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今日は久しぶりに毛虫を紹介する。撮影したのは1ヶ月前である。何故、掲載が遅れたかと言うと、写真の枚数が多いのと、写真を大きく表示したかったので、楽天の50MBの画像倉庫が満杯になった後の方針が決まるまで保留にしていたのである。タケノホソクロバの幼虫(終齢).直線的な食痕を残すのが特徴左が頭、右がお尻(写真クリックで拡大表示)(2009/06/30) タケノホソクロバ(Artona martini)の終齢幼虫、マダラガ科クロマダラ亜科に属し、タケや我が家で最も嫌われているササなどを専門に食べる毛虫である。普通の芋虫毛虫とは異なり、食べ方は非常に規則的、写真の様に葉を裁断する感じで、直線的な食痕を残す。体長は2cm強。横から見たタケノホソクロバの終齢幼虫.右端近くに尾脚が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/06/30) 害草として名高いヤブガラシ、ドクダミ、ヒルガオよりももっと根絶の難しいササを食べてくれるのだから、大発生でもしてくれれば有難いのだが、残念ながら1頭しか見つからなかった。蝶と異なり、蛾は1個所に多数の卵を産むことが多い。このタケノホソクロバも同様で、若齢中は集団で生活するとのことだが、この幼虫が居た場所以外のササに食痕が全く見つからないところを見ると、タマゴバチにでもやられてしまったのかも知れない。笹の茎を歩くタケノホソクロバの終齢幼虫.尾脚と4本の腹脚が見える.頭部は前胸(第1胸節)の襞で被われている(写真クリックで拡大表示)(2009/06/30) このタケノホソクロバの毛虫、以前紹介したウメスカシクロバ(同じマダラガ科クロマダラ亜科に属すが別属)の幼虫同様、毒針毛を持ち、触ると結構ヒドイらしい。大発生されると些かマズイことになるかも知れないが、ウメスカシクロバの幼虫は2年前までは我が家のツルバラで毎年大発生していた(一昨年に即効性農薬と残留性農薬の混合液をバケツに8杯噴霧して根絶させた)のだが、発疹が出るなどの被害は皆無であったところを見ると、このタケノホソクロバ幼虫の毒針毛も直接触らない限りは問題ないのかも知れない。前から見たタケノホソクロバの幼虫.頭部は前胸(第1胸節)の襞に隠れて殆ど見えない(写真クリックで拡大表示)(2009/06/30) 毛虫と言うのは、慣れないと何方が頭か尻尾か分かり難いことがある。吸盤の様な脚があるのが後、爪状の脚があるのが前である。鱗翅目(蝶、蛾)の頭部は、以前「ナミアゲハの幼虫」で紹介した様な構造になっているが、このタケノホソクロバの幼虫は前胸(第1胸節)が襞の様になって頭部を被っており、頭部が良く見えない(マダラガ科幼虫の特徴)。時折頭の先端が見える.頭頂は殆ど隠れている.光っているのは頭楯でその下は上唇.両端の黒い粒々は単眼単眼の横から前に出ているのは触角(写真クリックで拡大表示)(2009/06/30) しかし、時折周囲を眺め渡す様に頭を持ち上げることがある。それでも頭頂は殆ど見えない。何とか頭部を撮れないだろうかと色々やっている内に毛虫君を2回スレートの上に落としてしまった。写真を撮っている時には気が付かなかったのだが、後から見てみると、最前部(中胸:第2胸節)の長い毛が2本折れている。一見しなやかそうでも、結構脆いものらしい。 上の写真は、毛が折れてから撮ったものである。折れている毛を見ると黒い毛の中心部が白くなっているのが分かる(写真をクリックして拡大表示され度)。毛虫の毛の細微構造がどうなっているのか、興味のあるところである。タケノホソクロバ幼虫の口器.黒い粒々は単眼で、その左下は触角だが、その他の構造は良く分からない.撮影中に2度毛虫君を下に落としてしまったせいで、太い毛が2本折れている.1つ上の写真を見ると折れた毛の中心部は白いことが分かる。(写真クリックで拡大表示)(2009/06/30) かなり長い時間、歩き回る毛虫君の頭を撮ろうとしたのだが、一番良く口器が見えたのが上の写真。しかし、鱗翅目幼虫の口器と言うのは非常に複雑な構造をしており、この程度の写真では何処かどうなっているのか良く分からない。動き回る体長2cm程度の毛虫の口器を高精度で撮影するのは、やはり殆ど不可能に近い。 かつて別のサイトに、セスジスズメ終齢幼虫の口器の写真を掲載したことがある。体長8~9cmもある大型の芋虫なので、口器もその分大きい。鱗翅目幼虫の口器に関心のある向きは此方をどうぞ。背面からの写真をもう1枚.少し斜めなので実際に見る姿に一番近い(写真クリックで拡大表示)(2009/06/30) 撮影を終わり、データをコムピュータに移して撮った写真を一通り見てみた。すると、どうも肉眼で見た感じとは少しずれている様に思えて来た。其処でもう1枚背面斜めからの写真を撮り直し。これが一番目で見た感じに近い。 教訓! 細部にばかりに気を取られると、全体を撮り逃す。
2009.07.31
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数日前の早朝、新聞を取りに行くとき、中庭のスレートの上にコフキコガネらしき甲虫が仰向けにひっくり返っているのを見付けた。今時、良くあることである。もう御臨終と思って気にも留めなかったのだが、新聞を持って戻る時、良く見てみると少し動いている。まだ生きていたのである。 触角先端の片状部が短いのでこれは雌。雄はこの片状部が雌の3倍位あってカッコイイのだが、何れにせよコフキコガネはまだ掲載していない。早速カメラを持って来て写真を撮ることにした。しかし、スレートの上にひっくり返っているのでは絵にならない。そこで、適当な葉の上に乗せてみたが、葉表は爪が引っ掛かり難いらしく直ぐに葉裏に行ってしまう。しかし、葉裏は好きではない様でまた表の方に上がろうとする。葉っぱの裏から表に上がろうとするコフキコガネ体毛は頭部を除いて白っぽい写真クリックで拡大表示(2009/07/26) どうも葉っぱの上は好きではないらしい。そこで、シッカリ掴まれそうなハナモモの幹に移してやった。今まで、余り元気そうに見えなかったのだが、樹皮に爪をかけた途端、急に元気よく歩き出した。ハナモモの幹を歩くコフキコガネ.体毛は白っぽい写真クリックで拡大表示(2009/07/26) 元気よく歩き出しただけではない。やがて、上翅を拡げて飛んでいってしまった。これまでの経験からしても、コガネムシの類は一見死にかかっている様でも、暫くすると急に元気になったりする。死にかかっている様に見えるときは、寝ているか、或いは、寝呆けているのだろうか。鞘翅を拡げて飛び立たんとするコフキコガネこの後、元気よく飛んで行った写真クリックで拡大表示(2009/07/26) さて、コフキコガネと書いたが、これにはオオコフキコガネと言う類似種があり、この辺り(東京都世田谷区西部)にも棲息しているらしい。保育社の甲虫図鑑に載っている検索表では、両者の違いは先ず体毛で分けられる。前者では「体毛は黄褐色、時にやや白っぽい黄褐色」、後者では「灰白色、またはやや黄色みを帯びた灰白色」である。しかし、実際問題として「やや白っぽい黄褐色」と「やや黄色を帯びた灰白色」でどの程度違うのか??一昨年撮ったコフキコガネ.体毛は黄褐色に見える写真クリックで拡大表示(2007/08/17) 実は、一昨年にもコフキコガネと思われる雌の個体を撮ってある。鞘翅が少し欠けて居たので掲載しなかったのだが、それと比較してみよう(上の写真)。体毛はかなり剥げているが、1~3番目の写真に写っている個体よりもずっと黄褐色を帯びている。この一昨年の個体がコフキコガネならば、最初の個体はオオコフキコガネなのであろうか。最初の個体の顔.触角が短いが愛嬌は満点.体毛は白い写真クリックで拡大表示(2009/07/26) しかし、顔の辺りを撮った写真を見ると、今年の個体(上)でも、一昨年の個体(下)でも、殆ど体毛の色は違わない。淡褐色の被写体は、色温度を低く設定して現像すれば灰色になり、高くして現像すれば黄褐色になる。また、色補正で青を強くすれば灰色になり、弱くすれば黄褐色になる。・・・と言うことで、体毛の色で両者の違いを判断するのは、実物ならば兎も角、写真からはかなり難しい様である。 それならば、色の違い以外に、この両者にどの様な違いがあるのか? 保育社の昆虫図鑑甲虫編に拠ると、コフキコガネ雌では頭楯両側縁は前方に向かい明らかに狭くなるのに対し、オオコフキコガネ雌では殆ど平行とある。頭楯と言うのは、この場合、頭部背側の先端部、上や下の写真では、丁度カッパのお皿の様に見える部分である(尚、頭楯の形は雄と雌で異なるので注意)。一昨年に撮った個体.今年撮った個体と体毛の色に違いは認め難い愛嬌の度合いもまた優劣付け難し写真クリックで拡大表示(2007/08/17) 狭くなるか平行か。文意の違いは明瞭だが、側縁と前縁の境は丸味を帯びて曲がっているのだから、写真からの判断は是亦中々難しい。実際、背面から撮った2番目や4番目の写真を眺めてもハッキリしない。しかし、斜め横から撮った最初の写真や、最後の2枚の写真を見ると、側縁は前方に向かってほぼ一定の角度を保って次第に狭くなっていると判断出来る。・・・と言うことでこの2個体は共にコフキコガネ(Melolontha japonica)と相成った。 ところで、コフキコガネの幼虫も勿論ネキリムシである。我が家の灌木を枯らした犯人の一人?ではないだろうか。・・・しかし、調べてみると、コフキコガネの幼虫は、マメコガネや先日掲載したセマダラコガネと同じく草本類の根を好み、時にゴルフ場の芝に被害を齎すことはあっても、普通の植物に大きな被害を与えることは無い様である。また、成虫の方も木の葉を食べることは食べるが、余程の数が集まらない限り問題になることはないらしい。 これまで、アオドウガネやマメコガネは見付け次第捕殺していたが、コフキコガネはその愛嬌に免じて時に釈放していた。大した害が無いのなら、これからは、コフキコガネはみな逃がしてやることにしよう。
2009.07.29
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一昨日、ベランダの椅子で一服している時、目の前のクリスマスローズの上で体長2mm位の綺麗な黄色をした虫が浮遊しているのに気が付いた。以前掲載した「ハモグリバエの1種」かも知れないが、全身が真っ黄色に見えたから多分別の種類であろう。「庭を漂う微小な羽虫」シリーズには最適と思い暫く追いかけたのだが、残念ながら撮る暇もなく見失ってしまった。代わりに見付けたのが、このミドリグンバイウンカ(Kallitaxila sinica)の幼虫。ウンカやハゴロモ類の幼虫にはお尻に妙なお飾りを付けている種類がかなりあり、このミドリグンバイウンカの幼虫もその一つである。キショウブの葉に張り付くミドリグンバイウンカの幼虫体長4.0mm.お尻から出ている針?は一体何の為?写真クリックで拡大表示(2009/07/26) ミドリグンバイウンカの成虫は、我が家では専らクチナシに寄生している。しかし、これまでクチナシの葉裏を幾ら探しても幼虫は見つからなかった。見付けたのはキショウブの葉の低い位置。些か撮り難かったが、まァ、何とかなった。 体長は4.0mm、成虫と大して違わないから、終齢幼虫であろう。しかし、キショウブの草むらに居るとは思わなかった。幼虫と成虫で寄主が違うのであろうか。横から見たミドリグンバイウンカの幼虫殆ど真っ平ら.写真クリックで拡大表示(2009/07/26) ミドリグンバイウンカは半翅目同翅亜目ハゴロモ上科グンバイウンカ科に属す。しかし、九州大学の日本産昆虫目録データベースを参照すると、何故かドリグンバイウンカ(Kallitaxila sinica)は載っていない。Kallitaxila属は5種載っているのだが・・・。 尚、Internetでミドリグンバイウンカを調べると、学名をKallitaxila sinicaではなく、Kallitaxilla sinicaとしているサイトが少なからずある。九大目録や東京都本土部昆虫目録では前者を使用しており、また、前者の属名で検索すると約3000の主に国外のサイトがヒットするのに対し、後者の属名では日本と台湾の若干のサイトがヒットするだけである。後者の属名は書き間違いであろう。前から見ると、潰れたカエルを連想させる写真クリックで拡大表示(2009/07/26) 実は、前回の掲載で、画像倉庫が遂に満杯になってしまった。楽天(株)がこんな50MBなどと言う時代錯誤の容量を変更する気がないのは、楽天ブログはアフィリエイトで売り上げを伸ばす為の一つの手段に過ぎず、その文化的・社会的意義を全く評価していない証しだと思う。アフィリエイトで儲けるのが目的ならば、古い写真など意味がないから、50MBあれば充分と考えているのであろう。儲け第一で、Weblogのその他の意義を認めていないのであれば、今後、会社の事情で何時楽天ブログを閉鎖するかも知れず(楽天はかつて古本屋街を含む楽天フリマを簡単に破棄してしまった。膨大な古書に関するデータベースであったのだが、他に譲る事もせず一方的に放棄してしまった。古書の持つ分化的・学術的価値を全く認めていない証左である)、この様なところでWeblogを続けるのは些かの不安があるが、最近は何故かアクセス数が急激に増えており、他所へ移るのも何となく憚られる。 画像はフォト蔵などの外部の画像倉庫から引っ張ってくることも出来る。しかし、画像倉庫がメインテナンス中であったりすると文章だけが出て写真は表示されないから、読者諸氏には大いに御迷惑をかけることになってしまう。 ・・・と言う訳で、遂に楽天の手の内に落ち、画像倉庫を拡張した。今回を含め、以降は画像の容量など全く気にする必要がないので、可能であれば写真を拡大表示出来る様に「仕様変更」した。拡大可能な写真は2ピクセル幅の黒枠で囲ってある。拡大したときの大きさは画像の精緻さにより様々である。また、画質も幾分向上させた。緑色が赤っぽくなるのが少しは改善され、彩度が少し上がると思う。その代わり、写真が多い場合は、そのロードに今までより多少の時間がかかることが予想される。
2009.07.28
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最近は、昔撮った写真の整理をしている。昔、と言ってもそんなに古いものではなくここ数年分の写真である。一枚では些か物足りない写真でも、何枚か集まれば、何とか掲載出来る。・・・と言う訳で、今日はコクロヒメテントウの幼虫を紹介する。 この辺りに居るテントウムシの幼虫は、以前紹介したナミテントウの幼虫の様な形をしているものが多い。しかし、テントウムシ類の幼虫は極めて変化に富んだ形態をしており、中にはアカホシテントウの幼虫の様にブキミな怪獣の如き連中もいれば、兵隊アブラムシや平らなカイガラムシにソックリなもの、或いは、このコクロヒメテントウの幼虫の様に、コナカイガラムシやワタフキカイガラムシに擬態している(とされている)ものもある。コクロヒメテントウの幼虫.左側のアブラムシが少し萎んでいるのはこの幼虫に囓られたからかも知れない.左端はアブラムシの脱皮殻(2007/05/16) 上の写真は一昨年(2007年)の5月中旬に撮ったものである。クチナシの若葉に付いたアブラムシが目当てでやって来たらしい。体長は、約2.1mm、ブワブワした衣で被われているので正確な体長が分からないが、まだかなり小さい。左側に居るアブラムシが萎びているのは、このコクロヒメテントウの幼虫に少し囓られたのかも知れない。捕食者を撃退するはずのハリブトシリアゲアリと一緒に居るコクロヒメテントウの幼虫(2009/06/13) 次の写真は、毎回拙サイトを御覧になっている読者諸氏にはお分かりのことと思うが、以前ハリブトシリアゲアリを掲載したときに一寸写っていた個体である。アリマキを捕食者から守るはずのアリと一緒に歩いている。体長は約2.2mm、余り綿状の衣が発達していないところを見ると、脱皮してからまだ日が浅いのかも知れない(別種の可能性もある)。 佐々治寛之著「テントウムシの自然史」に拠れば、この綿状の物は幼虫自身が分泌する蝋物質で、物質的にはワタフキカイガラムシ類のものと相同だそうである。曲がっているが、体長は約5.5mm、終齢幼虫と思われる(2007/06/09) 上の写真も一昨年に撮ったもので、体長は約5.5mm、終齢幼虫であろう。珍しく草本植物であるカクトラノオの上を忙しく歩き回っていた。それを横から撮ったのが、下の写真。口、3本の脚、腹部の体節が見えている。 捕まえて、蝋物質を剥がしたり、裏返しにしてみれば、もっと良く体の構造が分かるのだが、気の毒なので止めておいた。上と同一個体.口、脚、腹部の体節が見えている(2007/06/09) 幼虫はかなり特異な形をしているが、成虫の方はどうかと言うと、体長2mm前後、暗色でお尻の辺りだけが茶色い目立たない甲虫である。ヒメテントウ類は、名前の如く一般に小型で2mmを越える種類は少なく、また、普通のテントウムシよりもずっと縦長なので、一般の人が見てもテントウムシとは思えないかも知れない。 ヒメテントウ類は、庭を「探索」している間にそれらしき姿を見かけることがある。しかし、何時も写真を撮る前に逃げられてしまう。尤も、写真を撮っても、それだけではヒメテントウ類の同定は難しいだろう。 尚、前述の文献に拠れば、ヒメテントウ族の幼虫の大部分は、綿状の蝋物質を出すとのこと。写真の幼虫は最普通種である「コクロヒメテントウの幼虫」として置いたが、或いは、別のヒメテントウの幼虫である可能性も否定は出来ない。
2009.07.25
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今日は「庭を漂う微小な羽虫」の第2回目である。第1回目に紹介した「ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.)?」は、飛んでいるときは、直径は2.5mm位のオボロな輪郭を持つ茶色の玉の様であったが、今回のはもう少し大きく、全体的に黒っぽい。単位時間当たりの羽ばたき数もチャタテムシよりは少ない様で、かなり動作がトロイと言う感じ。何となく、アブラムシの有翅虫ではないかと思ったのだが、やはり「当たり」であった。ヒラタアブラムシ亜科の1種.翅脈が良く見える(2009/07/04) このアブラムシの有翅虫も初めは手で捕まえた。しかし、前回のチャタテムシ同様、指の関節の間に挟まれてしまい、掌を開いてみた時は既に御臨終。そこで、普段は纏わり付くヒトスジシマカを退治するのに使用しているネット(志賀昆の36cm:本来はハエを採るつもりで買ったもの)で採集した(蚊は網の中で圧殺してしまうので、網がかなり汚れている)。 しかし、コムピュータにデータを移しよく眺めてみると、どうも普段見るアブラムシの有翅虫とは少し違う様である。縁紋(下の写真を参照)が矢鱈に目立ち、体長も1.5mm強とかなり小さい。アブラムシ上科には、1860年代に欧州のブドウを殆ど全滅させたネアブラムシ科(フィロキセラ科)や専ら針葉樹に付くカサアブラムシ科と言う、今まで見たことのない連中も居る。しかし、検索表で調べてみると、R1脈からRs脈が分離して存在しているのはアブラムシ科とのことなので、この有翅虫はアブラムシ科として問題ない様である。 科から亜科への検索表は手元にない。しかし、このアブラムシの有翅虫では、Cu1脈とCu2脈がR脈の1個所から分かれて出ている(下の写真参照)。これはヒラタアブラムシ亜科の特徴らしい。以前紹介したヤノイスフシアブラムシもヒラタアブラムシ亜科に属すが、今日のアブラムシとこのヤノイスフシアブラムシの翅脈相は非常によく似ている。翅脈の名前を示す.縁紋が顕著(2009/07/04) 其処で、「日本原色アブラムシ図鑑」でヒラタアブラムシ科の有翅虫を1種ずつ見てみる(この図鑑では何故か科に付いて何も書かれていないので、自分で科の目次を作ってある)。・・・すると、何とエゴノネコフシアブラムシの有翅虫とソックリであった。 このエゴノネコフシアブラムシは一般にエゴノネコアシアブラムシと呼ばれ、エゴノキにシキミの果実(或いは香辛料の八角)の様な形の虫えいを作り、兵隊アブラムシと言う階級分化の見られる種として有名である。エゴノキなら、隣のオジサンの家に植わっている。ストロボの反射で構造色が出ている(2009/07/04) しかし、その木を見に行くと虫えいは古いものが僅か1個しか見当たらなかった。また、エゴノネコフシアブラムシの夏寄生植物はアシボソやチヂミザサなどの単子葉草本である。我が家には何方も生えていない。それに、写真のアブラムシの有翅虫はズミ(ヒメリンゴ)の木の周りをフワフワ飛び回っていることが多かった。 東京都本土部昆虫目録を調べてみると、ヒラタアブラムシ亜科は28種も記録がある。まァ、エゴノネコアシアブラムシと決めつけないで、「ヒラタアブラムシ亜科の1種」としておくのが無難であろう。ヒラタアブラムシ亜科の有翅虫は翅を平らに畳む(2009/07/04) 庭を漂う微小な羽虫、今回は捕まえる前に予想した通りアブラムシの有翅虫であった。最近はチャタテムシもこのアブラムシの有翅虫も見かけず、別の虫が飛んでいる。この次の「庭を漂う微小な羽虫」には、一体何者が登場するであろうか。
2009.07.22
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今日は、虫嫌いの人でも知っている、お馴染みの虫を紹介する。ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)、アブラムシを食べる「正義の味方」として著名である。テントウムシ科テントウムシ亜科テントウムシ族に属す、最もテントウムシらしいテントウムシである。 何故今まで、この有名な虫を掲載しなかったかと言うと、現在の我が家では極めて稀な虫だからである。昔、まだ庭が広かった頃には極く普通の虫であった。しかし、相続に伴い面積が減り、西洋長屋に改築して庭が猫の額の如くとなってからは、全く見られなくなった。それが、先日、ヒョッコリ姿を現した。クリスマスローズの枯れた花の上を走り回るナナホシテントウ(2009/07/05) 以前紹介したダンダラテントウの所で書いた様に、どうもこのナナホシテントウは専ら草本植物に付くアブラムシを食べるらしい。我が家の庭の草本植物には殆どアブラムシが付かない。これが、我が家でナナホシテントウを見かけない原因の様である。 我が家では、捕食性テントウムシの多くは、何れも木本植物上で見つかる。しかし、このナナホシテントウは、クリスマスローズの葉上を走り回っていた。やはり、草本植物上でアブラムシを探すらしい。真横から見たナナホシテントウ.ナミテントウより一回り大きい(2009/07/05) 動作は他のテントウムシと同じで、葉表から葉裏とチョコマカ走り回る。何故か、一時クリスマスローズの枯れた花穂に御執心であったので、この時に色々方向から撮ることが出来たが、背側からは遂に一枚もまともな写真を撮ることが出来なかった。ナナホシテントウの顔.余り「虫相」が宜しくない(2009/07/05) しかし、「正義の味方」にしては、余り「虫相」が宜しくない。頭部は殆ど真っ黒で、左右の複眼の内側に丸い白斑1対があり、これが一見眼の様に見える。これを眼だと思うと、何かマスクをした強盗を思わせる。同じ様な写真をもう1枚(2009/07/05) しかし、暫くこのマスク顔を眺めていたら、かつてTVでその名を馳せた、黒いマスクをした「正義の味方」のことを思いだした。白馬シルバーに跨った「正義の味方・ローンレンジャー」である。私の小~中学生の頃の話だから、若い読者諸氏は御存知ないかも知れない。しかし、検索すればゴマンと出て来る。その顔を御覧になれば、直ぐに合点が行く筈である。
2009.07.20
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先日、日本以外では記録がないのに原産地不明の帰化種とされているウスグモスズ(多分)の若齢幼虫を紹介したが、今日はまだ正体が不明でもっとドロドロした状況にある虫を紹介する。 まだジトジトと雨の降っていた頃のことである。雨水の溜まったシジミバナの葉上に、黄土色に暗色の紋を持つ体長1cm位の小蛾が留まっていた。こういう小さな蛾は種類の判定が大変なので、本当は余り撮りたくない。しかし、紋がかなり特徴的なので比較的楽に種を調べられるかも知れないと思い、撮影することにした。位置の関係で真横や真っ正面からは撮れなかったが、それでも、種の判別に役立つ写真は、まァ、何とか撮ることが出来た。キバガ上科の未記載種。所属科不明(2009/06/21) 口の辺りから反り返った牙の様なものが伸びており、頭の上にまで達している。これは口器の一部で下唇鬚と呼ばれる構造である。1種の感覚器とされている。小蛾類や、比較的大きな蛾ではアツバ類(例えばタイワンキシタアツバ)にこの下唇鬚が発達しているが、これだけ極端に反り返るのはキバガ類(キバガ上科)であろう。 まず、手元の図鑑でキバガ科とその前後を調べてみた。しかし、該当するものはない。我が家の図鑑は随分古い代物で、小蛾類の分類はその後大きく変わっているから、この図鑑に載っていなくてもおかしくはない。其処で、次は「みんなで作る日本産蛾類図鑑」の御世話になることと相成る。キバガ上科に属す種々の科を全部調べてみたが、やはり何処にも見当たらない。マルハキバガ科のカレハチビマルハキバガにかなり似ているが、この種は「図鑑」に載っているどの個体も頭部が全て暗色であるのに対し、写真の蛾では額は白く、下唇鬚や頭頂付近は黄褐色をしている。また、翅の斑紋も異なる。とても個体変異の範囲に入るとは思えない。キバガ類では下唇鬚が発達し牙の様に反り返る(2009/06/21) 其処で「新・蛾像掲示板」に御伺いを立てようかと思ったのだが、その前にもう一度「みんなで・・・図鑑」を見てみることにした。そのトップ・ページを開いた時、今まで気の付かなかった「キバガ上科?難解蛾像保管庫」と言う文字が目に入った。早速その中を開いてみると・・・、あった。平成16年(2004年)の6月から問題になっていた蛾であった。少なくともキバガ上科に属すことは確かと思われるが、その下の科に落ちないのだと言う。検索表で科に落ちない、とは一体どういう事か?? 「掲示板」で問題になっていたのは平成16、17年、今は平成21年だから5年の間に何らかの進捗があってもおかしくはない。そこで、その旨の御伺いを「掲示板」に立ててみた。早速、Tamagaro氏から御回答を頂いた。新種であることは確実だが、所属等に関してその後の進歩は全く無いとのこと。下唇鬚が頭の上に達しているのが分かる(2009/06/21) こちとらは蛾の大分類に関して余り知識を持たないが、キバガ上科と言うのは、ヤガ上科と並んでかなり世界的に議論のあるグループらしい。この蛾が科に落ちないのであれば、新科を作るか、検索表を書き換える必要があろう。何れにしても、キバガ上科全体をシッカリ調べなければ出来ない大仕事である。しかも、キバガ上科自体の議論がまだ煮詰まっていないと言うのだから、その論争の中に飛び込むか、或いは、纏まるまで待つ他、この蛾の位置を決めることは難しいであろう。この蛾に付いて何らの進捗もないのは、そのせいかも知れない(分類学者の不足が第一の要因ではあろうが・・・)。 この蛾は最初熱海で発見され、他に沖縄本島にも産し、現在東京付近では各地で普通となっているらしい。世田谷区西部に位置する我が家の周辺でもよく見かける。都市部で所属の分からない未記載種が急に沢山現れたと言うのは、ウスグモスズの場合と同じである。このキバガ上科の未記載種も、原産地不明の帰化種とされる可能性が高い。
2009.07.18
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今日は、我が家では余り評判の芳しくないコガネムシの類を紹介する。セマダラコガネ(Blitopertha orientalis)、背中に斑模様のある体長1cm前後の比較的小さなコガネムシである。 何故評判が芳しくないかと言えば、コガネムシの幼虫は所謂ネキリムシで、我が家ではこのネキリムシで枯れたと思われる灌木がこれまでに10数本に及ぶからである。木が急に萎れだし、水をやっても全く効果は無く、そのまま枯れてしまう。アジサイの様に叢生するものでは、部分的に枯れて行き、やがて全滅する。初めは、何か病気にでも罹って枯れるのかと思っていたが、ある時、オルトラン粒剤を撒いてみたところ、萎れが途中で止まり、残りは生き延びることが出来た。その後、同じ様な症状が出た場合、何れもオルトラン粒剤で助かっているので、これは、どうやらネキリムシの仕業であろう、と判断したのである。セマダラコガネ.背中の斑紋は白~黒の変異が大きい写真の個体の斑紋は中間的(2009/07/01) この辺りにいるコガネムシ(スジコガネ亜科、コフキコガネ亜科)と言えば、このセマダラコガネの他にアオドウガネ、マメコガネ、ビロウドコガネ、コフキコガネが居る位なもので種類は非常に少ない。尤も、基本的に見付け次第捕殺してしまうので、キチンと形態を観察していないし(マメコガネを除いて類似種が居る)、余り興味のあるグループではないので関心が薄く、コガネムシ、ドウガネブイブイ、クロコガネ等も居た様な気もするが、記憶が定かでない。なお、ハナムグリやカナブンはハナムグリ亜科に属し、その幼虫は、カブトムシと同じで腐植を餌とし、生きた植物の根を食べることはない。上向きの姿勢を取ることが多い(2009/07/01) コガネムシ類は、幼虫が植物の根を食害するだけでなく、成虫も葉を食害するものが多い。我が家の近くに並木として植えられたサクラの若木があるが、昨年は何故かその1本にアオドウガネが集まり、殆ど丸坊主にしてしまった。 マメコガネは1916年にアメリカ合衆国で日本からの帰化が確認され、Japanese beetleと名付けられた。この虫は新天地で急速に分布を拡大し、多くの有用植物の葉を食害して甚大な被害を与えた。それは、大東亜戦争時に反日宣伝に使われたくらい酷いものであったと言う。触角や口の周りには細かい毛が生えてる(2009/07/01) このセマダラコガネ(米国では、oriental beetle、或いは、Asiatic beetleと呼ばれている)はどうかと言うと、幼虫は多くは草本植物の根を食べるとのこと。最近は、ゴルフ場の芝に被害を与えるのでかなりの問題になっている様だが、まァ、私としては、ゴルフ場なんぞはどうなっても宜しい。しかし、我が家にあった「祖先伝来」のフウチソウ(戦前からあったらしい)を枯らした犯人は、このセマダラコガネである可能性が高い(マメコガネも容疑者候補、共犯かも知れない)。 成虫はどうかと言うと、何故か、日本国内では成虫の食性に関してキチンと書いたサイトが見つからない。そこで、外国のサイトを参照すると、バラやタチアオイ、ペチュニア等の花を多少食害することがあるらしい。しかし、「Adults feed very little」とか「adult beetles apparently do little feeding」と書かれて居り、花卉以外への被害は殆ど問題にならない様である。害虫ではあるが中々愛嬌がある(2009/07/01) ・・・と言う訳で、写真のセマダラコガネ君、我が家ではフウチソウを枯らした犯人として「かなり黒に近い灰色」と見なされているが、コフキコガネと同様触角が大きく(雌では小さい)、中々愛嬌のある虫ではある。後脚を突っ張るマメコガネと異なり、1~4番目の写真の様に少し上向きで遠くを眺める様な姿勢をとることが多い。この格好をしているときに、真っ正面、少し下側から撮ると面白い写真が撮れるのだが、残念ながら障害物があって、斜め前からしか撮れなかった。 何とか真っ正面から撮れないかと思って枝を動かしたりしていたら、セマダラ君、警戒してマメコガネの様に葉っぱに這いつくばってしまった。仕方なく、その姿勢を真ん前から撮ったのが下の写真。何だか、複眼や口の周りがハッキリしないが、別にボケている訳ではない。細かい毛があって、輪郭が不明瞭になっているらしい。真っ正面からみたセマダラコガネ(2009/07/01) 梅雨も明け、此処3日程、真夏の太陽が照りつけている。この分では、我が家の庭はいずれ「夏枯れ」状態になるものと予想される。しかし、6月下旬以降に撮った写真がまだかなりある。ネタ切れの心配は、暫くの間は無用と思われる。
2009.07.16
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かなり以前から、庭を漂う微小な羽虫類が気になっている。一見したところでは、埃と大した差がない様な連中で、虫に興味のない方の目には映ることも無いと思われる存在である。この類の羽虫、完全な空中静止は殆どしないが、何かあるとかなりの速度で飛んで逃げるので、浮遊中は何らかの作戦行動を執っているものと思われる。飛んでいるときの直径は2~3mm、色は様々で、虫の正体としてはアブラムシの有翅虫、アザミウマ、コナジラミ、小型の蚊やハエ、微小な寄生蜂等が考えられる。しかし、全く意外な虫が浮遊している可能性もある。 以前掲載した「ショウジョウバエの1種」等もこの仲間に入る。これは完全な空中静止をするので何とか撮影できたが、その他の羽虫は、空中静止はせずに少しずつ動き、しかも此方が近づけばその分だけ遠のくので、どうしても撮影することが出来ない。そこで、飛翔中の写真は諦め、捕まえて正体だけでも確認することにした。 先ず最初に捕まえた虫が下の写真。意外にもチャタテムシの1種であった。片手で握る様にして捕まえたので、掌を閉じるときに指の関節内側で挟まれてしまい、既に御臨終であった。手で捕まえたチャタテムシ.指の関節に挟まれて御臨終(2009/07/04) 体長1.5mm、翅端まで2.3mmと相当に小さい。私の手の指は成年男子としては平均的な大きさなので、上の様な写真を載せれば、虫の小ささが実感出来るであろう。飛んでいるときの直径は2.5mm位、オボロな輪郭を持つ茶色の玉の様であった。上の部分拡大.前翅と後翅がずれており翅脈が見やすい後翅のR脈とM脈は1横脈で結合しているのが分かる(2009/07/04) 下の写真はやはり手で捕まえたチャタテムシである。最初の写真と同一種と思われる。御臨終とはなっていない様だが、触角の片側が折れている。やはり、手で捕まえるのはダメで、捕虫網を使う必要があることを実感した。 さて、このチャタテムシ、何科のチャタテムシであろうか。一見して、以前紹介した月桂樹の葉裏に居たチャタテムシとよく似ている。月桂樹の葉裏は吸汁性昆虫の排泄物等で汚れていて、翅脈相が良く分からなかったが、今回は下地や周囲が綺麗だから、翅脈がハッキリと見える。これならば、何とか科まで落ちるかも知れない。別の個体.月桂樹の葉裏にいたチャタテムシとよく似ている(2009/07/04) しかし、チャタテムシ目の検索は、何れの検索表でも先ず触角の節数から始まる。その後も顕微鏡で見なければ分からない様な微小な構造の差異が問題となるので、幾ら翅脈が良く見えていても、等倍接写程度の写真では検索表を冒頭から引くことは出来ない。 其処で便法を使うことになる。先ず、写真のチャタテムシの前翅翅脈をよ~く見て、北隆館の圖鑑に載っているチャタテムシに同じ様な翅脈相を持つ種が無いかを調べる。・・・有った。マドチャタテ科のヒメマドチャタテとウスイロチャタテ科のクリイロチャタテが同じ様な前翅翅脈を持つ。後者の解説を読むと、クリイロチャタテは後翅の径(R)脈が中(M)脈と1横脈で結合していることでヒメマドチャタテと区別出来る、とある。ヒメマドチャタテでは径脈と中脈は直接接している。 2番目の写真を見ると、写真の虫では明らかに径脈と中脈は1横脈で結合している。この違いが科の違いなのかは分からないが、どうもこの虫はウスイロチャタテ科に属すらしい(ウスイロチャタテ科は以前はマドチャタテ科に含まれていた)。横から(2009/07/04) 実は、チャタテムシに関しては「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」と言う文献がInternetで入手出来る。珍しく日本語の文献である。しかし、残念ながらこの検索表では、最初の方で「爪の先端近くに歯を持つ」と言う顕微鏡的な特徴の有無により、マドチャタテ科の属す系列とウスイロチャタテ科の属す系列の2つに分かれてしまうので、この両者を直接比較することが出来ない。 そこで外国のサイトでチャタテムシ目の写真を調べてみる。・・・すると、写真のチャタテムシに翅脈相や外観が似ているのはやはりウスイロチャタテ科以外にはない。かなりいい加減だが、以下は、写真のチャタテムシはウスイロチャタテ科に属す、と言うことで話を進める。前から.やはり漫画的な顔(2009/07/04) 前述のチャタテムシの文献を見ると、ウスイロチャタテ科にはEctopsocopsis属とEctopsocus属の2属しかない。しかも前者はクリイロチャタテ(E. cryptomeriae)1種だけである。この種は翅が赤紫色で、明らかに写真のチャタテムシとは異なる。従って、写真の虫はEctopsocus属に所属すると考えられる。そこで、次は検索表内のEctopsocus属を辿ることと相成る。しかし、此処でもやはり顕微鏡的な特徴の有無が問題となり、此処に載せた写真からの判断は困難である。 外国のサイトを見る限りEctopsocus briggsiと言うのが非常によく似ている。殆ど瓜二つと言う感じがする。東京都本土部昆虫目録を見てみると、この種は皇居で記録があるから、この辺りに居てもおかしくはない。しかし、外見が似ているからと言うだけで種を決めるのは些か無謀に過ぎる。Ectopsocus属は、九大の目録では4種だが、先の文献(此方の方が新しい)には未記載種を含めて8種が載っている。外見のソックリな種が他に居てもおかしくはないのである。 そこで此処では、Ectopsocus属の1種とした。本当は、ウスイロチャタテ科と言うのも余り確証が無いのだが・・・。オマケにもう1枚、斜めから(2009/07/04) それにしても、チャタテムシが空中を浮遊するとは知らなかった。「庭を漂う微小な羽虫」、これは思ったよりも面白そうである。
2009.07.14
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先日、ベランダの椅子で一服していると、直ぐ横にあるクチナシの葉裏に、以前紹介したハリブトシリアゲアリ(体長3.5mm)位の小さな虫が居るのが目に入った。しかし、良く見るとアリではない。ツツーと2~3mm前に進んだかと思うと止まり、暫くすると、またツツーと進む。 早速マクロレンズで覗いてみた。クサヒバリ類の幼虫らしい。ウスグモスズ?の若齢幼虫.体長は尻尾の突起を入れないで約3mm(2009/07/01) 葉裏のにいる虫というのはストロボでは撮り難い。逆さの儘少し撮ってから、葉をソ~と裏返して、先ずその位置で正面から撮る。次に葉を回転させて横からも撮ろうと思ったのだが、途中で逃げられてしまった。こんな小さな虫にピョンと跳んで逃げられたら、もうお終い、二度と見つからない。そんな訳で、今日は葉裏の逆さまの写真と正面からの写真だけである。第2付節が膨らんでいるのはクサヒバリ科の特徴(2009/07/01) さて、この虫、何の幼虫か。小型であり、また、第2付節が膨らんでいるので、クサヒバリ科(Trigonidiidae:ヒバリモドキ科とも呼ぶ、コオロギ科クサヒバリ亜科とする場合もある)に属すことは間違いないだろう。東京都本土部昆虫目録を参照すると、クサヒバリ科にはキンヒバリ、カヤヒバリ、ヤマトヒバリ、クサヒバリ、キアシヒバリモドキ、ウスグモスズの6種が登録されている。しかし、キアシヒバリモドキは山地性が強いそうだし、キンヒバリは水辺の葦原、カヤヒバリは乾燥した背の高い草原、ヤマトヒバリは自然度の高い林縁等に棲息するとのこと。都区内の住宅地の灌木上に居る可能性があるのはクサヒバリとウスグモスズだけの様である。 この2種の内、クサヒバリには後腿節の外面に2本の暗色縦条がある。それに対して、ウスグモスズは無紋で全体に淡色である。・・・とするとこれはウスグモスズと言うことになる。それに、この付近にウスグモスズが居ることは既に確認されている。しかし、写真の虫はまだ若齢幼虫、生長すれば暗条が出て来る可能性も否定はできない。 其処で、此処では「ウスグモスズ?の若齢幼虫」と「?」を付けておいた。クサヒバリ類は正面から見ると中々可愛い(2009/07/01) ウスグモスズ(Usgmona genji or Usugumona genji Furukawa, 1970)と言うのは変な虫である。1属1種、日本以外からの報告が無いにも拘わらず、原産地不明の外来種とされている。 学名を見てお分かりの通り、1970年と言うかなりの最近に、日本人の手によって記載がなされている。北隆館の大圖鑑に拠ると、1960年代に東京都区部西部で最初に発見され、その後急激に分布を拡げたとのこと。当然、新種、しかも新属、これは大変なことである。 東京都区内から直翅目の新種の出る可能性など、常識的には殆ど考えられない。其処に、新種よりももっと可能性の少ない新属が突如として現れた(しかも、恐らくかなりの頭数で)、と言うのが、このウスグモスズが帰化種と考えられている根拠らしい。 実は、このウスグモスズの成虫に関しては、昨年の暮れにもう一つのWeblogでかなり詳しく紹介した。同じことを繰り返して書くのは些か気が引けるし、また長くなるので、この奇妙な由来の虫に感心を持たれた読者諸氏は此方を参照されるよう御願い申し上げる。
2009.07.10
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一昨日の夕刻近く、カラスアゲハが我が家の庭にやって来た。残念ながらかなり傷んだ個体で、しかも天気は雨模様、既に薄暗くなっていた。御蔭で写真は余り綺麗に撮れていないが、カラスアゲハは最近では1年に1度位しか見ることの出来ない珍しい存在なので、敢えて掲載することにした。 デュランタ・タカラズカの花がお気に召したらしい。デュランタは普通は秋になってから咲くが、今年は冬の間に枝を切らなかったせいで、今、かなり沢山の花が着いている。デュランタ・タカラズカで吸蜜するカラスアゲハ(2009/07/06) 子供の頃は、カラスアゲハはクロアゲハやナミアゲハ、キアゲハと大して変わらない程の普通種で、飼育して羽化させたこともある。しかし何故か、最近では殆ど姿を見せない。ナガサキアゲハよりも珍品になってしまった。 図鑑に拠れば、カラスアゲハの幼虫はコクサギを特に好むとのこと。しかし、この辺りには昔からコクサギは生えていないと思う。我が家では専らサンショウに付く。柑橘類の葉は余り好まないのか、我が家のユズやヒメユズに幼虫が居るのを見たことはない。サンショウならば、今でもこの辺りの家には沢山生えている。鳥の落とし物で、自然に幾らでも生えてくるのである。だから、餌不足でカラスアゲハが少なくなったとは思えない。一体、何が原因であろうか。裏面には青色~緑色の鱗粉が少ない(2009/07/06) この個体は雌である。カラスアゲハ類(他にミヤマ、オキナワ、ヤエヤマの3種がある)の雄には、前翅の後の方(第1b室と第2室)に暗色の「ビロード状性斑」があり、容易に雌雄の判別が出来る。写真の個体は、下の写真で明らかな様にこの性斑がない。従って、雌と言うことになる。 雌ならば、我が家のサンショウに産卵して行けばよいのに、残念ながらデュランタの花蜜を吸っただけで何処かへ行ってしまった。或いは、もう務めを済ませた後なのかも知れない。前側の後翅が妙な具合に開いて、左後翅の表面が見えている中々美しいが、残念ながら左側の尾状突起は切れている(2009/07/06) 今年は余りWeblogの更新はしないつもりであった。しかし、最近は何故か虫の新顔がかなり出現している。「夏枯れ」になるまで、2日に1度位は更新することになるかも知れない。
2009.07.08
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先日、コナラの葉裏を調べていたら、長さ1cm強の三角形をした蛾が留まっているのが見えた。少し高い所におり、シルエットになっていて輪郭しか分からない。しかし、今頃この形の蛾、チャドクガの成虫に違いない。 早速カメラを持って来て撮ってみた(下の写真)。チャドクガの雄であった。コナラの葉裏に留まっていたチャドクガの雄.翅の大部分は焦げ茶色雌よりも2周り位小型.右の翅がすこし切れている(2009/07/02) 右の翅が切れた様になっている。羽化するときに何か障害物があって、翅が折り畳まれたのかと思ったが、写真を拡大してみると、スッパリと刃物で切った様な格好。余り掲載するに相応しくないが、今頃はチャドクガの羽化の季節であり、読者諸氏に注意を喚起する意味もあろうかと思い載せることにした。 以前、チャドクガの雌を紹介した。この時はすっかり忘れていたのだが、チャドクガの雄は雌とは少し違った姿をしている。雌よりも小型(雄:開張25mm前後、雌:30mm前後)で、一般に、雌は全体的に黄色が強いのに対し、雄では翅の大部分と胸部は濃い焦げ茶色をしており、翅の輪郭と頭や脚だけが黄色である。しかし、色々なサイトを拝見すると、黄色同士や焦げ茶色同士で交尾している写真もあり、かなり色の変化があるらしい。この様な色では良く分からない場合でも、常に一方は小型である。これが雄である。2年前に撮ったチャドクガの雄.やはり色が濃く小型前脚、中脚を独特の格好で伸ばして留まる(2007/06/23) 正面や横からの写真も撮ろうと思ったが、位置が高くて手が届かない。そこで、鋏を持って来て留まっている枝の根元を切ったら、そのショックで蛾は逃げてしまった。 久しぶりにチャドクガの雄を見た。すると、記憶の構造と言うものは面白いもので、一昨年にやはり雄の写真を撮ったことがあるのを思い出した。上の写真である。チャドクガ雄の顔.毛深い.一見眼の様に見えるのは単眼かと思ったが触角の基部らしい。翅から伸びているのは鱗片で毒針毛ではない(2007/06/23) 同じ個体を斜め前から撮った写真を上に示す。毛深くて複眼の在処が分かり難いが、触角の付根の下にある黒っぽいのが複眼である。鱗翅目(蛾、蝶)の成虫は頭頂の複眼寄りに2個1対の単眼を持つ。一見1対の眼の様に見えるのは、その単眼かとも思ったが、どうやら触角の基部らしい[追記参照のこと]。 翅から多くの紐状の構造が出ているが、これは鱗片であり、毒針毛ではない。成虫自体には毒針毛はない。幼虫が繭に付けた毒針毛を羽化時に付けて来るだけである。飛んでいる間にかなり脱落するのではないかと思われる。 上の写真を撮った直ぐ後、この個体は飛んで逃げた。しかし、些か不器用なヤツで、逃げるときに私の顔に激突した。ドクガが顔に当たったのだから、これはかなりマズかったのではないかと思うが、その後どうしたか余り記憶にない。多分、大したことはなかったのだと思う。[追記]当初、チャドクガ顔写真の一見眼の様に見える部分は単眼かも知れないと思いその様に書いたが、蛾に詳しいAcleris氏より、チャドクガの単眼は退化しており、眼のように見えるのは触角基部の膜質部であろう、とのコメントを賜った。氏は実際に御手持ちのチャドクガ標本の毛を削って調べられたとのこと。御手数をかけ眞に恐縮千万。 氏の御意見に従い、本文を訂正した。Acleris氏には貴重な情報を賜り、此処に厚く御礼申し上げる。
2009.07.07
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ササグモ(Oxyopes sertatus:ササグモ科)は我が家の庭で見られる最も普通のクモの一つである。今年は特にその数が多い。枝から枝へ渡り歩いたり、或いは、葉陰にジッと身を潜めているササグモの姿を彼方此方で見かける。 最近は、ベランダの椅子からも、1匹のササグモの姿が常に見られる様になった。丁度その正面にあるヒュウガミズキの葉裏に産卵して、その卵嚢を守っているササグモがいるからである。ヒュウガミズキの葉裏で卵嚢を守るササグモの雌(2009/07/01) 以前、ササグモの求愛場面を掲載したことがある。この時は祈願成就はならなかった様だが、今日のササグモは、まァ、それが巧く行った後の姿である、とも言える。 実はこの写真を撮る数日前、この母グモが産卵しその上に網を一生懸命?張っていたのを見ていたのである。しかし、その時は雨が降っており、一寸写真を撮る気にはならなかった。それで、残念ながらその時の写真はない。葉をひっくり返しても直ぐに戻って卵嚢を守る(2009/07/01) 普通、クモは葉を裏返したりすればサッサと逃げてしまう。しかし、卵嚢を守る母グモは違う。驚いて一瞬葉の反対側に逃げても、次の一瞬にはもう戻って卵嚢の上に陣取っている。中々健気でついつい情が移る。もっと写真を沢山撮るつもりだったのだが、ストロボで何回も脅かすのが可哀想になって来て、途中で撮影を止めてしまった。卵嚢を守る母グモの真剣な顔.上の写真の部分拡大一番大きな眼はハエトリグモとは異なり前側眼(2009/07/01) そんな訳で今回は写真の枚数が少ない。最後に、卵嚢を守る母グモの真剣な?表情を載せておく。クモの眼はカメラ眼なので、良く見ると、哺乳類の眼の様に「瞳」があるのが分かる。瞳が見えると、クモでも、何となく近親感を憶える。
2009.07.05
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先日、庭の見回り?をしていたところ、芙蓉の葉上に体長5mmに満たない小さな黒っぽい甲虫がいるのに気が付いた。テントウムシの様である。早速マクロレンズで覗いてみると、真っ黒ではなく、斑模様、しかし、今まで見た記憶のない模様である。 テントウムシ類には、鞘翅(上翅)の模様が様々に変化する種が多い。ナミテントウには殆ど真っ赤な個体から2つの赤斑が消えかかった個体まで多くの型がある。しかし、鞘翅の模様は大きく異なっても、頭部や胸部の模様は「比較的」安定している。ヒメカメノコテントウ.基本型と黒型の中間型と思われる鞘翅の模様は変わっても、頭部胸部の斑紋は一定している体長は4.5mm(2009/06/23) このテントウムシの頭部胸部の模様には見覚えがある。ヒメカメノコテントウ(Propylea japonica)である。良く見てみると、基本形が黒でかなり塗り潰された様な模様になっているのが分かる。 ヒメカメノコテントウには大きく分けて、背筋型、肩紋型、四紋型、基本型、黒型等がある。しかし、その中間形もあり、この個体は基本型と黒型の中間型であろう。ヒメカメノコテントウは既に2回も登場しているので重複掲載は避けたいところだが、基本型と黒型の中間型と言うのは余り見ない様なので、敢えて紹介することにした。横から見たヒメカメノコテントウ(2009/06/23) テントウムシ類には、アブラムシやカイガラムシを捕食するもの、植物を食べるもの、黴(うどん粉病菌)を食べるものなどがある。このヒメカメノコテントウはアブラムシの捕食者として知られている。しかし、捕食性のテントウムシと言うのは、アブラムシ(或いはカイガラムシ)なら何でも食べるのではなく、特定のアブラムシしか食べない様である。以前ダンダラテントウの所で書いた様に、ヒメカメノコテントウはハギに付くアブラムシ(ハギオナガヒゲナガアブラムシ)を好む。 しかし、この個体の居たのはフヨウの葉である。我が家のフヨウには、別のアブラムシ、ワタアブラムシが付いている。このアブラムシを食べに来るのは今のところダンダラテントウだけらしく、ヒメカメノコテントウがワタアブラムシを食べているところは見たことがない。略正面から見たヒメカメノコテントウ.胸部の前面と側面が白く触角と眼に接する1対の逆三角形の白紋を持つのがこの種の特徴(2009/06/23) このヒメカメノコテントウの個体も、彼方此方歩き回ってはいたが、葉裏のワタアブラムシには全く興味を示さなかった。代わりに、妙に葉の表面に強い関心を示した。ヒメカメノコと分かるまでは、カビクイテントウの仲間かと思った位である。 ヒメカメノコテントウのこの手の行動は、以前にも見たことがある。一昨年に掲載した背筋型である。その個体は、普段は捕食する筈のハギオナガヒゲナガアブラムシには目もくれず、専らハギの細い枝に付いている「毛」に御執心であった。葉の表面に何かフェロモンの様なものが付いているのだろうか。葉の表面に御執心のヒメカメノコテントウ(2009/06/23) 久しぶりに動き回るテントウムシを撮影した。やはり、チョコチョコ歩き回るテントウムシは可愛い。ついつい写真を沢山撮ってしまった。オマケにもう1枚(2009/06/23) ・・・と言う訳で今日は写真を5枚も並べたが、ケチケチ使ってきた楽天ブログの画像倉庫が兪々満杯となる。他のサイトから写真を呼び出すか、楽天の手に落ちて有料プランに切り換えるか、思案中である。
2009.07.02
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