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ご縁があってHYTRONのHY-1269という真空管を入手したので紹介します。今回のHY1269はどちらもロット番号「7-48」です。1948年7週のロットという意味でしょうか...。以前、HY69という真空管を紹介しましたが、似たような名前ではありますが、単にHY69の12V管とは云えないようです。しかし、特性的には同一で無いものの、どことなく類似はしています。それについては、測定によって明らかになります。まず見た目を比較して見ましょう。左はHY69、右はHY1269です。プレートの造りは微妙に異なりますが、大きさは同じです。どちらもプレート損失30Wです。HY69という真空管同様にキャビトラップ(Cavi-trap)が設けられています。規格に関してはFrankさんの資料室のHY1269規格表が参考になります。因みにHY69は、Frankさんの資料室のHY69規格表を参照ください。規格表を見てまず気がつくのはフィラメントのピン配置です。4番がサプレッサ以外にフィラメントの中点に接続されています。この点に関しては、1番5番をショートしてあげると6V点火になるということです。(電流は倍になります)ということで、専用アダプタを自作しました。オクタル2番・・・UY1番(フィラメント)5番(フィラメント)オクタル3番・・・キャップ(プレート)オクタル4番・・・UY2番(スクリーングリッド)オクタル5番・・・UY3番(コントロールグリッド)オクタル7番・・・UY4番(フィラメント中心とビーム電極)オクタル8番・・・接続無し(※)このように12Vのフィラメントを折り返し並列にすることで6V点火にしています。折り返し側(12Vフィラメントの中心とサプレッサーグリッド)をオクタルの7番に接続。※TU-8200R(魔改造品)は左右独立した6Vスイッチング電源を内蔵し、7番8番はショートしています。(因みに、HY69は807用のアダプタがそのまま使えます)そして、HY1269ではフィラメントの電力が倍増しています。(HY69の6V1.6Aに対してHY1269は6V3.2A)これはパワフルなサウンドが期待出来ますね!!フィラメント電力が高い方が力強い音がするという幻想をよくいだきがちですが、何の根拠もありません。と、私の心の中の「創〇の館」が申しております。では、三結特性etracerで特性を測定しましょう。Ep=280Vで60mA流れるところで測定します。【1本目】Ef=6.0V, If=3.07AEp=280VEg1=-21.3VIp+Ig2=59.76mAIg2=3.82mArp=1457Ωgm=4244μSμ=6.2V/V【2本目】Ef=6.0V, If=3.15AEp=280VEg1=-21.0VIp+Ig2=59.36mAIg2=3.39mArp=1449Ωgm=4642μSμ=6.7V/V綺麗なカーブです。因みにフィラメントですが、6V3.2Aの規格ですが、実測は3.1A前後という感じです。(中古だから少し痩せたのでしょうか??)HY69と同条件(三結Ep=280V,Ip+Ig=60mA)比べたとき、・バイアスは6Vほど深い・rpは500Ωほど低い・gmは900μSほど高い・μは0.2V/Vほど低い以上のことから「まぁ類似はしているけど若干異なるね」という印象です。特にバイアスに関しては気をつけたいと思いますし、なによりフィラメント電圧/電流とピン配置は異なりますので注意したいところです。早速TU-8200R(魔改造品)に挿してみました。前述のとおり、左右独立した6Vスイッチング電源を内蔵し、7番8番はショートしています。普通のTU-8200Rでは、直熱管を使用できません。フィラメントを灯すと、明るいし熱いです。消費電力18Wを超えるフィラメントの逞しさと美しさ...。スイッチング電源が4Aの容量なので、かなり厳しい動作。かといってTU-8200Rのケースに収まる大きさは限られています。もう少しだけですが電流が流せるスイッチング電源を購入したので、近々改造予定です。どうかケースにおさまりますように...。因みにTU-8200Rのグリッドリーク抵抗は100kΩなので、直熱管にとっては高すぎる値です。割と際どい動作ですが、TU-8200Rはポリスイッチ(リセッタブルヒューズ)がプレート回路に入っているので、過大電流に対しては切断する動作になりますので、それを頼ろうかと。最終的にはグリッドリーク抵抗ではなく、数百ヘンリーあるグリッドチョークを使うべきかなと思いますが、今のところ壊れていないからヨシとしましょう。なぜ人類は危険を承知で挑もうとするのか?ということをふと思う今日この頃です。
Aug 30, 2023
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VALVOのAD1という真空管を紹介します。VALVOですが、バルブ形状がヒョロッとした形ではありません。RWNっぽい形状です。(個人的にはこちらの形状のほうが好みです)バルブのガラスは緑っぽいです。(あまり良い材質ではない感じ?)AD1は製造メーカーや時代によってバルブ形状やガラスの材質が結構異なるということでしょうか...。(PHILIPSは随分と細身らしいですし)薄い電極構造。(ピンボケしました)フィラメントは4点吊り。グリッドに放熱板が付いていますね。4V0.95Aで仄暗く点灯し、暗いところで覗き込まないと点灯しているかわからないです。(写真がピンボケしました)規格は真空管(Electron tube) 規格表データベース「Philips AD1」が参考になると思います。AD1族に関しては、EU Valve「AD1の各種同等管」とひま人の館「欧州の真空管(AD1属)」が参考になります。etracerで特性をみていきましょう。Ep230Vで50mA流れるところ。Efは4Vと3.8Vの2点で測定します。【1本目】Ef=4.0V, If=0.95AEp=230VEg=-44.2VIp=49.70mArp=720Ωgm5488μSμ=4.0V/VEf=3.8V, If=0.92AEp=230VEg=44.0VIp=49.96rp=730Ωgm5462μSμ=4.0V/V【2本目】Ef=4.0V, If=0.96AEp=230VEg=45.3VIp=50.05mArp=760Ωgm4980μSμ=3.8V/VEf=3.8V, If=0.93AEp=230VEg=45.1VIp=49.94mArp=782Ωgm4905μSμ=3.8V/Vrpの実測値はPX4よりずっと低いです。ですので、230V50mA3.5kΩが良さそうです。250V掛けるなら45mA5kΩでしょうか。寿命を優先するなら、もう少し電流が低くてもいいかもしれません。そして直線性が良好です。前段の癖がもろに出るんじゃないかというくらい。そういえば、EU Valve「Edの各種同等管他」では「EdはAD1の改良版」と記してあります。また別の説では、当時の真空管は少しずつアップデートしているので同じ時期のAD1とEDは基本的に同じという話もあります。どちらにせよ、超高価なEdと類似とまではいきませんが特性は近いらしいので、私たちの世代としてはEdのジェネリック品という感じでしょうか。(開発時期は逆ですが、価格的に...)
Aug 27, 2023
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今回も「失敗しちゃったかな」感が満載の真空管です。12JZ8と17JZ8という真空管を紹介します。上がELEVAMの12JZ8、下が日立の17JZ8です。12ピンのコンパクトロンです。昨年だったか、2本で1000~2000円台だったので、試しに買ってみた真空管です。実はゴリピカリ氏の「キューブくん」を見て興味を持ちました。規格は、真空管(Electron tube) 規格表データベース「GE 6JZ8」を参照ください。ヒーターの規格は以下の通り。12と17意外に6と13が存在します。 6JZ8 6.3V1.2A12JZ8 12.5V 0.6A13JZ8 12.7V 0.6A17JZ8 16.8V 0.45A随分と大食らいな球ですね。12JZ8をetracerで特性を測定してみましょう。なお、第二ユニットの三結では170Vの30mA、五結では150Vの35mAで測定しました。Eh=P12.6V, Ih=0.59A1本しか測定しませんでしたが、トランスレス用の球なので、電流は揃っているはずです。【第一ユニット】Ep=150VEg1-5.2VIp=3.95mArp=9936Ωgm=2136μSμ=21.2V/V6FQ7の片側のようなユニットでしょうか...そんな印象です。【第二ユニット】三結特性Ep=170VEg1=-21.2VIp+Ig2=29.92mAIg2=2.85mArp=1276Ωgm=4389μSμ=5.6V/V【第二ユニット】五極(ビーム)接続特性Ep=150VEg2=110VEg1=-10.5VIp=34.74mAIg2=1.72mArp=17086Ωgm=5773μSμ=98.6V/V第二ユニットは三結にすると前段の増幅率が全く足りません。これは、ゴリピカリ氏の「キューブくん」の作例に従うのが無難そうです。第二ユニットの三結、五結ともに直線性は良くないです。これは垂直偏向用途の球なので敢えて直線性を悪く設計しています。これについては日立評論1961年12月号の「垂直偏向出力管の動作解析」が参考になると思いますが、私はサッパリわかりません。(汗)さて、この手の球の「直線性の悪さ」ですが、おんにょの真空管オーディオ「89/38シングルアンプ・完成」では直線性の悪い球を使いつつも概ね高評価です。なので、直線性が悪さが必ずしも音質の悪さにはならないということでしょうか。因みに、有名な3033AやR120も、上の方は寝てきていて整ったIpカーブとは言いがたいですし..。この球の最大の魅力は「大食らいなところ」でしょうか。たとえば6L6でもRFTの6L6は普通の6L6の0.9Aに対して1.1Aの大食らいで何となく魅力を感じるじゃないですか。ああいう感覚です。手持ちに小さな3.5kΩのトランスがあるので、Ep150Vだと丁度良い感じかと思います。+Bはトランスの電圧降下と自己バイアスぶん込みで165~170Vくらいでしょうか。12V電源と安い昇圧ユニットで作るのが無難そうです。
Aug 22, 2023
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QQC04/15という真空管を紹介します。5895という番号でも知られています。規格は真空管(Electron tube) 規格表データベースの「QQC04/15規格表」を参照願います。見た目はEL34っぽいですが、EL34よりずっと小さいです。フィラメントを灯すと電極の隙間からぼんやりと見えます。この真空管に関しては、球球コレクション「プアマンズPP3/250アンプの構想」でも述べられています。Eg2maxは250Vですが、Epを超えることはない三結であれば、280VはOKかなと。プレートは板切れが両側に1枚ずつ(計2枚)ですので、プレート損失12Wでも際どいかもしれませんが、三結の場合はIp+Ig2ですので250V39mA流したとしてそのうちの8mAはIg2です。つまりIpのみでは31mAですので、まぁ大丈夫かなと。etracerで三結特性を測定しましょう。Ep=250V,Ip=39mAでタップリながします。【1本目】製造番号H15-415Ef=6.3V, If=0.65AEp=250VEg=-20.5VIp+Ig2=38.94mAIg2=6.87mArp=1528Ωgm=4970μSμ=7.6V/V【2本目】製造番号H15-419Ef=6.3V, If=0.64AEp=250VEg=-20.4VIp+Ig2=38.99mAIg2=8.28mArp=1452Ωgm=5381μSμ=7.8V/Vとても素直で綺麗なIpカーブですね。美しいです。球球コレクション「プアマンズPP3/250アンプの構想」で書かれていましたが、手持ちのPP3/250にどことなく近似していますが、QQC04/15のほうがバイアスが浅くrpは若干高めのようです。gmも高く、総じて高感度な球という印象です。しかし、この綺麗なIpカーブはまさにプアマンズPP3/250と言っても過言ではないです。6.3V管ですが、中点を使えば3.15V点火が可能です。(4Vから抵抗で落とす手もありますね)専用機にするなら、美音を意識して7kΩのトランスでも良さそうです。(出力は1W切りますが)細身な球ですので、こぢんまりとし小出力アンプに仕立てるのも良さそうですね。
Aug 13, 2023
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なんでこんな球を買っちゃったんだろう...実は去年の9月か10月頃に、とあるお店で買ってしまったのです。しかも4本。その場の勢いで。フランス製のTM15という真空管。ピッカピカのゲッターが飛んでいます。CHAUFFAGEと書いてありますが、これはメーカーの名前でしょうか...。(後日談:フィラメントの意味で、下に書かれている電圧を指定しているようです)管面に5.3Vと書いてあります。謎のマーク。謎だらけです。唯一、RadiomuseumのTM15の情報のみあるくらいです。元になっている真空管はE.52という型番で、同じくRadiomuseumのE52の情報に掲載されています。ここから見えてきたのは、・フィラメントは5.3Vの1.2Aか1.4A・最大出力5Wの出力管(たぶん高周波の送信管)・E52が設計されたのは1920年代(TM15はもっと後だと思われます)ということです。とにかくデータが全くありません。プレート損失は見た目から1.5W程度というところでしょう。何せ薄っぺらい裸のニッケルを筒状にしただけのプレートですし、常に電流を流しっぱなしにするA級動作なら低目にみておいたほうがよいでしょう。etracerに掛けてみました。因みにフィラメントは5V程度掛けて1.4A前後でした。この時代の物はタングステンかも。プレート損失のラインをとりあえず1.5Wに設定し、IP特性を見てみましょう。Ep150V程度では動作領域が物凄く狭いです。とりあえず高目の電圧高目の電流でクイックスキャンしてみます。250V掛けたとして-7Vのときに、Ip=6.58mArp=17538Ωgm=655μSμ=11.5V/Vとなりました。この状態では0.1Wいかなさそうです。この球は送信管らしいので、プラス領域まで使ってB級動作をさせるものかもしれません。試しにグリッドのプラス領域を調べてみました。そもそも、本当にこの子のグリッドにプラス掛けてよいのかわかりませんが、私の心の中の現場猫が「ヨシ!」と言ったので、+5V,+10V,15Vを掛けてIPカーブを描いてみました。ちょっとズレて表示されているるような気がしますが、まぁいいでしょう。200V掛けたとして-2Vのときに、Ip=7.3mArp=16450Ωgm=772μSμ=12.7V/Vグリッド電圧マイナス側と少々プラス側まで使うとして、200Vくらいで7mAくらい流す級動作とすれば実用的な出力が得られそうですが、本当にプラスに振っていいのかわからない真空管なので、一寸怖いです。それにプレート電圧の規定が全くわかりません。オーディオ用途では使いづらそうな(オーディオアンプとして実用レベルにするのが困難な)謎球です。毎回毎回、「なんでこんな球を買っちゃったんだろう」って思います。反省しているところです。
Aug 12, 2023
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オークションを通じて前オーナーから東芝の211Aを譲っていただきました。何たって東芝です。入手出来てとても嬉しいです。この日本独特のバルブ形状が良いですね。NECなどもこの形状です。以前、Full music(中国)の「211という真空管」でオキサイドコートフィラメントの211を紹介しましたが、今回はトリタンのものです。因みにこの211Aはプレート損失は75Wです。大きなカーボンプレートの211(100W)とは異なりますので、プレート損失をオーバーしない運用が必要です。フィラメント点灯。明るい!!etracerで特性を測定してみましょう。Ep700Vでたっぷり75mA流れるところで測定します。【1本目】Ef=10.0V, If=3.22AEp=700V Eg=-25.0VIp=74.41mArp=3142Ωgm=3827μSμ=12.0V/V【2本目】Ef=10.0V, If=3.39AEp=700V Eg=-26.2VIp=74.90mArp=3299Ωgm=3557μSμ=11.7V/V211ならではのとても綺麗なカーブですね。しかし高rpですので8~10kΩのトランスが必要ですし、B電圧もある程度の高さは必要です。前オーナーは「大がかりで重いアンプになる為、手放すことを決意した」とのことでした。確かに本当に使うなら大がかりになりますが、出力1~3Wのミニワッターとして使うならもっと小規模でアンプが作れるかもしれません。大きなアンプは重くなってしまい、私のような年寄りには厳しいです。RES964シングルアンプや42シングルアンプは軽いので、アンプを週単位で変える私にとってはホント使い勝手が良いです。
Aug 10, 2023
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MAZDAのPP5/400という真空管を、オークションを通じ譲って頂きました。プリントはMarconi PX25ですが、見ての通り中身はMAZDAのPP5/400です。PP5/400はPX25の同等管ですが、構造的に全く同等(特性が瓜二つという意味)と云えるのかどうか不明です。PX25(私は所有していませんが)はどちらかと言えばボックスプレートっぽく、PP5/400は薄く平たい構造です。表面のプリントBVAMARCONIPHONE CO.LTD.MarconiPX25BRITISH MADE形状的にはMarconiがMazdaからOEM供給を受けて販売していたのでしょうか。Marconi-Osram Valveの造りとは異なります。トップに「PP5/400 (BVA) MAZDA MADE IN ENGLAND」と薄く残っているというらしいのですが、よく見えませんでした。確かに印字の痕跡はあります。プレーとは艶消し黒。グリッドの支柱に固定されているシールド形状の電極は黒です。このシールド状電極には銀色のものも存在しますので、製造時期の違いではないかと思います。このシールド形状の電極は、同等管のPX25では見受けられません。この構造はMazda PP3/250でも見受けられます。Mazda P.650には付いていませんでした。PP5/400とPP3/250特有の構造なのでしょうか。色々とネットを調べましたが、この電極構造に関する記述は見当たりませんでした。プレートに被さるのではなくフィラメントに被さる構造なので、ひょっとしたら、グリッドとフィラメント間の静電容量をもたせるためかもしれません。そうすると終段のドライブ側に入れる発振止めの抵抗値が大きく影響しそうな気もします。PP5/400やPP3/250をお持ちの皆さんはどうお考えでしょうか??そういえば、Daという真空管では、グリッドと接続されている板がプレートと平行に立っていました。Daではプレートとグリッドの間に板。PP5/400ではフィラメントとグリッドの間に板がある感じですね...。謎です。謎板です。規格は、真空管(Electron tube) 規格表データベース「PP5/400」とThe Valve Museumの「PP5/400」にあります。フィラメント点灯。4V2Aなので、点灯しているのがわかりやすいです。etracerで特性を測定してみましょう。実動作を想定してEp350VのIp50mAで測ってみます。一応、4Vと3.8Vの2つのフィラメント電圧を見ます。【1本目】Ef=4.0V, If=1.91AEp=350VEg=-26.4VIp=50.23mArp=1493Ωgm=5613μSμ=8.4V/VEf=3.8V, If=1.83AEp=350VEg=-26.3VIp=50.21mArp=1513Ωgm=5540μSμ=8.4V/V【2本目】Ef=4.0V, If=1.85AEp=350VEg=-28.0VIp=49.98mArp=1458Ωgm=5566μSμ=8.1V/VEf=3.8V, If=1.77AEp=350VEg=-27.8VIp=49.74mArp=1497Ωgm=5458μSμ=8.2V/V綺麗なカーブを描いています。直線性も悪くはありません。rpは1.5kΩ前後ですので出力トランスは5kΩ~7kΩが適正かと思います。50と同じくらいのrpであるのにバイアスは浅くドライブ電圧も低く済みます。欧州管は感度が高い印象を受けます。
Aug 8, 2023
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知人からDA60という真空管を譲っていただきましたので紹介します。プレートは小さく感じますが、両サイドの支持フレームも使って放熱するのでしょう。2本とも造りは同じですが、製造ロットは異なります。規格は、真空管(Electron tube) 規格表データベース「DA30,DA60」とThe Valve museum「MZ05-60」が参考になります。因みにMZ05-60はフィラメントがオキサイドコートなので6V1.7Aと低電力です。DA60のその他の情報に関しては、ひま人の館「英国の電力増幅管」(3極管や、EU Valve「DA60系」や、Valves world「DA60トランス結合シングルアンプ」が参考になります。フィラメントは2点吊り。フィラメントを点灯してみるとわかるのですが、Λ型のパラレルで点火しているようです。片方が切れても多少の性能が出るように作ってあるのかもしれません。etracerで特性を測定しましょう。Ep380Vでタップリと100mAあたりを測ってみましょうか。【2本目】製造番号(?)521Ef=6.0V, If=4.02AEp=380VEg=-80.4VIp=100.00mArp=999Ωgm=2847μSμ=2.8V/V【2本目】製造番号(?)9774Ef=6.0V, If=3.76AEp=380VEg=-89.2VIp=100.06mArp=1043Ωgm=2462μSμ=2.6V/VIpカーブが-160Vレンジまでしか表示されないのは、etracerがEg=-160~170Vまでしか対応していないからです。DA60はバイアスが大変深い真空管であることがわかりました。gmも低く、どことなく設計が古い球という印象です。(決して球が疲れているわけではない)300B並のrpなので、3.5~5kΩのトランスが合います。私たちは漠然と「トリタンの球=rpが高い」イメージを持っているので、このバイアスの深さとrpの低さにはビックリです。280Vで-30Vだと120mAくらい流れますので、グリッド電圧が-30VまでのTU-8200R(魔改造品)では対応できないですし、搭載しているのが6V4Aのスイッチング電源なので点灯さえできません。Ipの立ち上がりかたを見たときに、最適なアイドリング電流はEp380Vであれば80~100mAが良さそうです。一寸流しすぎかもしれませんが、あまり低いとカーブの寝ている悪いところを使ってしまい、直線性も悪くなります。かといって120mAも流すと出力トランスのほうが厳しくなり低域も落ちてしまいます。丁度良いのは380Vで80~100mAかなと。当然ながら出力トランスも大きなものが必要です。よくあるヒータートランスみたいに小さい出力トランスとかは絶対ダメです。高透磁率で繊細なトランスよりも、タップリ電流を流しても低音が痩せない造りのトランスが有利に思えます。ところで、Eg-90Vで100mA流そうとするとB電圧は380+90で470Vです。そしてバイアス用の抵抗は900Ω。I^2Rで計算して9Wを消費しますので、かなり電力容量のある抵抗器にする必要があります。DA60、なかなか手強いという印象です。しかし、たとえばEp=300VでIp=80~100mAとするするなら、Egは-60V前後(B電圧としては360Vくらい)で2Wは余裕で出ます。バイアスが60Vくらいでしたら、ドライブも楽ですよね。2Wといえば全く不自由ない実用的な出力です。(小音量で静かに聴く私は0.3Wもあれば十分です)使い方としては勿体ないかもしれませんが、今回の測定から「そういう付き合い方のほうが良さそう」という印象を持ちました。
Aug 6, 2023
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RAYTHEONのER52という真空管を紹介します。カーラジオの出力管として使われていたようです。Radiomuseumの「ER52」で紹介されています。Frankさんの規格表書庫にはありませんでした。とにかく情報がありません。4極菅のようです、謎球です。譲って頂いた方から規格を聞いたところ、6.3V 0.3AEp=110VEg=0VIp43mARL=2kΩPo=1.4Wμ=5.2V/Vとのこと。A2級(※)動作です。1.4Wは規格上そうであって、実際は1W以下かな。プレート損失は不明ですが、110Vで43mA動作が出来るということは、最大5Wと考えても良さそうです。とりあえずそう仮定します。(三結でIg2の損失も足されますので大丈夫かと)226や227程度の小さなバルブに電極がキッチリ入っていますので、プレートが大きく感じますが、実際はそれほど大きくないです。。フィラメントは2点吊り。6.3V0.3Aなので、12Aや71Aよりフィラメント電力が大きいですね。etracerで三結特性を測定します。高圧側が持ち上がりますので、少し控えめの5.8Vで点火してみます。少し無理を掛けた150Vで28mAあたりを見てみましょう。【1本目】Ef=5.8V, If=0.28AEp=150VEg1=-12.3Ip+Ig2=28.04mAIg2=3.62mArp=1757Ωgm=2810Ωμ=4.9V/V【2本目】Ef=5.8V, If=0.28AEp=150VEg1=-11.3Ip+Ig2=28.01AIg2=3.58mArp=1998Ωgm=2540Ωμ=5.1V/Vマイナス領域だけで使うなら0.2W以下です。一寸危ない考えですが、そもそも構造的に180Vはいけそうという前提で考えれば、そういう動作をさせると0.3Wは余裕で出ます。寿命的に問題ありかもしれませんが、誰もこの球のそういう使い方での寿命測定(Ipとgmの経時変化ロギング)をしているわけでもなく。因みにEp150Vで少しだけポジティブ領域にはみ出るくらいなら0.5Wが容易に得られます。ただ、そこまで複雑に作るだけの価値があるかといえば...微妙です。※A2級という呼称について、「A2級という呼称は存在しない」と書かれているブログを発見しました。(その文体から大変気難しい印象でしたのでリンクは貼りません)確かに最近になっての事かもしれませんが、海外でもClass-A2という呼称は使われているようですので、私たちオーディオ素人は動作がイメージしやすい「A2級」という呼称を使ってよい気もしますが、如何でしょうか...。
Aug 5, 2023
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47という真空管を紹介します。左からTUNGSRAMの47、INDUSTORO(商社ブランド)の47、MajesticのG-47です。47は6F6族の祖先と云われています。47や42をはじめとする6F6族といわれる系統に関しては、情熱の真空管の6F6ファミリーについての記事が興味深いです。TUNGSRAMを斜め上から見ます。管内面はカーボン系の塗装がされていて、サポートの板がマイカでなくセラミックのようで、中が見えません。スクリーングリッドに放熱板あり。INDUSTOROの47。これは商社ブランドで、前オーナーが云うにはRAYTHEONではないかとのこと。RAYTHEONの4ピラーのボックスプレートが欲しいですが...我慢我慢。MajesticのG-47。MajesticはGrigsby-Grunow社のラジオブランドらしいです。なので、製造はどこでしょうね...。RCAとかでしょうか。MajesicよりINDUSTROのほうが厚みのある構造です。ところで47のプレート損失は11Wもあるのでしょうか?規格表には全く載っていません。46が10Wといわれていますから、それくらいでしょうか。プレート損失10Wでスクリーングリッド損失3W程度とみておけば良さそうでしょうか...。etracerで特性を測定しましょう。Ip+Ig2が30mAとなるところで測定します。【TUNGSRAM 1本目】Ef=2.5V, If=1.60AEg1=-19.5Vのとき、Ip+Ig2=29.92mAIg2=4.95mArp=2555Ωgm=2819μSμ=7.2V/V【TUNGSRAM 2本目】Ef=2.5V, If=1.60AEg1=-19.1Vのとき、Ip+Ig2=29.88mAIg2=5.56mArp=2590Ωgm=2969μSμ=7.7V/V結構g2が効く球です。【INDUSTRO 1本目】1959年17週Ef=2.5V, If=1.82AEg1=-15.9Vのとき、Ip+Ig2=29.97mAIg2=4.01mArp=2629Ωgm=3254μSμ=8.6V/V【INDUSTRO 2本目】1959年17週Ef=2.5V, If=1.78AEg1=-15.9Vのとき、Ip+Ig2=30.05mAIg2=3.92mArp=2645Ωgm=3178μSμ=8.4V/V【Majesic 1本目】Ef=2.5V, If=1.34AEg1=-13.8Vのとき、Ip+Ig2=29.82mAIg2=5.78mArp=3678Ωgm=2020μSμ=7.4V/V【Majesic 2本目】Ef=2.5V, If=1.30AEg1=9.2Vのとき、Ip+Ig2=29.37mAIg2=5.45mArp=5554Ωgm=1363μSμ=7.6V/Vこれは結構エミ減ですね...。泣きそうです。悔しいので2.5→2.8Vに上げて試してみます。Ef=2.8V, If=1.41AEg1=-14.9Vのとき、Ip+Ig2=30.07mAIg2=5.48mArp=3512Ωgm=2243μSμ=7.8V/Vだいたい良い値までになりました。こういうエミ減の球は、Ip、Ig2が安定しない印象です。そして幾らIpカーブを立たせてもgmはそんなに良好になりません。まぁ、仕方が無いですね。諦めましょう。各社それぞれの特長があって、なかなか楽しいです。参考までにTENの42のIp特性を載せておきます。なるほど47は6F6族の祖先なので、42とも似通っています。17は多分良い音がするとは思いますが、無理に高いお金を出してまで使いたい球か?みんなにオススメしたいか?といえば、ちょっと微妙です。
Aug 3, 2023
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東芝の8506という真空管を紹介します。見ての通りセラミックボディの球です。上から、プレート・グリッド・カソード・ヒーターと、順番に並んでいるのがわかります。(上の写真は今回使っているやつではなく中古でエミ減の球です)テレビの中継機器などに使われていたようですが、規格などは不明です。ケンさんのホームページの「ライトハウス管物語」や、日本の古いラジオの「戦後の新しいスタイルの球」で紹介されています。この小さな体で6.3V0.4Aを消費しますので、単体で動作させると物凄く発熱します。専用のソケットが放熱機能を持っていて、ガッツリ咥えて熱を逃がすのだと思います。ただ、残念なことに、専用ソケットは見つかりませんでしたそこでLED用と思わしき放熱器を熱伝導性のある接着剤で貼り付けることにしました。私はサンハヤトの放熱用シリコン接着剤を使いました。サンハヤト|Sunhayato 1液型室温硬化タイプ固まる放熱用シリコン SCV22価格:1,144円(税込、送料別) (2023/8/1時点) 楽天で購入 無理矢理半田付けして完成。こういう使い方は賛否両論あると思いますが、どうせこのまま保管しておいてもセラミックと金属のガラクタになる運命です。ド素人の下手な使い方でも使い切ったほうが楽しいです。etracerで特性を測ってみましょう。Ip=130Vで4mA流れるところをみますが、感度が高い球なのでIpを合わせきれませんでした。(Egが0.1V単位でしか変えられないので)【1本目】Ef=6.3V, If=0.40AEp=130VEg=-1.1VIp=4.03mArp=7941Ωgm=12228μSμ=97.1V/V【2本目】Ef=6.3V, If=0.40AEp=130VEg=-1.2VIp=4.69mArp=8257Ωgm=11387μSμ=94.0V/Vかなり高感度な球だからでしょうか、バラツキはあります。そもそも新品か中古かわらかなないオークション購入品ですので、まぁ電流が流れればOKです。お遊びでやってることですし。因みにプレートに貼り付けた放熱器は効果が高い印象です。たぶん8506単体ですと、すぐに熱でダメになってしまうと思います。TUBE-01Jに挿したところ、1.7V前後でしたので2mA程度です。終段は大昔ジャンク(確か100~200円)で買った6BQ5なので、管の内壁が結構焼けてます。動いたので、これでOKとします。謎球の謎が少しずつ解けてくると、本当に面白いです。皆さんもぜひ謎球にチャレンジしてみてください。
Aug 1, 2023
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