気まぐれ屋。

座ってなんかいられない！

ＴＶでちょうど、偶然とも言うべきかタイムリーにドキュメンタリー番組【キング牧師　vs.　マルコムＸ】が今、流れてる。これも何かの縁？キングと言っても、キング・オブ・ソウルな人の事を書こうと思ってたとこなんだが。公開前から、今か今かと上映を楽しみにしていた【ＪＢ】の伝記映画『ジェームス・ブラウン～最高の魂（ソウル）を持つ男～』を観た。 少し前にココにも書いた『ＨＥＬＰ～心がつなぐストーリー～』の監督テイト・テイラーの作品であるが、あっちは黒人主演ものでも差別を軸に描いた内容だからか実に正統派で、ストーリーもしっかりと作り上げられていて、優秀な映画と言っていい。だがしかし、こっちは事実あってのドキュメンタリー仕立てな黒人主演もの。それと向こうの作品と違うのは、これ以上ない程のどん底な少年時代を送っていた男の子が、溢れだす情熱と才能と度胸の良さを武器に、運と人の縁を味方に大国アメリカの音楽シーンへと殴り込みをかけ、革命を起こす、正真正銘のサクセスストーリーである。ただの綺麗なストーリーではない。かなりイビツで、エグくて、傲慢で、破天荒。時たま、彼の吐く言葉に、イラっとさえするが、それをチャラにするくらい華があるエンターテイナーっぷりに、あっという間に魅了され、全部許してしまいたくなる。何も文句は言えない。ただひたすら、参りました！と、頭を下げるしか、ない。だって彼は、音楽の神様に選ばれし者で、代わりのいない天才だから。ＪＢがいかにして頂点へと上り詰めていくのか、そして歳をとり失速していくのか・・・彼の音楽に衝撃を受け長年魂揺さぶられてきた私も、そんな細かい事は、映画を観るまで知らなかった。戦争を経験したり、人種差別を経験したり、刑務所に世話になったり・・・その辺はざっと理解してはいても、彼がこれ程まで壮絶な人生を送ってきた人だったとは！これがすべて脚色されたものでなくＪＢの真実だとしたら。私がこれからＪＢの音楽を聴く時、新たな感動や感情が生まれて来るであろう。彼がなぜ、Ｆｕｎｋｙ　Ｐｒｅｓｉｄｅｎｔと呼ばれ亡き今も、若いアーティストに影響を与え、Ｋｉｎｇであり続けるのか・・・・・・この作品のプロデューサーとして、あのミック・ジャガーが参加している事も、観ればすべてに納得がいく。底辺からスタートした彼の人生は、ちょっとやそっとで脆く壊れたりしない。頂点だろうがそこから徐々に落ち目になろうが、彼は常に涼しい顔で言うのだ。「独自の道を突き進め！」と。ＪＢを知らない人でも聴いた事があるかもしれない名フレーズ「ゲロッパ！」連呼のあれは、ホントは「ＧＥＴ　ＯＮ　ＵＰ！」と叫んでるんだが。あの歌「Ｓｅｘ　Ｍａｃｈｉｎｅ」の中身のほとんどを占めるくらい彼が言わんとしてるのは、要するに「お前ら、立ち上がれ！」ってこと。あんな凄い人生を送ったＪＢに、そんな事言われたら従うしかない！って、感じですよ、もう。やっぱＪＢ、凄すぎ。そして何より、今作も『ＨＥＬＰ』同様、配役が素晴らしい！！！ＪＢが憑依したと言っても過言ではないチャドウィック・ボーズマン。喋り声から股割りパフォーマンスまで、完璧にコピーしてて、違和感なし。あれくらい徹底してくれたら、熱狂的ＪＢファンも大満足なのでは。そして彼をＫｉｎｇへと導く、最初のきっかけを作ったキーマン：ボビー・バード役のネルサン・エリスがこれまたイイ！このふたりの歌の掛け合い、本物じゃないけど、震えます。座って観るのは、もったいないくらい体がうずうずしてしまう。アナ雪みたく、歌って踊れるＬＩＶＥ形式にしてくれたら間違いなく立ち上がっていただろう。だってＪＢが、ドアップでこっちを見て言うんだもん。ゲロッパ！　ゲロッパ！！　ゲロッパ！！！　と・・・・・・★　　★　　★　　★　　★今日のひとこと。「ひとつ、オトナになりました。今日から一年、また精進します。」