“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2014.06.21
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テーマ: 旅先にて(453)
島内さんの海苔の栽培

日本で栽培されている海苔の品種にはアサクサノリ種、スサビノリ種、タンシサイ種とあります。もともと東京湾ではアサクサノリ種の栽培がされていたためか東京では「浅草海苔」というのが海苔の代名詞になっています。しかし、「浅草海苔」として出回っているものの多くは商標としての浅草海苔であり、実際の原料品種はスサビノリ種であり、アサクサノリ種ではありません。
実は昭和40年ころ海苔が機械生産に切り替わる時に、多額の設備投資をした海苔漁師は海苔の栽培における失敗が許されなくなりました。そこで、酸処理など過酷な条件においても比較的強い品種のスサビノリ種に栽培は切り替わったわけです。また、アサクサノリ種はイノシン酸が多いため旨みは高いのですが、「贈答品である」という海苔の商品特性から、見た目がきれいにあがるスサビノリ種の方が、販売者には都合がよかったという事情があるのかもしれません。
 ちなみに、タンシサイ種は中国の品種で高温に強いです。岡山に一件だけ栽培している漁師がいるようです。
島内さんがアサクサノリ種の海苔ができたとき、多くの人は「(あまりに香りと旨みがあったため)何か入れているんじゃないか」と訝ったそうです。その秘密には島内さんの収穫した海苔自体の鮮度が保たれている要素が大きいようです。後程お話ししますように、島内さんの加工場には収穫した海苔の鮮度を保つために様々な工夫をしており、多額の機械投資をしております。
しかし、多くの生産者は黒くて艶があり、かつ柔らかい海苔を作るために、おいしさとは逆行した処理――島内さんの言葉を借りると「海苔を老いさせる」――海苔を痛めつける処理をするそうです。たとえば、真水で洗ったり脱水したりを何度も繰り返すとか、酸処理をするなどです。確かに、柔らかくはなるのですが、海苔の鮮度がどんどん落ちてしまいます。その他、悪い海苔の要素に、塩が抜けていないという現象があるようです。健全な栽培をしていないとそうなるそうです。
島内さんの栽培した海苔が元気なのは、支柱に種をつけたての目に見えないころの育て方にあると言います。この見えない時期に伸び縮み(干出)をしっかりしているため、大きくなったりしたときの干出がしっかりできるようになるそうです。そのおかげで、水洗いを一回すれば、悪い海苔の特徴である塩味が残るという現象が起こらないそうです。





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Last updated  2014.07.04 17:54:43


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