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2025.07.09
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カテゴリ: 浮世見聞記
神奈川縣立金澤文庫で、企画展「斜読 徒然草─近世読書のたのしみかた─」を觀る。



かつては金澤北條氏の三代目貞顕の家人「かねよし」として稱名寺との連絡役もつとめてゐたことが近年の研究で明らかになったと云ふ兼好法師のしたためた随筆「徒然草」は、成立後三百年も知られずにゐたが、木版印刷が普及した江戸時代になって廣く知られるやうになる。

そこに綴られた普遍的な人間像などへの共感が大流行を呼んだわけだが、斷絶してゐた三百年の間に浮世の習慣や風俗は大きく變化したため、本文の内容を理解するために注釈書が多く刊行されたのも、また木版印刷技術の賜物なり。

「徒然草は天臺宗のもっとも重要な教義である摩訶止觀を日本の人々がわかるやうに説明した書物」などと、せっかく平易に綴られた原典を小難しいコトバで小ムズカシくしたがるのがゐるのはいつの世も同じやうで、高屋近文と云ふ神道學者がおカタい漢文で痛烈に批判した「徒然草明汙稿(つれづれぐさ めいおこう)」に並べる“珍賞”“屑”“不容曲”“狥物”“毒手”など、穏やかでない字面を眺めてゐると、むしろ他人(ひと)の才能や名聲が面白くないタダのヤキモチ焼きなのではないかと思へて、ここにも普遍的なのがおるわい、と可笑しくなる。


この企画展でも中心で取り上げてゐる第五十三段の、僧がお氣に入りの稚児相手に酔った勢ひで鼎を被り舞い踊ったあとで外れなくなった顛末など、



現代でもゐる氣になる異性(ここでは同性だが)を前にやたらハイテンションな哀しい男の例そのままで、讀み繼がれるのが本當の古典ならばアレも男の古典かと、いよいよ理解が深まった兼好法師の觀察眼。





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最終更新日  2025.07.10 12:04:54
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