“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

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2014.04.28

ぴんちゃん（東京都港区）

カテゴリ：東京のうまい店

　“未来ある飲食店のための勉強代行業”の大久保一彦は六本木に出没しております。

　『金魚』という有名な店の正面にある狭い階段を降ります。
こういうわかりにくい場所というには、店がない時代だったら勝手に口コミしますね。
目的来店で店を作るのが好きな私は大好きなパターンです。

　店内には人生も円熟期に入ったご夫婦がおります。
お話しを聞けば、30年くらいやっているとおっしゃる。
おそらく、1970年代から始まった第一次外食産業ブームからバブル、日常食や居酒屋などの大衆化がおこったバブル以降、そして、生産年齢人口激減による競争の激化と、激変の時代、台風のような時代を生き抜いたんでしょうね。
この店だけ、ぽつんとそのままある感じです。

ほどなく津田の大将から電話があった。

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まずはササミ。中はレアで程良い火入れだ。

小規模の焼き鳥店は小規模ゆえに成立する。
しかし、『鳥貴族』が拡大した昨今、『鳥貴族』に取り込まれるサラリーマン層に鑑み、気軽さだけでは経営ができない。
また、鳥貴族は“釜飯”をラインナップしたことで単なる飲み屋としての焼き鳥屋を超えた。
焼き鳥はおやじの食べ物というイメージ強いが、惣菜売場のフィーチャーしている私はわかる。
タレ次第では子供が好むことを。
フィーチャーしていたあの伝説の店『かねぶじ』の遠藤社長はよく言っていた。
「塩を売ろうとする焼き鳥屋は売上があがらない」と。

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次々と焼き鳥が出てくる。
おそらく、ある部位がすべて出てくるんだろう。

焼き鳥は基本的に小商圏のフォーマットとなる。
何か尖った要素を出すか、食べログで高得点の名店になるか・・
例えば、『酉玉』のような希少部位やお酒のバラエティという意味では弱い。

それがなければ10分圏に留まる。
この店舗のように目的来店型の立地となるとより厳しくなる。

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大将が好きな餃子が出てきた。
確かにそれなりにおいしいが、お客様を呼び込むかは別だろう。
品揃えとしていいアイテムと判断する。

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続いては鶏すきとなる。
目の前で野菜や鳥をすき焼きにしてくれる。

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この煮汁で最後は親子丼にしてくれる。

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味の問題はないと思う。ただ、商圏を広くはできないかもしれない。

バブルまではお客様がそれなり来ていた。
顧客の老齢化で利用頻度が下がった。
（だからこそ代替わりが必要になる）
これは戦後の歴史のある店に、よくあるパターンだ。

つかみになる部分。
それをどう見出すかがカギだ。

お会計をするまでは、悪くない店だと思っていた。
お会計をして津田の大将が私に見てもらいと言う事情なのかもしれない。

しかし、円熟してしまうと、枠組みを超えることはできない。
この答えは日本経済の再浮上のカギになるに違いない。

ぴんちゃん
東京都港区六本木3-13-3　B1
電話　03-3408-1296

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