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早いもので、あの人と付き合ってもう二年が経っている。楽しい日々の中には、苦しいこともあったけれど、それでも互いに支え合いながら、私たちはどこまでも深く結びついていった。 でも……来週あの人は、南米ペルーに行くことになった。もう帰ってこないかもしれない。それを知ったとき、私はただ静かに、心の奥で言葉を失った。「君も一緒に行かないか?」 その一言が頭の中で何度も反芻される。あの人と一緒に行けたらどんなに良かっただろう。でも、私はそれを選ばなかった。私にはあの人と一緒に行くことで、これからの人生が全く見えてこなかったのだ。まだ今の生活に未練があったし、何もかも捨てて今の自分を変えることが怖かったのかもしれない。 それでも、横浜で食事をした後、私たちは自然にいつものシティーホテルに足を運んだ。あの人は何も語らず、私もまたその流れに抗うことはなかった。部屋に入ると、窓から見える横浜の街の灯りが少しずつ薄れていくのがわかった。そして夜の訪れと共に、私たちはお互いの体を確かめるように愛を交わしていた。よこはま たそがれ ホテルの小部屋くちづけ 残り香 煙草のけむりブルース 口笛 女の涙 その時、私は何を思っていたのだろう。あの人と過ごした時間が、もう終着駅に向かっていることを知りながらも、心のどこかでその事実を認めたくない自分がいた。だがそれでも、今ここで愛し合うことが、あの人との最後の瞬間だということを感じざるを得なかった。「必ず帰ってくるよ」とあの人は言ったが、その言葉は空虚に響くばかりだ。私はその時、ただ「うん」と答えることしかできなかった。もちろん、帰ってくるかどうかなんてわからない。だが、今この瞬間を失いたくなくて、必死にその温もりを覚えておこうと思ったのである。 二人の体が重なるたびに、私は心の中で何度も思い出を呼び起こしていた。初めて出会ったあの日のこと、手を握りあったあの日のこと。私たちの関係は、始まりからずっとこんな風に、不確かな未来を抱えながら続いてきたような気がする。いつかあの人が去ることを知っていたのに、なぜ私は一度もそのことを本気で受け入れられなかったのだろうか。 次の日の朝、目を覚ましたとき、あの人はすでに私の隣にいなかった。そしてベッドの空いたスペースにも、彼の存在を感じることはできなかった。部屋の中には、ただ静けさが残っている。彼が荷物をまとめて、何も言わずに出て行った後のことを、私は何度も考えた。あの人の背中が見えたような気がしたけれど、それはただの幻影だったのかもしれない……。 私はホテルを出て横浜の街を歩いた。空は薄曇りで、海風がひんやりと肌に触れた。その冷たさが、私の胸の中で少しずつ広がっていくような気がする。振り返ると、あの人の笑顔がぼんやりと浮かんでくる。でもその笑顔が、もう二度と私の前には戻ってこないことを、私は確実に知っていた。 横浜の海を見つめながら、私はただひたすら歩き続けた。涙を流すこともできず、ただ足音だけが響いている。あの背中を追いかけることもできなかった私の心が、どこかで壊れていくのを感じながら……。 私は一度も振り返ることなく、はやく横浜の街を離れることだけを考えていた。あの人は 行って 行ってしまたあの人は 行って 行ってしまたもう帰らない作:湯川和泉下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2025.03.29
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公園で俺が俺がと咲き誇り 領土戦争桜花乱れる桜咲く たった一つの花などと 認証要求することもなく黄昏の こぼれ桜の向こう側 病か抱えた後ろ姿か作:朽木一空下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2025.03.26
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俺はまだ20代前半なのに、職場を転々として現在まで3回転職している。それも全てが自動車関連の会社ばかり、そう俺は自動車が大好きなのだ。そんな俺が高校を卒業して初めて働いたのがN自動車多摩川工場である。ここでは毎日夜勤の連続で、夜の10時に出社して朝6時に退社し、家に帰るとまるで夜行性の動物のように夕方まで眠りこけていた。お陰で食事も不規則になり友達も出来ず、毎日が自宅と工場の往復だけの不健康な生活に染まってしまった。 ただ深夜勤務のため、給料だけはかなり高額だったのだが、なにせ疲労がたまり続けて、休日も寝ているだけなので金を使うこともない。若かったのでこんな生活にもなんとか耐え忍んでいたのだが、3年後にはとうとう体がパンクしてしまい退職する嵌めになってしまった。 そのあとに就職したのは、五国製作所という自動車のキャブレターを製造している会社だった。ここではほぼ毎日、二時間程度の残業があったものの、夜勤はなかったのでそれほど苦にはならなかったが、なにせ自動車メーカーの部品の一部を製造しているだけなので主体性がなく物足りなかった。また主な役員は社長一族で固められていて、社員全体が言いたいことも言えずモラルも低く覇気がない。それでたった1年で退職してしまったのである。 さて短期間に転職したことが祟って、なかなか次の就職先が見つからなかったのだが、なんとか現在の勤務先であるI自動車工業習志野工場に就職が叶った。ここを選んだのは独身寮に入所できることと、高校時代に文芸部だった俺にピッタシの社内報編集という美味しい仕事だったからである。 この社内報は隔月発行で、春は新入社員の紹介で埋め尽くされているが、社員旅行などのレクリエーション、QCサークルや改善提案などの表彰、会社の業績発表などなど様々な記事が掲載される。 従って社内のいろいろな部署の人々との接触が必須となり、僅か入社2年が過ぎたころには、社内のいろいろな人と知り合う機会を得ることができた。これは普通なら中々馴染めない中途入社の俺には非常にありがたかった。 ある日、社内報の特集で社員旅行が取り上げられることになった。その旅行先が、何と北海道だったのだ。俺は密かに心躍らせた。自動車業界で働く者としては、車でのロングドライブはとても魅力的だった。 その旅行の準備が進んでいく中、社内報編集の仕事をしていると、思いがけずひとつの出会いが待っていたのである。編集室で仕事をしていると、隣のデスクからカタカタとキーボードを打つ音が聞こえてきた。顔を上げると、いつもは見かけない女性が忙しそうに資料を整理しているではないか。「あれ?あなたは……?」と僕が声をかけると、女性は驚いた顔をして振り向いた。「すみません、初めまして。私は新しく配属された、営業部の野川です。社内報に広告を出す予定があるので、打ち合わせに来ました」 俺は少しドキッとした。これまであまり交流のなかった部署の人だが、何か目を引くものがあったからだ。「そうだったんですね。打ち合わせなら、何かお手伝いできるかもしれません」 軽い会話から始まり、俺たちはその後も何度か話をするようになった。野川さんは、とても気さくで明るく、何よりもその瞳にどこか吸い込まれるような力があった。あの娘をペットにしたくってニッサンするのはパッカード骨の髄までシボレーであとで肘鉄クラウンさジャガジャガ飲むのもフォドフォドにここらで止めてもいいコロナ そんな歌詞のような、無邪気でおおらかなところが野川さんの魅力だった。自動車業界の人間として、彼女の笑顔を見るたびに、どこか車のエンジン音のような心地よいリズムを感じるのだった。 数ヶ月後、社員旅行が近づくと、俺は思い切って野川さんに声をかけた。「ねぇ、もしよかったら、社員旅行の時に一緒にドライブでもしませんか?」 彼女は少し考えた後、にっこりと笑って答えた。「それ、楽しそうですね! いいですよ、一緒に行きましょう」 そして、ついに旅行当日が来た。俺たちは自動車で北海道までの道を駆け抜けた。途中で寄った温泉街、夜の街並みをドライブしながら、車の中での会話は尽きることなく、まるで二人だけの世界が広がっているような感覚を覚えた。 その後、野川さんとの関係はさらに深まった。どんどんお互いを知り、何よりも車という共通の情熱が二人を強く結びつけていった。そう、俺の中で彼女は、まるで自動車のように、どんな困難でも走り抜ける力を持った存在に思えたのである。 そして、ある日、俺は彼女に言った。「ねぇ、もし一緒にこの先もずっと走っていけたら、どんなに素敵だろうと思うんだ」 彼女は少し驚いた表情を見せた後、にっこりと微笑んで答えてくれた。「私も、ずっと一緒に走りたいと思っていたんですよ」 そして二人は、未来へと向かって走り始めた。まるで自動車のようにエンジンをかけて、どんな道でも乗り越えて行く覚悟を決めて……。 こうして、俺の自動車愛と転職歴の中で出会った一人の女性との物語は、車のように速く、そして確かなものとして進んで行ったのである。作:五林寺隆下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2025.03.20
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俗諺には色々教えられることが多いのでございますが、凡そあり得ない諺も多いのです。~トンビが鷹をうむ~ それじゃあ、異種動物誕生ですかね、もっとも醜女醜男夫婦からも別嬪娘は産まれますがね、~口から先に産まれる~ 蛇女、大鼬にもまけぬ奇怪さですな、江戸は浅草、見世物小屋でみられますかな?~目から鱗が落ちる~ 魚でしょうか?人間でしょうか?つけ睫毛を落としたら、よく見えたなんてことですか?~尻からうんこが落ちる~なら、誰にでもわかるのですが、、~耳にタコができる ~~足にもタコができる~ 指にペンだこ、尻に座りタコ、近頃は蛸も値上がりで、タコ焼きには助かるんですがね、このタコ野郎!~足が棒になる~~開いた口が塞がらない~~顎が外れる~ 大笑い~顎が落ちる~ 美味しいなあ、 これは難病ですな、整形外科か歯医者の診察が必要です。~赤子の手を捻る~虐待!!作:下肥流行下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2025.03.16
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最近はどこへ行っても年寄りばかりだ。外食に行っても、旅行に行っても、映画館に行っても、もちろん病院に行っても、年寄・年寄り・年寄り・年寄りのオンパレードなのだ。どこもかしこも年寄りだらけで、うんざりしてしまう。なんでも、今の年寄りは昔とは違って至極元気だという。車をガンガン乗り回し、まるで自分たちだけの世界みたいに遊び回っている。 昔の年寄りは、家の中でじっとしていたものだ。布団の中でおとなしく過ごして、若い人たちの邪魔をしないようにしていた。でも今の年寄りは全く違うんだ。まるで世の中を席巻するかのように、どこに行っても年寄りだらけ。気に入らない、実に気に入らないね。 そんな折、久しぶりに「大吉軒」という大好きなラーメン屋に行ってみた。おいらはこの店のラーメンが大好きで、特に特製チャーシュー麺が絶品なのだ。でも店に着くと、なんとそこには長い行列ができていた。なんとその列のほとんどが、年寄りたちで占められているではないか。「ガーン、ブチッ!」 これでおいらはブチ切れてしまった。なんでこんなところも年寄だらけなんだよ。まるでおいらの楽しみを奪うかのように。いや、もしかしたら彼らが並んでいるのは、この店のラーメンが旨いからじゃないのか?そんな風に思いながらも、つい大声を出してしまった。「年寄どもはみな消えてしまえ!」 呪いの呪文を叫んだ瞬間、何かが変わった。なんと行列の前のほうに並んでいた年寄たちから、ひとりふたりと、まるで風に吹かれたように、次々と体が消え始めたのだ。「ざまあみろ」と、心の中で小さく呟いたおいらは、ひとり快感に浸っていた。これでやっとゆっくりラーメンを食べられる、と思っていたそのとき、何かがおかしいのだ。ふと自分の腕を見ると、どうしたわけか、手が少し透けてきているではないか。「う、うそだろ!?」と慌てて確認すると、腕だけでなく体の一部がどんどん透明になっていく。どういうことだ?おいら、確かにさっき年寄りに呪いをかけたはずだ。まさか、呪いが自分に跳ね返ってきたのか!?「助けてくれー! そうだおいら自身も年寄りなのを忘れていたぜ!!」 必死に叫ぶおいらだが、いつの間にか体の半分が消えたと思ったら、あっという間に全身が消えてしまった。作:五林寺隆下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2025.03.12
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梅一輪 玄関に挿し友を待つ なに話そうか なに食べようかぴょんぴょんと梅花啄む鶯が ほ~ほけきょの 稽古浅春ああ煩い へた鶯の猛練習 文句いえるか親父の演歌梅干しが 何処に咲くのか 目を皿に 鏡の中に梅干し婆作:朽木一空下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村
2025.03.06
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