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今日は溜まっている蝶の幼虫(クロアゲハ、ルリタテハ)を出すつもりだったのだが、朝10時頃、変な蝶を見付けたのでそれを優先することにした。 今、昨年掲載した「北米原産シオンの1種(紫花)」が咲き始めている。まだ、秋が深くならないせいか訪れる虫の種類や数は余り多くはないが、今日其処に変な蝶が留まって居るのを見付けた。最初は、裏面に波模様があるので、季節柄ウラナミシジミではないかと思った。しかし、それにしてはかなり小さい。更に、後翅裏面に黒斑がある。これはヒョッとして、今年東京にも現れたと言うあの南方の蝶ではないか? ・・・調べてみると、やはりその通り、クロマダラソテツシジミ(Chilades pandava)であった。クロマダラソテツシジミ.拡大するとそうでもないが遠目にはウラナミシジミを思わせる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) このクロマダラソテツシジミは本来東南アジアの蝶で、学研の「日本産蝶類標準図鑑」に拠ると、日本では1992~3年に沖縄県南部で初めて発生し、与那国島でも2001年に発生したとのこと。その後のことは良く分からないのだが、沖縄で散発的に発生するだけで、最近までは迷蝶扱いであったらしい。それが一昨年から九州や関西に現れ、今年は遂に東京に現れた。クロマダラソテツシジミの後翅(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) この「東京で現れた」と言う話は、実は、先日(9月22日)一寸野虫氏が「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」に一連の生態写真を掲載されたので初めて知ったのである。氏の記事によると、神奈川県では報告がないが、他に静岡、千葉の両県でも確認されているとのこと。 そこで一寸調べてみると、9月9日にNHK(日本薄謝協会)の朝のニュースで、クロマダラソテツシジミの発生が品川区と港区で確認されたと報道されたのが、一般向けとしては最初のニュースらしい。何分にも、こちとらはTVを全く見ないと言う仙人の如き生活をしているので、この手の話には全く弱いのである。クロマダラソテツシジミの横顔(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) 世田谷区でも既に報告があり、東京では現在相当広い範囲に拡がっているらしい。しかし、先の一寸野虫氏の記事によると、関西では今年発生が見られないので、越冬出来なかったのではないかとのこと。所謂温暖化の影響で東京まで北上してきたのではないと考えられる。沖縄などから運ばれたソテツの株に付いて来た可能性もあるが、ソテツがそれ程沢山東京に入荷しているのだろうか。・・・或いは、やはり放蝶か?クロマダラソテツシジミの顔.触角が印象的(写真クリックで拡大表示)(2009/09/25) このクロマダラソテツシジミ、大型のヤマトシジミ程度の大きさで、翅表の写真は撮れなかったが、雄のヤマトシジミに比較的似ている(雄は藍色で黒色の細い縁取り、雌ではこの縁取りが拡がって翅の2/3近くを占める)。また、飛び方もヤマトシジミにかなり近く、ウラナミシジミの様な激しい飛び方ではない。この季節、ヤマトシジミは何処にでも沢山飛び交っている。東京やその近郊在住の読者諸氏は、雄のヤマトシジミらしき蝶を見かけられたら、御注意あれ!!
2009.09.25
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先日掲載した「シャチホコガの幼虫(終齢)」はそのまま無事蛹化し、18日後に羽化した。しかし、夜行性の蛾なので、昼行性の蝶とは異なり、真夜中に羽化したらしい。朝気が付いたときにはかなり暴れた後があり、既に翅も傷んでいた。残念!! 飼育箱の壁に未受精卵を15個余り産んでいたところを見ると、相当な恐慌状態に陥ったものと思われる。しかし、朝見たときには大人しくなっており、壁に張り付いてジッとしていた。 その羽化した成虫を紹介する前に、先ず蛹化したところの写真から載せることにする。中にシャチホコガの繭がある.葉はコナラ(写真クリックで拡大表示)(2009/09/07) 何枚も敷いたコナラの葉の一番底の方で蛹化していた。2枚のコナラの葉がピッタリくっ付いている。繭はその間にあるが、葉を剥がさない限り全く見えない。上の葉の一枚を剥いだところ.薄い繭と黒い蛹が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/09/07) 一方の葉を剥がすと、上の写真の如し。薄いが非常に繊細な繭があり、その中にコロコロした真っ黒な蛹が見える。羽化した後の蛹殻と蛹になるときの脱皮殻(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 次の写真は羽化後の繭を剥がしたところ。あの奇怪な幼虫の脱皮殻も当然一緒に入っている。蛹殻の頭の部分はかなり離れた所に落ちていた。羽化後、殻を頭に載せたまま移動したのだろうか。羽化したシャチホコガ(雌).飼育箱の中で暴れたらしく翅が相当に傷んでいる.開張は4~5cm(写真クリックで拡大表示)(2009/09/19) さて、次はシャチホコガ(Stauropus fagi persimilis:シャチホコガ科)成虫の写真。羽化したばかりの蝶を撮るときの様に木の葉に掴まらせたのだが、御覧の様に全く無様な格好。本来、此の手の蛾はこう言う留まり方をしないので、不自然な形である。蛾の方も落ち着かないらしく、歩き回ったり飛んだりして、写真を撮るのに苦労した。 開張は計っていないが、図鑑に拠ると50~60mm、やや大きめの蛾である。触角は糸状なので、この個体は雌、雄の触角は羽毛状になる。 左前翅の先端付近が折れている。相当酷く飼育箱の中で暴れたものとみえる。 翅の色合いは非常に微妙である。拡大してみると分かるが、様々な色の毛が混じっている。全体としては、緑、青、黄が混ざった様な表現の難しい色で、上の写真ではストロボの反射もあり、少し色が青みがかって見える。ハナモモの幹にしがみ付くシャチホコガ後翅が前翅の横にはみ出している(写真クリックで拡大表示)(2009/09/19) 木の葉に掴まるのは苦手らしいので、今度はハナモモの幹に留まらせてみた。吸い付く様にピタッと張り付き、そのまま微動だにしなかった。やはり、こう言う平らに近いものに張り付くのがこの手の蛾の本来の留まり方の様である。 蛾がこの様な留り方をする場合、普通は後翅は前翅に隠れて殆ど、或いは、全く見えない。しかし、シャチホコガの場合は、この写真の様に、後翅を少し前方に引き上げ、前翅の横から後翅がはみ出る様な形で留まるのが「正しい留まり方」らしい。横から見たシャチホコガ.ピッタリと張り付いている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/19) 横から見ると、上の写真の如し。ピッタリと張り付いているのが分かるであろう。反対側.様々な色の毛が混ざっている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/19) 反対側から、もう少し近づいて撮ってみた。毛の色に微妙な違いがあるのが分かる。シャチホコガの背面.毛でモコモコ(写真クリックで拡大表示)(2009/09/19) 頭部、胸部を背面から見ると、随分毛深く、モコモコしている。前から見ると結構可愛い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/19) 最後に略正面から。位置の関係で、真正面からは撮れなかった。夜行性の蛾なので、明るい間は動かないのが基本なのであろう。如何にも、夜になるまでジッと待っていると言う感じ。この写真を撮ったのは朝の8時半頃だが、実際、このまま夜になり暗くて見えなくなるまで全く動かなかった。 次の日の朝見てみると、やはり夜になってから活動したらしい、その姿はもう何処にも見当たらなかった。
2009.09.24
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今日はまたルリタテハ(Kaniska canace)の幼虫である。以前「ルリタテハの幼虫(2~3齢)」で、4齢と5齢は一緒に掲載するつもりだと書いたが、5齢の写真が多くなりそうなので、4齢だけを別にして先に掲載することにした。ルリタテハの4齢幼虫.ホトトギスの葉裏で丸くなっている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/07) 4齢は3齢とよく似ている。3齢の体長が1~2cmであったのに対し、4齢は2~3cm位と大きくなってはいるが、体の模様や棘の構造の変化は比較的少ない。平均的には、4齢の方が黄色の部分が増え、体が3齢よりも太く(体長に対する比率)なっていると思う。動き出した4齢幼虫.上の写真の右側の個体(写真クリックで拡大表示)(2009/09/07) 棘状突起の構造に関しても、3齢と4齢の間に明確な違いは無い様に思われる。4齢の方が、突起から出る棘の数が少し多いと言う程度である。最初の写真で左側に居る個体.頭部が小さい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/07) 体が体長に比して太くなった結果、頭部の体全体に対する比率が減少し、頭が小さく見える。これはかなり顕著で、些か不釣り合いな感じがする。 5齢(終齢)の期間はかなり長いが、4齢は3齢と余り変わらず、2~3日で脱皮して5齢になった。2番目の写真と同じ個体.頭部に「角」が見えるが個体変異らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/07) 7頭いたルリタテハの幼虫は、本日9月18日現在、既に全部蛹化してしまった。しかし、まだ羽化したものは無い。1頭だけ特に速く生長していた個体が10日(9月)の夕方に前蛹となり次の日の朝に脱皮して蛹となった。8月27日に孵化したとして、僅か15日で蛹化したことになる。その後を追っていた5頭は13~15日に掛けて相次いで蛹化し、最後に遅れていた1頭が昨日(17日)前蛹となり、今日(18日)の早朝には既に蛹になっていた。3番目の個体がお食事中.上唇の窪みが顕著(写真クリックで拡大表示)(2009/09/07) 庭に残した数頭の幼虫は、3頭が終齢で、そろそろ蛹化しそうな気配。1頭は何故か3齢の初期で生長が止まっている。原因は不明。その他、行方不明の個体も少しある。また、これらとは別に、カサブランカ(ユリ)に付いている幼虫を1頭見付けた。恐らく、親は同じで、同じ日に産卵したものと思われる。此方は終齢になったばかりの様に見える。[追記]これらの幼虫は全て無事成長し成虫に羽化した。以前、以降の記録は下記の通り。 内 容 掲載日 卵と初齢幼虫 8月29日 2~3齢幼虫 9月 8日 5齢(終齢)幼虫 10月 6日 前蛹、蛹と成虫 10月19日[悲報]:ルリタテハの幼虫とは直接関係ないが、先日悲しい出来事があったので、此処に書いて置くことにした。 我が家の庭では、一昨年辺りから、蝶の幼虫が蛹になると鳥に食べられてしまうと言う「事件」が屡々起こっている。昨年は、中庭に生えていたスミレを食べて育ったツマグロヒョウモンの幼虫4~5頭が無事蛹化したので喜んでいたところ、2~3日の間に全て無くなってしまった。引きちぎられた蛹の尾部だけが残っていた。鳥の仕業であろう。中庭に入って来る鳥は恐らくスズメだけだと思われるので、此奴らが犯人と思われる。 ハギに付いているキチョウ(キタキチョウ)の幼虫も蛹になると屡々鳥に食べられてしまう。先日、15頭以上いた終齢幼虫の内の1頭が蛹化したので今年は保護したが、次に蛹化したものを保護しようと思っていた矢先、鳥のヤツに先を越されて食べられてしまった。しかも、蛹ばかりでなく約15頭いた終齢幼虫も1頭残らず居なくなっている。全部、鳥に食べられてしまったらしい。 スズメバチ科のハチや鳥に補食されない様、ハギの鉢を中庭の奥の方に置いてあるのだが、スズメに対してはもう効果が無いらしい。こうなると、キチョウの幼虫が大きくなり目に付く様になったら保護する以外に手立ては無いのかもしれない。10数頭が次々と羽化するのを楽しみにしていたのに、全くガッカリである。意気消沈。
2009.09.18
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今日はまたアシナガバエ科に属す「ハエ」を紹介する。前にも書いたとおり、アシナガバエは外観がハエに似ているので名前に「ハエ」と付いているが、実際はアブの仲間である。多くは体長4~7mm位とやや小型。 その中で、先日紹介した「シロガネアシナガバエ(Argyra)属或いはその近縁属の1種」は比較的大きめであったが、今日紹介するのは、アシナガバエ科の中でも最も小さいチビアシナガバエ(Chrysotus)属の「ハエ」である。体長は約2.3mm、体高があるのと、犬みたいにお座りの姿勢で留まるので、肉眼的には「ハエ」だがカスミカメムシの1種だか良く分からなかった。チビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種.体長約2.3mmと小さい写真は拡大したときピクセル等倍(以下同じ)(写真クリックで拡大表示)(2009/08/14) 北隆館の新訂圖鑑のアシナガバエ科は、九大名誉教授の三枝豊平先生が執筆されている。良く研究されている海浜岩礁性のイソアシナガバエ類と渓流性のナガレアシナガバエ属に付いては詳しく書かれているが、それ以外グループに関しては、主要な属についての解説とその代表的種が載っているだけである。この属に付いての解説を読んでみると、どうやら写真の「ハエ」はチビアシナガバエ(Chrysotus)属らしいと思ったのだが、亜科や属への検索表は無いので類似の近縁属の可能性もある。其処で、例によって双翅目のBBS「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみた。横から見たチビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種お座りの姿勢で留まる.単眼剛毛は後ろ向きで強大(写真クリックで拡大表示)(2009/08/14) 早速、三枝先生から「Chrysotus属の1種だと思います」との御回答を得た。「日本列島には少なくとも10種以上生息していて,きわめて普通のアシナガバエの属」で「庭の片隅でも2,3種生息していることがあります」とのこと。一先ずは安心した。 しかし、種名は分からない。先生に拠ると、「日本産の種はほとんど研究されていません」。ソモソモ、北隆館の圖鑑に1種だけ載っているチビアシナガバエ属のスネグロチビアシナガバエの学名がChrysotus sp.(Chrysotus属ではあるが、種名は不明の意)なのである。真っ正面からの写真は位置の関係で撮れなかったが変な顔?をしているのが分かる(写真クリックで拡大表示)(2009/08/14) 先生の御回答には「日本列島には少なくとも10種以上棲息していて・・・」とあるのに、九州大学日本産昆虫目録にはチビアシナガバエ(Chrysotus)属は1種も載っていない。「研究されていない」と言うことは、外国の同属種との比較もなされていないと言うことで、日本に棲息する種が外国では既に記載されているのか否かも分かっていないのであろう。従って、今日紹介した「チビアシナガバエ属の1種(Chrysotus sp.)」も外国では知られている種なのか、或いは、未記載種なのかも分からないことになる。斜め上から見たチビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種(写真クリックで拡大表示)(2009/08/14) このチビアシナガバエ(Chrysotus)属の「ハエ」は小さいせいか、Internet上に写真や記述は殆どない(外国には少しある)。其処で、北隆館の新訂圖鑑に書かれているチビアシナガバエ(Chrysotus)属の特徴を此処に書いて読者の参考とすることにした。 「チビアシナガバエ属(新称)Chrysotusは極めて小型のアシナガバエで次の特徴を持つ。体は金属光沢のある緑色。頭部は前面から見ると下方に向かって幅を減ずる;前額は広く、♂の顔面はかなり狭い;触角は短く、第3節は丸味を帯びた三角形。口器と小顎鬚は小型;単眼剛毛は著しく強大で後方に曲がる。中剛毛は2列;小楯板剛毛は1対、相互に広く離れる。翅は無色透明、翅脈は黒色;腎葉が発達しない。脚は短めで顕著な変形は見られない。腹部は太め;♂交尾器は微小で腹端部に圧縮される」。メンドーなので解説はしないが、写真の「ハエ」は、勿論、見える範囲でこの特徴に合致している。チビアシナガバエ(Chrysotus)属の写真はNet上に少ないのでもう1枚(写真クリックで拡大表示)(2009/08/14) どうも、双翅目(蚊、虻、ハエ)となると、無味乾燥な話が多くなって恐縮である。しかし、何分にもこの連中の同定に「絵合わせ」は禁物で、記載をシッカリ読む必要がある。勢い専門用語の羅列になってしまうが、何卒御容赦いただきたい。
2009.09.17
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今日も前回に引き続き鱗翅目(蝶、蛾)の幼虫である。玄関近くのスレートの上をヒョコヒョコ歩いていた。しかし、些かキッカイな幼虫、一見甲殻類のシャコを思わせる外観である。体長は45mm位。一体これ何者? 何処かで見た覚えがある・・・、ヒョッとしてシャチホコガの幼虫ではないのか? 早速調べてみるとやはりシャチホコガ(Stauropus fagi persimilis:シャチホコガ科)の終齢幼虫であった。コナラの樹の下に居たので、これまでは恐らくコナラの葉を食べていたのであろう。シャチホコガの終齢幼虫.色が薄くなっている.体長は約45mm(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) シャチホコガの幼虫は、その名にある様に、脅かすと頭部胸部と尾部を反り返らせて、シャチホコの様な形になる。非常に奇妙なとても蛾の幼虫とは思えない格好である。色も普通はもっと濃い。 そう言う姿ばかり見て来たので、この人肌に近い薄い色をした虫がシャチホコガの幼虫とは一寸思えなかった。歩き方も一寸変わっており、お尻をピョコピョコ跳ね上げる様にして歩く。 蛾の幼虫は蛹化する直前に色が変わることが多い。赤味が強くなるのが普通だと思うが、このシャチホコガの場合は逆に色が薄くなるらしい。尾脚が角状の構造になり、歩くときは、お尻をピョコピョコ跳ね上げながら歩く.写真はお尻を下げたところ(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) スレートの上ではストロボの光が反射するし、やはり一寸無粋なので、庭に置いてある天然石の上に移して撮影した。 鱗翅目の幼虫は、多くの場合、胸部に各1対の短い胸脚(全部で3対)と第3~6腹節に各一対の吸盤状の腹脚(全部で4対)、更に第10腹節にも吸盤状の尾脚が1対ある。一部のヤガ科やシャクガ科では前方の腹脚が退化して1~3対になる。 このシャチホコガの場合は、胸脚が成虫の脚の様に非常に長くなり、尾脚は内側に曲がった1対の角状の構造に変化している。腹脚も普通の幼虫の様に柔らかくはなく、馬や驢馬の蹄を思わせる外観をしている(最後の写真)。今度はお尻を跳ね上げたところ(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) 鱗翅目の幼虫が枝などにしがみ付く時に最も強力なのは尾脚で、腹脚、胸脚の順に弱くなる。この最も強力な尾脚がしがみ付く機能の無い角に変化してしまっているせいか、シャチホコガの幼虫は物にしがみ付く力が弱い様である。腹脚も余り強力そうには見えないし、胸脚も長すぎてしがみ付くには不向きであろう。 そのせいか、撮影中に何度か落下した。シャチホコガ終齢幼虫の尾部.尾脚が角状の構造に変化している(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) シャチホコガの幼虫は頭部を隠す前胸の襞が無いし、頭を少し上向きにして歩くので、頭部の写真を撮るには都合が良い。以前、「ナミアゲハの幼虫」で頭部の構造を説明したが、今日はもう一度お復習い。 頭部の大半を占める左右に分かれたヘルメットみたいな部分を頭頂と言う。人間ならば脳の位置だが、鱗翅目幼虫の場合、中身の大半は大腮を動かすための筋肉である。その左右の間にある中心線を中縫線、中央にある三角形の内、光を反射している内側の部分を前頭、その周囲の頭頂との間にある細い部分が副前頭で、これと頭頂との間にある溝を副前頭縫線と呼ぶ。この縫線は、脱皮する際にこの線に沿って割れが入るので、脱皮裂線とも呼ばれる。前頭の下にある略5角形の部分が頭楯、その下から飛び出している2葉に分かれた構造が上唇で、葉を食べるときには、葉の縁をこの中に挟む様にして食べる。その裏側に隠れている色の濃い部分が大腮で、これで葉っぱを噛み砕く。頭頂の左右の下端近くにある黒っぽい粒々は単眼である。写真では一部が隠れていて3個ずつしか見えないが、本当は6対ある。成虫には複眼があるが、幼虫には単眼しかない。なお、左右の頭頂の下から伸びている基部を紙の筒で被われた様な構造は触覚である。シャチホコガ終齢幼虫の頭部.本文参照のこと(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) 斜め横から見ると下の写真の如し。少し見え難いが単眼が片側に6個あるのが分かるであろう。 シャチホコガの胸脚は異常に長い(前脚=第1胸脚は余り長くない)が、その構造は普通の鱗翅目幼虫と変わるところはない。幼虫の胸脚は成虫の脚と基本的に同じ構造をしており、根元の方から、胸部との境が良く分からない基節、環状の転節、腿節、脛節、付節からなる。成虫の付節は5節だが、幼虫の場合は1節のみである。付節の先端に黒くて小さな爪が見える。なお、頭部の右に見える黒い輪郭をした環状の構造は気門で、胸部では前胸のみに1対、腹部では第1~8腹節に各1対ずつある。シャチホコガ終齢幼虫の頭部と前胸(第1胸節)第1胸脚は余り長くない.先端に爪が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) 最後に腹脚の写真を載せることにした。何とも妙な腹脚である。普通は細かい爪(鉤爪)の付いた柔らかい吸盤状のものだが、このシャチホコガの場合は馬の蹄の様な形をしており、何となく、不器用な感じのする代物である。 胴体の方に見える楕円形の環状構造は、上に述べた腹節の気門である。シャチホコガ終齢幼虫の腹脚.驢馬の蹄を思わせる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) この幼虫、色変わりしている様だし、地面を歩いていたところを見ると、蛹になる場所を探しているものと思われる。保育社の蛾類幼虫図鑑を見ると、「老熟すると地上に降り、うすい繭を作って蛹化する」とあるので、タッパーに土と枯れ草を敷き、その中に入れてみた。しかし、土や草の中に潜る気配は全く無く、何時までも歩き回っている。其処でInternetで調べてみると、「幼虫図鑑」に蛹の写真があり、その説明に「桜の葉2枚を,上手に糸で合わせた中で,蛹化しています。自然の状態だと,葉も枯れないので,非常に見つかりにくいと思いました」とある。樹上で蛹化するのかも知れない。 早速、土と枯れ草を棄て、コナラの新しい葉を摘んでタッパーに詰め、その中に入れてみた。暫くジッとしていたが、やがて姿が見えなくなった。耳を澄ませても、歩き回るカサカサと言う音は聞こえない。どうやら、葉の間に入って繭を紡いでいるらしい。一先ず、安心した。
2009.09.16
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先日、「ルリタテハの卵と初齢幼虫」、「ルリタテハの幼虫(2~3齢)」を掲載したのでお分かりの通、現在キタテハの幼虫を7頭ばかり飼っている。しかし、その他に更にクロアゲハの幼虫も5頭飼育している。アゲハ類の飼育は、かなり以前に28頭を飼育してその内の25頭がヤドリバエに寄生されていたと言う「悲劇」が出来して以来、暫くやる気が失せて居たのだが、妙なことからまた飼育をすることになってしまった。 今年の7月上旬に「カラスアゲハ」を掲載した後、やはりこの蝶を飼育してみたくなり、カラスアゲハの好きな食草であるカラスザンショウの苗を2本買った。まだ、高さ30cmにも満たない小さな苗だが、8月下旬、これにアゲハ類の幼虫が5頭も付いてしまった。その若齢幼虫は黄色い色をしており、明らかにナミアゲハの幼虫ではない。ヒョッとするとカラスアゲハかも知れない。しかし、苗木はまだ小さいので、5頭もの幼虫がそのまま生長すると、途中で食草が足らなくなってしまう。サンショウの木に移しても良いが、我が家では、鳥に食われるのか、或いは、アシナガバチに肉団子にされてしまうのか、アゲハ類の幼虫は大概3齢か4齢で居なくなってしまう。そこで、仕方なくサンショウの葉で飼育することと相成ったのである。クロアゲハの2齢幼虫.体長約1cm胴体にも枝を持つ棘状突起がある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) この辺りに棲息するミカン科植物を食すアゲハには、ナミアゲハの他にクロアゲハ、カラスアゲハ、ナガサキアゲハが居る。この内、ナガサキアゲハは柑橘以外では育たないらしいので、クロアゲハかカラスアゲハの何れかと言うことになる。 その後の生長を見ると、カラスアゲハならば3齢以降次第に緑色が濃くなる筈なのだが、これは逆に段々黒くなり、また、臭角は赤色であることが分かった。残念ながらカラスアゲハではなく、クロアゲハの幼虫である(カラスアゲハの臭角は、ナミアゲハと同じ黄色)。横から見たクロアゲハの2齢幼虫尾部には棘状突起が2対ある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) 写真の幼虫は体長約1cm、2齢と思われる。初齢はもう少し小さく、また、棘状突起がもっと長いと思う。今日の写真はアゲハ類の幼虫が居ると気が付いて最初に撮ったものなので、これ以前の写真は無く、初齢幼虫の詳細は分からない。 この2齢と思われる幼虫には、頭部に1対、尾部に2対、枝を多数持つ顕著な棘状突起があり、その間の胴体(その他の腹部と胸部)にも枝のある短い棘状突起が多数ある。第1胸節(前胸)が庇状に頭部を被っている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/01) 3齢幼虫は、その写真を取り損ねた(3齢と思った幼虫は4齢の小さいものであった)のでこれも詳細は良く分からない。しかし、種々のサイトを参照すると、頭部と尾部にはまだ枝を持つ棘状突起があるが、胴体の突起は枝を持たない様である。色は黄色や赤が薄くなり、黒と白が強くなる。4齢については、近々掲載の予定である。 このクロアゲハの幼虫は、ルリタテハの幼虫よりも数日早く孵化したものと思われる。しかし、ルリタテハの方は、もう4頭が蛹になってしまったのに対し、クロアゲハの幼虫はまだ蛹になりそうもない終齢(5齢)が3頭,4齢が2頭である。クロアゲハ幼虫の成長速度はルリタテハよりもかなり遅いと言える。クロアゲハの幼虫は余り葉を食べず、何時も休んでばかり居る。固い木の葉を食べると、消化に時間が掛かるのだろうか。
2009.09.14
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今日は私の苦手とするバッタを紹介する。ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)、直翅目バッタ亜目バッタ上科バッタ科に属す最もバッタらしいバッタの1つである。雌雄で大きさが顕著に異なり、雄は細くて体長5cm位、雌は太めで10cm近い個体も時に見られる。写真のバッタは雌で、体長は6~7cm程度、雌として普通の大きさである。 このバッタには別名が沢山ある。ショウジョウバッタ、コメツキバッタ、ハタオリバッタ、キチキチバッタ(雄)等は、みなこのショウリョウバッタのことである。写真のバッタは柄のない緑色をしているがこれは緑色型で、他に褐色型があり、この型の場合は多少の斑紋が認められる。雄や褐色型を御覧になりたい読者は此方をどうぞ。ハギの木に留まるショウリョウバッタの雌体長は6~7cm程度でかなり大きい(写真クリックで拡大表示)(2009/08/11) 主にイネ科の植物を食べるので、イネ科の雑草が少ない住宅地には普段は現れないバッタである。少し奥の方の畑や草地がある所には沢山居るが、我が家では今まで見たことは多分無いと思う。それが何故か、我が家の庭にやって来た。しかも、留まっているのはハギの枝、イネ科植物に留まっているのを見慣れているので、ショウリョウバッタとハギの組み合わせは何となく奇妙である。 前の日に大雨が降ったので、雨を避けようとして、こんな所に来てしまったのだろうか。ヒョッとすると、お家に帰れなくて、途方に暮れているのかも知れない。横から見たショウリョウバッタ(雌)(写真クリックで拡大表示)(2009/08/11) ショウリョウバッタの複眼を背側から撮ってみた(下)。以前紹介したオンブバッタ(バッタ上科オンブバッタ科)には、複眼の内側に他とは少し異なって見える膨れた部分があったが、このショウリョウバッタの複眼は殆ど均質に見える。背側から見たショウリョウバッタの複眼特に変わった構造は見られない(写真クリックで拡大表示)(2009/08/11) 少し斜めだが、腹側から見ると、下の写真の如し。何とも冴えない馬面!!。左右の複眼の間やや下側と、複眼の上に小さな白っぽい略円形の構造が見える。始めは何かと訝ったが、バッタの単眼であった。腹側から見たショウリョウバッタの雌どうもこの手の顔は好きになれない(写真クリックで拡大表示)(2009/08/11) 下の写真で分かるとおり、単眼は反対側の複眼の上にもチャンとあり、セミなどと同じく全部で3個。同じ単眼でもクモ類の単眼は結像するカメラ眼であり、その意味では人間の眼に近いが、昆虫の単眼は単なる光受容器で、結像することは無くただ明暗が分かるだけらしい。 多くの昆虫では、単眼は頭頂付近にあり、背側を向いている。背側は一般に空の方向だから、昼夜の区別や、空からの天敵の接近を感知するのに役に立って居るのかも知れない。これに対し、このバッタの単眼はどちらかと言えば腹側にある。腹側からの明暗に関する情報と言うのは一体何だろうか。ショウリョウバッタやオンブバッタは、下の写真の様に、頭部をやや立てていることが多い。これは、或いは、単眼が下向きではなく前に向く様にする為なのかも知れない。複眼間の腹側やや下と複眼の上に単眼が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/08/11) 複眼の上にある単眼を拡大してみた(下)。何か水滴が付いている様に見えるが、雨はずっと前に止んでいる。この水滴様のものは集光レンズの役目を果たしているのかも知れない。セミやハチの単眼とは大部外観が異なる単眼である。ショウリョウバッタの複眼とその上に位置する単眼(写真クリックで拡大表示)(2009/08/11) 其処で、体の中央腹面にある単眼も等倍接写して良く観察してみようと思い、カメラを持ってもう一度ハギの木のあるところに行ってみた。しかし、もうバッタは何処にも見当たらなかった。やはり、バッタの方としてもハギの木では何となく落ち着きが悪かったのかも知れない。
2009.09.10
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今日は、また「庭を漂う微小な羽虫」である。 一ヶ月程前のことになるが、ヒトスジシマカに膝小僧の辺りを刺されたので、ズボンをたくし上げてキンカンを塗っていたら、小さな羽虫が1匹その周りをフワフワと飛び回っていた。今まで見た羽虫とは何となく雰囲気が違うので、早速左手で掬い取った。 掌を少しだけ開いて見てみると、何かブユの様な虫、しかし、ブユ(ブヨ、ブト)よりも小さい。まだ、元気そうなので、逃げられない様にコールド・スプレーを吹きかけて、大人しくさせた。 気絶した(瀕死の)虫を紙の上に移して写真を撮る。コールド・スプレーのショックで産卵してしまった様である。死に際に産卵する現象は、ハエや蛾でも良く見られる。ヌカカ科の1種.恐らくForcipomyia(和名なし)属の1種コールド・スプレーのショックで産卵してしまったピクセル等倍(以下同じ)(2009/08/04) さて、この虫、何者か。一見、ブユの様だが体長は約1.7mm。ブユは普通2~4mm位で、もっと大きい。決定的な違いは触角の長さである。ブユの触角は短く頭幅以下。ブユに似てもっと小さく(多くは体長2mm以下)、触角が数珠状で長いのはヌカカである。 しかし、ヌカカと言うのは川筋や湿地に発生する虫だと思っていたので、こんな都会の住宅地でお目に掛かるとは一寸した驚きであった。翅脈が一番良く見える写真.翅は毛に覆われている様に見える触角は数珠状で、先端近くの節は基部寄りの節よりも長い(2009/08/04) ヌカカ科は九州大学日本産昆虫目録に拠ると224種、北隆館の圖鑑には20種が載っているが亜科や属への検索表はない。検索に拠らない単なる絵合わせは、特に双翅目の場合非常に危険なので、例によって双翅目のBBS「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみた。 やがてこのBBSの主催者であるハエ男氏から御回答を得た。「ヌカカの画像による同定は極めて厳しいです(たぶんヌカカ屋さんはここのBBSに出入りしてないと思います)」。やはり予想通りであった。 ヌカカやカ等の人吸血性昆虫を多く含むグループやその他の衛生昆虫の研究は、一般に昆虫学教室(農学部)ではなく感染症に関する研究組織(医学系)で行われている。例えば、2年ほど前に他界された感染症の大御所、東大医学部名誉教授(富山医科薬科大学名誉教授、富山国際大学名誉教授、その他色々)の故佐々学先生(私はこれまでにその謦咳に接したこともなければお教えを受けたこともないが、佐々先生の感染症に関する本を相当数読んで感銘を受けているし、また、極く親しい友人が東大で佐々先生の講義を受けたりしているので、常々僭越ながら先生とお呼びしている)は、カ科やユスリカ科の分類に関しても第一人者(先駆けと言うべきか)であった。 「一寸のハエにも五分の大和魂」に参加されている方々は昆虫学系や虫屋さんが殆どの様である。やはりヌカカは駄目かと思っていたところ、九大名誉教授の三枝豊平先生が助け船を出して下さった。腹側から見るとこんな感じ(2009/08/04) 先生の御話では、「写真のヌカカは恐らくForcipomyia[和名なし]属の1種でしょう」とのこと。吸血性でよく知られているCulicoides(和名なし)属などは、どちらかと言えば自然が豊かなところに生息するのが普通であるのに対し、Forcipomyia属は先生の仕事場のベランダに置いてある藻類や有機物の入った水槽などでもしばしば発生するそうである。また、「ヌカカの幼虫は淡水(止水,流水を問わず)や湿地のほかに,草や木の葉などが堆積して腐敗したような所でもチョウバエなどともに発生します」との御話。我が家の庭で発生しても別に不思議ではないと言える。 更に、写真のヌカカは北隆館の圖鑑に載っているモンヌカカ(Forcipomyia metatarsis)に一見似ているとの御指摘も受けた。モンヌカカは、体毛が密生し、翅全体がやや黒ずみ前縁中央に黄白色斑があることや、触角の大凡の形状、平均棍の大きさや色等では良く似ているのだが、圖鑑の記述では体長2.5~2.7mmとあるのに対し、写真のヌカカは1.7mmでその2/3しかない。双翅目昆虫の成虫の体長は、幼虫時の栄養摂取の違いでかなりの差が出るのが普通だが、やや差が大き過ぎる気もする。 また、九大目録で224種のに対し圖鑑では僅か20種、検索表で辿り着いたのではないので近縁の酷似種が居る可能性もある。其処で、此処では「一見モンヌカカ(Forcipomyia metatarsis)に似るが小さい」としておくことにする。全体的に毛深い.口器が良く見える(2009/08/04) ヌカカは漢字で糠蚊と書く。糠粒の様に小さい蚊と言う意味であろう。小さいので網戸を容易にくぐり抜け、これに刺されると、その時は何ともないが、かなり時間が経ってから酷い痒みと腫れを生じ、完治に1週間以上かかることも屡々ある。北海道開拓初期の記録を読むと、知床半島などでは、肌を出すと忽ちの内にビッシリとヌカカに被われ、まるで糠味噌を掻き回した後の手の様になったそうである。しかし、北方の吸血昆虫と言う訳ではなく、熱帯に産するものも多い。九大目録の224種の内、北海道に産するのは僅か20種である。 また、人や恒温動物に対して吸血性の種類ばかりでなく、カエルや昆虫の体液を吸ったりする種類も多く、更に、小昆虫を補食するもの、花蜜を摂るものなど、成虫の食物スペクトルは広い。ただし、これは蚊と同じで雌だけの習性だそうである。 ところで、Forcipomyia属は、九大目録に拠れば日本に61種も記録があり、また、その多くは非吸血性である。この写真のヌカカが人吸血性か否かは分からないが、この辺り(東京都世田谷区西部)でヌカカ的な痒みを感じたことはない(北海道に居た頃は野山で屡々刺された)ので、恐らく非吸血性であろう。写真のヌカカに一見似ているモンヌカカに関しては、北隆館の圖鑑ではその食性について何も触れていない。
2009.09.09
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先日、ルリタテハ(Kaniska canace)の卵とそれが孵化して出て来た初齢幼虫を紹介した。その記事の最後に書いた様に、ヤドリバエの感染を防ぐ為に7頭(6頭と思ったらもう1頭居た)を飼育箱に確保した。これが何故か、猛烈な速度で生長し、一昨日の9月6日にはもう終齢(5齢)と思われる幼虫が出現した。 孵化は多分8月27日と思われるので、僅か11日間で終齢に達したことになる。こうも速いと、こちとらも何故か急いで掲載しないといけない様な気になる。これまで本Weblogでは、幼虫の齢ごとに違う記事とするのを基本としていたが、今回はもうメンドーなので卵~初齢、2~3齢、4~5齢、蛹~成虫の4本に分けることにした。今日は、勿論、順序として2~3齢である。ルリタテハの2齢幼虫.体長は1cm程度初齢齢にはない棘の枝分かれが見える(写真クリックで拡大表示)(2009/09/03) 実は、これらの写真を撮った9月3日には、1頭を残して他はみな3齢に達していた。その1頭の2齢幼虫も、後で分かったことだが脱皮直前、しかも僅か30程前、既に古い表皮が浮き始めている状態であった。一寸2齢幼虫の例としては相応しくないので、庭に残した2齢幼虫の写真をまず上に示しておく。庭には飼育箱に移さなかった4頭余りが残っているが、昨日9月7日現在で一番生長しているのが3齢、この写真を撮った9月3日では全て2齢であった。最近は最低気温が20~21℃にまで下がっているので、その気温の差が生長速度の違いを生じているのであろう。 上の2齢幼虫の体長は、体が曲がっているので分かりづらいが1cm程度。初齢では棘と言うよりは剛毛と言った方が良い様な各1本の棘が生えていたが、2齢では明らかな棘状突起となり、途中から枝分かれが生じている。脱皮直前の2齢幼虫.体はパンパンに膨れ、表皮が浮き始めている甲虫の様に光を反射する.体長は1cm程度(写真クリックで拡大表示)(2009/09/03) 上は脱皮直前の2齢幼虫である。表皮がパンパンに膨れている。撮った時は脱皮直前であるとは気が付かなかったのだが、何回撮っても妙な写り方をする。体の周辺部を見ると、下の葉っぱが反射で写っている。まるで、甲虫の様な光り方である。普通の幼虫とは感じが随分異なる。 上の写真を撮った後、飼育箱の清掃と食草の交換をし、撮った写真を現像してから幼虫を見に行くと、先程居た筈の黒っぽい2齢幼虫が居ない。探してみると、同じ位の大きさ(約1cm)だが頭が茶色の幼虫が盛んに歩き回っている。どうやらあの黒っぽい妙な光り方をしていた幼虫が脱皮して、この頭が黄茶色の幼虫になったらしい。頭は、当然暫くすれば、また黒くなる筈である。 脱皮殻は無い。脱皮後に食べてしまったらしい。上と下の写真の時間差は1時間弱、上の写真は正に脱皮直前だったのである。葉の上を歩き回る脱皮したての3齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2009/09/03) 脱皮したて幼虫は、やがて歩くのを止め、葉っぱの基部近くで動かなくなった。歩いているときは体が少し長かったが、御休中は体が縮んで、何かウミウシの様な感じ。ストロボの光に反応するのか、時々頭を左右に振る。動かなくなった脱皮したての3齢幼虫何かウミウシを思わせる外観(写真クリックで拡大表示)(2009/09/03) この幼虫、何となく可愛いので、もう1枚貼っておく。ストロボの光に反応したのか、時々首を左右に振る(写真クリックで拡大表示)(2009/09/03) 下はもうシッカリ生長した3齢幼虫、体長は20mm位ある。2齢と較べて、棘が随分とシッカリしており、長さも胴体の太さと同じ位長くなっている。一見固く、触ると刺さりそうにも見えるが、ツマグロヒョウモンの棘と同じでかなり柔らかい。良く生長した3齢幼虫.体長は2cm程度棘状突起が良く発達している(写真クリックで拡大表示)(2009/09/03) 最後に3齢の別個体を示す。一部の棘が曲がっているが、脱皮後に何かに接していて、曲がったまま固まってしまったのだろう。左端に見える固まりは、幼虫君の排泄物である。別の3齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2009/09/03) 今日(9月8日)の朝、飼育箱を見てみると、終齢と思しき個体は2頭に増えている。その一方で、まだ3齢の個体が1頭おり、残りは全て4齢である。かなり差が付いているが、庭の方に残してあるのを見ると、脱皮直後と思われる4齢が2頭、一番小さいのは体長12mm位の3齢幼虫である。飼育条件の良い方が生長の差が激しい様に思われる。好条件下では、個体差が増幅されるのかも知れない。[追記]これらの幼虫は全て無事成長し成虫に羽化した。以前、以降の記録は下記の通り。 内 容 掲載日 卵と初齢幼虫 8月29日 4齢幼虫 9月18日 5齢(終齢)幼虫 10月 6日 前蛹、蛹と成虫 10月19日
2009.09.08
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昨日紹介したコブマルエンマコガネの写真は、勿論、原画から必要部分だけを切り抜いたものである。その原画の隅に一寸面白いものが写っていた。微小なカタツムリである。殻径1.8mm、こんなに小さなカタツムリは生まれて此の方見たことがない。 3年程前、殻径3mmのカタツムリを紹介したことがある。その時これを「極小カタツムリ」と形容したが、3mmで極小ならば、これは超極小カタツムリと呼ぶべきであろう。超極小カタツムリ.殻径1.8mm.肉眼では識別できなかったピクセル等倍(以下同じ)(2009/08/28) 海産の貝はトロコフォア幼生を経て貝になるが、淡水産や陸生の巻き貝は直達発生で、卵からいきなり貝になる。生まれたばかりの普通のカタツムリ(殻径3~4cm程度)の仔貝は殻径3mm位らしいから、それよりもかなり小さいと言える。 一方、目に付く機会は少ないが、親になっても微小な種類がかなりの数存在する。保育社の「原色日本陸陸産貝類図鑑」を見ると、ムシオイガイ科、コハクガイ科等では4mm以下の種が普通だし、ナタネガイ科には2mmに満たない種もある。上の写真を見ると、かなり「大人びた」感があり、とても仔貝とは思えないが、ひっくり返してみると、下の写真の通り、既に死んだ個体であった。死後に殻が風雨に晒されて、この様な「大人びた」感じになったのかも知れない。ひっくり返してみると、中は空、既に死んだ個体であった風雨に晒されてこの様な古びた感じになったのだろうか(2009/08/28) この辺り(東京都世田谷区西部)では、1~2cm位で親になる扁平な種類を見た記憶がない。一方で、3mm程度の微小種は棲息して居る様である。良くは分からないが、このカタツムリは成長して3mm程度に達する種類の生長途中の個体か、本来2mm程度にしかならない極小種かの、何れかではないだろうか。 しかし、こう小さいと、改めて写真を撮り直すために探そうにも、裸眼ではその所在が全く分からなかった。度の強い老眼鏡をかけて漸く見つけ出した。生きている昆虫ならば1.8mmでも見えるのだが、岩の上にある貝殻は岩の模様やゴミに紛れて全く判別が付かない。後10年もすると、生きている虫も見分けが付かなくなるのだろうか。
2009.09.06
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今日はバッチイ虫を紹介しよう。これまでも双翅目では衛生昆虫の範疇に入る虫(ツヤホソバエ類、オオチョウバエ等)を何種か掲載したが、今日のは甲虫、不潔な甲虫と言えば、真っ先に思い浮かべるのがコガネムシ科の食糞群、即ち、センチコガネ、マグソコガネ、ダイコクコガネ等の、所謂糞虫の類である。 今日紹介するのは、その内のダイコクコガネ亜科(Scarabaeinae)に属すコブマルエンマコガネ(Onthophagus atripennis)。体長は7mm前後(図鑑では5~9mm)と普通のコガネムシよりは小さいが、糞虫としては大きい方である。コブマルエンマコガネ(雄).頭部の先端は上向きのヘラ状胸背にはやや複雑は凹凸がある(写真クリックで拡大表示)(2009/08/28) どうもこの連中は苦手である。雌雄で形態が違うし、雄にある突起の形は体の大きさ(幼虫時代の栄養の多寡)で相当に変化する。これはクワガタやカブトムシでも同じだが、多くは1cmに満たない小さい種類なのでずっと分かり難い。 実は、糞虫類の種類を詳しく調べるのはこれが始めてである。まず、保育社の甲虫図鑑にあるコガネムシ科の検索表を使って、亜科を調べる。触角は8節か9節なので、11節のセンチコガネ亜科ではない。また、第8節が杯状ではないのでアツバコガネ亜科でもない。残るはマグソコガネ亜科かダイコクコガネ亜科となる。検索表に拠れば、前者では尾節板(お尻の先端)は一般に上翅(鞘翅)に被われて見えず、後脛節の端棘は2本、後者では尾節板は上翅より露出し、後脛節の端棘は1本、とある。写真を見ると、お尻の先端が見える。また、後脛節端には長い棘が1本と短い突起が1つ認められ、この状態が「端棘が1本」と言えるのか些か自信がないが、図鑑の図版を見るとダイコクコガネ亜科の虫の後脛節端と同じ形をしている。従って、写真の虫はダイコクコガネ亜科に属すと考えて問題ないであろう。後脛節端には長い棘が1本と短い突起がある見難いが複眼の間に1対の突起があるお尻の先が鞘翅からはみ出している胸背の点刻はかなり疎で浅い(写真クリックで拡大表示)(2009/08/28) 次は属の検索である。後付節の基節(第1節)は第2節より遙かに長いのでダイコクコガネ族(Coprini)となり、前胸背板の後縁に沿う溝がなく、後縁は上反しないので、エンマコガネ属(Onthophagus)かコエンマコガネ属(Caccobius)と言うことになる。この2者は前脛節端の形で区別され、先端が内縁と鋭角をなして斜めに裁断されていればエンマコガネ属、ほぼ直角であればコエンマコガネ属である。しかし、これは写真からは一寸分かり難い。こうなると、この2属に属す虫の写真をInternetで探して比較することになる。撮影したのは何分にも都内の住宅地だから、珍種は居ない、と言う想定である。幸いなことに、東京都本土部昆虫目録にはエンマコガネ属は7種、コエンマコガネ属は1種しか記録されていない(九大の日本産昆虫目録では前者が29種、後者が5種)。頭部中央には明確な横隆条があり、やや弧状をなす鞘翅の間室は平坦で、毛が2列ずつある(写真クリックで拡大表示)(2009/08/28) この糞虫の特徴として注目したのは、先ず頭部先端が上向きにヘラ状になっていることである。何処となく茶道に使う灰匙を思い浮かべさせる。また、胸背の中央に縦の窪みがあり、その左右には隆起があって、更にその外側に若干の窪みが認められる(下の写真)。 これらを目当てにして探し当てたのがコブマルエンマコガネの雄であった。図鑑に戻ってその記載を読むと、「頭部中央の横隆条は♂では明瞭でやや弧状、♀では直線状、後方の横隆条は両複眼間にあり、やや湾曲し小さい2角状.前胸背板[胸背]の点刻は小円形で疎、側方のものは毛をともなう.上翅の間室[鞘翅の溝と溝との間の部分]は平坦、毛をともなう微小点刻をほぼ2列に並べる」とある([]内は用語説明)。一応、これらの特徴と一致する様である。また、日本各地に普通、都市でもよく見られる種類とのことなので、コブマルエンマコガネで間違い無いであろう。胸背中央に窪みがあり、その左右は隆起し、更にその外側は少し窪む頭部中央の横隆条が良く見え、触角は8節か9節であるのが分かる(写真クリックで拡大表示)(2009/08/28) 頭部先端がヘラ状になることや胸背のデコボコは雄の特徴であり、雌ではヘラ状のものが頭部の辺縁全体に拡がって庇状となり、胸背にデコボコは無い。これらはInternet上の写真やその解説からの情報である。保育社の甲虫図鑑には雌雄双方の写真が載せられているが、小さくてよく分からないし、解説にはこれらのことが全く書かれていない。もう少し解説を詳細にして貰わないと、同定に不安が残る。活字だけのページを増やすのは図版を増やすのよりはずっと安いと思うので、出来るだけ解説を詳しく書いて欲しいものである。 尚、このコブマルエンマコガネは獣糞や腐肉の他、場合によっては腐ったキノコなども食べるそうである。この種が都会の中で生き残っているのは、やはり普通の糞虫よりも食物スペクトルが広いからなのであろう。
2009.09.05
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今日は2ヶ月近く前に撮った「ハエ」の写真を出すことにしよう。画像倉庫の中には、この7月~8月に撮った双翅目(ハエ、虻、蚊)でまだ掲載していないのがかなり残っているのである。 雨模様の陰鬱な日の夕方6時頃であった。既に暗くなった中庭にある置いてある鉢植えのモッコクの葉と葉の間に中位の大きさの「ハエ」が居た。位置的に非常に撮り難く、何枚か撮ったのだが、真横からも正面からも撮れない内に逃げられてしまった。アシナガバエ科シロガネアシナガバエ属(Argyra)かその近縁属の1種(雌).眼に短毛が密生している一見ハエだが、実際はアブの1種(写真クリックで拡大表示)(2009/07/09) 真横からの写真は無いし、背側からでは翅が腹部を隠しているので、正確な体長は分からないが、翅端まで5.5mm、翅長約3.5mm、最近掲載している双翅目昆虫としては大きめと言える。 背側から見ると、眼に細かい毛が密生しているのが分かる。全身の姿は特に変わってはいないが、顔は何とも言い難い奇妙な顔(3番目の写真)!! 一体何バエか? これがどうにも分からなかった。検索表で調べても行き詰まってしまい、該当する科が無いのである。他の検索表を調べたり、画像を探したりしたのだが、納得の行く結果は得られなかった。其処で仕方なく、恥を忍んで何科に属すのか「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立てることと相成った。横やや上側から見たArgyra属かその近縁属の1種胸背には金属光沢があり、胸側は真っ白(写真クリックで拡大表示)(2009/07/09) 早速、九州大学名誉教授の三枝豊平先生が対応して下さった。何と、先生の御回答は「アシナガバエ科のArgyra属かその近縁属のメスです」!!! 分からない筈である。ハエの仲間ではなく、アブの仲間だったのだ。以前紹介した「”ニセ”アシナガキンバエ」と同じ科である。アシナガバエ科はアブ類と同じ直縫群に属し、ハエは環縫群に属す。アシナガバエは、名前はハエでもアブの仲間なのである。斜め前から見ると、何とも変な顔をしているのが分かる口器の中程にある左右に分かれた部分は小腮鬚の変形(写真クリックで拡大表示)(2009/07/09) 環縫群(ハエ)だと思って検索表を引いていたのだから、行き着く先が無いのは当たり前である。やはり、検索表で行き詰まったら、前提を疑うべきであった。 アブ類の翅脈は、基本的にハエ類の翅脈とは異なる。しかし、このアシナガバエ科の「ハエ」は、写真では良く見えない翅の基部に近い所では大いに異なるのだが、それ以外の(写真で良く見える)部分ではハエ類とよく似た翅脈をしているものが多い。 しかし、直縫群なので囲蛹を割る為の額嚢が無く、従って環縫群の額にある額嚢線がない(下図参照)。正面からの写真が無いせいもあり、これには全く気が付かなかった。また、先生の御話では、口器の中程にある平板状の構造は小腮鬚の変形とのこと。やはり、変な顔をしているのは、アブの仲間であったから、と言うべきであろう。チビクチナガハリバエの1種 (Siphona paludosa)の頭部羽化時に額嚢線に沿って額が割れ、中から大きな袋状の額嚢が出て来るその圧力により囲蛹はその輪に沿って割れ、成虫は表に出られる羽化後、額嚢は萎んで中に収まり、額は閉じられる尚、このヤドリバエの同定は三枝先生による(写真クリックで拡大表示)(2008/09/28) 九州大学の日本産昆虫目録やそれよりも新しい「みんなで作る双翅目図鑑」の目録には、Argyra属(シロガネアシナガバエ属)は僅か2種しか登録されて居らず、またその亜科(Diaphorinae:和名なし)にはこのArgyra属以外の属はない。三枝先生は「Argyra属かその近縁属」とされているが、日本には同亜科に属す近縁属は記録されていないのである。しかし、「”ニセ”アシナガキンバエ」のところで書いた様に、アシナガバエ科は現在記載されている種類の5倍位が棲息すると推定されている非常に研究の遅れた科である。まだ、記録されていない属があっても些かも不思議ではない。胸側には剛毛が見られない.腹部の大部分には金属光沢がある(写真クリックで拡大表示)(2009/07/09) 北隆館の圖鑑にはシロガネアシナガバエ属(Argyra)についての記載がある。三枝先生が執筆されたものである。その儘転記すると、「前額と額面は広い;触角柄節には刺毛を生じ、梗節は第3節の内側に延びる;第3節は三角形ないし長三角形;触角刺毛は第3節亜背部から生じる。口器や小顎鬚は小型。背中剛毛は5~6本、中剛毛は1~2列、小楯板剛毛は2対。翅は腎葉がよく発達する;前縁脈はM1+2脈に達する;M1+2脈は中央部でS字型に弱く湾曲する」(メンドーなので解説は省略)。大体の特徴は写真と一致するが、触角の細微な構造については倍率不足で判断できないし、また、小楯板剛毛は1対しか無い様に見える。先生が「Argyra属かその近縁属」とされた所以であろう。
2009.09.04
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今日は「庭を漂う微小な羽虫」の第4回目である。 前回(3回目)は、ケシキスイ科デオケシキスイ亜科の虫をハネカクシと間違えたりしたが、今回は本物のハネカクシである。体長は1.7mm、等倍接写としては限界的な大きさで、今日の写真は何れもピクセル等倍である。当然、画質が悪いが、何卒御勘弁頂きたい。空中を浮遊していたハネカクシの1種.体長1.7mm背景の桃色のは私の掌.ピクセル等倍(以下同じ)(2009/09/01) 肉眼で見た感じは、第1回目のチャタテムシに似ており、直径2mm位の霞んだ玉の様に見えた。これもまた、左手で掬って捕まえた。やはり手で直接捕まえるのは虫体を傷つける様で、触角の片側が無くなっている。しかし、この程度に小さい虫を、径36cmの汚れたネットで採ると、大きな網の中の何処に虫が居るのか分からなくなり、ボヤボヤしている間に逃げられてしまうことが多い。それで、ついつい手で掬ってしまうのである。 触角は片一方になってしまったが、まだチャンと生きていて、逃げ出しそうな雰囲気であった。そこでコールド・スプレーを掛けたのだが、やや掛け過ぎだったらしく、始めは動いていたが、やがて動かなくなってしまった。どうもコールド・スプレーの使い方がまだ分かっていない様である。虫君には気の毒なことをしてしまった。腹側にも点刻がある.腹部には毛が多い(2009/09/01) 始めは左手にくっ付いたままのを撮ったのだが、まだ早朝で頭がシッカリしていないせいか、中々焦点が合わない。年を取ると、こうだから困る。そこで、白い紙を持って来てその上に虫を置いて撮影した。左手が空けば、テーブルの上にその肘を乗せてカメラを固定出来るので、焦点合わせがずっと楽になる。背側から見たハネカクシの1種.如何にもハネカクシらしい形小さな鞘翅(前翅)の中に後翅が畳まれている(2009/09/01) ハネカクシ科は鞘翅目(甲虫)に属すが、腹部の大半が鞘翅からはみ出していているし、細長いし、余り甲虫とは思えない変な虫である。大きさは1.0mm~20mmとかなりの幅があり、九州大学の日本産昆虫目録では1023種、しかし、実際にはその2倍近くが棲息しているらしい。 保育社の甲虫図鑑には、その内の363種が載っている。図鑑の性質上、余り小さい虫は載って居らず、2mmに満たない種類はほんの数種だけである。その中ではチビニセユミセミゾハネカクシ(Carpelimus exiguus、体長1.5~1.8mm)が一番似ているが、斑紋も無く特徴に乏しいので、そうだと決めつけることは出来ない。亜科への検索表も手元に無いので、此処では単に「ハネカクシの1種」としておく。横から見るとかなり反り返っている(2009/09/01) 楽天ブログでは、一つの記事に複数のカテゴリーを指定することが出来ない(ココログやウェブリブログでは可能)のは困ったものである。当Weblogは昆虫の分類学的なグループ名をカテゴリーとしているので、「庭を漂う微小な羽虫」などと言うカテゴリーは作れない。其処で、以下の様な索引を付けておくことにした。 「庭を漂う微小な羽虫」の記事索引: 1.ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.)?:チャタテムシ科 2.ヒラタアブラムシ亜科の1種(有翅形) :アブラムシ科 3.デオケシキスイ亜科の1種 :ケシキスイ科
2009.09.02
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