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第二五巻　癩王のテラス/LONG AFTER LOVE

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明石の君　岡邊の宿　明石・姫路・須磨行き６

テーマ：ちいさな旅～お散歩・日帰り・ちょっと１泊(42319)

カテゴリ：源氏物語ゆかりの地めぐり

光源氏の恋の道程を辿るため、濱の館から蔦の細道を通って

…行くためには、いったん車へ戻り、５２号線を北へ進みます。

「御車は、ニなく作りたれども、『所せし』とて、御馬にて出で給ふ。
惟光などばかりを、さぶらはせ給ふ。

（岡邊の宿は）やや遠く入る所なりけり。
道の程も、四方の浦々見わたし給ひて、思ふどち見まほしき
入り江の月影にも、まづ、恋しき人（紫の上）のことを、思ひ出で聞え給ふに、
やがて馬ひきすぎて、おもむきぬべく思す。

と、うち独りごたれ給ふ。
（岡邊の宿は）つくれるさま、木深く、いたき所まさりて、
見所ある住ひなり」

「濱の館」跡から、「岡邊の宿（屋形）」跡に無事に到着。
５２号線から少し西へ入った、川岸の遊歩道沿いにありました。

物語では、大波（津波）を避けて、明石の君が移り住んでいたとされる場所、
さすがに海からは遠く、車で辿り着くまでに３０分ほどかかりましたので、
光源氏が牛車ではなく馬で通ったのは、体裁よりも実際、
都合が良かったのだと思えます。

「月影の　光る君住む　跡とへば　里の屋敷に　志げる蓬生」

いくつか並んでいる石碑のうち、句碑にもなっている大きなものは

「ここが岡邊の宿（岡之屋形）の跡」とした粋な方は
戒光院のあたりを「濱の館」として石碑を建てた人物と同じ、
松平忠国公と思われます。

打ち続く戦乱によって、この辺りが源氏物語の舞台になっていることなど
蓬生の荒れ屋敷に住まう末摘む花のごとく人々から忘れ去られようとしていたとき、

物語の中で、元は受領（知事）として近隣を治めていた明石入道に
明石の藩主である立場を重ねたことも、たくさんの石碑を
ゆかりの地に建てる動機にされたのかもしれません。

江戸時代に創られた源氏物語ゆかりの地、
明石駅周辺の情報はかなり充実していてマップなどもいろいろあるため、
「濱の館」のことは分かり易かったのですが
もう一方の「岡邊の宿」の情報は少なく。

「岡邊の宿」跡のあるあたりは神戸市に入ってしまうので
同じマップ上に載せ難いのかな？と思うのですが
物語をイメージしながら進むには、光源氏の通った
「濱の館」から「岡邊の宿」は、とても重要なルート。

途中の道には、この世界的に有名な物語に登場する恋路、
かつ立身出世を約束する道程を示すものが見当たりませんでしたので、よい形で、
この二つの名所がもっと繋がればいいなと思います。