全32件 (32件中 1-32件目)
1

大晦日の夜、医師の私は「今夜死ぬ」と言う老人に呼ばれ往診に出かけました。彼は大晦日から新年にかけての真夜中零時きっかりに生まれ、1週間目には歩き、…1週間に2歳ずつ歳をとってきたと語ります。1年しか人生を生きられないのだと。 予告通り老人は亡くなり、私の元に別のしらせが届きます。それは…。 リチャード・マシスンのショートショート『1年のいのち』です。 実際に「早老症(早期老化症)」という病気が存在します。実際の年齢より老化の兆候が早く現れ、全身にわたって見られる疾患で、約10の疾患の総称です。根治療法はみつかっていません。老化の進行が通常の10倍という疾患もありますが、がんや動脈硬化といった合併症がなければ通常の寿命を全うする疾患もあります。 さすがに1年の寿命と言うことはありませんが、大変な病気であることは確かです。 医学の手の届く範囲を超える世界は常に存在します。生命は人智を越えたところにあります。 参照元:江坂遊・選『ショートショート傑作集 30の神品』扶桑社
December 31, 2020
コメント(0)

「カズノコ」はニシンの卵で、正月に欠かせないめでたい食品とされます。「数の子」から子孫繁栄の象徴になります。 本来は「カドノコ」で、「カド」=ニシンでした。 「ハマ」と呼ばれた藁でできた的を射るのに用いた「浜弓」「浜矢」も、「破魔弓」「破魔矢」と書いて正月のめでていものにされました。 破魔矢は男児誕生後初正月に贈られたり、一年間の幸運を射止める縁起物として神社・寺院から授与されます。 おせち料理や正月の飾りにはそれぞれ縁起があり、昔から伝えられてきた幸運を祈る心が詰まっています。 参照元:金田一春彦『ことばの歳時記』新潮文庫
December 30, 2020
コメント(0)

目出度さもちう位なりおらが春 一茶の有名な句です。「ちう位=中くらい」は、「あまりめでたくもない」という意味ではなく「とりわけめでたいというのではなく、いつも通り素のままで」という意味です。 親鸞は門松を迷信として、正月になっても立てなかったといいます。一茶も親鸞に倣い「小さなこの家で、門松も立てず、いつも通り阿弥陀様にお任せして正月を迎えよう」という心境でできた一句です。 句集『おらが春』の名は、この一句からつけられました。『おらが春』は、一茶の没後25年に、白井一之(いっし)が、一茶の俳文・俳句をまとめて刊行したものです。12月29日はその成立の日です。 表題の句に代表される他力本願、宗教への帰依が大きなテーマになっています。そして、長女さとの誕生と死も描かれます。(こぞの五月生れたる娘に一人前の雑煮膳を据ゑて)這へ笑へ二つになるぞけさからは昨年の五月に生まれた娘は正月のなると一つ歳をとって(かぞえ歳)二歳になります。一茶の喜びがストレートに伝わってくる句です。 しかし、その子は天然痘にかかり、年明けて六月に亡くなりました。露の世は露の世ながらさりながらこの世は、はかない世とは知っていても、いざかわいい娘が逝ってしまうと、はかない世だからとあきらめられるものではありません。 一茶は最初の妻、菊との間に三男一女を授かりますが、いずれも満二歳前に夭逝しています。再々婚の相手やをが一茶の死後産んだ娘やただけが長生きしました。ともかくもあなた任せのとしの暮れ何をおいても阿弥陀仏にお任せする年の暮です。 参照元:矢羽勝幸・校注『父の終焉日記・おらが春 他一編』岩波文庫
December 29, 2020
コメント(0)

紅葉も終わり、はや1年が終わろうとしています。12月11日 12月18日 名残のザクロの実がひとつ 年末もコロナ罹患者は増える一方で、私の住む自治体の受け入れ病床が1~2月にはパンクしそうだとLineにありました。年末看護師さんの離職が増えるというニュースも。 医療関係者の皆様には本当に頭が上がりません。わたしたちにできることは「罹らないこと」だけです。 手洗いも消毒もしていますが、コロナの足音はすぐ近くに迫ってきます。幼児さん相手の仕事上、ソーシャルディスタンスをとるわけにもいかず、不安が膨らみます。 既に学校、保育園で陽性、濃厚接触とされた障がい児もいるのですが、どうなってしまうのでしょう。入院、加療ができるのか…。 心配はつきませんが、今日も手洗い・消毒に励むしかありません。12月25日朝
December 26, 2020
コメント(0)

共…キョウ、とも 『見えない共犯者の作り方』は、長編小説1作に短編を組み合わせた、天地竜之介シリーズの『UFOの捕まえ方』の中の1編です。 竜之介は、TVディレクターの猫田から、クリスマスに友人の滝澤が亡くなった謎を解いてほしいと依頼されました。滝澤は「やられた」というような言葉を残して窓から転落して死亡しました。ダイイングメッセージもあったのですが…。「ずいぶん余裕があるなあ、とダイイングメッセージには、突っ込みたくなりますが、トリックには、なるほどと思わせられます。意識せず、知らないうちに共犯者になっていく状況はあり得るし、怖いと思いました。 参照元:柄刀一『UFOの捕まえ方』ノン・ノベル
December 26, 2020
コメント(0)

クリスチャンでなくても、3人の東方の博士が星に導かれて、イエス様の生誕を祝福しに来たという話は、よく知られています。「マタイによる福音書第2章」に登場するエピソードです。 この「ベツレヘムの星」については、具体的にどの星だったのか、天文学者ケプラーはじめ多くの人たちが研究してきました。 イエスの誕生日が特定できれば推測できるのですが、紀元1年12月25日というのは後世になって定められた日で、本当の誕生日は伝わっていません。 従ってベツレヘムの星には、〈金星説〉〈新星説〉〈彗星説〉〈惑星会合説(複数の惑星が同方向に並んで見える現象)〉と、いろいろな説が存在します。 参照元:浅田秀生『誰でも楽しめる星の歳時記』地人書館
December 25, 2020
コメント(0)

ミス・エンディコットの家のクリスマスパーティーに若い甥・姪とその友人たちが集まっていました。 招かれたポアロに「ぜったいにプラム・プディングを食べちゃいけません」というたどたどしい手紙が届きます。 プディングの中からは赤いクラッカーの飾り玉が出てきて…翌朝には殺人事件も起こることに…。 若者が集まれば、当然出てくるのが恋愛。悩める若者をポアロは温かく見守ります。使用人にも敬意と優しさを示すポアロ。 彼が招かれていたのにはある事情がありました。 犯罪は絡みますが、最後は明るく終わり、ポアロはクリスマスを楽しみます。 ポアロものの中でも一番という位楽しげな描写が多い短編です。 参照元:アガサ・クリスティー 中村妙子・訳 『マン島の黄金』から 『ポアロのクリスマス』 早川書房
December 24, 2020
コメント(0)

昭和57年のこの日に、電電公社(現NTT)によって磁気テレホンカード対応の公衆電話第1号が設置されました。場所は東京、数寄屋橋公園。テレホンカードの販売もはじまりました。100円玉を使用したときの釣り銭払い出しに代わる手段として、テレホンカードは急速に普及していきました。懐かしのテレホンカード。地域限定ものやキャラクターものなど、コレクションの対象でもありました。 結婚や卒業の記念に個人の顔を入れて配ったり、イベントでの記念品などに多く使われて流通したカードですが、1990年代半ばから携帯電話が登場すると、公衆電話の利用が減少し、現在では使用することもほとんどなくなりました。
December 23, 2020
コメント(0)

今も目を空へ空へと冬欅冬欅少年に解けざりしもの今も 加藤楸邨東高根森林公園のけやきまっすぐ目を空に向けて枝を伸ばす…凛とした欅の句です。 欅は、伐採してから乾燥し枯れるまでの間の反り返りが大きく、何年も寝かせないと材木として使えなません。大黒柱に大木を使うと、家を動かすほど反り返ることもある大工泣かせの木といわれます。 外見は形の整ったきれいな木に見えますが、自己主張がはっきりした木なのですね。
December 22, 2020
コメント(0)

12月21日は冬至で、はんぺんの日です。冬至に「ん」が2つ以上つく食べ物を食べると運が上昇し無病息災に効果があると伝えられることから。 はんぺんは、スケトウダラなどの魚肉をすり身にしてヤマノイモなどを加えゆでた魚肉製品です。 もとは関東地方だけの食べ物です。関東では最もポピュラーなおでんの具ですが、関西では違うんですね。煮ても焼いても、サラダに混ぜても。
December 21, 2020
コメント(0)

2年前、夫が若くして急死したため、美帆は幼い子を育てながら画家の潮一志の家で家政婦をしていました。一志は親譲りの財産があって気ままな生活。 ある日、子供の様子を見に家に帰ってから、夕飯の支度のために再び一志宅を訪れると、一志が血まみれで死んでいました。 全財産を美帆に譲るという遺言状が出てきて、美帆は殺害の疑いをかけられます。弁護士、朝吹里矢子は美帆のアリバイを求めて…。 人生の最後にこんな贈り物が出来たらいいなと思わせる話です。 依頼人の美帆は、弱くたおやかなだけでなく、したたかでもあります。 美帆の立場の弱さからくる打算、一志の愛情と憎しみが、淡々と進む話の中に浮き彫りになっていきます。意地の悪さと優しさと、愛と憎悪と。二面を併せ持つのが人間かもしれません。 そんな人間の醜い面を吹き去るような巴の温かさに、最後は救われます。 12月21日は夏樹静子の誕生日です。
December 20, 2020
コメント(0)

「結婚」は古くは「昏」で表されました。 「氐」(テイ)は、①根本 ②低い ③異民族 の意味を持っています。つくりに「氐」を持つ漢字の仲間です。 低…テイ、ひく(い) 底…テイ、そこ 抵…テイ
December 19, 2020
コメント(0)
大学の『民俗学入門』の宿題で、自分の身近にある祭りや風習についてまとめる宿題が出ました。私は秋田出身なので、当然ナマハゲについて書こうと思います。 友人は「大人でも怖くない?迫力あるよね」と言いますが、「中味は町内会のおじさんたちだから」と私は答えます。 友人何人かも実家に来て、私と一緒にナマハゲを見ることになりました。 トラックの荷台にナマハゲが乗って移動するという話には笑ってしまいます。「うるさいな、TV見てるんだからあっち行ってよ」と言う強者のこどももいるとか。 現実には人手不足で、ナマハゲができる町村は減っています。地元民以外から応援を頼むこともあるらしいです。なかなかナマハゲも大変です。 ナマハゲは町内会に頼んで出前してもらったのですが…。ここからは辻村ワールドです。 参照元:辻村深月『きのうの影踏み』角川書店 から『ナマハゲと私』
December 18, 2020
コメント(0)

トレントの最も賞賛する女性プリマドンナのリルマーは、6年ほど前別荘の倒壊によって、夫と子供を失いました。彼女は、夫の不吉な予感を無視した自分を責めます。 やがて、故郷のノルウェーに向かう船から、彼女は忽然と姿を消しました。遺書もあり、彼女の死は自殺だとみなされました。 ですが、遺言執行人の弁護士から、彼女が残したハンドバッグを見せられたトレントは、違和感を感じます。もしかして彼女は自殺ではなかった…? 『ありふれたヘアピン』は、トレントの、最高のアーティストへの敬愛が伝わる短編です。ヘアピンというどこにでもある物から、疑問を抱き、推理を組み立てていく過程はさすがです。なぜヘアピンに疑問を持ったのかは、説明されないと日本人にはちょっとわかりにくいところですが。 参照元:E・C・ベントリー 好野理恵・訳『トレント乗り出す』国書刊行社
December 17, 2020
コメント(0)

12月16日は紙の記念日です。明治8年のこの日、王子の「抄紙会社」(王子製紙の前身)の工場が運転を開始しました。 渋沢栄一が大蔵省の紙幣寮から独立させた民間企業です。 洋紙の伝来は安土・桃山時代以降で、輸入に頼っていた洋紙の国産がこの日から始まりました。 洋紙といえば普通、国産の和紙に対して、西洋から伝来・輸入された紙をさしますが、機械漉きの紙の総称として「洋紙」を用いる場合もあります。 印刷用紙(本・雑誌・ポスターなど)・新聞用紙・情報用紙(オフィスでのコピー用紙など)・包装用紙などの用途があります。
December 16, 2020
コメント(0)

谷川俊太郎の詩『魂の一番おいしいところ』 「あなたがりんごをくれた」それだけのこと。でも、あなたがくれたものは、りんごにとどまらない。もらったものは、りんごのたどってきた途、来歴。誰が、何がりんごを実らせたか。どんな思いで? そして、今。確かな今このとき。あなたがどんな思いでりんごをくれたか。 あなたがくれたのは「魂の一番おいしいところ」と谷川俊太郎は詩を結びます。12月15日は、詩人谷川俊太郎の誕生日です。 参照元:『谷川俊太郎詩選集3』集英社文庫
December 15, 2020
コメント(0)

小田急多摩センター駅のクリスマスイルミネーションです。トンネルを抜けるとツリーのある広場に。そのまま前進するとサンリオピューロランドです。正面に小さく見えるのが入り口のアーチ。 小田急線の多摩センター駅は、サンリオピューロランドの下車駅です。駅構内もサンリオとコラボした装飾で、おばさんにはちょっと恥ずかしい駅前のきらきらキティーちゃん。リボンに乗った後ろ姿がたくましい? 毎年イルミネーションの点灯式には、サンリオキャラクターも来て子どもたちがたくさん集まるそうですが、今年は「密」を避けるため中止だったそうです。 「サンリオ」の出発点は「山梨シルクセンター」という雑貨を販売する小さな会社で、初めて出したのが、やなせたかしの詩集だったそうです。いちご柄の小物が大ヒットして、キティーちゃん、リトルツインスターズなどのキャラクターが登場、誰もが知っている大企業に成長しました。 コロナに負けない明るい夢を、大人にも子どもにも見させてくださいね、キティーちゃん。 *写真は12月12日撮影です。
December 14, 2020
コメント(0)

渋川沿いの寺院で十月桜を見つけました。花は小ぶりですが、確かに桜。寒い時期に心を温めてくれます。来年は、新宿御苑の十月桜が見たいなあ。公孫樹もみごとに色づきました。 こちらはグランツリーのクリスマス・フォトスポット。毎年デザインが面白いのですが、今年は平凡で残念です。ハラミちゃんとサンリオキャラとのコラボのコンサートなどがありましたが。2019年と2018年のツリー2017年と2016年のツリー2015年のツリー
December 14, 2020
コメント(0)

12月13日は浅田次郎の誕生日です。 『夏』から始まった『プリズンホテル』4部作の完結編が『プリズンホテル 春』になります。著者曰くドイツ教養文学ビルドゥングス・ロマンを背骨(バックボーン)とした泣き笑い満載の極道小説。だそうで、著者にとってかけがえのない習作だということです。 ビルドゥングス・ロマンは、主人公が様々な体験を通して内面的に成長していく過程を描く小説の意味だそう。 生長する主人公は、作家の木戸孝之助。母親に捨てられた7歳の年で成長が止まってしまったかのような、幼稚で偏屈な孝之助です。 孝之助は育ての母富江にも、従順な妻お清さんにも、暴言を吐き暴力を振るい邪険に扱います。が、富江が行方不明になり、内心は心配でたまりません。 『春』では、いよいよ「日本文芸大賞」の候補にあがった孝之助が、プリズンホテルこと「奥湯本あじさいホテル」で受賞のしらせを待つことになります。 孝之助より魅力的なのが周囲の人々。 第一作からおなじみの、根っからのホテルマン花沢支配人と梶板長の「堅気」に、大物ヤクザの仲蔵親分(孝之助の叔父)、孝之助の母と駆け落ちした黒田若頭兼番頭など「ヤクザ」入り乱れての、個性豊かすぎる面々が働くホテルです。 加えて、ぐれていたのを黒田たちヤクザの影響で学校に通い出した、支配人の息子の繁、その担任、出版関係の人間、芸人母娘、仲蔵も頭が上がらない伝説のヤクザその他もろもろが登場し、笑いと涙のオンパレードになります。 最初の1ページ「奥湯本あじさいホテル館内のご案内」からして笑ってしまいます。すわ、でいり(喧嘩)か?とロビーの防弾シャッターが降り、バーのドアを蹴破って、両手に拳銃、腰のベルトにアイスピックとペティナイフを差したバーテンダーの「鉄砲常」が飛びだしてくる場面など劇画を見るよう。 でも、伝説のヤクザの台詞、繁に杯を与えるときの親分の台詞はまっすぐで、心に刺さります。 浅田氏が本当に書きたくて書いた小説、楽しんで読め、後に残るものもあります。 参照元:浅田次郎『プリズンホテル4 春』集英社文庫
December 13, 2020
コメント(0)

12月12日は杖の日です。杖を持って「1いっち2に(月)、1いっち2に(日)で12月12日」と元気に歩こうという語呂合わせから。 健康維持のために毎日歩こうという呼びかけです。 幸い杖のお世話にならずに歩けるうちに、歩く習慣を身につけておきたいと思います。
December 12, 2020
コメント(0)

赤ちゃんの夜泣きというありふれた日常風景が、辻村深月氏の手にかかると、思いがけない異世界につながっていきます。 10ヶ月になったばかりの子の夜泣きが始まり、妻はリビングに連れ出します。薄闇の中、つかまり立ちが出来るようになった子は、ご機嫌でテーブルの周りをぐるぐる回っています。 このくらいで寝かせようとベッドルームに戻ると…。 転調する怖さとでも言いましょうか。「まさか」「でも」の短編『やみあかご』です。 ほかにも、ぞくっとする話、胸がきゅんとなる話、などが短編集『きのうの影踏み』に詰まっています。 参照元:辻村深月『きのうの影踏み』角川書店 から『やみあかご』
December 11, 2020
コメント(0)

お歳暮の季節です。「歳暮」は年の暮、年末のことで(人生の暮れ、老年期を指すこともあります)お歳暮は「歳暮周り」の略です。年越しに当たって、先祖の霊を慰めるために、近親者が本家や親元に持参した供物がもとでした。 そこから、年末にお世話になった人の家を回って挨拶する風習になり、次第にデパートやギフトショップから送る習慣になっていきました。 実家では贈ったり贈られたりのお歳暮でしたが、夫が公務員でしたので、結婚後は縁遠いものになりました。 この季節、実家からは信州りんごが送られてきました。信州以外に住む何軒かには、りんごを贈る習慣でした。父母が亡くなる2~3年前には、いつも頼んでいたりんご園のりんごの木も年老いて、そろそろ世代交代だという話を聞きました。 店頭でりんごを見かけると、つい「長野産」を探してしまします。
December 10, 2020
コメント(0)

名も知らぬ人たちだった。声も聞いたことがない。厳密にいえば、顔を見知っているのでさえない。 ベッドと出窓の間を往復する程度しか、自由に動けないわたしは、裏窓の住人たちを眺めていました。工事中のフラットで違和感を感じ、犯罪を推理したわたしは…。 裏窓に切り取られた光景から、それぞれの家庭の物語を想像して過ごすわたし。1つ1つの窓に人生が見えてきます。 わたしの推理を取り上げると、正統派の本格推理小説。後半、動けない私に犯人が迫ってくる場面は、いやでも盛り上がるサスペンス。文章はきれい。 贅沢なウィリアム・アイリッシュの短編です。もちろんヒッチコック監督の『裏窓』の原作です。 参照元:村上博基・訳『ウィリアム・アイリッシュ短編集3 裏窓』創元推理文庫から 『裏窓』
December 9, 2020
コメント(0)

新型コロナ禍によって、子ども達への虐待が増えていると聞きます。今年1月から半年で児童相談所が対応した件数は過去最多のペースだという調査結果もあります。 障害児者の「日中一時預かり」にも、要対協(要保護児童対策地域協議会)から預かってもらえないかという問い合わせがきます。 緊急事態宣言や外出自粛によって、子どもとずっと一緒にいるストレスがたまり、子どもに当たってしまうようになった例もあります。 そして、親の家出、離婚等で家庭が崩壊してしまった例も。 サービスを提供する側も、一時は外出自粛で利用ががくんと落ち込み、経営が困難になりました。もともと大きなもうけが出るような業種ではありません。利用者が減っても、家賃や送迎用の駐車場代は減りません。 このままだと来年は持ちこたえられても、その次は…?家賃支援・持続化給付金を申請して何とかやっていけそうな状況です。 コロナ禍の波は、より弱いところへ押し寄せてきます。波が引く事を願うばかりです。
December 8, 2020
コメント(0)

クリスティーが優れた劇作家でもあることは有名ですが、『三匹の盲目のねずみ』は戯曲『ねずみとり』の原作になった短編です。 ロングリッジ農場のグレッグ夫妻に預けられた3人の子供のうち1人が虐待で亡くなり、夫婦は禁固刑に処せられました。出所した夫人は殺害され、現場近くでみつかったノートには「三匹の盲目のねずみ」の言葉が。 モリーは夫ジャイルズとゲストハウスを始めたばかりでしたが、その住所も書かれていたと、警察から連絡があり…。 雪に閉ざされたゲストハウスの、泊まり客の中に2匹目のねずみがいるのか?犯人は誰?誰もかもが疑わしく思えてくる疑心暗鬼が怖い作品。その怖さも後半に行けば行くほど高まりを見せます。 精一杯助けを求めた子供を無視した大人たち、理由があったとはいえもっと何とか出来たのではと思えます。犯人に同情する部分もあります。間接的にでも虐待の事実を知っていたのだから、このくらい怖い目に遭っても仕方ないかもと考えるのは意地悪かな。 参照元:アガサ・クリスティー 宇佐川晶子・訳『愛の探偵たち』から 『三匹の盲目のねずみ』
December 7, 2020
コメント(0)

のび太君のつきあいで、川崎ラゾーナの109シネマズで『鬼滅の刃』を見てきました。 平日昼過ぎとはいえ、人の入りがなくびっくりしました。座席はガラガラ、15人もいなかったと思います。採算がとれるのか、他人ごとながら心配になります。 原作の漫画は最終巻が出ましたが、大人気ですね。ごく普通に見える主人公が限界を越えて戦っていく姿は、こんな時代だからこそ共感できるのかもしれません。 映画も、シリアスであり、時にユーモラスであり、飽きない作品でした。背景がきれいです。ラゾーナ ラゾーナは全館「ハリーポッターのクリスマス」でした。広場のフォトスポットです。
December 6, 2020
コメント(0)

12月5日はモーツァルトの命日です。 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの音楽は、軽快で優美、華やかなイメージ(晩年はやや哀愁を帯びた曲も)で知られます。 彼自身は冗談や猥談を好む俗物であり、ギャンブラーとしての一面も持っていました。冗談や猥談は、当時の社会では通常のことでしたが、五カ国語を操りながら唐突に話が飛ぶ手紙を残していたり、サヴァン症候群では?という憶測も生みました。 ただ、音楽の才能の比類なさは誰もが認めるところです。音楽を離れれば凡人・奇人?ですが、音楽そのもののような人だったようです。「人を愛することの出来ぬ者もモーツァルトに涙する」「この世にあるはずにない優しすぎる愛撫」谷川俊太郎の詩集『モーツァルトを聴く人』の言葉です。 参照元:『谷川俊太郎詩選集3』集英社文庫
December 5, 2020
コメント(0)

ミステリーの範疇には入らないかもしれませんが、浅田次郎の『再会』はちょっと怖い話。 私は、高校卒業以来30年近く会っていなかった、九鬼修一と偶然再会しました。招かれて九鬼の家を訪れた私に、九鬼は奇妙な打ち明け話を聞かせます。 昔別れた浮気相手の百合江を、ロマンスカーの中で見かけたという話です。優しそうな夫と仲むつまじく子供の教育について話している百合江は、幸福そのものの様子でした。 よかったと心から思う九鬼でしたが、別の日には…。 あり得ない、いや、本当にあり得ない話だろうか、と思わせられます。私たちの人生はちょっとしたことで大きく変わってしまうものだから。 浅田次郎氏の小説は、『鉄道員』のように、ほろっとするストーリーが多いのですが、『再会』のような、どきっ、きらっとする話も。 参照元:浅田次郎『姫椿』徳間書房 から『再会』
December 4, 2020
コメント(0)

1886年(明治19年)12月3日に、日本で初めてのピストル強盗、清水定吉が逮捕されました。彼は明治15年から、覆面をして東京市(現東京都)で80件以上の強盗を働き5人を殺害しました。 日本橋の商家に押し入ったところを逮捕されましたが、逮捕までは実に警察官3000人と探偵200人が動員されたそうです。その後死刑に処せられました。 この事件を元に、新派の演劇や映画が作られています。
December 3, 2020
コメント(0)

カルディーで仕入れてきた、ぎっしりつまったサンタさん。中はチョコです。お茶はルピシアの「ウエディング」。同じくカルディーで仕入れたクリスマス・クッキーをブルーベリーのハーブティーと。 アーマッドのデカフェ、イチゴの紅茶。機能性チョコと。
December 3, 2020
コメント(0)

ロナルド・ノックスはイングランド国教会マンチェスター主教の家に生まれました。チェスタトンの影響でカトリックに改宗し、大司教にまでなりました。 ユーモアと風刺の効いたミステリーで知られます。保険会社の代理人マイルズ・ブリードンが探偵役を務める作品は5作品あります。 推理小説の興隆にも尽力し「ノックスの十戒」でも知られます。 教会関係者や周囲からは、推理小説の執筆をやめるよう再三勧告され、1937年に断筆しました。 今と違って、こんな面白過ぎる小説を、大司教様ともあろう方が執筆する時代ではなかったのですね。 マイルズは、風変わりな百万長者ハーバード・ジャーヴィソンの死を調査することになりました。自殺なら保険金が支払われないからです。東洋の神秘にとりつかれたジャーヴィソンは、実験室と呼ぶ部屋に閉じこもり餓死しました。食料は十分あったのに…。(『密室の行者』) 予想の斜め上を行く展開が痛快ですが、これは教会に怒られそうです。 参照元:江戸川乱歩・編『世界推理短編傑作集4』創元推理文庫 から ロナルド・A・ノックス 中村能三・訳『密室の行者』
December 2, 2020
コメント(0)

12月1日はカイロの日です。カイロの需要が高くなる12月の初めの日なので。 カイロ(懐炉)は日本独特の携帯保温器具で、ルーツは温石(おんじゃく)。江戸時代に石を温めて布にくるみ、懐に入れて暖をとった物です。 昭和53年、使い捨ての「ホカロン」が商品化され、大ヒットしました。 それまでの懐炉は、ベンジンなどをプラチナのような触媒を使って、二酸化炭素と水に酸化分解させる過程での反応熱を利用していました。 使い捨てカイロは、鉄の酸化作用による発熱を利用しています。 発売当初は、内袋から取り出して、もんだりたたいたりして発熱させました。今の使い捨てカイロは、たたいてはいけません!
December 1, 2020
コメント(0)
全32件 (32件中 1-32件目)
1


![]()