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今日は木枯らしの様な北西風が吹いているが、気温はもうすっかり春である。しかし、花の方は散ってしまったものもあるのに、虫の方はサッパリ。仕方なく、植物を掲載することにした。 植物と言う生き物は、虫と違って逃げたりはしないので、慌てて撮る必要もないが、そう思って油断していると、気が付いたときはもう散っていた、と言うことと相成る。しかし、また来年咲くのだから別に気にすることもあるまい。 ・・・と言う訳で、今年も既に何種かの花木を撮り逃がした。しかし、早春に咲く黄色い西洋シャクナゲだけはシッカリ撮ってある。もう随分昔に園芸店で買った代物で、品種名は「クリソマニカム」。普通のシャクナゲは4月下旬~5月中旬頃に咲くのに、3月の中頃から咲き始めるとは、随分気の早い?シャクナゲである。西洋シャクナゲ「クリソマニカム」.開く直前の蕾(2009/03/10) 実は、我が家ではこのシャクナゲ、余り評判が芳しくない。咲き始めは綺麗なのだが、開花後段々花色がくすんで来るし、花穂に着いた花が何れも水平方向を向いてしまって広場の広報用スピーカーの様な格好になってしまう。どうも、今一つ情緒に欠けるところがあるのである。咲き始めた西洋シャクナゲ「クリソマニカム」(2009/03/11) 一つひとつの花を良く見てみると、雌蕊がみな曲がって花の端にへばり付く様な形になっている。どうも、雌蕊と言うものは真ん中にないと格好がつかない。授粉を拒否している様に見える。花の一つを拡大.雌蕊は横を向いている(2009/03/11) 花だけ撮っても面白くないので、柱頭(雌蕊の先端)と葯(雄蕊の先端)を撮ってみた。真上から見た柱頭(2009/03/11) 柱頭は正面から見ると、丸かったりかなり細長い楕円であったりして、様々な格好のものがある。写真はそれらの中間的な形のものである。長径は葯3.3mm、短径は2.5mm、表面には粘液の様なものがあり、写真ではそれが白く見えている。花粉を付き易くする為であろう。 この柱頭、厚みがあって写真を撮るのに苦労した。其処で、横からも撮ってみた。横から見た柱頭(2009/03/11) 随分と真ん中が盛り上がった柱頭である。以前、紹介した日本シャクナゲや白花の西洋シャクナゲ(品種名:マダムマッソン)の写真原画を拡大してみたが、こんなに盛り上がってはいない。しかし、表面がデコボコしている点では同じであった。横から見た葯(2009/03/11) 葯の方はウツボカズラの虫を捕る壺を2つ並べた様な形をしている。長さは3~3.5mm。普通、葯と言うものは、内側に花粉があって、葯が開裂し裏側がめくれて花粉が出て来るのだが、咲いて少し日の経った葯を見ても、同じ格好をしている。シャクナゲの葯は開裂しないらしい。 調べてみると、開裂しないのではなく、上の部分が蓋の様に開くのだそうである。ツツジ科植物の多くはこう言う形の葯をもつとのこと。他に、ナス属やヒメハギ属にもこの手の葯があるらしい。上から見た葯(2009/03/11) その葯の上部にある口の様な穴から中を撮ってみた。・・・花粉らしきものは見えない。 其処で、葯を切り裂いてみた。幅1mmに満たない葯を真ん中付近で切るのには、実体顕微鏡、ピンセットとメスが無いと一寸難しい。ピンセットは先日この手の用途のものを買ったので何とかなるが、実体顕微鏡とメスはない。仕方なく、+3と+2.5の老眼鏡を2重にかけ、刃物の方は先日磨いだばかりの柳刃包丁を使うことにした。 ピンセットで葯を押さえ、柳刃の刃をペティナイフの様に持って、何とか切ることが出来た。葯を縦に切ってみた.中はカラッポ!!(2009/03/11) すると・・・、中はカラッポ!!、花粉は見当たらない。最初から無いのか、或いは、もう全部出てしまったのか? 其処で、咲き始めたばかりの花弁が極く少しだけ開いた花から葯を取り出して切ってみた。咲き始めの花の葯を切ったもの(2009/03/11) 花粉と思しきものが少し見える。しかし、葯の大きさから判断して数が少な過ぎる。開き始めたばかりの花でも花粉が少ないとはどう言うことか? そこで、まだ咲く前の花、即ち、膨らんだ蕾の花弁を取り去って、中を見てみた。開花する前の花(蕾)の花弁を取り除いたところ葯の開口部周辺に花粉らしきものが見える(2009/03/11) 葯の「口」の周りに花粉と思われる白い粒々が見える。花が開く前にもう花粉が吹き出していると言うことらしい。 この葯を取り出して切ってみると、下の写真の如し。上の花の葯を切開してみた(2009/03/11) 中には、半透明でまだ少し未成熟な感じの花粉が沢山入っていた。しかし、半透明に見えるのは光線の加減かも知れない。 何れにせよ、このシャクナゲでは、花粉はまだ花が開く前に葯から出ており、開花する頃にはもう殆ど出尽くしているのである。・・・と言うことは、これは閉鎖花の様なもので、自家受粉の為の機構なのだろうか? シャクナゲを含むツツジ科植物の花は一般に虫媒花である。しかし、このシャクナゲが咲くのは3月中旬、コマルナハバチが来る可能性はあるが、他のミツバチやハナバチ類等の花粉を媒介してくれる昆虫が多数出現する時期よりも少し早い。このシャクナゲは、或いは、花粉媒介昆虫が少ないので、自家受粉の機構を発達させたのであろうか。 残念ながら、このクリソマニカムと言うシャクナゲ、その起源が全く分からない。そもそも「クリソマニカム」の欧文綴りが分からないのである。色々な綴りを考えて検索してみたが何れも有意なヒットは無かった。だから、調べようが無い。開花時期、花色、花穂の形等、何れを取っても少し変わったシャクナゲである。或いは、園芸品種などではなく、何処か特異な環境で進化した原種かそれに近い特殊な品種なのかも知れない。もしそうだとすれば、上の空想的推論もあながち「空想」ではない可能性も無くはない。
2009.03.23
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昨日までの5日間、暖かい日が毎日続いて、我が家の庭にも本格的な春がやって来た様である。ハナカイドウやシジミバナの花柄はグンと伸びたし、グミやユスラウメの花はもう咲き出した。本来、4月下旬に咲く筈のフジの花穂も随分膨らんだ。 しかし、虫の方はどうも今一つである。まだコマルハナバチの女王も現れないし、チョウもキチョウの越冬個体しかやって来ない。今日紹介するヒメバチの1種も越冬個体の可能性が高い。セイタカアワダチソウの葉上に留まっているのを見付けた横に位置すると写真が小さくなって細部が良く分からない(2009/03/18) 写真のヒメバチは、虫集め用に植えてあるセイタカアワダチソウの葉に留まっていた。体長は1cm程度だが、触角が長いので、2cm位に感じる。ヒメバチとしては中~小形である。斜め上から.真上からは位置の関係で撮れなかった(2009/03/18) 例によって、種類は分からない。亜科はヒメバチ亜科だと思うが、亜科への検索表を持ち合わせないので確証はない。「北海道大学所蔵ヒメバチ科タイプ標本」と言う900個体以上もの標本写真を載せているサイトがあり、ある程度の見当が付けば絵合わせ的に探すことも出来るが、こう言う特徴に乏しいヒメバチは種類が多過ぎてどうにもならない。正面から見たヒメバチの1種.触角が長い(2009/03/18) 特徴に乏しいと言っても、写真に撮ってみれば結構綺麗なハチである。複眼の内縁は白く、前脚と中脚の基節と転節(長い!!)は白色で、腿節、脛節、付節の一部は飴色、一方、後脚は基節から第1付節までは黒く、その先は白い。また、小楯板には白斑がある。まァ、これらの特徴の幾つかは、他の多くのヒメバチにも見られる共通要素なのだが・・・。葉の上を渡り歩くヒメバチの1種白い転節が非常に長いのが分かる(2009/03/18) 以前、「ヒラタアブヤドリヒメバチの1種(Diplazon laetatorius)」の所で、ヒメバチは全て寄生バチであると書いた。しかし、これは誤りであった。少し前に買った「・・・Study of Insects」と言う本によると、蜘蛛の卵やクマバチ類の幼虫を捕食する種類もあるとのこと。やはり、虫の世界は一筋縄では行かない様である。2枚目と同じ様な写真だが、翅脈と腹部が見えるので出すことにした(2009/03/18) 最近は双翅目(蚊、アブ、ハエ)の方は、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」の御蔭で科より下のレベル(亜科、属、種)まで落とせることが多くなった。ハチに関しては、「蜂が好き」と言うサイトにハチの掲示板がある。しかし、やはりヒメバチは種類が多すぎて中々難しい様である。同じく寄生性のヤドリバエ類が、極く一部の専門家以外には容易に分からないのと良く似ている。昆虫寄生性の昆虫は、宿主の種類がボーダイなので、それに寄生する方の種類もボーダイになってしまうのである。 それでも、今後はもう少し下のレベルまで落とさないと、その内「ヒメバチの1種(その17)」等というアホな表題を付けなければならないことになりかねない。少し真剣に文献を探す必要がある。
2009.03.20
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もう春の気配が大部濃くなって来た様である。新顔の虫が出る前に、昨年の秋に撮ったハチを紹介しておこう。 まだ「北米原産シオンの1種(紫花)」やセイタカアワダチソウが咲いていた頃のことである。これらの花にはハラナガツチバチ類(例えば、キンケハラナガツチバチの雌)、ツマグロキンバエ、ハナアブの仲間(例えば、オオヒメヒラタアブ)、小さなハエ類(例えば、チビクチナガハリバエの1種Siphona paludosa)等が沢山来ていたのだが、こららの虫を捕食、或いは、狩りをする昆虫も又来ていた。その内、捕食者のハラビロカマキリは既に紹介済みである。 狩りをする昆虫としては、この辺りでは余り見ない一寸変わったハチが来ていた。ギングチバチの1種、体長は約1cm、黒い体に黄色の斑をちりばめている。黒に黄色の模様を持つハチは沢山いるが、このギングチバチの特徴はその異常なほど大きな眼にある。ギングチバチの1種.体の割りに頭と眼が大きい3個の単眼が良く見える(2008/11/28) この魅力的な眼(人によっては宇宙人を思い出すかも知れないが・・・)をしたハチを何故今まで紹介しなかったかと言うと、真っ正面からこの素晴らしい眼を撮ることが出来なかったからである。3日間もやって来たのに、遂に撮れなかった。それが悔しくて悔しくて、今まで掲載しなかったのである。横から見たギングチバチ.複眼が非常に大きい留まっているのはナシグンバイに寄生されたサンザシの葉なので色が少しおかしい(2008/11/29) このハチ、留まるときは必ずと言っても良いほど木の幹の方を向いて留まる。だから、木が邪魔になって正面から撮れない。時々草の葉の上に留まることがあるが、非常に敏感で、直ぐに逃げられてしまう。その一方では、私の着ている白いセーターに留まったりするのだが・・・。空中静止するギングチバチ(2008/11/29) 実は、ギングチバチを見るのは初めてである。図鑑で名前は知っていたのだが、実物は見たことがなかった。最初に気が付いたのはベランダの椅子で一服しているときで、ハチであるにも拘わらず、ヒラタアブ類の様に完全な空中静止をする。その完全な空中静止をしたかと思ったら、次の瞬間、突然シオンの花に猛烈な勢いで突進した。余りに一瞬のことで何が起こったのか良く分からなかったが、花に激突したのかと思った。しかし、ハチは一瞬の後にはまた花から離れ、2m余り先のニワナナカマドの葉に留まった。花を離れるとき、何か、ハチが少し大きくなった様な感じがした。ツマグロキンバエを捕らえたギングチバチ縞模様の眼が見える.ツマグロキンバエはショックで何かを排泄してしまっている(2008/11/28) 急いでハチが留まっているところへ見に行くと、ハチは柔道の袈裟固めの様な感じで何かを押さえ込んでいた。写真を撮って像を拡大してみると、複眼に縞のある虫が掴まっている。ツマグロキンバエである。どうやらこのハチは狩りをするハチらしい。早速調べてみると、直ぐにギングチバチであることが判明した。ホソヒラタアブを捕らえたギングチバチ獲物が大き過ぎて飛んで運べない(2008/11/28) その後少しの間ギングチバチは姿を現さなかったが、またやって来て、今度はホソヒラタアブを捕まえた。ホソヒラタアブは少し大き過ぎたのか、抱えて飛ぶことが出来ない。アブを抱え、歩きながら草むらの中に入ってしまった。その後どうなったのか分からなくなったが、暫くしてホソヒラタがその草むらの中から飛び出して来た。或いは、捕獲に失敗したのかも知れない。麻痺させていなかったのだろうか?ホソヒラタアブを抱え、翅をはばたいて石を乗り越えようとするギングチバチ(2008/11/28) ギングチバチはハエやアブ、種によってはハナバチなどを捕らえ、麻痺させて竹筒、木や地面の穴に運び、沢山詰めて幼虫の餌とする。ギングチバチ科ギングチバチ亜科、或いは、アナバチ科ギングチバチ亜科に属し、日本に約90種が棲息する。文献がないので、写真のギングチバチの種類は知りようがない。例によって、「ギングチバチの1種」と言うことに相成る。可愛いので横顔をもう1枚(2008/11/28) もう3月も半ばである。このWeblogもこれで3度目の春を迎えることとなる。もう目立つ大きな虫は紹介し尽くした感が無くもない。この辺り(東京都世田谷区西部)の住宅地では、子供の頃と較べると、大きな虫が随分少なくなった。カブトムシやクワガタ類は最近見たことがないし(林のあるところには今でも居るらしい)、カミキリムシも1cm位の種類ばかり。一方、キジラミ、コナジラミ、アブラムシなど小さい虫の方も、その多くは寄主が決まっているので、今後現れる新顔の種類数はそう多くはないだろう。 残るは、膜翅目(ハチ)と双翅目(蚊、アブ、ハエ)の小型の種類である。しかし、この連中は容易に種類が分からない(科すら分からない)。今後は、写真の調整や文章を書く時間より、種類の検索にかかる時間の方がずっと多くなるであろう。
2009.03.13
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どうも最近はすっかりサボり癖が付いてしまって、2月の掲載はたったの2回、3月は今日10日になって漸く初回である。オウバイ(黄梅)やボケの花はあったのだが(ボケはまだ咲いている)、オウバイの写真は何時撮っても合格点に達しないし、ボケも何となく写真の出来が気に食わない。 ・・・と言う訳で、今日までサボってしまった。しかし、先日、この時期にこの辺りでは珍しいフタホシヒラタアブが現れた。やはり、虫が現れると、自然と撮る気になる。フタホシヒラタアブの雄は既に紹介済みだが、今回は雌で、この連中は雌雄でかなり違うから、まァ、重複掲載には当たらないだろう。フタホシヒラタアブ.肉眼的には体の光沢が著しいが写真に撮ると、余り明確でなくなる(2009/03/07) 体長は8mm、フタホシヒラタアブとしてはかなり小さい方である。普通はもう少し大きい。恐らく、孵化したのが遅く、晩秋になってアブラムシが少なくなり、充分に食べられなかったのだろう。 写真では毛が写っていて分かり難いが、肉眼的には非常に艶のあるアブ(本当はハエの仲間だがアブとしておく)で、キラキラと光って見える。後腿節は「ほぼ黄色」とされているが黒い部分がある小楯板に生えている毛は淡黄褐色(2009/03/07) ハナアブ類の種の判別は中々難しい。写真に撮ると、このフタホシヒラタアブに非常に似てしまう種類にナミホシヒラタアブがある。肉眼的にはフタホシよりも一回り以上大きく、光沢がフタホシよりも弱いので直ぐに分かるが、写真となると1~2割程度の大きさ違いは分からなくなるし、光沢もハッキリしなくなるので、区別が難しくなるのである(このWeblogでは、この程度の大きさの虫であれば、必ず等倍撮影のコマを入れ、同じく等倍で撮った物差しと比較して体長を計算している)。 両種共に、顔面に短い黒色中条があり、複眼は無毛、後腿節の色に多少の差があるとされるが、かなりの変異がある様で比較が難しい。また、フタホシは腹部の黄色斑が左右で分離しているのに対し、ナミホシでは第3~4節の斑は左右連続することが多い。しかし、これにも個体差があり、これだけでは判別できない。 最近は、小楯板(胸の下にある半月形の部分)に生えている毛が黒ければナミホシ、体の他の部分と同じ様な淡黄褐色をしていればフタホシと思っている。しかし、この違いがどれだけ一般性を持っているのかは良く分からない。顔面下部に黒色中条が見える(2009/03/07) 暫く接写をしなかったら、すっかり腕が落ちてしまった。8mmの虫と言うのは非常に撮り易い相手なのだが、殆どがピンぼけ。御蔭で使える写真は3枚のみであった。 もうかなり春の様相を帯びてきた。これからはまた接写をする機会が多くなる筈である。撮るにつれ、腕の方も自然と元に戻るであろう。 尚、今まで使っていたCRTが遂に故障してしまった。今回の写真は予備の液晶モニターを使って調整したので、今までとは少し色調が違って見えるかも知れない。我が家の液晶はCRTよりも色やコントラストに対する感度が鈍い。
2009.03.10
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