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最近目に留まったニュース。福岡県大牟田市が保健所を廃止するという。お堅い表現でいうと、保健所設置市(保健所政令市)を解除する。もっと正確に言うと地域保健法施行令に定める「保健所を設置する市」としての記載から市名が削除される。現象としては、同市域の保健所業務は、市ではなく県に移管されることになる。6月26日に改正政令が公布され、来年(令和2年)4月に指定解除が決定した。全国でも初めてのケースだ。普通の住民にとってはあまり関心もなかろう。行政内部のちょっとした仕組みの変更。仕事で関係ある人だと、届け出先が市保健所から県保健所になるという影響はある。この場合、大牟田市内で用が済んだのが、おそらく柳川市か八女市に所在する県の保健所まで行くことになるようだ。市のサイトの資料や議会の議事録をみると、市は設置主体変更を昨年9月に国と県に要望。市としては、運営経費がかさむこと、医師や獣医師の確保が困難なことを理由としている。また、食中毒、感染症、自然災害などに十分に対応できない、と説明している。自治体がみずからの体制の脆弱を理由に、業務を返上するというのは異例のことだと、私は感じたのだが、考えてみれば十分ありえることだ。大牟田市は工業都市として栄えた土地だが、人口減少も激しい。環境や健康を担う保健所に寄せられるニーズも減ってきた、と言えなくもないか。村は町に、町は市に昇格をめざし、大きな市は指定都市や中核市をめざし、また国としても保健や衛生の事務は県から市町村に移管する流れを作ってきたと言えるだろう。しかし、現実は冷ややかだ。なんでも右肩上がりの時代はとうに過ぎた。経済学的には、県が規模の経済を生かして業務を担うのが合理的。これに抗って、市民の自治だとか、県の業務を受け取って一元的行政に励みます、などとカッコつけて居られなくなっているのだ。東北各地でも、小中学校や高校は廃止や統合が進んでいるし、そもそも平成の合併は基礎体力の落ちてきた市町村の体制強化の意味合いもあった。大牟田市の事例は、二層構造の地方自治体制の視点からみれば、福岡県が大牟田市を救済するという見方もできる。同様のことは今後増えていくのだろう。市立の高校、病院、のみならず各市町村が単独経費で実施してきた産業、観光、文化などの面の独自の取組も解消されていく方向が顕著になるのでないか。これを悲観的に眺めていても仕方がない。どこまで行政に担わせるのか、換言すれば、人口や財政が縮小していく中で、市民、企業、行政の役割分担を大いに議論していかなければならないだろう。自治の根本問題でもある。国家の統制を嫌って(特に都市型社会において)市民自治を追求しようとした時代があった。その意義はもちろん失われていないが、経済合理性だけでなく、コストをかけてでも守る真剣な地方自治について改めて議論すべきタイミングなのかも知れない、と。
2019.07.21
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某所の道端に。手作り感満載ですが、大変よくできています。紐を引くと、カランと鳴るのです。
2019.07.15
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今朝の新聞記事。JR東日本が来春(20年3月まで)に、常磐線の全線再開と合わせて、仙台駅と東京を結ぶ直通特急列車を運転する。大震災の前には、仙台-上野でスーパーひたちが走っていたから、9年ぶりということになろう。記事では、都内は上野駅か品川駅になるという。ちなみに、福島の新聞では、見出しが「東京-仙台間の直通特急再開」で、河北新報が仙台を先に出しているのと対照的だが、いずれにしても東北にとって朗報だ。沿岸部の復興の大きな節目といえるのでないか。(JR東日本の5日のリリース資料では、東京都区内と仙台市内を直通で結ぶ特急列車、と表現。やっぱりしょうでしょうけどね。)特急列車が亘理や相馬を快走する姿を、目にしたいと思う沿線の方々は多いはず。そして、仙台駅ホームに、上野か品川かの行き先を掲げたE657系が姿を見せる日が、待ち遠しい。かつてのスーパーひたちは仙台と上野を4時間台で結んでいた。仙台と都内の間の交通需要なら、東北新幹線が早いが、例えば水戸やいわきなどと仙台を結ぶなら、やはり常磐線特急だろう。宮城県側からみて、相馬や原ノ町はすでに開通しているけれども、優等列車があればもっと便利になる。通勤や経済交流にも期待されるのではないだろうか。
2019.07.06
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