60ばーばの手習い帳

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October 31, 2018
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カテゴリ: 常用漢字
​​​​​​  10月31日は幸田文の命日です。

 幸田文は、幸田露伴の次女。
露伴は学歴こそありませんが、大変博学な人でした。実務的なこともよくできて、
母をはやくに亡くした文に、家事全般から化粧までを教えたといいます。
 文が四十四歳のとき、露伴は亡くなりました。最期を看取ったのは、離婚して
家に戻っていた文と、娘の青木玉でした。

 それまで文を書くこととは無縁の文でしたが、露伴を看病し見送った時のことを
書いた文章が絶賛され、文筆家の道を歩み始めました。

「黒い裾」は、平安女流文学者の日記文学の流れをくむ小説と言われます。

​​「黒い裾」​​



千代は十六の歳に初めて母の名代として伯父の葬式に出ることになりました。
正式な喪服も着ず緊張した千代には、受付の天幕が関所のように思えました。

 何回か経験するうち、千代は女学校を卒業します。卒業祝いに母に願ったのは
喪服。母はそんなもの、聞いた事もない、と文句を言いますが、できあがって
みると喪服は千代にぴったりでした。

 葬式の度に会っていた劫(ごう)は千代に思いがありながら、郷里で結婚
しました。勤めを持っていた千代は婚期が遅れますが、喪服姿には磨きがかかり
ます。
​あたりに居並ぶ女たちからひときわずば抜けて光る黒羽二重の人だった。​​

 千代は遅い結婚をしますが、結婚は失敗だと気づくうちに、夫も亡くなります。
敗戦。
 戦後、罪を犯していたらしい劫は行方不明に。千代も気力がなくなり、母を

​同じ喪服を着ながら、昔の姿はまるで無い。​

と嘆かせます。

 そして最後の長上である叔父の葬儀の日。喪服の裾はすり切れて裏の真綿が
見えるようなさまになっていました。意を決した文は、はさみでばっさりと裾を
切り、表と裏の生地を大きな針目で縫い止め応急処置をしてでかけます。

 受付には、かつての劫や自分のような、若い世代が緊張して立っていました。

​のびのびした若さが背光のように燃えていた。​
​​
のです。



 「黒い裾」の題名通り、千代がはさみを手に、喪服の裾をしゃきしゃき切る
場面が圧巻です。思い切りよく、千代は裁ち切っていきます。戦後の、世の中の
混乱と価値観の転覆、大きな喪失から立ち上がる決意のように。

叔父の葬儀に臨む千代は、
​人が死んだということのーおちつきがこの屋の根におとずれはじめているなと感じた。​

次の時代、新しい生活を予感させる結びです。

星 葬…ソウ、ほうむ(る) 式…シキ




                幸田文『黒い裾』 
​​​​​​​​





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Last updated  October 31, 2018 12:00:31 AM
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