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2022年7月の安倍元首相銃撃事件後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着を中心に多くの報道があった。だが、メディアが報じたのは全体像のごく一部だった。教団をめぐる多くの問題が残されたまま事件の風化を憂慮したジャーナリストが、教団の政治への浸食の実態、霊感商法の問題はもちろん、「勝共=反共」にもかかわらず北朝鮮に接近していた事実、教団の実態を早くから認識していたアメリカのフレイザー委員会報告書、教団関係者による銃砲店経営、原理研究会の武装組織、「世界日報」編集局長襲撃事件、公安が教団関係者を調査していた事実等、その全貌を公開する。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(7/27予約、副本?、予約?)>rakuten誰も書かなかった統一教会【消費者金融ずるずる日記】 加原井末路著、三五館シンシャ、2024年刊<「BOOK」データベース>より1990年代の半ば、30歳のときに足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を私はこの業界ですごし、お金にまつわる悲喜こもごもを目撃した。私が在籍した期間は、消費者金融業界が栄華を極めてから、2010年の法改正施行を経て、没落していく年月でもあった。-本書にあるのはすべて私の実体験である。「お客を追い込む仕事」。サラ金社員が経験した、貸し手と借り手のお金の修羅場。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten消費者金融ずるずる日記【パッキパキ北京】綿矢りさ著、集英社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりコロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは…?<読む前の大使寸評>追って記入rakutenパッキパキ北京【転がる珠玉のように】ブレイディみかこ著 、中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりLike A Rolling Gem。大人の山あり谷ありライフを越えていけ!結婚するゲイの友人、職人魂を燃やす父、イギリスで、日本で、社会の底を支える労働者たちの人生劇場。泥くさい毎日を“宝石”に変える著者3年ぶりの最新エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(9/05予約、副本7、予約87)>rakuten転がる珠玉のように【原爆裁判】山我浩著、毎日ワンズ、2024年刊<商品説明>より日本初の女性判事・三淵嘉子が昭和三十年代に裁判官を務めた「原爆裁判」に焦点を当てた書き下ろし。原爆を巡るアメリカの闇を追及すると共に三淵嘉子の半生を紹介、さらに、世に名高い「原爆裁判の判決文」も付載した一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/11予約、副本?、予約133)>rakuten原爆裁判【沈む日本4つの大罪】 植草一秀×白井聡著、ビジネス社、2024年刊<「BOOK」データベース>より捏造と欺瞞、狡猾と策略で、夢も希望も失った日本人に告ぐ!奴隷国家に堕した日本の国難に打ち勝つ再生への処方箋。経済学の論客と気鋭の政治思想家が日本のタブーに斬り込む!LGBTQ、SDGs、コロナワクチン、政権と大企業の罠、メディア腐敗etc。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約 (10/10予約、副本?、予約?)>rakuten沈む日本4つの大罪【官僚国家 日本の闇】泉房穂著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され命を落とした政治家・石井紘基。当時、石井は犯罪被害者救済活動、特殊法人関連の問題追及等で注目を浴びていた。その弱者救済と不正追及の姿勢は、最初の秘書・泉房穂に大きな影響を与えた。石井は日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破。その構造は、今も巧妙に姿を変え国民の暮らしを蝕んでいる。本書第1部は石井の問題提起の意義を泉が説き、第2部は石井の長女ターニャ、同志だった弁護士の紀藤正樹、石井を「卓越した財政学者」と評する経済学者の安冨歩と泉の対談を収録。石井が危惧した通り国が傾きつつある現在、あらためてその政治哲学に光を当てる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/28予約、副本2、予約47)>rakuten官僚国家 日本の闇【ぜんぶ、すてれば】中野善壽著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年刊<商品説明>より【隈研吾 推薦】「ビジネスとかアートとか、結局のところ「切れ味」だということを、日本で唯一中野さんだけが直感的に理解し実践している!」"今日がすべて。颯爽と軽やかに、ぜんぶ捨てれば""人の評価は気にしない。 自分自身が納得できるか""準備万端の日は一生来ない。 何も考えず、思い切ればいい"<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/07予約、副本?、予約?)>rakutenぜんぶ、すてれば【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・デジタル朝日「好書好日」でめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.11.08
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図書館で『水木しげるのラバウル従軍後記』という本を、手にしたのです。中を覗いてみると、全編にわたってスケッチ画、漫画、モノクロ写真などが満載で、とにかくビジュアルであり・・・読みやすいのである♪【水木しげるのラバウル従軍後記】 水木しげる著、中央公論新社、2022年刊<「BOOK」データベース>より“トペトロとの50年”は、奇妙な楽しみに満ちた50年だった。豊富なカラーイラストと現地撮影写真で彩る、戦地で出会った生涯の友人との奇妙な交遊録。戦地ラバウルの情景や復員後の日々を描いた貴重な作品をカラーで掲載。ラバウルでの交流を記録した文庫版未収録写真を多数収録。エッセイ「娘よ あれがラバウルの灯だ」、マンガ「トペトロの葬式」を特別収録。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten水木しげるのラバウル従軍後記「トペトロとの再会」の続きを、見てみましょう。p119~121<トペトロとの再会> 私は、南方の光を見るとなんとなく満ちたりた気分になる。 意味もなく、時間があると日本を飛び立つのがくせになった。 子供たちは、「お父さんまた行くの」 と言っていたが、すべて担当編集者には内密の旅行だった。「ちょっと働きすぎて目まいがするので・・・」 と言って逃げ出すのだ。 南方から帰ると、いつも一日中彼らの奇妙な踊りと音楽を聴くのを常としていた。「あっ、また始まった」と、娘たちは私より先に音楽のリズムを覚えてしまった。 私はいわゆる〝南方病〟という、楽しい病気に罹っていたのかもしれない。ドクドク 私はそのころ本当にバカだった。 この〝ドクドク〟という踊りを見て驚いてしまって、どうしても日本に持って帰ると言い出してしまったのだ。〝ドクドク〟は彼らの〝カミ〟で、この付近の長老、白髪のチアラ老が管理していた。 これを見るためには、トライ族にならなければならないらしく、貝貨を〝ドクドク〟に捧げればよいのだ。それからチアラの立ち合いのもとに、チアラ家の裏にあるジャングルの小さい広場で行われた。 私は無我夢中で8ミリビデオで撮り、実にテープ8本分に及んだ。 私はその霊的、神秘的雰囲気に驚いてしまったのだ。 不思議にも沖縄の〝アカマタ クロマタ〟によく似ていた。 伴奏はトペトロやトリマル、トリマルの兄のトワルワルや、村人たちだった。 白髪頭のチアラ老は、私が最初行った時から老人だったが、今でも同じように白髪の老人で生きている。 この時もトペトロは熱心だった。 このドクドクの踊りでリズムに酔い、トワルワルは動作が止まらず、30分間夢想状態にあった。私は8ミリでそれを撮った。やがてトワルワルは我に帰ったが、もともとトワルワル氏は音楽的感性が強く、自宅(広大な敷地)にアクラウ(ポコポコの歌)と名づけた小屋を作っているぐらいだ。『水木しげるのラバウル従軍後記』2:トペトロとの再会『水木しげるのラバウル従軍後記』1:トペトロとの出会いところで、アメリカの大統領選挙の結果であるが・・・6日にトランプ氏の圧勝が報道されています。「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプ氏は、イスラエルを除く世界各国に難問を突き付けることになる。げに下品な次期大統領ではある。
2024.11.07
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図書館で『ざんねんな筋トレ図鑑』という本を、手にしたのです。ジムに通って、自己流の筋トレに励んでいるのだが・・・専門家のアドバイスを聞いてみようと思い立って借りた本なんですが。【ざんねんな筋トレ図鑑】 小島央著、マキノ出版、2020年刊<「BOOK」データベース>よりついやってしまいがちな「ざんねんな筋トレ30」を、ざんねんなイラストとともに筋肉ドクターが一刀両断!<読む前の大使寸評>ジムに通って、自己流の筋トレに励んでいるのだが・・・専門家のアドバイスを聞いてみようと思い立って借りた本なんですが。rakutenざんねんな筋トレ図鑑第1章『これが「ざんねんな筋トレ」だ!』から、テクニックその1 を見てみましょう。p32<テクニックその1 さまざまなセット法> さまざまなセット法が提案されています。 最もシンプルなのが、ある筋トレを⒑レップ(回)=1セットとして、3セットやるというもの。ほかに、1セットは強めにやって、次から弱めていくドロップセットや、2種めを連続して行うスーパーセット、多種類多セットを組み合わせるジャイアントセットなどなど、百花斉放。「最も高強度な運動を、できなくなるまで継続すると、筋肉にさらにパワーアップしようという適応が起こる」というのが、私の筋トレ原理。 例えば、短距離ダッシュのような運動なら高強度の運動となり、筋肉のパワーアップが起こる。 しかし、1回思いっきり限界まで奪取したら、そのあと、少し休んだとしても、また前と同じ強度のダッシュができるでしょうか。 陸上の100m走で見ても、らくに決勝に残るようなトップアスリートは、予選は流しますね。予選で全力を出してしまうと、決勝で全力が出せなくなるから。 全力を出した次のセットは、最大パワーの運動はもうできない。何セットもやっても、セット内容を工夫しても、筋肉のパワーアップさせる運動になりえないのですよ。 だから、私が勧めるのは、1種目につき1セット。それだけでいいんです。『ざんねんな筋トレ図鑑』1:原則その4
2024.11.05
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図書館で『ざんねんな筋トレ図鑑』という本を、手にしたのです。ジムに通って、自己流の筋トレに励んでいるのだが・・・専門家のアドバイスを聞いてみようと思い立って借りた本なんですが。【ざんねんな筋トレ図鑑】 小島央著、マキノ出版、2020年刊<「BOOK」データベース>よりついやってしまいがちな「ざんねんな筋トレ30」を、ざんねんなイラストとともに筋肉ドクターが一刀両断!<読む前の大使寸評>ジムに通って、自己流の筋トレに励んでいるのだが・・・専門家のアドバイスを聞いてみようと思い立って借りた本なんですが。rakutenざんねんな筋トレ図鑑第1章『これが「ざんねんな筋トレ」だ!』から、気になるアドバイスを見てみましょう。p24<原則その4 力をセーブしながら始める> 運動を始めた後、最大パワーが出せるのは、どのレップ(回)かといえば、最初の数回です。同じ重量を挙げ続けるなら、必要な力は変わりません。ですから、最初の最も速いスピードで挙げられるときに、最大パワーが発揮されるということです。 そこから徐々にパワーダウンしていきます。 そして、できるだけハイパワーな状態で出し切って、あとダラダラ続けてしまった場合、その後、追い込んでさらに最大パワーが出せるかというと、もう不可能なのです。データによると、次にまた最大パワーの運動ができるようになるのには2日以上かかります。 多いんですね。最初の1~2回めから、力をセーブしつつ、かる~くやってしまう人が。しかし、あとから追い込もうとしても最大パワーは出せません。その種目が台無しになってしまいます。 筋トレ効果を考えると、最初が肝心なんですね。
2024.11.05
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図書館で『水木しげるのラバウル従軍後記』という本を、手にしたのです。中を覗いてみると、全編にわたってスケッチ画、漫画、モノクロ写真などが満載で、とにかくビジュアルであり・・・読みやすいのである♪【水木しげるのラバウル従軍後記】 水木しげる著、中央公論新社、2022年刊<「BOOK」データベース>より“トペトロとの50年”は、奇妙な楽しみに満ちた50年だった。豊富なカラーイラストと現地撮影写真で彩る、戦地で出会った生涯の友人との奇妙な交遊録。戦地ラバウルの情景や復員後の日々を描いた貴重な作品をカラーで掲載。ラバウルでの交流を記録した文庫版未収録写真を多数収録。エッセイ「娘よ あれがラバウルの灯だ」、マンガ「トペトロの葬式」を特別収録。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten水木しげるのラバウル従軍後記トペトロとの再会あたりから、見てみましょう。p101~105<トペトロとの再会> 私は〝軍曹〟たちと別れて、飛行機が出発する4、5時間の間に昔のトペトロたちの村を探すことにした。自動車でその村を探したが、なにしろ30年近くも前のことだから景色も違っていて、勘違いもあったりして3時間ばかりぐるぐる回ったが、一つも手がかりがない。 運転手は頼みもしないのにやたら帰路に着こうとする。「だめだ」と再三言い、またぐるぐる回って、もうだめかなあと思った時、一人の青年が小道から出てきた。「このあたりにトペトロという者はいないか」と聞くと、コーフン気味になったので驚いた。 トペトロの義弟トマリルだった。 おそらくこの時、偶然会っていなかったら〝トペトロとの50年〟の交換もあり得なかっただろうと思う。 人生における偶然の出会いほど不思議なものはない。 トマリルは大きな声で震えながら、「トペトロはいる!!」 そして、「お前、オレを覚えているか、小さいベビーだったが・・・」「うーむ、覚えていない」 と言うと、がっかりしたような顔をしたが、トマリルは足早に小道を案内した。 そしてトペトロのところに案内された。30年前ものことだ。 そんな昔の有人の訪問は、〝とまどい〟でしかなかったようで、初めは台所に隠れているみたいだった。 やがて、思い出が蘇ってのだろう。ニコニコして出てきた。 私も30年前の少年がオッサンになっているので、大いに驚いた。 1時間くらい経って、お互いに老けたんだということが頭に染み込んできてわかったので、握手して確認し合った。 まさかの訪問にトペトロたちも驚いていた。(中略) 30年近く音信不通だった友人に会ったわけだが、どうしたわけか、水木大先生はその次から何回も行く。 私自身もよくわからないが、なんとなくいい気分になれるのだ。 日本ではあまり味わえない王侯気分というやつだろう。 寝イスに寝ると、トリマルが常にうちわであおいでくれるのだ。 パパイヤと言えば、人間の頭くらい大きなのをすぐに持って来てくれる。 それを私は2個も平らげるのだ。 昔から南方のパパイヤが好きで、毎朝大きなパパイヤを1個食べていた。すなわち、土人を手なずけて毎日届けさせていたのだ。 向こうのパパイヤは想像を絶するうまさなのだ。 とにかく生まれつきの南方好きらしい。南方のものは何でもいい、といった感じ。ラバウルの火山が噴火して(1994年の大噴火)、ラバウルが火山灰に埋もれたあともトペトロと水木さんの交流は続いて50年を超えるわけだが、長くなるので以降省略。爆撃による負傷から奇跡的な復員あたりについては、ウィキペディアから紹介します。しばらく経過した1945年の初め頃、他の傷病兵と後方に送られる。傷病兵の間では「役立たずになった兵士はまとめてどこかに捨てられる」との噂も立っており、水木も不安だったが、そんなこともなく辿り着いたのはナマレに設置された野戦病院で、治療の傍ら畑仕事などに駆り出された。最前線に比べれば安全な土地で死の恐怖が和らぐと、島の原住民であるトライ族(英語版)と交流する余裕ができた。他の兵隊の様に威張らない水木を気に入ったトライ族から歓待を受け、水木の側も配給のタバコをお礼に渡すなどしている内に意気投合し、やがて集落の仲間として受け入れられた。軍規違反を承知で理由を付けてトライ族の集落に通い、トライ族の側も水木が再びマラリアで倒れると食料を持って見舞いに来てくれた。事ある毎に自分を罵倒していた上官の大尉からは「あいつは頭がおかしいぞ」と陰口を叩かれたが、先述の砂原勝己大尉が庇ってくれた。8月25日、部隊長から「日本のポツダム宣言受諾(条件降伏)」についての訓示を受ける。水木も他の兵士達も意味する所が理解できず「戦争に勝ったのか」との囁きが漏れたが、程なく「戦争に負けた」という話だとわかった。軍内では落胆の声が広がったが水木は「生き延びた!」と思い、戦場で死ななかった事に感無量だった。カゼル岬にあった連合軍の捕虜収容所に収監されて本国送還の順番を待つ間、トライ族から農地を分けるから一緒に暮らさないかと誘われ、現地除隊して永住することを真剣に考えたこともあった。しかし、砂原から「家族に会ってから決めても遅くないぞ」と助言され、帰国を決意したという。ただし、これについて砂原は「言った記憶がない」とも述懐している。1946年3月、24歳の時に駆逐艦「雪風」で浦賀港に入港し、ようやく日本へ復員した。『水木しげるのラバウル従軍後記』1:トペトロとの出会い
2024.11.04
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図書館で『水木しげるのラバウル従軍後記』という本を、手にしたのです。中を覗いてみると、全編にわたってスケッチ画、漫画、モノクロ写真などが満載で、とにかくビジュアルであり・・・読みやすいのである♪【水木しげるのラバウル従軍後記】 水木しげる著、中央公論新社、2022年刊<「BOOK」データベース>より“トペトロとの50年”は、奇妙な楽しみに満ちた50年だった。豊富なカラーイラストと現地撮影写真で彩る、戦地で出会った生涯の友人との奇妙な交遊録。戦地ラバウルの情景や復員後の日々を描いた貴重な作品をカラーで掲載。ラバウルでの交流を記録した文庫版未収録写真を多数収録。エッセイ「娘よ あれがラバウルの灯だ」、マンガ「トペトロの葬式」を特別収録。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten水木しげるのラバウル従軍後記冒頭あたりから、見てみましょう。p10~20<トペトロとの出会い> 昭和16年の12月8日、家で寝ていると、ラジオが南太平洋方面とかで日本が戦争状態に言ったと報じたかと思うと、「軍艦マーチ」が始まり、1日中やっていた。 明くる日の新聞を見ると、大きな字で戦争のことが書いてあった。「これから日本、いや自分自身はどうなるのだろう」と、不安を感じた。 いずれ軍隊に引っ張られ、苦しい目に遇って死ぬのだろうか。菓子でも食べて考えようと思ったが、菓子屋には菓子のビンだけしかなかった。 間もなく配給制になって、ものをたらふく食べられなくなってしまった。 人よりも胃が丈夫だったから、糧道を絶たれるような生活は苦手だった。 間もなく召集令状が来て鳥取連隊に入れられた。 明くる日の入隊時刻は早いというので、みんな近くの宿屋に泊まった。 とにかく、これから先どういうことになるのか、両親も私も不安だった。 新聞トカラジオは、初めは勇ましいニュースを報道しみんなを喜ばせたが、入営するころはミッドウェーの敗戦、ニューギニア、ガダルカナルの敗戦と、あまり良くないニュースばかりだった。 私は陸軍、兄は一足先に海軍の高射砲隊で、お互いにニューギニア、ラバウルあたりをウロチョロしていたが、戦争中は会わなかった。 軍隊に入ると、とにかく毎日歩かされた。浜坂という砂浜で駆け足をやらされたが、なにしろ下が砂だから、なかなか前へ進めない。前へ進めないと、後ろから殴るしきたりだったから、いやでも前へ進まなければいけない。そうすると、砂粒一つ入らないはずの軍靴の中へ砂が、しかも足が痛くなるほど入ってくるのだ。 靴が砂で占領されんばかりで、足が痛い、一体どうなるんだろうと思っているうちに、夕方になり帰隊となるが、砂浜から8キロばかり歩いて連隊に着くと、なんと靴の中に砂が一粒も残っていない。私は今でも、それを不思議に思っている。 軍律よりも、奇妙な不思議さに関心はいっていた。 そうこうしているうちに、南方はラバウルに行かされた。 我々の前の船団も我々の後に続く船団もまた全部やられたので、我々だけがラバウルにかろうじてたどりついた。我々が最後の隊となったため、私は最後まで初年兵の待遇だった(不運というべきだろう)。 さらに不運なことに、私はズンゲン守備隊という、地の果てみたいなところの、そのまた先の最前線に行かされた。歩哨中敵に襲われ、幸運にも私一人助かったが、爆弾で手をやられ、ラバウルに引き下がった。この間は全く難行苦行だった。 ここがズンゲンというところ。少し小高い所に兵舎があり、戦争さえなければとてもいいところだった。 ラバウル近くのナマレというところに、戦争には役立たない、手足のない兵隊などが集められ、畑仕事をさせられた。 穴(防空壕)に寝ていたが、朝の6時が点呼で、私はいつも一番遅かった。 すなわち、人よりも1秒でもよけいに寝ていたいという努力の現われで、昼間もあまり作業をやらず、現地人(トライ族)の家に入りびたっていた。兵隊には果物なんかを持って帰ってやって、なんとか平穏無事に交際していた。 私は現地人に気に入られたのだ。私もまた、奇怪な現地人を珍しく思い、面白がった。そこにトペトロ少年がいたのだ。 後年、妖怪を描くことになったが、すべて彼らの愛嬌ある雰囲気がかたちになったものかもしれない。
2024.11.03
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図書館に予約していた『しんがりで寝ています』という本を、待つこと6ヶ月半ほどでゲットしたのです。三浦しをんの最新&爆笑エッセイ集ってか・・・面白そうである♪【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>三浦しをんの最新&爆笑エッセイ集ってか・・・面白そうである♪<図書館予約:(4/12予約、10/27受取)>rakutenしんがりで寝ていますエッセイのテーマはいろいろあるのだが、関西風のうどん料理を、見てみましょう。p64~66<心にも栄養は必要だ>「うどんすき」をはじめて食べた。 ピカぬい(ピカチュウのぬいぐるみ)の要請により(詳しくは前回参照)、なるべく自宅を空けなきゃならなくなった私は、大阪に1週間ほど出張することにした。・・・厳密に言うと、「出張」というのはちょっと嘘で、昼間はホテルの部屋で仕事し、夕方からは京セラドームで開催されたEXILE一族のコンサートに連日のように参戦してたんですの。ええ、ええ。ピカぬいの要請とは関係なく、去年から「行くぞー!」って心に決めて、この連日参戦に備え、スケジュールも心身も万全の調整をしてきたんですの。ええ、ええ。 うっかりすると私がEXILE一族としてステージで歌い踊るのかな、というほどの調整ぶりだったとひとは言うが、それはまあいい。一族のコンサートがきらめきに満ちてて、「もうなんも見えねえ・・・(双眼鏡でガン見したけど)」ってなったのも言うまでもないことだろう。 問題は、うどんすきだ。大阪に住んでいる友だちが、日中はホテルに籠りっぱなしの私を気にかけてくれて、「せっかくだからお昼にうどんすき食べよう」と誘ってくれたのだ。「わーい、食べる!」と喜んで答えたものの、実は私、うどんすきってどんなお料理なのか、まったく見当がつかなかった。大阪在住のかたにとっては、知らないなんてありえない料理だろうと思うし、私ももちろん名称は聞いたことがあったのだが、では具体的にどんな料理かと聞かれても、なにもわからない。 あまりにも楽しみすぎて、うどんすきを食べにいく前夜、ホテルのベッドで想像をめぐらす。うどんすきとはもしかして、すき焼きにうどんが入っているのではないか? え、でもそれって、「すき焼きの締めうどん」とどう違うの? と思ったのが、就寝まえの最後の記憶である。ぐーぐー(いびきと腹の鳴る音)。 友だちと待ちあわせ、うどんすきを考案したという「美々卵」さんに行った。テーブルに埋め込まれたIHコンロのうえに、大きな洗面器のような形状の銀色のお鍋が置かれる。なかには白出汁っぽい薄い色のお出汁が入っている。これは・・・、明らかにすき焼きとはちがうぞ!? 脳内うどんすき画像にバッテンをつけていたら、店員さんが具材を運んできた。塗りの箱がふたつあって、ひとつにはうどんが、もうひとつには野菜やらお麩やら鶏肉ヤラハマグリやらがうつくしく詰められている。「うわあ、きれい!おせちみたい!」とテンションが上がり、めったに料理の写真など撮らないのに(撮るまえに食べてしまうので)、スマホでばしゃばしゃ撮影。友だちが「カキも入れるとおいしいから」と追加してくれた。 ふつふつとお出汁が煮立ちはじめたところで、店員さんがうどんを鍋に投入。まっさきにうどんなのか。これはやはり、「締めのうどん」とはまったく別物だ。さらに、具材も丁寧に鍋に入れてくれる。 なるほど、うどんすきとは、うどんの入った寄せ鍋であったか! 具材にはほどよく火が通ったところでいただく。おおおおいしい! お出汁が染みに染みになるのもまた、舌にも胃にも顎にも優しい・・・。 こんなおいしいものを40年以上も知らずに過ごしてきた私はバカである。「また食べたい!」と食べ終えた直後に宣言。大阪ってほんとに食文化がすごいですよね。しかも、ひとを緊張させないおいしさなところがいい。 うどんすきも、ものすごく神経を配ってお出汁を取ったり、下ごしらえをしたりしていると思うのだが、「ドヤ!」感がなく、「どうぞー、楽しく食べてねー」とさりげない雰囲気で、本当の意味での品のある姿勢とはこういうことなのかもなと感じたのだった。ウン、ため口で綴られたエッセイ集ではあるが、この記事には品のある姿勢が感じられるのです。関東の人でも、やはり賞味となると本音が出るんでしょうね。『しんがりで寝ています』1:まえがき
2024.11.03
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図書館で『ノイエ・ハイマート』という本を、手にしたのです。池澤夏樹さんが著した本で、ウクライナやガザの戦闘もテーマとなっているようで、興味深いのである♪【ノイエ・ハイマート】池澤夏樹著、新潮社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりある日、難民になる。「新しい故郷」を求めて、歩きだす。そんなに遠い世界の話ではないのです。シリアで、クロアチアで、アフガニスタンで、満洲で、生きのびるために難民となった、ふつうの人たち。その姿と心を、てのひらで触れるようにして描きだす。<読む前の大使寸評>池澤夏樹さんが著した本で、ウクライナやガザの戦闘もテーマとなっているようで、興味深いのである♪<図書館予約:(6/29予約、副本?、予約?)>rakutenノイエ・ハイマート「ノイエ・ハイマート」の続きを、見てみましょう。p159~164<13 ノイエ・ハイマート> 前の方から音楽が聞こえてきた。 何十年も聞いていなかった懐かしいメロディーで、まるでそれに糸が結ばれた言葉がずるずると引き出されるように、日本語の歌詞が脳裏によみがえった。これだから歌は厄介なのだ。思い出したらスイッチが切れない。 ああ、「ワルシャワ労働歌」。軍歌まがいの低俗な左翼の歌の中にいきなり登場したあの美しい節・・・ 起て はらからよ ゆけ闘いに 聖なる血にまみれよ 砦の上に我らが世界 築き固めよ勇ましく 人間、そんなに勇敢に戦えるものではないよ、と老いた私は思いながら(つまり私は風に乗って流れてくるメロディーに日本語の歌詞を重ねて60年代の自分に戻っていたのだが)、しかしシリアの反政府側の人々は今こそこの思いで戦っているのではないかとも思った。戦前の鹿地亘訳詞のこの言葉の列はたった今の世界に繋がっているのではないか。あまりの死者の数にシリアを逃れる者が多くいるとしても(例えばラヤンのように)誰もきみを非難することはない。君は充分に戦った。 道を歩く私が持ったカメラは録音もしている。歌の音声は後でも補える。今ここでこれを聞いたことにこそ意味がある。 私たちは橋を渡った。 オーバーバウムブリュッケ(木の上の橋?)、とても立派な橋だ。橋の途中で話かいバンドが騒々しく演奏していた。もっぱらTシャツにスニーカー、せいぜいゆるいワンピースなどの服装に似合わず、打楽器主体の音色はここでもずいぶん古風だった。 ロッテは橋に続く大通りをずんずん歩いて、少し先を右に曲がった。数メートルの段差を下る。角に小さなカフェがあったがそれは無視。 広い道というか広場に近いところに倉庫めいた建物が並んでいる。その壁を飾るグラフィティのいろいろ。右側の建物の背後には川があるはずだがここからは見えない。人の数は少ない。 しばらく行くと大きな建物が両側から迫って道が狭くなったその入口に横断幕が掲げられていた。ロープのネットで作られていて、そこに文字が貼り付けてある・・・ NEUE HEIMAT 風にわずかに揺れるその言葉。 それくらいのドイツ語は私でもわかった。「新しい故郷」だ。 そんなものかと思っただけで先を行くロッテについて歩いた。 次の角を川の方に曲がると小さな広場があって、低い建物が囲んでいて、人がたくさんいた。そこがノイエ・ハイマートらしい。 何か歴史的な意味がありそうな円筒形の石の塔があり、その壁にはフリー。クライミング用の手がかり足かがりが埋め込んであって、数名の男女が登っていた。腰に着けたハーネスに上から安全索が結ばれている。 青空カフェのテーブルに腰を下ろした。 ここでもカメラを回した。 幼い子供が何人も周囲を駆け回っている。 ロッテがビールを買ってきた。「さっきのあれ、見たでしょ?」「ん?」「ノイエ・ハイマートっていう横断幕」「見た」「この町のボランティアの人たちがここを難民定住のセンターとして使おうと市に交渉して、あるところまでは話が進んだの。でも、なんだかうまくいかなかった」「きみも関わったの?」「あんまり力になれなかった」 「思うんだが、ノイエ・ハイマートって、それ自体が矛盾ではないのかな。新しい故郷って」「もちろんそうよ。それはわかっている。故郷というのは先祖代々で古いはずのもの。長い歴史があるはずのもの。それが新しいというのはおかしいわ。でもね、それを承知で新しい故郷を作らなければならない場合もある。そういう事態が迫ってくることがある。そういう人たちに手を貸すという義務も生じる」「ロッテ、きみは魔女だよ」 「どういう意味?」「きみのような、きみたちのような、自立して自分の思想を持った女は昔から魔女と呼ばれた」「あはは、火炙りね」 「その際は私が消防車で駆けつける」「ありがとう。ノイエ・ハイマートは仰るとおり矛盾です。でもね、そこをなんとか越えなければいけないの。誰にとっても生きるとはそういうこと」 「わかる」 そういったけれど、実は私は彼女のほとんど知らない。今、道案内をしてくれる人というだけ。いずれこれが仕事としてまとまった時には(そうなったとして)、エンド・ロールの一人になるはずの人というだけ。 この大陸では建物というものはよほどのことがないかぎり壊さないのではないだろうか。ロッテが言うように空いた建物にスクワッターが入れたということは、そこは使ってないままに放置されていたということだ。もちろんこの都会の街区の多くは先の大戦の爆撃で消尽したのだから、今こうして見るのはみな戦後になって再建されたものだけれど、それでも不便を承知で使い続けられている。大工の仕事の多くは新竹ではなく改築か改装、町で見る看板もそちらへと客を誘っている。不細工に壁の外に配管や配線を巡らしても、なんとか使うのが、石の建築の伝統なのだろう。 戦争の最後の段階でヒトラーは「パリは燃えているか?」と問うたが、しかし彼の殿軍にはパリを燃やす勇気はなかった。 今の都会にはスクワッターが住む余地は充分にある。 そこが新しい故郷にもなる。『ノイエ・ハイマート』2:13 ノイエ・ハイマート『ノイエ・ハイマート』1:失われた子供たちの海岸
2024.10.31
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図書館に予約していた『しんがりで寝ています』という本を、待つこと6ヶ月半ほどでゲットしたのです。三浦しをんの最新&爆笑エッセイ集ってか・・・面白そうである♪【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>三浦しをんの最新&爆笑エッセイ集ってか・・・面白そうである♪<図書館予約:(4/12予約、10/27受取)>rakutenしんがりで寝ていますまず、刊行経緯やステマに触れている「まえがき」から、見てみましょう。p8~10<まえがき> 本書は、雑誌「BAILA」に連載したエッセイをまとめたものの第二弾だ。「エッセイ集なのに続編?」「ということは、第一弾を読まないと話がわからないの?」と、疑問や不安を覚えたかたもおられるだろう。大丈夫だ。なんてことのない日常を書いたエッセイばかりが収められているので、いきなり本書からお読みになっても、なにも問題ない。 どうしても予習をしてから物事に取り組みたい派のかたや、本書をお読みになったのち、第一弾にも興味を抱きはじめたという奇特派かつ善良派のかたに、朗報がある。本書の前日譚にあたる『のっけから失礼します』、集英社文庫から堂々発売中です(ステマ)。 最近、商品などを提供してもらったうえで、宣伝だとわかりにくい感じで宣伝する場合には、「PR」と明記しないといけないよと、法律かなにかが変わったと仄聞した(ぼんやり情報)。インフルエンサーのひとも対応が大変だなと思うが、私はSNSに疎いため、正直なところインフルエンサーがなにをインフルエンスしているのかよくわかっておらず、ということは、知らぬまにインフルエンサーにインフルエンスされていることもあるのかもしれないので、まあPRなら「PR」と言ってもらったほうが安心だ。SNSを見てないくせに、どうやって知らぬまにインフルエンスされるつもりなんだよ。ずうずうしいな自分、という気もするが。 私自身は以前から、ステマ(ステルスマーケティング)のときは「ステマ」と明記する方針です。ステマの意味がわかってない感がありありと・・・。 問題は第一弾の『のっけから失礼します』をお読みいただいたとしても、やっぱありなんてことのない日常が書かれているため、前日譚なのかどうかすら定かじゃない、ということだ。十年一日ぶりが極まっていて、時空を歪ませるほどの力に満ちたSF的エッセイシリーズ(誇大ステマ)。あ、これはあくまでも自称なので、ちゃんと明記しました。 とにかく、第二弾の本書を話は通じるので、なにも心配はいらない。憂いなく、本書を本屋さんのレジに持っていっていただきたいと願う。おしゃれな女性向けファッション誌「BAILA」の巻頭ページで、好き放題、おしゃれじゃない日常や、たまにシモの話や、(主にEXILE一族への)愛が高じてしばしば様子がおかしくなってるさまを書き綴っているのに、十年ぐらい連載続行させてもらえている奇跡のエッセイ(誇大ステマ)。この基本情報さえ把握しておいていただければ、大丈夫である。 なぜ本書のタイトルが『しんがりで寝ています』なのかについては、少々説明が必要だろう。第一弾『のっけから失礼します』のあとがきを書く過程で、「はっ。もしかして、内容によりふさわしいタイトルは、『のっけから失礼します』ではなく『しんがりで寝ています』だったんでは?」と気づいたのだ。 しかしそのときには刊行予告が出てしまっていたので、第一弾のタイトルに流用、いやいや、活用した次第だ。SDGsの実践。流行りの言葉で誤魔化すのやめろ。「しんがり」ってなに?と思うお話かいかたもいらっしゃるかもしれないが、「最後尾」という意味です。大河ドラマなどを見ていると、「拙者がしんがりを務めます(退却する軍の最後尾で、追ってくる敵を食い止めます)」と羽柴秀吉が申し出て、「サルめ、よく言った・・・!」と信長さまが感極まるシーンがあるが、あれです。そういう重要な最後尾においても寝てしまう胆力。起きて。 十年一日の日常エッセイを、いつまで書きつづけられるんだろう。現に戦争が起きてしまったし、本書にもコロナ禍の日々が収録されている。「なんてことのない日常」を、どうすれば全世界レベルで実現できるのか、真剣に考え、行動していきたいと思っているのは本当なのだが、本書からその思いを汲み取れるかたはエスパーだろう。なにかべつの本の感想と混同している可能性もある。 いくらなんでもアホすぎる一冊に仕上がってしまったが、本書をお読みになるあいだ、もし少しでも楽しい気持ちになっていただけたら、うれしいです。
2024.10.31
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・しんがりで寝ています ・水木しげるのラバウル従軍後記・ギャバンの帽子、アルヌールのコート・ざんねんな筋トレ図鑑<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/12予約、副本?、予約111)>rakutenしんがりで寝ています【水木しげるのラバウル従軍後記】 水木しげる著、中央公論新社、2022年刊<「BOOK」データベース>より“トペトロとの50年”は、奇妙な楽しみに満ちた50年だった。豊富なカラーイラストと現地撮影写真で彩る、戦地で出会った生涯の友人との奇妙な交遊録。戦地ラバウルの情景や復員後の日々を描いた貴重な作品をカラーで掲載。ラバウルでの交流を記録した文庫版未収録写真を多数収録。エッセイ「娘よ あれがラバウルの灯だ」、マンガ「トペトロの葬式」を特別収録。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten水木しげるのラバウル従軍後記【ギャバンの帽子、アルヌールのコート】川本三郎著、春秋社、2013年刊<「BOOK」データベース>より「追憶の名画座」へ、ようこそ。心にしみいる暗さと魅力にあふれた、いにしえのヨーロッパ映画。戦争映画から、詩情をたたえた悲恋物語、シニカルな喜劇まで、永遠の映画少年が50~60年代を中心に、今ひとたび酔いしれたい傑作をふりかえる。<読む前の大使寸評>追って記入rakutenギャバンの帽子、アルヌールのコート【ざんねんな筋トレ図鑑】 小島央著、マキノ出版、2020年刊<「BOOK」データベース>よりついやってしまいがちな「ざんねんな筋トレ30」を、ざんねんなイラストとともに筋肉ドクターが一刀両断!<読む前の大使寸評>追って記入rakutenざんねんな筋トレ図鑑
2024.10.29
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在21位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)現在5位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/10予約、副本?、予約8)現在3位・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』 (5/14予約、副本2、予約5)現在5位・内田樹『勇気論』(7/07予約、副本?、予約?)現在11位・有田芳正『誰も書かなかった統一教会』(7/27予約、副本?、予約?)現在3位・消費者金融ずるずる日記(8/27予約、副本6、予約112)現在89位・パッキパキ北京(8/29予約、副本9、予約111)現在77位・転がる珠玉のように(9/05予約、副本7、予約87)現在66位・原爆裁判(9/11予約、副本?、予約133)現在110位・沈む日本4つの大罪(10/10予約、副本?、予約?)現在10位・官僚国家 日本の闇(10/28予約、副本2、予約47)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵・ヤマザキマリ『水木しげる厳選集 異』:図書館未収蔵・猫社会学、はじめます:図書館未収蔵・書いてはいけない日本経済墜落の真相:図書館未収蔵・金水敏『よくわかる日本語学』・闇の中国語入門・奪還 日本人難民6万人を救った男:・ぜんぶ、すてれば:延滞本返却後に予約する・こぐこぐ自転車<予約分受取:7/27以降> ・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、7/27受取)・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、7/27受取)・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、8/06受取)・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、8/27受取)・パンとサーカス(8/28予約、9/01受取)・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、9/12受取)・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、9/22受取)・池澤夏樹『ノイエ・ハイマート』(6/29予約、10/13受取)・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、10/27受取)**********************************************************************【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【アジア発酵紀行】小倉ヒラク著、文藝春秋、2023年刊<出版社>よりアジアの巨大な地下水脈をたどる冒険行。「発酵界のインディ・ジョーンズ」を見ているようだ!ーー高野秀行(ノンフィクション作家) 自由になれーー各地の微生物が、奔放な旅を通じて語りかけてくる。ーー平松洋子(作家・エッセイスト)発酵はアナーキーだ! チベット~雲南の「茶馬古道」からインド最果ての内戦地帯へーー前人未到の旅がいま幕をあける! 壮大なスケールでアジアの発酵文化の源流が浮き彫りになる渾身作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/14予約、副本2、予約21)>rakutenアジア発酵紀行【勇気論】内田樹著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりモヤモヤを抱えた編集者との“カウンセリング”往復書簡。ジョブズ、フロイト、孔子、伊丹万作、河竹黙阿弥、大瀧詠一、パルメニデス、富永仲基…話頭は転々として奇を極めー。いまの日本人に一番足りないものは何だろうか?読めば心が軽くなるーウチダが綴る9通のメッセージ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/07予約、副本?、予約?)>rakuten勇気論【誰も書かなかった統一教会】有田芳正著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2022年7月の安倍元首相銃撃事件後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着を中心に多くの報道があった。だが、メディアが報じたのは全体像のごく一部だった。教団をめぐる多くの問題が残されたまま事件の風化を憂慮したジャーナリストが、教団の政治への浸食の実態、霊感商法の問題はもちろん、「勝共=反共」にもかかわらず北朝鮮に接近していた事実、教団の実態を早くから認識していたアメリカのフレイザー委員会報告書、教団関係者による銃砲店経営、原理研究会の武装組織、「世界日報」編集局長襲撃事件、公安が教団関係者を調査していた事実等、その全貌を公開する。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(7/27予約、副本?、予約?)>rakuten誰も書かなかった統一教会【消費者金融ずるずる日記】 加原井末路著、三五館シンシャ、2024年刊<「BOOK」データベース>より1990年代の半ば、30歳のときに足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を私はこの業界ですごし、お金にまつわる悲喜こもごもを目撃した。私が在籍した期間は、消費者金融業界が栄華を極めてから、2010年の法改正施行を経て、没落していく年月でもあった。-本書にあるのはすべて私の実体験である。「お客を追い込む仕事」。サラ金社員が経験した、貸し手と借り手のお金の修羅場。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten消費者金融ずるずる日記【パッキパキ北京】綿矢りさ著、集英社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりコロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは…?<読む前の大使寸評>追って記入rakutenパッキパキ北京【転がる珠玉のように】ブレイディみかこ著 、中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりLike A Rolling Gem。大人の山あり谷ありライフを越えていけ!結婚するゲイの友人、職人魂を燃やす父、イギリスで、日本で、社会の底を支える労働者たちの人生劇場。泥くさい毎日を“宝石”に変える著者3年ぶりの最新エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(9/05予約、副本7、予約87)>rakuten転がる珠玉のように【原爆裁判】山我浩著、毎日ワンズ、2024年刊<商品説明>より日本初の女性判事・三淵嘉子が昭和三十年代に裁判官を務めた「原爆裁判」に焦点を当てた書き下ろし。原爆を巡るアメリカの闇を追及すると共に三淵嘉子の半生を紹介、さらに、世に名高い「原爆裁判の判決文」も付載した一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/11予約、副本?、予約133)>rakuten原爆裁判【沈む日本4つの大罪】 植草一秀×白井聡著、ビジネス社、2024年刊<「BOOK」データベース>より捏造と欺瞞、狡猾と策略で、夢も希望も失った日本人に告ぐ!奴隷国家に堕した日本の国難に打ち勝つ再生への処方箋。経済学の論客と気鋭の政治思想家が日本のタブーに斬り込む!LGBTQ、SDGs、コロナワクチン、政権と大企業の罠、メディア腐敗etc。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約 (10/10予約、副本?、予約?)>rakuten沈む日本4つの大罪【官僚国家 日本の闇】泉房穂著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され命を落とした政治家・石井紘基。当時、石井は犯罪被害者救済活動、特殊法人関連の問題追及等で注目を浴びていた。その弱者救済と不正追及の姿勢は、最初の秘書・泉房穂に大きな影響を与えた。石井は日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破。その構造は、今も巧妙に姿を変え国民の暮らしを蝕んでいる。本書第1部は石井の問題提起の意義を泉が説き、第2部は石井の長女ターニャ、同志だった弁護士の紀藤正樹、石井を「卓越した財政学者」と評する経済学者の安冨歩と泉の対談を収録。石井が危惧した通り国が傾きつつある現在、あらためてその政治哲学に光を当てる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/28予約、副本2、予約47)>rakuten官僚国家 日本の闇【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・デジタル朝日「好書好日」でめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.10.29
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図書館で『遊牧民、はじめました。』という新書を、手にしたのです。モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪【遊牧民、はじめました。】 相馬拓也著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>より地平線の先までずっと続くモンゴルの大草原。そこに生きる“悠々自適”な遊牧民。大自然に囲まれた彼らの暮らしを想像して、一度は憧れたことがある人もいるだろう。しかし、彼らの暮らしは本当に“悠々自適”なものなのだろうか。一度で150㎞にも及ぶ遊牧、マイナス40℃を下回る極寒の冬、家畜という懐事情をご近所に曝け出した生活ー。本書では、そんな遊牧暮らしのリアルを、長年、彼の地でフィールドワークを続けてきた著者が赤裸々に綴る。ときに草原を馬で駆け、ときに大自然に牙を剥かれ、ときに遊牧民たちにどつかれる日々の中で気づいた、草原世界で生き抜くための「掟」とはー?<読む前の大使寸評>モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪rakuten遊牧民、はじめました。「第5章 ゴビ砂漠の暮らしを追う」で、過酷な砂漠暮らしを、見てみましょう。砂漠は大使のツボでもあるわけだし。ラクダ遊牧民をもっと知りたいと思うようになった理由が述べられているので、見てみましょう。p286~289<5-1 砂漠の暮らしを求めて>■〝ゴビ〟の意味するところ ゴビ砂漠とラクダ遊牧民をもっと知りたいと思うようになった理由は、「ラクダが単純にかわいかったから」と「砂漠の暮らしが知りたかったから」の2つだけである。 ただし、それだけだと科研費は採択されないし、研究計画書も書けないので、「極限環境に暮らすラクダ遊牧民の環境適応術」だとか、「砂漠の持続型コミュニティにおけるラクダ飼育の伝統知」だとか、「ヒトとラクダの関係性のエスノグラフィを探る」とか、もっともらしい理由をつけなくてはならなかった。 新しい研究テーマのはじまりになんて、いつだってご大層なストーリーがあるわけでもない。ご大層な理由なんてないほうが、知的要求への純粋な反応なのだから、むしろ歓迎されるべきなのだろう。 大人になってくると、研究者なんてやりたいことをして、行きたいところへ行くための理由づけの修辞術なのだ、と気づかされる。純粋な「これを知りたい」という知的要求ほど、失われやすく、もろく傷つきやすく、はかなく消えてしまうものはない。たくさんの言い訳や理由の渦巻くなかで、純真無垢な思いほど貴ばれないものはないのだから。 少し話が逸れてしまった。元に戻そう。モンゴルの南部にはドント・ゴビ県、マンダル・ゴビ市、ウムヌ・ゴビ県など、「ゴビ」と名のつく地名が多い。「ゴビ砂漠」の名でも知られているが、ゴビとはもともと「乾燥性ステップ草原」を示すモンゴル語で、砂しかない砂漠を必ずしも意味していない。黄みを帯びた乾燥した土壌で、わずかに植生があるような土地が「ゴビ」と総称される。 遊牧民と暮らしていると、この「ゴビ」の語法にはなかなか難しい部分があることに気づかされる。比較的草の生えた山岳草原なども、「ゴビ」と言ったりするからだ。モンゴルでは、単調な草原が大部分を占めるために、わずかでも地形や植生が変化した場所には、それに対応した地形名称が与えられることも多い。 たとえば、見晴るかす平原のゴビでは、ちょっとした小丘や丘陵を「ハイルハン」と言い表すが、西部モンゴルの人間に話してみると、「おいおい! こんなただの低い丘が『ハイルハン』なわけねーだろ!」と吹き出す人もいた。ハイルハンとは、2000mを超えるような高山や霊峰を指す言葉として使用されるからだ。ただ、平野で地物に乏しいゴビの遊牧民たちが、ほんの数百メートルもないような丘陵を「ハイルハン」と呼ぶようになったのにも筆者はうなづける。■ラクダ祭りを目指して ゴビで砂漠といえばラクダ、と考える人も多いだろうが、砂漠にはヒツジもヤギもいるし、ヤクが飼育されていることもある。 西部モンゴルの調査では、ラクダはまれに駄載用に飼育されてはいるものの、数十頭という多頭飼育群を目にすることはなかった。サグサイ村の宿営地では、ラクダ所有者は一人のみで、その数は9頭だけ。アルタイ最奥地のダイン地方でも、ラクダの多頭飼育者は1家族のみで、こちらも15頭ほどであった。おもに駄載利用で、積極的にミルクを取ったり、食用にしたりしているところも観察できなかった。『遊牧民、はじめました。』5:モンゴルでもっとも〝辛い〟土地『遊牧民、はじめました。』4:遊牧暮らしのイロハ『遊牧民、はじめました。』3:遊牧民の心『遊牧民、はじめました。』2:遊牧民の心模様『遊牧民、はじめました。』1:第一章の冒頭
2024.10.27
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図書館で『ノイエ・ハイマート』という本を、手にしたのです。池澤夏樹さんが著した本で、ウクライナやガザの戦闘もテーマとなっているようで、興味深いのである♪【ノイエ・ハイマート】池澤夏樹著、新潮社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりある日、難民になる。「新しい故郷」を求めて、歩きだす。そんなに遠い世界の話ではないのです。シリアで、クロアチアで、アフガニスタンで、満洲で、生きのびるために難民となった、ふつうの人たち。その姿と心を、てのひらで触れるようにして描きだす。<読む前の大使寸評>池澤夏樹さんが著した本で、ウクライナやガザの戦闘もテーマとなっているようで、興味深いのである♪<図書館予約:(6/29予約、副本?、予約?)>rakutenノイエ・ハイマート「13章」はこの本のタトル「ノイエ・ハイマート」となっているので、見てみましょう。p153~<13 ノイエ・ハイマート> たまたま着いた日の翌日が5月の1日だった。 ロッテと町へ出ると地下鉄の車内に既にもう祝祭感がみなぎっていた。 派手な姿の人々。その色合いの彩度が他の都市に比べて一段と高い。北欧の人たちは冬になるとこれでもかと言わんばかりに原色を身に纏う。白一色の雪の風景に対抗したいという意図がありありと見える。ここは北欧ではないけれど帰ってきた陽光をブルゾンやセーターやTシャツがその色で歓待しているようだった。あるいは薄い生地の半袖のワンピース。実際、その日、陽光は地に満ち溢れていた。 夏の最初の日を祝う。 主要な道路は車を入れず、広い道いっぱいに人があふれ、ゆっくり歩いたり、ただ立ち止まっていたり、誰かと話していたりする。『ノイエ・ハイマート』1:
2024.10.26
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図書館で『ノイエ・ハイマート』という本を、手にしたのです。池澤夏樹さんが著した本で、ウクライナやガザの戦闘もテーマとなっているようで、興味深いのである♪【ノイエ・ハイマート】池澤夏樹著、新潮社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりある日、難民になる。「新しい故郷」を求めて、歩きだす。そんなに遠い世界の話ではないのです。シリアで、クロアチアで、アフガニスタンで、満洲で、生きのびるために難民となった、ふつうの人たち。その姿と心を、てのひらで触れるようにして描きだす。<読む前の大使寸評>池澤夏樹さんが著した本で、ウクライナやガザの戦闘もテーマとなっているようで、興味深いのである♪<図書館予約:(6/29予約、副本?、予約?)>rakutenノイエ・ハイマート「01章」の冒頭から、見てみましょう。p9~12<01 失われた子供たちの海岸> もう15年も前に小さな映画祭で見た映画のタイトルが私の記憶に残っている。映像もおぼろに脳裏にたゆたっているのだが、それもモロッコの砂浜に流浪の子供たちがいるというだけ。まるで空を行く薄い雲の断片のように頼りない。 その映画のタイトルが「失われた子供たちの海岸」。 海岸はわかるとして、なぜあの子たちは「失われた」のか。 探してもDVDなどは手に入らない。 子供たちが帰ってきた。 瀬戸内海のある島の砂浜に、たくさんの子供の像が並んでいる。現実の生きた子供よりはだいぶ小さく、行儀よく真っ直ぐに立っていて、砂と同じ色。砂でできているように見える。埴輪を連想することもできるだろう。 整列しているわけではなく、互いに間を空けて、二百名近くがそれぞれ違う方向を向いている。 みな同じ顔。幼い仏のような柔和な顔。そこに悲しみを読み取ることができるかどうか、それは見る者の心の姿勢による。その意味では彼らの顔は鏡である。 彼らは世界のすべての国からこの海岸に漂着した。 いや、正確には日本と国交のあるすべての国から。しかし、それはともかく、彼らはそれぞれの国で辛い思いをしながら生きている子供たちの代表である。だからみんな体に一連の数字が書かれており、背中の数字は出身国の首都の緯度経度を、胸の数字はそこまでの距離を表わしている。顔はそれぞれの故国の方を向いている。 国の名は記されていない。なぜならば今は国の名、国々を隔てる境界線、国と言うシステムによる保護、などという概念が意味を成さない時代だから。それゆえの子供たちの受難なのだから。(どうして西洋の言葉では「受難」と「情熱」がpassionという同じ単語で表わされるのだろう? 明治期の日本の誰がそれを二つの意味に訳し分けたのだろう? キリストの生涯に関りがあるらしいけれど、私は今それを知らない) 子供たちの像は見た目どうり砂でできている。砂に他の素材を混ぜ、型に詰めて作られた。最後までしっかり立っていられるように、中心には鉄の芯が垂直に通っている。まるでお菓子みたいに米粉と砂糖を混入した砂で作られた彼らの身体は風の強い日には海水のしぶきが飛び交う砂浜にあって少しずつ浸蝕されて表面から剥離してただの砂に戻ってゆく。彼らは数週間に亘って下半身から砂の肉体を失いつづけ、最後には一本の鉄の棒になる。その胸のあたりに取り付けられた鉄のプレートに刻印された文字によってようやく一人一人の身元が知れる。それぞれの出身の国の名が現れる。そして頭があったところには一輪の石膏のバラの花が残る。 こんなに具体的に書けるのには理由があって、これは現代台湾のアーティスト林舜龍によって2016年の瀬戸内国際芸術祭のために小豆島に作られたインスタレーションをそのまま記述したものだからだ。私はその場に行って、砂を踏んで、自分の目で見た。渚に近いあたりの子の下半身はあらかた消滅していた。時間というものの作用が素材と気象の組み合わせによって表現されていた。ものは消えてゆく。しかし生きるものはみなそれに逆らう。生きるというのは時間に消されまいとする意志だ。その意思の主体が個体と呼ばれる。更に個体の意思を超えて種の意思がある。(中略) 渚にはたくさんの力が働く。 国境と同じように。 林舜龍にこれを作らせたきっかけは、トルコの海岸に流れ着いた子供の遺体だった。海を渡ることを試みて失敗した難民の子供の遺体。2015年9月、トルコの海岸に漂着した三歳の男の子の写真が世界を震撼させた。彼の名はアイラン・クルディ。クルド系シリア人の難民でギリシャのコス島を目指した船が難破したのだった。 それは十字架の上のキリストと同じ意味で受難の象徴だった。 たくさんの子供たちが住むところを失ってさまよっている。海路にも陸路にも、砂漠にも深い森にも、あるいは都市の街路、スラムの一室、彼らは座り込んで、じっと待っている。食べるものを、暖かさを、荒々しい抱擁を、言葉を。つまりは普通の生活を。しかし彼らに与えられるのは飢えであり、寒気であり、時にはカラシニコフだ。
2024.10.26
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図書館で『遊牧民、はじめました。』という新書を、手にしたのです。モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪【遊牧民、はじめました。】 相馬拓也著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>より地平線の先までずっと続くモンゴルの大草原。そこに生きる“悠々自適”な遊牧民。大自然に囲まれた彼らの暮らしを想像して、一度は憧れたことがある人もいるだろう。しかし、彼らの暮らしは本当に“悠々自適”なものなのだろうか。一度で150㎞にも及ぶ遊牧、マイナス40℃を下回る極寒の冬、家畜という懐事情をご近所に曝け出した生活ー。本書では、そんな遊牧暮らしのリアルを、長年、彼の地でフィールドワークを続けてきた著者が赤裸々に綴る。ときに草原を馬で駆け、ときに大自然に牙を剥かれ、ときに遊牧民たちにどつかれる日々の中で気づいた、草原世界で生き抜くための「掟」とはー?<読む前の大使寸評>モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪rakuten遊牧民、はじめました。「第5章 ゴビ砂漠の暮らしを追う」で、過酷な砂漠暮らしを、見てみましょう。砂漠は大使のツボでもあるわけだし。p281~285<5-1 砂漠の暮らしを求めて>■モンゴルでもっとも〝辛い〟土地 長年付き合いのあるモンゴル人助手に、「モンゴル国内で一番、環境が厳しくて辛いところに行ってみたい!」と尋ねてみると、「オブス県のテス村ってとこがあるよ」と教えてくれた。オブス湖の東側には、広大な砂漠が広がっており、少なく測っても1万km2、レバノンやキプロス島くらいのゴビが広がっている。しかも「テス」とは「辛い」という意味らしく、これは期待できそうだとなって、2016年7月に訪れることになった。 モンゴルの砂漠というと、南方のゴビ砂漠が思い浮かぶ人も多いと思うが、モンゴル全土で砂漠のような場所はかなり多い。オブス県、ザブハン県、ゴビアルタイ県も、じつは面積の大部分が砂漠だったり荒野だったりする。モンゴルでの研究では、「人類の極限環境への適応」をテーマにしていたので、砂漠や礫砂漠への適応などの解明に期待が膨らんだ。 そしてテス村に着いて、この場所の本当の辛さがわかることになった。テス村の北側を流れるテス河から「蚊」の大群が無数に生み出されるのだ。ロシア国境に近いオブス県は、「酷寒県」としても知られているが、まさか全国有数の蚊の大発生地帯でもあったとは、当初の意図した「辛い場所」とは、少々趣の異なる生活困難地にくることになってしまった・・・。 この土地での暮らしは本当に辛いことがよくわかる。シベリア圏特有の見たこともないくらいの巨大な蚊が飛び回り、服の上からでも平気で刺してくる。テス村の中心集落に着いたのは17時頃だったが、車輛を降りた瞬間から蚊の大群に取り囲まれて、鼻の穴にも口のなかにも飛び込んできて、薄明薄暮の時分にはとても外で滞在できるものではなかった。全体的に辛い場所が多いモンゴル国内にありながらも、「人間と家畜の双方がもっとも生活困難な場所」と形容されるわけである。 蚊の活動が活発となる早朝や夕暮れ時には、畜糞をいぶした蚊よけや虫よけから立ち上がる煙があちこちで見られた。家屋の入口や窓、ゲルの入口にすら網戸が設けられており、夕刻にはその網戸にも外が見えなくなるほどの蚊が張りつくようになる。 現地では「白いヒツジが黒くなっていたが、よく見ると蚊の大群がヒツジにとまっていた」という冗談まである。ただ、これはあながち冗談とも言えず、蚊の飛来期である7~8月には、まるで黒い煙が漂っているかのように、蚊の大群が草原の空を埋め尽くす。白いゲルも蚊の付着で、くすんで見えてしまうこともある。そして、蚊は人間と家畜の双方を刺すため、家畜への影響も深刻であるのだ。「テスの夏牧場じゃあさ、家畜が蚊を嫌がってあちこちに歩き回るもんで、すっかり体力を使い切ってぐったりしていくんだよね。とくに(蚊の来ない)風が吹いている場所とか、風上を目指して勝手に移動したがるんだよ」 ゆえに、小家畜たちの群れの統制がきかなくなり、とくに夕暮れの集約のときには群れがつねに蚊で攪乱されているような状態に陥る。蚊を厭がって歩き回るヒツジとヤギの群れを、頻繁に宿営地付近へとどめる牧童たちの叫び声や騎馬放牧も、コミュニティのあちこちで見られた。『遊牧民、はじめました。』4:遊牧暮らしのイロハ『遊牧民、はじめました。』3:遊牧民の心『遊牧民、はじめました。』2:遊牧民の心模様『遊牧民、はじめました。』1:第一章の冒頭
2024.10.25
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図書館で『遊牧民、はじめました。』という新書を、手にしたのです。モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪【遊牧民、はじめました。】 相馬拓也著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>より地平線の先までずっと続くモンゴルの大草原。そこに生きる“悠々自適”な遊牧民。大自然に囲まれた彼らの暮らしを想像して、一度は憧れたことがある人もいるだろう。しかし、彼らの暮らしは本当に“悠々自適”なものなのだろうか。一度で150㎞にも及ぶ遊牧、マイナス40℃を下回る極寒の冬、家畜という懐事情をご近所に曝け出した生活ー。本書では、そんな遊牧暮らしのリアルを、長年、彼の地でフィールドワークを続けてきた著者が赤裸々に綴る。ときに草原を馬で駆け、ときに大自然に牙を剥かれ、ときに遊牧民たちにどつかれる日々の中で気づいた、草原世界で生き抜くための「掟」とはー?<読む前の大使寸評>モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪rakuten遊牧民、はじめました。「第2章 草原世界を生き抜く知恵」で、遊牧民の心を、見てみましょう。p74~77<2-1 遊牧民のふるまいと流儀>■遊牧民の心をつかむ 草原世界にはかつて、季節移動している見ず知らずの遊牧民を、ゲルに呼んでお茶をふるまう牧歌的な文化があった。しかし、この20年間でそうした文化も変わり、モンゴル人と田舎の〝フドゥ〟を調査で巡っていて、遊牧民に道を聞いたり、訪問したりするときにも、お茶をふるまってくれるような草原の礼節に接することはめっきり少なくなった。 遊牧民訪問にもそれなりの流儀があり、気難しい彼らの心をつかむ手順がある。・手土産・酒盛り・一芸披露 まるで早大時代の飲み会へ遅れて参加していくような準備であるが、大真面目な話なのだ。モンゴル社会には癖の悪い飲酒文化があるため、どうしても酒席を避けて通ることはできない。 手土産は、県庁所在地〝アイマグ〟の街のスーパーに売っているジュースやチョコレートが喜ばれる。夏牧場や冬牧場からだと、小さな商店に赴くのもなかなか難しいからだ。 そして厄介なのが、必ずウォッカ数瓶が必要となることだ。好まれるのはハラーやチンギスのような手堅い銘柄だ。ただ、こうした贈呈酒は、酒席が始まれば結局は自分自身で飲まなければならなくなる。ウォッカの美味さや味がわかるほど酒飲みでもないので、正直言ってどうにも購入に気が進まないことが毎回であった。 日本からの土産では、どういうわけかチョーヤの梅酒が大人気で、わざわざ向こうからお土産に持ってきてくれと指定されることもある。わかりやすい甘みが、モンゴル人の嗜好に合うようだ。文房具や駄菓子など、子どもへのお土産も歓迎される。 フィールド調査で100世帯以上を回るようなときは、キャンディー数種類を箱買いして、小袋に分けてインタビューの訪問時に手渡したものである。初日の宿での仕事はたいてい、助手たちと箱買いキャンディーを袋に小分けする作業から始まる。女性と子どもを味方につけられるかが、調査の成否に関わる何よりも重大な事柄であるので気は抜けない。ここで手を抜くと、その後の調査やラポール構築を円滑に進められなくなってしまう。 筆者の調査は基本的に「ドラクエ式」なので、まったく見ず知らずの遊牧民に話しかけ、道端で捕まえて、家にお邪魔し、通りすがりの車を停めて・・・といった具合にランダム・サンプリングしている。そもそも草原の遊牧コミュニティは人口密度が低く、現在でも1km2にせいぜい2人足らずといったところだ。東京23区の人口密度が1km2あたり1万5591人なので、約7000分の1ということになる。 そのため、社会調査のデータ・サンプル数を増やす観点からも、偶然の出会いがフィールド調査では欠かせない。どんな偶然の出会いだろうと逃がさず、疎まれながらも遊牧民を捕まえ続けて、結局10年間で3000人くらいには話を聞くことができたと思う。かつて川喜田先生が、「民族誌(エスノグラフィ)とはご縁で記すもの」と語っていたことが思い起こされる。 エスノグラフィとは、比較的小さな民族や社会集団の、さらに特定の文化や行為や信仰などについての叙述かつ、陳述を交えた生き様の記述だ。偶然に出会った人々の、暮らし、文化、態度、言動、馴れ初めといった生活世界を体感したエスノグラファー個人の記述こそが、民族誌そのものなのである。 すべてのエスノグラファーには、すべて異なるエスノグラフィがある、そもそも、エスノグラフィを標準値や中央値として扱うことには無理があり、エスノグラフィを民族集団や社会全体の傾向ととらえようとすることも、いわばナンセンスなのである。『遊牧民、はじめました。』2:遊牧民の心模様『遊牧民、はじめました。』1:第一章の冒頭
2024.10.24
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図書館で『遊牧民、はじめました。』という新書を、手にしたのです。モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪【遊牧民、はじめました。】 相馬拓也著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>より地平線の先までずっと続くモンゴルの大草原。そこに生きる“悠々自適”な遊牧民。大自然に囲まれた彼らの暮らしを想像して、一度は憧れたことがある人もいるだろう。しかし、彼らの暮らしは本当に“悠々自適”なものなのだろうか。一度で150㎞にも及ぶ遊牧、マイナス40℃を下回る極寒の冬、家畜という懐事情をご近所に曝け出した生活ー。本書では、そんな遊牧暮らしのリアルを、長年、彼の地でフィールドワークを続けてきた著者が赤裸々に綴る。ときに草原を馬で駆け、ときに大自然に牙を剥かれ、ときに遊牧民たちにどつかれる日々の中で気づいた、草原世界で生き抜くための「掟」とはー?<読む前の大使寸評>モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪rakuten遊牧民、はじめました。「第一章 遊牧民に出会う」で、モンゴル人の心模様を、見てみましょう。p50~53<1-3 遊牧民の心模様>■口にしてはいけない言霊の呪縛 モンゴル人の心模様をより深く掘り下げてみると、これまでの苦行にも似た経験には、筋道だった理由もあるように見えてくるようである。たとえば、モンゴル人は現在でもとても信心深く、超自然的現象を大真面目に信じている。暮らしのなかにたくさんの禁忌(タブー)があるのもそのせいなのだ。なかなか、ついて行きにくいものもあるが、たとえば次のSNS禁忌は、若者たちにかなり真面目に信じられている。「知ってる? FacebookやInstagram に載せた写真から、指紋や虹彩が読み取られて、銀行口座やスマホの生体認証が突破されるから、気をつけなね」 そのため、瞳の写った顔のアップや、指先が明確に写るような写真は撮ったらダメで、もちろんピースもしないほうがいい・・・と教えてもらったことがある。ほかにも、モンゴル全国にはパワースポットとされているところが多いが、その「霊力」は電話越しに伝達するとも考えているらしい。「パワースポットから親族や友人に電話をかけると、電話越しにそのパワーを受け取れるんだよ。お前いろんなとこ行ってるじゃん。オトゴン・テンゲル山やハムリーンヒード寺院に行ったら、俺に電話をかけてくれよ!」 こうした畏れと信仰の現代的解釈は、日常会話で頻繁に話題に上がる。彼らはデジタル化社会をモンゴル流の世界観から再解釈しており、これらは日々新たな信仰と忌避の体系が再生産されている一例といえる。つまり、一般に「迷信」とされる信仰や畏れが、現在でもモンゴル人の行動指針や判断に大きく影響していることがわかる。 その例をほかにもいくつか紹介しよう。オブス県の夏牧場では、干ばつによって牧草地がカラカラに乾燥して劣化してしまった理由が、次のように説明されていた。「ヒャルガス湖の北の草原じゃあさ、道路を作るときに中国人の技術者や労働者が、工期中に雨が降らないよう、ブタの頭をアスファルトの下に埋めたんだよ。だからこの地方はそれ以来、日照りが続くようになっちまったんだ。道路の下じゃもう掘り出せもしないし、まったく中国人どもは憎たらしいぜ・・・」 ムンフハイルハン山麓では、次のようなこともつぶやかれていた。「昔な、山で鳥葬にされた老婆のシャーマンがいたんだよ。その老婆の脊椎や骨盤には特別な力があってねぇ。それを知ったオブスの若衆がきて、こっそりみんな地元に持ち去ってしまったんだよ。すさまじい霊力の宿る遺骨だったんだがね・・・。オブス県のドゥルブド氏族のあいだでは、強いブフ(力士)が輩出されるだろう。初代大統領もオブス出身だろ。みんなシャーマンの老婆の遺骨のせいなんだよ。それ以来ね」 ほかにも、口にすることが憚られる禁忌語彙の使用には、老若男女でかなり神経質な一面が見られる。遊牧コミュニティで暮らしていると、次のようなタブーを口にすることが、日常生活ではとくに戒められる。「霊峰ムンフハイルハンの山名を口にしてはいけないよ。〝ツァスト・オール(雪山)〟と呼びなさい」「ここじゃ〝イルビス(ユキヒョウ)〟とは口に出しちゃいかんよ。〝ツオーホル・バル(斑のあるトラ)〟と言わんかね」「チョン(オオカミ)なんて口にすんなよ。とくに夜はさ。やつらが家まできちまうんだからな」「(ゴビのラクダ遊牧民は)ラクダを食べますなんて決して言わないよ。〝ウンドウル・ヤマー(背の高いヤギ)〟を食べる、と表現するんだ」「お前いまなんて言った? 〝ホニーナエル(家畜同士の混合事故)〟なんて言ってなかったか? やめてくれよな~。うちで起こっちまったならどうすんだよ!」 言霊による超自然現象の発声は、かなり真面目に信じられており、それは生活の中に深く、深く、溶け込んでいる。遊牧民の皆さんから言わせると、筆者はフィールドでは湿原ばかり、ということになるわけで、草原の暮らしではよく戒められた。 とくに田舎の牧夫(「夫」とあるが、以下、女性も含む)にとって、禁忌表現は極度に忌避されている。草原には、草原なりの礼儀や作法があるのだ。筆者がよくトラブルに巻き込まれたことも、こうした禁忌を犯した言動によって、彼らを怒らせてしまったのが原因とも十分に考えられるわけである。『遊牧民、はじめました。』1:第一章の冒頭
2024.10.24
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図書館で『サル化する世界』という本を、手にしたのです。内田先生の著書は数多く読んできたが・・・外れが少ないのが売りなので、興味深いのである♪【サル化する世界】内田樹著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。【目次】1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題<読む前の大使寸評>内田先生の著書は数多く読んできたが・・・外れが少ないのが売りなので、興味深いのである♪rakutenサル化する世界堤未果との対談で「老後2000万円」問題が語られているので、見てみましょう。p283~287<「老後2000万円」問題に隠された思惑>内田:人口減少社会で年金制度が持続できるか不安視する声が高まっています。最近、金融庁が発表した「老後2000万円不足」問題がネット上でも話題になりました。麻生(太郎・財務)大臣は「報告書読まない、受け取らない」として問題をもみ消そうとしていますが、そもそも「100年安心」を掲げていたことに無理があった。この先の人口減少を考えたときに、よくこんな嘘をつけたなと思います(笑)。 とりあえず「向こう15年くらいは安心」あたりを目指し、状況が変わったら、そのつど新しいファクターを取り込むことのできる、フレキシブルで復元力のあるシステムを作った方がよほど現実味があったんですけどね。堤:現行の年金制度は、経済成長し続けることが前提で設計されている上に、当初より平均寿命も20年以上伸びている。あのとき予想していなかった少子高齢化など、状況が大きく変わっているのにどの政権も触りたがらず、ずっと後回しにしてきましたね。 恩恵を受けている高齢世代が高投票率で、しわ寄せを受ける若年層の投票率が低い状況が、この問題をさらに悪化させています。選挙前のこの時期に触るなと言わんばかりに、大臣が報告書を受取拒否して炎上する姿はまさに象徴的でした。 本当は今のライフスタイルも社会制度も根本的に考え直さなければいけない、この国にとってとても重要なテーマなのに、政治的にごまかされてしまう。2007年の選挙では「消えた年金」問題が争点になりましたが、あれもうやむやのままですよね。内田:消えた年金といえば、僕が大学を退職するときに総務に年金の資料をもらいにいったら、神戸女学院時代の21年分しか記録がなくて、それ以前の、会社で5年間、都立大の助手を8年間やっていた期間の支払いがすべて消えていたのには驚きました。自分で会社をやっていた5年間の年金記録が消えていたのはわからないでもないけれど、公務員時代の年金記録まで消えていたのにはびっくりしました。「どうすればいいの?」って訊いたら、「在職して年金を支払っていたという証明書をもらってきて、手続きしないとダメでしょうね」っていうんです。「でも、僕の勤めていた大学、もうなくなっちゃったんですけど・・・」(笑)。 そういう場合はどこに行ったらいいのか訊いても、「さあ・・・」と言われて。冷たいもんですよ(笑)。めんどくさいので、僕、年金貰ってないんです。堤:ひどい・・・信じられない話ですね。最後の結論が潔いけれど(笑)。「記録が消える」「統計ミス」などは国の機関にとって重大な欠陥ですが、その後の年金データの処理が下請けの外国企業に委託されるなど、ずさんな扱いをしているのが気になります。 2000万円問題に戻ると、あの報告書を読むと、高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は2484万円と書かれていますが、平均だから当然その中に格差があり、2000万円という数字だけ見るとゾッとしますよね。厚生年金加入者が2000万円なら国民年金加入者は5000万円以上足りなくなるなど、国民が不安になったところに金融庁から「とにかく早い段階から資産形成を」と促されている。金融庁の本命はあのぶぶんでしょう。内田:今の高齢者はある程度の個人資産を持っているかもしれませんけれど、現役世代が普通に働いて2000万円貯めるのは難しいと思います。定期預金の金利はほぼゼロですから、貯金してたら資産形成なんてできない。だから、あれは要するに「株や不動産を買って、投機的なふるまいをしろ」って国民を脅しつけているってことですよね。一般市民を賭場に引きずり出して来て、「さあ、張った張った」と煽っている。『サル化する世界』2:フランスのヴィシー政府『サル化する世界』1:中国が怖い
2024.10.22
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図書館で『遊牧民、はじめました。』という新書を、手にしたのです。モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪【遊牧民、はじめました。】 相馬拓也著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>より地平線の先までずっと続くモンゴルの大草原。そこに生きる“悠々自適”な遊牧民。大自然に囲まれた彼らの暮らしを想像して、一度は憧れたことがある人もいるだろう。しかし、彼らの暮らしは本当に“悠々自適”なものなのだろうか。一度で150㎞にも及ぶ遊牧、マイナス40℃を下回る極寒の冬、家畜という懐事情をご近所に曝け出した生活ー。本書では、そんな遊牧暮らしのリアルを、長年、彼の地でフィールドワークを続けてきた著者が赤裸々に綴る。ときに草原を馬で駆け、ときに大自然に牙を剥かれ、ときに遊牧民たちにどつかれる日々の中で気づいた、草原世界で生き抜くための「掟」とはー?<読む前の大使寸評>モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪rakuten遊牧民、はじめました。「第一章 遊牧民に出会う」の冒頭で、著者の体験したひどい時代を、見てみましょう。p21~25<1-1 「荒くれ者のモンゴル人」は本当か?>■ダークエイジに学者を目指す 学者を志した90年代のはじめは、本当にひどい時代だった。 小学校の頃に、世界中を旅できる仕事は何かと考えていたときに、考古学者だとか、地理学者しか思い浮かばず、親や先生にそれとなく相談してみると、「やめときなさい!」「お前になんて無理だから!」「バカな夢を思い描きなさんなっ!」「公務員が一番だよ!」 と、一刀両断で反対されるという・・・子どもの人格陶冶が完全にあと回しにされる余裕のない時代だったものだと振り返る。 のちに「失われた〇〇年」とか「ロスジェネ」だとかと呼ばれる、バブル崩壊にはじまる日本の暗黒期の黎明である。大人の悲壮感がひしひしと子どもにも伝わってくる、そんな時代だった。子どもながらに現世はただ事ではないぞ、と。そもそも、中学生が終わる頃になると、先生からも、両親からも「お前たちは大学出ても就職なんてできないから、覚悟しておけよ!」としばしば言われたのを憶えている。いま思い返すと、心ない言葉である。 80年代後半から90年代にかけては学校にも、家庭にも、社会にも優しさのない、「ダークエイジ」といってよかった。小学生が終わる頃には天安門事件で罪のない人々の無情な死を新聞で見せつけられ、90年には湾岸戦争が連日テレビで放送された。それからも、阪神・淡路大震災が起きたり、地下鉄にサリンがまかれたり、山一證券や日産生命がつぶれたり、まったく大人は物騒な経済話しかしていなかったと記憶している。 なるほど、『ベルセルク』のガッツのような不幸まみれのキャラや、堤シンジ訓のような、絶え間ない人格の肯定と否定を繰り返す不安定なキャラが生み出されるわけである。90年代で唯一の救いといえば、漫画版の『風の谷のナウシカ』が完結したことだろうか。まったくひどい時代だった。 学者を目指すことは、きっとどんな時代にも制限や制約があったに違いない。それでも、90年代に学者を目指すことほど、社会があと押ししなかった時代もなかったのではないだろううか。とくに人文系の地理学者のような仕事には・・・。■いまなお変わらないモンゴルの印象 はじめてのモンゴルとの出会いは、高校一年生のときだった。1993年の夏に、鳥取大学名誉教授(当時)の遠山正栄先生が実施していた「緑の協力隊」(確か第3次隊)で、中国内モンゴル自治区のオルドス砂漠に植林のボランティアに赴いたのが最初だ。母親に勧められての渡航で、正直言うとあまり気の進まない旅だったと記憶している。 それから十数年を経て、モンゴルでの研究を着手しはじめてからも、やはり気の進まないと黄河多く、高校生のときからの変わらぬ印象と不思議な縁を感じることがあった。 はじめて自力でモンゴル調査に乗り出した2000年代初めには、ありとあらゆる暴力が渦巻く世紀末のような世界だったことをいまも忘れていない。それはまさに90年代に日本で経験した、社会を渦巻く悲壮感と近しい雰囲気も感じられた。筆者の目にしたモンゴル遊牧民とは、次のような印象だった。 大柄でがさつな反面、心は繊細でもろく、よくしゃべるかと思うと、自分のことばかりで面白みのない口下手で、「現代的な」人間付き合いが苦手な上に、寂しがり屋で人に甘えてばかりいる・・・。 そして、フィールドでモンゴル人たちとの付き合いが深まるほどに、「どうしてそこまでガリガリ亡者になれるのだろう? どうして話し合いができないのだろう? どうしていきなり実力行使なのだろう?」と思うことも多々あった。当時はむしろ、そんな風に思わないほうがおかしかったのだ。
2024.10.21
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図書館で『開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった』という本を、手にしたのです。漢字をテーマとした歴史的な研究書ってか・・・興味深いのである♪【開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった】 小川誉子美著、ひつじ書房、2023年刊<「BOOK」データベース>よりペリーは日本に開国を迫るとき、日本事情を中国語文献で予習した。吉田松陰は密航をくわだて、漢文で交渉した。中国語を通して世界にアクセスした、交流の歴史。<読む前の大使寸評>漢字をテーマとした歴史的な研究書ってか・・・興味深いのである♪rakuten開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった「第一章 日欧の出会いと中国」で漢字の表意性などが述べられているので、見てみましょう。p19~21<四・一 ザビエル、中国布教の意義を見つける 中国の文物は日本の権威!?> ザビエルは、1542年にインドに到着してから、ポルトガル商人らから情報を得ながら、布教の地を探していた。インドやモルッカ諸島での布教が進まず、海禁政策をとる明朝中国は入国のすべもなかった。そんな失意の中でポルトガル語を話すお尋ね者のヤジロウとの出会いはまさに福音であった。 日本滞在中、ザビエルは、日本社会が中国の文物を権威とし、中国への志向性が高く、崇拝していることに気づいた。また、仏教はそもそも外来のものであるが、インド発祥の外来の仏教が中国を経由して入り日本で根付いていることから、日本人の信仰の源である中国でキリスト教を広めることは、日本人を改宗させるのに有効な手当てだと確信するようになっていった。 日本人から「あなたが、神、神、というが、中国人が知らないのはなぜか」と問われた経験は、ザビエルに中国布教の想いを一層強くしたという。<漢字の表意性発見!> ザビエルは、日本を去ったあと、ローマのイグナチオ・デ・ロヨラ神父宛て書簡の中で、日本と中国の言語について書き送っている。注目に値することは中国人と日本人とでは話し言葉が非常に違うので、会話はお互いに通じません。中国の文字を知っている日本人は(中国人の)書いたものは理解しますが、話すことはできません。漢字を日本の大学で教えているからです。そして漢字を知っている坊主は、学者として人々から尊敬されています。中国の漢字はいろいろな種類があって、一つ一つの文字が一つのことを意味しています。それで日本人が漢字を習う時は、中国の文字を書いてからその言葉の意味を書き添えます。(・・・)日本人がこの文字を読む時には日本語で読み、中国人であれば中国語で読みます。そのために話す時には互いに通じないのですが、書く時には文字だけで理解し合います。彼ら同士、話し言葉は違っていますけれども、字の意味は共通でそれを双方ともに知っているからです。私たちは天地創造とキリストのご生涯の全ての奥義について日本語で書きました。そののち、私たちは同じ本を漢字で書きました。それは中国に行った時に中国語が話せるようになるまで私たちの信仰を理解してもらうためです。 (1552年1月29日の書簡) 表意文字に初めて出会ったザビエルは、表意文字の特質を知り、漢字によって日本人と中国人の間で意思疎通が図れることに気づいていた。漢字の持つ力を知ったことにより、教議書の翻訳も日本人向けだけではなく中国人向けのものも作成していた。わずか2年の日本滞在の間にすでに中国宣教の準備を始めていたことになる。さらに、中国宣教の意義を次のように報告している。中国は大変大きく平和であり、優れた法律によって支配されている国でたったひとりの国王に完全に従っています。たいそう豊かな王国で、あらゆる種類の生活必需品が十分にあります。中国人は優れた才能を持ち、よく勉強し、特に国家を統治する諸法律をよく研究し、知識欲が旺盛です。彼らは白人で、あご髭がなく、眼はとても小さいです。彼らは自由を愛する国民で、特に平和を愛し、国内では戦いがありません。中国でも日本でも主なる神への大きな奉仕を成し遂げることができるように、私は中国へ行きたいと思っています。中国人が神の教えを受け入れるようになったと日本人が知れば、中国から渡来した宗旨を信じている日本人は、自分たちの信仰をすぐさま捨てるに至るでしょう。 (同書簡)『開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった』1:鉄砲伝来など
2024.10.17
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図書館で『開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった』という本を、手にしたのです。漢字をテーマとした歴史的な研究書ってか・・・興味深いのである♪【開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった】 小川誉子美著、ひつじ書房、2023年刊<「BOOK」データベース>よりペリーは日本に開国を迫るとき、日本事情を中国語文献で予習した。吉田松陰は密航をくわだて、漢文で交渉した。中国語を通して世界にアクセスした、交流の歴史。<読む前の大使寸評>漢字をテーマとした歴史的な研究書ってか・・・興味深いのである♪rakuten開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった「第一章 日欧の出会いと中国」の冒頭で鉄砲伝来などが述べられているので、見てみましょう。p1~5<一 ジパングの言語> ヨーロッパの人々のアジア観に影響を与えた『東方見聞録』は、マルコ・ポーロの東方旅行(1271~1295)をもとにつづった冒険譚であり、日本が初めてヨーロッパに紹介されたことでも知られている。この書に記されたジパング伝説は、当時のユーラシア大陸で活動していたイスラム商人やイスラム社会の役人たちが語る噂話をマルコ・ポーロが中国で伝え聞いたものだという。 英語の「ジャパン」は、ジパングを起源とし、ジパングという発音は、中国語の近古音(中世の中国語で発音した音)で「日本国」を発音したものが語源というから、現在の日本の国名、ジャパン、ジャポン、ヤーパン、ヤポーニア、ヤパニ、ハポンなどいずれも、この中国語の近古音を起源としているということになる。 ジパング伝説には、黄金や宝石、香辛料、偶像崇拝者など冒険家を駆り立てる素材とともに、人食い人種説など恐怖心を植え付ける伝説もちりばめられている。こうした話題性に満ちた物語の起源については、多くの研究が行われているが、本書が注目したいのは、次の部分である。ジパングの言葉では、チナと呼ぶが、これはマンジ(モンゴル支配時代の南中国をさす)のことである。 ジパングが、固有の言語を持つことも記されているのだ。 ヨーロッパには、古くから、太陽がのぼる東の果てには、地上の楽園や黄金卿があるという伝説があった。未知のアジアの地理、社会、習俗を紹介する『東方見聞録』は、各国語に翻訳され、当時の人々に大きな影響を与えた。クリストファー・コロンブスはその影響を受けた一人である。地球球体説を確信するコロンブスに、インド航路の開拓に向かわせたのは、イスラム商人やヨーロッパの地理学者、Tン問学者らの情報であった。 コロンブスと同時代の地理学者で、ニュールンベルグ出身のマーティン・ベハイムは、現存する最古の地球儀(1492年)を制作したことで知られている。ちなみに、ベハイムは、太陽の高度で緯度を図る方法を確立するための数学委員会の一人であり、科学的知識を有し、航海者に推挙されたこともあるほどの人物である。 さて、彼の地球儀には、当時広く知られていたトスカネリの世界地図と同じく、ヨーロッパの西には、アメリカ大陸はなく、中国やジパングが描かれている。ベハイムの地球儀はそれだけではない。その土地についての説明が細かい字で記され、ジパングについては、黄金伝説意外に、「ジパング島は王と自身の言葉を持っている」ことも記されている。 未知の土地を紹介するのに、言語に関する情報も、冒険家に必要だったのだろう。ジパングに関心のある人には、黄金伝説とともに固有の言語を持つこともはっきりと記憶に刻まれたに違いない。<二 日欧の出会い、鉄砲伝来の立役者は?> ジパング島にヨーロッパ人が足を踏み入れるのは、その250年後の1543年、ポルトガル人を乗せた船が種子島に漂着した「鉄砲伝来」まで待たなければならない。すなわち、鉄砲がもたらした西洋と日本の初めての会合は、「漂着」であり、これまでの冒険家のように、用意周到に目的地をめざした航海ではなかった。このとき、ポルトガル人は、種子島の人々に、どのように意思を伝えたのだろうか。 ポルトガル人が乗ってきた漂着船は、明の倭寇が所有する船であった。また、このときの鉄砲はポルトガルで作られたものではなく、当時ポルトガルの支配下にあったマラッカ王国で作られた銃であった。船主は「大明儒生五峯」と名乗っていたが、実はこの人物、本名を王直という倭寇の大頭目だった。このとき種子島の領主、種子島時尭は、この王直と砂の上に書いた漢字による筆談にって意思疎通を図ったのである。 二挺の火縄銃をもたらした三人のポルトガル人たちは、何らかの理由からシャム王国のアユタヤでポルトガル船からの脱走を図り、王直に拾われたのであった。一方、王直は、その後、佐賀に屋敷を持ち、密貿易を行うようになる。 海禁政策をとっていた明で銀が不足し、これを日本からの輸入で補っていた。日本には明の禁制品である硝石などを輸出していた。この硝石こそ、硫黄とともに火縄銃の火薬に必要な材料であり、日本では算出されない物質であった。ポルトガル人たちが持ち込んだ銃は、倭寇にとって、戦国日本に火薬製造に不可欠な硝石を売り込む大きな商機でもあったのである。「鉄砲伝来」とは、ポルトガル人が本国から船でやってきて、火縄銃を「伝えた」のではなく、脱走したポルトガル人を乗船させた倭寇が、種子島の人々と意思疎通をはかり、取引を成立させたという出来事であった。すなわち、ヨーロッパと日本との初めての出会いは、マラッカで製造した「銃」を媒介とし、そのときの意思疎通は、密貿易を行っていた儒者でもある中国人と筆談で行われたのであった。 さて、エンリケ王子によってすすめられたポルトガルの海洋戦略は、アフリカ最南端から、インド洋に出てアジアに進出すると、インドやマラッカを支配下に置き、次々と交易の拠点を築いていった。こうして、ヨーロッパの最西端にあるポルトガルから、ユーラシアの東端、さらにその東にあるジパングに到達するのである。 日本に関する情報は、到達前に、地理書『東方諸国記』(1515)に記されていた。「鉄砲伝来」の28年前のことである。この書は、1511年ポルトガル人が占領したマラッカで、翌年到着したトメ・ピレスが著したものである。ジパング島は、この中で「ジャンポン島」と呼ばれた。 全六部からなるこの書の中の「第四部 シナからボルネオにいたる諸国」の「二 琉球、日本」、「ジャンポン島」という項目は、次のように始まる。すべてのシナ人のいうことによると、ジャンポン島はレキオ(琉球)人の島々よりも大きい。国王はより強力で偉大であり、商業には熱心でない。その国民もそうである。国王は異教徒で、シナの国王の臣下である。かれらがシナにおいて取引するのはごく希であるが、それは遠く離れていることと、かれらがジャンクを待たず、また海洋国民ではないからである。 トメ・ピレスの記述も、中国人からの電文として記されている。その内容は、マラッカ王国とも交易をしていた琉球に関する説明は詳しく、日本については中国人の語る情報として短く添えられている。 この『東方諸国記』は、海のシルクロードを渡ってアジア進出はアジア征服以外の何ものでもないこと、その事業はイエス・キリストの名において行われ、カトリック教を昂揚させ、イスラム教を滅ぼすことにあるとし、この書が紹介するエジプトから中国に至る地域は、ポルトガル王の征服の対象となると記している。すなわち、この書は、征服対象国の一蘭であった。
2024.10.17
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図書館で『日本の異国』という本を、手にしたのです。この本の目次を見ると以下載っていて興味深いのです♪足立区のフィリピンパブ、埼玉県川口市の多文化共生、西葛西のリトル・インディア、新大久保の未来など。【日本の異国】室橋裕和著、晶文社、2019年刊<「BOOK」データベース>より2017年末で250万人を超えたという海外からの日本移住者。留学生や観光客などの中期滞在者を含めれば、その数は何倍にもなる。今や、都心を中心に街を歩けば視界に必ず外国人の姿が入るようになったが、彼らの暮らしの実態はどのようなものかはあまり知られていない。私たちの知らない「在日外国人」の日々に迫る。<読む前の大使寸評>探検家・高野秀行さんがこの本を高く評価しているので、きっと面白い本なんでしょう♪rakuten日本の異国拡大中の中国人コミュニティが報告されているので、見てみましょう。p218~222<御殿場市 絶賛拡大中の新しいコミュニティ、中国>■富士と雪の街にあるインバウンドの最前線 バスタ新宿を出て2時間弱。御殿場の駅前でバスを降りる。東京よりも明らかに寒い。冷たい風が吹き抜けてきて、コートの襟もとを合せた。ここはもう、富士山の麓なのだ。 小さな駅舎には立ち食いそば屋が併設されていた。「御厨そば」というのが地元の名物らしい。そばのつなぎに山芋を練りこんであって、腹持ちがいいのだとか。根菜と鶏肉がたっぷりで、とりあえずは胃袋から温まった。 駅の西側にはささやかな繁華街が広がり、ホテルや居酒屋が立ち並んでいるが、ちらほらと外国人の姿を見る。中国人、欧米人、東南アジア系の人々・・・駅前の刊行案内所で聞いてみると、「富士山を見に来る人が多いですね。東京からそれほど時間がかからないので、旅程は短いけれど富士山は見ておきたいというかた。それと最近は冬場になるとマレーシアとかタイ、フィリピンの方も増えますが、雪が目的のようです」 熱帯の人々にとって雪そのものがレジャーのひとつとは聞くが、御殿場は東京から気軽に日帰りできる、富士山と雪の街として外国人観光客に知られているのだ。 案内所の係員に「日本人はさっぱり行かないけど、外国人に人気の場所」とリクエストしたところ、即答していただいたのが市街東部の山腹に位置する平和公園だ。 釈迦の骨が納められているという仏舎利塔がそびえているが、まばらにいるのはたしかに外国人だけだった。ツアーバスやタクシーでやってくるのだ。塔を背にして振り向けば富士山と御殿場の街とが一望できることで人気なのだが、あいにくこの日は雲がかかっていた。 だが御殿場には、富士の眺望よりも集客力を持つ、これぞインバウンドの最前線というべき場所がある。御殿場プレミアム・アウトレットだ。 広大な敷地に、服やアクセサリー、スポーツ用品、雑貨などなどブランドショップの店舗が200以上も並ぶ。年間の売り上げは900億円を超える日本最大のアウトレット・モールである。この日は土曜日とあってかたいへんな人出で、静岡の山の中なのに東京のターミナル駅のごとき混雑なのである。 日本人客もたくさんいるが、外国人がとにかく多い。特に目立つのは中国人だ。ヒジャブをまとったイスラム女子や、インド系の家族連れも見るし、僕にとっては懐かしいタイ語の響きが聞こえてきたりもするが、圧倒的に多いのは中国人観光客だ。 御殿場プレミアム・アウトレットにはいまや年間40万人をはるかに上回る外国人が訪れるが、そのうち大部分が中国人と見られている。 そして高級ブランドの品々を惜しげもなく買っていく。もうこれ以上は持ちきれない、というところまで買いまくると、今度は同じアウトレット内でスーツケースを買って荷物を詰め込める。爆買いというやつである。中国人客の増加に伴って、アウトレットの売上げも右肩上がりなのだとか。 と、なれば当然、施設側に求められるもの。それは中国語のわかる人材である。中国人客に対応するために、中国人の店員が一気に増えたのだ。およそ200の店舗にたいていひとりかふたり、中国人スタッフがいる。 つまりアウトレット全体で300人前後の中国人が働いているようなのだ。これはもう、ひとつの「中国村」ではないか。富士の裾野の小さな街に、中国人コミュニティができつつあるのだ。「私が来たときは、中国人はもちろん外国人のお客様なんてほとんどいなかったんですよ」 朱孔静さんは言う。女性向けブランドのショップを仕切って6年ほどだ。32歳のやたら元気な女性で、日本人とほとんど変わらないイントネーションの日本語を話す。僕の言葉に「そうそう、だよねー」と日本語で頷き、ときに「やっべー」と声を上げ、けたけた笑う様子はなんだか親しみやすいクラスの中心女子という感じだ。 生まれ故郷の黒竜江省・佳木斯(チャムス)を出てきたのは2007年のこと。京都の日本語学校で2年間ほど学んだ後に、大阪国際大学に入学した。「だからいまでも関西弁が混じる」と笑う。 大学に通いながら日本人と同じようにシューカツをし、内定をもらい、卒業後は入社研修を受けて、配属された先が御殿場アウトレット店だった。2013年のことだ。以来ずっと、ショップを切り盛りしている。「でも、その頃って中国人のスタッフは私と、近くの中華料理屋のコックだけ。休憩室でもぽつんとふたりだけでゴハン食べて。なんでまた私、御殿場なんだろう。中国人である私の役割ってなんなんだろうって、けっこう悩みました」 会社としてはもしかしたら、日本人も中国人も関係なかったのかもしれない。日本語がネイティブレベルにわかって、仕事も任せられそうだと判断したから、御殿場アウトレット内の店舗という「旗艦店」に朱さんを配属したのだとも思える。(中略)「3、4年くらい前じゃないかなあ」 朱さんは振り返る。 中国人観光客を乗せたツアーバスが、日に日に目立つようになってきたのだ。そしてばんばんブランドものを買い込んでいく。2013年に130万人ほどだった訪日中国人は、2014年に240万人、2015年にはなんと500万人と、倍々ゲームのように増えていく。中国国内の急激な経済発展が旅行熱と買い物熱を後押しし、豊かになった中国人は世界各地で「爆買い」に走った。中国から近く訪れやすい日本は格好の旅先であり、その恩恵を大きく受けることになる。 2017年には730万人を突破した訪日中国人たちが、まず楽しんだのは「ゴールデン・ルート」の旅である。 中国から成田もしくは羽田に降り立って、東京を敢行する。近郊のディズニーランドや鎌倉あたりも定番だ。そしてツアーは西に向かう。東名高速道路をかっ飛ばし、ここ御殿場にやってくるのだ。富士山の眺望を楽しみつつ、アウトレットで心ゆくまで買い物を満喫すると、大量の戦利品とともに関西に上陸。大阪・京都・奈良を観光して、関空から帰国の途へ・・・。 リピーターも続々と増えているが、「初めての日本」であれば、このルートをたどる中国人が多いのだ。 東京と関西を結ぶ線上にあり、富士山というキラーコンテンツも持っていた御殿場には、こうしておおぜいの中国人が殺到するようになったのだ。 朱さんも慌ただしい日々を送るようになる。仕事はもう、いろいろだ。「接客全般に、在庫管理、それに私のほかにも中国人のスタッフがいるから、その教育も」 日本人の社員も従えて、バリバリ働く朱さんに舞い込んできたのは、店長にならないかという話だった。もちろん中国人に対しては初めてのオファーだった。快挙なのだろうと思う。しかし、朱さんは申し出を断ったのだ。「その頃ちょうどダンナと結婚したこともあったし、子供をつくりたいとも思っていたし、悩んだんですが・・・」 ■御殿場アウトレット初の中国人店長 同じくらいの時期に、やはり店長に推され、引き受けたのは〇必燕さん、32歳の男性だ。海外雄飛を目指す若者が多いことで知られる福建省の福清市出身。これは埼玉・西川口の中華レストラン『福記』の店長、林さんと一緒だ。 朱さんとは同じ32歳で、やけに仲がいい。そしてお調子者である。しょうもない冗談を言っては朱さんのつっこみを待つ。この夫婦漫才のようなやりとりも日本語なんである。御殿場アウトレットでは筆記具や腕時計、革製品を扱うブランドショップで働いている。店長としてアウトレットの全体会議にも出席し、インバウンドの現場を支える。おちゃらけているように見えるが、なんといっても御殿場アウトレット初の中国人店長なんである。『日本の異国』1:竹ノ塚 魅惑の癒しスポット
2024.10.16
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図書館で『サル化する世界』という本を、手にしたのです。内田先生の著書は数多く読んできたが・・・外れが少ないのが売りなので、興味深いのである♪【サル化する世界】内田樹著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。【目次】1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題<読む前の大使寸評>内田先生の著書は数多く読んできたが・・・外れが少ないのが売りなので、興味深いのである♪rakutenサル化する世界「Ⅲ 〝この国のかたち〟考」でフランスのヴィシー政府が語られているので、見てみましょう。なんか読んでいるうちに、暗澹たる気持ちがしてくるようです。p140~143<対独協力国だった歴史的事実の否認> フランスの場合は、ヴィシーについてはひさしく歴史的研究そのものが抑圧されていました。先ほど名前がでましたベルナール=アンリ・レヴィの『フランス・イデオロギー』はヴィシーに流れ込む19世紀20世紀の極右思想史研究ですが、この本が出るまで戦後44年の歳月が必要でした。 刊行されたときも、保守系メディアはこれに集中攻撃を加えました。「なぜせっかくふさがった『かさぶた』を剥せて、塩を塗り込むようなことをするのか」というのです。それからさらに30年近くが経ちますが、ヴィシー政府の時代にフランスが何をしたのかについての歴史的な研究は進んでいません。 ナチスが占領していた時代のフランス人は何を考え、何を求めて、どうふるまったのか。いろいろな人がおり、いろいろな生き方があったと思います。それについての平明な事実を知ることが現代のフランス人には必要だと僕は思います。ド・ゴールが言うように「自分自身に対して抱く評価」を基礎づけるために。でも、それが十分に出来ているように僕には思えません。フランスの場合は「敗戦の否認」ではなく、対独協力国だったという歴史的事実そのものが否認されている。その意味では、あるいは日本より病が深いかもしれない。 本来なら、ヴィシー政府の政治家や官僚やイデオローグたちの事績を吟味して、「一体、ヴィシーとは何だったのか、なぜフランス人は民主的な手続きを経てこのような独裁制を選択したのか」という問いを徹底的に究明すべきだったと思います。でも、フランス人はこの仕事をネグレクトしました。ヴィシー政府の要人たちに対する裁判もごく短期間のうちに終えてしまった。 東京裁判やニュルンベルグ裁判のように、戦争犯罪の全貌をあきらかにするということを抑制した。ペタン元帥や首相だったピエール・ラヴァルの裁判はわずか1ヶ月で結審して、死刑が宣告されました。裁判は陪審員席からも被告に罵声が飛ぶというヒステリックなもので、真相の解明というにはほど遠かった。この二人に全責任を押しつけることで、それ以外の政治家や官僚たちは事実上免責されました。そして、この「エリートたち」はほぼそのまま第四共和政の官僚層に移行する。 レヴィによれば、フランスにおいて、ヴィシーについての歴史学的な検証が進まなかった最大の理由は、ヴィシー政府の官僚層が戦後の第四共和政の官僚層を形成しており、彼らの非を細かく咎めてゆくと、第四共和政の行政組織そのものが空洞化するリスクがあったからだということでした。 事情を勘案すれば、フランス政府が、国家的選択として対独協力していたわけですから、それをサボタージュした官僚はうっかりするとゲシュタポに捕まって、収容所に送られるリスクがあったわけです。組織ぐるみの対独協力をせざるを得なかった。だから、一罰百戒的に、トップだけに象徴的に死刑宣告を下して、あとは免罪して、戦後の政府機構に取り込むことにした。それは当座の統治システムの維持のためには、しかたなかったのかも知れません。 ですからヴィシーについての歴史学的な実証研究が始まるのは、この官僚たちが現役を引退した後になります。1980年代に入って、戦後40年が経って、ヴィシー政府の高級官僚たちが退職したり、死んだりして、社会的な影響が亡くなった時点ではじめて、最初は海外に流出していたヴィシー政府の行政文書を持ち出して、ヴィシー研究に手を着け始めた。 フランス人自身によるヴィシー研究は『フランス・イデオロギー』が最初のものです。戦争が終わって44年後です。「ヴィシーの否認」は政治的に、意識的に、主体的に遂行された。でも、そのトラウマは別の病態をとって繰り返し回帰してきます。僕はフランスにおける「イスラモフォリア」(イスラム嫌悪症)はそのような病態の一つではないかと考えています。 フランスは全人口の10%がムスリムです。ニースで起きたテロ事件で露呈したように、フランス社会には排外主義的な傾向が歴然として存在します。大戦後も、フランスは1950年代にアルジェリアとベトナムで旧植民地の民族解放運動に直面したとき、暴力的な弾圧を以て応じました。結果的には植民地の独立を容認せざるを得なかったのですが、独立運動への弾圧の激しさは、「自由・平等・博愛」という人権と民主主義の「祖国」のふるまいとは思えぬものでした。 そんなことを指摘する人はいませんが、これは「ヴィシーの否認」が引き起こしたものではないかと僕は考えています。「対独協力を選んだフランス」、「ゲシュタポと協働したフランス」についての十分な総括をしなかったことの帰結ではないか。 もしフランスで終戦時点で自国の近過去の「逸脱」についての痛切な反省がなされていたら、50年代におけるフランスのアルジェリアとベトナムでの暴力に積極的に加担した国なのだ、少なくともそれに加担しながら反省もせず、処罰も免れた多数の国民を今も抱え込んでいる国なのだということを公式に認めていたら、アルジェリアやベトナムでの事態はもう少し違うかたちのものになっていたのではないか。あれほど多くの人が殺されたり、傷ついたりしないで済んだのではないか。僕はそう考えてしまいます。『サル化する世界』1:中国が怖い
2024.10.15
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図書館で『サル化する世界』という本を、手にしたのです。内田先生の著書は数多く読んできたが・・・外れが少ないのが売りなので、興味深いのである♪【サル化する世界】内田樹著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。【目次】1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題<読む前の大使寸評>内田先生の著書は数多く読んできたが・・・外れが少ないのが売りなので、興味深いのである♪rakutenサル化する世界「Ⅱ ゆらぐ現代社会」で中国の脅威が語られているので、見てみましょう。この本の発刊当時(2020年)は、好中・嫌韓だったようで・・・情勢は変わりつつあるようです。p49~54<China Scare 中国が怖い> 日韓関係が「史上最悪」である一方で、かつて排外主義的なメディアの二枚看板だった「嫌中」記事が姿を消しつつあることにみなさんは気づかれただろうか。 なぜ嫌韓は亢進し、嫌中は抑制されたのか。私はそれについて説得力のある説明を聞いた覚えがない。誰も言ってくれないので、自分で考えた意見を述べる。たぶん読んで怒りだす人がたくさんいると思うが許して欲しい。『フォーリン・アフェアーズ・リポート』はアメリカの政策決定者たちの「本音」がかなり正直に語られているので、毎月興味深く読んでいるが、ここ1年ほどはアメリカの外交専門家の中に「中国恐怖(China Scare)」が強く浸透していることが実感される。 かつて「赤恐怖(Red Scare)」といわれる現象があった。1950年代のマッカーシズムのことはよく知られているけれど、1910年代の「赤恐怖」についてはそれほど知られていない。 1917年にロシア革命が起きると、アメリカでもアナーキストたちによる武装闘争が始まった。1919年の同時多発爆弾テロでは、パーマー司法長官の自宅まで爆破された。政府はこれによって「武装蜂起は近い」という心証を形成した。 今聞くと「バカバカしい」と思えるだろうけれど、その2年前、まさかそんなところで共産主義革命が起きるはずがないと思われていたロシアでロマノフ王朝があっという間に瓦解したのである。未来は霧の中である。アメリカでだって何が起きるかわからない。 なにしろ、1870年代の「金ぴか時代」から後、アメリカは政治家も司法官も腐敗の極にあり、資本家たちの収奪ぶりもまた非人道的なものであったからだ。レーニンは1918年8月に「アメリカの労働者たちへの手紙」の中で「立ち上がれ、武器をとれ」と獅子吼し、1919年3月には、世界30ヵ国の労働者組織の代表者たちがモスクワに結集して、コミンテルンの指導下に世界革命に邁進することを宣言していた。 十月革命時点でのロシア国内のボルシュヴィキの実数は10万人。1919年にアメリカ国内には確信的な過激派が6万人いた。そう聞けば、アメリカのブルジョワたちが「革命近し」と言う恐怖心に捕えられても不思議はない。(中略) 私が言いたいのは、アメリカ人は意外に「怖がり」だということである。 アメリカ人は久しくソ連を恐れていた。冷戦が終わった後はイスラムを恐れていた。そして、今は中国を恐れている。 もちろん中国を恐れるには十分な理由がある。 最大の理由はAI軍拡競争において中国に後れを取っているのではないかという懸念が政府内部に広がっているからである。 中G区では、党中央がある国防戦略を採択したら、命令一下全国民資源をその一点に集中できる。軍も企業も大学も党中央には逆らえない。だが、アメリカではそうはゆかない。政府が「国家的急務」とみなすプロジェクトがあったとしても、そこに民間の人材や資源を集中するためにはしかるべき手続きが要る。民主国家だから当然である。 仮にGoogleやÀmazonに個人情報にかかわる企業秘密を政府に差し出せと言っても、おいそれとは聞いてもらえない。グローバル企業である兵器産業が自社利益を優先して(F35のような)不良在庫を軍に売りつけようとするのも止められない。 そして、本当のことを言うと、もうミサイルも空母も戦闘機も軍略的にはそれほどの緊急性がないのである。 AIが戦争概念を一変させた。 AIは人間よりも、大量の情報を瞬時に判断できるので、リアルタイムで複雑な戦況で最適解を出す仕事には人間より適している。AIシステムは戦場でも人間より迅速かつ正確かつ組織的に移動することができる。一方、システム攪乱のためのディープフェイク技術も進化している。 アメリカの兵器システムにサイバー・セキュリティ上の抜け穴が存在し、「比較的単純なツールと技術」で、これを利用できることを2018年にアメリカ政府監査院が指摘した。 ミサイルや空母や戦闘機のような兵器の装備がいくら充実していても、それを統御するコンピュータシステムが攪乱されたら、戦争はできない。だから、本当は戦闘機や空母を作る金があったら、サイバー・セキュリティの精度を高める方が優先するのである。ところが、アメリカではそれが遅れている。 この点では中国は明らかにアドバンテージがある。中国は独裁国家だから、AI技術の軍事転用に抵抗する勢力は国内にはいない。顔認証システムやカメラによる国民監視システムでは中国はすでに世界一である(パッケージしてシンガポールやアフリカの独裁国家に輸出しているほどである)。 遠からずアメリカはAI技術における相対優位を失うだろうとアメリカの軍事の専門家たちは警告している。
2024.10.14
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・サル化する世界・遊牧民、はじめました。・開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった・ノイエ・ハイマート<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【サル化する世界】内田樹著、文藝春秋、2021年刊<「BOOK」データベース>より現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。【目次】1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題<読む前の大使寸評>内田先生の著書は数多く読んできたが・・・外れが少ないのが売りなので、興味深いのである♪rakutenサル化する世界【遊牧民、はじめました。】 相馬拓也著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>より地平線の先までずっと続くモンゴルの大草原。そこに生きる“悠々自適”な遊牧民。大自然に囲まれた彼らの暮らしを想像して、一度は憧れたことがある人もいるだろう。しかし、彼らの暮らしは本当に“悠々自適”なものなのだろうか。一度で150㎞にも及ぶ遊牧、マイナス40℃を下回る極寒の冬、家畜という懐事情をご近所に曝け出した生活ー。本書では、そんな遊牧暮らしのリアルを、長年、彼の地でフィールドワークを続けてきた著者が赤裸々に綴る。ときに草原を馬で駆け、ときに大自然に牙を剥かれ、ときに遊牧民たちにどつかれる日々の中で気づいた、草原世界で生き抜くための「掟」とはー?<読む前の大使寸評>追って記入rakuten遊牧民、はじめました。【開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった】 小川誉子美著、ひつじ書房、2023年刊<「BOOK」データベース>よりペリーは日本に開国を迫るとき、日本事情を中国語文献で予習した。吉田松陰は密航をくわだて、漢文で交渉した。中国語を通して世界にアクセスした、交流の歴史。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった【ノイエ・ハイマート】池澤夏樹著、新潮社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりある日、難民になる。「新しい故郷」を求めて、歩きだす。そんなに遠い世界の話ではないのです。シリアで、クロアチアで、アフガニスタンで、満洲で、生きのびるために難民となった、ふつうの人たち。その姿と心を、てのひらで触れるようにして描きだす。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/29予約、副本?、予約?)>rakutenノイエ・ハイマート
2024.10.14
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在24位・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、副本?、予約106)現在10位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)現在8位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/10予約、副本?、予約8)現在3位・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』 (5/14予約、副本2、予約5)現在6位・内田樹『勇気論』(7/07予約、副本?、予約?)現在13位・有田芳正『誰も書かなかった統一教会』(7/27予約、副本?、予約?)現在4位・消費者金融ずるずる日記(8/27予約、副本6、予約112)現在97位・パッキパキ北京(8/29予約、副本9、予約111)現在84位・転がる珠玉のように(9/05予約、副本7、予約87)現在71位・原爆裁判(9/11予約、副本?、予約133)現在120位・沈む日本4つの大罪(10/10予約、副本?、予約?)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵・ヤマザキマリ『水木しげる厳選集 異』:図書館未収蔵・猫社会学、はじめます:図書館未収蔵・書いてはいけない日本経済墜落の真相:図書館未収蔵・金水敏『よくわかる日本語学』・闇の中国語入門・奪還 日本人難民6万人を救った男:・ぜんぶ、すてれば:延滞本返却後に予約する<予約分受取:7/18以降> ・椎名誠『続 失踪願望』(5/31予約、7/18受取)・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、7/27受取)・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、7/27受取)・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、8/06受取)・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、8/27受取)・パンとサーカス(8/28予約、9/01受取)・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、9/12受取)・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、9/22受取)・池澤夏樹『ノイエ・ハイマート』(6/29予約、10/13受取予定)**********************************************************************【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/12予約、副本?、予約111)>rakutenしんがりで寝ています【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【アジア発酵紀行】小倉ヒラク著、文藝春秋、2023年刊<出版社>よりアジアの巨大な地下水脈をたどる冒険行。「発酵界のインディ・ジョーンズ」を見ているようだ!ーー高野秀行(ノンフィクション作家) 自由になれーー各地の微生物が、奔放な旅を通じて語りかけてくる。ーー平松洋子(作家・エッセイスト)発酵はアナーキーだ! チベット~雲南の「茶馬古道」からインド最果ての内戦地帯へーー前人未到の旅がいま幕をあける! 壮大なスケールでアジアの発酵文化の源流が浮き彫りになる渾身作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/14予約、副本2、予約21)>rakutenアジア発酵紀行【勇気論】内田樹著、光文社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりモヤモヤを抱えた編集者との“カウンセリング”往復書簡。ジョブズ、フロイト、孔子、伊丹万作、河竹黙阿弥、大瀧詠一、パルメニデス、富永仲基…話頭は転々として奇を極めー。いまの日本人に一番足りないものは何だろうか?読めば心が軽くなるーウチダが綴る9通のメッセージ。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/07予約、副本?、予約?)>rakuten勇気論【誰も書かなかった統一教会】有田芳正著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より2022年7月の安倍元首相銃撃事件後、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と政界の癒着を中心に多くの報道があった。だが、メディアが報じたのは全体像のごく一部だった。教団をめぐる多くの問題が残されたまま事件の風化を憂慮したジャーナリストが、教団の政治への浸食の実態、霊感商法の問題はもちろん、「勝共=反共」にもかかわらず北朝鮮に接近していた事実、教団の実態を早くから認識していたアメリカのフレイザー委員会報告書、教団関係者による銃砲店経営、原理研究会の武装組織、「世界日報」編集局長襲撃事件、公安が教団関係者を調査していた事実等、その全貌を公開する。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(7/27予約、副本?、予約?)>rakuten誰も書かなかった統一教会【消費者金融ずるずる日記】 加原井末路著、三五館シンシャ、2024年刊<「BOOK」データベース>より1990年代の半ば、30歳のときに足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を私はこの業界ですごし、お金にまつわる悲喜こもごもを目撃した。私が在籍した期間は、消費者金融業界が栄華を極めてから、2010年の法改正施行を経て、没落していく年月でもあった。-本書にあるのはすべて私の実体験である。「お客を追い込む仕事」。サラ金社員が経験した、貸し手と借り手のお金の修羅場。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten消費者金融ずるずる日記【パッキパキ北京】綿矢りさ著、集英社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりコロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは…?<読む前の大使寸評>追って記入rakutenパッキパキ北京【転がる珠玉のように】ブレイディみかこ著 、中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりLike A Rolling Gem。大人の山あり谷ありライフを越えていけ!結婚するゲイの友人、職人魂を燃やす父、イギリスで、日本で、社会の底を支える労働者たちの人生劇場。泥くさい毎日を“宝石”に変える著者3年ぶりの最新エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約(9/05予約、副本7、予約87)>rakuten転がる珠玉のように【原爆裁判】山我浩著、毎日ワンズ、2024年刊<商品説明>より日本初の女性判事・三淵嘉子が昭和三十年代に裁判官を務めた「原爆裁判」に焦点を当てた書き下ろし。原爆を巡るアメリカの闇を追及すると共に三淵嘉子の半生を紹介、さらに、世に名高い「原爆裁判の判決文」も付載した一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/11予約、副本?、予約133)>rakuten原爆裁判【沈む日本4つの大罪】 植草一秀×白井聡著、ビジネス社、2024年刊<「BOOK」データベース>より捏造と欺瞞、狡猾と策略で、夢も希望も失った日本人に告ぐ!奴隷国家に堕した日本の国難に打ち勝つ再生への処方箋。経済学の論客と気鋭の政治思想家が日本のタブーに斬り込む!LGBTQ、SDGs、コロナワクチン、政権と大企業の罠、メディア腐敗etc。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約 (10/10予約、副本?、予約?)>rakuten沈む日本4つの大罪【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・デジタル朝日「好書好日」でめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.10.13
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図書館で『日本の「中国人」社会』という本を、手にしたのです。著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪【日本の「中国人」社会】中島恵著、日本経済新聞出版社、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本の中に、「小さな中国社会」ができていた!住民の大半が中国人の団地、人気殺到の中華学校、あえて帰化しないビジネス上の理由、グルメ中国人に不評な人気中華料理店ー。70万人時代に突入した日本に住む中国人の日常に潜入したルポルタージュ。<読む前の大使寸評>著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪rakuten日本の「中国人」社会「第2章 日本に持ち込まれた〝コミュニティ〟の構造」から中国人コミュニティを、見てみましょう。p55~58<血縁がなければ、地縁に頼る>「30年近く前、来日したばかりのころは、空港から直行で友人のアパートに転がり込み、そこで暮らしながら、徐々に日本の生活に慣れていったものです。だからそのあとも友人のアパートの近くに住みました。他に頼りになる人は誰もいなかったので」 川口市や横浜市の話を、ある50代前半の中国人に話したところ、彼は「うん、うん」と深くうなづきながら、自らの来日当時のことを懐かしそうに振り返った。六畳の木造アパートで友人と将来の夢を語り合ったという。「両親への国際電話はテレホンカードを使って月に一度だけ。事前に時間を決めて公衆電話から掛けました。週に一回くらい手紙も書きました。携帯電話もない時代でしたから」 当時、日本と中国の精神的距離はとても遠かった。そんな時代から現在まで、彼らは常に独自ルートで、生活や仕事が潤滑が回るようにお互いに協力してきた。 中国人のコミュニティといえば、まず血縁、そして地縁(同郷、土地に基づく縁故関係)やビジネスの縁(仕事関係、同業など)、学縁(学閥や子弟関係)などがあり、これらを日本人以上に重視するといわれる。中国国内だけでなく世界中どこに住んでも同様だ。 これを華人・華僑ネットワークと表現することもある。 血縁とは、家族や親戚関係のことだ。鄧小平氏の改革・開放政策により、1980年代から本格的に来日するようになった留学生にとって、見ず知らずの国に親戚がいたら、何よりも心強かったに違いない。 といっても、留学生がそれほど多くなかった時代は、冒頭の男性のように、親戚はおろか同胞自体も少なく、中国人の間に明確な「コミュニティ」は存在しなかったし、人間関係も今よりシンプルだった。 法務省入国管理局の統計によると、1984年の在日中国人総数は、留学生を含めて約7万人。それが90年になると一気に約15万人にまで拡大した。その後、95年には約22万人、2005年には約52万人、17年の73万人へと伸びていく。 日本で中国人の数が増え、目立つようになってきたのが地縁による結びつき。中国の同じ地域から来日した人同士のつながりだ。本国では知り合いではなかったケースも多い。 北京人、上海人同士など大都市出身者はそうでもないが、それ以外の地方都市、とくに内陸部の中小都市の出身ならば、来日する人数が少ないので欠測はより強くなる。海外で東京都の出身者同士が会ってもそれほど感慨はないが、それ以外の地方都市や市町村の出身者同士などが出会うと、かなり親近感が湧くのと同じだ。 広大な中国には無数の方言があり、生粋の上海人は上海語を使う。上海に留学した日本人には「みんな上海語を話すので、中国語が上達しなかった」という人もいるほどで、外来者に話を聞かれたくない場合には、あえて上海語で話すこともある。 広東省や香港で使われる広東語も同様で、都市ごとに方言があるといってもいい。自分の方言が通じるだけでも心を開き、海外ではとくにその縁を重視する。私が知るかぎり、東京在住の中国人の多くが、同郷会のような少しオフィシャルなものや、カジュアルな同郷人同士のコミュニティに参加している。 東京生まれ天津育ち、北京大学卒業後に来日し、現在は都内の大手ホテルに勤務している佐々木芳邦氏によれば、都内には天津同郷会、吉林同郷会など、地方ごとにたくさんの同郷会が存在するという。佐々木氏が参加する天津同郷会の会員は約400人。20年ほどの歴史があり、毎年春節の時期に新年会を行っている。『日本の「中国人」社会』3:埼玉県のケース『日本の「中国人」社会』2:プロローグの続き『日本の「中国人」社会』1:プロローグ 日本の中国人は、高知県民とほぼ同数
2024.10.13
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図書館で『日本の「中国人」社会』という本を、手にしたのです。著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪【日本の「中国人」社会】中島恵著、日本経済新聞出版社、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本の中に、「小さな中国社会」ができていた!住民の大半が中国人の団地、人気殺到の中華学校、あえて帰化しないビジネス上の理由、グルメ中国人に不評な人気中華料理店ー。70万人時代に突入した日本に住む中国人の日常に潜入したルポルタージュ。<読む前の大使寸評>著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪rakuten日本の「中国人」社会「第1章 なぜ、この街にばかり集まるのか」で埼玉県のケースを、見てみましょう。p24~27<アヒルの首やカエル 本場の料理に腰が引ける> 不動産店を出て3分ほど歩くと、十数軒の中華料理店が立ち並ぶ光景は見慣れているが、レインボーカラーの電飾がチカチカと点滅する看板は、あまり見かけない。これだけでも、観光地化された「日本の中華街」とは趣がかなり異なると感じる。 どの店でも、アヒルの首、ザリガニ、サナギ、モミジ(鶏の足)、カエル、羊肉の串焼き、内臓料理、鉄鍋料理など、日本人に馴染みがない〝本場の味〟を提供している。私が見たかぎり、さすがにヘビや犬肉のメニューは見かけなかったが、もしかしたらメニューにある店もあるかもしれない。 私の取材に同行した中国人女子留学生は山東省出身。大連の大学で学び、来日して1年近くになる。「アヒルの首」の看板に目が釘付けになり、ちょっと腰が引けている私の横で、「これ知っていますか? まるで中国にいるみたい。食べたい!」といって小躍りした。 私たちは中華料理店のひとつ『橋頭私家菜』に入ってみた。店内は広く、ソファ席もゆったりしている。全店員が中国人だったが、日本語でも注文できる様子だ。客も9割は中国人で、平日の夜7時前だったが、すでに5~6人の家族連れがいた。私以外の日本人は、若い中国人女性連れの男性客一人だけ。テイクアウトをする会社員風の中国人がレジ前で何人も待っていた。 日本語と中国語で書かれたメニューを開くと、東北地方と福建省の料理が並んでいた。ふと壁に目をやると、手書きで「福清炒米粉」「福清蕃薯丸」「福清雑湯」と書いてある。値段は一品が1000~2000円程度で、スープや主食系の料理のようだ。 福清とは福建省福清市のこと。店員に聞くと、福清市出身の客が多いから、彼らの故郷のメニューを増やしたという。 日本ではあまり知られていないが、福清といえば、中国では華僑を数多く輩出している地で、「僑郷」(華僑のふるさと)とも呼ばれている。海に面した県級市(県クラスの市)で人口は約135万人。 中国では、100万人でも大都市とはいえないが、かつて「蛇頭」(スネークヘッド。密入国を斡旋するブローカー犯罪組織)の拠点として、数多くの中国人がここから日本に送り出された。一方、東南アジアで成功した華僑の多くも福清の出身である。 それにしても、こんな中国の一地方都市でしか食べられていない郷土料理が、ここ西川口チャイナタウンでは、ごく自然に食べられている。そのこと自体、私には新鮮な驚きだった。『日本の「中国人」社会』2:プロローグの続き『日本の「中国人」社会』1:プロローグ 日本の中国人は、高知県民とほぼ同数
2024.10.12
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図書館で『日本の「中国人」社会』という本を、手にしたのです。著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪【日本の「中国人」社会】中島恵著、日本経済新聞出版社、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本の中に、「小さな中国社会」ができていた!住民の大半が中国人の団地、人気殺到の中華学校、あえて帰化しないビジネス上の理由、グルメ中国人に不評な人気中華料理店ー。70万人時代に突入した日本に住む中国人の日常に潜入したルポルタージュ。<読む前の大使寸評>著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪rakuten日本の「中国人」社会「プロローグ 日本の中国人は、高知県民とほぼ同数」の続きを、見てみましょう。p8~⒓<「不法滞在者ばかり」は、もはや昔の話> 驚くのは人口の多さだけではない。取材を進めてみると、彼らの実像は、多くの日本人がイメージする「中国人像」とは大きくかけ離れ、変貌を遂げている。 これまで、日本人が思い描く中国人像といえば、アルバイトに明け暮れる留学生、不法滞在者、単純労働者や中国料理店の店員、マッサージ師などではないだろうか。事実、そうした人々は多かった。 老華僑を除き、中国人が本格的に日本に住むようになったのは、中国が改革・開放したあとの1980年代からであり、彼らは新華僑(80年以降に来日した中国人)と呼ばれる。 新華僑の第一陣は中国政府から選抜された国費留学生や各省の公的費用などを活用したエリート留学生が中心だった。 その後、留学生ビザの緩和、中曽根康弘元首相の下での「留学生10万人計画」などを背景に、留学生が急増する。90年代には、不法就労を目的にする偽装留学生や就労生も現れるようになり、失踪者や不法滞在者、犯罪に手を染める者も増えてきた。 当時、日中間には著しい経済格差があった。多くの日本人には、そのころ(80~2000年代初頭)の記憶が強く印象に残り、そのまま時が止まっている。中国人による犯罪などのニュースが流れ、悪いイメージを形成する要因にもなった。 むろん、今でもそうした人々がいなくなったわけではないが、日中の経済格差が縮まり、GDPで拮抗し、中国が日本を追い越していく過程で、中国国内の影響を強く受け、日本に住む中国人の実像は大きく変わってきた。 親の勧めに従って来日する富裕層の留学生、日本に留学後、そのまま銀行や商社、メーカーなどに就職して働くホワイトカラー、大学教授、シンクタンクの研究員、高度な技術を持つエンジニア、医師や看護師、行政書士など、さまざまな職業に就くようになってきた。経営・管理ビザを活用し、日中を頻繁に往復しつつ、新規事業を行う起業家も増えている。 法務省などの「高度外国人在の受け入れ・就労状況」によると、国籍・地域別不法滞在者として日本で働く全外国人のうち、65%が中国人で、圧倒的多数を占める(ちなみに、二位は米国人、三位はインド人だ)。「高度外国人在とは、専門的な技術や知識を持つ外国人のことで、高学歴で職歴、収入など多数のチェック項目をクリアしたわずかな人材だけが取得できるビザのこと」(行政書士の張建紅氏)である。 張氏によると「昔は不法滞在者や、ビザを取得するために日本人と結婚する人がいたのは事実だが、今は非常に少ない。むしろ財産があり、日本国内に法人を設立する経営管理ビザの取得者が増えている」という。こうしたことから、日本ではハイレベルな中国人の人材が増えていることがわかる。 中国人の居住地域は、日本全国に広がっているベトナム人などと比べて、東京都(約20万人)、神奈川県(約6万5000人)、埼玉県(約6万3000人)などの大都市圏に集中しているのが特徴で、勤務先や生活拠点も主に首都圏である。 外国人犯罪の国籍別検挙数は全体的に右肩下がりになっており、なかでも中国人の検挙数は2010年ごろから劇的に下がっている。 男女比では、6対4で女性が多く、構成比では20~39歳が全体の58%を占めている。 高知県民にもさまざまな人がいて、さまざまな職業に就いて社会を構成しているように、日本の中国人社会も多様化が進んでいるのだ。<どの街で、どのように暮らし、何を考えているのか> 中国は2010年にGDPで日本を追い越し、18年には日本の約3倍の規模にまで到達しようとしている。本国ではITを活用したビジネスやキャッシュレス化が進み、街並みも人も急速に洗練されてきている。多くの日本人がイメージしている中国像との乖離はますます進んでいる。 本国の猛烈な勢いを追い風にして、日本に住む中国人一人ひとりの存在感も増している。在日中国系企業が多く加盟する「日本中華総商会」の会員企業を見ても、貿易、製造、IT、サービス業まで業種の幅が広がっており、日本の経済界とのつながりも太くなってきている。 在日中国人の〝変化〟が大きくなってきたのは、私の認識では「爆買い」が始まった2014年ごろからであり、中国の躍進とピタリと連動している。中国社会が大きく変わるとき、在日中国人社会も変わっていくのだ。 人口14億人を擁する中国はあまりにも巨大で、多様で、奥が深い。社会の変化のスピードも尋常ではなく、人々は常に流動している。そんな「よくわからない国」を理解するのは至難の業だ。『日本の「中国人」社会』1:プロローグ 日本の中国人は、高知県民とほぼ同数
2024.10.12
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図書館で『中国人は見ている。』という新書を、手にしたのです。中国といえば、中国共産党政権の脅威に日々脅かされている昨今であるが・・・日中の異文化ギャップが述べられていて興味深いのである♪【中国人は見ている。】 中島恵著、日本経済新聞出版社、2019年刊<「BOOK」データベース>より日本人の「あたりまえ」が、中国人にはこれほど異様に映る!飲み会で豹変する上司にいら立ち、会議後の同僚の「ある行為」に感心。大阪に親しみを覚え、寿司店の「まかない」に衝撃を受けるー。日本を訪れた中国人は、この国の何に戸惑い、何に感動するのか。日中の異文化ギャップを多くのエピソードから探る。<読む前の大使寸評>中国といえば、中国共産党政権の脅威に日々脅かされている昨今であるが・・・日中の異文化ギャップが述べられていて興味深いのである♪rakuten中国人は見ている。「第5章 日本人の中国観」でイメージカラーとしての紅色を、見てみましょう。p193~195<なぜ「紅色」がイメージカラーなのか> 昔ながらのラーメン店や町中華でよく見かけるものといえば、赤いちょーちん、赤いテーブル、赤い丸椅子だ。すべてが赤いわけではないが、赤を基調とした内装や装飾が多い。 メニューはたいてい壁に貼ってあり、しょうゆラーメン、味噌ラーメンなどの麺類のほか、麻婆豆腐、酢豚、八宝菜、餃子、チャーハン、冷やし中華などだ。 中華料理店以外でも、中国に関連するものは同じように赤い。書店の中国本コーナーに行くと、赤い表紙や帯がやたらと目につく。赤と白、赤と黒、赤と黄色という配色の表紙が圧倒的に多い。 実際に書店の書棚を眺めてみると、赤は表紙だけでなく、本のタイトルやサブタイトルにも使われていた。『紅い帝国』『紅い中国』『紅い皇帝』『紅い人脈』『紅い魔女』・・・。ざっと調べただけでもこれだけあり、まだ他にもありそうだ。 中国語では赤は紅色という。赤にたとえられる国といえば、日本人はそれが中国だとすぐに理解できる。 日本人が作曲した不思議な中華風BGMとは違い、中国とえば赤と私たちが連想するのには、明確な理由がある。 まず、赤は中国共産党の建国からのシンボルカラーだからだ。中国国旗は「五星紅旗」といい、赤地に五つの黄色い五ボウ星を配したもの。赤色は共産主義革命を、黄色は光明を表わす。 さらに、中国で赤といえば昔から吉祥や財運を表わす「おめでたい色」であり、さまざまな場面で多用されてきた、というのが最も大きな理由だろう。 春節、結婚、開店など「ハレの日」は必ず赤いもので壁や柱を飾りつける。結婚は「紅事」、結婚式で配る赤い包み紙の飴は「喜糖」、お年玉やご祝儀の袋は「紅包」。子どもが生まれたときに親族や同僚などに配る卵があるが、それは「紅蛋」と呼ばれる。 赤には古くから太陽の力、血液の力が宿るとされ、邪気を払い、パワーをつける意味がある。 中国から日本に伝わってきた風習として、日本人に身近なものといえば、還暦のときに着る赤いちゃんちゃんこがある。干支が60年で一巡し、再び赤ちゃんに戻る、邪気を払うという二つの意味があるとされる。『中国人は見ている。』1:日中のラーメン
2024.10.11
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図書館で『中国経済の属国ニッポン』という新書を、手にしたのです。表紙に「マスコミが言わない隣国の支配戦略」とあるが・・・私のツボが疼くわけでおます♪【中国経済の属国ニッポン】加谷珪一著、幻冬舎、2021年刊<「BOOK」データベース>より2030年にも、中国はGDPで米国を抜き、世界一の経済大国になる。2021年、中国共産党は歴史的な政策転換を提示。それは中国を中心にブロック経済を構築し、米国や日本抜きでも成長するという内容だ。さらに、テクノロジーや軍事力でも、米国に取って代わる日が近づく。一方、近年の日本経済は「爆買い」など、中国に大きく依存してきた。隣国の覇権獲得は、日本が今後、中国の土俵での外交やビジネスを強いられることを意味する。このまま日本は中国の属国に成り下がるのか?データで示す中国の現状と、我が国の生き残り策。<読む前の大使寸評>このところ、鼻息の荒い中国と意気消沈の日本を対比しながら、著者の説く生き残り策とは?rakuten中国経済の属国ニッポン「第1章 2030年、米中の覇権が逆転する」の冒頭を、見てみましょう。p17~21<GDPトップになれば外交・軍事でも支配的に> 近年、中国がめざましい経済発展を遂げ、日本を抜いて世界第2位の経済大国になっていることは多くの人が認識していると思います。そして中国と米国の経済状況を冷静に分析すると、近い将来、もう少し具体的にいうと2030年頃には米中のGDP(国内総生産)が逆転し、中国は世界最大の経済大国になる見込みです。 中国は日本にとっては隣国ですが、地政学的な利害関係が一致せず、基本的な価値観も共有していません。こうした国が世界の頂点に立つということは、日本にとって極めて深刻な事態といってよいでしょう。 第1章では、中国の経済規模が今後どのように推移するのかについて分析していきますが、その前に、経済規模が大きいということが国家覇権(ヘゲモニー)という観点において、どれほど有利なことなのか解説しておきたいと思います。この原理原則が理解できると、今の日本が置かれている状況をより的確に把握できるからです。 皆さんよくご存じのように、国の経済規模というのは通常、GDPで表わされます。GDPはその国の経済力を端的に示す指標ですが、GDPが大きいことがそのまま国民の豊かさにつながっているとは限りません。 GDPの数値が大きくても、人口が多く、1人あたりのGDPの数値が小さければ、国民は豊かな生活を享受できません。1人あたりのGDPはおおよそ国民の平均年収に近い値となりますから、国民生活の豊かさという点では、GDPの絶対値ではなく、1人あたりのGDPを用いて比較するのが適切でしょう。 2020年における日本人の1人あたりGDPは3万9000ドルでしたが、米国は6万3000ドル世界でもっとも豊かな国のひとつである欧州の小国ルクセンブルグは何と10万ドルを超えています。 米国は日本の1.5倍ほど豊かということになりますが、米国における大卒社員の初任給は日本の1.5倍から2倍ですから、1人あたりのGDPの違いとほぼ同じです。物価の違いを考慮した購買力平価の為替レートでドル換算しても近い値なので、米国人は日本人の1.5倍、ルクセンブルグに至っては2.5倍豊かな生活を送っていると考えて差し支えありません。(中略) 一方、中国の1人あたりGDPは市場レートで日本の約4分の1、購買力平価の為替レートでは約半分です。 中国は人口が多く、貧しい地方と裕福な都市部の格差が激しいといわれています。中国沿岸部の大都市は、香港に近い経済水準があると考えられますが、香港の1人あたりのGDPは購買力平価のレートで日本の1.4倍もあります。したがって中国は日本並み、あるいはそれ以上に豊かな都市部と貧しい地方の数値が平均され、現在の1人あたりのGDPが算出されていると見てよいでしょう。全体を平均すれば、中国は日本よりも貧しい状況にあることが分かります。(中略) 一方で、外交や軍事力、ビジネスなど、対外的な交渉力や国家覇権という点では、1人あたりのGDPではなく、GDPの絶対値がモノを言います。この理屈は、圧倒的な経済力を持つ米国が、世界の中心であったことからも直感的に理解できると思います。 戦後の国際社会はすべて米国を中心に回ってきたといっても過言ではありません。そして、米国が世界のリーダーとして君臨し続けることができたのは、ひとえにその巨大な経済力のおかげです。米国はGDPの規模において他国を圧倒しており、これが諸外国に対するパワーの源泉になってきたのです。 一般的に国家が成熟してくると、製造業中心の輸出主導型経済から、個人消費中心の消費主導型経済にシフトしていきます。米国はGDPの約7割が個人消費という典型的な消費主導型経済ですが、米国はその旺盛な購買力を利用して、各国から猛烈な勢いで商品を購入(つまり輸入)してきました。 戦後の全世界的な貿易の流れを見ると、基本的に日本や中国、そして欧州も米国に対して輸出超過となっています。米国は巨大なブラックホールのように世界中からモノを吸い込んでいるわけですから、各国から見れば米国は最大のお客さんということになります。
2024.10.09
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