ユーカリの木陰で里の行
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目覚めたら、家が床上浸水していました!? 8月2日、日曜の朝くらいゆっくりしようと7時過ぎに起き出して、着替えていたら廊下から息子の大声が。 「大変だ~、家が洪水だ~!」 すぐさま寝室から飛び出せば、廊下が川になっているではありませんかっ!奥のファミリールームから水がとうとうと流れてきます。水深というほどはなかったものの、小川ではなく廊下の幅いっぱいいっぱいの大河。 ひぇ~~~~~~~~~っ!? 「ママ、駆けちゃダメっ! 水で転ぶよっ!気を付けて、落ち着いて!」背後に娘の声を聞きながら一目散に水源を求めて駆け出しましたよ。 水は奥のファミリールームの右手にあるキッチン、その左手にあるラウンドリー(洗濯室) から流れていました。洗濯機の上、水道の栓から水が噴き出している! なぜっ!? とにもかくにも夢中で栓を締めました。 水が止まってホッとしたのも束の間。周囲の惨状に愕然とすることに!ランドリーはもちろん、キッチン・ダイニングからファミリールームも、居間も、廊下も一面が水に浸っていますっ!? ど・・・うしよう・・・??? 「あっ、物置に置いた食料はっ!?」と、息子。「うわぁ~、ダメだ、この部屋!カーペットが水に浸っちゃってるよ~!」 慌てて様子を見に行けば、カーペットの張られた床は一見「ふつー」に見えるものの、歩くと、ぼこぼこっと泡を立て水が浮き上がってくる。あっという間に、カーペットには足跡模様が・・・。 とにかく食品やトイレットペーパーを安全な2階に運ぶようにとムゥに頼んだのでした。 そこは、夫がオフィス兼書斎として使っていた部屋でした。元気だったころ、つーか去年まで彼は1日の大半をそこで過ごしていたのでした。 パソコンやプリンター、FAXの載ったL字型デスクに壁2面にはびっしりと書類ホルダーや本が並ぶ本棚。この3月に夫が亡くなってから整理もしていないので、デスクに置かれたペンや書類や薬もそのままに。 けれど床の方には、ここ数ヶ月で買い溜めたトイレットペーパーやキッチンペーパー、ティッシュやお米や箱買いしたお水なんかが置かれて・・・、その部屋は、今や物置状態になっていたのでした。 この3月、夫が亡くなったころと前後してメルボルンではコロナ渦によるパニック買いが起きていました。ホスピスから地元のスーパー立ち寄って、商品の消えた空っぽの棚を前に、愕然・・・ 家族の死別と重なったそのときのショックと不安が尾を引いていたせいか、オーストラリア全土に非常事態宣言がされて、商品の購入にも制限がかかり、世間のパニック買いが収まってからも保存食やトイレットペーパーなんかを少~しずつ買い足していったのでした。で、備蓄品として夫の部屋に。 「良かった! ママが下にビニル敷いといたから大丈夫だったよ。ティッシュが1箱やられただけで済んだ!」と、息子。 ごたごたと置かれていた物もきれいさっぱり無くなって、冷たい水に浸ったカーペットの床に立ち、私は明け方に見た夢を思い出していました。久しぶりに夫が夢に出てきたのでした。 夢の中で、夫と私は我が家のファミリールームにいました。彼は買ってきた牛乳やクラッカーをキッチンベンチに並べながら「すごく変わっていてビックリした」と言っていました。 夢の中の私は、夫が、馴染みのスーパーがある近所の商店街のことを言っているのだろう思っていました。コロナの外出規制で、ほとんどの店は閉店に追い込まれ、人通りも途絶えて閑散としている街並みのことを言っているのだろう、と。 既に夫が亡くなっていることは夢のなかでも判っていたので、「ああ、あなたが亡くなってから、コロナのせいで、いろいろと変わっちゃったからねぇ。ビックリしたでしょう」と応えていました。 すると夫が言ったのでした。「切なかった」、と。 目覚めてからもその声がはっきりと耳元に残っていました。 そうして今、夢のことを考えながら床上浸水してしまった彼の部屋に立ち、ハッとしたのでした。 あれは、街のことではなく、この部屋のことを言っていたのかもしれないナ。夫は、自分の部屋のことを話していたのかも・・・。 そう思ったら「切なかった」と言っていた彼の心情が思われて・・・。 もしかして夫は霊界で、我が家が危ないことに気がついて、それを私に教えようと夢に出てきたのかもしれないナ。そうして久しぶりに目にした、変わり果てた自分の部屋にビックリしてしまったのかも・・・。 まだ逝ってから5か月も経っていないというのに、自分の部屋が物置にされていたんだから、そりゃ切ないよね…。 とはいえ、感傷に浸っている場合ではないわけでして。 被害状況を調べたら、1階の4分の3が水に浸かっていました。それでも床の大半はテラコッタのタイル張りなので救われたものの、倉庫化していた夫の部屋と、メインベッドルームのウォーキングクロゼットの床はカーペット。とても自分たちの掃除で処理できるようなレベルじゃあなくて・・・。 どうしよう・・・? とりあえず、まずは落ち着いてからとコーヒーを入れようとしたけれど、電源が入らず。ヒーターをつけようとしたものの、全く反応がなく。Wi-Fiも、テレビの電源も落ちているし、どうやら安全装置が働いて家のブローカーが落ちてしまったようでした。 洪水後の電力事故で今度は家が火災に…という、踏んだり蹴ったり、最悪の事態を想定してEmergency Home Assistanceの会社に連絡したのでした。 1時間と待たずに電気技師がやって来て、家の電気を復活させてくれました。 洪水の原因は洗濯機のパイプ。それが老朽化して外れたのだそうで、彼は会社への報告書にパイプの写真を撮っていました。そうして私にも洪水の様子を写真に撮ってできるだけ早く保険会社に連絡するようにと勧めてくれたのでした。 それにしても、こんなしょぼいパイプ1本でこんな惨事になってしまったのね・・・。と思えば、夢に出てきた夫じゃないけれど、切ないゾ! お昼ごろには保険会社が手配してくれたEmergencyチームがどやどや到着してくれました。メルボルンはコロナの第2波で7月からまた非常事態宣言がされStage3の規制が敷かれていたので、スタッフも全員、白い防御服を纏っての作業です。ちょっと見、宇宙服のような物々しい完全武装(?)姿で家中を動き回り、被害状況を調べて、そこら中にBlower巨大な乾燥機を置いて去っていったのでした。 轟音を轟かせ、ほとんど暴力的に風を送り続けるこの巨大乾燥機が我が家に置かれたのは、初めてではありませんでした。実は十年前にも2階のバスルームから洪水に見舞われていたのよ! そのときは日本に一時帰国していて気づかなかったので、そのスケールたるや今の何倍も酷かったの。(詳しくは2010年5月の日記「ひぇ~、家が!?」と7月31日の日記「洪水カルマとその後」に)。当時の日記を読み返して、しみじみしてしまいましたよ。 そうだった、あのとき娘は8歳、息子などまだ4歳。水に浸ってしまった大切な縫いぐるみやおもちゃを前に子どもたちは泣いてしまったのでした。夫は、水でカバーのよれてしまった(彼の)思い出のLPを1枚1枚、ファミリールームの床に並べていたっけ。そんな当時の光景が鮮やかに蘇ってきたのでした。 あのときのLPは今回の洪水では無傷だったのに、所有者の方はもうこの世にいない。日干ししていた夫の存在の方が、LPよりも儚かっただなんて…。当時は夢にも思わなかったよ。 Emptiness―無常について、実感せずにはおれませんでした。 そうして夫の部屋は、十年前の洪水のときと同様にその日の夕方にはカーペットがまた剥がされて、コンクリート剥き出しの床に。ほとんど廃墟化した空間で巨大乾燥機が唸り声を上げておりました。 まあ、考えようによっては、これで少なくとも「物置部屋」ではなくなったわけですが・・・。 とはいえその夜、ネットで知った緊急速報に私はますます青ざめることに。 急遽メルボルンのコロナ規制はStage3からStage4に、夜8時から翌朝5時まで外出禁止!?1階のそこかしこに置かれた巨大乾燥機の爆音が凄過ぎてテレビは見ることができずニュース速報も見なかったので夜間の外出禁止を知ったときには既に始まった後って有様で・・・。 くわえて木曜からはスーパーや薬局、銀行、郵便局を除いて全ての店舗はClosed、6週間の営業停止に入るのだそうで。食品や生活必需品の買い出しも一家から一人だけ日に1時間以内に限って許可される!?という厳し~い外出規制が課せられることになったのでした。 嘘でしょ・・・こんなんで、買えるんだろーか、洗濯機?果たして、洗濯機ってば、生活必需品として認可されるのっ?? 今日の話では来週中に保険会社の査察官が来るってことだったけど、無事に保険会社の手続きが済んで、なんとか水曜日までにお店に走って買うことかできたとしても配送してもらえなかったり、インストールしてもらえなかったりしたら… Stage4は6週間続くってことだから、洗濯機なしで6週間は辛すぎるだろ。もう保険会社の決断など待ってはいられない・・って、切羽詰まった気持ちに・・・。 その夜は、巨大ブロワーの爆音もさることかながら洗濯機のことが心配で眠れなかったのでした。とほほほ・・・ けれどこれを書いている8月11日―毎日慌しくもワーカーたちが来てくれるお陰で事態はゆっくりとだけれども好転していました。何より洗濯機の方は先週金曜日に無事、入ったし!昨日は15台あった巨大乾燥機も夫の部屋を覗いて全て外されたし。24時間ほんとうるさかったわ… そう、今回被害が1番大きかったのが夫の部屋だったのよ。あの後、壁に並んでいた本棚まで全て運び出されて、今ではますます哀れな部屋になってしまったのでした。今週中に保険会社がカーペット会社を手配してくれるそうなのですが、なにぶんコロナのStage4規制で全てが遅れて、またまだ先は長そうですわ。 11日の今日は、夫の月命日。夫の部屋に関しては、私もそのうちなんとかしなきゃいけないな…とは思っていたのですが、仕事も再開したし、毎日とにかく忙しくて、そのままになっていたのでした。それに、あの部屋に入るのはやはり辛過ぎたから・・・。 実際こんなことがなければ、半年経ってもあの部屋の整理なんてできなかっただろうと思います。これも夫が背中を押してくれたのかもしれないと考えて、部屋に溢れた夫の遺品を整理しながらジンセイ整理してゆこうと思っています。要らないものはきっぱりさっぱりと、時に断捨離も必要ですからね。 そうして、この部屋を将来的にどう使うか、子どもたちと一緒にゆっくり考えてゆこうと思います。いつか生まれ変わった部屋をブログでご紹介できることを願って。 にほんブログ村に参加しています。応援クリックをどうぞよろしくお願いいたします(^^♪にほんブログ村 [マックあつこの著書]『Tamagoー39歳の不妊治療』えっ、不妊症!? ミラー月子はたまご時計に急かされながらベイビーを夢見て先の見えない旅に出た。メルボルンからアラフォー妊活小説『Tamagoー39歳の不妊治療』 Kindle電子書籍『Tamagoー39歳の不妊治療』単行本『インスタント・ニルヴァーナ』もしもあなたの大切な人がカルトの罠に嵌ってしまったら? マインドコントロールの鎖は密かに繋がれてゆく。サスペンス長編3部作『インスタント・ニルヴァーナ 上巻』 Kindle電子書籍『インスタント・ニルヴァーナ 中巻』 Kindle電子書籍『インスタント・ニルヴァーナ 下巻』 Kindle電子書籍[Ako Mak 英語の著書]『Someday, IVF at 39』‘Someday, IVF at 39’ ―poignant, humorous and mysterious― a cross-cultural odyssey for motherhood.『Somedsay, IVF at 39』 英語版Kindle電子書籍『Someday Baby: IVF at 40』単行本[マックあつこのHP]マックあつこのHP Ako Mak HP
2020.08.13
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