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最近はすっかりサボり癖が付いてしまって、更新を8日も空けてしまった。今日は、クロアゲハ・シリーズの最終回である。 先ずは、前蛹から。クロアゲハの前蛹.中々愛らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) アゲハ類(Papilio属)の前蛹と言うのは、何とも可愛い。6cm程あった幼虫がその1/2位に縮まってしまう。何でこうも小さくなれるのか不思議である。どう見ても体積が減っている感じがするが、そんな筈はないだろう。一度体積を量ってみたくなる。前蛹の前半を等倍接写してみた.腹脚が何とも可愛い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 頭に近い方を拡大してみた。胸脚、腹脚共にキチンと揃えていて、大変御行儀が宜しい。次の日チャンと蛹になった.多くは緑色であったが茶色のもあった(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 翌日は、チャンと蛹になった。5頭の内、木の枝で蛹化した4頭は写真の様に普通の緑色をしていたが、飼育箱の下に敷いていた白いコピー用紙のまくれ上がった端で蛹化した1頭だけは茶色の斑の蛹になった。 蛹の色が何によって決まるのかは色々研究されていて、昔何処かで読んだことがあるが、すっかり忘れてしまった。蛹化した場所の色で決まる、と言うような単純なものではなかった筈である。其処で一寸調べてみたら、「ミヤマカラスアゲハの本州西南低地での連続発生」と言う論文の中に「アゲハチョウやクロアゲハの蛹の多型に関与する刺激としては, 植物からの匂い, 蛹化面の幅・粗滑・曲率, 湿度, 温度, 日長など複数の要因が絡んでいるが, 背景色の影響は受けないことが明らかにされている」とあった。 クロアゲハの蛹は、ナミアゲハの蛹とは異なり、背中に突起がない・・・と言うか、ナミアゲハの蛹にのみ突起がある。クロアゲハの蛹.羽化5時間前.シッカリ黒くなっているまだ蛹殻との間に殆ど空気が入っていない(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 最初に示した蛹は10月2日に無事羽化したが、一寸事情があってその後の写真は撮っていない。上の蛹の写真はそれより2~3日遅れて蛹化した個体の羽化当日に撮ったものである。クロアゲハの蛹は、羽化の前日から明らかに黒っぽくなって来る。上の写真は羽化の約5時間前で、既に真っ黒になっている。羽化3時間前.蛹と殻との間に空隙を生じているが腹部にはまだ達していない(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 次は羽化の約3時間前。本体と蛹殻の間に空隙を生じ、其処に空気が入って白く光っている。しかし、まだ腹部の方は白くなっていない。羽化2時間前.腹部の方にも空隙が拡がってきた(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 上はその1時間後(羽化の約2時間前)。腹部の方にも空隙が拡がって来ている。この後、ず~と羽化を待ったのだが変化なし、中々羽化しない。翅が伸びきった直後のクロアゲハ.翅はまだフニャフニャ暗いのでストロボを焚いたら青くなってしまった(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) シビレを切らして一寸他のことをしている間に羽化してしまった。何時もこうである。上の写真は丁度翅が伸びた位のところで、まだフニャフニャ。 雨模様の薄暗い日なので、ストロボを焚いたら、クロアゲハが青アゲハになってしまった。上の写真の約1時間後.無理をして自然光で撮ってみたこれが本当のクロアゲハの色(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 上は一時間後に一寸無理をして自然光で撮ったもの。ブレ止め機構が無いし、レンズは100mmと焦点距離が長いので、雨模様の弱い自然光では撮り難いのである。少し逆光気味であるが、正しいクロアゲハの色が出ている。翅を拡げたクロアゲハ.前翅の地色が淡いので雌であろう(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 羽化後1時間位したら時々翅を拡げるようになった。しかし、天候不順で気温が低いせいか、中々飛びだそうとはしない。 クロアゲハの雄には上の写真では見えない後翅表面の前縁に白条があるのだが(雌にはない)、このことをすっかり忘れていて、調べ損なってしまった。しかし、この個体は前翅の地色が薄いので雌であろう。中々飛ぼうとしなので、シオンの1種に留まらせて記念撮影(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 夕方近くになっても、気温が低いせいか一向に飛ぼうとしない。其処で、一寸シオンの1種に留まらせて記念写真を撮った。一応、花に留まってはいるが、吸蜜はしていない。羽化後1日位は何も摂らない様である。クロアゲハの鱗粉.後翅裏面一番上(第7室)の赤色紋.右は前翅の裏面(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 写真を撮った後、雨が本格的に降り出した。次の日は一日中雨であった。実は、写真に示した個体以外にもう1頭同時に羽化したのだが、2頭揃って我が家の庭先に2日間ジッと留まっていた。その次の日もまた雨模様であった。しかし、何れも知らない間にその姿を消していた。雨の合間に何処かへ飛んでいったらしい。 飼育した5頭は何れも無事羽化した。2齢幼虫の時に初めてその存在に気が付いたので、孵化の日付が分からないが、多分8月20~25日頃であろう。2齢から飼育環境になり、前蛹になったのは9月20~24日、羽化は10月2~7日である。孵化してから前蛹になるまで約1ヶ月、前蛹から羽化までは12日前後と言うことになる。ルリタテハの場合は、その多くが18日前後で前蛹となり、その後8~9日で羽化した。クロアゲハはルリタテハより大きいせいか、生長に時間がかかる様である。 これでクロアゲハの飼育経過報告は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通り。 内 容 掲 載 日 1)クロアゲハの2齢幼虫 9月14日 2)クロアゲハの4齢幼虫 10月 3日 3)クロアゲハの5齢(終齢)幼虫 10月 9日
2009.10.30
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数日前の朝、「北米原産シオンの1種(紫花)」に茶色っぽい小さな生き物が居るのに気が付いた。ツッ、ツツッと小刻みに素早く移動する。ネコハエトリか何かの幼体かと思って良く見ると、何と、小さな蛾であった。ゴボウハマキモドキ.翅端まで僅か5mmの小蛾(写真クリックで拡大表示)(2009/10/17) 此の蛾、翅端まで5mmと小さいが、一寸した訳があってその名前を知っていた。ハマキモドキガ科のゴボウハマキモドキ(Tebenna micalis)である。前翅に光を反射して銀色に光る部分が幾つかあって、小さいながらも特徴のある昼行性の蛾である。吸蜜中のゴボウハマキモドキ(写真クリックで拡大表示)(2009/10/17) 此の蛾、昨年の秋に近くにある世田谷区の家庭菜園で撮影したことがある。しかし、その時は種類を調べる時間が無く、その儘放置しておいた。今年の夏近くなって、写真の整理をしていたとき、漸く種類を調べる気になり、ゴボウハマキモドキであることが分かったのである。ハマキガ科かと思って探したのだが、ハマキモドキガ科であった。逆立ちに近い格好で吸蜜することが多い(写真クリックで拡大表示)(2009/10/17) 名前の通りゴボウの葉を食べるので、ゴボウの害虫として知られているとのこと。しかし、ゴボウばかりでなく種々のキク科植物に寄生し、特にアザミに多いらしい。この辺りにはゴボウは生えていないし栽培もされてもいないが、アザミはかなり生えているので、そう言う所で発生しているのかも知れない。 ハマキガ科幼虫には名前の通り食草の葉を綴って中に潜むものが多い。しかし、図鑑に拠ると、本種の幼虫はゴボウの葉面に糸を張って葉肉を食して片面の表皮を残す、と書いてある。「モドキ」と付くからではないが、葉は巻かないらしい。ゴボウハマキモドキの顔.真っ正面からは撮っていない(写真クリックで拡大表示)(2009/10/17) 前翅の光を反射する部分の配置には個体差がある。上向きに留まった状態で、上に丸い半円状に分布する事が多い様で、世田谷区の家庭菜園で撮影した個体(未掲載)はそうなっていたが、此処に示した個体では光を反射する斑紋の数が少なく明確な半円形を成しては居ない。ゴボウハマキモドキは前翅の間から後翅が見える様な翅の畳み方をすることが多い(写真クリックで拡大表示)(2009/10/17)同じ様な写真だが、オマケにもう一枚(写真クリックで拡大表示)(2009/10/17) Web上にはゴボウハマキモドキの写真が余り多くないので、少し多目に貼って置いた。拡大するとかなり荒れた感じに見えるが、これは荒れているのではなく、蛾が小さい(翅端まで5mm)ので鱗粉が一つひとつ見えているからである。
2009.10.21
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これまで、卵と初齢、2~3齢、4齢、終齢幼虫と掲載して来たリタテハ・シリーズも今日は兪々最終回、前蛹、蛹、成虫の3つを纏めて紹介する。ルリタテハの前蛹.体を曲げるのはタテハチョウ科の特徴らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/14) 先ずは前蛹、上の写真の様に胸部を曲げてJの字型になっている。ルリタテハ(Kaniska canace)の幼虫は、休むときには何時も丸まっているので、前蛹も丸まるのかと思ったが、よく考えてみると、ツマグロヒョウモンやコミスジの前蛹も胸部を曲げていた。こう言う蛹がぶら下がる形をとる種類(タテハチョウ科)の前蛹は、皆、こうなのかも知れない。前蛹になった直後はかなり曲りが強いが、時間と共に段々緩くなる。 前蛹になる時刻は夕方が多い様に思える。写真の前蛹は半日以上経った次の日の昼近く、脱皮して蛹になる直前に撮ったので、曲りがかなり弱くなっている。最初の写真の2時間後.脱皮して蛹になった(写真クリックで拡大表示)(2009/09/14) 上の写真は、最初の前蛹の写真の約2時間後、脱皮して蛹となった直後に撮ったものである。まだフニャフニャで、気を付けないと傷つけてしまいそうな感じであった。時間が経つと出現する銀色に反射する部分も、この時点では他の部分と見分けが付かない。充分時間が経った蛹.銀青色に光る部分がある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20 次は充分時間が経ってから撮った写真、但し、別個体である。7頭を一緒に飼育していたので、どれがどれだが分からなくなってしまい、この写真の蛹も羽化の何日前であったか定かでない。しかし、何れにせよ、1~3日以内に羽化したことだけは確かである。 キチョウやクロアゲハの蛹は、羽化が近づくと次第に色が変わり、羽化前日にはハッキリそれと分かる。しかし、ルリタテハの場合は、色が殆ど変わらない様である。何とも不確かな言い方だが、丁度この頃に個人的に些か面倒な事態が出来したのと、別に飼育していたクロアゲハの終齢幼虫の世話に気を取られ、蛹の色の変化は充分に観察していないのである。7頭の何れもが、気が付いたら羽化していた、と言う甚だ不注意な羽化のさせ方をしてしまった。羽化直後のルリタテハ.翅が伸びるのは速い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 羽化の瞬間も、7頭も居ながら、全て見逃してしまった。上の写真はその中でも、まだ翅がクシャクシャの状態で気が付いたのだが、写真を撮る為の準備をしている間に、前翅の先端付近を除いて殆ど伸びてしまった。ルリタテハの場合も僅か数分で翅の伸張は終わる様である。 羽化は殆どが10~12時の間に起こり、明るくなってから(部屋の厚いカーテンを開けてから)4~5時間後に羽化するものと思われる。羽化後数時間経ったルリタテハ(上とは別個体)飛べるが羽化当日は殆ど動かない(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 羽化したルリタテハ。無理矢理サンザシの葉に留まらせて撮った写真である。 飼育した7頭は、何れも無事羽化した。孵化したのが恐らく8月27日、前蛹になったのは最も早い個体で9月10日、一番遅い個体が9月17日、多くは9月12~14日、羽化はそれぞれ9月19日、9月26日、9月20~23日である。 言い換えると、孵化後、最速15日で前蛹、24日で羽化、最遅が22日で前蛹、31日に羽化、多くは17~19日で前蛹、25~28日で羽化したことになる。ルリタテハの顔.サトキマダラヒカゲと同じく複眼には毛が一杯(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 庭に残した数頭の幼虫は、飼育したものに較べて生長が遅かったが、その内でも比較的生長の早かった3頭は、9月19~22日にかけて前蛹となり、何れも10月1~3日の間に無事羽化した。ヤドリバエにほぼ確実に寄生されていると思っていたが、幸いにも大丈夫であった。しかし、生長の後れていた個体は、その後姿を消してしまった。原因は不明である。 孵化後の日数としては、24~27日で前蛹、36~38日で羽化したことになる。個体差が大きいが、飼育環境と比較すると、前蛹になるのが約1週間遅く、羽化は10日前後遅れたと言えるであろう。ルリタテハの横顔.眼の下から伸びる黒いものは前肢(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 飼育個体7頭全部、屋外でも3頭、合計10頭のルリタテハが羽化して、一見万々歳だが、よく考えてみると些か気になることがある。屋外の個体は問題ないが、飼育個体は室内で飼育して居るので、何れも長日環境で生長したことになる。蛹越冬をするアゲハ類(Papilio属)の場合、秋になって気温が下がっても長日環境で飼育すれば、越冬蛹にはならず、年内に羽化してしまう。ルリタテハの場合は成虫越冬なので、羽化してしまえばもうそれで問題は無い様に思えるかも知れない。しかし、成虫越冬をするカメムシ等では、終齢幼虫の時に臨界日長以下の日長で育てば卵巣は発達せず休眠個体になるが、臨界日長を越えた長日環境で生育すると卵巣が発達することが知られている。この現象は、成虫越冬する昆虫では一般的なのではないかと思われる。もしルリタテハでも同じ様に、長日条件で卵巣が発達してしまうのなら、その個体が今後どういう運命になるのか良く分からない。秋の内に無理矢理産卵してしまうのか、越冬に必要な栄養を卵に費やしてしまって越冬を完了出来ないのか、或いは、卵を吸収して越冬の為の栄養に転化できるのか・・・、飼育をした者としては気になるところである。 これでルリタテハの飼育経過報告?は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通りとなる。 内 容 掲 載 日 1)ルリタテハの卵と初齢幼虫 8月29日 2)ルリタテハの2~3齢幼虫 9月 8日 3)ルリタテハの4齢幼虫 9月18日 4)ルリタテハの5齢幼虫 10月 6日
2009.10.19
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最近掲載する記事は写真の枚数が多く、文章の量もそれに略比例しないとバランスが悪くなるので、どうも原稿を書くのがシンドクなる。其処で今日は写真1枚の虫で楽をすることにした。写真が1枚しかないのは、言うまでもないが、直ぐに逃げられてしまったからである。 体長2mm強、翅端まで約2.5mmの小さなハエで、庭を浮遊していた。従って、これは「庭を漂う微小な羽虫」のその6でもある。キモグリバエの1種.Thaumatomyia notataに似ている(写真クリックで拡大表示)(2009/10/12) この手の小さいハエの同定は生態写真からは難しいことが多い。しかし、脛節端付近の背側に剛毛が無く、一見して単眼三角域が大きいので、キモグリバエ(Chloropidae)の1種であるのは間違いない。しかし、それ以上は、現在「一寸のハエにも五分の大和魂」が故障中なので、私一人の力ではどうにもならない。 それでも「Chloropidae」で画像検索すると、Thaumatomyia notataと言うこれにそっくりなキモグリバエが見つかった。しかし、類似種の情報が全く欠けているので、一見似ているからと言ってそう簡単にThaumatomyia属の1種と決める付ける訳には行かない。 キモグリバエ科は、九州大学の目録では150種、東京都本土部昆虫目録では39種記録されており、また、Thaumatomyia属は前者で3種、後者には2種載っている。 「木潜蠅」と言うと、木の穿孔虫の様な印象を与えるが、幼虫が木や皮を食べるのは一部に過ぎず、その食性は双翅目昆虫らしく、非常に広範囲に亘る。単子葉植物の茎や花穂を食べるものがよく知られており(ムギキモグリバエ、イネキモグリバエ等)、中には虫えいを作るものもあるそうだが、他に、腐植質、キノコ、腐肉、鳥の巣(に寄生?)、蜘蛛やバッタの卵、ネアブラムシ等を食べるものもある。前述のThaumatomyia属はネアブラムシを捕食する。 尚、別のWeblogで「キタモンヒゲブトキモグリバエ」と「ヒゲブトキモグリバエ?」を紹介しているので、関心のある向きは参照されたい。
2009.10.14
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少し前のことになるが、ベランダの椅子の近くにあるセイタカアワダチソウの葉上に、何か、バッタの類が居るのに気が付いた。 良く見てみると、アオマツムシ(Truljalia hibinonis (Matsumura, 1928))であった。今まで我が家で見た記憶の無い虫である。体長は2cmを少し越えた程度、綺麗な緑色をしているので、遠目にはキリギリスの仲間の様に見えるが、コオロギ科マツムシモドキ亜科に属す。セイタカアワダチソウに居たアオマツムシ産卵管が見えるので雌である(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) この個体は、上の写真から明らかな様に、産卵管を持っており、雌である。背中の網目模様(翅脈)を見ると、かなり規則的(下)。これは雌の特徴で、雄の方は翅を擦らせて発音する為か、網目がもっと不規則な奇妙な模様になっている。どうもこの手の虫には詳しくないので良く分からないのだが、この様な雌雄による翅脈の違いは、スズムシやマツムシでも同じであり、この仲間では普通の事らしい。背側から撮ろうと少し突っついたら、こんな格好になってしまった綺麗な緑色だが、標本にすると黄褐色になる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) ところで、このアオマツムシ、以前紹介したウスグモスズと同じく、外来種である。しかし、ウスグモスズよりずっと古参で、北隆館の新訂圖鑑に拠れば、1917年に東京で発見されたとある。一方、Wikipediaには「日本での初記録年月日も1898年(明治31年)という説と1908(明治41年)年ごろという説があり、データの付いたタイプ標本が残っていないため判然としていない。ただし、初記録地は東京都の赤坂榎木坂である」と書かれている。何方が正しいのか判断材料に乏しい。側面から見たアオマツムシ.前翅の前縁部が直角に畳まれている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) 原産地もハッキリしない様で、北隆館の圖鑑には東洋熱帯(中国)と推定されるとあるが、Wikipediaでは「中国大陸より日本に入り帰化した外来種という説が一般的だが、原産地ははっきりせず」と書かれている。 しかし、外国での記録がないウスグモスズとは異なり、九州大学の昆虫目録には、その分布に「HONSHU,KYUSHU;China」とあり、少なくとも中国は含まれている(尚、九大目録の学名はCalyptotrypus hibinonis)。アオマツムシの横顔.中々愛嬌のある顔をしている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) このアオマツムシ、見付けたのは雨模様の日の昼過ぎであった。日中はそのままジッとして動かず、次の日(一日中雨)には同じセイタカアワダチソウの別の場所に居た。それからかなり経って、台風18号の通過した日の夜に、デュランタの枝にそれらしき虫が留まっているのを見付けた。暗くて分かり難かったが、体の輪郭や触角の長さから判断してアオマツムシと思われる(但し別個体の可能性が高い)。かなり活発に動いており、やはり夜行性の虫は、昼と夜で動きが随分違うことを実感した。正面から見たアオマツムシ.触角は洗濯機のホースの如し(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) セイタカアワダチソウは勿論草本だが、名前の通り背が高い。アオマツムシはウスグモスズやサトクダマキモドキと同じく樹上生活者だそうである。セイタカアワダチソウを木と間違えたのだろうか。 これまで当Weblogで紹介した直翅目昆虫の多くは樹上生活者であった。私は草の根を分けて虫を探すことをしない(蚊に喰われる)ので、撮影する直翅目昆虫はどうも樹上生活者に偏る様である。上から見たアオマツムシの顔(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) アオマツムシの雄は「リーリーリー」と大きな高い音で鳴くとのこと。今、夜になると色々な虫が庭で鳴いている。しかし、どうも直翅目昆虫に興味のない私には、カネタタキを除いてこれらの虫の音が全く区別出来ない。其処で、「虫の音WORLD」と言うサイトで虫の音を調べてみると、どうやら我が家の近くに最も沢山居り、また一番元気に鳴いているのはアオマツムシの様で、ツヅレサセコオロギと思しき声も時々聞えている。それならば、一生懸命探せばアオマツムシの雄も見つかるかも知れない。しかし、コンクリートに囲まれた庭では音が反響して何処から聞こえてくるのか甚だ分かり難い。探すのは一寸無理な様である。 最後にアオマツムシの聴器を示す(下)。余り外見はパッとしないが、中は空洞になっているはずである。2又になったサトクダマキモドキの聴器とは全然違う構造をしている。クダマキモドキは別科(キリギリス科)なので、この程度の違いは当然なのだろうか。アオマツムシ(雌)の聴器(左:前、右:後)脛節上部の膨れた部分に聴器がある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) 実は、先日の台風18号でハナモモの木が倒れてしまった。地面が柔らかく、3年前の台風でも倒れたので支えがしてあったのだが、生長が速すぎて支えきれなくなり再度倒れてしまったのである。お金をかけて直しても、また台風が来れば倒れる可能性が高く、兄と相談した結果、可哀想だが片付けてしまうことにした。デュランタにアオマツムシが来ているのを見たのはその日の夜である。同じ日にサトクダマキモドキの雌も見た。或いは、これらの樹上生活者は、ハナモモの木に棲んでいたのかも知れない。[訂正]当初は、我が家の周辺で一番元気に鳴いている虫をツヅレサセコオロギとしていたが、これはアオマツムシの誤りであった。「虫の音WORLD」では音量が分からないので間違えてしまったのである。本文を訂正しておいた。(2010/10/12)
2009.10.12
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今日はまたクロアゲハ(Papilio protenor)の幼虫を紹介する。2齢、4齢に引き続き、兪々終齢幼虫の登場である。先日、ルリタテハの終齢幼虫を掲載したが、やはり終齢幼虫は貫禄があり、また種特有の斑紋などが色々出て来るので、どうしても写真の枚数が増えてしまう。 先ずは、脱皮したての余り冴えないところから。脱皮したばかりのクロアゲハの終齢幼虫.まだ黄緑色だがやがて濃い緑色になる.体長は3cm強で、生長しきった4齢幼虫よりもむしろ小さい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/15) 軸の折れた葉っぱの上で脱皮したので写真が撮り難く、手の上で撮影した。体長は3cm強、生長しきった4齢幼虫よりも少し縮んで小さくなっている。脱皮する前に暫く御飯を食べなかったからであろう。 色は薄く黄緑色で、体はまだ皺クチャ、その内色も濃くなり、皺も生長に連れて伸びて行く。生長したクロアゲハの終齢幼虫.体を伸ばしているので体長は約6.5cm.ナミアゲハとは異なり、体色は濃い緑色(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 次は充分に生長した終齢幼虫。体を伸ばしているので、ジッとしている時より体長はかなり長く約6.5cm。5頭を個体識別せずに一緒に飼育したので良く分からないが、最初に示した個体とは違うのではないかと思う。しかし、背部の模様等は基本的に変わるところはない。ジッとしているクロアゲハの終齢幼虫.蛹化が近い第3胸節と第1腹節の膨らみが顕著(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) クロアゲハの終齢幼虫は、ナミアゲハとは幾つかの点で外見が異なる。 先ず全体的な体の色が違う。ナミアゲハの終齢幼虫は黄緑色だが、クロアゲハはもっと濃い緑色をしている。また、第3胸節と第1腹節の膨らみがナミアゲハよりも顕著である。 模様も随分違う。ナミアゲハでは、第3胸節の一見眼の様な紋の間に2重の輪を連ねた形の模様があるが、この輪がクロアゲハでは形が崩れ、また、その両端が切れた様な格好になっている。もっと目立つのは、クロアゲハでは、その第1腹節後縁、第4~5腹節、第6腹節、第8~9腹節に輪郭の白い不規則な模様を持つ茶色の帯があることである。これらはナミアゲハではその白い前縁と、模様のない色の濃い黒っぽい、或いは、時に殆ど他の部分と区別が付かない色のもっと単純な帯になっている。横から見たクロアゲハの終齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22)別個体.この個体はもう最後の排泄をして蛹化直前その前の状態より縮んで短くなっている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 横から見ると、第1胸節~第2腹節までの腹側と胸脚は淡褐色をしている。この部分はナミアゲハの終齢幼虫では何れも体色と同じ黄緑色である。また、ナミアゲハの腹部側面下部には、黒い縁取りの明瞭な白斑があるが、クロアゲハの終齢幼虫にはその様なものは認められない。なお、気門の色は何方も同じで淡褐色である。正面から見たクロアゲハの終齢幼虫(蛹化直前)一番下の少し小さな茶色の部分が本当の頭部第1胸節が頭に覆い被さっている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 頭の色もナミアゲハとは異なる。クロアゲハの頭部は、上の写真で示す通り、胸部~第2腹節腹面や胸脚と同じ淡褐色をしているが、ナミアゲハではこの部分もやはり黄緑色である。頭部を出したクロアゲハの終齢幼虫頭部は縫合線を除いて単褐色であり副頭楯に接する頭頂部が黒くない(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 頭部は縫合線が白い他は一様な淡褐色をしている。ナミアゲハの終齢幼虫では、頭頂の副頭楯に接した部分が筋状に黒くなっているが、クロアゲハではその様な筋は認められない。 また、上唇を含めた口器はナミアゲハでは青灰色をしているのに対し、クロアゲハでは上の写真の通り、頭部の他の部分と同じく一様に淡褐色である。頭部と第1~3胸節の拡大.頭頂側面に単眼が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 頭部から胸部にかけた部分を上に示す。殆ど全身黄緑色をしたナミアゲハの終齢幼虫と較べると、随分色合いが異なっているのがお分かり頂けるであろう。 最後に一見眼の様に見える模様(眼状紋)を等倍接写してみた。2頭の眼状紋を撮影したが、互いによく似ている。ナミアゲハの眼状紋と比較すると、先ず、ナミアゲハのものよりも少し大きい(比率)。更に、黒い部分の輪郭がハッキリしており、黒斑全体にわたってかなり細かい縦皺があるのが分かる(下)。ナミアゲハではこの黒斑の輪郭はあまり明瞭でなく、また、皺の様なものは認められなかった。黒斑には、これを斜めによぎる裂け目状の構造があり、この裂け目はクロアゲハでは淡褐色をしているが、ナミアゲハの場合は潤んだ様な白い色をしていた。 また、この黒斑の上に縁取りのある白い斑が2つと青色の斑が1つある(北隆館の日本幼虫圖鑑には「3小白紋」とある)。これは、或いは、漫画などで黒目に光が反射している様な白い斑を書き込むのと同じ効果をあげているのかも知れない。ナミアゲハではかなり離れたところに白斑が1つあるに過ぎず、この様な効果は無いであろう。第3胸節の一見眼の様に見える模様.黒い部分に縦の皺が認められる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22)別個体.基本的にその前の個体と同じ模様をしている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) クロアゲハとナミアゲハの各終齢幼虫の間には、一見して色や形に違いがあるのが分かるが、詳細に検討すると思ったよりも随分多くの点で異なっていた。この手の比較を他のアゲハチョウ(Papilio)属(キアゲハを除く)にも拡げてみたら面白いのではないだろうか。しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)には他にカラスアゲハとナガサキアゲハが居るだけで、しかも繁華街に近い我が家ではこれらの幼虫すら容易には得られない。精々食草を育てて気長に御到来を待つこととしよう。
2009.10.09
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今日は息抜き?にササグモの幼体を紹介する。 今、「北米原産シオンの1種(紫花)」が咲いている。先日紹介したクロマダラソテツシジミの様な珍品?を含めて結構色々な虫やその捕食者がやって来るが、先日、その花の上に小さなクモが居るのを見付けた。「北米原産シオンの1種(紫花)」で獲物を待つササグモの幼体体長は約3.5mmとまだ小さい(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 体長は約3.5mm、ハエトリグモの1種かと思ったが、撮影画像を拡大してみると、ササグモ(Oxyopes sertatus)の幼体(若虫とも呼ぶ)であった。ササグモについては、既に成体雌雄とその求愛行動や、卵嚢を守る母グモ等を掲載したので、ついでに幼体も紹介することにした。3.5mmのチビ助でも格好は一人前(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 昆虫は、生長に伴って卵、初齢~終齢幼虫(larva)、成虫の各段階を経るのが普通である。終齢は5齢が一般的。クモの場合はどうかと言うと、昆虫とはかなり異なっている。卵、幼虫(larva)、幼体(nymph)を経て成体になる。幼虫と幼体の2つの段階があるのである。正面から見ると、成体と同じ顔をしている(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) この幼虫の段階は、科によって大きな違いがあり、1回の脱皮で幼体になるものから4回脱皮して幼体になるものまで様々である。ササグモの場合は、卵膜の中で2段階を過ごし、表に出てから更に2段階を経て幼体になる。中々カッコイイが脚や体が半透明で如何にも幼体らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 幼体になった後、何回脱皮して成体になるかも、種類によって大きく異なる。環境条件にもよるが、小型のクモで4~5回、大型では10~13回、原始的で大型のトタテグモ類では20回以上脱皮し、成体になってからも更に脱皮する。ササグモは何回位脱皮して成体になるのか分からないが、中型のクモで7~8回とのことなので、まァ、その辺りであろう。 今日紹介したササグモの幼体はまだ体長約3.5mmである。成体の体長は1cm前後なので、今後更に2~3回脱皮して成体になるものと思われる。真横から見たササグモの幼体(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 今日のクモの話は、実は、クモの聖典と呼ばれる吉倉眞著「クモの生物学」の丸写しである。冒頭に「息抜き」と書いたのは、丸写しは楽だからに他ならない。
2009.10.07
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今日はルリタテハ(Kaniska canace)の終齢幼虫を紹介する。漸くのお出ましである。 幼虫も終齢になると貫禄が出て来る。また、4齢以下とは形態や色が変わることも多い。アゲハの幼虫では4齢以下の「鳥の糞」型から目玉模様のある緑色に変わるし、このルリタテハの場合も4齢以下の黄と黒の2色刷から、赤、黄白、黒の3色刷に変わる。体長は45mm程度。ルリタテハの終齢幼虫.体を丸めて休すむのは若齢と同じ赤、黄白、黒の3色になっている.左下が頭(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 色は変わっても、葉裏で体をU(C、J)字型に曲げて休む習性は同じである。何とも奇妙な習性で、どの様な利点があるのか良く分からないが、個体によって体を曲げる方向が決まっているかも知れない。印を付けて調べてみれば分かることだが、メンドーなので「実験」はしなかった。ストロボの光に反応して動き始めた.左下が頭(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 4齢以下では基部を除いて黒かった肉棘が、終齢幼虫では、大部分黄白色に変わる。しかし、先の方は黒いままである。また、若齢ではかなり柔らかかった棘が、終齢では皮膚の弱い所に当たれば傷みを感じる程度に固くなっている。棘の先には剛毛が生えているので、その剛毛が太くなって容易に曲がらなくなるのであろう。 この棘状突起は第1胸節には無く、第2胸節から第10腹節にかけて存在する。各節に於ける本数は、写真からは良く分からないが、北隆館の古い「日本幼虫圖鑑」に拠ると、アカタテハ等とおなじで、第2~3胸節では各4本、第1~8腹節では各7本、第9~10節には各2本有るのとのこと。何時も丸まっているので、こう言う真っ直ぐな写真は少ない棘状突起は第2胸節から第10腹節にある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 胴体の色は、4齢幼虫では黒と黄であったが、終齢ではこの黄色い部分が鮮やかな赤となる。遠目には余りよく分からないが、拡大してみると、赤、黄白、黒の3色が、中々塩梅良く配置されている。終齢幼虫の頭部.長い剛毛が沢山生えている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10)御食事中の終齢幼虫.上唇の溝に葉の端を入れて食べる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 終齢幼虫の期間は4齢以下よりも長く、食欲も甚だ旺盛で、5頭(全7頭の内、1頭だけ生長が速くて先に蛹になってしまい、また、遅いのが1頭居た)も居ると1日数回ホトトギス(1本の茎に4~5枚葉が付いている)を与える必要があった。しかし、余りに速く食べ尽くしてしまうので、花瓶に挿す必要は無く、その点では楽であった。 ルリタテハの終齢幼虫の魅力は、何と言ってもその棘状突起にあると思う。そこで、等倍で接写した棘の写真を数枚並べることにした。棘の各先端に剛毛が生えているのが良く分かる。また、基部に近い黄白色の部分には微毛が無数に生えているのが見える。この様な微毛は4齢幼虫には無かった様に思うが、4齢では等倍接写をしていないので、分解能が低くて見えなかっただけなのかも知れない。ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起.先端に剛毛が1本ずつ生えている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10)ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起(その2)(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10)ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起(その3)(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) さて、この次は兪々蛹化と羽化である。しかし、まだ写真の調整が全然出来ていない。掲載まで今少しお待ち願いたい。[追記]これらの幼虫は全て無事成虫に羽化した。以前、以降の記録は下記の通り。 内 容 掲載日 卵と初齢幼虫 8月29日 2~3齢幼虫 9月 8日 4齢幼虫 9月18日 前蛹、蛹と成虫 10月19日
2009.10.06
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蝶(ルリタテハ、クロアゲハ)の幼虫の写真が溜まっているのだが、芋虫・毛虫を続けて掲載するのも何となく気が引けるので、今日はまたアシナガバエの1種を紹介することにする。 以前掲載したのと同じチビアシナガバエ(Chrysotus)属に属す。しかし、勿論、別種である。写真は拡大すると何れもピクセル等倍、画像はかなり酷いが、小さい虫ゆえ何卒御勘弁頂きたい。チビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種(Chrysotus sp.)背側から撮ると、ショウジョウバエに似ている(写真クリックで拡大表示)(2009/07/21) 今回のは体長2.6mm、翅端まで3.3mm、以前紹介した種類(体長約2.3mm、翅端まで2.6mm)よりやや大きい。体各部の色や、脚の剛毛配列も異なる。翅が体長に比してやや長いので、最初見たときは、ショウジョウバエの1種かと思った。横から見ると、口の辺りが普通のハエとは違うことが分かる(写真クリックで拡大表示)(2009/07/21) しかし、顔を見ると、全然違う。何ともキッカイな顔をしている。その時は何バエなのか分からなかったが、後で、アシナガバエ科の1種であることが分かった。もう何回も書いた通り、アシナガバエは名前は「ハエ」でも、本当はアブの仲間(直縫短角群)である。「ハエ」と付くだけあって、顔を見ない限りハエ(環縫短角群)の1種の様に見えることが多い。中には、「”ニセ”アシナガキンバエ」やマダラアシナガバエの様に、低解像力では顔を見てもアブの1種とは思えない連中も居る。正面から見ると、何とも変な顔(写真クリックで拡大表示)(2009/07/21) 今回も、正しくチビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種であるか否かを、九大名誉教授の三枝豊平先生に確認して頂いた。先生はオドリバエ科、アシナガバエ科の権威である。「これもChrysotusです」との御回答、これで安心して掲載出来る。先生には、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。 チビアシナガバエ(Chrysotus)属の特徴については、既に詳しく書いた。興味のある読者諸氏は此方をどうぞ。記事の後の方に、北隆館の新訂圖鑑に書かれている属の解説(執筆は三枝先生)を転記してある。変な顔をもう1枚.ハエの顔とは明らかに異なる(写真クリックで拡大表示)(2009/07/21) 以前の「チビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種」と同じで、これも種名は分からない。この仲間は日本では殆ど研究されていないとのことなので、外国で既に記載されている種なのか、或いは、未記載種なのかも分からないのであろう。「Chrysotus sp.」とする以外に手立てがない。Chrysotusの写真はWeb上には少ないので、オマケにもう1枚(写真クリックで拡大表示)(2009/07/21) これで、このWeblogで紹介したアシナガバエ科は、「”ニセ”アシナガキンバエ」、マダラアシナガバエ、シロガネアシナガバエ属(Argyra)かその近縁属の1種、チビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種(その1)と今日のチビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種(その2)の5種となった。しかし、日本産アシナガバエ科は100種余りしか記録されていないが、実際にはその5倍の500種は棲息するらしい。まだたったの1/100、今後も新顔が現れそうである。
2009.10.05
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此処2週間ばかり、些かの事情があって更新が滞っている。今日は、もう少し古くなってしまったが、以前掲載したクロアゲハの2齢幼虫に引き続き、4齢幼虫を紹介する。3齢幼虫は、2齢のところで書いた様に撮りそびれてしまった。クロアゲハの4齢幼虫.4齢になったばかりと思われる体長は約2cmで、かなり小さい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 今回は大小2個体を撮影した。最初の3枚の写真は体長2cm、後半の4枚の写真は3.5cmだから、2倍近くも違う(正確には1.75倍)。更に体積の方は、単純計算でその3乗の5.5倍にもなり、感覚的な迫力は相当に異なるので、撮影時には前者が3齢、後者が4齢と思っていた。しかし、画像を良く比較してみると体の作りは基本的に同じであり、また、固い外骨格で被われ、脱皮しない限りはその大きさが殆ど変化しないと考えられる頭部の幅は殆ど同じ(何れも3.0mm)でなので、何方も同じ4齢と判断せざろうを得ない。上と同じ個体.腹部の白斑が顕著(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 前胸(第1胸節)の角は、それまでの尖った構造から、相対的にかなり小さな先の丸い突起となっており、其処には短い毛が多数生えている。お尻の方(第9腹節)の角も極く小さな突起となり、やはり短い毛が生えているのが認められる。これも同じ個体.頭部の幅は体の幅の約60%(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 第2胸節~第2腹節、第6~第8腹節の背側には、丸い疣状の低い突起が散在する。突起によっては、その中心部に更に小さな丸い突起があって、其処に短い毛が生じている場合もある。 この疣状の突起の分布は2個体で同じである。他のアゲハ類(Papilio属)に関しては、手元に4齢幼虫の写真が無いので困るのだが、他のサイトの写真(余り鮮明でない)と比較してみると、ナミアゲハやカラスアゲハにも同じ様な配置をした疣がある様に見える。クロアゲハの4齢幼虫(別個体).そろそろ5齢に脱皮する体長は約3.5cmで、上の個体の2倍近い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 背側や真横から見た大まかな形は、1番目と2番目の個体で余り違わない。しかし、頭部(本当の頭部、前方の膨らんだ部分ではない)の大きさが相対的に随分違っている。正面から見るとこれは非常に顕著で、1番目の個体では体の幅に対する頭の幅は約60%であるのに対し、2番目の個体では30%程度でしかない。 頭部の幅は殆ど(或いは、全く)変化しないと思われるので、その分だけ胸部、腹部が大きくなった訳である。特に、第3胸節と第1腹節が大きく膨らんでいる(この部分が遠目には頭の様に感じられる)。最初の個体と模様は似ているが、頭部の比率が小さくまた、第3胸節と第1腹節が大きく膨らんでいる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) また、正面から撮ったこの2頭の写真を見比べると、2番目の個体の方では角が短い様に見える。その顕著な角の少し後にある突起(小さな低い角)の高さも、2番目の方ではかなり低くなっている。これは、その角のある部分(第1胸節)が生長した結果、これらの角の部分が相対的に小さくなったからであろう。正面から見ると、頭部の比率が小さい(体の幅の約30%)頭の上にある裂け目は臭角を出す為の構造であろう(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 2番目の個体を正面から撮った写真(上)には、体の最前部となっている第1胸節の背側中央に口の様な裂け目が見える。恐らく、此処から臭角を出すのであろう。写真には写っていないが、クロアゲハ幼虫の臭覚は鮮やかな紅色である。斜めから見たクロアゲハの4齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 今まで余りアゲハ類の若齢幼虫には興味が無かったのだが、この様に細部を見てみると結構面白い。幼虫の齢を判定する為に若齢幼虫の詳細な写真を検索してみたが、鮮明なものは殆ど無いのが実情の様である。今回は初齢と3齢を撮り逃したし、ナミアゲハも終齢以外は撮っていないので、今後機会があれば、まだ紹介していない各齢幼虫の詳細写真を掲載するのも、あながち無意味ではなかろう。
2009.10.03
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