ユーカリの木陰で里の行
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
ここメルボルンもコロナ禍の真っ只中で、相変わらずロックダウンが続いています。それでも夜間の外出禁止令は解除されたので、真夜中に頭上を旋回する監視用ヘリコプターの音を聞かなくなっただけでも安眠できて、嬉しい。まあ、エクサの1日の許容時間が1時間増えたくらいで未だに外出規制、厳しいし、お店の大半は閉まっているし、自宅から半径5キロ以上は動けないのだけれど。でもって罰金、高いし、パトロール中の警官、多いし。ちなみに我が家の5キロ圏内、南側は海上に入ってしまうため事実上の面積は5キロ圏内よりだいぶ狭くなっちゃって・・・。学校の方は大学1年生になった娘も、中2の息子も今もオンライン授業が続いています。愛犬ポポちゃんとチャー君はもはや置いてけぼりにされることもなくいつも家族と一緒で嬉しそうだけど、いつまで続くことやら、この状態・・・。加えて我が家は、洗濯機の栓が外れて起きた2か月前の洪水の後始末に追われ、未だに1階は段ボール箱の山に占拠されています。ウォーキングワードローブと亡き夫の部屋など無残にカーペットが外されたままコンクリートの剥き出しで。幸い保険に入っていたので、保険会社が手配してくれた業者さんが定期的に出入りしてくれてはいるものの、果たして年内に片付くものやら?こんな状態で、気がつけは10月に入っていました。10月といえば、ハロウィーンもすぐそこに。ハロウィーンのことはブログに書いたりもしたけれど、⇒2015年「ハロウィーンの夜に緊急入院」⇒2010年「雨のハロウィーン」⇒2009年「そうして今年もハロウィーンの夜」⇒2008年「ハロウィーンの夜とスィーツの朝」やはり去年のハロウィーンが苦い想いとともに蘇ってしまう。今回はその話を少し―去年のハロウィーンは、上の子が大学受験の真っ只中で、既に前日からVCE、ビクトリア州の試験が始まっていた。さすがに「Trick or Treat」やパーティーなんて状況ではなかったけれど、家でハロウィーンディナーを楽しむことにしていたのでした。娘の方はその日は試験も入っていなかったので、息子が中学校から帰って来ると子どもたちと一緒にハロウィーン・ディナー作りを始めた。子どもたちがまだ小さかったころにネットで見つけて、いつのまにか我が家のハロウィーンメニューになっていた定番ね。にしても、子供っぽ過ぎ…?プチお化けケーキを新メニューに加えて(結局、失敗したけど)、わいわいがやがや作っていたら、その電話がかかってきた。夫の臨床実験治療を担当していたシドニーの医師からだった。夫は2017年に癌を患っていることがわかってから、ホルモン療法や化学療法など治療を続けてきた。癌がわかったときのことはブログに書いたけど(⇒2017年7月「メルボルンの冬空から、出雲大社に―」)その後、治療中の詳細は周囲に話したくないという本人の希望で私もあまり触れないようにしていた。子どもたち、とりわけ下の子が私のブログを時々読んでいたので心配させたくなかったし。とにかく夫は治療を続けながらも仕事を続け、初めに自ら宣言したとおり「ふつー」の生活を極力続けようとしていた。とはいえ10段階評価で9~10と超パワフルな癌細胞だったため2年もしないうちに国民保険で認可されていた治療法はやり終えてまったのだった。それにしてもその間、黙々と生活を続けていた夫。改めて思い返してもスゴイ!と、思う。夫の主治医はすかさず放射性核種内用療法を勧めてくれた。癌細胞を直接狙い撃ちするといういわゆるピンポイントの放射性治療。一般に放射性療法も副作用が強いといわれるけれど、これは副作用もほとんどなく、なかには治ってしまう人もいるそうで。ならばぜひトライしてもらいたい!と願っていた治療法だった。とはいえ保険が効かず1回百万円とか・・・けれど病院や大学の臨床試験に参加すれば治療費の負担もないとのことで。メルボルンで実施されていた試験的治療にはあいにく漏れてしまったのだけれど、運よくシドニーのそれに入ることができた。なんでもメルボルンのより更に画期的な治療法だそうで。研究のための治療なので誰でも入れるわけではなくて、癌の進行度合いや治療歴、本人の年齢など細かいガイドラインが決められているため入れたのは、ほんと幸運でした。夫はその1回目の治療を8月末に受けて、2回目を10月半ばに受けた。6週ごとに計6回受けることになっていたので、次は11月末が予定されていた。そんな夢の治療(?)だったけど、蓋を開けてみると、夫は化学療法をしていたときよりも具合が悪そうだった。治療の副作用はほとんどないと聞いていたので、癌の進行のせいだろう・・・と私は解釈したのだけれど。加えて、本人の副作用はなくても周囲への副作用が思いのほかあって・・・。治療後3日間は成長期の子どもたちとの接触は1日15分以内に制限されていると聞き、私は内心、子どもたち、とりわけ13歳の息子のことを心配していたのだった。そのハロウィーンの夜の電話は、私も担当医師に聞いてみたいことがいろいろとあったので夫に代わってからも二人の会話を聞いていた。けれど途中でその必要はないのだと悟ることに。医師は、血液検査や夫の検査結果の数値を告げながら治療経過について報告していた。それらの数値は全て医師団が望んでいた数値とは真逆のものだ、と。夫の数値は、医師団が驚くほど急激に悪化していたのだった。主任医師や他の医師たちにも相談したところ全員が治療の即刻中止に賛成したのだそうで。非常に稀なことではあるけれど、この治療は本人にとって逆効果であった、と。その後も医師と夫の会話は続いていたけれど、私はとてもその先を聞く気にはなれず、受話器を置いて、キッチンに戻ったのでした。その日は10月のメルボルンにしてはいいお天気で、5時を過ぎたというのにまだ暑いくらいだった。子どもたちはキッチン仕事を投げ出し、切り上げてプールに泳ぎに行ってしまっていた。私は散らかったキッチンで、フランケンシュタインのソーセージロールやお化けのカレーライスやゆで卵、パンプキンヘッドのフォンデューを完成させるために料理の続きに取り掛かった。とてもハロウィーンの気分ではなかったけれど。楽しみにしている子どもたちのハロウィーンの夜を台無しにしたくはなかったし。何よりも、受験を控えた娘を守りたかったから。このまま何事もなかったかのように、せめて娘の受験が終わるまでは私も「ふつー」に生活しようと決意を新たにしていた。30分ほど経ったころ、夫がキッチンにやって来た。カウンターに座って、料理をしている私に放射性核種内用療法が中止になったことを告げた。自分がそのとき何を言ったのか、覚えていない。夫も詳しい話はしなかったし、感情的なことは何も言わなかった。彼はただ黙ってキッチンカウンターに座って、ソーセージにフランケンシュタインの包帯を巻き付ける私の手元をぼんやりと眺めていた。暫くすると夫は「疲れたから休む」と寝室に行ってしまった。プールから出てきた子どもたちにダディンのシドニーでの治療が中止になったことと本人、疲れて休んでいることを伝えた。そのころには夫は寝室で独り休むことが多かったので、子どもたちも別段不審にも思わなかったようだった。治療の中止が何を意味するのかも良く判っていなかったようで…。結局、3人と愛犬2匹でハロウィーンの夜を祝った。ダディンは、途中で覗きに来るかと思ったけれど、その夜は全く顔を出さなかった。彼のこともさることながら、黒マントを羽織って無邪気に微笑む子どもたちが私には不憫に思えていた。結局のところ、治療の中止が何を意味するのか私自身も明確には理解していなかった。医師免許を持つ夫にはわかっていたのかもしれないけれど。思えばたぶんあの夜が、夫の終末の始まりだったのだと思う。命の炎は既に消えかけていたのでした。あれからそろそろ1年。落ち着いたとは言えないけれど、夫のそれからのことを書いてゆこうと思います。2020年のハロウィーン。今年はコロナ禍で、ソーシャル・ディスタンスを保つため、ハロウィーンパレードが禁止される場所も多いだろうな。ビクトリア州では間違いなく「Trick or Treat」は違法で(他者の自宅訪問は基本、禁止されているので)、ドラキュラや血みどろメークの努力もマスク着用で流れて、つーか、マスクのドラキュラ化が必要になりそうです。沈んだハロウィーンの思い出を綴ってしまいましたが、それでもHappy Halloween!皆様が思い出に残るハロウィーンの夜を楽しめますように。にほんブログ村に参加しています。応援クリックをどうぞよろしくお願いいたします(^^♪にほんブログ村 [マックあつこの著書]『Tamagoー39歳の不妊治療』えっ、不妊症!? ミラー月子はたまご時計に急かされながらベイビーを夢見て先の見えない旅に出た。メルボルンからアラフォー妊活小説『Tamagoー39歳の不妊治療』 Kindle電子書籍『Tamagoー39歳の不妊治療』単行本『インスタント・ニルヴァーナ』もしもあなたの大切な人がカルトの罠に嵌ってしまったら? マインドコントロールの鎖は密かに繋がれてゆく。サスペンス長編3部作『インスタント・ニルヴァーナ 上巻』 Kindle電子書籍『インスタント・ニルヴァーナ 中巻』 Kindle電子書籍『インスタント・ニルヴァーナ 下巻』 Kindle電子書籍[Ako Mak 英語の著書]『Someday, IVF at 39』‘Someday, IVF at 39’ ―poignant, humorous and mysterious― a cross-cultural odyssey for motherhood.『Somedsay, IVF at 39』 英語版Kindle電子書籍『Someday Baby: IVF at 40』単行本[マックあつこのHP]マックあつこのHP Ako Mak HP
2020.10.09
コメント(0)