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東芝の7591という真空管を持ってまして、ある日、TU-8200R(魔改造品)に7591を挿してTwitterに載せたところ、「ピン違いの6L6という感じでしょうか?」という返信を頂きました。確かにプレート損失が19~20W程度ですから、6L6クラスの球と云えそうです。6L6との違いはどこら辺でしょうか。etracerを通して探ってみようと思います。企画に関しては真空管(Electron tube) 規格表データベースの7591の資料が参考になります。etracerで測定しましょう。見た目は6L6よりコンパクトに感じます。Ipカーブはどうでしょう。感度が良いですね。7591の電気特性は、Ep=280VでEg1=-8.0Vのとき、Ip(+Ig2)=60.88mAIg=8.46mArp=1553Ωgm=12101μSμ=18.8V/Vという結果になりました。因みにTENの6L6は、Ep=280VでEg1=-20Vのとき、Ip(+Ig2)=62.10mAIg=2.52mArp=1331Ωgm=6241μSμ=8.3V/Vという結果です。この測定から、6L6とプレート損失は同じですが、性格は全く違う真空管であることがわかりました。6L6と比べて7591は、・バイアスは半分以下の電圧で丁度良い。・内部抵抗は200Ωほど高い。・gmは倍くらい高い。・μも倍くらい高い。つまり、7591は、「6L6並のパワーで、さほど高増幅率でない前段でも簡単に動作が出来る」という、特にコスト重視したい場合にはもってこいの近代的な真空管であると言えましょう。
Oct 13, 2022
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いままで「DA30オジサンには絶対なりたくない」と思っていましたが...とうとうDA30オジサンになってしまいました。ヤフオクで懇意にしているコレクターから断捨離アイテムとして譲っていただき、私が大切に引き継ぐことにしました。今回紹介するのは4極菅を内部で三極管接続した有名なドーム型の新型DA30ではなく、古い茄子型です。なので、ギリギリDA30オジサンではないかも。PX25は茄子型をよく見かけますが、DA30はあまり見かけません。生産数が少ないのでしょうか。それとも一部の富裕層コレクターが大量に持っているのでしょうか。なぜそこまでDA30を避けていたのかについては、こちらにPX25オジサンやDA30オジサンになりたくなかった経緯が書いてあります。外観を見ていきましょう。Marconi(マルコーニ)のラベルが貼ってあります。「THE MARCONIPHONE CO LTD BVA Marconi」と印字されています。Marconi-Osram Valveの工場で製造された物でしょう。Marconi-Osram Valveについては、EU Valveの「M.O.Valve」に詳細が参考になりす。因みに、随分前に紹介した手持ちのPP5/400はMarconiと印字されていますが製造はMazdaのようですね。そういえば、DA30の印字がありません。裸のままだと判別がつかないですね。腰回りもしっかりした造りです。4点吊りフィラメント。点灯するとこのような感じ。真っ暗にしても僅かな明るさで仄暗く光るくらいですので、見栄え重視な人には物足りないかも。規格は、The Valve Museum「DA30」が参考になります。etracerで特性を測定しましょう。320V60mAのところで測定します。【1本目】Ef=4.0V, If=2.02AEp=320VEg=-81.9VIp=60.03mArp=723Ωgm=4216μSμ=3.0V/VEf=3.8V, If=1.91AEp=320VEg=-81.8VIp=59.73mArp=728Ωgm=4209μSμ=3.1V/V【2本目】Ef=4.0V, If=1.98AEp=320VEg=-83.1VIp=60.21mArp=759Ωgm=3916μSμ=3.0V/VEf=3.8V, If=1.89AEp=320VEg=-82.8VIp=60.05mArp=770Ωgm=3867μSμ=3.0V/Vフィラメント電圧を0.2V低くしてもびくともしないエミッションの良さです。Ep=320VのEg=-82VでIp=60mA流し5kΩ負荷で4.2W出ます。十分過ぎますね。 3.5kΩで5Wはとれますが直線性の悪いところを使ってしまうので、敢えて5kΩが良い印象です。パワーを求めないので有ればもう少しプレート電圧を下げても十分に大音量だと思います。ネットで回路例を見ていますと400V近い電圧を掛けていますが、そこまでパワーは要らないかな。バイアスが深く高いドライブ電圧が必要なので、無闇に大出力を求めるのは現実的ではない気もします。綺麗で良好な状態のDA30を入手できて良かったです。譲って頂いた方に感謝です。
Aug 23, 2024
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TUNGSRAMのP27/500という真空管を紹介します。以前紹介したP27/500の後期型ですが、構造は全く違います。以前紹介したP27/500は英国の工場あたりからのOEM供給のようでしたが、今回はTUNGSRAMらしいP28/500に近い印象。しかし、それともまた異なります。真空管(Electron tube) 規格表データベース「P27/500」規格表の写真の4箇所の切れ目のあるマイカが付いているタイプとも異なります。放熱と補強のためでしょうか。しっかりしたリブが通っています。しっかりした造りです。プレートの引き回しは耐圧を上げるために遠回りにしている印象です。トップ側から見ますと、フィラメントは4点吊り。グリッドに放熱板がありますね。下側にもグリッドの放熱板があります。フィラメントは4点吊りというだけでなくM型が2つという感じですね。etracerで特性を測定ましょう。【1本目】Ef=4.0V, If=2.22AEp=350VEg=-25.5VIp=50.41mArp=1272Ωgm=7175μSμ=9.1V/VEf=3.8V, If=2.13AEp=350VEg=-25.5VIp=49.74mArp=1283Ωgm=7102μSμ=9.1V/V【2本目】Ef=4.0V, If=2.22AEp=350VEg=-25.2VIp=50.16mArp=1308Ωgm=6976μSμ=9.1V/VEf=3.8V, If=2.13AEp=350VEg=-25.2VIp=49.73mArp=1304Ωgm=6876μSμ=9.0V/Vこの特性からPX25同等であることがわかります。Ipカーブを見ると、Efを0.2V下げたくらいではビクともしない優秀なエミッションですね。惚れ惚れします。普通にPX25を買えばいいじゃないかと言われそうですが、異なるメーカの異なる構造には魅力があります。
Jul 14, 2024
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RCAの50という真空管を紹介します。CATTLEA(カトレア)の50シングルアンプに付いていた真空管です。造りはしっかりしていますね。さすがです。昔は300Bに次ぐ人気の三極管でしたが、今はどうなのでしょうか。フィラメントは渋いオレンジ色。欧州管に比べると明るい色味ですね。etracerで特性を測定しましょう。高目の400Vを掛けて50mAが流れるところを測ります。フィラメント電圧は7.5Vと7.0Vの2点を見ます。【1本目】Ef=7.5V, If=1.21AEp=400VEg=-66.9VIp=50.08mArp=1708Ωgm=2234μSμ=3.8V/VEf=7.0V, If=1.14AEp=400VEg=-66.8VIp=49.98mArp=1736Ωgm=2207μSμ=3.8V/V【2本目】Ef=7.5V, If=1.24AEp=400VEg=-66.9VIp=50.05mArp=1718Ωgm=2235μSμ=3.8V/VEf=7.0V, If=1.16AEp=400VEg=-66.7VIp=49.87mArp=1758Ωgm=2175μSμ=3.8V/Vこの特性を見る限りは、前オーナーは殆ど使っていない印象です。そこそこ数台のアンプをお持ちの方ということは知っているので、たぶん年間で取り替えながらローテーションしていたものと思われます。ちょうど私のような感じですね。バルブも大きく、魅力的な真空管です。
Aug 29, 2024
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遙か遠い遠い未来...もしそこが80が枯渇した世界だったら...我々人類はどうするべきか...ここに12Fという整流管があります。いや、ありすぎるだろ。12Fは日本独自規格の整流管です。5V0.5Aのフィラメント、300Vで40mAまでしか流せませんが6C6と6Z-P1の組み合わせのような小型ラジオなら十分に使えます。そして4球ラジオの80を挿すソケットに12Fを挿されて「とりあえず動くから」と過酷な労働をされるような悲運の整流管ともいえます。(笑)12Fはrpが低い(パービアンスが高い傾向?)ものの、扱える電流が非常に低いです。電圧も300V迄と、80の350Vより低いです。しかし12Fのフィラメントが5V0.5Aということは4本で80と丁度同じフィラメント電流になります。ならば、12Fを4本使えば80に近づけるのではないか?そこで、以下のような回路でアダプタを作ることにしました。各12Fのプレート側に360Ωを挿入することで大体80と似通った特性になります。あと、念のため、保護用にダイオードを入れてあります。いやもう、普通にダイオード整流でいいじゃん。って思いますよね?ええ、私もそう思いました。リードのシャーシを使いました。安くて良いですよね。穴を開けた後に後悔したのですが...この配置は真空管の間隔が狭すぎます。均等に配置すべきでした。とりあえず20本くらいある12Fから4本をセレクト。青ドン。DIAMONDメトロDAN12Fは様々なブランドから出ていたようですね。では、etracerで特性を測定しましょう。そして測定結果です。5.0V2.05AEp=53V144.29mA, 142.48mA287Ω 284Ω12Fのボケ具合でも変わってくるとは思いますが、まずまずの特性になりました。(私が買うのは350円とか高くて1000円ません。購入した球の中には当然ながらくたびれた球も混在しています)比較用にHikariの80を測定しました。5.0V1.85AEp=53VIp=156.45mA, 151.54mArp=237Ω, 217Ω80と遜色ない特性になったと思います。42シングルアンプに繋げてみました。6ZDH3Aはニッタ。42は双葉です。実験としては成功だと思います。これは王道とはいえないですし、正しい使い方でもありません。でも、楽しいんですよ。私はこれで十分に楽しいです。
Feb 10, 2025
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今年の1月頃から使っているNobsoundのプリ、音量調節用として購入しましたが、音は悪くは無いのですが、少しバックグラウンドにノイズがあり「まぁ安いアンプだからこんなもんでしょう」という音でした。このアンプは、オペアンプとトランジスタの組み合わせで回路が構成されていて、オペアンプには5534が使われています。オペアンプ部は交換可能なようにソケットになってます。これは交換したくなりますよね。ということで、マルツのディスクリートオペアンプ【TROP-006MF】を購入してきました。2個で8180円です。部品としてはやや高価ですね...。ピン配置は、5534と同じシングルOPアンプの配置です。スルーレートは14V/μsなので5534とほぼ同じ。問題なく差し替えられそうです。交換前のオペアンプ5534の状態で、オシロでノイズを確認してみたところ....5534、発振してるよね?23.875MHzで発振していました。これは酷い。特性の異なるOPアンプなら発振も収まるかもしれないとマルツのオペアンプを挿してみてみたところ...全く発振していません。何となくバックグランドノイズを感じていたのは、5534の発振が原因だったのかもしれません。もちろん23MHzは聴けませんが、可聴周波数に干渉してノイズっぽさになるのでしょう。TROP-006MFは仕様としてはユニティゲインでの使用が可能となっています。5532はユニティゲインでも使えますが、5534は利得3以上の指定があります。Nobsoundのプリアンプでは回路はわかりませんがオペアンプの近くに10pFのコンデンサがありあります。これが位相補償と思われますが、配線を追わないとダメそうです。新しいオペアンプは下の写真のように綺麗に収まっています。ディスクリートオペアンプ交換で、このプリアンプが本領を発揮した感じです。というか、「Nobsoundさん、こんな設計で大丈夫なの?」と言いたいです。因みにこのプリアンプ、緑基板と青基板のバージョンがあり、青基板は2SK389というものになっています。こちらは回路が異なるので交換できないですね。
Jun 13, 2021
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フランスRT社のF410。後付された名前でBF25という別名があります・規格に関してはFrankさんの資料室にあるF410の規格表(その1)とFrankさんの資料室にあるF410の規格表(その2)が参考になると思います。PX25クラスのプレートを持っていますが、電気的特性は全く別です。rpがが2.4kΩと高く、450~550Vで動作させ、7~10kΩのトランスが必要です。いわゆる3.5~5kΩのトランスが使えるPX25やDA30等に比べるとやや特殊な真空管ともいえます。プレート損失は25Wありますが、最大プレート電圧は550Vに限られているので、ちょっと使いにくい面もあります。600Vくらいあるといいんですけどね。フィラメントは2本吊りのM型。4V2Aです。4本吊りのような凝った構造ではありませんが、そのぶんフィラメントには色味があり「灯っている」感があります。etracerで調べてみましょう。1本目Ep=550VでEg=-35.0Vのとき、Ip=38.16mArp=2400Ωgm=4581μSμ=11V/V2本目Ep=550VでEg=-32.2V(1本目のIpに合わせました)のとき、Ip=38.51mArp=2433Ωgm=4514μSμ=11V/VPX25等と共有させるには、出力トランスを例えばソフトンの9kΩ/5kΩのトランスで1次タップを切り替えて使うなど...。そして、B電圧を高圧/低圧に切り替えられるようにすれば...という感じでしょうか。
Nov 27, 2022
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TELEFUNKENのEL152という真空管を紹介します。4本は手持ち、2本は知人から譲ってもらいました。規格に関しては、Frankさんの資料室の「EL152」規格表が参考になります。しっかりした構造です。わくわくしますね!ただ、見ての通りの特殊なピン配置です。そこで、これに使えるソケットとオクタルピンの袴を買ってきて、アダプタを自作することにしました。因みにソケットはシャーシネジ止めの耳が付いていますので、グラインダーにセラミック用の刃を取り付けてカットしました。白いセラミック(?)の袴は直径が大きいのでピッタリです。あとで「失敗した!」と思ったのはシールドのピンをカソードに接続しなかったことです。まぁいいか、今回は測定で発振しなければ。ダメなら作り直せば良いし...。さっそくソケットアダプタに真空管を挿してみました。ヒーターを点灯するとこのような感じ。真空管の向きからすると横から見る感じ。では、etracerで三結特性を測定してみましょう。280Vで70mAたっぷり流れるところを見ます。【1本目】0093Eh=6.3V, Ih=1.47AEp=280VEg1=-42.1VIp+Ig2=70.24mAIg2=1.86mArp=941Ωgm=4875μSμ=4.6V/V【2本目】0446Eh=6.3V, Ih=1.47AEp=280VEg1=-41.9VIp+Ig2=70.46mAIg2=1.77mArp=929Ωgm=4909μSμ=4.6V/V【3本目】0449Eh=6.3V, Ih=1.49AEp=280VEg1=-42.5VIp+Ig2=70.14mAIg2=1.78mArp=939Ωgm=4847μSμ=4.6V/V【4本目】0451Eh=6.3V, Ih=1.49AEp=280VEg1=-41.9VIp+Ig2=70.25mAIg2=1.92mArp=952Ωgm=4804μSμ=4.6V/V【5本目】0454Eh=6.3V, Ih=1.49AEp=280VEg1=-38.7VIp+Ig2=70.35mAIg2=1.88mArp=982Ωgm=5017μSμ=4.9V/V【6本目】2825Eh=6.3V, Ih=1.42AEp=280VEg1=-38.3VIp+Ig2=70.05mAIg2=1.77mArp=999Ωgm=4798μSμ=4.8V/Vハイgm管であることがわかります。バラツキはありますが、3ペア揃う感じです。そして三結ではrpが低くなります。きっと力強い音が...。直線性もそれほど悪いと感じません。これはいい音がしそうですね!三結では-40V以上のバイアス電圧を必要としますので、TU-8200Rでは厳しいですね。プレート損失は30Wで6L6クラスですが、6L6互換のような動作はしません。ここは何か工夫が要りそうです。
Dec 15, 2023
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HYTRONの5516という真空管を紹介します。昔、訳もわからずオークションで買って放置したままでした。大きさは12GB7より小さいかもってくらい小柄です。箱はCBS-HYTRONです。(CBS傘下に入った頃ですね)送信感らしいシールド。下側もよく見えないですね。規格はFrankさんの資料室の「5516」規格表が参考になります。フィラメントは6.0V指定です。6.3Vではありません。そしてプレート損失は15W。規格表ではオーディオ用途の情報も書いてあります。製作記事も見つけました。kagatadahabamara「5516差動プッシュプルアンプの製作」というのがあります。6146に近いピンアサインですが...私のようにDC点火で7番8番1番をショートしている(フィラメント片側とカソードを共有し、かつ6L6も6CA7のどちらでも使える)回路ですと6146用アダプタを使った場合はフィラメント片側に6Vが掛かってしまいます。というわけで専用アダプタを作りました。この場合、ビーム電極の電位が+3Vになりますが、Ep、Eg2に比べて限りなく0Vに近いので問題ないと思われます。さっそくetracerで三結特性を測定しましょう。(ビーム管ですが、私が三結が好きなので省略します)私のアンプに合わせて、280Vで40mAになるところを探っていきます。(Eg2が規格オーバーですが自己責任で。多分Eg2はEp以下なのでG2損失的には大丈夫かと思われます。)【1本目】Ef=6.0V, If=0.69AEp=280VEg1=-14.9VIp+Ig2=39.72mAIg2=2.48mArp=2628Ωgm=3571μSμ=9.4V/V【2本目】Ef=6.0V, If=0.69AEp=280VEg1=-19.6VIp+Ig2=40.00mAIg2=1.74mArp=1809Ωgm=4585μSμ=8.3V/V【3本目】Ef=6.0V, If=0.69AEp=280VEg1=-17.8VIp+Ig2=40.00mAIg2=2.06mArp=1878Ωgm=4476μSμ=8.4V/V【4本目】Ef=6.0V, If=0.69AEp=280VEg1=-15.9VIp+Ig2=29.78mAIg2=1.75mArp=3221Ωgm=1824μSμ=9.1V/V結構バラつきの多い真空管という印象です。(新品ではない可能性もありますが)2本目と3本目、1本目と4本目が似ているのでこれがペアになりそうです。TU-8200R(魔改造品)に挿します。私のTU-8200は電流検出抵抗を変更してIpを40mAにしていますのでプレート損失12Wくらいの球がギリギリ使えます。rpが高目の真空管なのでロードラインは結構立ちます。なので後ろのスピーカーインピーダンス切り替えを4Ωにして、1次側を仮想的に7kΩ以上にするのが良いかと。それから、高rpな球でEg1=0VのIpカーブは相当寝ています。ということは280VのEpでの動作では出力が殆どとれません。でも高能率のスピーカーで静かに音楽を聴くなら十分だと思います。以前も書きましたが、私のTU-8200Rは6V4Aスイッチング電源を2基内蔵しており、オクタルソケットの2番にDC+6.0V、7番にDC0Vの直流を供給し、7番と8番は接続しています。(TU-8200Rの仕様として8番と1番もショートしてあります)普通のTU-8200Rは左右のヒーターが共通ですので直熱管は絶対挿さないで下さい。そういう改造が出来る人向けです。6.3Vではなく6.0Vにするのは、6.0V指定の真空管のためです。6.3V管を挿しても-5%の範囲に入ります。上側のシールドの隙間からフィラメントが見えます。う、うん、いい音で鳴っていますよ。とてもいいです!!(実は違いがわからない)
Jan 2, 2024
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307Aという真空管ですが、昨年、秋葉原の真空管ショップで訳もわからず勢いでSYLVANIAの307Aを4本購入してしまいました。規格については、真空管(Electron tube) 規格表データベースの307Aの資料と、真空管(Electron tube) 規格表データベースの4307Aの資料が参考になります。フィラメントは5.5Vの1Aという半端なもので、6.3Vの回路に抵抗を入れるか、5Vの回路でフィラメント温度を若干落として使うかのどちらかになります。(5VのSW電源でしたらVRで調整すれば良いかと)プレートの形状などは2E22の弟分という感じです。10Wそこそこのプレート損失なので、あまりパワーは出せません。アンプ製作記事は、Pete Millett's DIY Audio pagesの「307A push-pull amp」の記事が参考になりそうです。このアンプではスクリーングリッドだけでなくサプレッサーグリッドもプレートに繋げた三結を採用しています。ではetracerで調べてみましょう。三結特性は、Ep=300VでEg1=-27Vのとき、Ip(+Ig2)=46.66mAIg2=2.96mArp=1550Ωgm=4327μSμ=6.7V/Vサプレッサーグリッドもスクリーンに繋げると...Ep=300VでEg1=-33V(6Vほど深くした)のとき、Ip(+Ig2+Ig3)=46.27mAIg2+Ig3=10.08mArp=1415Ωgm=4107μSμ=5.8V/Vgmは殆ど変わりませんが、rpが130Ωほど低くなり、μも少し低くなりました。バイアスは若干深めが最適となります。無帰還でしたら、こちらの接続のほうが有利と思われます。さきほどリンクで紹介したPete Millett氏は、こちらを採用しています。参考までに五結特性を、4本持ってますので、Millett氏のように無帰還の三結プッシュプルで使うとよさそうかな。
Oct 10, 2022
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TUNGSRAMのP27/500という真空管を紹介します。製造時期が異なるためか、ゲッターを飛ばす方向が180度異なりますが中身は同じです。先日ご紹介しましたF704という真空管のように元箱入りで同ロットのMINTコンディションは奇跡に近いと思いますので、古典管はピッタリ揃えるのは困難であると私は思っています。(故障せず十分なエミッションを保っている古典管は年々減り続けていますし、一部のコレクターの放出にのみ頼っている状態です)最初はこの印字に気付きませんでした。MADE IN ENGLANDです。つまり、Marconi-Osram Valve(MOV)などの真空管工業会(BVA)に関連する工場で製造された可能性がとても高いわけです。それはPX25を絶対買わない主義の私にとっては割とショックです。(笑)でもPX25と書いていないからセーフです。フィラメントは4点吊り。フィラメント点灯。etracerで特性を測定しましょう。320V48mAくらいになるよう測ります。Efは4.0Vと3.8Vの2点です。【1本目】TUNGSRAMの印字ありEf=4.0V, If=1.98AEp=350VEg=-27.3VIp=48.08mArp=1365Ωgm=6270μSμ=8.6V/VEf=3.8V, If=1.95AEp=350VEg=-27.3VIp=47.71mArp=1380Ωgm=6203μSμ=8.6V/V大変コンディションが良いです。【2本目】印字消えEf=4.0V, If=1.91AEp=350VEg=-25.3VIp=48.08mArp=1578Ωgm=6015μSμ=9.5V/VEf=3.8V, If=1.83AEp=350VEg=-24.3VIp=48.05mArp=1784Ωgm=5293μSμ=9.4V/V2本目はエミッションがやや低目ですが、実用範囲内です。たぶん実動作では殆ど聞き分けられないかと。因みに、何をもって「やや低いと感じる」かですが... ・Ipカーブの大電流域が下にしなりかけている ・Efを少し下げただけでgmが大きく低下するということをを「これは低いかも」と私は判断していますぱっと見でおおよその傾向を察知出来るetracerはとても便利です。PX25同等管や類似管にいえることですが、大変高感度です。バイアスを深くせず内部抵抗もさほど高くないので扱いやすいと思います。
Oct 8, 2023
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英国製のVT25という真空管を紹介します。足(バナナピン)が外れ掛かっているものを安く入手しました。(あとでハンダで適当に直しました)「VT25」...とはいえ、見た目からわかりますように10族のVT25ではありません。プレート損失は36Wで、10族とは構造も特性も全く異なる真空管です。ゆえに10族と区別するため「DET25」と言われる人も多いです。フィラメントは2点吊り。しっかりした造りです。フィラメントはオキサイドコートで、トリタンではありません。仄暗く光ります。規格はThe Valeve Museum「CV1025」が参考になります。ピン配置はRadiomuseumの「DET25」が参考になりますが、規格表にはIpカーブなどの情報が全くありませんね。プレート損失36Wで、rpは高い、最大1200V迄ということはわかりました。ここから何となく見えてくるのは「大きな10族っぽい何か」...でしょうか。雑すぎる表現ですが(笑)とりあえずetracerで特性を測定しましょう。600Vかけて40mAほど流れるところで測定します。※グラフの名前が10/E7312となっていますが10E/7312が正解です【1本目】Ef=7.5V, If=1.43AEp=600VEg=-22.6VIp=39.96mArp=4952Ωgm=2344μSμ=11.6V/VEf=7.0V, If=1.36AEp=600VEg=-22.6VIp=39.87mArp=5055Ωgm=2261μSμ=11.4V/V【2本目】Ef=7.5V, If=1.40AEp=600VEg=-23.7VIp=40.16mArp=4717Ωgm=2475μSμ=11.7V/VEf=7.0V, If=1.32AEp=600VEg=-23.7VIp=40.00mArp=4806Ωgm=2397μSμ=11.5V/Vまず気がついたのは、フィラメントに関しては規格表と全然異なるということです。1.4Aですね。誤差ではありません。こういう仕様としか考えられません。皆さんのお手持ちは如何でしょうか?rpは高いですね。14kΩを負荷にする感じです。感度も高くない球なので、Epを高くしてあげないと1Wを出すのさえ苦しいという難物です。RV218よりは感度が良いのでまだマシです。こういう球は「0.3Wも出ればいいや」と割り切って使った方がよいかもしれません。
Mar 30, 2024
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手持ちに6384と6AR6いう真空管があります。6384は6AR6の上位互換のようです。左からRaytheonの6AR6(角プレート)、TUNG-SOLの6AR6WA(角プレート)、TUNG-SOLの6AR6(楕円プレート)、そしてお題のCETRONの6384(青印字)、CETRONの6384(赤印字)です。CETRON以外にBendix製とTUNG-SOL製もあるようですが私は持っていません。CETRONの青印字と赤印字は中身は同じに見えます。単に製造年の違いかと思います。写真右の楕円プレートは角プレートより製造時期が古いらしいです。左のRaytheonの6AR6(角プレート)と真ん中のTUNG-SOLの6AR6WA(角プレート)は、瓜二つです。ロット番号の印字もそっくりです。これはOEMかもしれませんね...。ちなみに6AR6WAは、規格表によりますとプレート損失が21Wになっており、2W程のアップらしいです。こちらが6384の三結特性です。プレート損失は6AR6より高く、30Wあります。6384はパルス変調用途でも使えるような球ですが、オーディオ用途のように常に半分は電流を流しっぱなしという用途では、この小柄な球で損失一杯で使うと発熱が間に合わないように私は感じています。見た目が良いですよね。ごっつい造りで重量もあります。こちらは6AR6の三結特性です。プレート損失は19Wです。基本的に6384と変わらないカーブを描きますが、若干直線性が悪いかな。見た目は5881っぽいですね。因みに参考まで、JJ製6L6GCの三結特性です。6L6GCはプレート損失に余裕がありますので、280Vを掛けたときは-18~-20Vくらいで丁度良い感じでしょうか。(あまり流しすぎると出力トランスの直流磁化が酷くなっちゃいます)それにしても、JJの球はガラスが綺麗ですよね。私は6384を市販のアダプタを介してTU-8200R改(ヒーター回路は左右独立した4.5Aスイッチング電源で、オートバイアスの検出抵抗は16ΩにしてIpを絞り気味にしてある)に挿して使っています。実はどれだけIpを絞りたくてもTU-8200Rのオートバイアスは-30Vまでしか下げられません。ですので、6384はEp280VのIp60mAで問題なくても、6AR6ではプレート損失の19Wを超過気味になります。数ワット程度の超過なので、赤熱するわけではありませんが...。100~200Ωの抵抗とバイパスコンデンサが付いたアダプタを自作すれば、自己バイアス+固定バイアスで-32~-35Vくらいの安定した運用ができるのではと考えています。もしTU-8200Rの次期型が出るならば、Eg1を-50Vくらいまで対応とIp20~70mAまで5mA刻みの切り替え制御が欲しいところです。あと、180、220、240、280V、320Vのプレート電圧切り替えとか、常時監視できる電流計も付けて欲しいですね。そうすると結構何でも動きます。完璧で無くてもいいんです。色々な真空管を挿せて楽しめれば。きちんとした条件で最高の音を出すのはオーディオ玄人さんに任せればよいです。私たち素人は真空管で遊びたいだけですから...。ところで、6384を使う上で気をつけることは『音が出るまで1分ちかく掛かる』ということです。カソードが分厚いのかもしれませんね。私は最初「壊れたんじゃないか」と思ったくらいです。しかも音が出るまで1分で、歪みっぽさが無くなって安定するまで更に1分は掛かります。でも2分ってすぐですから、静かに待ちましょう。(^^;
Jul 30, 2022
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TUNGSRAMのOS1という真空管をebayで購入しました。これまた資料が殆ど無い。唯一あるのがRadiomuseumの情報。OS1 -radiomuseum-造りは綺麗です。上下にシールドを被っているので送信管扱いでしょうか...。とりあえず、それを元にetracerに掛けてみましょう。運が良いことに、EL51-6L6アダプタはG3とカソードの端子がアダプタ内部で接続されているので、このアダプタでそのまま使えます。何と嬉しいことか...。Ep280VでEg1が-38Vのときに50mA前後が流れる感じです。2本購入しましたが、ちょっとバラツキが大きかったです。しかし本格的に使うためではなく、キワモノ扱いで購入して「6L6用アンプのバイアスを深くしてお遊びで使おうかなぁ」程度のものです。TU-8200Rで使うには数百Ω+パスコンのカソード直下の下駄が必要です。TU-8200Rのオートバイアスが-40Vまで対応していれば....。後日談:P17Cと似通っていますが、バイアスはOS1のほうがずっと深いです。
Aug 7, 2022
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2E22は、何となく見た目が307Aですが、ひとまわり大きいです。規格は真空管(Electron tube) 規格表データベースのなかの2E22の資料を参照ください。6.3Vの1.5Aです。プレート損失30Wスクリーン損失10Wですが、そこまで大きくない気がします。どことなく送信管っぽさがありますね。807のように上下にシールドを被せてあるので、フィラメントが隙間から少し見える程度です。そこはちょっと残念。ではetracerで測定してみましょう。オレンジの点線(最大プレート損失)は30Wではなく低目の20Wのラインを描いています。三結特性は、綺麗なカーブだと思います。Ep=300VでEg1=17.5Vのとき、Ip(+Ig2)=52.45mAIg2=5.38mArp=1758Ωgm=4502μSμ=7.9V/V2E22の三結特性からEp280VのときEg1が-15~20Vあたりが丁度良い動作点そうです。ですので、私のTU-8200R魔改造品(カソード電流検出抵抗変更、ヒーターを左右独立したスイッチング電源にして、マイナス側はカソードに接続してある)に挿すことが出来ます。当たり前ですが、普通のTU-8200Rは左右のヒーターは共通ですし交流ですので、このようなことは出来ません。絶対挿さないで下さいね。試しにG3をG2と繋げて...Ep=300VでEg1=18.0V(Ipをあわせるため0.5V深くした)のとき、Ip(+Ig2+Ig3)=53.43mAIg2=5.4mArp=1752Ωgm=4318μSμ=7.6V/Vうーん、あまり変わりませんね。前回紹介した307Aは100Ω以上低くなりましたが...。サプレッサーグリッドの繋げる先で大きく変わるものとそうでないものがあるようです。電気的な理屈はわかりませんが、etracerの測定結果からそんなものが見えてきます。因みに五結ではこんな感じでした。2E22は、・6.3V点火・三結でEp300V前後のときグリッド電圧が-15~20Vで動作・負荷は5kΩ程度で良さそう。という、それほど使いにくい真空管ではないと思います。高価ではありませんが、日本ではあまり出回ってないように思えます。ebayを見ますと結構ありますね。因みに中国製はFD422という名前のようです。
Oct 11, 2022
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4XPという真空管、PX4の類似管らしいですね。4XPは右からから読むとPX4という.....中古を入手しましたので、どこまで「類似」なのか、etracerで探っていこうと思います。フィラメントは4本吊り(4回折り返し)です。つまり細いフィラメントが4V1Aくらいで通電しますので、フィラメント点灯状態はほとんどわからないです。規格は、Frankさんの資料室の4XP規格表にあるのですが250Vでの運用定格のみしか書いていません。EU VALVEさんのPX4の資料室でも250Vと書いてありますから、この子は250Vで使う旧型PX4の分類となります。旧PX4系列は最大250Vまでなので新型との同居(挿し換え)をさせる場合は電圧を変えられるようにするか旧型に合わせるしかなさそうですね...。今回のetracerでの測定も、250Vの設定でIp40mAになるところで測定します。フィラメント電圧は、4Vと3.8Vの2点とします。【1本目】Ef=4.0V, If=0.98AEp=250VでEg=27.7Vのとき、Ip=40.00mArp=1187Ωgm=5134μSμ=6.1V/VEf=3.8V, If=0.91AEp=250VでEg=27.6Vのとき、Ip=40.04mArp=1205Ωgm=5053μSμ=6.1V/V【2本目】Ef=4.0V, If=0.86AEp=250VでEg=24.7Vのとき、Ip=40.17mArp=1289Ωgm=4848μSμ=6.2V/VEf=3.8V, If=0.84AEp=250VでEg=24.6Vのとき、Ip=39.48mArp=1338Ωgm=4657μSμ=6.3V/V2本目はお疲れの様子。(Ipカーブがタレる程のエミ減ではありませんが)ヤフオクは2本出ても2本とも良好な物に出会うのは五分五分なので、「どうしても欲しい!ある程度動けばいい!」ってものは手を出します。とりあえず見つけたら手を出したいくらい、世界的に古典球は枯渇している感があります。アジアの富裕層コレクターに流れるのかな?と思ってます。(因みにアジアの富裕層はお金が余ってるから、私たちのように真空管を買ったから1週間モヤシ生活とかしないです)さて4XPですが、前回紹介したPX4の特性をみるとわかりますが、4XPのほうが浅いバイアスで動きますしrpも高く、PX4が1kΩ程度に対し1.2kΩです。これが「元々そういう特性」なのか「お疲れでそうなった」のかはわかりません。それでもここまでバイアスが異なるということは、「類似ではあるが互換ではない」と結論づけてもいいような気がします。
Jan 3, 2023
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今回から3回にわたり、欧州のプレート損失75Wクラス真空管を紹介してゆきます。第一回目は、PHILIPSのMC1/60という真空管です。E3Dと印字されており、もしこれが世代を表すのであれば比較的後期の製造かなとも思えますね。このような箱に入っていました。こちらはオークションで個人ユーザーから予備でお持ちの物譲っていただきました。。ヤフオクは玉石混淆なので、私もそれに漏れず過去に結構ハズレを引いています。(3000円前後のジャンク球ですが)今回は大変高価なものなので悩みましたが、丁寧にストックしてあった物らしいので、思い切って落札しました。(いくら丁寧にストックしてあっても真空度の低下などが起きることがあります)運良く、大変コンディションの良い物に出会えました。しっかりした造りです。フィラメントは3箇所で吊ってあります。因みに灯が入っても...ほとんどわかりません。プレートの横にシリアル番号が打ってありました。規格はFrankさんの資料室のMC1/60規格を参照願います。4Vの3.3Aのフィラメント、プレート損失75Wです。ちょうど211や845くらいでしょうか。製作記事ですとFred Musset氏の「MC1/60, E60M, TM100 SE amplifier - Part 1 & 2」の記事があります。では、etracerにかけてみましょう。Ep=700VでIp=80mAになるところで測定します。なお、フィラメント電圧は4.0Vと3.8Vの2種類で測定します。【1本目】S/N:14601.3Ef=4.0V, If=3.23AEp=700VでEg=-35.6Vのとき、Ip=79.81mArp=1839Ωgm=6922μSμ=12.7V/VEf=3.8V, If=3.14AEp=700VでEg=-35.6のとき、Ip=79.68mArp=1840Ωgm=6875μSμ=12.6V/V【2本目】S/N:14699.3Ef=4.0V, If=3.21AEp=700VでEg=-35.2のとき、Ip=79.80mArp=1939Ωgm=6471μSμ=12.5V/VEf=3.8V, If=3.09AEp=700VでEg=35.2Vのとき、Ip=79.45mArp=1954Ωgm=6403μSμ=12.5V/V綺麗なカーブです。rpは約1.9kΩなので、5~7kΩが最適であるとわかります。手持ちに8kΩ(カットコア)と9kΩ(Rコア)のトランスがあるので、どちらかを使おうかと思います。gmが高いですね。高感度な欧州管らしい出力管です。実は、そのほかの手持ちにフランスのSFRのE.60MとMAZDAの3X75B(TM100)があります。(とあるセラーから直接取引で購入しました)MC1/60、E.60M、3X75Bで、まさに三羽烏といえます。3本とも規格はほぼ同じですので、共通のアンプを作らねばと思っています。そのほか、フィラメント10VでTUNGSRAMのOP70/1000という真空管も手持ちにありますので後々紹介しようと思います。
Jan 12, 2023
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幸運にも英国MAZDAのP.650(P650)という真空管を3本入手しました。(本当に幸運です)オークションで「RE604と同等」と平然と書かれている人が居られますが、誤解を招く書き方は如何なものかと思います。(電気特性がどことなく似ているように感じるというだけです)管面トップにプリントがあります。P.650BVAMAZDAMADA IN ENGLAND造りが綺麗ですね。ニッケルプレートなので、見た目よりプレート損失は低い(せいぜい10から12W)と思われます。フィラメントは2箇所を吊ったM型です。規格の詳細はあまり見かけません。The Valve MuseouのP650規格や、ひま人の館の「欧州の真空管(PX4属)」で紹介されています。ここではPX4族として紹介されていますが、素のニッケルプレートなので見た目よりずっとプレート損失が小さいはずです。(たぶん10~12W)測定結果でも、PX4のようにrpは低いわけでもないです。なので、どちらかといえばRE604に近いように思います。P.650は、一応規格はあるもののIpカーブなどの詳細は不明なので、私の中では謎球に認定です。(笑)規格のフィラメント6V0.5Aと出力1.1W、プレートは結構大きいのですが、裸のニッケルプレートであるという事から、プレート損失は12W程度と仮定して測定することにしました。(いやもっと小さいかも)Epは規格の200Vで。フィラメント電圧は6.0Vと5.8Vで測定しました。【1本目】Ef=6.0V, If=0.51AEp=200VでEg=40.1Vのとき、Ip=22.02mArp=1660Ωgm=1952μSμ=3.2V/VEf=5.8V, If=0.49AEp=200VでEg=40.1Vのとき、Ip=21.96mArp=1680Ωgm=1937μSμ=3.3V/V【2本目】Ef=6.0V, If=0.49AEp=200VでEg=39.7Vのとき、Ip=22.03mArp=1662Ωgm=2016μSμ=3.4V/VEf=5.8V, If=0.47AEp=200VでEg=39.7Vのとき、Ip=21.96mArp=1664Ωgm=2010μSμ=3.3V/V【3本目】Ef=6.0V, If=0.49AEp=200VでEg=37.2Vのとき、Ip=22.02mArp=1747Ωgm=1942μSμ=3.4V/VEf=5.8V, If=0.47AEp=200VでEg=37.2Vのとき、Ip=21.82mArp=1763Ωgm=1902μSμ=3.4V/V規格の200V22mA時rp1.3kΩからは程遠い1.66kΩ~1.76kΩですしgmも低い(特に3本目は疲れているかも)ですが、Ip特性は美しいカーブを描いています。低電圧大電流側でのタレもありません。古い球ですので、これくらい性能が出ていれば私には十分です。出力を欲張らず7kΩ負荷で0.6W、10kΩでも0.4Wは出ます。高能率のスピーカーでフラウトトラヴェルソやリュートの音楽などを楽しむならOKですね。実際は200Vの30~40mA(プレート損失6~8Wでの動作)くらいまでは大丈夫かと思います。試しに1本目と2本目のEp=200VのIp=40mA(プレート損失8W動作)で測定してみました。(Ef=6.0V)【1本目】Ep=200VでEg=31.9Vのとき、Ip=40.03mArp=1348Ωgm=2444μSμ=3.3V/V【2本目】Ep=200VでEg=31.9Vのとき、Ip=39.94mArp=1306Ωgm=2545μSμ=3.3V/Vこの2本は良く揃ってますね。Ip40mAくらい流すとrpもgmも規格に近い感じになり、増幅動作もIpカーブの綺麗なところを使えるので歪率も良くなります。40mAも流していますが、Epは200Vなので8W程度です。念のためもう少し少ない電流が良いかもしれませんね。負荷はパワーより美音を求めるなら5kΩより7kΩが最適と思われます。皆さんももしP.650を見かけたら是非購入して可愛がってあげてください。とても魅力的な真空管だと思います。
Feb 2, 2023
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スクリーングリッドの耐圧が低い球、よく見かけますよね。私は、「三結でかつプレート電圧≧スクリーングリッド電圧かつスクリーングリッド損失以内であれば大丈夫」と考えています。これについて言及したサイトがあります。Friends of Valves 自作真空管アンプの「3極管接続でスクリーン許容電圧を超えていいのかどうか」大久保システムズのビーム管のスクリーングリッドにまつわる謎真空管のコアな世界の三極管接続の第2グリッド抵抗はどこまで大きくてよいのかどれも参考になる記事です。プレート電圧が300V程度なら、スクリーングリッドとコントロールグリッド間で放電はしないかなと。勿論、メーカー推奨の方法ではないので、あくまで自己責任です。ただ、1つ気をつけなければいけない点があると私は考えています。それは、スクリーングリッド電流が多く流れるタイプの球です。例えば865やQE08/200(4B20)です。こういう球はもう電圧を抑えてゆくしかないですね。どちらにせよ865は4本組みを安く入手できたけど「失敗したなぁ」という感じ。何かうまい料理方法を考えなければ....。
Jul 28, 2023
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CV415(TT15)という真空管を紹介します。双三極のビーム四極送信管のようです。規格はThe Valve Museum「CV415」が参考になります。(CV4046という真空管もあるそうで、CV415をより高い周波数で動作させられるようですね)背の低い電極が2つ配置されています。コの字のビーム電極が見えます。因みにベースはロクタル9ピン。ソケットがあまり出回ってないんですよね。etracerでパラレルの三結特性を測定します。(スクリーングリッドが共通なのでパラレル必須です)プレート損失は片側8W程度ですが、常時電流を流すA級オーディオアンプでは2ユニットで12W(片側6W)くらいをみていたほうが安全かもしれません。240V42mAあたりで測定します。【1本目】Eh=6.3V, Ih=1.60AEp=240VEg1=27.0VIp+Ig2=42.20mAIg2=1.64mArp=1334Ωgm=4702μSμ=6.3V/V【2本目】Eh=6.3V, Ih=1.59AEp=240VEg1=27.7VIp+Ig2=42.66mAIg2=1.49mArp=1327Ωgm=4541μSμ=6.0V/V240Vで42mA流して5kΩ負荷ですと1.8W(歪率8%)です。直線性は悪く、オーディオ向きではありませんが、まぁ楽しめる球かと。因みにビーム管接続はお勧めしません。私の個体の問題かもしれませんが、2本ともおかしな特性です。ちょっと酷いですよね。私は敬遠するかな。上記理由により三結シングルで使うのが無難だと思います。ebayでまだ安価に出回っている球ですが、よほどの珍球好きならともかく、あまりお勧めはしません。
Jul 21, 2024
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12A6という真空管を紹介します。規格はFrankさんの資料室の「12A6」規格表が参考になります。etracerで特性を測定しましょう。【1本目】Eh=12.6V, Ih=0.15A三極管接続Ep=230VEg1=12.3VIp+Ig2=25.15mAIg2=3.52mArp=3125Ωgm=3140μSμ=9.8V/V五極菅接続Ep=230VEg2=230VEg1=11.2VIp=25.11mAIg2=3.97mArp=82622Ωgm=2941μSμ=243.0V/V【2本目】Eh=12.6V, Ih=0.15A三極管接続Ep=230VEg1=13.0VIp+Ig2=25.16mAIg2=2.01mArp=3161Ωgm=3025μSμ=9.6V/V五極菅接続Ep=230VEg2=230VEg1=12.2VIp=25.29mAIg2=2.41mArp=104746Ωgm=2621μSμ=274.6V/V三極管接続の直線性は大変良好です。五極菅接続は十分に電流を流す領域ではとても綺麗な特性だと思います。230V程度に7kΩの負荷で三極管接続0.6W、五極菅接続1.3Wが出せます。十分ですね。地味な真空管ですが、割と実力派だと思います。
Nov 15, 2025
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SIEMENSのE2eという真空管を紹介します。なんか勢いで4本セットを買ってしまった記憶があります。バルブはシールド塗料で覆われています。規格はFrankさんの資料室の「SIEMENS E2e」規格表が参考になります。Efが18Vです。ちょっと半端ですが、6.3V2回路と5Vで17.6Vが作れるので何とかなりそうな印象です。ピン配置はRS1003ともF2aと異なりますのでご注意ください。etracerで特性を測定しましょう。【1本目】Eh=18.0V, Ih=0.34A三極管接続Ep=220VEg1=-5.4VIp+Ig2=34.01mAIg2=3.48mArp=2265Ωgm=9128μSμ=20.7V/V五極菅接続Ep=220VEg2=180VEg1=3.2VIp=34.08mAIg2=3.50mArp=44697Ωgm=9705μSμ=433.8V/V【2本目】Eh=18.0V, Ih=0.36A三極管接続Ep=220VEg1=-5.7VIp+Ig2=33.94mAIg2=3.49mArp=2226Ωgm=9016μSμ=20.1V/V五極菅接続Ep=220VEg2=180VEg1=3.4VIp=34.47mAIg2=3.53mArp=406007Ωgm=10067μSμ=408.7V/V【3本目】Eh=18.0V, Ih=0.34A三極管接続Ep=220VEg1=-6.3VIp+Ig2=33.81mAIg2=3.52mArp=2187Ωgm=8567μSμ=18.7V/V五極菅接続Ep=220VEg2=180VEg1=3.8VIp=34.73mAIg2=3.52mArp=44516Ωgm=9265μSμ=412.4V/V【4本目】Eh=18.0V, Ih=0.35A三極管接続Ep=220VEg1=-5.8VIp+Ig2=33.89mAIg2=3.47mArp=2,241Ωgm=8882μSμ=19.9V/V五極菅接続Ep=220VEg2=180VEg1=3.5VIp=34.48mAIg2=3.55mArp=42711Ωgm=9909μSμ=423.2V/Vヒーター電圧に関しては、どうしても18Vがとれなければ18VのAC/DCアダプターを買えばよいわけで。割と何でも良いかなと思います。(笑)
Nov 25, 2025
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SYLVANIAのVT52という真空管を紹介します。カッコいいですよね。箱はU.S.ARMY PHILCOですが、製造はSYLVANIAです。電極の上下にセラミックの支えがあります。頑強な造りですね。フィラメントは2点吊りです。手持ちにこの形のVT52が無かったので入手出来て良かったです。そういえば、SYLVANIAのVT25Aに似ているような。右の茶ベースがVT25Aです。プレートの幅は異なりますが構造は同じですね。etracerで特性を測定しましょう。【1本目】Ef=7.0V If=1.15AEp=270VEg=-51.3VIp=33.07mArp=1658Ωgm=2101μSμ=3.5V/V【2本目】Ef=7.0V If=1.15AEp=270VEg=-53.0VIp=33.08mArp=1613Ωgm=2099μSμ=3.4V/VVT52はプレート損失が12W程度なので300Bや2A3等に比べると弱いイメージですが、直線性は十分に良いのが魅力です。
Nov 28, 2025
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rpが低くヨーロッパの2A3といわれるPX4。「PX25の音よりPX4の音が好き」というファンも多いとか。そんなPX4の特性を測ってみようと思います。中古真空管では特性はバラつきますので、何が本当かはわかりません。それでも傾向のようなものはわかってもらえかなと思います。手持ちは右2本が国内のセラーから購入した状態の良い物で、左2本がヤフオクにて動作未確認品として購入した半ジャンク(動作はします)です。PX4のフィラメントが切れやすいという話は本当なのでしょうか?少し気になるところです。私が思うに...「フィラメント1本の中で太さにブレがある → 明るい所と暗いところがある → 明るいところが早く切れる」たぶん、こういう理屈かと。四つ折りの細長いフィラメントですし。手持ちのTESLAのRD27ASに傾向が強く(私のだけかも)、切れるのが怖いです。でもPX4ってそんなにフィラメントの温度が高くないのですが、それでも切れるのかな。それならフィラメント電圧を絞って1日でも寿命を延ばして音楽を聴きたい気持ちも...そこで、フィラメント電圧を4.0V~3.8V~3.6V(規格外)まで変化させた特性を測定しました。Epは280Vで。【1本目】Marconi製 ラベルありEf=4.0V,If=0.94AEp=280VでEg=-42.5Vのとき、Ip=38.27mArp=1002Ωgm=5128μSμ=5.1V/VEf=3.8V,If=0.93AEp=280VでEg=-42.0Vのとき、Ip=37.90mArp=990Ωgm=5299μSμ=5.2V/VEf=3.6V,If=0.91AEp=280VでEg=-42.5Vのとき、Ip=37.89mArp=1005Ωgm=5199μSμ=5.2V/V【2本目】Marconi製 ラベルなしEf=4.0V,If=0.95AEp=280VでEg=-41.5Vのとき、Ip=38.27mArp=1066Ωgm=4765μSμ=5.1V/VEf=3.8V,If=0.93AEp=280VでEg=-41.2Vのとき、Ip=37.93mArp=1097Ωgm=4688μSμ=5.1V/VEf=3.6V,If=0.89AEp=280VでEg=-40.7Vのとき、Ip=38.09mArp=1147Ωgm=4626μSμ=5.3V/V【3本目】Zaerixブランド(多分Marconi製)Ef=4.0V,If=1.02AEp=280VでEg=-44.3Vのとき、Ip=37.81mArp=1051Ωgm=4694μSμ=4.9V/VEf=3.8V,If=0.97AEp=280VでEg=-43.9Vのとき、Ip=37.93mArp=1096Ωgm=4522μSμ=5.0V/VEf=3.6V,If=0.93AEp=280VでEg=-43.9Vのとき、Ip=38.38mArp=1133Ωgm=4420μSμ=5.0V/V【4本目】Zaerixブランド(多分Marconi製) 振るとカラカラ音がするが大丈夫Ef=4.0V,If=0.96AEp=280VでEg=-46.9Vのとき、Ip=38.09mArp=1082Ωgm=4319μSμ=4.7V/VEf=3.8V,If=0.92AEp=280VでEg=-46.5Vのとき、Ip=38.14mArp=1111Ωgm=4171μSμ=4.6V/VEf=3.8V,If=0.87AEp=280VでEg=-46.0Vのとき、Ip=37.80mArp=1151Ωgm=4077μSμ=4.7V/VZairexは2本にバラツキがあります。それにお疲れの様子?(47000円くらいで買った動作未確認の半ジャンクなので、これくらい動けばOKです)この測定から解ったことは、傾向としては4.0Vでは(少なくとも直流4.0Vでは)エミッションが元気なPX4はIpカーブの高圧側の浮きが大きく、フィラメント電圧が低くなると落ち着く傾向です。(それくらい良好なエミッションといえるかもしれません)3.8Vと3.6Vを計測しましたが、3.8Vでも十分、3.6Vでもなんとかエミッションが確保でき、4.0VでIpカーブが大きく浮き上がってたものも、このあたりで落ち着きます。たぶん交流と直流で結果が異なると予想されますが、交流で測定する術がないので何ともいえません。ひょっとして...ですが、直流点火より交流点火が音が良いというのは、同じ4.0V点火時のIpカーブ高圧側の浮き具合に関係があるような気がします。音質の差は、何かしら電気的特性が異なるから生じるわけですし。皆さんはどう思われますか?とにかく「動作中のアンプにテスターを当てて4V以上だったら抵抗を入れよう。直流なら3.6V以上なら動くよ。」ってのが私の結論ということで。(賛否両論あると思いますが)
Jan 3, 2023
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HY69という真空管を紹介します。CBS-HYTRONの箱に入っています。規格は、Frankさんの資料室のHY69規格表を参照ください。気をつければならないのは、HY69は6.3Vではなく6.0Vです。Plate dissipationがプレート損失にあたるのでしょうか?そうすると30W?不思議なのはTube collectors associationの書類では6.3Vです。Plate dissipationが40Wになっています。謎です。因みに、アンプの7番8番ピンが接続されたDC点火であれば、807→6L6のアダプターがそのまま使えます。私は2番プラス7番マイナスで6Vを供給しています。(6V管と6.3V管を共有するには電源電圧を低い方に合わせます)etracerで特性を測定しましょう。とりあえず私は6.0V1.5A、プレート損失は30Wと仮定して測定を進めます。スクリーン損失は5W程度で仮定しましょう。測定は三結特性のみです。外からはよく見えませんがプレートの内側にキャビトラップ(Cavi-trap)という小さな板のようなものがあります。(プレート両側にコの字状の金具を3箇所ずつ6箇所とりつけ、片側6枚(両側合わせて12枚)の板を立てた形になっています。)二次電子を抑制する役目らしいです。(動作原理はよくわかりませんが)【1本目】Ep=280VでEg=-15.2Vのとき、Ip=59.59mAIsg=3.99mArp=1952Ωgm=3326μSμ=6.6V/V【2本目】Ep=280VでEg=-15.2Vのとき、Ip=59.75mAIsg=3.97mArp=1964Ωgm=3327μSμ=6.4V/Vなかなか綺麗なIp特性だと思います。TU-8200R(魔改造品)に取り付けました。トリタンの輝きが美しいです。ご注意:私のTU-8200R(魔改造品)は、ヒーター回路を左右独立したスイッチング電源に変更してあり、マイナス側は8番ピンに接続しています。あと、電流検出抵抗の数値を変更し40mA程度が流れる様にしてあります。(もう少しながしてやってもいいのですが、他の球も挿すので...)くれぐれも、TU-8200Rそのままでは直熱管を挿すことは出来ませんから気をつけてください。
Jan 28, 2023
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TC05/25という真空管を紹介します。オークションを通じて譲っていただきました。上面の天使の輪がPhilipsのTC1/75を思わせますね。送信管らしい造り。そしてプレートが大きい。ガッチリしていて、放熱にも気を遣っているように思えます。フィラメントは2点吊りです。規格に関しては、Frankさんの資料室の「TC05/25」規格が参考になると思います。送信管でグリッドはプラスまで十分に振れる仕様です。プレート損失40Wと書いてありますが、常時電流を流すA級動作であればもう少し少なめにみておいたほうが無難かもしれませんね。(0.3Wで十分な環境なのでパワーは全然必要ありません)etracerで特性を測定しましょう。(500V28mAに合わせて測定します)【1本目】Ef=4.0V, If=2.10AEp=500VEg=-17.8VIp=28.50mArp=9884Ωgm=925μSμ=9.5V/Vややエミ減気味ですが、Ipカーブは垂れずに伸びていますので合格です。下のゲッターは薄くなっていますが、濃い色のゲッターは大丈夫。Philipsは複数のゲッターを使用しているというそうですが、この真空管もそのようです。放電が心配でしたが、50Vずつ上げながら様子をみましたが、測定限界の750Vまで放電はありませんでした。【2本目】Ef=4.0V, If=2.11AEp=500VEg=-19.8VIp=28.39mArp=8091Ωgm=1194μSμ=9.7V/Vうーん、悪くはないですが、どちらもエミ減気味で厳しいですね。やはり、送信管らしい高rpな特性で、14kΩくらいのトランスが必要です。500V28mA14kΩでマイナス領域のみ使うなら0.3Wです。プラスまで振るならもっと出ます。元々オーディオ用ではないので、見た目よりは出力は望めません。それでも、この力強い見た目は魅力的です。
Oct 18, 2023
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神奈川県の足柄方面にある大野山へ行ってきました。7時過ぎ、山北駅から出発。「今日も一日がんばるぞい!」商店街を抜けます。掛かった道標は殆ど認識出来ないほどになっています。途中、道の脇に仏像が居られました。手を合わせてゆきます。道端にあった仏像を幾つか纏めて祀ったものかもしれません。ここは古道なのですね。左は道路、右は細い道。私は右をゆきます。「行ってみよう」軽トラがギリギリ通れる道で、林野管理用道路のようです。道標の殆どは有志によって建てられてるように思われます。だいたい、どの市もそんな体力(資金)がないですからね。道沿いはあまり花は咲いていませんでした。でも、この紫色のアザミは美しいですね。紫のアザミの花言葉は「厳格」「気品」「高貴」だそう。そしてこの名所を忘れてはいけません。青い乗馬服が丹沢クリステル嬢、赤の乗馬服が丹沢キャサリン嬢です。元々、塔ノ岳のふもとにある「丹沢乗馬クラブ」の入口にあったマスコットです。丹沢乗馬クラブは、ソウル五輪に参戦した芦毛サラブレッドのミルキーウェイとコンビを組んだ澤井孝夫氏が経営していた乗馬クラブです。因みにクリステルとキャサリンが祀られている場所はここです。こちらに来て、綺麗に色も塗り直されました。「ツーショット!」カロリーメイトを一寸食べて、いよいよ尾根にとっつきます。「行くよ!」お地蔵様が居られました。浄財をお納めし、手を合わせてゆきましょう。山道は細いながらもしっかりしています。長い階段の途中に、スカイツリーと同じ標高である旨が書かれた道標がありました。開けたところに出ました。木彫りの熊を発見。「可愛い!!」大野山に到着しました。「無酸素登頂成功!!」大野山の頂上は元牧場なので広場のようになっています。富士山もよく見えます。手前は不老山や三国峠などでしょうか。これは桜の一種?暖かいですからね。咲きたくなりますよね。カロリーメイトを一寸食べたところで下山開始です。「ばいばい、大野山!」大きな電波の反射板。幼い頃は六国見山にもあって、宇宙人と交信するアンテナだと思っていました。花を目でなら下山します。ついつい立ち止まってしまいます。赤まんまの一種でしょうか?途中、大きな林道を突っ切りながら山道は続きます。下界まで降りてきました。「お疲れ様ぁ!!」あの橋を渡り、国道を越えればすぐ駅です。谷峨駅に着いたらすぐに御殿場線(11時44分発 国府津行)が来ました。ラッキー!!とても楽しいハイキングでした。そしてその日の午後、男は秋葉原の街に吸い込まれていった。めでたしめでたし...。
Nov 4, 2023
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STCの33A/158M(CV1884)という真空管を紹介します。双三極管です。6BX7や6BL7クラスのプレート電極です。なかなかカッコいいです。ところで、この真空管は規格表が見つかりません。謎球です。The Valve Museum「33A/158M」が唯一の手がかりです。12Wのプレート損失。これは多分2ユニットですので片ユニット6Wというところでしょうか。この記事によると、33A/138Aと同様の設計と書いてあります。これが参考になりそうですね。ただし33A/158Mのベースはロクタル8ピンです。グリッドをプラス(ポジティブバイアス)側にたっぷりと振れる送信管ですね。しかしマイナス(ネガティブバイアス)領域も十分にあります。因みに製作例はThe Valve Museum「An Experimental 33A/158M Double Triode Push-Pull Audio Amplifier」があります。etracerで特性を測定しましょう。プレート280Vで15mAほど流れるところで測定します【1本目】Eh=6.3V, Ih=0.83AEp=280VEg=10.2VIp(1)=14.97mA Ip(2)=15.28mArp(1)=6335Ω rp(2)=6181Ωgm(1)=2398μS gm(2)=2452μSμ(1)=15.2V/V μ(2)=15.2V/V【2本目】Eh=6.3V, Ih=0.79AEp=280VEg=10.5VIp(1)=14.61mA Ip(2)=15.96mArp(1)=6136Ω rp(2)=5841Ωgm(1)=2446μS gm(2)=2545μSμ(1)=15.0V/V μ(2)=14.9V/Vプッシュプルで小出力のアンプを作るには良さそうな球であることがわかりました。μが15ありますのでドライバーとしても十分ですが、その割にはrpが高いかな。(μ15なら6BL7のほうが強いという話も出てきてしまいそう)もしかしたら...パラレルにして6F6三結シングルとして使うのも面白そうですね。ということで、パラレル動作も確認してみました。電圧は280Vで30mAあたりを見ます。(Ip特性表の電流のスケールは2倍の60mAにしてあります)【1本目】Eh=6.3V, Ih=0.83AEp=280VEg=10.2VIp=30.09mArp=3103Ωgm=4889μSμ=15.2V/V【2本目】Eh=6.3V, Ih=0.79AEp=280VEg=10.5VIp=30.46mArp=2968Ωgm=5042μSμ=15.0V/V少し重めの7kΩ負荷でも何とかいけます。0.8~0.9Wでしょうか。これは結構良い気がします。出力管としてはプッシュプルで組むのが理想ですが、手っ取り早く遊ぶならパラレルシングルでも十分楽しめそうな印象です。
Jul 19, 2024
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スピーカー遍歴が多い人も居ると思いますが、私は50年で4台ですので結構。最初のものはAurexのSS-370でした。もう50年前です。当時、父が東芝系の商社に勤めていたので、相当安く買えたそうです。当時は居間に置いていましたが中学の頃に私の部屋へ移動しました。そして20代になって購入したのは丸尾再音の渋紙スピーカーです。スピーカーボックスは秋葉原ヒノオーディオのAXIOM-80用のものです。今も大切に保管しています。また使いたい気持もありますが...。30代頃でしょうか、MANGERユニットを購入。とりあえず今までのボックスに収めました。独特の癖のあるユニットで、音楽によって相性がありました。これも保管してあります。気に入らないわけではないので、ちょっと手放せないです。そして4年ほど前から使っているのはEMS社のLB12MK2です。 これもヒノのボックスに入れています。バッフルは別に作りました。30cmで高能率。低音も十分です。励磁型ですが、近代的な設計と近代的なコーン紙によって造られた近代的なスピーカーであることが私が購入したきっかけです。いわゆる「ビンテージの励磁型の音」が好きな人には合わないと思います。
Mar 20, 2025
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6P1P同等管ということで、6AQ5あるいは6005をアダプタを介してTUBE-01Jに挿している人も多いと思います。前回、6P1Pを測定して、直線性の悪さにチョット残念な気持ちになってしまったのですが、では、6AQ5や6005Wは、どういう特性なの?ということで、測定をやっていきたいと思います。規格は真空管規格表データベースの6AQ5規格表を参照してください。今回はTENの6AQ5と東芝の6AQ5W/6005を測定してゆきます。(他にもTUNGSRAMやNECや日立などありますが、今回は2種のみ紹介します)東芝の6AQ5W/6005は、東芝製造なのでしょうか?GEの6005に似ていますよね...。因みに6AQ5は6P1Pよりプレートもガラス管自体も小柄なので、プレート損失12Wといえども注意が必要かなという印象です。6AQ5W/6005に至ってはプレートの縦方向が短い(小さい?)印象です。では、etracerで特性を測定しましょう。【TEN 6AQ5】五結特性三結特性【東芝 6AQ5W/6005】先日紹介した6P1Pより、僅かながら直線性は良さそうです。非直線性の歪みは「ガギガギバリバリ」というような頭打ち底打ちのような歪みではないので、それほど耳障りでは無いと思います。少し形が悪いくらいが味が合って良いです。6AQ5は肩が張ってる感じで、低いB電圧でも出力を稼げそう。この100V以下が随分違う印象。構造の違いでしょうか...。6AQ5や6005は物凄く良い球とは云えませんが、手頃な価格と程々の出力が魅力の真空管だと思います。
May 13, 2023
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6AK5という真空管を紹介します。6AK5は同等管や類似管が多くあるようですね。私の調べたところですと、以下のようですが、まだ他に型番があるかもしれません。写真は手持ちのものから幾つか選びました。6AK5の規格は真空管(Electron tube) 規格表データベース「RCA 6AK5規格表」が参考になります。★6AK5一番一般的なものです。写真は手持ちの中から東芝を選びました。★171A/VT-2696AK5の前身といわれています。私は6AK5用変換アダプタを買って使っています。電極が横に倒されているのは、ベースのピンまで多分最短距離で配線する為でしょうね。★5654/6AK5W6AK5の高信頼管だとか..。手持ちの一部ですが、左からNEC、日立、TEN、SYLVANIA、GE、RTCです。NECは上にシールドのようなものが見えます。RTCはプレートの窓が円ですね。★6J1-T中国製です。手持ちは1971年です。★6J1P(6Ж1П)一番オーソドックスなやつですね。★6J1P-V(6Ж1П-B)★6J1P-EV(6Ж1П-EB)6J1Pの高信頼管として販売されているものです。写真右側は金メッキ足です。(絶対怪しい)★403Aや403B手持ちはNEとWEの403B、L.M.Ericsssonの5591/403Bです。★M8100妙に印字が綺麗なので何とも怪しいです。(私はMullardが特に好きではないので、割とどうでもいいですが)★EF95EF95のプリントされたものは持っていません。(私はコレクターではないので...)★CV4010CV型番もあるようですね。6AK5あるいは同等管は、気付かぬうちに使っているものです。よくある中国製プリアンプには6J1Pが三結で使われていますし、私が愛用しているTUBE-01Jも初段が6AK5同等管の6J1Pの三結です。代表として東芝6AK5の三結特性を測定します。Ep=120VEg1=-2.8VIp+Ig2=5.11mAIg2=1.23mArp=5690Ωgm=4434μSμ=25.2120Vの5mAでのμは26程度です。実働で20倍くらいでしょうか。2段構成のアンプだと割とギリギリかな。もう少し電流を流しても28あるかないか。巷ではμ=40説もありましたが、実測ではそれを確認することは出来ませんでした。6AK5の前身と云われる171A/VT-269の三結特性も測ります。Ep=120VEg1=-2.4V(6AK5より0.4V浅い)Ip+Ig2=5.04mAIg2=1.23mArp=6976Ωgm=4047μSμ=28.2コンディションの問題かわかりませんが、手持ちのものに限って云えば、171A/VT-269は6AK5に比べてgmが低くrpとμが高い傾向にあるようです。ただ負荷抵抗を入れた実際の動作で、それほど変わらないかもしれません。真空管は好みや用途で色々なものが選べますし、音や性能にこだわらず自由に選んでも全く問題ないです。「みんなちがって、みんないい」と私は思っています。
Jun 15, 2024
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RWNのAD1という真空管を紹介します。今までVALVO A1という真空管や、PHILIPS Miniwatt AD1という真空管あるいはLOEWE OPTA A1という真空管に出会ってきましたが、また似たようなものを買ってしまいました。因みにAD1[Ed]と書かれています。Edは超高額で取引されていますが、AD1は10万円前後です。電気特性は同じです。それでもEdを何十万も出して買う人も居ますので、これはコレクター趣味の世界かなと思います。(金持ちの間をグルグルと回り続けると言ってしまっては失礼でしょうか...)規格は真空管(Electron tube) 規格表データベース「Philips AD1」が参考になると思います。AD1族に関しては、EU Valve「AD1の各種同等管」とひま人の館「欧州の真空管(AD1属)」が参考になります。特徴的なのはプレート電極のクロスしたリブ。他メーカーのAD1では見られないものです。ベースに43-57と書かれていますので、1957年43週の製造ということでしょう。この時代はほぼ保守品として製造されていたのではないでしょうか。023と030は細かなロット番号でしょうか..。あまり気にせず「だいたいその頃の製造」ということで良いかと思います。良い造りです。惚れ惚れします。etracerで特性を測定しましょう。【1本目】Ef=4.0V, If=1.01AEp=230VEg=-39.0VIp=49.87mArp=769Ωgm=5871μSμ=4.5V/VEf=3.7V, If=0.99AEp=230VEg=-38.7VIp=49.75mArp=770Ωgm=5732μSμ=4.4V/V【2本目】Ef=4.0V, If=1.05AEp=230VEg=-42.2VIp=49.99mArp=730Ωgm=5722μSμ=4.2V/VEf=3.7V, If=1.00AEp=230VEg=-42.0VIp=50.07mArp=737Ωgm=5669μSμ=4.2V/Vなるほど、2A3に似ています。直線性は...どうなんでしょうね。2A3に比べると良くない気もします。どのAD1も似たような特性なので、そういう設計だと思います。AD1のほうが多分最大出力時の歪率が高いと思います。ただしアンプの総合特性は前段との兼ね合いなので終段のみでは何とも言えない印象です。AD1のほうが「何となく良い音がしそうに感じる」のは「単に希少価値がそういう幻想を見せている」のかもしれません。オーディオなんて半分以上は迷信なわけですし。そして、その迷信の中で私たちは踊らされ、迷信の上にオーディオが成り立ち、その迷信は延々と伝統として受け継がれてゆくのかもしれませんね。
Aug 2, 2025
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先日、オークションにてEL32シングルアンプを落札しました。真空管の入札合戦で業者に負けて自暴自棄になって、オススメに出てきたアンプを何も考えずに入札しました。いやこれ、割りと正解でした。意外と良かったんです。佐賀県の「音の工房 山本」という個人工房のものです。趣味と実益で(ライフワーク的に?)やっているようで、ウェブサイトは無いですしヤフオクの出品のみのようです。造りはとても丁寧です。良かった点は、割と低ノイズで音が綺麗であることです。EL32がこういう音なのか初段の音なのか、或いは工房の主の作り方がよいのか。因みにEL32は三極管接続をされています。欠点は、とにかく低音が出ないことです。本当にスカスカです。これはEL32三結に対してトランスが5kΩであることとコア自体が小さすぎることもあるでしょう。NFBも掛かっていないことも要因になっていそうです。あとつまらないことですが、ACインレットではなく直接電源コードが繋がっています。普通の人には問題がありませんが、アンプを1週間おきにローテーションしている私にはチョット不便です。それでも、なかなか良い音がします。「秋の夜長にリュート作品を聴く」そんな使い方が最適かもしれません。敢えて改造するなら、・ACインレット化・NFBを少しだけ掛ける・出力トランス変更(7kΩでコアも一回り大きめもの)・グリッドの線をもう少し太くするこんなところでしょうか。
Sep 23, 2025
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よく使われる6SJ7。五結特性はデータシートがネット上にありますが、さて三結特性はどうなのでしょうか。6SJ7の高信頼管と言われている5693はどうなのでしょう。そのあたりを探っていこうと思います。実は最近、帯状疱疹になってしまい、まだ痛みが残っています。そのような状態ですので、今回は測定するのがしんどくて、サンプルは少ないです。(測定するのにも手間と時間がかかりますので、どうかご勘弁下さい)★RCA5693GEも持ってますが、今回はRCAのみです。三結特性Ep=130V、Eg1=2.5Vのとき、Ip(+Ig2)=8.14mAIg2=1.91mArp=7260Ωgm=2708μSμ=19.7V/V試しににG3をG2に接続してみました。Ep=130V、Eg1=2.7V(普通の三結の電流に合わせた)のとき、Ip(+Ig2+Ig3)=8.15mAIg2+Ig3=2.77mArp=6935Ωgm=2739μSμ=19.0V/Vrpが低くなってμが低くなるという結果になりました。前段に使うに関しては、メリットが見いだせません。五結特性も実測してみましょう。Ep=130V、Eg2=100Vで測定します。Ep=130V、Eg2=100V、Eg1=2.2VのときIp=4.99mAIg2=1.14mArp=1755658Ωgm=2283μSμ=4008.2V/V★東芝6SJ7他にNEC、TEN、松下を持ってますが、今回は東芝のみです。三結Ep=130V、Eg1=3.4V(RCA5963の電流に合わせました)のとき、Ip=(+Ig2)8.14mAIg2=1.92mArp=6538Ωgm=2884μSμ=18.9V/V五結Ep=130V、Eg2=100V、Eg1=3.0V(RCA5963の電流に合わせました)のときIp=4.93mAIg2=1.14mArp=2675947Ωgm=2298μSμ=6149.7V/Vアダプタを介して6J7も調べてみましょう。★CBS-HYTRON 6J7小さい!!三結Ep=130V、Eg1=1.3V(RCA5963の電流に合わせました)のとき、Ip(+Ig2)=8.19mAIg2=1.83mArp=9616Ωgm=2004μSμ=19.3V/V五結Ep=130V、Eg2=100V、Eg1=1.5V(RCA5963の電流に合わせました)のときIp=4.88mAIg2=1.07mArp=889035Ωgm=1687μSμ=1499.5V/V★NEOTRON 6J7見た目がEF37です。三結Ep=130V、Eg1=1.4V(RCA5963の電流に合わせました)のとき、Ip(+Ig2)=8.00mAIg2=1.61mArp=10234Ωgm=2094μSμ=21.4V/V五結Ep=130V、Eg2=100V、Eg1=1.5V(RCA5963の電流に合わせました)のときIp=4.86mAIg2=0.95mArp=2839683Ωgm=1722μSμ=4891.3V/Vサンプルが少ないですが、結論としては、・6J7を6SJ7同等の電流値にしたいときはバイアスを浅くする必要がある。・6J7は6SJ7よりgmが低い。・6J7は6SJ7よりrpが高い。・6J7は6SJ7より直線性が良い。・μは三結で19~21くらいなのはどれも殆ど同じ。手持ちに有れば使いますが、わざわざ何千円も出して買ってまで6J7を選ぶ必要は無いなぁという感想です。6SH7は6SJ7に比べて感度が高い球なので増幅率も期待できそうです。別の記事で紹介する予定です。EF37はどうなんでしょうね。6J7に近いでしょうか?別の記事で紹介してみたいと考えています。因みに6SG7という球は6SH7に似ていますが、セミリモートカットオフのようです。好んで使用される方も居られるので、たぶん歪み打ち消しの為かもしれません。こちらも近いうちに紹介しようと思います。
Dec 12, 2022
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Bendixの5992という真空管を紹介します。6V6系ではありますが、軍用ということで耐震性などが高められているようです。リブの入ったボックスプレートです。6V6とは随分と形状が異なります。低く身構えた姿は、耐震性を向上するためでしょう。かなりしっかりした造りですね。規格は、真空管(Electron tube) 規格表データベース「5992」規格表が参考になります。6V6同様にプレート損失12Wです。ヒーターは6V6の0.45Aに対して0.6Aと余裕を持たせてあるようです。耐震性を上げるためにカソードは分厚く出来ており、暖まるまで1分近く掛かります。試聴レポートはオッカイポの旅「真空管小研究 Bendix5992」も興味深いですね。etracerで三結特性を測定しましょう。6V6と同じ条件でいきます。【1本目】Eh=6.3, Ih=V0.61AEp=250VEg1=-14.5VIp+Ig2=35.09mAIg2=2.57mArp=2370Ωgm=3894μSμ=9.2V/V【2本目】Eh=6.3, Ih=V0.61AEp=250VEg1=-13.5VIp+Ig2=35.08mAIg2=2.66mArp=2434Ωgm=3796μSμ=9.2V/V【3本目】Eh=6.3, Ih=V0.61AEp=250VEg1=-13.7VIp+Ig2=35.12mAIg2=2.63mArp=2368Ωgm=4059μSμ=9.6V/V【4本目】Eh=6.3, Ih=V0.61AEp=250VEg1=-15.3VIp+Ig2=35.11mAIg2=2.27mArp=2267Ωgm=3953μSμ=9.0V/V三結特性においては、6V6とほぼ相違ないかなと思います。ところで、ビーム管接続の特性を見てください。この1本が特に酷いのですが、他の3本も大体似たような傾向があり、170V前後のところに段付きが出ます。5992のビーム管接続は左肩下がりが酷く、途中の段付もあるのでオーディオ向けとしては推奨できません。(あくまで私個人の意見です)「耐震性のある球だから音も良いだろう」とか、それは幻想ですので。と、私の心の中の「創〇の館」先生が仰っています(笑)因みに日立の6V6のビーム管接続はこちら。全然違いますよね。三結で使うなら全く問題なく使えますが、市場で異常に高騰した価格でわざわざ購入するのは...。(もちろん「希少球だから欲しい」ということで買うなら構いません)etracerはIpカーブを描ける便利さはあるものの、真空管の素性の悪さも見せてしまうので、それはそれで悩ましいですね。悪い特性を目にしてしまうと「ああ、これは見なければよかった..」と思うこともしばしばあります。(笑)
Feb 24, 2024
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AmperexのJAN-CEP-120という真空管を紹介します。これは知人から譲って頂いたものです。写真右の211と比べてみると、細身でプレートも小柄ですね。しかし、小柄ながら、しっかりした構造です。フィラメントは2点吊りのM型。実測で10V2.6Aですので211系よりフィラメント電力が低目です。さて、この120という真空管の規格が不明です。前述の写真のようにプレートの大きさからみて、75Wに満たない気がします。50~60Wと見ておけば安全かと。211系は、バイアスやrpの違いなどで沢山種類がありますよね。803だとか284Dだとか、オーディオ用で人気な845とか。今まで測定した211や845タイプの大型管は、フェデラルのF123ASTCの4242A中国製の845PSVANE Acme 845Fullmusic 211東芝UV-211Aなどなど。この120が何者か、実測すれば見えてくると思います。もちろん中古なので本来の性能が出ていなくて正確な比較にはなりません。etracerで特性を測定しましょう。とりあえずPd=60Wと仮定します。(もう少し低くてもよかったかも)【1本目】Ef=10.0V, If=2.61AEp=600VEg=+54VIp=70.34mAIg=8.21mArp=17472Ωgm=1179μSμ=20.6V/V【2本目】Ef=10.0V, If=2.60AEp=600VEg=+52VIp=69.92mAIg=7.74mArp=17635Ωgm=1201μSμ=21.2V/Vかなりプラス側にバイアス電圧を掛けて使うようです。感度は低めの印象ですが直線性は良いと思います。オークションで211互換のように書かれているのを見ましたが、特性が全然違いますのでご注意を。
Apr 10, 2024
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今回も「失敗しちゃったかな」感が満載の真空管です。12JZ8と17JZ8という真空管を紹介します。上がELEVAMの12JZ8、下が日立の17JZ8です。12ピンのコンパクトロンです。昨年だったか、2本で1000~2000円台だったので、試しに買ってみた真空管です。実はゴリピカリ氏の「キューブくん」を見て興味を持ちました。規格は、真空管(Electron tube) 規格表データベース「GE 6JZ8」を参照ください。ヒーターの規格は以下の通り。12と17意外に6と13が存在します。 6JZ8 6.3V1.2A12JZ8 12.5V 0.6A13JZ8 12.7V 0.6A17JZ8 16.8V 0.45A随分と大食らいな球ですね。12JZ8をetracerで特性を測定してみましょう。なお、第二ユニットの三結では170Vの30mA、五結では150Vの35mAで測定しました。Eh=P12.6V, Ih=0.59A1本しか測定しませんでしたが、トランスレス用の球なので、電流は揃っているはずです。【第一ユニット】Ep=150VEg1-5.2VIp=3.95mArp=9936Ωgm=2136μSμ=21.2V/V6FQ7の片側のようなユニットでしょうか...そんな印象です。【第二ユニット】三結特性Ep=170VEg1=-21.2VIp+Ig2=29.92mAIg2=2.85mArp=1276Ωgm=4389μSμ=5.6V/V【第二ユニット】五極(ビーム)接続特性Ep=150VEg2=110VEg1=-10.5VIp=34.74mAIg2=1.72mArp=17086Ωgm=5773μSμ=98.6V/V第二ユニットは三結にすると前段の増幅率が全く足りません。これは、ゴリピカリ氏の「キューブくん」の作例に従うのが無難そうです。第二ユニットの三結、五結ともに直線性は良くないです。これは垂直偏向用途の球なので敢えて直線性を悪く設計しています。これについては日立評論1961年12月号の「垂直偏向出力管の動作解析」が参考になると思いますが、私はサッパリわかりません。(汗)さて、この手の球の「直線性の悪さ」ですが、おんにょの真空管オーディオ「89/38シングルアンプ・完成」では直線性の悪い球を使いつつも概ね高評価です。なので、直線性が悪さが必ずしも音質の悪さにはならないということでしょうか。因みに、有名な3033AやR120も、上の方は寝てきていて整ったIpカーブとは言いがたいですし..。この球の最大の魅力は「大食らいなところ」でしょうか。たとえば6L6でもRFTの6L6は普通の6L6の0.9Aに対して1.1Aの大食らいで何となく魅力を感じるじゃないですか。ああいう感覚です。手持ちに小さな3.5kΩのトランスがあるので、Ep150Vだと丁度良い感じかと思います。+Bはトランスの電圧降下と自己バイアスぶん込みで165~170Vくらいでしょうか。12V電源と安い昇圧ユニットで作るのが無難そうです。
Aug 22, 2023
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DA30オジサン2024アップデート(アリエク風に)ということで、GEC DA30(新型)の紹介です。市場で見かけるのは黒のベースですが、こちらは茶色のベースです。製造時期の違いでしょうか...。余談ですが、ベースの向きに対して2本のDA30の印字が真逆の位置ですね。最近のオーディオ用真空管とは異なる考えですので、これは仕方ないですし、特に英国製は電極の向きまでバラバラのときがあります。(笑)DA30という印字の左下と右下に製造ロットのような印字があって、それぞれ「I KJ」と「I KL」でした以前紹介したDA30という真空管とは規格はほぼ同じですが真空管の構造が異なっていて、こちらは四極管を三極管接続しています。プレートのすぐ内側に4本の柱が立っていてそこにスクリーングリッドが巻かれています。この構造のメリットは効率や耐圧などだそうで、仕組みについては真空管のコアな世界「3極管と5極菅の路地裏ばなし」が詳しいです。以前紹介したCV1040(PX25)もこの構造ですね。全体的な造りは、以前紹介したCV1040(PX25)とほぼ同じで、グリッドのピッチが異なるようです。etracerで特性を測定しましょう。320V60mAのところで測定します。【1本目】Ef=4.0V, If=2.02AEp=320VEg=-79.5VIp=60.18mArp=763Ωgm=4086μSμ=3.1V/VEf=3.8V, If=1.96AEp=320VEg=-79.0VIp=59.88mArp=777Ωgm=4083μSμ=3.2V/V【2本目】Ef=4.0V, If=2.07AEp=320VEg=-79.2VIp=60.01mArp=768Ωgm=4117μSμ=3.2V/VEf=3.8V, If=1.95AEp=320VEg=-78.8VIp=59.86mArp=776Ωgm=4079μSμ=3.2V/V実に綺麗なカーブを描いています。因みに1本目は320Vの-79.5Vで70mAを5kΩ負荷で最大4.35W、しかも非直線歪2.85%です。これは前段の非直線性がモロに出ます。音が悪かったら終段のせいではありません。Ip特性を見ると、以前紹介したDA30という真空管とほぼ同等であるといえますが、若干異なります。では、実測したIpカーブを見比べてみましょう。上が新型(四極管の三極管接続)、下が旧型(純三極管)です。旧型のほうが高圧のカットオフ側でIpの立ち上がりが訛って幅が詰まる傾向にあります。勿論ほんの僅かの差であり、最大出力のクリップ寸前でなければわからないと思います。1W程度での差異は殆どありません。規格上は同じですから当然同じ結果になるはずですが、構造の違いでしょうか微妙に異なることが実測によって確かめられました。真空管を実際に測定してみると、多少のバラツキはあるものの大体の傾向はわかります。規格には現れない情報も見ることができます。今回の測定結果が、DA30をお持ちのオジサマ達の参考になればと....。
Sep 15, 2024
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水曜日に川崎大地風鈴市で買った風鈴です。金属の風鈴は良く響きすぎるので、母が選んだ物はサスティーンの短い陶器と硝子のみです。週替わりで付け替えて楽しもうと思ってます。諏訪ガラスの風鈴。母が真っ先に目を付けて買ったものです。ガレを研究して作ったようです。大変手間の掛かる作業ですので、5000円以上するのは納得。笠間焼の風鈴。(原陶工房)母が随分前に母方の祖母と笠間稲荷に行った記憶があり、それだけの理由で購入。素朴な造りで、音も素朴な感じ。工房のブログを見ると、工房自らが「焼物の風鈴はご愛敬程度だ」と述べていますが、夏を一寸楽しむ物なのでご愛敬で十分ではと思います。会津本郷焼の風鈴。(木之本漆器)夏っぽい柄です。東京の釣りしのぶ母は築地生まれなので、釣りしのぶが好きとのこと。津軽びいどろの一輪挿し。(北洋硝子)この季節、庭に丁度良い花が無かったので置物としてます。
Jul 24, 2016
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CV1079という真空管を入手しました。背は低いけど、カッコイイ真空管です。807類似とも云われているようですが、果たしてどうなのでしょう...詳しくはThe Valve MuseumのCV1079の資料を参照下さい。ピンは欧州のB5にトッププレートです。したがって、6L6用のアンプに挿すにはアダプタを作らなければなりません。ヒーターは6.3V1.25Aでプレート損失は25W程度だそうです。だいたいB5ソケットの物は4V管が多いですが、これは6.3Vなので有り難いですね。そのまま使えます。アダプタを作らねば...ということで作ってみました。プレートは807より短く横に広い感じですね。送信管なので造りはきちんとしています。上下はシールドになっていてヒーターが見えにくいというのが一寸残念。見た目は悪いですが、アダプタを作ってみました。etracerで計測してみましょう。1本目Ep=280VでEg1=-18.5Vのとき、Ip(+Ig2)=54.52mAIg2=3.34mArp=1619Ωgm=5267μSμ=8.5V/V2本目Ep=280VでEg1=-18.5V(1本目のIpに合わせました)のとき、Ip(+Ig2)=54.65mAIg2=3.56mArp=1565Ωgm=5399μSμ=8.5V/V807の特性も参考として載せておきますね。如何でしょうか、総じて「見た目は違うけど、ほぼ807」といえます。(プレートの耐圧は低目ですが、オーディオでは高くても350~400V程度でしょうから、あまり関係なさそうです)とても素晴らしい音楽を奏でてくれます。
Oct 28, 2022
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帯状疱疹の痛みによって意識がもうろうとしているうちに、さらに1台アンプを落札してしまいました。12A5プッシュプルアンプです。なんでこのアンプを買ったかというと、ダブルヒーターなんです。SYLVANIAはシングルヒーターと言われていますが、実はこのアンプに使われている12A5はSYLVANIAの刻印でダブルヒーターす。刻印でなくプリントになってからシングルヒーターになったのかもしれません。その他、RAYTEHEON、TUNGSOL、KEN-RADはダブルヒーターと言われていますが、これも時代によってはシングルになっているものがあるかもしれませんね...。シングルヒーターとダブルヒーターの違いはわかりませんが、以前紹介したARCTURUSの42のようにgmが若干異なるかもしれません。構造が異なりますから。因みにSYLVANIAの12A5とARCTURUSの12A5(手持ちは1本しかありません)と似た構造です。ひょっとして同じ工場での製造???12A5に関しては球球コレクションの記事に書かれています。規格に関しては真空管(Electron tube) 規格表データベースの12A5規格表を参照してください。ヒーターは12.6V0.3Aで、センタータップを使用すると6.3V0.6Aでの点火も可能です。プレート損失は8Wちょっとあります。12A5は2A5の12V版ではありません。42族とは全く別の種類の真空管です。そもそも12A5は市場に出回っているものが少なく、しかもダブルヒーターが4本揃っていることは希です。私がどうしても欲しい真空管があるときの方針です。このアンプの回路は、初段5670(1/2)にPK分割には5670パラです。NFBが掛かっていて、この回路だと若干ゲイン不足のような気もします。12A5三結はプレート電圧が180V程度なのにグリッドバイアス-30V以上を要求するバイアスの深い球です。それゆえ大きなスイングが必要になります。さて、このアンプの音は...リュートなどの音楽は問題がありませんが、大編成のものは全く駄目です何かが物足りない気がします。設計そのものが原因か、小さな出力トランスの問題か..。アンプの造りですが、先日紹介した6BL7のアンプよりは見劣りしますが丁寧に作られています。32000円程度で買えたので大変お買い得といって良いでしょう。何よりSYLVANIA刻印の12A5が4本揃っているわけです。さて、この12A5なる真空管は何者なのか、etracerで調べてみましょう。1本目ちょっと高圧側に不安あり。Ep=180VでEg1=-35Vのとき、Ip(+Ig2)=24.50mAIg2=3.95mArp=1327Ωgm=2709μSμ=3.62本目Ep=180VでEg1=-35Vのとき、Ip(+Ig2)=28.81mAIg2=4.31mArp=1445Ωgm=2465μSμ=3.63本目Ep=180VでEg1=-35Vのとき、Ip(+Ig2)=25.96mAIg2=4.26mArp=1586Ωgm=2295μSμ=3.64本目ちょっとカーブがおかしいです。Ep=180VでEg1=-35Vのとき、Ip(+Ig2)=29.01mAIg2=4.64mArp=1496Ωgm=2304μSμ=3.45本目はARCTURUSのものです。Ep=180VでEg1=-35Vのとき、Ip=25.16mAIg2=3.91mArp=1559Ωgm=2356μSμ=3.7全体的に悪くない特性だと思います。5kΩ~7kΩの負荷で静かにならすイメージでしょうか。出力はそれほどとれません。出力電力のクラスとしては42より41クラスに近いでしょうか。何よりも三結でのrpの低さは魅力的でしょう。
Nov 25, 2022
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手持ちにRCAの1619(8本)とNEOTRON(フランス)の1619(8本)があります。NEOTRONのほうが太いです。放熱面では有利かな。(総面積が広いので)規格はFrankさんの資料室の1619規格表を参照下さい。送信管として開発された物らしいです。なので直熱管としてすぐに送信開始できる仕様となったのでしょう。追記:manado06氏のブログの1619の記事も参照ください。オーディオ用途としては数十年前の無線と実験で紹介されてから、価格の安さもあって飛ぶように売れましたが、いつしか下火になりました。あまり良い音でなかったのでしょうか...。ではetracerで三結特性を調べてみましょう。RCAの1619(サンプル1本のみ)Ep=300VでEg1=-17Vのとき、Ip(+Ig2)=38.38mAIg2=4.17mArp=2425Ωgm3907μSμ=9.5V/VNEOTRONの1619(サンプル1本のみ)Ep=300VでEg1=-17Vのとき、Ip(+Ig2)=40.15mAIg2=5.01mArp=2508Ωgm3687μSμ=9.2V/Vどちらの1619も8本ずつ計測しましたが38mA~46mA程度に収まっています。特性を見る限りでは直線性もそれほど悪くないです。rpが高いのでパラシングルなど2本使いが良さそう。私ならパラにして5kΩのトランスにすると思います。パラPPでしたら、NFBなしでも十分なDFになるのではないかと思います。因みに、RCAの1619の出来ばえ、歩留まりは良いとはいえず(いや、ハッキリ言って悪いです)、数割がこのような特性でした。これの落とし穴は300Vの-17V付近のみでの動作は全く問題ないことです。(チューブチェッカーで合格でもカーブトレーサーでは異常なIpカーブを描く)今回は譲って頂いた方がストックをお持ちでしたので、NG品を交換してもらい、ほぼ問題ない特性のものを揃えられました。1619のアンプで音が悪いものは、もしかしたら真空管がNGかもしれません。少なくともRCAの1619に関しては歩留まりが悪い(2~3割が動作はするけれどオーディオ用途では使えない)としか言い様がないですね。軍用の球なので不良は交換と割り切っているのでしょう。また、オーディオ用途でもありませんですので、これは仕方の無いことかもしれません。対してフランスNEOTRONはetracerの測定で全て問題ない特性を出しています。1619に関してはフランス軍の勝利です。フランス国歌斉唱!!
Nov 26, 2022
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今回は「845という真空管」の続編です。ひょんなことから中古のPSVANEのAcme A845を超格安で入手しました。PSVANEのAcme(頂点あるいは極致という意味らしい)シリーズはPSAVANEが持てる技術を注ぎ込んだフラッグシップだそうです。PSVANEのほうがやや大柄ですね。PSVANE(貴族の声)は曙光電子のエンジニアが新たに立ち上げたブランドなので、曙光電子の暖簾分け的存在なのでしょうか...。そういえば、日本で販売されている中国の真空管は4社くらいでしょうか。・Shuguang(曙光電子)・PSVANE(貴族之声)・LINLAI(林籟)・Full Music (天津全真電子管技術)どのメーカの真空管も最近は実力派な感じですが、富裕層向けになってきている感じもします。さて、このA845という真空管をじっくり観察しましょう。プレートは六角形のセラミックとマイカ板で支えられています。なかなかしっかりした造りです。中国の真空管全般に言えるのですが、JJと違ってガラスの透明度が若干ながら良くない気がします。(凝視しないと気になりませんが)謎のプレート構造。金属を繊細に成形したのち、カーボン系の塗膜をつけています。内側を見ると....これは面積を稼ぐためでしょうか。フィラメントの能力が決まっている場合は電子を受けるプレート側での工夫が必要になるので、PSVANEとしての結論がこの形状なのかなという印象でした。(メーカーの真意はわかりませんが)etracerで特性を測定します。今回は600V100mAになるよう合わせて測定しました。【PSVANE(貴族之声)A8451本目】10.0V 3.08AEp=600VでEg=-67.1Vのとき、Ip=99.98mArp=1557Ωgm=3314μSμ=5.1V/V【PSVANE(貴族之声)A8452本目】10.0V 3.17AEp=600VでEg=-67.2Vのとき、Ip=100.01mArp=1556Ωgm=3290μSμ=5.1V/V参考までに同条件でShuguang(曙光電子)の845Cも測定してみます。【Shuguang(曙光電子)845C1本目】10.0V 3.00AEp=600VでEg=-67.9Vのとき、Ip=100.08mArp=1613Ωgm=3135μSμ=5.1V/V【Shuguang(曙光電子)845C2本目】10.0V 3.20AEp=600VでEg=-69.6Vのとき、Ip=100.40mArp=1553Ωgm=3252μSμ=5.0V/VPSVANEもShuguangも良好です。当然ながらどちらも845で、ほぼ規格どおり。どちらかといえばPSVANEのほうが数Vだけバイアスが浅く若干感度がいいかな程度。TU-8200R(魔改造品)へ接続。Ep280V40mA程度の極軽い条件で聴いた限りどちらも変わりません。どちらも良い音です。因みにTU-8200R(魔改造品)は、2番7番ピンのプリントパターンをカットし他から電源を取り入れています。(初段のEhが上がってしまうのでR70は1Ωと2.2Ωのパラ接続に変更)8番7番ピンをショート。半田付けが汚いけど気にしないです。照明を落とすとトリタンの灯が煌々と。球の下側はタップリとゲッターを飛ばしてあるので足元側に光はあまり出ません。280Vのプレート電圧でも部屋で効くには十分です。1W出るか出ないかくらいですが。なかなか良い真空管です。
May 24, 2023
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いままで「6A4という真空管」や、「RAYTHEONの10という真空管」や、「1619という真空管」などの記事でIpの高圧が浮く現象を見てきました。このIpカーブが浮くやつです。特に段付きで浮くやつ。なまじカーブトレーサーを持っていると、「この現象」が気になって夜も眠れません。(いや、普通に寝てるけど)この現象について、同じく疑問に思われている方が居られます。真空管のコアな世界で紹介されている「6B4G・6AV5問題」「2A3 NEW STYLE」「2E24活用術」これらを見ていただくとわかるのですが、やはりこの現象に注目され、詳しく考察されています。僅かな浮き上がりは、Efを少し下げることで解消されることも書かれています。(ただし大電流側がタレない程度に)別の情報ですが、「使い込むと落ち着いてくる」という話も聞いたことがあります。新品同様のPX4など、「緩やかな浮き」はEfを少し下げれば良いのですが、大きな段付きの浮きなどは、Efを少し下げても完全に解消できない印象です。取り敢えずEfをチョット下げてみることをやってみて、Efを下げてもなおIpカーブが浮く現象を回避するには、諦めて素直にB電圧を下げることでしょうか。(高能率スピーカーを使って静かに聴いている私は1Wも要らないので)それと、負荷抵抗高めでロードラインを寝かせてあげるくらいでしょうか..。高圧側は電流が多く流れて真空管には若干厳しい動作となりますが、十分プレート損失内に収まっている動作であれば、大丈夫かと思われます。余談ですが、カーブトレーサーで高圧側でポーンとIpが飛ぶように上がって計測終了になるのは、放電です。ゲッターを暖めると放電開始の電圧が上にズレますが、「放電する球はどうやっても放電する球」と諦めた方が良いこともあります。ロードライン次第の話ですが、たとえば300Vで放電する球を250VのA級動作などですと、高圧側(バイアスが深い側)で放電が生じて多分歪みますし球の寿命も縮めてしまうと予想されます。普通のチューブチェッカーは動作の真ん中の250V近辺しか見ないので、見落としがちかと思います。でも、逆にカーブトレーサーを使ってしまうと、Ip特性ばかり気にしすぎて音楽に集中できませんね。(笑)
Jul 27, 2023
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46という真空管を紹介します。手持ちはRAYTHEONの46です。RAYTHEON独自の4ピラーです。RAYTHEON独自のボックスプレートです。フィラメント点灯。規格はFrankさんの真空管資料室「RCA 46」規格表が参考になります。etracerで三結特性を測定しましょう。Ep=250VでIp+Ig2が30mAのところで測ります。【1本目】Ep=250VEf=2.5V, If=1.39AEg1=25.5Vのとき、Ip+Ig2=30.00mAIg2=4.06mArp=2682Ωgm=2106μSμ=5.6V/Vああ、なんかエミ減気味な気がします。【2本目】Ef=2.5V, If=1.45AEp=250VEg1=21.7Vのとき、Ip+Ig2=29.75mAIg2=3.83mArp=3567Ωgm=1714μSμ=6.1V/V残念。かなりくたびれています。1本目と同じ特性くらいにするにはEfを少し上げればいけそうです。(寿命は縮まりますが、どうせ棄却値を迎えそうなエミ減球です。試してみます。)とりあえず2.7V点火で。Ef=2.7V, If=1.55AEg1=25.5Vのとき、Ip+Ig2=29.29mAIg2=3.76mArp=2634Ωgm=2147μSμ=5.7V/Vなんとか持ち直しました。ボックスプレートのほうが面積的にエミッションの減少にも敏感で不利なのでしょうか?たまたま買った球がエミ減だっただけかもしれません。もう、いっそのこと2.8V位ギンギンにフィラメント電圧掛けて短命に使い切ったほうが音が良くて、球が死んでも悔いは無いかも。とか思い始めた7月8日の夜でした。
Jul 8, 2023
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SIEMENSのF2aとF2a11という真空管を紹介します。先日紹介したRS1003という真空管よりはプレート損失はずっと低いですが、堂々とした風格のある真空管です。箱はこんな感じ。本物かは不明。F2aとF2a11との違いはベース(ピン)です。電気特性に関しては、ほぼ同じです。規格に関しては、真空管(Electron tube) 規格表データベース「F2a」規格表と真空管(Electron tube) 規格表データベース「F2a11」規格表が参考になります。etracerで三結特性を測定しましょう。280V40mAと350V60mAで。【F2a:1本目】Ep=280VEh=6.3V, Ih=2.05AEg1=-13.3VIp+Ig2=39.83mAIg2=5.07mArp=1331Ωgm=11640μSμ=15.5V/VEp=350VEg1=-16.2VIp+Ig2=59.67mAIg2=7.40mArp=1137Ωgm=14136μSμ=16.1V/V【F2a:2本目】Eh=6.3V, Ih=2.03AEp=280VEg1=-11.8VIp+Ig2=39.20mAIg2=4.73mArp=1313Ωgm=13141μSμ=17.3V/VEp=350VEg1=-14.4VIp+Ig2=60.31mAIg2=7.11mArp=1119Ωgm=15439μSμ=17.3V/V【F2a11:1本目】Eh=6.3V, Ih=2.03AEp=280VEg1=-13.3VIp+Ig2=40.24mAIg2=5.31mArp=1375Ωgm=11174μSμ=15.4V/VEp=350VEg1=-16.2VIp+Ig2=59.88AIg2=7.64mArp=1180Ωgm=13392μSμ=15.8V/V【F2a11:2本目】Eh=6.3V, Ih=2.02AEp=280VEg1=-14.0VIp+Ig2=40.79mAIg2=5.01mArp=1372Ωgm=10428μSμ=14.3V/VEp=350VEg1=-17.1VIp+Ig2=59.87mAIg2=7.21mArp=1189Ωgm=12124μSμ=14.4V/Vなかなか高感度な球ですね。三結でのrpが低いのも良いです。ebayで買ったアダプタを使ってTU-8200R(魔改造品)に挿しました。4Aクラスのスイッチング電源を左右chに用意しているので、2Aくらいのヒーターなら全然余裕で灯せます。最近はF2aもあまり見かけなくなっていますね....。やはりアジアの富裕層コレクターの倉庫行きなのでしょうか。
Feb 8, 2024
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6AH6という真空管を紹介します。左からNEC、PhilipsECG(SYLVANIA)、SYLVANIA、RAYTHEON、東芝です。とりあえずNECを取り上げてみますね。両側に板のようなプレート、コの字のビーム電極。プレート損失3.2Wは...どうなんでしょうね。もっと低い気もします。規格は真空管(Electron tube) 規格表データベース「6AH6」ヒーターは6.3V, 0.45Aもありますので、6AK5の同列では語れませんが、ピンは2番7番をショートさせれば6AK5と同じピン配置です。6AK5を使った殆どの小型アンプは三結ですので、三結特性を測定して素性を明かしてゆきたいと思います。etracerで三結特性を測定してみます。【1本目】Ep=120VEg1=-2.0VIp+Ig2=7.21mAIg2=1.23mArp=4123Ωgm=8462μSμ=34.9V/V【2本目】Ep=120VEg1=-1.5VIp+Ig2=7.29mAIg2=1.35mArp=4061Ωgm=8457μSμ=35.2V/VIpカーブを見ると、2本の立ち上がりのバラツキが半端ないですね。(自己バイアス動作なら少しは馴されますが)高感度な球なので発振対策をしないと厳しそうです。そして直線性は良くありません。ちょっとオーディオには適さない印象ですが...そもそも、球ころがしの目的は、「真空管を交換して楽しむこと」なので、バラツキなどは気にしない方が楽しめます。手段=目的です。(笑)
Jul 15, 2024
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STCのCV243(4045A)という真空管を紹介します。CV243と印字されています。WJとWKはロット番号でしょうか...。フィラメントはきしめんのような幅広形状で、独特な張り方です。少しでも熱電子を有効に出そうという発想でしょうか...。トップ側はこのようなマイカの形状。ちょっと見かけない感じですね。規格は、真空管(Electron tube) 規格表データベース「CV243」規格表または、The Valve Museum「4A/137B(4045A)」規格表が参考になります。The Valve Museum「4045A」によると、「UK General Post Officeで使用されたと」記されています。そして、「2本のワイヤーグリッドは同じピッチのように見える。スクリーングリッドとしてではなくミキサーとして設計された可能性がある。」とも記されています。規格表にはCoplaner-Gridと書いてありますので、それを裏付けするようなコメントです。G2電圧で結構特性が変わりそうな予感がします。三結は無理そうですね。etracerで特性を測定しましょう。プレート損失のラインは12Wとしました。(推奨動作が180Vで40mAなので、これくらいかなと)まずは四局菅接続で取り敢えずスクリーングリッドは低目の50V...【1本目】Ef=5.0V, If=1.64AEp=180VEg2=50VEg1=-41.7VIp=39.90mAIg2=0.48mArp=3335Ωgm=1761μSμ=5.9V/V【2本目】Ef=5.0V, If=1.62AEp=180VEg2=50VEg1=-37.9VIp=40.02mAIg2=0.47mArp=3371Ωgm=1849μSμ=6.2V/Vうわ、g2の「俺が俺が」感が強いですね。スクリーングリッド電圧が僅か50Vでこのプレート電流です。そしてバイアスが深い。でも特性は2本とも良く揃っていて優秀です三結は....やめておきます。G2が効き過ぎて、低電圧域で電流が大きくなります。まぁよほど50Vくらいで運用するならいいのでしょうが現実的ではありません。180V 50V -41.7V 40mA 3.5kΩ負荷で約1.6W、5kΩ負荷で約1.4Wです。十分過ぎるほど出力がとれますね。G2の主張が強いですが、今回の電圧設定になる回路にすれば比較的使いやすい球ともいえます。残念ながら似たような球は市場に殆ど無いので、何かのアンプに挿して使うようなことは出来ないです。(専用アンプにせざるをえない)もしこの球をお持ちの方がおられましたら、このあたりの設定でやってみると宜しいかと思います。わざわざ買う代物ではありません。(STCなら何でもいいという人なら止めませんが)
Aug 14, 2024
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SIEMENSのBoという真空管を紹介します。ニッケル板を筒状にしたものとメッシュプレートを筒状にしたものがあるようですが、私の手持ちはメッシュプレートです。箱はこちら。「ベルリン・テンペルホーフ 帝国中央郵便局 チェック済み」というシール。Abnahmestelleが何を意味するのかわかりません。集荷場、ストアルームでしょうか?注意書きのカード。「この真空管はサウンドフィルム用に使用しないでください」どういう意味なんでしょうね...。ジーメンス・ウント・ハルスケという社名です。ところでこのBo....規格表が見つかりません。謎球です。この真空管の素性については、EU Valveの「German Post tubes」に詳しく書かれています。Ef=1.7V, If=0.07A(0.7Aの誤りと思われる)Ep=135, Eg=-2V, Ip=1mA,rp=40kΩgm=0.6mA/Vμ=25ピン配置は、真空管を下から見てガイドピンを基準に右回りで、・プレート・フィラメント・グリッド・無接続・フィラメントです。フィラメントに通電します。良く見ると、グリッドが両側の筒から細い板を渡しているような原始的な構造です。1920年代後半~30年代前半という100年程前の工業製品が目の前にあるのはワクワクします。etracerで特性を測定しましょう。プレート損失のラインは0.5Wとしました。Ep=135V、Eg=-2Vのところで測定します。【1本目】Ef=1.7V, 0.88AEp=135VEg=-2.0VIp=2.05mArp=30521Ωgm=486μSμ=14.8V/V【2本目】Ef=1.7V, 0.88AEp=135VEg=-2.0VIp=1.81mArp=32242Ωgm=537μSμ=17.3V/V規格のμ=25と大きく異なり、実測で16前後です。1.6Vp-pの入力(入力MAX)でまぁ20Vp-Pくらい出るのが精一杯かと。Caをドライブするには少し足りないですね。1:2くらい昇圧トランスが欲しいところ。若しくは素直にハイブリッドアンプの初段にするとか。(笑)とにかく、超古典管なので感度は悪く、実用になるギリギリという印象です。それでも100年ほど前に製造されたデバイスが動作するのはワクワクしますよね!!因みにフィラメントは0.7Aに合わせて1.4Vにすると...エミッションが全く足りない不安定なカーブになるので、電流にこだわらず1.7Vが正解ではないかと思われます。博物館に展示するようなコレクターズアイテムですが、一応は実用になります。ただ、これに大金を出すかどうかは....好みの問題でしょうか。
Aug 16, 2024
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SIEMENSのAaという真空管を紹介します。Aaという真空管ではVALVO製を紹介しましたが、今回はSIEMENS製です。たっぷりのゲッターで中身が殆ど見えません。箱はこんな感じです。箱はくたびれていますが、そもそも90年以上保管することを前提に作られていないので仕方ありません。etracerで特性を測定しましょう。【1本目】If=3.8V, If=0.47AEp=220VEg=-3.2VIp=2.03mArp=36386Ωgm=830μSμ=30.2V/V【2本目】If=3.8V, If=0.47AEp=220VEg=-2.9VIp=2.01mArp=38058Ωgm=807μSμ=30.7V/V優秀な特性がとれました。製造当初の特性に近い状態で保存されていると思います。何に使うのか?と問われると答えにくいですが、所有していたいと思わせる真空管です。
Aug 25, 2024
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