アートスタジオセイゴ
2026
2025
2024
2023
2022
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
高橋さんは抽象絵画から見えてくる空気感、うつろいを長い間追求しています。はっきりした空間ではなく溶け込んでいくような空間、或いは日本的な侘び寂びを感じるような有機的な空間を表現したいといつも言っています。今回の新作はそういった高橋さんの思いが、かなり上手く表現できたのかなと感じます。画面にはスクエアを基調にした幾何学的形態が表現されています。そのスクエア一つ一つに微妙な形と色の変化が見て取れます。完全なモノトーンではありませんが、中間色、グレイを中心に、その中に僅かばかりの色の変化を加えながら彩色していることが読み取れます。あるところは背景色に溶け込んでいくような色、あるところは少しだけ色のコントラストを見せながら、背景から前面にどれだけ押し出せば良いか、色の度合いを深く考えて深遠なる空間構成を表現しているのでしょう。この絵画をよく見ていくと分かりますが、かなりの数の正方形、または長方形が描かれています。その一つ一つの形が何故だか僅かばかりの動きを感じるのは私だけでしょうか?微妙にゆらゆら動いているように感じます。それはそれぞれの正方形、長方形が僅かばかりの形としてのずれを考えて表現していることからかもしれません。幾何学形態と言っても正確無比の形ではなく人の手で描いた幾何学形態として少しの不正確さ、そして彩色したときの完全なフラットとしての彩色ではなく、筆跡、色の不正確さが逆にこの絵画に僅かばかりの動きを与え、鼓動を伝え命を吹き込んでいるように感じます。小さく描かれた2つの正方形も少しだけ左右に傾け、ゆらゆら動いているような空間を感じさせ、全体の画面を引き締めるポイントになっているようです。高橋さんはイタリアの画家、モランディが大好きと言っていました。モランディは静物、とりわけテーブルに置かれたツボとか食器を長い間描き続けていました。何の変哲もない食器ですがモランディはその置かれた食器の中に空間、空気の流れを最大限に表現しようとしていました。モランディは西欧のスタイルを基にして空間を表現していますが、高橋さんのこの作品にも同じような空気感を感じます。幾何学形態と言う抽象ですが、有機的で柔らかく優しい空気の流れを感じます。一瞬では把握できない、時間をかけて見えてくる絵画本来の味わいがある作品になっていると感じました。絵画本来の姿が存在する作品であるように感じました。
2023/03/24
コメント(0)