星の国から星の街へ(旧 ヴァン・ノアール)

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2023.05.01
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 この展示会の売りはゴッホの絵画を360度パノラマで4面の壁や床に映し出し絵画の中に自分が入り込むような体感が出来るというものです。会場の入り口からゴッホの自画像の複製画が並び、ゴッホに纏わるエピソードがパネルで多く展示され初めて知る事も多々ありました。


テオ・ヴァン・ゴッホ(1857-1891) ゴッホの数に纏わるパネルの中に手紙の説明があります。

 まず目に止まったのはゴッホの弟「テオ」についてのパネルでゴッホが生まれた4年後の1857年5月1日生まれでした。パリにある画商「グーピル商会」で働き兄ゴッホの一番の理解者であり特に1880年からは生活そのものを支えたテオが存在しなければ現在残っているゴッホの絵画の数はどれくらい少なくなっているだろうと思います。

 そしてゴッホが書いた現存する手紙844通のうち652通がテオに宛てた物である事もパネルで説明がありました。大切に手元に置いてある池田満寿夫著「私のピカソ 私のゴッホ」の中にも「・・18年間もテオという1人の弟に告白、すなわち完璧なまでの自己表現を続けた男の執念もさることながら、その対象にされた弟、テオの忍耐強さにも驚かされる」とあります。

 そして手紙には製作中の絵画についての物もあるけれど、多くは有り余るお金があるわけでもないテオへの一切の弁明も弱気も見られない絵の具、キャンバス、絵筆の購入依頼で具体的に「僕の入用の絵の具は次の通りだ。コバルト(空色 ) 2個、ヴェール・エメロード(緑色)等など・・画布5メートル」というような内容です。

 テオが1880年から生活を支える中、その8年後にゴッホが敬愛する画家「ゴーギャン」とアルルでの蜜月のような生活を始め僅か2ヵ月あまりで有名な「耳切り事件」が起こった事が1つの悲劇の始まりでした。精神療養のためゴッホは「サン・レミ療養所」から日曜画家でもあったガシェ医師を頼りオヴェールと移りそこで生涯を閉じることになります。

 その訃報が元々病弱だったテオにどれほどの衝撃を与えたのか、ゴッホの死から僅か1年後にテオは衰弱死しています。そしてテオの妻「ヨー」の芸術に対する深い理解がなければ残されたゴッホの絵画は悲惨な運命を辿っていた可能性もあったと言われています。


「赤い葡萄畑」1888年 プーシキン美術館蔵

 ゴッホが生存中に売れた絵はたった1枚「赤い葡萄畑(350フランの入金は死後)」でテオへの手紙の中で「・・自然に対して倦まず仕事をして、あれが描きたいとかこれが描きたいとか言わず、靴を作るような調子で、何ら芸術的な配慮なしに仕事をすべきだとだんだん信じて疑わなくなった・・・」と綴り、テオも靴を作るようにという箇所に賛同していたようです。

 つくづくゴッホの名画は弟テオとの共同作業で産み出した物なのだと実感します。


















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最終更新日  2023.05.01 12:01:33
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Re:ゴッホの弟「テオ・ヴァン・ゴッホ」が生まれた日。もしテオがいなかったから・・。(05/01)  
アストロメリア さん
ゴッホの投入型の展覧会 !
日記の感じから凄い迫力のある体感でなかったかと思います。
テオとゴッホの揺るぎない絆
二人は生きる時も死ぬ時も離れざりきという言葉以外になく
テオの存在なしでは絵も世に出ることもなかったのでしょうね
靴を作るような感じで何も考えずに絵を描くという表現って
骨の髄から画家ってことでそれが才能ってことなんでしょうかね(^o^)

近美で開催されている「トリック・イリュージョン」を観に行ってきました。
次回の日記に書くつもりです。(^O^) (2023.05.01 20:42:05)

Re[1]:ゴッホの弟「テオ・ヴァン・ゴッホ」が生まれた日。もしテオがいなかったから・・。(05/01)  
アストロメリアさんへ
「トリック・イリュージョン」の日記楽しみにしています!ゴッホの展覧会は思っていた以上に凄い迫力で何回かに分けて日記に書こうかなと思っています。それにしても贅沢な時間でした。ゴッホの色彩の中に無心で・・。会場には床にダイレクターチェアー、ベンチ、ソファやクッションが置かれ好きなスタイルで見て下さいという感じでした。多分日本と違って入場者がそんなに多くないのもシンガポールのメリットかなと思います。靴屋が靴を作るように自然体で絵を描くって本当は一番難しい事かなと思うとやっぱりゴッホの「天賦の才」にひれ伏すって感じです🌻 (2023.05.01 22:30:38)

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