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2024.11.04
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『水木しげるのラバウル従軍後記』という本を、手にしたのです。
中を覗いてみると、全編にわたってスケッチ画、漫画、モノクロ写真などが満載で、とにかくビジュアルであり・・・読みやすいのである♪


【水木しげるのラバウル従軍後記】

水木しげる著、中央公論新社、2022年刊

<「BOOK」データベース>より
“トペトロとの50年”は、奇妙な楽しみに満ちた50年だった。豊富なカラーイラストと現地撮影写真で彩る、戦地で出会った生涯の友人との奇妙な交遊録。戦地ラバウルの情景や復員後の日々を描いた貴重な作品をカラーで掲載。ラバウルでの交流を記録した文庫版未収録写真を多数収録。エッセイ「娘よ あれがラバウルの灯だ」、マンガ「トペトロの葬式」を特別収録。

<読む前の大使寸評>
追って記入

rakuten 水木しげるのラバウル従軍後記


トペトロとの再会あたりから、見てみましょう。
p101~105
<トペトロとの再会>
 私は〝軍曹〟たちと別れて、飛行機が出発する4、5時間の間に昔のトペトロたちの村を探すことにした。自動車でその村を探したが、なにしろ30年近くも前のことだから景色も違っていて、勘違いもあったりして3時間ばかりぐるぐる回ったが、一つも手がかりがない。

 運転手は頼みもしないのにやたら帰路に着こうとする。「だめだ」と再三言い、またぐるぐる回って、もうだめかなあと思った時、一人の青年が小道から出てきた。
「このあたりにトペトロという者はいないか」と聞くと、コーフン気味になったので驚いた。

 トペトロの義弟トマリルだった。
 おそらくこの時、偶然会っていなかったら〝トペトロとの50年〟の交換もあり得なかっただろうと思う。

 人生における偶然の出会いほど不思議なものはない。
 トマリルは大きな声で震えながら、
「トペトロはいる!!」
 そして、
「お前、オレを覚えているか、小さいベビーだったが・・・」
「うーむ、覚えていない」
 と言うと、がっかりしたような顔をしたが、トマリルは足早に小道を案内した。
 そしてトペトロのところに案内された。30年前ものことだ。

 そんな昔の有人の訪問は、〝とまどい〟でしかなかったようで、初めは台所に隠れているみたいだった。
 やがて、思い出が蘇ってのだろう。ニコニコして出てきた。
 私も30年前の少年がオッサンになっているので、大いに驚いた。

 1時間くらい経って、お互いに老けたんだということが頭に染み込んできてわかったので、握手して確認し合った。
 まさかの訪問にトペトロたちも驚いていた。
(中略)

 30年近く音信不通だった友人に会ったわけだが、どうしたわけか、水木大先生はその次から何回も行く。
 私自身もよくわからないが、なんとなくいい気分になれるのだ。
 日本ではあまり味わえない王侯気分というやつだろう。
 寝イスに寝ると、トリマルが常にうちわであおいでくれるのだ。

 パパイヤと言えば、人間の頭くらい大きなのをすぐに持って来てくれる。
 それを私は2個も平らげるのだ。
 昔から南方のパパイヤが好きで、毎朝大きなパパイヤを1個食べていた。すなわち、土人を手なずけて毎日届けさせていたのだ。

 向こうのパパイヤは想像を絶するうまさなのだ。
 とにかく生まれつきの南方好きらしい。南方のものは何でもいい、といった感じ。


ラバウルの火山が噴火して(1994年の大噴火)、ラバウルが火山灰に埋もれたあともトペトロと水木さんの交流は続いて50年を超えるわけだが、長くなるので以降省略。


爆撃による負傷から奇跡的な復員あたりについては、ウィキペディアから紹介します。

しばらく経過した1945年の初め頃、他の傷病兵と後方に送られる。傷病兵の間では「役立たずになった兵士はまとめてどこかに捨てられる」との噂も立っており、水木も不安だったが、そんなこともなく辿り着いたのはナマレに設置された野戦病院で、治療の傍ら畑仕事などに駆り出された。

最前線に比べれば安全な土地で死の恐怖が和らぐと、島の原住民であるトライ族(英語版)と交流する余裕ができた。他の兵隊の様に威張らない水木を気に入ったトライ族から歓待を受け、水木の側も配給のタバコをお礼に渡すなどしている内に意気投合し、やがて集落の仲間として受け入れられた。軍規違反を承知で理由を付けてトライ族の集落に通い、トライ族の側も水木が再びマラリアで倒れると食料を持って見舞いに来てくれた。事ある毎に自分を罵倒していた上官の大尉からは「あいつは頭がおかしいぞ」と陰口を叩かれたが、先述の砂原勝己大尉が庇ってくれた。

8月25日、部隊長から「日本のポツダム宣言受諾(条件降伏)」についての訓示を受ける。水木も他の兵士達も意味する所が理解できず「戦争に勝ったのか」との囁きが漏れたが、程なく「戦争に負けた」という話だとわかった。軍内では落胆の声が広がったが水木は「生き延びた!」と思い、戦場で死ななかった事に感無量だった。

カゼル岬にあった連合軍の捕虜収容所に収監されて本国送還の順番を待つ間、トライ族から農地を分けるから一緒に暮らさないかと誘われ、現地除隊して永住することを真剣に考えたこともあった。しかし、砂原から「家族に会ってから決めても遅くないぞ」と助言され、帰国を決意したという。ただし、これについて砂原は「言った記憶がない」とも述懐している。
1946年3月、24歳の時に駆逐艦「雪風」で浦賀港に入港し、ようやく日本へ復員した。


『水木しげるのラバウル従軍後記』1 :トペトロとの出会い





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Last updated  2024.11.04 00:09:18
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