話飲徒然草(S's Wine)

話飲徒然草(S's Wine)

2014年01月02日
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カテゴリ: ワインコラム
さて、年が明けて当コラムのタイトルも2013→2014となったところで、脱酸素パックワインについて簡単なマトメをしておきたいと思います。


Q:脱酸素パックワインとは?
A:楽天ブロガーの大御所である南さんのアイデアによる保存法。 気体を通さないガスバリアコーティングの袋に、脱酸素剤と一緒にワインを入れ密封してしまうことによって酸素の流入を遮断してワインの劣化を防ごうというもの。

http://plaza.rakuten.co.jp/romantei1925/diary/200706240001/
http://plaza.rakuten.co.jp/romantei1925/diary/200707010001/
http://plaza.rakuten.co.jp/romantei1925/diary/201106120000/

Q:真空パックにするのとどう違うのか?
A:袋内との通気が確保されていることにより、瓶内のSO2が排気され、還元状態に陥るのを防げるのではないか。
また、脱酸素剤の作用によって、ゆっくりと瓶内の余剰な酸素が排出されるのではないか。(未検証)

Q:脱酸素パックにしていれば、セラーに入れなくても大丈夫なのか?
A: 写真 1
*10月に行われたT氏による脱酸素パック検証(5銘柄)では、 パックで3年常温保存したボトル(夏場MAX35度程度)とセラー保存のボトル ほぼ結果が拮抗 していた。
*ただし、セラー保存のものとは同じではなく、 「違い」 はあった。
(高温による熟成の促進、あるいは脱酸素剤による何らかの作用?)
これをどう解釈するかについては個人差があると思われる。
*さらに長期間の保存や極端な高温になった場合にどうなのかについては検証が必要。
*なお、発案者の南さんは自宅のワインを2007年から5年にわたり約200本パックにしてるが、ここまでいわゆる熱劣化は見られないとのこと。とはいえ南さん自身も「この方法での長期熟成は考えいない」と書かれている。

Q:外部からの酸素を遮断しさえすれば、ワインは劣化しないのか?
A:そうであれば、この方法はまさに熱劣化に対する「特効薬」となるはずだが、 外部からの酸素がなくても高温になれば劣化するという意見は少なからずある。
〜温度変化により分子同士の結びつきが変化する「ラジカル反応」という化学反応によるもの。
〜蝋封やスクリューキャップで熱劣化とおぼしき事例あり。
(ただし蝋封やスクリューキャップも急激な温度変化への耐性は我々が考えているほどではない可能性も。)

〜平野弥店主の実験や海外の論文による報告など。
 → 我が家でも現在ボジョレーの「イージーパック」で実験中。
IMG_20131228_123720.jpg

Q:脱酸素パックの効能にはどのようなものが考えられるのか?
A: *セラーに入りきらないワインの緊急避難的な保存。あるいはセラーを保有していない家庭での短〜中期の保存。
  →仮に「温度が上がっても外部からの酸素供給がなければワインはほとんど劣化しない」というのであれば、応用範囲はさらに広がる。
*セラー内のワインの停電対策やセラー故障時のための保険的な活用。
*夏場のワイン運搬や移動時の対策。

*将来的には、ワインの輸入やショップからの配送など、ワインの流通に応用できる可能性も。
IMG_7065.JPG

Q:脱酸素パック化することによるリスクはないのか?
A:検証会のボトルたちからはネガティブな要素は感じられなかったが、ないとは断定できない。 さらなる検証が必要。

長期的にどこまで耐えられるか 、あるいは 短期であってもどれだけの高温に耐えられるか は未知数。事例を積み上げて検証するしかなさそう。
2. 脱酸素パックをセラーで保存した場合
→長期間保存した場合、ワインが 還元状態におちいることはないか 、あるいは 通常のセラー保存ボトルと異なった熟成をしないか ということについて検証が必要。こちらもすぐには結論が出ないテーマかもしれない。


Q:飲み残しワインの内部にエージレスを入れて実験していたが?
A:脱酸素剤がワインにもたらす作用の極端な事例として、飲み残しのワインのボトル内にエージレスを設置(バキュバンの裏側に挿入)して試したみた。
その結果、 ボトル内の赤ワインから揮発性塗料やセメダイン的な香りが出てくる という事例があった。
通常の脱酸素パックであれば、コルクを通すため、ここまで強烈な結果にはならないはずだが、脱酸素剤が良くも悪くも 長期にわたってごく緩やかにボトル内の液体に対して積極的な作用をする可能性 も否定できなくなってきた。
IMG_20131219_163449.jpg

Q:逆に言うと、うまくやれば、 酸化劣化したワインを生き返らせる可能性 もあるということか?
A: 効果は限定的ではあろうが、可能性はあるのではないか。
実際、10月の検証会では、脱酸素パックのワインたちのクリーンな酒質、とくにポンソやマルセル・ラピエールのボトルは印象的だった。脱酸素パックではボトル内の余剰な酸素が3年にわたってゆっくりと吸い出されたことにより、フェノール化合物などの酸化を抑制し、酒質がクリーンになっていた可能性もありえる。

Q:反対に 健全なワインを還元状態にしてしまう可能性 はないのか?
A:こちらもないとはいえない。ボトル内で酸素と強く結びついている物質を引っぺがして吸着させるまでの作用は脱酸素剤にはないとは思われるが、「エージレス直刺し飲み残しボトル」の事例もあるので、 ひきつづき慎重に検証をしていく必要 はある。たとえば、我が家で脱酸素パック化した際も、投入するエージレスの個数には無頓着だったが、1個入れた場合と3個入れた場合で結果が変わってくる可能性もある。

(作業編につづく)





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Last updated  2014年01月03日 17時19分11秒
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shuz1127 @ Re[1]:Ch.リヴェルサン2018(10/16) Henryさんへ おお、オーメドックいろいろ…
Henry@ Re:Ch.リヴェルサン2018(10/16) 私も最近、オー・メドックを愛飲してます…
shuz1127 @ Re[1]:家族でトゥールダルジャン(09/25) Henryさんへ こんにちは。グランメゾンに…
Henry@ Re:家族でトゥールダルジャン(09/25) 大変貴重な現地レポートありがとうござい…
shuz@ Re[1]:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) うまいーちさんへ お久しぶりです。コメ…
うまいーち @ Re:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) コロナですか。お大事に。 私もなりました…

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