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2025.03.05
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カテゴリ: 浮世見聞記
目黒區美術館の「中世の華・黄金テンペラ画─石原靖夫の復元模写」展を觀る。



テンペラ画とは、中世欧州で行なはれた卵黄を練り混ぜた繪の具で描く技法や繪画を云ひ、私は昭和二十三年一月に起きた「帝銀事件」の容疑者とされた平澤大暲(貞通)の職業が“テンペラ画家”だったことで記憶してゐた名稱で、さてどのやうな繪画なのか、現物を觀てみやうと出かける。


石原靖夫氏は昭和十八年(1943年)に京都西陣で紋屋を營む家に生まれ、昭和四十四年に東京藝大油画科に進學するも従来の画材や技法に飽き足らず、卒業後に伊國へ渡欧してテンペラ画と出逢ひ魅せられ、その復元模冩を手がけたことで藝術家としての道が定まり現在に至る。

さうした大きな仕事のひとつが、今回の展覧會の目玉であるシモーネ・マルティーニ作「受胎告知」(1333年)の復元研究模冩で、


(※撮影可の展示物、以下同)

日本では鎌倉幕府が滅亡した年に伊國で製作された壮麗な宗教画を、1972年から六年がかりの試行錯誤の果てに完成させる。



その復元作業の様子を記録した映像を見ると、ただ繪筆をとればいいわけではない、彫金や彫刻の才、そして何より根氣を厳しく要求される仕事であることに驚かされる。



氏はさうした古典再生ばかりでなく、若き日に魅せられたテンペラ画の技法を應用した現代作品も旺盛に發表してゐるところに、真の傳統技藝繼承者としての姿を見る。



先人の遺した技をいかに現代に活かすか──




前回にこの美術館を訪れたときにも氣になったことだが、展示室内の“見張り役”の老人どもが、任務そっちのけでお仲間と駄辯り續けてゐるアノ老害ぶりは、いったい何なのだらう。

耳にも氣にも障る。





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最終更新日  2025.04.28 19:33:43
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