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第四巻 にっぽん製・潮騒・恋の都


第五巻 女神・沈める滝・幸福号出帆


第六巻 金閣寺/永すぎた春/美徳のよろめき


第七巻 鏡子の家


第八巻 宴のあと/お嬢さん/獣の戯れ


第九巻 愛の疾走/午後の曳航/肉体の学校


第十巻 美しい星/絹と明察


第十一巻 音楽/三島由紀夫レター教室/夜会服


第十二巻 複雑な彼/命売ります


第十三巻 春の雪/奔馬


第十四巻 暁の寺/天人五衰


第十五巻 花山院/みのもの月


第十六巻 世々に残さん/菖蒲前


第十七巻 殉教/花山院


第十八巻 日食/死の島


第十九巻 ラディケの死/志賀寺上人の恋


第二十巻 月澹荘奇譚/孔雀


第二一巻卒塔婆小町/只ほど高いものはない


第二二巻 葵上/鹿鳴館


第二三巻 弱法師/黒蜥蜴


第二四巻 サド侯爵夫人/わが友ヒットラー


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(13)
October 9, 2016
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カテゴリ: 大和しうるわし
自分で理解するために聞き書きをしています。錯誤があればご容赦ください。

田原総一朗さん・・・田 平沢勝栄さん・・・平 大塚耕平さん・・・大 青木理さん・・・青
小林よしのりさん・・・小 水田水脈さん・・・水 高森明勅さん・・・高
竹田恒泰さん・・・竹 萩谷麻衣子さん・・・萩 三浦瑠麗さん・・・三 八木秀次さん・・・八

「ここで皆さんから寄せられたご意見をご紹介します。
『女性天皇に賛成ですか?反対ですか?』という質問に対して、まず賛成の声からご紹介します。

ツイッターのご意見で大阪府の62歳の男性。
『女性天皇に賛成です。象徴天皇となっている今、政治利用されることもないでしょうし、
男女同権を社会広くに根付かせることにも繋がると思います。ちなみに黒田清子さんのように


続いてツイッターのご意見で47歳の女性です。
『女性天皇に賛成です。理由は昔、卑弥呼は女性だった。世の中は男女平等になっているのに
皇室だけ男性とはナンセンスだと思います。皇室典範も時代に合わせるべきです』

続いてもツイッターのご意見です。
『女性天皇に賛成。女性の社会進出が進む中で、女性だから天皇が出来ないということは
男女差別になるのではないでしょうか?生前退位も女性天皇もこれからの
新しい日本の時代に向けて新しい風が吹くことは必要不可欠だと思う。
また違憲だの何だの言っている専門家や議員だけでなく世間の声をもっと聴いて欲しい』

続いてはお電話での意見です。香川県の無職の38歳の男性です。
『女性天皇に賛成。男性だけでなく女性にも活躍して欲しいから』

続いて賛成のご意見、ツイッターからです。

出来るようにした方がいいと思う。前回、今の若い娘に、天皇になる人と結婚する娘は
いないというような発言があったけれども、逆に今の男の方が
女性天皇になる人と結婚するという人はいないと思う』」

「続いて反対論です。女性天皇反対だという意見ですが、ツイッターの意見です。
『女性天皇は悠仁親王が即位されてから考えればいいこと。


『女性天皇は女系天皇の始まりになりかねないから、絶対反対。女系天皇が認められていたら、
天皇家はとっくの昔に藤原家とか豊臣家とかに乗っ取られ、歴史の彼方に埋もれていたと思う』

『国の象徴、国事行為を行う上で女性だと弱く見える。伝統を尊重して欲しい』
『日本独自のものであるから』『現時点でふさわしい女性がいない』

『女性天皇反対。今、時代は女性の活躍、女性都知事や、もしかしたら女性大統領になるかも
しれないと世界の流れとして女性の力や活躍が目立ってきてはいますが、
天皇になるということは比べてはならないくらいの問題の違いがある』という意見」

「続いては、様々なご意見も寄せられていますので、ご紹介してゆきます。
ツイッターのものなんですが 
『男系の女性天皇は認めるけれども、女系天皇は認めない。
長い歴史を通じて受け継がれてきた男系をあくまでも維持するべき。
女系天皇を容認してまで天皇制を続ける必要はない』

続いてのご意見は電話です。北海道の67歳の男性、エンジニアの方です。
『女性天皇に賛成か反対かは、国民に投票してもらえば良い。
憲法学者が話し合っているだけでは駄目だ』

続いてはツィッターのご意見です。
『初めてこの話題に関心を持った。天皇というものは、これまでの人生で
会話に出たこともなく、正直、天皇というものは日本の象徴だという理解しかない。
今回、初めて天皇の言葉を聞いた。私のような人間には聞いたことのない、
生の天皇のお言葉は尊重したいと思った』

続いてもツイッターのご意見です。
『生前退位などの議論以前に、天皇が必要か否かを議論すべき。
実は天皇の伝統文化ではなく、その時々に、様々な形で利用された受動的な存在で
権威を纏った張りぼてみたいなもの。よって天皇を温存することは、
将来、再び天皇が政治利用されて国民の幸福と安全が脅かされる危険性を持つ』」

「小林よしのりさんに質問が来ているので、ちょっとお答えいただきたいんですが、
大阪の24歳の会社員の方からの質問ですが
『小林さんが「天皇論」を書いた頃と今、天皇に対する考えは変わっているのか聞きたい』」

小「変わっていますね。それはやっぱり、こういうことがありますよ。
まず、わしは今の天皇陛下が即位される時っていうのはね、わしの描いた
『おぼっちゃまくん』が、このテレビ朝日でアニメ化される年なんですよ。

その時は本当に自分のテレビアニメが始まるかどうかの方が心配でしたよ。
自粛ムードがあまりにも強くてね、果たしてそんな時に、わしのギャグ漫画なんかが
本当に放送されるのだろうかっていうくらいの感覚しかなかった。そっちの方が心配だった。

それが徐々に、やっぱり天皇陛下の積み重ねていかれる人徳を見て、徐々に変化していくのね。
尊敬心みたいなものまで持てるようになったのは、この方の人徳のおかげだっていう風に
考えたわけ。

決してね、最初から血脈で男系のみだと、どこかに鎮座ましておられれば、
それでいいとかね、御簾の奥におられればいいとかっていう風な段階だと、わしはね、
そういう天皇陛下に対して、敬愛の念も何も持たなかっただろうね。
やっぱり変化してゆくんですよ、どんどん」

高「『天皇は天皇、わしはわし』っていうね」

小「そうそう。そこから始まったわけだから。だからホリエモンなんかが
全く天皇に関心を持ってないという様子を見たら、わしは本当によくわかる、その気持ちは。
それはね、変化してゆくの、ずーっと見ながらね。だから天皇陛下の人生そのものを賭けて、
国民の一人である小林よしのりの考え方を変えてしまったのよ。

だから次の皇太子殿下がどのようなことになるのかとかね、あるいは上皇となられた
天皇陛下が今後どのような行動をされるのか、それによってもまた、
わしは変わってゆくかもしれない。時代と共に徐々に変わっていってしまいますよ。
だからどこか一定のところで決められるというものじゃないんですよ、
天皇陛下の人生をどう評価するかっていうのは。

だから公務をずっとやってこられた天皇陛下の人生そのものを否定するような、
そういう特別立法なり、有識者会議の結果がそういうものになったら、本当に気の毒だと思う。
わしは天皇が神とか、現人神とか、そんな風に思っているわけじゃないからね。
人であって、人徳であると思っている。例えば八木さんなんかは、
天皇の資格は能力じゃないって言いますよね?」

八「(肯く)」

小「天皇陛下だって最初から人徳を示すことは出来ませんよ。人生を賭けて示すんだから。
ね?それによって変わってゆくわけ、国民の側も。っていうことがあるわけだから、
一緒に変わってゆくんですよ」

竹「小林さんも『天皇論』の1でですね、『人格は天皇の即位の資格ではない』と
明記されているじゃないですか。じゃあ何なのかというと万世一系だと。
脈々と継承されてきたものだというとこですよね。

多分、天皇の尊さというのは、色んな人、色んな思いだと思うんですよ。
天皇の人格関係なしに、歴史がこうだから尊重するという人もいれば、
陛下の御姿を見て、ああ素晴らしいなあと思う人もいる。
色々な理由があると思うんですね。その中で核を見たときに、
天皇って何なんだといったときに、人格という人もいると思うし、血統だと思う人もいる。
今、小林さんはどういう風に考えていらしゃいます?」

小「まず、わしは吉田松陰の言った万葉一統とかね、帯状の家系図の中で
色々と繋がってきたという部分から、細い一本の糸で繋がってきたという風ではないと
思っているわけね。それから、血統としては勿論、血統原理というものがなければ
天皇制というのは存在してないからね、これは有り得ないです。

けれども、男系とか女系とかいうものは、伝統ではないという風に思っている。
そういうものを固定する必要はないと思っています。それはやっぱり、
時代によって少しずつ変化していったとしても、エートス、魂の部分は残る。
これが本来のもので、何でもそうでしょ?

例えば老舗のお店とか、あるいは歌舞伎とかいったって、時代に合わせて
どんどん変化してゆきますよね?そうやらないと残らないからなんですよね。

歌舞伎だって猿之助がスーパー歌舞伎やったりね、勘九郎が浅草で
下町のあたりに小屋作ってやったり、そういうことを常に常に繰り返していっているよね、
ワンピースをやったりとかしてますよ。そうやっても核として残るものがある。
これが伝統であって、伝統っていうのは、ある意味、バランス感覚なんですよ」

竹「そうすると、その伝統の中でも、変えていいものと変えちゃいけないものの
判断基準が多分違うんですよね。絶対、男系じゃないと駄目だっていう人と、
いや、男系は変えてもいいと言う人。変えちゃいけないものとの境の問題だと思うんですよ」

小「ここでもう1つ問題があるんですよ。つまりね、それを一体、誰が決めるのかって
言ったときに、要するに相対的になって、みんな考え方が違ってきますね?

だから皇后陛下がおっしゃったことがありましたよ。
つまり、この伝統の変化っていうものを変える資格があるのは、御一人、天皇陛下だけですと。
我々家族は全然、これにタッチすることは出来ないんです、ていうことを
皇后陛下はおっしゃいました。あれが正しいと思うんですよ。

この天皇制というものに関しては、やはり皇位を継承する方、天皇陛下、あるいは皇太子殿下、
このあたりの会議で変えてゆくっていうことになるんですよ。それを我々国民が、
忖度し、拝聴し、それで政府として機能して天皇陛下の御意向をそのまま実現しようとすれば、
それで伝統っていうのは繋がってゆくんですよ」

竹「少なくとも天皇陛下が、男系か女系かなんていうのを
明言なさったことはないじゃないですか」

小「またそれを言うか」

高「その変化の尺度を測れるのは皇位継承に繋がる人たちだけだっていう」

小「今までの政治に表されてきた色々なアプローチを見ればね、
女性天皇も女系天皇も認められているっていうことは、本当に間違いないですよ」

竹「それは小林さんのお考えで、私はそうは見ないですけども。
それは見解が違いますよ、それは」

田「青木さん、青木さんは日本で天皇ってどういう存在だと思う?」

青「どういう存在、難しいけれど」

田「青木さんは、いてもいなくてもいいと言ってるんでしょ?」

青「いや僕は、基本的にはね、さっき話が出た通り、ああいう形でね、人権をある種、
奪われているという言い方をするのか、保留されている人っていうのは、
僕は基本的にいるべきではないと思っているので。
だから僕は、言葉が適格かどうかは別として、解放してあげるべきだっていう意味でいうと、
天皇制っていうのは、あるべきではないと思っている。

ただね、いま僕、小林さんの話を聴いて、ちょっと一個だけ引っかかったのは、
天皇がこう言ったんだったら、その通りにしてあげればいいんだっていうのは、僕は、
ある種の危険性を孕んでいていてね、むしろ天皇を尊崇している人たちが
サボっているんだけれども、やっぱりね、皇室典範にきちんと書くべきですよ、
もし天皇制を維持するのであればですよ。例えば女系天皇はどうするのか、
あるいは生前退位の問題はどうするのかっていうことを国民的な議論をして」

小「皇室典範に書くっていうのは、勿論のことなんですよ。ただね、
承招必謹っていう感覚が無かったら非常に危ないことが起こるんですよ。
それは何でかって言ったら、これは大御心じゃないって言えるわけですね。

つまりご聖断があったと、戦争は止めだと言ったって、いや、それは大御心じゃない、
これは宮内庁か何処かが陰謀を働いているんだとかね。
あるいは自分の大御心は、男系という血統だけだという風に言っているんですよ、
男系派っていうのはね。

今の天皇というのは器に過ぎないと。Y染色体、男系血脈を入れる器に過ぎないから、
だから個人としての天皇というのは何にも尊敬する必要はない。
大御心は血脈だという風に言っているでしょう?」

竹「歴史的な器に大変尊敬出来る方が、今のっていらっしゃるわけですよ。
器に過ぎないなんて思ってませんよ」

小「器の方が大事でしょ?」

竹「いや両方大切ですよ」

小「(竹田さんを指して)器の方が大事なんですよ。器というか、血脈の方が大事でしょ?」

八「器があってこそじゃないですか。小林さん、血統だって言われましたよね。
血統があって、その上でですね、今の天皇陛下のようにお務めを勤勉になさっていると。
そこに我々、心が響くわけじゃないですか、国民はその」

小「誰でもいいってわけでもないでしょ、だから」

高「今回の今上陛下のね、お言葉を拝すると、じゃあ何故血脈が血筋が尊く思われてきたのか。
何故、天照大神に由来すると、神武天皇以来と言われる、この血統が尊貴にして
神聖な血筋であるというコンセンサスが何故、国内に成り立ったのか。
そこをですね、もう一回問い返せということをおっしゃってると」

田「ここをね、一番聞きたいの。実は打ち合わせでも言ったんだけど、
例えば日本の天下を獲ったね、源頼朝とか、あるいは足利尊氏とか、織田信長。
普通は天下を獲るってことは、天下一位になるわけね。

日本は天下を獲ると必ず、その上に大して力がない、金がない、勿論、軍隊も持っていない、
そういう天皇を上におく、必ず。これ何でしょうね?
これ竹田さん、何だと思う?血統じゃないと思うよ、きっと」

竹「勿論、血統はあるんですよ」

田「いや、あるけど、源頼朝やね、織田信長がね、天皇の血統を重んじてね、
上においたとは思えない」

竹「これはやはりですね、天皇が国民の幸せを祈るという」

田「国民なんか、どうでもいいんだよ」

竹「いや、そういう天皇のお考えというのは、みんなのためのものだって、
これを否定する人はいないわけですよ。みんなが幸せであって欲しいという
日々の祈りがあるわけですから」

田「そんなこと、織田信長が考えてるわけない」

竹「みんなが尊敬してるから、それを潰したらですね」

田「みんながって、国民は天皇なんて知らないでしょ」

竹「知ってますよ」

田「知ってません、知ってません」

竹「よくそれ言われるんですけれど、例えば江戸時代に天皇・・・」

田「江戸時代は知っててもね、戦国時代なんか知りませんよ」

竹「元号を変える度にですね、やっぱり天皇が元号を変えるって意識されるわけですよ」

田「三浦さん、何だと思う?」

三「それはですね、権力と権威を分断することによって、この国が血みどろの
内戦状態に常時陥ることを回避したと思うんですよ。権力と権威を分断するっていうのは、
我々からしてもですよ、近代的な人間になった戦後の日本国民からしても、
やはり権力の分立っていう概念。

例えば、首相がいるような政府と国会を分けるというような感覚とも
合致しているんですけれども、この場合は、もっと大きなところで意味があって、
日本というのは村社会の集まりなんですよね。村社会の集まりの中で、
それぞれが自治をやっていて上手くいっているんですよ。会社の人間はずーっと会社に尽くして。

そのような日本を統合するというのは、1つは選挙で国会で総理を選ぶというのはあるでしょう。
でもやはり精神的にはですね、田舎だけを見る限りにおいては、都会は違うんですけれども、
田舎だけを見る限りにおいては、やはり天皇というものが、
すごく大きな存在になっているんですよ。

それは、変わっちゃうかもしれないんですよ?だけれども、この村村を統合する
何らかのほわっとした象徴というようなものを、いまのところ、
とても我々は価値があるものだと、特に田舎では思われている。
そのような日本国民の統合っていうものを、結構大事だと思うのか、
それともそんなの要らないよっていう都会派でやるのか。

多分、人口的にはですね、6:4とかで割れると思うんですよ。
6:4で割れたときに、本当に保守の人たちが、例えば悠仁様の皇后になる人に、
とても醜いような生殖医療を強いて、閉じ籠めてやっていたときに、
多分、自分自身ですね、田舎に存在していた温かいものを壊す、
首を絞める結果になるんじゃないかと思っているんですよ。

私は都会の人間ですから、別に日々ですね、天皇陛下について考えたりしませんよ。
だけれども、結局のところ、6:4で人口比が分かれてるんだから、
6割の人間がこのまま天皇制を続けたいと思うのであれば、大事にするんであれば、
やはり小林よしのりさんがおっしゃるように変わらなければいけない。
首を絞めてるんですよ、今は、そのすごくすごく、ニッチな議論をすることによってね」

田「高森さん、さっきの僕の素朴な疑問。
何で頼朝やね、信長や、家康が、何で自分の上に天皇をおいたのか」

高「これ2つの点から説明できると思うんですね。1つは今まで議論が出ている
皇統という皇室の血筋。それからもう1つは天皇という地位、皇位ですね。

順番に説明すると、私自身が問題を投げかけた、何で皇室の血筋は尊いと
思われてきたのかというと、その血筋を受け継ぐ人たちが常にフェアに、
そして国民たちのために、人々のために、あるいは豪族たちのために、振る舞うということを
代々続けてきた。それを実感するということを繰り返した。

初期の頃は天皇といっても、連続殺人、第21代の雄略天皇はライバルを
みんな殺しているわけですよね。天皇が代わる度に血みどろの戦いを繰り返してきた。
そういうのが段々と歳月を経てですね、洗練されてゆく中で。
最初の頃は有無を言わさぬ力があったでしょう。しかしそれが繰り返されてゆく中で、
やはりこの人たちは違うなと、思わせるものを代々積み重ねてきた結果、
皇統は神聖だという観念を生み出した。

そしてその血筋を受け継ぐ人たちが、古代の日本が形成されてゆくときに、
公けの権力というものが初めて形成されるわけです。
豪族たちの権力ではない。それらを全て束ねた公けの権力が形成されるときに、
この地位に就くのは、この血筋の人たちでなければならないと、
この血筋の人たちであれば個別の豪族たちの権力を規制してしまってもいいと、
ブレーキをかけてもいいと、こういう仕組みを作った。
これが最初に登場する天皇という位置なんですね。

天皇というのは有力者たちの対立抗争の上に最初から位置付けた。
それにふさわしい血筋を選んだ。それが続いてきてますから、織田信長にしてもですね、
その他諸々、いわば力自慢で上がってきてるだけなんですよ。その力自慢で上がってきて、
国内がそれで束ねられるかというと、とても束ねられない。

そうすると今までですね、有力者が皆、コンセンサスを持って自分の上に位置付けて、
そこからオーソライズ(権威付け)されることで、自分の権力を正当化するという、
仕組みを継承することが。

だって信長だって結局は、本能寺で殺されないで最後まで国内統一戦争を続けていったら
どうなるか、分かりませんけれども、それがつまずいたということは、
やはり暴力一本やりでいけば、限界がある。暴力だけでは日本列島という規模のスケールを
束ねることは出来ないという1つの、いいサンプルだと思うんですね」

田「青木さんは、どう思う?」

青「何がですか?」

田「何で信長や、家康や、そういう連中が天皇なんてものを上においたのかという」

青「知らないですよ、僕は。歴史学者ではないので興味ない☆」

高「もう1つ言わせていただけると、武家勢力で一番強かったのは江戸幕府なんですよ。
家康が関ケ原で勝って、そして大阪の陣で豊臣を滅ぼして、まさに天下人になったわけですよ。
天下人になったときに、側近の天海僧正が、もう天皇は伊勢の神主にしてしまえ、という提案を
したんですね。これは恐らく唯一、天皇という地位が失われかねない、最高権力者の側近、
ブレーンがそういう提案をして、形だけの聖なる存在だけど、社会的影響力のない統治には
一切、関わりのない位置にすれば、徳川家が君主の地位に上ることができる。

という提案をしましたけれど、それに対して、藤堂高虎、まさに地元、津の伊勢の藩主ですよ、
藤堂が、そんなことをやったら、諸大名が全部、反乱を起こすよと、また戦国に戻るよと、
いうことを言って、家康は結局、藤堂の意見を取り入れて、天海の提案を退けたと。
ここによく表れていると思うんです。武家権力の限界。力だけでおさえると」

竹「結局、自分が天皇を無き者にして、天皇と同じような地位に上りつめたりしたら、
日本中、群雄割拠になる。天皇から認められれば、簡単に日本中を治められるって、
そういうことですよね?」

小「合理的にいったら、要するにイラク戦争っていうのは、
天皇がいないから無茶苦茶になっちゃうわけよ」

田「中国がね、新しい権力が常に古い権力を倒してるんだね」

竹「王朝交代のことですよね」

田「そう、王朝交代」

高「先ほど、三浦さんが言ったように権威と権力の分離が出来ないんですよ、中国は」

竹「王朝交代っていうのは、要するに中国の原理、猿山の原理で、戦争で勝った奴が王になる、
皇帝になる。でもこれは統治の正当性がないんですよね。みんな従うのは、
王の人徳に惚れているわけでもなければ、ビジョンに共鳴しているわけでもない。
戦争に勝ったから、みんな従っているだけですよね」

高「力のある間だけ従っている」

竹「ですよね。だから何かというと、すぐ王朝が代わる。でも日本の場合は、
戦争で勝ち上がった者が天皇になったというのではなくて、やはり話し合いで国が統合した、
3世紀か4世紀に統一国家になったときも話し合いだったと考古学でも
分かっていることなんで。ちょっと国の成立の背景が全然、違うんですよ」

田「CMをはさんで、杉田さん、いきます」

杉「はい」

CM

続きます。






「TV談義の日記」





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Last updated  July 2, 2022 12:28:54 PM
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