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2024.10.12
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『日本の「中国人」社会』という本を、手にしたのです。
著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪




中島恵著、日本経済新聞出版社、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
日本の中に、「小さな中国社会」ができていた!住民の大半が中国人の団地、人気殺到の中華学校、あえて帰化しないビジネス上の理由、グルメ中国人に不評な人気中華料理店ー。70万人時代に突入した日本に住む中国人の日常に潜入したルポルタージュ。

<読む前の大使寸評>
著者・中島恵は中国人関連本ばかり書いている人で、中国を探るには欠かせない人のようです♪

rakuten 日本の「中国人」社会



「プロローグ 日本の中国人は、高知県民とほぼ同数」の続きを、見てみましょう。
p8~⒓
<「不法滞在者ばかり」は、もはや昔の話>
 驚くのは人口の多さだけではない。取材を進めてみると、彼らの実像は、多くの日本人がイメージする「中国人像」とは大きくかけ離れ、変貌を遂げている。
 これまで、日本人が思い描く中国人像といえば、アルバイトに明け暮れる留学生、不法滞在者、単純労働者や中国料理店の店員、マッサージ師などではないだろうか。事実、そうした人々は多かった。

 老華僑を除き、中国人が本格的に日本に住むようになったのは、中国が改革・開放したあとの1980年代からであり、彼らは新華僑(80年以降に来日した中国人)と呼ばれる。
 新華僑の第一陣は中国政府から選抜された国費留学生や各省の公的費用などを活用したエリート留学生が中心だった。

 その後、留学生ビザの緩和、中曽根康弘元首相の下での「留学生10万人計画」などを背景に、留学生が急増する。90年代には、不法就労を目的にする偽装留学生や就労生も現れるようになり、失踪者や不法滞在者、犯罪に手を染める者も増えてきた。
 当時、日中間には著しい経済格差があった。多くの日本人には、そのころ(80~2000年代初頭)の記憶が強く印象に残り、そのまま時が止まっている。中国人による犯罪などのニュースが流れ、悪いイメージを形成する要因にもなった。

 むろん、今でもそうした人々がいなくなったわけではないが、日中の経済格差が縮まり、GDPで拮抗し、中国が日本を追い越していく過程で、中国国内の影響を強く受け、日本に住む中国人の実像は大きく変わってきた。

  親の勧めに従って来日する富裕層の留学生、日本に留学後、そのまま銀行や商社、メーカーなどに就職して働くホワイトカラー、大学教授、シンクタンクの研究員、高度な技術を持つエンジニア、医師や看護師、行政書士など、さまざまな職業に就くようになってきた。経営・管理ビザを活用し、日中を頻繁に往復しつつ、新規事業を行う起業家も増えている。

 法務省などの「高度外国人在の受け入れ・就労状況」によると、国籍・地域別不法滞在者として日本で働く全外国人のうち、65%が中国人で、圧倒的多数を占める(ちなみに、二位は米国人、三位はインド人だ)。

「高度外国人在とは、専門的な技術や知識を持つ外国人のことで、高学歴で職歴、収入など多数のチェック項目をクリアしたわずかな人材だけが取得できるビザのこと」(行政書士の張建紅氏)である。
 張氏によると「昔は不法滞在者や、ビザを取得するために日本人と結婚する人がいたのは事実だが、今は非常に少ない。むしろ財産があり、日本国内に法人を設立する経営管理ビザの取得者が増えている」という。こうしたことから、日本ではハイレベルな中国人の人材が増えていることがわかる。

 中国人の居住地域は、日本全国に広がっているベトナム人などと比べて、東京都(約20万人)、神奈川県(約6万5000人)、埼玉県(約6万3000人)などの大都市圏に集中しているのが特徴で、勤務先や生活拠点も主に首都圏である。
 外国人犯罪の国籍別検挙数は全体的に右肩下がりになっており、なかでも中国人の検挙数は2010年ごろから劇的に下がっている。
 男女比では、6対4で女性が多く、構成比では20~39歳が全体の58%を占めている。

 高知県民にもさまざまな人がいて、さまざまな職業に就いて社会を構成しているように、日本の中国人社会も多様化が進んでいるのだ。

<どの街で、どのように暮らし、何を考えているのか>
 中国は2010年にGDPで日本を追い越し、18年には日本の約3倍の規模にまで到達しようとしている。本国ではITを活用したビジネスやキャッシュレス化が進み、街並みも人も急速に洗練されてきている。多くの日本人がイメージしている中国像との乖離はますます進んでいる。

 本国の猛烈な勢いを追い風にして、日本に住む中国人一人ひとりの存在感も増している。在日中国系企業が多く加盟する「日本中華総商会」の会員企業を見ても、貿易、製造、IT、サービス業まで業種の幅が広がっており、日本の経済界とのつながりも太くなってきている。

 在日中国人の〝変化〟が大きくなってきたのは、私の認識では「爆買い」が始まった2014年ごろからであり、中国の躍進とピタリと連動している。中国社会が大きく変わるとき、在日中国人社会も変わっていくのだ。
 人口14億人を擁する中国はあまりにも巨大で、多様で、奥が深い。社会の変化のスピードも尋常ではなく、人々は常に流動している。そんな「よくわからない国」を理解するのは至難の業だ。


『日本の「中国人」社会』1 :プロローグ 日本の中国人は、高知県民とほぼ同数





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Last updated  2024.10.12 00:21:11
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