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私は、姫路市立美術館友の会の会員で年会費を払っているので、行けば何回でも展覧会を観ることが出来ます。でも、正直、「スズキコージ」さんって言われても名前知らないし、チラシが頭蓋骨をあしらっていて、絵本作家と言われても少し怖い感じもするし、今回はパスでも良いかなぁ、と思っていました。しかし、ボランティアにお伺いした時にちらりと見えた作品のエネルギーに圧倒され、子供を連れて観に行くことを決めました。というか、むしろ、子供に観せたい、と思ったのです。==========展覧会場は、エネルギーと色彩が渦巻く色彩空間と化していました。----------いつもなら通路として使われている廊下も展示に使われ、「ほね・ホネ・がいこつ!」の特大絵本が置いてあったり、表と裏で全く色調の違う顔出しパネルがあったり。すごいぞ!ぼくらのからだシリーズ ほね・ホネ・がいこつ!中川ひろたか/スズキコージ----------会場に入ると、ガラスケース自体が取っ払われ、絵本とその原画が展示されると共に、原色系の色彩で派手に描かれた特大級の絵が所狭しと並べられ、さらにはパティック(インドネシアのろうけつ染め)から、巨大段ボール彫刻、仮面、ペインティングされまくった服、何がなんだか、おもちゃ箱をひっくり返したような、姫路美術館では見たことのない展示空間が広がっていました。とにかく、エネルギーが凄まじい。----------画風が好きだとか、嫌いだとか、そんな「評価」なんてお構いなしに、「絵が好きだ」というほとばしるエネルギーを次々に形にしていったかのような、とにかく、圧倒されること間違いなしの「スズキコージ」ワールドがそこにはありました。 エンソくんきしゃにのる ヤッホー ホイホー やまのディスコ----------本人は「魔法画家」になりたかった、ということだそうですが、確かにこの空間に何かの「魔法」がかかっていることは間違いありません。そして、その「魔法」は、頭でっかちな大人より、子供たちにこそ、ダイレクトにかかるのでしょう。「わけわかんないけど、とにかく楽しい!」そうとしか言いようのない、とんでもない美術展でした。==========『スズキコージの絵本原始力展~聖コージの誘惑~ 』 @姫路市立美術館 http://www.city.himeji.hyogo.jp/art/※インターネット・ミュージアムでも公開! こちらから[会期]2014.06/21~08/31[休館]月曜日[料金]一般 900円/大高生 600円/中学・小学生 100円作者:スズキコージ(公認サイト:http://www.zuking.com/)
August 27, 2014
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中学生の頃、英語の先生から授業中に「好きな画家は?」と聞かれ、絶句したことがあります。本当はエッシャーの名を挙げたかったのですが、いわゆる美術の時間で習う「絵画」とは何か根本的に違う気がしていたので、エッシャーが「画家」かどうか、自信を持てなかったからです。今ならはっきり答えられます。「 好きな画家はエッシャーです」と。エッシャーの描く絵は、いわゆる「騙し絵」的な作品から、肖像画、風景画に至るまで、どれも理性的で精緻、そして何より不思議な魅力に溢れています。「エッシャー100選」展が、明石市立文化博物館で開かれていると聞き、行ってきました。==========導入は、イタリア時代の風景画から。この頃の作品は、「精緻でリアルな風景画」の印象が強いですが、それでも、細かいところまで見る目に、後の作品の片鱗を感じることが出来ます。今回見た中では、ヴァチカンの広場を描いた作品が印象的でした。----------そして、ここから彼の作品は、平面の正則分割、極大極小表現、立体図形の絵画等を経て、不可能立体の絵画へと進んでいくのです。有名な「昼と夜」(左に行くと昼間に黒鳥が、右に行くと夜空に白鳥が飛んでいるように見える作品)、「空と水」(下に行くに従って鳥が魚に変わっていく作品)などが平面の正則分割の作品。これの集大成とも言えるのが「メタモルフォーゼ」。この作品は何度見ても飽きることがありません。有名な「ベルベデーレ(物見の塔)」では、空間のねじれをそれと感じさせずにさらりと描き、「滝」や「上昇と下降」では永久機関とも言うべき無限に続く水の流れ、人の流れを描いて見せます。 「空と水」 「物見の塔」 「滝」(図版は展覧会チラシより引用)やはり、エッシャーの作品は、何度見ても面白い。==========私の好きな作品は、「3つの世界」という池の鯉を描いた作品。この作品では、池に写る立木、池に浮かぶ木葉、池の下にいる鯉が同時に違和感なく描かれています。一見、普通の絵画のように見えます。いや、騙し絵を期待していると、ただの絵画です。しかし、実際は全然違う次元にある「3つの世界」を2次元世界にさらりと落とし込んでしまっている「違和感のなさ」こそが、エッシャーの凄さであり、真骨頂。不思議な造形に慣れてきた時に提示されると、「どこが騙し絵なの?」となります。そこまで含めて、この作品は見事に鑑賞者を「騙す」企みに満ちていると言えます。==========さて、これらのコレクション、ハウステンボス所蔵です。何年も前、Bunkamuraで観た時も、天保山のエッシャー展でも、ハウステンボスから来ていました。ハウステンボス内には「エッシャー館」があり、3D映像でも作品を楽しむことが出来ます。(ハウステンボス内「ミステリアスエッシャー」)----------また、エッシャーの父が建設にかかわった関係から、福井県坂井市三国町の「みくに龍翔館」では展望室内に「トリックアート・ワールド」があり、1993-2001年にかけて行われた「みくにトリックアートコンペ」の入賞作品を見ることが出来るそうです。福田繁雄さんの著書で、いくつか作品が紹介されていますが、これもまた超絶技巧の作品ばかり。世の中に天才ってたくさんいらっしゃるんだなぁ、と思わされます。----------さらには、兵庫県立美術館さんでも2014.10/15-12/28の日程で「だまし絵II」が開かれます。これも楽しみ。(巡回:2014.08/09-10/15@Bunkamura ザ・ミュージアム ・ 2015.01/10-03/22@名古屋市美術館)どれもいつか時間を作って足をのばしたいものです。==========『明石市制95周年記念 夏休み特別展 エッシャー100選 だまし絵の奇才が創る無限の世界』 @明石市立文化博物館 http://www.akashibunpaku.com/[会期]2014.07/19~08/31[休館]会期中無休[料金]一般 1,000円/大高生 700円/中学生以下 無料作者:M.C.エッシャー(公式サイト:http://www.mcescher.com/)
August 23, 2014
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「新宿梁山泊」さんの芝居が面白いと聞いていながら、行きそびれて早幾星霜。当時の座付作家、鄭義信さんの新作のお芝居が神戸で観られると聞き、楽しみにお伺いしました。しかも、このお芝居、兵庫県下12劇団によって構成される兵庫県劇団協議会の45周年記念合同公演。即ち、兵庫県下の精鋭の役者さん達による夢の競演。正に梁山泊!==========舞台は、少しばかり寂れた小さな結婚式場。今日は三組の挙式が予定されています。。しかし、それぞれの家族には、それぞれの「事情」があり…。結婚式という人生の「ハレ」の舞台で交錯する様々な思い。謎の登場人物、物語を盛り上げる音楽隊、真面目ながらも個性的な従業員達。バタバタとお話が同時進行で進んでいく中、題名通り、それぞれの「物語」が「ピビンパ(かき混ぜ)」され、蛍が物語に明かりを灯します。==========笑って、泣けて、感動できる、お芝居の王道のような作品でした。観客も含めて、同時に同じ舞台空間を共有しているからこそ生まれる独特の空気感の中で、生身の役者さん達が、台詞に、動きに、命を吹き込むことで、テレビとも、映画とも違う、お芝居でないと得られない笑いと感動が生まれるのです。==========緩急自在に場の空気を変え、しっかり笑わせ、しっかり泣かせ、かつ、多くの出演者それぞれに、しっかりと存在感を持たせる脚本の妙。この脚本の要請に応え、脚本を活かしきる、役者さん達それぞれの素晴らしい存在感。演技の上手下手を言葉で説明することは難しいのですが、どの方も間違いなく上手い。さらには、自然な形で入る、韓国楽器の生演奏。音楽だけでなく、その演奏技法、演出もエキゾチック。開演前の演奏も素晴らしく、劇中の登場の仕方も面白い。久しぶりに「良いお芝居を観た」という充実感を味わうことが出来ました。==========兵庫県劇団協議会 45周年記念合同公演 『ピビンパ ウェディング』 @神戸アートビレッジセンター (兵庫・神戸)2014/08/07-10 作・演出;鄭義信 出演:兵庫県劇団協議会 所属劇団 劇団員 神戸ドラマ館ボレロ 劇団四紀会 劇団自由人会 劇団神戸自由劇場 劇団ここから 劇団プロデュース・F 神戸ドラマ倶楽部 劇団風斜 劇団どろ 兵庫県立ピッコロ劇団 劇団道化座 神戸職演連 演奏:鄭慎二・閔俊泓
August 10, 2014
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