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小倉さんが教室に通い始めて2作目の作品です。印象派的な作品になりました。野原にそよぐ花の表現ですが、とても印象的で良いなと感じるのは風景の中に感じる空気感を上手く表現してるところでしょう。絵画表現の中でとても難しいところは見えるものを的確に描くことのように思われがちですが、最大の難関は表現する対象物の中に存在する空気を描くことができるかどうかというところにあります。多くのマスターと言われるアーティストであっても、空気感をどのように表現できるか四苦八苦していることが分かります。画面の中で空気感をどのように捉えられるか、時代によって変化し、表現の違いが生まれるのも美術の奥深いところかもしれません。またアーティストによって様々な表現方法を駆使してどのように画面の中に空気を感じさせようとしているか、マスターと言われる作品を前にして読み取るのも良いかなと思います。ダ・ビンチの「モナリザ」、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」、またモネの「睡蓮」でも画面の空気感をどのように表現しているか感じ取って鑑賞するのも良いかなと思います。小倉さんのこの作品は最初にも言いましたが、見えない空気感が感じられます。それは小倉さんが作品の中に印象派の画家たちがアプローチして捉えようとした光、また風を画面の中に感じることを意識しながら制作したことが大きなポイントで、それを上手く表現できたことから画面の中に空気の存在を漂わせることができたのでしょう。描く形の正確さを求めるのではなく、自然の中で感じる空気感の正確さを求めたことによるものだと思います。まだまだ作品の荒さはありますが、これからどういった作品群を積み重ねて豊かな表現を築いていけるか、とても楽しみに見守っていきたいと思います。
2023/06/30
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高橋さんのモチーフはスクエアとラインの組み合わせから日本的な幽玄の空間を表現することでしょう。幽玄のイメージは基本的に曖昧さとか微妙さを見せ、己自身の非力である存在感から自然との一体感に感じさせることかもしれません。それはもののあわれに繋がり西洋的な外に向かうエネルギーではなく、内に潜むエネルギーに存在意義に価値を見いだそうとするのかなと思います。今回の高橋さんの絵画にも曖昧さと微妙さは存分に表現されています。と言っても画面をどうやって構成するか、画面の流れをどうやって作り上げていくかということを深く熟考し、試行錯誤された痕跡が見られ、表現により深い味わいを感じさせてくれる作品に仕上がっています。画面は全体的に高橋さんの絵画の特徴である中間色を主体に表現されています。強烈な発色する色を使わず、あくまでも地味な中間色を選択して表現しています。またこの作品は色もそれほど多く使わず、3色に絞って表現しているのも大きな特徴かもしれません。それでもその3つの色に明暗を微妙に変えながらスクエアを見せています。明暗の違いから画面に見える色が3色ではなく多くの色を使ったように見えてくるのはシンプルですがとても面白いアプローチのように感じます。配置された色と形は画面構成する上でとても重要で、鑑賞者の目が画面上の色と形をゆっくりと追いかけていくような流れを創りだしているのは高橋さんの妙技と言っていいでしょう。高橋さんの新しいというか、絵画に対しての大きなステップは筆の使い方がかなり自由になってきたかなと思います。筆の使い方はこうしなければならない、こうあるべきだといった先入観が少しずつ薄れ、自由な筆使いになってきました。そうすることで画面全体に人間的な柔らかさが浮き上がってきたように感じます。絵画の創作活動は考えなければならないこと、また自分自身と向き合うことがとても大切になってきます。すぐにマスターできるというものではありません。試行錯誤の繰り返しがあり、そこから少しずつ表現の大事な核を学んできます。長い道のりですが、高橋さんの絵画を見ていると、ゆっくりですが一歩一歩前に進んでいることが感じられ、表現の大事な要素は何かを改めて教えらたように感じました。
2023/06/24
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久保さんの新作といっても、この作品は彼女が数十年ぶりに(中学生以来初めて絵の具と筆を使ったと言っていました。)絵を描いた2作目ということでした。1作目は私の教室でお試しの絵を描いた次の作品ということになります。2作目でここまで表現できるというのは、とても素晴らしいことですね。絵を描くというと、どうしても形、色の正確さがとても気になります。さらに間違ってはならないと思い、絵を描く最初から正確に表現しようとします。久保さんにはおかしくなっても描き直すことができるから、リラックスして描きましょう。また絵を描くというのは描きながら変化するのが当たり前だからね。頭の中にある絵の完成形のことはあまり気にせず、その場で変えて良いですよ。と助言しています。そして絵の表現で大事になってくるのは、表現から見えてくる雰囲気の正確さであることを助言しています。このアヤメの絵ではアヤメ自身の形の正確さというよりアヤメを見たときのその場の雰囲気はどうだったのか、その趣を表現しましょうということになります。4輪のアヤメでも少しずつ色具合に変化を加え、また葉っぱの状態も久保さんが感じる雰囲気を第一に考えて表現しています。さらに池の水のたたずまいにも柔らかい光を感じさせるような空気感が漂ってきます。何十年ぶりにここまで描くことができたのには、私自身もびっくりして、とても嬉しく思いました。このように表現する楽しさ、面白さを感じて創作に向かってくれるのはとても良いですね。3作目も既にスタートしています。どのような発見と驚きのある表現ができるか今から楽しみにしています。
2023/06/21
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久しぶりに濵田さんの絵画を見ました。受験のための絵画から少しずつ自分自身の思いが画面に現れるようになってきた作品です。一言で受験のためと言うと、しっかりとした構成、写実性と色彩感を学んで表現しようとします。怖いところは、自分自身がどう感じているかということよりも外目線を意識した作品を表現することに価値を置いてしまいがちな傾向があり、自分はどう感じているか、自分の心の内はどうなのかということをすっぽり空けてしまう作品を良しとするケースに陥りやすいことです。濵田さんも受験を通して、表現に対してそのギャップに相当苦しんだように伺われました。そしてやっと、濵田さん自身の心を見つめる勇気と余裕が生まれてきたように感じます。この絵画は彼女自身の心象風景と言っていいでしょう。絵画表現の言葉ではシュールレアリズムの絵画でしょうか?画面左に彼女自身の姿とおぼしき人物が描かれています。二つのガラス球(赤と緑)を抱えていて、それらはとても対照的なイメージですが、両方とも彼女にとってとても大事な存在のようです。一つには選ぶことのできない、でもどっちが自分にとって大事なんだろうと迷っているように見えます。その後ろには道が見えます。彼女が歩んできた道でしょうか。その道の側には吸い込まれていきそうな穴が描かれています。この暗闇のある穴も彼女の経験した人生の一部なのかもしれません。人物の背後には様々なうねりと抽象的形態が見られます。こういった画面の流れを見ていると、シュールレアリズム絵画でよく言われる夢のような世界を感じます。現実ではないと思われる夢の世界だけども、これも現実の一部で、意識下を見せようとした絵画と言って良いかもしれません。これからどんどんと変化すると思われる濵田さんの絵画ですが、まずは第1歩を踏み出した貴重な作品になったと感じています。
2023/06/21
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高橋さんはずっと抽象表現を追求しています。そしてそれは明確なコンセプトを基盤とした抽象画と言って良いかもしれません。高橋さんが画面を構成する上で使用するのは正方形と線を基本にしています。その正方形と線が画面の中でどのように配置され、画面の流れを創っていくかというところに高橋さんの重要なコンセプトが潜んでいるのでしょう。ミニマル的な表現ですが、決して無機質ではない絵画に仕上げたというのは高橋さんならではの技量だと思いました。この絵画を見て分かるように、全体的に中間色を使い青色のよう緑色のようなはっきり識別できない曖昧な空気感を感じさせてくれます。しっとりとした空気感の中にふわりと浮かんだ四角いものがいくつか見えてきます。それらはとてもゆっくりとふわふわ動いて、まるでスローモーションの世界を見てるような感じもします。高橋さんの絵画から東洋的というか日本的な幽玄の世界を感じさせてくれるのは私だけでしょうか。絵画というのは基本的に静止したイリュージョンを私たちに提示します。ところがその静止した状態から動きを感じたり、流れを感じたり、時間を感じたり、更には香りも、重みも感じます。静止した1枚の絵画から永遠に通ずる時間を感じさせるのが絵画の深遠な魅力で不思議なパワーなのかもしれません。高橋さんの最近の絵画からは外に向かっていく派手なエネルギーというより、日本的なわび、さびを感じさせる微かですが心に潜む確かなエネルギーを表現しようとしているのかもしれません。まさしく幽玄の世界かもしれません。この絵画からはどっしりとした重厚感ではなく、その逆のふわふわとした重みをあまり感じさせない漂う空気感を感じさせ、永遠に通ずる時間を包括させたところに大きな魅力があると感じました。
2023/06/07
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