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2023.01.24
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カテゴリ: 玉昭令 全52話



第8話

江文卿(コウブンケイ)の策略で人族と幽族の和議は破綻した。
しかし戦場と化した屋舎に江文卿を人質にした展顔(ヂャンイェン)が現れる。
「この人は丞相ではない!丞相を殺して成り代わった偽者、和議は温孤(オンコ)を陥れる茶番だ!」
展顔は幽族を逃すよう要求、端木翠(ダンムーツェイ)に温孤と紅鸞(コウラン)たちに罪はないと訴えた。
判断に迷う端木翠だったが、どちらにしても義父が人質に取られていては手出しできない。
すると江文卿はやむを得ず温孤たちを逃すよう命じた。



幽族は無事、解放された。

江文卿は展顔の異変に気づいて目配せ、すると觳閶(コクショウ)が動揺した展顔の一瞬の隙をついて右胸を刺した。
「展顔!」
驚いた端木翠は慌てて展顔に駆け寄り、配下の問題は自分が責を負うとかばう。
しかし江文卿は端木翠を調査から排除すると言い渡し、ともかく兵士の骸を連れ帰り、葬るのが先だと言った。
「他の件は改めて話し合おう」

崇(スウ)城へ戻った温孤は母の突然の死に絶えられず、酒をあおった。
桃花の幻境にいる父は母の訃報を知らず、幻の妻と幸せに暮らしている。
紅鸞は何か裏があるはずだと怪しんだが、温孤は自分が人族を信じたせいだと嘆いた。
「私が母を殺した、私を信じて従ってくれた仲間たちも死なせてしまった…全て私のせいだ」

兵営に戻った丞相は一方的に温孤が和議を反故にして襲って来たと説明した。
温孤の母は人族だが、もとは医者で毒に精通し、夫人が薬で先王を錯乱させたという噂もあるという。

端木翠は反対したが、丞相は人族の損失と兵たちの士気を回復させるため、崇城を何としても落とすと奮起した。
「觳閶!指揮官として一切を任せる!」

端木翠は腹心の阿弥(アビ)を失い、孤独に苛まれた。
幕舎に戻り涙に暮れる端木翠、しかし慰めてくれる展顔もいない。
その頃、江文卿は牢ではりつけにされた展顔と面会していた。

「何と言われても江易の殺害は見過ごせません、罪なき兵を死なせたことも…」
「それがどうした?…お前の言い分を信じるものなどおらぬ」
江文卿はすでに江易の死体を処理し、切り札となる証拠を消していた。
「神位を手に入れたら必ず逃してやる、私と共に沈淵を出て啓封(ケイフウ)に帰ろう」
「義父、引き返しましょう、このままでは後悔します」
しかし江文卿は自分が間違っていたことなどないと断言した。

端木翠はひとしきり泣いた後、改めて現場の様子を思い返した。
温孤は江易が毒酒で自分を殺そうとしたと訴え、展顔は義父が偽者だという。
しかし義父は温孤が酒も飲まずに毒酒だと言いがかりをつけ、襲って来たと説明した。
「阿弥…真実はどこにあるの?誰を信じればいい?」
すると端木翠は和議の前日に丞相の幕舎を訪ねた時、義父が砂盤(サバン)を見ていたことを思い出す。
和議を結ぶなら戦術など必要ないはずだ。
そこで展顔に会ってみることにしたが、ちょうど尋問を終えた義父と鉢合わせになり、追い返されてしまう。
…なぜ展顔に会わせてくれないの?義父は何か隠しているみたい…

崇城では幽族が温夫人の弔いに集まっていた。
温孤は母を守れなかったと嘆き悲しんだが、配下は悪辣な人族のせいだと恨みを募らせる。
平和を願っていた蚊女もさすがに敵を取るべきだと訴え、蚊男も出陣を命じてほしいと嘆願した。
しかし紅鸞は和議の場にいなかった端木将軍は何も知らなかったはずだと訴え、恐らく丞相と高伯蹇の陰謀だったと判断する。
その時、斥候が戻って来た。
「王上!江易が展顔を我らと結託した罪で投獄、觳閶に崇城攻めを命じました!」
紅鸞は早まらないよう諫言したが、温孤はついに決断した。
「戦闘の準備だ!」

端木翠は義兄の楊鑑から当時の状況を聞いた。
しかし屋舎の外で待機していた楊鑑も争いの発端を見ておらず、事実を知るのは義父と温孤しかいないと知る。
楊鑑は義父より温孤と展顔を信じるつもりかと責めたが、端木翠は不審な点が多すぎると反発した。
すると憤慨した楊鑑は端木翠を追い出し、再び戦術会議に戻ってしまう。

江文卿は幕舎で決起集会を開いた。
「必ず崇城を落とす!血みどろの戦いになるだろう!」
「死んでも丞相についていきます!死闘を制し、恨みを晴らします!」
「よく言った!」
兵士たちは弔い合戦だと怒号を響かせたが、その様子を見ていた端木翠は困惑した。
…己を責めるふりをして実は幽族の罪を訴え、兵の憎しみをあおっている、まさか?!…
そこで端木翠は義父に鎌をかけることにした。
「…私が10歳の時、義父から乗馬を習いましたね
 落馬した私を助けて脚を怪我して以来、馬に乗ってはおられません
 いつも兵営で指揮されるのに、こたびは出陣するとか?
 古傷が心配です、攻撃を控えられては?」
「案ずることはない、軍医も同行しておる、人族の将来を思えば大したことはない」
「もう決められたのです、では失礼します」
実は江易は端木翠が幼少の頃、幼いうちはまだ危険だからと乗馬を禁止していた。
覚えていないのは展顔が言っていた通り、義父が偽者だからなのか。
するとその夜、端木翠は再びドロヌーバ@32話の夢を見た…

『一体、何なの?!なぜまたここに?!』
『ここは沈淵だ、自分が眠っている場所に戻ってくるのは当然だろう?』
実は枯葉に覆われて倒れている女子は神仙になった端木翠だった
端木翠は自分に良く似た女子が目覚めれば展顔が話していた虚構の世界が崩れ、現実に戻れると気づく
『お前が虚構の人間でも起こす勇気があるか?
 お前と沈淵は一体だ、彼女を起こせばお前は消える
 お前の大事な者の顔を思い浮かべてみろ、大切なものを全部、彼女に譲っていいのか?
 現実を呼び起こせば当然、虚構は崩れ去る
 起こしてはならぬ、起こせばお前は全て失ってしまう』
…そこで端木翠は目を覚ました。

↓今日、流行ったものも明日には消える…違うw


展顔は牢の明かり窓から決起の声を聞いた。
どうやら崇城攻めが始まるらしい。
江文卿は神位のために歴史を繰り返そうとしていた。
何としても戦況を凄惨極まるものにして当時と同じように觳閶を死に追いやるつもりだろう。
すると展顔は身体の異変に気づき、もはや猶予がないと分かった。
一刻も早く丞相の遺体を探し出して陰謀を暴き、戦を止めねばならない。

…現世の啓封
上官策(ジョウカンサク)は展顔を忘ないよう、机に文字を刻むことにした
取り憑かれたように″展顔″と彫り続ける上官策、すると心配した江夫人がやって来る
『展…顔…展…(はっ!)』
『そうです、展顔を覚えていますか?顔児です!』
江夫人は薄れゆく記憶の中で展顔を思い出し、机に置かれた香袋に気づいて懐かしんだ
『他にも忘ていることが?…文卿?…文卿だわ…』

江夫人は何かを思い出したように香袋を持って出て行った
すると上官策が机に刻み込んだ文字がまた消えてしまう
そこへ司法星君・楊鑑がやって来た
『天道の法則だ、消される運命ならいくら彫っても、いずれ消失する』
『諦めません!』
上官策は楊鑑が止めるのも聞かず、血がにじむ手で再び彫り始めた…

一方、端木翠は人族軍が出征すると急いで牢獄に向かった。
そして門番の気を失わせ、牢の鍵を盗む。
「展顔!」

つづく


(  ̄꒳ ̄)ドロヌーバの転生はチョコヌーバって知ってる? ←全然、関係なくなっちゃってるw





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最終更新日  2023.01.24 23:17:39
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