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2024.10.09
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『中国経済の属国ニッポン』という新書を、手にしたのです。
表紙に「マスコミが言わない隣国の支配戦略」とあるが・・・
私のツボが疼くわけでおます♪




加谷珪一著、幻冬舎、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
2030年にも、中国はGDPで米国を抜き、世界一の経済大国になる。2021年、中国共産党は歴史的な政策転換を提示。それは中国を中心にブロック経済を構築し、米国や日本抜きでも成長するという内容だ。さらに、テクノロジーや軍事力でも、米国に取って代わる日が近づく。一方、近年の日本経済は「爆買い」など、中国に大きく依存してきた。隣国の覇権獲得は、日本が今後、中国の土俵での外交やビジネスを強いられることを意味する。このまま日本は中国の属国に成り下がるのか?データで示す中国の現状と、我が国の生き残り策。

<読む前の大使寸評>
このところ、鼻息の荒い中国と意気消沈の日本を対比しながら、著者の説く生き残り策とは?

rakuten 中国経済の属国ニッポン


「第1章 2030年、米中の覇権が逆転する」の冒頭を、見てみましょう。
p17~21
<GDPトップになれば外交・軍事でも支配的に>
 近年、中国がめざましい経済発展を遂げ、日本を抜いて世界第2位の経済大国になっていることは多くの人が認識していると思います。そして中国と米国の経済状況を冷静に分析すると、近い将来、もう少し具体的にいうと2030年頃には米中のGDP(国内総生産)が逆転し、中国は世界最大の経済大国になる見込みです。
 中国は日本にとっては隣国ですが、地政学的な利害関係が一致せず、基本的な価値観も共有していません。こうした国が世界の頂点に立つということは、日本にとって極めて深刻な事態といってよいでしょう。

 第1章では、中国の経済規模が今後どのように推移するのかについて分析していきますが、その前に、経済規模が大きいということが国家覇権(ヘゲモニー)という観点において、どれほど有利なことなのか解説しておきたいと思います。この原理原則が理解できると、今の日本が置かれている状況をより的確に把握できるからです。

 皆さんよくご存じのように、国の経済規模というのは通常、GDPで表わされます。GDPはその国の経済力を端的に示す指標ですが、GDPが大きいことがそのまま国民の豊かさにつながっているとは限りません。

 GDPの数値が大きくても、人口が多く、1人あたりのGDPの数値が小さければ、国民は豊かな生活を享受できません。1人あたりのGDPはおおよそ国民の平均年収に近い値となりますから、国民生活の豊かさという点では、GDPの絶対値ではなく、1人あたりのGDPを用いて比較するのが適切でしょう。

 2020年における日本人の1人あたりGDPは3万9000ドルでしたが、米国は6万3000ドル世界でもっとも豊かな国のひとつである欧州の小国ルクセンブルグは何と10万ドルを超えています。

 米国は日本の1.5倍ほど豊かということになりますが、米国における大卒社員の初任給は日本の1.5倍から2倍ですから、1人あたりのGDPの違いとほぼ同じです。物価の違いを考慮した購買力平価の為替レートでドル換算しても近い値なので、米国人は日本人の1.5倍、ルクセンブルグに至っては2.5倍豊かな生活を送っていると考えて差し支えありません。
(中略)

 一方、中国の1人あたりGDPは市場レートで日本の約4分の1、購買力平価の為替レートでは約半分です。
 中国は人口が多く、貧しい地方と裕福な都市部の格差が激しいといわれています。中国沿岸部の大都市は、香港に近い経済水準があると考えられますが、香港の1人あたりのGDPは購買力平価のレートで日本の1.4倍もあります。したがって中国は日本並み、あるいはそれ以上に豊かな都市部と貧しい地方の数値が平均され、現在の1人あたりのGDPが算出されていると見てよいでしょう。全体を平均すれば、中国は日本よりも貧しい状況にあることが分かります。
(中略)

 一方で、外交や軍事力、ビジネスなど、対外的な交渉力や国家覇権という点では、1人あたりのGDPではなく、GDPの絶対値がモノを言います。この理屈は、圧倒的な経済力を持つ米国が、世界の中心であったことからも直感的に理解できると思います。

 戦後の国際社会はすべて米国を中心に回ってきたといっても過言ではありません。そして、米国が世界のリーダーとして君臨し続けることができたのは、ひとえにその巨大な経済力のおかげです。米国はGDPの規模において他国を圧倒しており、これが諸外国に対するパワーの源泉になってきたのです。

 一般的に国家が成熟してくると、製造業中心の輸出主導型経済から、個人消費中心の消費主導型経済にシフトしていきます。米国はGDPの約7割が個人消費という典型的な消費主導型経済ですが、米国はその旺盛な購買力を利用して、各国から猛烈な勢いで商品を購入(つまり輸入)してきました。

 戦後の全世界的な貿易の流れを見ると、基本的に日本や中国、そして欧州も米国に対して輸出超過となっています。米国は巨大なブラックホールのように世界中からモノを吸い込んでいるわけですから、各国から見れば米国は最大のお客さんということになります。





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Last updated  2024.10.09 00:07:23
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